説明

消火器具用映像表示装置、方法、プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体

【課題】消火器具の設置および操作方法を説明する映像、並びに消火実演映像等を表示する消火器具用映像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の消火器具用映像表示装置(100)は、消火剤用薬液を含んだ薬液タンクと、この薬液タンクに流路を介して接続され、前記薬液を液滴状に噴出するノズルと、前記薬液タンクから薬液を排出させる薬液排出手段と、を有する油火災用消火器具に関する映像を格納する記憶手段(50)と、前記記憶手段が格納した映像を再生し、モニタ上に表示させる表示手段(10,20,30)と、を備える。さらに、前記映像は、前記消火器具の設置方法を説明する映像、前記消火器具の操作方法を説明する映像、前記消火器具の実演を行う映像、前記消火器具の広告を行う映像のうちの少なくとも1つを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火器具の映像を表示する消火器具用映像表示装置、方法、プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体に関する。より詳細には、消火器具の設置方法、操作方法等を説明するための映像を表示する消火器具用映像表示装置、方法、プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
消火器等の消火器具は、火災に対する備えとしてビルや一般家屋などの建築物の内外に設置されている。もし、これらの建築物で火災が発生した場合には、その建築物の住民等が設置された消火器具を用いて初期消火活動を行うことができる。
【0003】
しかし、多くの者はこのような消火活動の経験がないため、消火器具の取り扱いに慣れていない。さらに、消火器具の取扱説明書も読んでいない。また、火災が発生時には、大抵の者は慌てて平常心を失ってしまう。以上の理由により、火災発生時に消火器具を上手に操作できず、初期消火に失敗してしまう場合が起こり得る。
【0004】
そのため、会社、学校、自治体などでは定期的に消火訓練を行い、消火器具の操作の習得に努めている。しかし、このような消火訓練を行うためには、実際に火災を発生させ、それを消火するための場所の確保や、消火薬剤の周囲への飛散の防止等、様々な事前準備が必要となる。加えて、訓練に要する時間、使用する消火器のコスト、訓練に使用した消火剤の後始末等を考慮すると、実際に消火器を使用できる人は参加者の中の一部に限られてしまう。これでは、完全に消火器具の使用を習得することは困難である。
【0005】
特許文献1は音声装置付き消火器を開示している。この消火器は発声回路を備え、ユーザが行う操作手順に対応した音声メッセージを連呼する。ユーザはこの音声メッセージに従って消火器を操作すればよい。
また、特許文献2は各操作箇所に操作順番を示す番号ラベルが設けられた消火器を開示している。ユーザはこれらのラベルの番号の順番に従って消火器の各箇所を操作すればよい。
上記の特許文献は、音声メッセージまたは番号ラベルを用いてユーザの操作を好適にアシストしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−155399
【特許文献2】特開2007−215965
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、近年の消火器具は消火能力が向上している反面、その操作や調整が複雑になっている。そのような消火器具の有する消火能力を十分に発揮させるためには、単に操作方法を理解しているだけでは不十分であり、例えば、消火剤を噴出する位置(特に、ノズルと火炎との距離)、消化剤を噴出する圧力などの様々な調整が必要である。さらに、消火を行ったときの火炎の状態の変化等をイメージとして認識していないと、消火器具のユーザは、消火時に火炎が一時的に強くなったときなどの状況に対して適切に対処できない可能性がある。
【0008】
上述の不都合点に鑑みて本発明は創案されたものであり、本発明の目的は、消火器具の映像を表示する消火器具用映像表示システム、方法、プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、消火器具の設置方法、操作方法等を説明するための映像を表示する消火器具用映像表示システム、方法、プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために創案された請求項1の発明は、消火剤用薬液を含んだ薬液タンクと、この薬液タンクに流路を介して接続され、前記薬液を液滴状に噴出するノズルと、前記薬液タンクから薬液を排出させる薬液排出手段と、を有する油火災用消火器具に関する映像を表示する消火器具用映像表示装置である。当該装置は、前記映像を格納する記憶手段と、前記記憶手段が格納した映像を再生し、モニタ上に表示させる表示手段と、を備える。前記映像は、前記消火器具の設置方法を説明する映像、前記消火器具の操作方法を説明する映像、前記消火器具の実演を行う映像、前記消火器具の広告を行う映像のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
