説明

消泡剤組成物

(A)第一の工程で、1分子当たり少なくとも1個のSi結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式R1−(A−Cn2nm−A1H(I)の実質的に線状のオリゴマー又はポリマーの化合物(2)と反応させ、但し、m単位(A−Cn2n)は同じであるか又は異なっていてよく、及び第二の工程で、そのようにして得られたH−A1基を有する中間生成物(4)を、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)、並びに場合によりさらなる化合物(7)と反応させることによって製造可能なポリシロキサンコポリマー、(B)式:R8g(R9O)hSiO(4-g-h)/2(VI)の単位からのオルガノポリシロキサン樹脂、場合により(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン、場合により(D)有機化合物、場合により(E)水及び場合により(F)添加剤を含有する組成物(その際、基及び添え字は、請求項1に記載される意味を有する)、前記組成物の製造方法並びに消泡剤としての、殊に水性界面活性剤配合物を消泡するための前記組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別なポリシロキサンコポリマーを含有する組成物、該組成物の製造方法並びに消泡剤としての、殊に水性界面活性剤配合物を消泡するための該組成物の使用に関する。
【0002】
所望される成分として又は不所望の成分として表面活性化合物を含有する多くの流体系、殊に水性系においては、これらの系が多少なりともガス状の物質と集中的に接触させられる場合、例えば排水のガス処理に際して、液体の集中的な撹拌に際して、蒸留プロセス、洗浄プロセス又は着色プロセスに際して又は充填プロセスに際して、起泡により問題が生じる可能性がある。
【0003】
この泡の制御は、機械的な手法又は消泡剤の添加によって行われることができる。その際、シロキサンベースの消泡剤が特に有効であることが実証されている。シロキサンをベースとする消泡剤は、例えばDE−AS−1519987に従って、ポリジメチルシロキサン中での親水性シリカの加熱によって製造される。
【0004】
ポリジメチルシロキサンをベースとする消泡剤は、ポリジメチルシロキサンが、たいていの界面活性剤系、例えば湿潤剤又は液体洗剤と相溶性に乏しく、かつ沈殿しやすいことから非常に望ましくないという欠点を有する。
【0005】
これらの泡止め剤は、例えばEP−A341952、DE102004052421及びDE102005025450に記載されているように、ポリエーテルシロキサンと組み合わせることができる。該ポリエーテルシロキサンは、不可避とされる、シロキサンをベースとする消泡剤の作用の改善に役立つ。しかしながら、これらの消泡剤配合物も同様に、水性界面活性剤系と不相溶性であり、それゆえ、例えば液体洗剤及び湿潤剤のような貯蔵安定性の水性配合物中での適用には適していない。
【0006】
本発明の対象は、
(A)第一の工程で
1分子当たり少なくとも1個のSi結合した水素原子、好ましくは少なくとも2個のSi結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式
1−(A−Cn2nm−A1−H (I)
[式中、R1は、1価の、場合により置換された炭化水素基、該基にはSi−H基がヒドロシリル化反応において付加されることができ、好ましくは脂肪族C−C多重結合を有する炭化水素基を意味し、
Aは、−O−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、ウレタン基及び尿素基の群から選択された、2価の、極性有機基、好ましくは酸素原子−O−を意味し、
1は、−O−、−NH−及び−NR'−の群から選択された、2価の、極性有機基、その際、R'は、炭素原子1〜18個を有する1価の炭化水素基であり、好ましくは酸素原子−O−を意味し、
nは、1〜20、好ましくは1〜4、特に有利には2又は3の整数であり、かつ
mは、整数、好ましくは5〜15である]
の実質的に線状のオリゴマー又はポリマーの化合物(2)と反応させ、但し、m単位(A−Cn2n)は同じであるか又は異なっていてよく、
及び第二の工程で
そのようにして得られたH−A1基を有する中間生成物(4)を、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)、並びに場合によりさらなる化合物(7)と反応させることによって製造可能なポリシロキサンコポリマー、
(B)式
8g(R9O)hSiO(4-g-h)/2 (VI)
[式中、
8は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1価の、場合により置換された、SiC結合した炭化水素基を意味し、
9は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1価の、場合により置換された炭化水素基を意味し、
gは、0、1、2又は3であり、かつ
hは、0、1、2又は3である]
の単位からのオルガノポリシロキサン樹脂、
但し、g+hの合計は≦3であり、かつ該オルガノポリシロキサン樹脂中の式(II)の全ての単位の50%未満においてg+hの合計は2に等しい、
場合により
(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン、
場合により
(D)有機化合物、
場合により
(E)水及び
場合により
(F)添加剤
を含有する組成物であって、但し、これらの組成物は、単位の90%より多くが式SiR''22/2の二官能性単位であり、その際、R''は炭化水素基に等しいポリオルガノシロキサンを含有しない。
【0007】
本発明による組成物は、単位の90%より多くが、有利には50%より多くが式SiR''22/2の二官能性単位であり、その際、R''は炭化水素基に等しいポリオルガノシロキサン、例えば本質的に線状のポリジメチルシロキサン又はポリメチルフェニルシロキサンを含まない。
【0008】
本発明による組成物は、有利には高分散性シリカを含まず、特に有利には無機フィラーを含まない。
【0009】
有利には、該組成物は、
(A)第一の工程で
1分子当たり少なくとも1個のSi結合した水素原子、好ましくは少なくとも2個のSi結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式
1−(A−Cn2nm−A1−H (I)
[式中、R1は、1価の、場合により置換された炭化水素基、該基にはSi−H基がヒドロシリル化反応において付加されることができ、好ましくは脂肪族C−C多重結合を有する炭化水素基を意味し、
Aは、−O−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、ウレタン基及び尿素基の群から選択された、2価の、極性有機基、好ましくは1個の酸素原子−O−を意味し、
