説明

消臭抗菌性繊維用樹脂及び消臭抗菌性繊維

【課題】
優れた消臭性及び抗菌性を発揮し、消臭性及び抗菌性を長期間にわたって維持できる繊維を提供することである。
【解決手段】
光活性酸化チタン粒子(TI)、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)及びポリマー(PO)を含有することを特徴とする消臭抗菌性繊維用樹脂を用いる。光活性酸化チタン粒子(TI)は光活性酸化チタンの表面の一部に光不活性物質を担持した被覆粒子が好ましい。光活性酸化亜鉛粒子(ZN)はシランカップリング剤で表面処理した被覆粒子が好ましい。ポリマー(PO)はポリエステル、ポリオレフィン又はポリアミドが好ましい。光活性酸化チタン粒子(TI)の粒子径は3〜200nm、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)の粒子径は25〜400nmが好ましい。光活性酸化チタン粒子(TI)と光活性酸化亜鉛粒子(ZN)との含有重量比(TI/ZN)は0.1〜1.0が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭抗菌性繊維用樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
りん酸アパタイトで被覆された酸化チタンを含有する消臭性ポリエステル繊維が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平2000−336524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の繊維では、優れた消臭性を発揮し得るが、抗菌性が不十分となる場合{たとえば、繊維が太くなる(およそ3.3dt以上)場合}があるという問題がある。すなわち、本発明の目的は、優れた消臭性及び抗菌性を発揮し、消臭性及び抗菌性を長期間にわたって維持できる繊維を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂の特徴は、光活性酸化チタン粒子(TI)、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)及びポリマー(PO)を含有する点を要旨とする。
光活性酸化チタン粒子(TI)は、光活性酸化チタンの表面の一部に光不活性物質を担持した被覆粒子であることが好ましい。
光活性酸化亜鉛粒子(ZN)は、シランカップリング剤で表面処理した被覆粒子であることが好ましい。
ポリマー(PO)は、ポリエステル、ポリオレフィン又はポリアミドであることが好ましい。
光活性酸化チタン粒子(TI)の粒子径は、3〜200nmが好ましく、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)の粒子径は、25〜400nmが好ましい。
光活性酸化チタン粒子(TI)と光活性酸化亜鉛粒子(ZN)との含有重量比(TI/ZN)は、0.1〜1.0が好ましい。
【0005】
本発明の消臭抗菌性繊維は、上記の樹脂から構成される点を要旨とする。
光活性酸化チタン粒子(TI)の含有量は、繊維の重量に基づいて、0.1〜1重量%が好ましい。
光活性酸化亜鉛粒子(ZN)の含有量は、繊維の重量に基づいて、0.5〜1.5重量%が好ましい。
光活性酸化チタン粒子(TI)と光活性酸化亜鉛粒子(ZN)との含有重量比(TI/ZN)は、0.1〜1.0が好ましい。
消臭抗菌性繊維の太さは、0.5〜20デシテックス(dt)が好ましい。
【0006】
本発明の繊維製品は、上記の消臭抗菌性繊維を用いて製造された点を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂は、繊維に適用すると、優れた消臭性及び抗菌性を発揮し、さらに、優れた消臭性及び抗菌性を長期間にわたって維持することができる。
また、繊維を太く(およそ3.3dt以上の太さ)にしても、本発明の消臭抗菌性繊維は、優れた消臭性及び抗菌性を発揮し続ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
光活性酸化チタン粒子とは、光活性{酸化チタンのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射することにより、酸化チタンが活性化され、消臭作用・抗菌作用等を発現する。}をもつ酸化チタンを意味する。
光活性酸化亜鉛粒子とは、光活性{酸化亜鉛のバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射することにより、酸化亜鉛が活性化され、消臭作用・抗菌作用等を発現する。}をもつ酸化亜鉛を意味する。
消臭抗菌性とは、消臭性及び抗菌性の両方の性質を持つことを意味する。
【0009】
光活性酸化チタン粒子(TI)としては、光活性を持つ酸化チタンからなる粒子であれば制限なく使用できる。
【0010】
光活性酸化チタン粒子(TI)の粒子径(nm)は、3〜200が好ましく、さらに好ましくは5〜50、特に好ましくは7〜30である。この範囲であると、消臭性及び抗菌性がさらに良好となる。なお、粒子径はX線透過型電子顕微鏡(10万倍、40万倍等)を用いて測定される。
【0011】
光活性酸化チタン粒子(TI)としては、消臭性及び抗菌性の持続性の観点から、光活性酸化チタンの表面の一部に光不活性物質{リン酸カルシウム等}を担持した被覆酸化チタン粒子であることが好ましい。
【0012】
このような被覆酸化チタン粒子としては、公知のもの{たとえば、特開平8−322923号公報、特開平9−239277号公報、特開平10−5598号公報、特開平10−244166号公報及び特開2001−232206号公報等}が使用できる。
【0013】
被覆酸化チタン粒子は、市場から入手でき、たとえば、ジュピターシリーズ{昭和電工株式会社、「ジュピター」は同社の登録商標である。}、光触媒用酸化チタンSTシリーズ{石原産業株式会社}及び可視光応答型光触媒MPT−621{石原産業株式会社}等が例示できる。
【0014】
光活性酸化亜鉛粒子(ZN)としては、光活性を持つ酸化亜鉛からなる粒子であれば制限なく使用できる。
【0015】