前記課題を解決するために創案された請求項2の発明は、請求項1に記載の消火器具用映像表示装置において、前記映像が動画像、静止画像、アニメーションの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0012】
前記課題を解決するために創案された請求項3の発明は、請求項2に記載の消火器具用映像表示装置において、前記映像が文字情報、音声情報の何れか、または両方をさらに含むことを特徴とする。
【0013】
前記課題を解決するために創案された請求項4の発明は、請求項1ないし3の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置において、前記映像が同一のシーンを複数の角度から見た映像を含み、前記表示手段が前記複数の角度から見た映像を個別に、または同時に表示することを特徴とする。
【0014】
前記課題を解決するために創案された請求項5の発明は、請求項1ないし4の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置において、前記設置方法を説明する映像が前記薬液排出手段が排出する薬液の流量を調整する方法および調整範囲を説明する映像と、前記ノズルの設置位置を調整する方法を説明する映像とを含むことを特徴とする。
【0015】
前記課題を解決するために創案された請求項6の発明は、請求項1ないし5の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置において、前記操作方法を説明する映像が、前記ノズルの先端と油の液面との距離の設定範囲を説明する映像と、前記消火剤の排出方法を説明する映像とを含むことを特徴とする。
【0016】
前記課題を解決するために創案された請求項7の発明は、請求項1ないし6の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置において、前記実演を行う映像が、油火災が発生する映像と、その油火災が前記消火器具によって消火される映像とを含むことを特徴とする。
【0017】
前記課題を解決するために創案された請求項8の発明は、請求項1ないし7の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置において、前記記憶手段と前記表示手段とがネットワークを介して接続されており、前記映像が前記記憶手段から前記表示手段に前記ネットワークを介して配信されることを特徴とする。
【0018】
前記課題を解決するために創案された請求項9の発明は、消火剤用薬液を含んだ薬液タンクと、この薬液タンクに流路を介して接続され、前記薬液を液滴状に噴出するノズルと、前記薬液タンクから薬液を排出させる薬液排出手段と、を有する油火災用消火器具に関する映像を再生し、モニタに表示させる消火器具用映像表示方法である。当該方法は、(イ)前記消火器具の設置方法を説明する映像を表示するステップと、(ロ)前記消火器具の操作方法を説明する映像を表示するステップと、(ハ)前記消火器具の消火実演を行う映像を表示するステップと、を含む。
【0019】
前記課題を解決するために創案された請求項10の発明は、請求項9に記載の消火器具用映像表示方法において、前記ステップ(イ)が、薬液排出手段が排出する薬液の流量を調整する方法および調整範囲を説明する映像を表示するステップと、前記ノズルの設置位置を調整する方法を説明する映像を表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
前記課題を解決するために創案された請求項11の発明は、請求項9または10に記載の消火器具用映像表示方法において、前記ステップ(ロ)が、前記ノズルの先端と油の液面との距離の設定範囲を説明する映像を表示するステップと、前記消火剤の排出方法を説明する映像を表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
前記課題を解決するために創案された請求項12の発明は、請求項9ないし11の何れか1項に記載の消火器具用映像表示方法において、前記ステップ(ハ)が、油火災が発生する映像を表示するステップと、その油火災が前記消火器具によって消火される映像を表示するステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