1は、−O−、−NH−及び−NR'−の群から選択された、2価の、極性有機基、その際、R'は、炭素原子1〜18個を有する1価の炭化水素基であり、好ましくは酸素原子−O−を意味し、
nは、1〜20の整数、好ましくは1〜4、特に有利には2又は3であり、かつ
mは、整数、好ましくは5〜50である]
の実質的に線状のオリゴマー又はポリマーの化合物(2)と反応させ、但し、m単位(A−Cn2n)は同じであるか又は異なっていてよく、
及び第二の工程で
そのようにして得られたH−A1基を有する中間生成物(4)を、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)、並びに場合によりさらなる化合物(7)と反応させることによって製造可能なポリシロキサンコポリマー、
(B)式
8g(R9O)hSiO(4-g-h)/2 (VI)
[式中、
8は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1価の、場合により置換された、SiC結合した炭化水素基を意味し、
9は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1価の、場合により置換された炭化水素基を意味し、
gは、0、1、2又は3であり、かつ
hは、0、1、2又は3である]
の単位からのオルガノポリシロキサン樹脂、
但し、g+hの合計は≦3であり、かつ該オルガノポリシロキサン樹脂中の式(II)の全ての単位の50%未満においてg+hの合計は2に等しい、
場合により
(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン、
場合により
(D)有機化合物、
場合により
(E)水及び
場合により
(F)添加剤
から成る組成物である。
【0010】
本発明による組成物中で使用されるポリシロキサンコポリマー(A)は、そのつど25℃で、好ましくは1000〜100000000mm2/s、特に有利には1000〜10000000mm2/sの粘度を有する。
【0011】
意想外にも、ポリシロキサンコポリマー(A)をベースとする本発明による組成物は、水性界面活性剤配合物と非常に良好に相溶性であるのみならず、本質的に線状のポリオルガノシロキサン、殊にポリジメチルシロキサンをベースとする従来の消泡剤なしに、及びシリカなしに極めて優れた作用を有することが見出された。
【0012】
該組成物は、好ましくは10〜98質量%の、特に有利には30〜90質量%のポリシロキサンコポリマー(A)を含有する。
【0013】
本発明により使用されるポリシロキサンコポリマー(A)は、以下のように得られる:
第一の方法工程で、オルガノポリシロキサン(1)として、好ましくは、一般式
efSiO(4-e-f)/2 (II)
[式中、
Rは、同じであるか又は異なっていてよく、かつ1価の、場合により置換された、基1個当たり炭素原子1〜18個を有する炭化水素基を意味し、
eは、0、1、2又は3であり、
fは、0、1又は2である]
の単位からの、線状、環状又は分枝状のオルガノポリシロキサンが使用され、但し、e+fの合計は、0、1、2又は3であり、かつ1分子当たり少なくとも1個のSi結合した水素原子、有利には少なくとも2個のSi結合した水素原子が存在する。
【0014】
有利には、オルガノポリシロキサン(1)として、一般式
g3-gSiO(SiR2O)o(SiRHO)pSiR3-gg (III)
[式中、
Rは、上でこれについて規定された意味を有し、
gは、0、1又は2であり、
oは、0又は1〜1500の整数であり、かつ
pは、0又は1〜200の整数である]
のものが使用され、但し、1分子当たり少なくとも1個のSi結合した水素原子、有利には少なくとも2個のSi結合した水素原子が存在する。
【0015】
この発明の範囲内で、式IIIは、o単位−(SiR2O)−及びp単位−(SiRHO)−が任意にオルガノポリシロキサン分子中に分布されていてよいと解されるべきである。
【0016】
特に有利には、式(III)中で、gは0に等しく、oは20〜100に等しく、かつpは3〜10に等しく、かつオルガノポリシロキサン(1)として、ハイドロジェンアルキルシロキシ単位とジアルキルシロキシ単位とからの共重合体、殊にハイドロジェンメチルシロキシ単位とジメチルシロキシ単位とからの共重合体が使用される。
【0017】
オルガノポリシロキサン(1)は、好ましくは、そのつど25℃で、10〜1000mm2/s、特に有利には50〜1000mm2/s、殊に60〜600mm2/sの平均粘度を有する。
【0018】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、及びオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基及びβ−フェニルエチル基である。
【0019】
置換された基Rの例は、ハロゲンアルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2',2',2'−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基及びハロゲンアリール基、例えばo−、m−及びp−クロロフェニル基である。
【0020】
有利には、基Rは、炭素原子1〜6個を有する1価の炭化水素基であり、その際、メチル基が特に有利である。
【0021】
基Rの例は、基R'にも全面的に当てはまる。
【0022】
基R1の例は、アルケニル基、例えばビニル基、5−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、1−プロペニル基、アリル基、3−ブテニル基及び4−ペンテニル基、及びアルキニル基、例えばエチニル基、プロパルギル基及び1−プロピニル基である。
【0023】
有利には、基R1は、アルケニル基、特に有利にはω−アルケニル基、殊にアリル基である。
【0024】
オリゴマー又はポリマーの化合物(2)として有利なのは、一般式
2C=CH−R2−(OCn2nm−OH (IV)
[式中、R2は、炭素原子1〜10個を有する2価の炭化水素基、有利には式−CH2−、−CH(CH3)−又は−C(CH32−の基を意味し、かつ
n及びmは、上でこれについて規定された意味を有する]
のポリエーテルである。
【0025】
ポリエーテル(2)の特に有利な例は、一般式
2C=CH−R2−(OCH2CH2a[OCH2CH(CH3)]b−OH (IV')
[式中、R2は、上でこれについて規定された意味を有し、並びにa及びbは、そのつど互いに無関係に0又は整数を意味する]
のものであり、その際、a+bの合計は1〜200、好ましくは5〜50である。
【0026】