光活性酸化亜鉛粒子(ZN)の粒子径(nm)は、25〜400が好ましく、さらに好ましくは50〜300、特に好ましくは100〜200である。この範囲であると、消臭性及び抗菌性がさらに良好となる。
【0016】
光活性酸化亜鉛粒子(ZN)としては、消臭性及び抗菌性の持続性の観点から、シランカップリング剤{γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等}で表面処理した被覆酸化亜鉛粒子;並びに酸化アルミニウム、酸化ケイ素及び/又は酸化ジルコニウム等で被覆された被覆酸化亜鉛粒子が好ましい。
【0017】
このような被覆酸化亜鉛粒子としては、公知のもの{たとえば、特開平8−59890号公報及び特開平3−183620号公報等}が使用できる。
【0018】
被覆酸化亜鉛粒子は、市場から入手できる商品として、ZNOUVEシリーズ{三井金属鉱業株式会社}、マックスライトシリーズ{昭和電工株式会社、「マックスライト」は同社の登録商標である。}及びマイブリッドシリーズ{三好化成株式会社}等が例示できる。
【0019】
ポリマー(PO)としては、繊維を構成することができるポリマーであれば合成ポリマー及び半合成ポリマーのいずれも使用できる。
合成ポリマーとしては、ポリアミド{ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド及びポリ−p−フェニレンテレフタルアミド等};ポリエステル{ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、並びにフタル酸、イソフタル酸及び/又は5−スルホイソフタル酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及び/又はメトオキシポリオキシエチレングリコールとの共重合体等};ポリオレフィン{ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−ビニルアルコール共重合体等};塩化ビニル樹脂{ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体及び塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体等};ポリウレタン;アクリル樹脂{アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体等};アセテート樹脂;及びレーヨン等が挙げられる。
【0020】
半合成ポリマーとしては、アセテート;レーヨン;及びキュプラ等が挙げられる。
【0021】
これらのうち、合成ポリマーが好ましく、さらに好ましくはポリエステル、ポリオレフィン及びポリアミドである。
【0022】
ポリマー中の光活性酸化チタン粒子(TI)と光活性酸化亜鉛粒子(ZN)との含有重量比(TI/ZN)は、0.1〜1.0が好ましく、さらに好ましくは0.12〜0.8、特に好ましくは0.14〜0.6、最も好ましくは0.16〜0.5〜0.5である。この範囲であると、消臭性及び抗菌性がさらに良好となる。
【0023】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂は、溶融しやすいように、ペレット状{直径1〜5mm(好ましくは2〜2.5mm)、長さ2〜7mm(好ましくは3〜4mm)}であることが好ましい。
【0024】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂は、ペレット状の場合、(1)光活性酸化チタン粒子(TI)を含む樹脂ペレットと、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)を含む樹脂ペレットとの混合物であってもよく、(2)光活性酸化チタン粒子(TI)を含む樹脂ペレットと、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)を含む樹脂ペレットと、樹脂ペレットとの混合物であってもよく、(3)光活性酸化チタン粒子(TI)及び光活性酸化亜鉛粒子(ZN)を含む樹脂ペレットであってもよく、(4)光活性酸化チタン粒子(TI)及び光活性酸化亜鉛粒子(ZN)を含む樹脂ペレットと、樹脂ペレットとの混合物であってもよい。
【0025】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂は、光活性酸化チタン粒子(TI)、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)及びポリマー(PO)が均一混合されていればよく{ペレットの場合、上記の混合物が均一に混合されて入ればよい。}、通常の溶融混練等により調製できる。ポリマー(PO)を溶融し、これに光活性酸化チタン粒子(TI)及び/又は光活性酸化亜鉛粒子(ZN)を加えて混合してもよいし、ポリマー(PO)と、光活性酸化チタン粒子(TI)及び/又は光活性酸化亜鉛粒子(ZN)とを混合してから、溶融混練してもよい。
【0026】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂は、繊維{フィラメント、ステープル}に適用することが好ましいが、消臭性及び抗菌性を要望されるものであれば、繊維以外にも適用できる。
【0027】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂を繊維に適用する場合、光活性酸化チタン粒子(TI)の含有量(重量%)は、繊維の重量に基づいて、0.1〜1が好ましく、さらに好ましくは0.12〜0.8、特に好ましくは0.15〜0.6である。この範囲であると、消臭性及び抗菌性がさらに良好となる。
【0028】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂を繊維に適用する場合、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)の含有量(重量%)は、繊維の重量に基づいて、0.5〜1.5が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.4、特に好ましくは0.9〜1.2である。この範囲であると、消臭性及び抗菌性がさらに良好となる。