前記課題を解決するために創案された請求項13の発明は、請求項9ないし12の何れか1項に記載の消火器具用映像表示方法をコンピュータに行わせるプログラムである。
【0023】
前記課題を解決するために創案された請求項14の発明は、請求項13に記載のプログラムを格納したコンピュータ可読媒体である。
【0024】
請求項1および9の発明によって、消火器のユーザはその消火器に対する種々の映像を入手することができる。従って、消火器の取扱説明書等を読まなくても、消火器の設置方法、操作方法などを理解することができる。
【0025】
請求項2の発明によって、消火器のユーザは、動画像、静止画像、アニメーション等を通じて消火器の設置方法、操作方法などを学ぶことができる。
【0026】
請求項3の発明によって、消火器のユーザは、視覚のみならず聴覚を通じて消火器の設置方法、操作方法などを学ぶことができる。
【0027】
請求項4の発明によって、消火器のユーザは同一のシーンを異なる方向から見ることができる。これにより、映像の死角により状況が理解できないという不都合を回避できる。
【0028】
請求項5および10の発明によって、複雑な設定を必要とする消火器具であっても、そのユーザは確実にその消火器具を設定することができる。そのため、消火器具の備える機能を十分に発揮できる状態を維持することが可能となる。
【0029】
請求項6および11の発明によって、複雑な操作を必要とする消火器具であっても、そのユーザは確実にその消火器具を操作することができる。そのため、消火器具の操作がわからないために消火作業に失敗する可能性を低減させることができる。
【0030】
請求項7および12の発明によって、消火器のユーザはその消火器を用いて消火する場面、特に消火前および消火中の火炎の状態などをイメージとして記憶することができる。従って、実際の火災発生時において、気が動転して消火活動ができなくなる可能性が低減される。
【0031】
請求項8の発明によって、同時に多数のユーザに消火器具の映像を送ることが可能となる。
【0032】
請求項13の発明によって、本発明をプログラムの形態で提供することができる。
【0033】
請求項14の発明によって、本発明をコンピュータ可読媒体の形態で提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によって、消火器具の映像を表示する消火器具用映像表示装置、方法、プログラム、および該プログラムを格納したコンピュータ可読媒体を提供することが可能となった。従って、映像を通じて消火器のユーザに消火器に関する様々な情報を提供し、火災発生時に消火器を操作できなかった、あるいは、消火器が十分に機能を発揮しなかった等の不具合を解消することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像表示システムを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る映像表示システムが表示する映像の対象である消火器具を示す図である。
【図3】固定タイプの消火器具を示す図であり、(a)は一般家庭用調理台に固定した状態で、(b)は業務用調理台に固定した状態である。
【図4】本発明の一実施形態に係る映像表示システムの構成要素の内部機能ブロックを示す図であり、(a)に示す構成要素は映像表示端末であり、(b)は映像記憶装置である。
【図5】本発明の一実施形態に係る映像表示システムが行う映像表示方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の一実施形態に係る映像表示システム100の構成や機能について添付図面を参照して以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る映像表示システム100を示している。このように、映像表示システム100は、複数の映像表示端末10,20,30と、ネットワーク40と、映像記憶装置50と、を備える。
【0037】
映像表示端末10,20,30は、映像記憶装置50からネットワーク40経由で受け取った映像を自身の有するモニタに表示させる機能を有する。これらの映像表示端末は、通常、既存のコンピュータ、携帯端末、携帯電話等で構成されるが、データ通信機能および映像表示機能を有する限り、如何なる機器で実装されてもよい。また、図1には3つの映像表示端末が存在しているが、映像表示端末の数は限定されるものではなく、任意の数だけ存在してよい。
【0038】
ネットワーク40は、上述の映像表示端末10,20,30と、映像記憶装置50とをデータ通信可能に接続する機能を有する。ネットワーク40は特定の通信網に限定されるものではなく、任意のワイドエリアおよびローカルエリアの通信網を含んでよい。また、無線、有線またはこれらの組み合わせで構成されてよい。
【0039】