オリゴマー又はポリマーの化合物(2)のさらなる例は、不飽和ポリエステル、例えばH2C=CH−R2−[O(O)CCn2nm−OH、不飽和ポリカーボネート、例えばH2C=CH−R2−[CO(O)OCn2nm−OH、及び不飽和ポリアミド、例えばH2C=CH−R2−[NHC(O)Cn2nm−NH2であり、その際、R2、n及びmは、上で規定された意味の1つを有する。
【0027】
ポリシロキサンコポリマー(A)の製造のために使用される化合物(1)及び(2)の含水率は、そのつど化合物(1)及び(2)の全質量に対して、有利には2000質量ppmより低く、特に有利には1500質量ppmより低く、殊に1000質量%ppmより低い。その際、含水率は、室温(20℃)及び周囲雰囲気の圧力(1020hPa)を基準とする。
【0028】
化合物(2)は、第一の方法工程で、好ましくは、オルガノポリシロキサン(1)中のSi結合した水素1グラム原子につき、好ましくは脂肪族C−C多重結合を有する基、特に有利にはω−アルケニル基である基R11.0〜4.0モル、特に有利には1.3〜2.5モルの量で使用される。
【0029】
第一の方法工程で、好ましくは、脂肪族多重結合へのSi結合した水素の付加を促進する触媒(3)が使用される。触媒(3)として、本発明による方法の場合も、脂肪族多重結合へのSi結合した水素の付加を促進するためにこれまでも使用され得た同じ触媒が使用されることができる。該触媒は、好ましくは、白金金属の群からの金属又は白金金属の群からの化合物又は錯体である。かかる触媒の例は、担体、例えば二酸化ケイ素、酸化アルミニウム又は活性炭上に存在していてよい金属の及び微粉砕の白金、白金の化合物又は錯体、例えば白金ハロゲン化物、例えばPtCl4、H2PtCl6*6H2O、Na2PtCl4*4H2O、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコラート錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、白金−ケトン錯体(H2PtCl6*6H2Oとシクロヘキサノンとからの反応生成物を含む)、検出可能な無機的に結合したハロゲン含有量を有するか又は有さない白金−ビニルシロキサン錯体、例えば白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラ−メチル−ジシロキサン錯体、ビス−(ガンマ−ピコリン)−白金二塩化物、トリメチレンジピリジン白金二塩化物、ジシクロペンタジエン白金二塩化物、ジメチルスルホキシドエチレン白金−(II)−二塩化物、シクロオクタジエン−白金二塩化物、ノルボルナジエン−白金二塩化物、ガンマ−ピコリン−白金二塩化物、シクロペンタジエン−白金二塩化物、並びに四塩化白金とオレフィン及び第一級アミン又は第二級アミン又は第一級アミン及び第二級アミンとの反応生成物、例えば1−オクテン中に溶解した四塩化白金とs−ブチルアミン又はアンモニウム−白金錯体とからの反応生成物である。
【0030】
第一の方法工程で触媒(3)が使用される場合には、そのつど元素の白金として計算して、かつオルガノポリシロキサン(1)及び(2)の全質量に対して、有利には1〜50質量ppm(百万質量部当たりの質量部)、特に有利には2〜20質量ppmの量である。
【0031】
第一の方法工程は、好ましくは周囲雰囲気の圧力、つまり、約900〜1100hPa(絶対)で実施される。さらになお、第一の方法工程は、好ましくは、60〜140℃、特に有利には80〜120℃の温度で実施される。
【0032】
第二の方法工程で、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)として、有利には一般式
O=C=N−R3−N=C=O (V)
[式中、R3は、基1個当たり炭素原子4〜40個を有する2価の炭化水素基を意味する]のものが使用される。
【0033】
有機化合物(5)の例は、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、4,4'−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4'−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)及びジメチルフェニルジイソシアネートである。
【0034】
有機化合物(5)は、第二の方法工程で、本発明により使用される成分(A)の製造のために、好ましくは、中間生成物(4)中のH−A1基1モルにつき、イソシアネート基0.1〜0.9モル、特に有利には0.2〜0.7モルの量で使用される。
【0035】
第二の工程での反応のために、好ましくは縮合触媒(6)、例えばジ−n−ブチル錫ジラウレート、オクタン酸錫(II)、ジブチル錫ジアセテート、オクタン酸カリウム、カルボン酸ビスマス、オクタン酸亜鉛、カルボン酸ジルコニウム又は第三級アミン、例えばジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、N−メチルイミダゾール又はN−エチルモルホリンが使用される。
【0036】
第一の方法工程で、側鎖にSi結合した水素原子を有するメチル末端化水素官能性ポリシロキサン(1)を、式(IV)の過剰量のポリエーテル(2)と反応させ、及び第二の方法工程で、中間生成物(4)、櫛型構造を有するシリコーンポリエーテルを、式(V)のジイソシアネート(5)と反応させることによって有利なポリシロキサンコポリマー(A)が得られ、その際、ウレタン基がポリシロキサンコポリマー中に導入される。その際、第一の工程からの遊離ポリエーテルも、ウレタン形成によって結合される。
【0037】
本発明により使用される親水性ポリシロキサンコポリマー(A)中のウレタン基は、水素結合の形成に際して供与体及び受容体として作用し得る。
【0038】
本発明により使用されるシロキサンコポリマー(A)を製造するための第二の工程では、有機化合物(5)に加えてなお、イソシアネート基に対して反応性である、さらなる化合物(7)を使用することができる。さらなる化合物(7)の有利な例は、下記式
4−(A−Cn2nm−A1−H (VII)、
HO−R5−NR4−R5−OH (VIII)、
HO−R5−NR42 (IX)、
HO−R6(NR422 (X)、
HO−R7(NR423 (XI)、
(HO)26−NR42 (XII)及び
HNR42 (XIII)
[式中、R4は、水素原子又は、1個以上の窒素原子を含有してよい基Rを意味し、
5は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ基1個当たり炭素原子1〜10個を有する2価の炭化水素基を意味し、
6は、基1個当たり炭素原子1〜100個を有する3価の有機基、好ましくは、炭素原子1〜100個を有する3価の炭化水素基を意味し、該基は、1個以上の酸素原子を含有し、
7は、基1個当たり炭素原子1〜100個を有する4価の有機基、好ましくは、炭素原子1〜100個を有する4価の炭化水素基を意味し、該基は、1個以上の酸素原子を含有し、かつ
1、n及びmは、上でこれらについて規定された意味を有する]