映像記憶装置50は、消火器具に関する複数の映像を格納し、それらの映像をネットワーク40経由で映像表示端末10,20,30に配信する機能を有する。この映像記憶装置は、通常、既存のサーバ、コンピュータ等で構成されるが、データ格納機能およびデータ通信機能を有する限り、如何なる機器で実装されてよい。
【0040】
以上に説明した構成および機能を有する映像表示システム100は、ユーザからの要求に応じて所定の消火器具に関する映像を提供する。
なお、本実施形態で「映像」とは、動画像、静止画像、アニメーション、またはこれらの組み合わせを示し、さらに、文字情報、音声情報などを含んでよい。
次に、本実施形態における配信映像の対象となる「消火器具」について説明する。
【0041】
図2は、本実施形態における消火器具200を示している。この消火器具は、一般家庭用または業務用の調理台上のフライヤーなどで発生した油火災を消火するために主に用いられる。
図示のように、消火器具200は、炭酸カルシウム等の消火剤の薬液を貯蔵するための薬液タンク1と、消化剤の薬液を排出するノズル2と、ノズル2に消化剤の薬液を送るためのジョイントホース3と、消火の際に操作者が持つための把持部4と、薬液タンク1内の消火剤の薬液を所定の流量で排出するための薬液排出手段として機能するモータ5と、モータ5によって駆動されるポンプ6と、ポンプ6内に消化剤の薬液を引き込むための薬液引き込み流路7と、所定流量を越えて消火剤の薬液がポンプ6に引き込まれた際にその余剰の薬液を戻すための戻し流路8と、安全弁9と、を主に備える。
さらに、オプションとして、消火剤の薬液の排出流量を制御するためにモータ5の回転速度を調整するためのコントロールボックスと、その排出流量を調整するための流量調整つまみと、を備えることも可能である。
【0042】
上記の消火器具200は、油火災が発生した調理器具に対して所定の条件で油火災用の消火剤を噴出することによって、油を飛散させることなく、かつ風圧により火炎を大きく舞い上がらせることなしに油火災を消火することが可能である。
しかし、このような優れた効果を十分に発揮するためには以下の条件を最適化しなくてはならない。
(1)消化剤を噴出する排出孔の数、有効面積等
(2)消化剤の排出流量
(3)油火災を発生した調理器具における油の液面と、消火器具のノズルとの距離
以下にそれぞれの条件について詳細に説明する。
【0043】
(1)排出孔
消火器具200のノズル2には、所定の有効面積を有する1以上の排出孔2aが形成されている。この1以上の排出孔(好ましくは2以上の排出孔)から連続した液滴状の消火剤を放出する。排出孔2aの有効面積は、0.1mmから50mm、好ましくは0.3mmから30mm、より好ましくは0.5mmから20mmの範囲に設定され、そして、排出孔の個数は排出孔2aの有効面積に応じて2から50個、好ましくは3から20個に設定されている。
このように設定することによって、ポンプ6により所定の流量で送られてきた消火剤は、ノズル2の排出孔から連続した液滴状で排出される。その結果、ノズル2の排出孔2aから排出された消火剤は、火炎により油面に到達する前に蒸発せず、かつ油の下側にもぐることなく油面に到着する。
【0044】
(2)消化剤の排出流量
消火剤を排出する流量の範囲を孔1個当たり、20ml/分から1200ml/分の範囲に設定する必要がある。排出する消火剤の流量が孔1個当たり、20ml/分未満である場合には、火炎の力で十分に消火ができない場合がある。すなわち、火炎により液面に到達する前に消火剤が蒸発してしまうおそれがある。一方、流量が1200ml/分を超える場合には、火炎が強く舞い上がったり、消火剤が油の下にもぐり込んでしまったりして充分な消火能力を発揮できない。
【0045】
(3)油の液面とノズルとの距離
当該距離は、0cmを超えかつ300cm未満の範囲に設定する必要がある。液面との距離をマイナスにした場合(油にノズルを沈めた場合)、消火剤による炎を消火する能力が発揮できず、一方、300cmを超える距離から消火剤を噴出しても安定して火元に消火剤が届かないので充分な消火能力を発揮することは困難である。
【0046】
消火器具200は、消火者によって持ち上げられ、かつ把持部4を手で保持された状態で使用される。しかし、消火器具200の使用方法はこれに限定されるものではなく、調理台の周辺に固定した状態で使用されてもよい。
図3(a)は、上記の構成を家庭用の調理台に固定した例であり、図3(b)は業務用の調理台に固定した例である。このように、消火器具200を固定する構造にすれば、消火時にノズル2と油液面との距離を調整する必要がなくなり、また、動作スイッチをコンロから離れた位置に設定することにより、消火者は自身の安全を確保した状態で消火活動を行うことができる。
以上が本実施形態における消火器具200の構成である。
【0047】
再び本発明の一実施形態に係る映像表示システム100の説明に戻る。図4(a)は、映像表示システム100を構成する映像表示端末10のブロック図である。
映像表示端末10は、通信部210と、入力部220と、映像表示部230と、記憶部240と、を備える。通信部210は、ネットワーク40と接続し、映像記憶装置50に所定のコマンドを送る機能を有する。入力部220は、キーボード、マウス等で実装され、映像記憶装置50に送るコマンドを生成するために用いられる。映像表示部230は、モニタ、ブラウザソフト等で実装され、映像記憶装置50から配信された映像を表示する機能を有する。記憶部240は、メモリ、ハードディスク等で実装され、映像記憶装置50から配信された映像データを記憶するために用いられる。
【0048】
図4(b)は、図1の映像記憶装置50の機能ブロックを示している。図示のように、映像記憶装置50は、通信部500と、映像選択部510と、撮像角度設定部520と、映像取得部530と、設置映像記憶部540と、操作映像記憶部550と、実演映像記憶部560と、広告映像記憶部570と、を備えている。
通信部500は、ネットワーク40と接続し、映像表示端末10,20,30からの要求に応じて、該当する映像表示端末に映像を配信する機能を有する。映像選択部510は、映像表示端末10,20,30からの要求に応じて、配信する映像の種別を選択する機能を有する。撮像角度設定部520は、映像表示端末10,20,30からの要求に応じて、配信する映像の撮像角度を決定する機能を有する。映像取得部530は、上記映像選択部510および撮像角度設定部520の選択および決定に基づいて、上述の4つの記憶部540ないし570の何れかにアクセスして所定の映像を取得する機能を有する。
【0049】
記憶部540ないし570は、消火器具200の種々の映像を格納する機能を有し、1つまたは複数のメモリ、ハードディスク等で実装される。また、格納する映像の種類により、設置映像記憶部540と、操作映像記憶部550と、実演映像記憶部560と、広告映像記憶部570と、に分類される。
以下にそれぞれの記憶部について説明する。
【0050】
[設置映像記憶部540]
設置映像記憶部540は、消火器具200の設置方法を説明する映像を格納する機能を有する。具体的な映像の内容としては、購入した消火器具200の開梱後の各構成部品の説明、消火器具200の組み立て方法の説明、消火器具200の構造の説明、消火器具200の薬液タンク1への消火剤薬液の充填方法の説明、消火剤の排出流量の調整方法および調整範囲の説明が挙げられる。さらに、消火器具200が図4(a)または(b)に示すような固定タイプの場合には、支持部2bの設置方法の説明、およびノズル2と調理器具との間の設定すべき距離の説明等も含まれる。
【0051】
[操作映像記憶部550]
操作映像記憶部550は、消火器具200の操作方法を説明する映像を格納する機能を有する。具体的な映像の内容としては、消火器具200の本体および把持部4の持ち方の説明、ノズル2の先端と調理器具上の油の液面または火炎との確保すべき距離の説明、消火剤の噴出方法の説明等が挙げられる。
【0052】
[実演映像記憶部560]
実演映像記憶部560は、実際に油火災を発生させ、消火器具200を使用してその油火災を消火するシーンの映像を格納する機能を有する。
【0053】
[広告映像記憶部570]
広告映像記憶部570は、消火器具200の商品を宣伝する映像を格納する機能を有する。
【0054】
また、上記の設置映像記憶部540、操作映像記憶部550、実演映像記憶部560は、複数の方向から撮影された映像を格納していることが好ましい。例えば、同一のシーンを所定の位置を基準に0°、90°、180°、270°の方向から撮像した映像を格納してよい。それにより、映像表示端末10,20,30のユーザは、複数の角度から映像を見ることができ、映像の死角により状況が理解できないという不都合を回避できる。また、撮像方向は水平に限定されるものではなく、垂直、斜めなど任意の方向でよい。
【0055】
次は、以上に説明した映像表示システム100によって行われる映像表示方法について、図5のフロー図を参照して説明する。
なお、ここでユーザが使用する端末として映像表示端末10を例示しているが、映像表示端末20または30を代わりに使用してもよいことは言うまでもない。
最初に、映像表示端末10(のユーザ)が、ネットワーク40を経由で予め決められたウェブサイトにアクセスする(ステップS10)。このウェブサイトは、例えば消火器具200の製造者または販売者が用意したホームページでよい。
【0056】
上記の所定のウェブサイトにアクセスすると、映像表示端末10のモニタ上にそのサイトのホームページが表示される。そして、そのホームページ上に映像配信サイトへのログイン用ユーザIDおよびパスワード入力画面が表示される(ステップS20)。代替的に、当該ホームページ上にリンクが貼られており、そのリンクをクリックすることでユーザIDおよびパスワードの入力画面が表示されるような構成にしてもよい。