の群から選択されたものである。
【0039】
式(VII)の化合物の例は、メチルポリエチレンオキシド、ブチルポリエチレンオキシド、メチルポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド及びメチルポリプロピレンオキシドである。
【0040】
式(VIII)の化合物の例は、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、N−ドデシルジエタノールアミン及びN−ステアリールジプロパノールアミンである。
【0041】
式(IX)の化合物の例は、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルメチルエタノールアミン及びジメチル−2−(2−アミノエトキシ)エタノールである。
【0042】
式(X)の化合物の例は、1,5−ビス(ジメチルアミノ)−ペンタン−3−オール、1,5−ビス(メチルアミノ)−ペンタン−3−オール、1,7−ビス(ジメチルアミノ)−ヘプタン−4−オール及びN,N−ビス−(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミンである。
【0043】
式(XI)の化合物の例は、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノール、1,1,1−トリス(ジメチルアミノメチル)−メタノール及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)−シクロヘキサノールである。
【0044】
式(XII)の化合物の例は、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−3−アミノプロパン−1,2−ジオール、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−アミノプロパン−1,3−ジオール、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−カルバミン酸モノグリセリドである。
【0045】
式(XIII)の化合物の例は、ジブチルアミン、オクチルアミン、ベンジルアミン、3−(シクロヘキシルアミノ)−プロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エチルアミン、ジプロピレントリアミン、イソホロンジアミン、ジメチルアミノプロピルメチルアミン、アミノプロピルモルホリン、N,N−ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン及びジメチルアミノプロピルアミンである。
【0046】
式(VIII)〜(XIII)の化合物は、ポリシロキサンコポリマー(A)中にプロトン化可能な窒素を組み込む機会を与える。
【0047】
本発明により使用される成分(A)の製造のために化合物(7)が使用される場合には、それらは有利には式(VII)の化合物である。
【0048】
本発明により使用される成分(A)の製造のために、有利には化合物(7)が使用される。
【0049】
式(VII)の化合物が、第二の方法工程で、化合物(2)中のH−A1基1モルにつき、H−A1基、好ましくは0〜2モル、特に有利には0〜1モルの量で使用される。
【0050】
式(VIII)の化合物が、第二の方法工程で、化合物(2)中のH−A1基1モルにつき、HO基、好ましくは0〜2モル、特に有利には0〜1モルの量で使用される。
【0051】
式(IX)の化合物が、第二の方法工程で、化合物(2)中のH−A1基1モルにつき、HO基、好ましくは0〜2モル、特に有利には0〜1モルの量で使用される。
【0052】
式(X)の化合物が、第二の方法工程で、化合物(2)中のH−A1基1モルにつき、HO基、好ましくは0〜2モル、特に有利には0〜1モルの量で使用される。
【0053】
式(XI)の化合物が、第二の方法工程で、化合物(2)中のH−A1基1モルにつき、HO基、好ましくは0〜2モル、特に有利には0〜1モルの量で使用される。
【0054】
式(XII)の化合物が、第二の方法工程で、化合物(2)中のH−A1基1モルにつき、HO基、好ましくは0〜2モル、特に有利には0〜1モルの量で使用される。
【0055】
式(XIII)の化合物が、第二の方法工程で、化合物(2)中のH−A1基1モルにつき、HN基、好ましくは0〜2モル、特に有利には0〜1モルの量で使用される。
【0056】
化合物(7)の使用に際しても、健康傷害を来すと見なされるイソシアネート基が確実に反応し尽くすことを保証するために、ポリイソシアネート(5)が、好ましくは過少量で使用される。それゆえ、有機化合物(5)が、第二の方法工程で、好ましくは、中間生成物(4)及び化合物(7)の合計からのイソシアネート基と反応性の官能基の合計の1モルにつき、イソシアネート基0.1〜0.9モル、特に有利には0.2〜0.7モルの量で使用される。
【0057】
第二の方法工程は、好ましくは周囲雰囲気の圧力、つまり、約900〜1100hPa(絶対)で実施される。さらになお、第二の方法工程は、好ましくは、40〜160℃、特に有利には80〜140℃の温度で実施される。
【0058】
本発明により使用されるポリシロキサンコポリマー(A)の製造に際して、部分的に非常に高い生成物粘度を低下させるために、場合により低粘性物質(D)、例えばアルコール又はエーテル、殊に100℃より大きい沸点を有するものが、周囲雰囲気の圧力で、つまり、900〜1100hPaで添加されることができる。これらの例は、エタノール、イソプロパノール及びn−ブタノール、並びに好ましくは2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールのメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノオクチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジエチルエーテル並びにジメトキシエタンであり、その際、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテルが特に有利である。一般的に不飽和ポリエーテルとハイドロジェンシロキサンとのヒドロシリル化によって得られることができるポリエーテル変性シロキサン(C)の添加も、粘度を減少させるために有用である。有利な添加量は、非常に粘性の生成物の場合には、本発明により製造されるポリシロキサンコポリマー(A)に対して50質量%まで、特に有利には30質量%までである。そのうえまた、この種の添加物は、そこから生じる生成物が、純粋なポリシロキサンコポリマーより水に容易に分散可能であるという利点を有する。
【0059】
本発明により使用される成分(B)は、有利には式(VI)の単位からのシリコーン樹脂であり、その際、該樹脂中の単位の0〜30%において、有利には0〜5%においてc+dの合計は2に等しい。