【0057】
ユーザIDおよびパスワードの入力画面が表示されると、映像表示端末10は予め付与されている自身のユーザIDおよびパスワードを入力する(ステップS30)。このユーザIDおよびパスワードを入手するためは、事前にユーザ登録を行う必要がある。このユーザ登録は、電子または郵送手段などで行われてよい。また、このユーザ登録の対象を消火器具200の購入者に限定してもよい。
【0058】
ユーザIDおよびパスワードが入力されると、映像記憶装置50は該当するIDおよびパスワードが既に登録されているかどうかをユーザ登録情報を基に調査する(ステップS40)。該当するIDおよびパスワードが登録されている場合には(ステップS40で「YES」)、ステップS50の手順に進む。一方、該当するIDおよびパスワードが登録されていない場合には(ステップS40で「NO」)、映像記憶装置50は、「ユーザIDまたはパスワードが正しくありません。」というメッセージを表示して、ステップS20の手順に戻る。なお、ステップS40で「NO」の手順が所定回数繰り返された場合には、不正なアクセスが試みられている可能性があるため、映像表示端末10を一定の期間はログインできないような処理を行ってもよい。
【0059】
ステップS50の手順では、映像記憶装置50が配信する映像の選択画面を提示する。具体的には、設置映像、操作映像、実演映像、広告映像を選択する画面を提示する。映像表示端末10は、自身のモニタでその選択画面を参照して、所望の映像を選択する(ステップS60)。選択を受けると、映像記憶装置50は該当する映像を映像表示端末10に配信する(ステップS70)。
【0060】
映像が配信されると、映像記憶装置50は映像の撮像角度を選択し(ステップS80)、映像記憶装置50はその映像を再生する(ステップS90)。ここで、撮像角度は映像の再生中に変更できることが好ましい。さらに、映像の再生は、配信とリアルタイムに行われてもよい。あるいは、映像データをダウンロードして、自身が有するハードディスク等の記憶装置に一度格納して、それからそのファイルを再生してもよい。
【0061】
以上に渡り、本発明の一実施形態に係る映像表示システム100についての説明を行ったが、本発明の映像表示システム100はこの実施形態に限定されるものではない。
例えば、図5のフロー図では、映像表示端末10,20,30は、ユーザ登録を行わないと消火器具200の映像を参照できないような構成となっているが、本発明は、その構成に限定されるものではない。代替的に、広告映像はユーザ登録を行っていない端末でも参照できる構成としてもよい。
【0062】
また、映像表示端末10,20,30と、映像記憶装置50とは、ネットワーク40によってデータ通信可能に接続されているが、当該端末と装置とは接続されていなくてもよい。その場合、映像記憶装置50の管理者が映像をDVD等の記録媒体にコピーして、映像表示端末のユーザ宛にその記録媒体を郵送してもよい。
あるいは、映像表示端末10および映像記憶装置50の機能を単一の処理装置で実現して、スタンドアローンの状態で使用してもよい。
【0063】
上述した本発明の一実施形態に係る映像配信方法を、プログラムとして実装する場合には、このプログラムを外部のサーバ等から該方法を実行する情報処理装置にダウンロードするか、あるいはコンピュータ可読媒体の形態で分配されることが好ましい。コンピュータ可読媒体の例としては、CD−ROM、DVD、磁気テープ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ハードディスク、メモリ媒体などが挙げられる。
【0064】
以上、本発明を図面に示した実施形態を用いて説明したが、これらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者ならば、本発明の範囲および趣旨から逸脱しない範囲で多様な変更および変形が可能なことは理解できるであろう。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって定められず、特許請求の範囲に記載された技術的趣旨により定められねばならない。
【符号の説明】
【0065】
10,20,30 映像表示端末
40 ネットワーク
50 映像記憶装置
100 映像表示システム
200 消火器具
210 通信部
220 入力部
230 映像表示部
240 記憶部
500 通信部
510 映像選択部
520 撮像角度設定部
530 映像取得部
540 設置映像記憶部
550 操作映像記憶部
560 実演映像記憶部
570 広告映像記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火剤用薬液を含んだ薬液タンクと、この薬液タンクに流路を介して接続され、前記薬液を液滴状に噴出するノズルと、前記薬液タンクから薬液を排出させる薬液排出手段と、を有する油火災用消火器具に関する映像を表示する消火器具用映像表示装置であって、