【0060】
有利には、基R8は、炭素原子1〜4個を有するアルキル基又はフェニル基、殊にメチル基である。
【0061】
有利には、基R9は、炭素原子1〜4個を有するアルキル基、特に有利にはメチル基又はエチル基、殊にエチル基である。
【0062】
特に有利には、成分(B)は、本質的にR83SiO1/2(M)単位及びSiO4/2(Q)単位から成り、その際、R3は上記の意味を有する、オルガノポリシロキサン樹脂である;これらの樹脂はMQ樹脂とも呼ばれる。M単位対Q単位のモル比は、好ましくは、0.5〜2.0の範囲に、特に有利には0.6〜1.0の範囲にある。そのうえまた、これらのシリコーン樹脂は、10質量%まで遊離のヒドロキシル基又はアルコキシ基を含有してよい。R8は、その際、好ましくはメチル基である。
【0063】
好ましくは、オルガノポリシロキサン樹脂(B)は、25℃で1000mm2/sより大きな粘度を有するか又は固体である。ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したこれらの樹脂の質量平均分子量(ポリスチレン標準液を基準として)は、好ましくは200〜200000g/モル、殊に1000〜20000g/モルである。
【0064】
有利には、本発明により使用されるオルガノポリシロキサン樹脂(B)は、25℃の温度及び101,325kPaの圧力で少なくとも100g/lがベンゼン中に溶解する。
【0065】
成分(B)は、市販の生成物であり、もしくはケイ素化学において慣例の方法に従って製造されることができる。
【0066】
シロキサン樹脂(B)は、本発明による組成物中で、好ましくは、そのつど該組成物の全質量に対して、0.1〜20質量%、特に有利には1〜10質量%の量で使用される。
【0067】
本発明による組成物は、付加的に、(A)とは異なるポリエーテル−ポリシロキサン−コポリマー(C)を含有してよい。
【0068】
場合により使用される成分(C)の例は、DE−B22222998、第3欄及び第4欄、第38行目〜第43行目、EP−A1424117、段落[0072]及び[0073]、US−B6,521,084、第4欄、第35行目〜第44行目、US−B6,187,891、第9/10欄、第1表及びEP−B1076073、第3頁中に記載された化合物であり、これらは本発明の開示内容に含まれているものとする。
【0069】
本発明による配合物の製造に際して、ポリエーテル−ポリシロキサン−コポリマー(C)は、本発明により使用されるポリシロキサンコポリマー(A)とブレンドされることができる。
【0070】
ポリエーテル−ポリシロキサン−コポリマー(C)は、本発明による組成物中で、好ましくは、そのつど該組成物の全質量に対して、0.1〜60質量%、特に有利には0〜40質量%の量で使用されることができる。本発明による組成物は、有利な一変法において、成分(C)20〜40質量%を含有する。
【0071】
成分(A)、(B)及び場合により(C)以外に、本発明による組成物は、これまでも消泡剤配合物中で使用されていた、さらに別の全ての物質、例えば有機化合物(D)を含有してよい。
【0072】
場合により使用される有機化合物(D)は、有利にはケイ素原子を含まない。
【0073】
場合により使用される成分(D)は、特に有利には、周囲雰囲気の圧力、つまり、900〜1100hPaで100℃より高い沸点を有する有機化合物、殊に、分散せずには蒸留されることのできない化合物、殊に、鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成からの残留物、低分子量の合成カルボン酸のエステル、脂肪酸エステル、例えばオクチルステアレート、ドデシルパルミテート、脂肪アルコール、低分子量アルコールのエーテル、フタレート、グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−コポリマー、炭素原子3〜30個を有する線状又は分枝状のアルコールのポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエーテル、炭素原子3〜30個を有するカルボン酸のポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコールエステル、リン酸のエステル及びワックスから選択されたものである。
【0074】
特に有利には、場合により使用される成分(D)は、エステル、例えば2,2,4−トリメチル−3,3−ペンタンジオールジイソブチレート、グリコール、例えば1,2−プロパンジオール、グリコールエーテル及びポリグリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−コポリマー、例えば成分(A)の製造に際して過剰量で使用されるポリエーテルである。
【0075】
本発明による組成物中で場合により使用される成分(C)及び(D)は、一方では、スムーズに取り扱い可能な粘度に調節するのに役立ち、他方では、目的に合わせて特定の適用に適合させることができる。そうして、例えば、成分(C)及び(D)の目的に合わせた選択によって、本発明による消泡剤配合物を、消泡されるべき界面活性剤系に適合させることができる。
【0076】
有機化合物(D)は、本発明による組成物中で、好ましくは、そのつど該組成物の全質量に対して、0〜60質量%、特に有利には0〜40質量%の量で使用されることができる。本発明による組成物は、有利には成分(D)を含有しない。
【0077】
本発明による配合物は水(E)を含有してよい。水(E)の例は、自然の水、例えば雨水、地下水、湧水、河水及び海水、化学的な水、例えば脱イオン水、蒸留水又は(重複して)再蒸留された水、医療目的又は製薬目的のための水、例えば精製水(Aqua purificata;Pharm.Eur.3)、Aqua deionista、Aqua destillata、Aqua bidestillata、Aqua ad injectionam又はAqua conservata、ドイツ飲料水規定に従った飲料水及び鉱水である。
【0078】
水(E)は、本発明による組成物中で、好ましくは、そのつど該組成物の全質量に対して、0〜60質量%、特に有利には0〜10質量%の量で使用されることができる。本発明による組成物は、有利には成分(E)を含有しない。
【0079】
場合により使用される添加剤(F)は、これまでもオルガノポリシロキサン組成物中で使用され得ている公知の全ての添加剤であってよい。
【0080】
添加剤(F)は、有利には、有機の、増粘性作用を持つポリマー、防腐剤、染料及び香料から選択されたものである。
【0081】
本発明による組成物中で添加剤(F)が使用される場合には、量は、そのつど該組成物の全質量に対して、好ましくは0.01〜5.0質量%、特に有利には0.05〜2.0質量%である。本発明による組成物は、有利には成分(F)を含有しない。