前記映像を格納する記憶手段と、
前記記憶手段が格納した映像を再生し、モニタ上に表示させる表示手段と、
を備え、
前記映像は、前記消火器具の設置方法を説明する映像、前記消火器具の操作方法を説明する映像、前記消火器具の実演を行う映像、前記消火器具の広告を行う映像のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする消火器具用映像表示装置。
【請求項2】
前記映像は、動画像、静止画像、アニメーションの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の消火器具用映像表示装置。
【請求項3】
前記映像は、文字情報、音声情報の何れか、または両方をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の消火器具用映像表示装置。
【請求項4】
前記映像は同一のシーンを複数の角度から見た映像を含み、前記表示手段は、前記複数の角度から見た映像を個別に、または同時に表示することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置。
【請求項5】
前記設置方法を説明する映像は、前記薬液排出手段が排出する薬液の流量を調整する方法および調整範囲を説明する映像と、前記ノズルの設置位置を調整する方法を説明する映像とを含むことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置。
【請求項6】
前記操作方法を説明する映像は、前記ノズルの先端と油の液面との距離の設定範囲を説明する映像と、前記消火剤の排出方法を説明する映像とを含むことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置。
【請求項7】
前記実演を行う映像は、油火災が発生する映像と、その油火災が前記消火器具によって消火される映像とを含むことを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置。
【請求項8】
前記記憶手段と前記表示手段とはネットワークを介して接続されており、前記映像は、前記記憶手段から前記表示手段に前記ネットワークを介して配信されることを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載の消火器具用映像表示装置。
【請求項9】
消火剤用薬液を含んだ薬液タンクと、この薬液タンクに流路を介して接続され、前記薬液を液滴状に噴出するノズルと、前記薬液タンクから薬液を排出させる薬液排出手段と、を有する油火災用消火器具に関する映像を再生し、モニタに表示させる消火器具用映像表示方法であって、
(イ)前記消火器具の設置方法を説明する映像を表示するステップと、
(ロ)前記消火器具の操作方法を説明する映像を表示するステップと、
(ハ)前記消火器具の消火実演を行う映像を表示するステップと、
を含むことを特徴とする消火器具用映像表示方法。
【請求項10】
前記ステップ(イ)は、薬液排出手段が排出する薬液の流量を調整する方法および調整範囲を説明する映像を表示するステップと、前記ノズルの設置位置を調整する方法を説明する映像を表示するステップと、を含むことを特徴とする請求項9に記載の消火器具用映像表示方法。
【請求項11】
前記ステップ(ロ)は、前記ノズルの先端と油の液面との距離の設定範囲を説明する映像を表示するステップと、前記消火剤の排出方法を説明する映像を表示するステップと、を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の消火器具用映像表示方法。
【請求項12】
前記ステップ(ハ)は、油火災が発生する映像を表示するステップと、その油火災が前記消火器具によって消火される映像を表示するステップと、を含むことを特徴とする請求項9ないし11の何れか1項に記載の消火器具用映像表示方法。
【請求項13】
請求項9ないし12の何れか1項に記載の消火器具用映像表示方法をコンピュータに行わせるプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムを格納したコンピュータ可読媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−245046(P2012−245046A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117011(P2011−117011)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(504036372)株式会社ボネックス (5)
【Fターム(参考)】