【0082】
本発明による組成物は、特に有利には、
そのつど該組成物の全質量に対して、
(A)ポリシロキサンコポリマー10〜98質量%、
(B)オルガノポリシロキサン樹脂0.1〜20質量%、
(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン0〜60質量%、
(D)ケイ素を含まない有機化合物0〜60質量%、
(E)水0〜60質量%及び
(F)添加剤0〜5.0質量%
から成る。
【0083】
本発明による組成物は、殊に、
そのつど該組成物の全質量に対して、
(A)ポリシロキサンコポリマー30〜90質量%、
(B)オルガノポリシロキサン樹脂1〜10質量%、
(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン0〜40質量%、
(D)ケイ素を含まない有機化合物5〜40質量%、
(E)水0〜10質量%及び
(F)添加剤0〜2.0質量%
から成る。
【0084】
本発明による組成物は、有利には、粘性の、透明〜不透明の、無色〜褐色がかった液体である。
【0085】
本発明による組成物は、そのつど25℃で、好ましくは100〜2000000mm2/sの、特に有利には500〜50000mm2/sの、殊に1000〜20000mm2/sの粘度を有する。
【0086】
本発明による組成物は、溶液又は分散液であってよい。
【0087】
本発明による組成物の製造は、公知の方法に従って、例えば全ての成分を混合することによって、例えばスタティックミキサーによる単純な攪拌によって又はそれに高い剪断力の適用下でコロイドミル、ディソルバー又はロータ−・ステータ−・ホモジナイザー中で行うことができる。
【0088】
本発明のさらなる一対象は、本発明による組成物を含有する液体の湿潤剤、洗剤及び洗浄剤である。
【0089】
本発明による組成物は、有機ケイ素化合物を基礎とする組成物がこれまでも使用されてきたあらゆる領域で使用することができる。殊に、本発明による組成物は、消泡剤として使用することができる。
【0090】
本発明のさらなる一対象は、媒体を消泡及び/又は泡止めするための方法において、本発明による組成物を該媒体と混ぜることを特徴とする方法である。
【0091】
発泡媒体への本発明による組成物の添加は直接行うことができ、適した溶媒、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン又はt−ブタノール中に溶解して、粉末として又はエマルションとして行ってよい。所望される消泡作用を達成するために必要な量は、例えば媒体の種類、温度及び発生する乱流に依存する。
【0092】
好ましくは、本発明による組成物は、濃縮液体の界面活性剤配合物と直接混ぜられる。それにより、そこから希釈によって製造される液の起泡が防止される。
【0093】
有利には、本発明による組成物は、0.1質量ppm〜1質量%の量で、殊に1〜100質量ppmの量で、適用準備の整った発泡媒体に添加される。濃縮界面活性剤配合物中には、本発明による組成物が、0.1〜20質量%、殊に0.5〜5質量%含有されていてよい。
【0094】
本発明による方法は、有利には−10℃〜+150℃、特に有利には5〜100℃の温度、及び周囲雰囲気の圧力、つまり、約900〜1100hPaで実施される。本発明による方法は、より高い圧力又はより低い圧力、例えば3000〜4000hPa又は1〜10hPaで実施してもよい。
【0095】
本発明による消泡剤組成物は、妨げとなる泡が抑制されるべきあらゆる箇所で使用されることができる。これは、例えば、非水性系中、例えばタール蒸留又は石油加工に際しても当てはまる。殊に、本発明による消泡剤組成物は、水性界面活性剤系中での泡の制御のために適しており、洗剤及び洗浄剤中での適用、廃水プラント中での泡の制御、織物染色法に際して、天然ガス洗浄に際して、ポリマー分散液中で適しており、かつセルロース製造に際して生じる水性媒体の消泡のために使用可能である。
【0096】
本発明による組成物は、それが消泡剤として容易に取り扱い可能であり、濃縮界面活性剤配合物と混合され易く、かつ、それはわずかな添加量でも多種多様の媒体中で、高く、長期にわたる作用によって優れているという利点を有する。これは経済的にも生態学的にも極めて好ましい。
【0097】
本発明による方法は、実施の点で容易であり、かつ非常に経済的であるという利点を有する。
【0098】
以下に記載される実施例中で、部及びパーセンテージの全ての記載値は、別記されない限り、質量に対するものである。別記されない限り、以下の実施例は、周囲雰囲気の圧力で、つまり、約1000hPaで、及び室温で、つまり、約20℃で、もしくは反応物を室温で付加的な加熱又は冷却なしに混ぜ合わせた場合に生ずる温度で実施される。実施例中で挙げられる全ての粘度記載値は、25℃の温度に対するものである。
【0099】
相溶性の試験
消泡剤作用の試験のために、種々の液体界面活性剤配合物に消泡剤配合物を2%ずつ加える。14日後に相溶性を、以下のスケールに従って目視評価する:+=相溶性がある、o=わずかな沈殿、−=不相溶性。
【0100】
相溶性であるか又はわずかな沈殿のみを示す生成物のその作用について調べた。
【0101】
消泡剤作用の試験
該作用の試験のために、消泡剤含有の界面活性剤配合物の0.1質量%の溶液を、ポンプ供給される界面活性剤溶液が10cmの高さから界面活性剤溶液の表面に落下するように、温度調節されたビーカー中でポンプ循環した。その際、60分間にわたって泡の上昇が連続的に観察された。温度及びポンプ供給速度は、そのつどの個々の実施例から読み取られる。
【0102】
界面活性剤配合物
配合物1:ドデシルベンゼンスルホン酸("Marlon AS3−Saeure"の名称で、Sasol Germany GmbH(Germany)から入手可能である)10質量%、トリエタノールアミン7質量%及び10個のエチレングリコール単位を有するエトキシ化トリデシルアルコール("Lutensol TO 109"の名称で、BASF SE(Germany)から入手可能である)10質量%を含有する水性配合物。
【0103】
配合物2:1.0108の密度及び40質量%の作用物質含有率を有する脂肪アルコールエトキシレートからの混合物。
【0104】
配合物3:1.0059の密度及び36質量%の作用物質含有率を有する脂肪酸アルカノールアミドを基礎とするイオン性界面活性剤からの混合物。
【0105】
配合物4:1.0131の密度及び18質量%の作用物質含有率を有する、アルカンスルホネートと脂肪アルコールエトキシレートとからの混合物。
【0106】
成分(A)の製造
ポリシロキサンコポリマー(ポリマーA1)の製造:
0.133%の活性水素含有率及び72mm2/s(25℃)の粘度を有する、ジメチルシロキシ単位とハイドロジェンメチルシロキシ単位とからのメチル基末端シロキサン67gを、強力な攪拌下で、4.0のPO/EO比及び11.2のヨウ素価を有するアリルポリエーテル408g(560ppmのH2O含有量)と混ぜ、かつ100℃に加熱する。イソプロパノール中のヘキサクロロ白金酸の2%の溶液0.5mlを添加することによって、ヒドロシリル化が開始され、このことは弱い発熱反応の形で明らかになる。透明なコポリマーが得られ、かつ活性水素がもはや検出可能ではなくなるまで、反応混合物を100〜110℃で維持する。中間生成物は、870mm2/s(25℃)の粘度を有する。
【0107】
さらに130℃に加熱し、かつ1hPaで水の痕跡量を取り除く。その後、ヘキサメチレンジイソシアネート7gを計量供給し、かつ20分間均質化する。イソシアネート反応を、ジブチル錫ラウレート(DBTL)を一滴加えて開始する。2時間後にNCO含有量は検出下限値(IR:20ppm)より低くなり、そうして界面活性剤(Emulan(R)HE 50の名称で、BASF SE,D−Ludwigshafenから商業的に入手可能である)120gを計量供給する。80%のコポリマー溶液は、25℃に冷却した後に2100mm2/sの粘度及び0.139mEqu./gのウレタン含有量を有する。
【0108】
ポリシロキサンコポリマー(ポリマーA2)の製造:
該製造は、ポリマーA1において記載される作業手順に従って行うが、界面活性剤(Emulan HE 50)の代わりに、870mm2/sの粘度を有する中間生成物120gを、高粘性シロキサンを希釈するために使用するという変更を加えた粘度は4090mm2/sであった。
【0109】
ポリシロキサンコポリマー(ポリマーA3)の製造:
該製造は、ポリマーA1において記載される作業手順に従って行うが、界面活性剤(Emulan HE 50)を使用しないという変更を加えた。粘度は100000mm2/s(25℃、剪断なし)を上回っていた。
【0110】
成分(B)として、(29Si−NMRおよびIR分析に従って)40モル%のCH3SiO1/2単位、50モル%のSiO4/2単位、8モル%のC25OSiO3/2単位及び2モル%のHOSiO3/2単位から成り、(ポリスチレン標準液に対して)7900g/モルの質量平均モル質量を有する、ベンゼンに可溶性の、室温で固体のシリコーン樹脂を使用した。
【0111】
成分(C)として、ポリマーA1の製造に際して得られる、870mm2/sの粘度を有する中間生成物を使用した。
【0112】
成分(D)として、下記のものを使用した:
D1:235〜270℃の沸点範囲を有する炭化水素混合物(Exxsol D 100 Sの名称で、Staub & Co,Nuernbergにて商業的に入手可能である);
D2:約100mm2/sの粘度を有するポリプロピレングリコール(PPG 400の名称で、Silbermann GmbH & Co KG,D−Gablingenにて入手可能である);
D3:約440mm2/sの粘度を有するポリプロピレングリコール(Pluriol P 2000の名称で、BASF SE,D−Ludwigshafenにて入手可能である);
D4:1,2−プロパンジオール(Sigma−Aldrich Chemie GmbH,D−Steinheimにて入手可能である);
D5:2,2,4−トリメチル−3,3−ペンタンジオールジイソブチレート(Eastman TXIBの名称で、Sigma−Aldrich Chemie GmbH,D−Steinheimにて入手可能である)。
【0113】
実施例1〜8(B1〜B8)
個々の消泡剤配合物1〜8の製造は、第1表に記載される成分の全てを、ディゾルバーディスクを用いて単純に混合することによって行った。
【0114】
得られた組成物は、第1表に記載される粘度を有する、透明な粘性の、微かに黄色がかった液体である。
【0115】
【表1】

【0116】
そのようにして製造された配合物の消泡剤作用を、界面活性剤配合物に基づきテストし、結果を第2表〜第5表中でまとめる。
【0117】
比較例V1及びV2
個々の消泡剤配合物の製造は、下記の成分の全てを、ディゾルバーディスクを用いて単純に混合することによって行った。
【0118】
V1:式M270G5;G=C36O(PO)25(EO)25H)の線状ポリエーテルシロキサン42.5部、シリコーン樹脂B2.5部、成分D1 2.5部、商品名HDK(R)H2000で、Wacker Chemie AG,D−Muenchenにて入手可能である200m2/gのBET表面積及び2.8%の炭素含有率を有するヒュームド疎水性シリカ2.5部及びD2 50部を均質に混合する。
【0119】
V2:DE102005025450の実施例C11に相応する消泡剤。
【0120】
そのようにして製造された配合物の消泡剤作用を、界面活性剤配合物に基づきテストし、結果を第2表〜第5表中でまとめる。
【0121】
【表2】

【0122】
【表3】

【0123】
【表4】

【0124】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第一の工程で
1分子当たり少なくとも1個のSi結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式
1−(A−Cn2nm−A1−H (I)
[式中、R1は、1価の、場合により置換された炭化水素基を意味し、前記基にはSi−H基がヒドロシリル化反応において付加されることができ、
Aは、−O−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、ウレタン基及び尿素基の群から選択された、2価の、極性有機基を意味し、
1は、−O−、−NH−及び−NR'−の群から選択された、2価の、極性有機基を意味し、その際、R'は、炭素原子1〜18個を有する1価の炭化水素基であり、
nは、1〜20の整数であり、かつ
mは、整数である]
の実質的に線状のオリゴマー又はポリマーの化合物(2)と反応させ、但し、前記m単位(A−Cn2n)は同じであるか又は異なっていてよく、
及び第二の工程で
そのようにして得られたH−A1基を有する中間生成物(4)を、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)、並びに場合によりさらなる化合物(7)と反応させることによって製造可能なポリシロキサンコポリマー、
(B)式
8g(R9O)hSiO(4-g-h)/2 (VI)
[式中、
8は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1価の、場合により置換された、SiC結合した炭化水素基を意味し、
9は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1価の、場合により置換された炭化水素基を意味し、
gは、0、1、2又は3であり、かつ
hは、0、1、2又は3である]
の単位からのオルガノポリシロキサン樹脂、
但し、g+hの合計は≦3であり、かつ前記オルガノポリシロキサン樹脂中の式(II)の全ての単位の50%未満においてg+hの合計は2に等しい、
場合により
(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン、
場合により
(D)有機化合物、
場合により
(E)水及び
場合により
(F)添加剤
を含有する組成物であって、但し、これらの組成物は、単位の90%より多くが式SiR''22/2の二官能性単位であり、その際、R''は炭化水素基に等しいポリオルガノシロキサンを含有しない組成物。
【請求項2】
高分散性シリカを含まないことを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
(A)第一の工程で
1分子当たり少なくとも1個のSi結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式
1−(A−Cn2nm−A1−H (I)
[式中、R1は、1価の、場合により置換された炭化水素基を意味し、前記基にはSi−H基がヒドロシリル化反応において付加されることができ、
Aは、−O−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、ウレタン基及び尿素基の群から選択された、2価の、極性有機基を意味し、
1は、−O−、−NH−及び−NR'−の群から選択された、2価の、極性有機基を意味し、その際、R'は、炭素原子1〜18個を有する1価の炭化水素基であり、
nは、1〜20の整数であり、かつ
mは、整数である]
の実質的に線状のオリゴマー又はポリマーの化合物(2)と反応させ、但し、前記m単位(A−Cn2n)は同じであるか又は異なっていてよく、
及び第二の工程で
そのようにして得られたH−A1基を有する中間生成物(4)を、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)、並びに場合によりさらなる化合物(7)と反応させることによって製造可能なポリシロキサンコポリマー、
(B)式
8g(R9O)hSiO(4-g-h)/2 (VI)
[式中、
8は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1価の、場合により置換された、SiC結合した炭化水素基を意味し、
9は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ水素原子又は1価の、場合により置換された炭化水素基を意味し、
gは、0、1、2又は3であり、かつ
hは、0、1、2又は3である]
の単位からのオルガノポリシロキサン樹脂、
但し、g+hの合計は≦3であり、かつ前記オルガノポリシロキサン樹脂中の式(II)の全ての単位の50%未満においてg+hの合計は2に等しい、
場合により
(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン、
場合により
(D)有機化合物、
場合により
(E)水及び
場合により
(F)添加剤
から成るものであることを特徴とする、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
オルガノポリシロキサン(1)として、好ましくは、一般式
efSiO(4-e-f)/2 (II)
[式中、
Rは、同じであるか又は異なっていてよく、かつ1価の、場合により置換された、基1個当たり炭素原子1〜18個を有する炭化水素基を意味し、
eは、0、1、2又は3であり、
fは、0、1又は2である]
の単位からの、線状、環状又は分枝状のオルガノポリシロキサンが使用され、但し、e+fの合計は、0、1、2又は3であり、かつ1分子当たり少なくとも1個のSi結合した水素原子、有利には少なくとも2個のSi結合した水素原子が存在することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記のさらなる化合物(7)が、下記式
4−(A−Cn2nm−A1−H (VII)、
HO−R5−NR4−R5−OH (VIII)、
HO−R5−NR42 (IX)、
HO−R6(NR422 (X)、
HO−R7(NR423 (XI)、
(HO)26−NR42 (XII)及び
HNR42 (XIII)
[式中、R4は、水素原子又は、1個以上の窒素原子を含有していてよい基Rを意味し、
5は、同じであるか又は異なっていてよく、かつ基1個当たり炭素原子1〜10個を有する2価の炭化水素基を意味し、
6は、基1個当たり炭素原子1〜100個を有し、1個以上の酸素原子を含有する3価の有機基を意味し、
7は、基1個当たり炭素原子1〜100個を有し、1個以上の酸素原子を含有する4価の有機基を意味し、かつ
1、n及びmは、上でこれらについて規定された意味を有する]
の群から選択されたものであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、そのつど前記組成物の全質量に対して、
(A)ポリシロキサンコポリマー10〜98質量%、
(B)オルガノポリシロキサン樹脂0.1〜20質量%、
(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン0〜60質量%、
(D)ケイ素を含まない有機化合物0〜60質量%、
(E)水0〜60質量%及び
(F)添加剤0〜5.0質量%
から成るものであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、そのつど前記組成物の全質量に対して、
(A)ポリシロキサンコポリマー30〜90質量%、
(B)オルガノポリシロキサン樹脂1〜10質量%、
(C)(A)とは異なるポリエーテル変性シロキサン0〜40質量%、
(D)ケイ素を含まない有機化合物5〜40質量%、
(E)水0〜10質量%及び
(F)添加剤0〜2.0質量%
から成るものであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物を含有する液体の湿潤剤、洗剤及び洗浄剤。
【請求項9】
媒体を消泡及び/又は泡止めするための方法において、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物を前記媒体と混合することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記組成物を、適用準備の整った発泡媒体に0.1質量ppm〜1質量%の量で添加することを特徴とする、請求項9記載の方法。

【公表番号】特表2012−509376(P2012−509376A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536841(P2011−536841)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065236
【国際公開番号】WO2010/057855
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】