【0029】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂を繊維に適用する場合、光活性酸化チタン粒子(TI)と光活性酸化亜鉛粒子(ZN)との含有重量比(TI/ZN)は、0.1〜1.0が好ましく、さらに好ましくは0.12〜0.8、特に好ましくは0.14〜0.6、最も好ましくは0.16〜0.5である。この範囲であると、消臭性及び抗菌性がさらに良好となる。
【0030】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂を繊維に適用する場合、相溶性等の観点から、繊維の原料ポリマーと、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂中に含まれるポリマー(PO)とは同じものが好ましい。
【0031】
繊維の太さ(デシテックス;dt)は、0.5〜20が好ましく、さらに好ましくは0.7〜10、特に好ましくは1.7〜3.3、最も好ましくは1〜2である。この範囲であると、消臭性及び抗菌性がさらに良好となる。
【0032】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂から構成される繊維は、通常の方法により調製でき、(1)光活性酸化チタン粒子(TI)を含む樹脂ペレットと、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)を含む樹脂ペレットと、樹脂ペレットとを均一混合してから紡糸して得てもよいし、(2)光活性酸化チタン粒子(TI)及び光活性酸化亜鉛粒子(ZN)を含む樹脂ペレットと、樹脂ペレットとを均一混合してから紡糸してもよいし、(3)光活性酸化チタン粒子(TI)と、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)と、樹脂ペレットとを混合してから紡糸してもよい。 これらの方法のうち、製造効率の観点から(1)又は(2)の方法が好ましい。
【0033】
本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂から構成される繊維は、種々の繊維製品として利用でき、糸、布帛{織布、編布及び不織布等}、パイル布帛{パイル織布及びパイル編布等}及びこれらから形成された繊維構造体等として利用できる。
繊維構造体としては、衣類{ドレスシャツ、ユニフォーム、スポーツウエア、下着、セーター、ジャケット、パジャマ、浴衣、白衣、スラックス、靴下、手袋、ストッキング、エプロン、タオル、ハンカチ、サポーター、ヘッドバンド及び帽子等}、寝装材{カーテン、カーペット、壁紙、マット、シーツ、枕カバー、ベットカバー、毛布及び布団等}、車両内装材{自動車用内装材及び列車用内装材等}及び衛生材{ワイピングクロス、便座カバー及びフィルター等}等が含まれる。
【実施例】
【0034】
以下、特記しない限り、部は重量部、%は重量%を意味する。
<実施例1>
ポリマー(PO−1){ポリエチレンテレフタレート、ペットボトルからの再生原料}85部を二軸混練機{バレル温度255℃、吐出温度260℃}で溶融し、これに光活性酸化チタン粒子(TI−1){ジュピターF4−AP、昭和電工株式会社、粒子径約30nm}15部を加えて、溶融混合した後、酸化チタンマスターペレット(TI−P1)を得た。
【0035】
ポリマー(PO−1)85部を二軸混練機{バレル温度255℃、吐出温度260℃}で溶融し、これに光活性酸化亜鉛粒子(ZN−1){ZNOUVE、三井金属鉱業株式会社、粒子径0.1〜0.2nm}15部を加えて、溶融混合した後、酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)を得た。
【0036】
酸化チタンマスターペレット(TI−P1)2部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)7部とを混合して、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(1){酸化チタンマスターペレット(TI−P1)2部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)7部との混合ペレット}を得た。
【0037】
ポリマー(PO−1)91部と、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(1)9部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、本発明の繊維{ポリエステルステープル、1.7dt、38mm}(1)を得た。
【0038】
<実施例2>
実施例1で得た酸化チタンマスターペレット(TI−P1)4部と、実施例1で得た酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)8部とを混合して、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(2){酸化チタンマスターペレット(TI−P1)4部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)8部との混合ペレット}を得た。
【0039】
ポリマー(PO−1)88部と、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(2)12部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、本発明の繊維{ポリエステルステープル、1.7dt、38mm}(2)を得た。
【0040】
<実施例3>
実施例1で得た酸化チタンマスターペレット(TI−P1)2部と、実施例1で得た酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)8部とを混合して、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(3){酸化チタンマスターペレット(TI−P1)2部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)8部との混合ペレット}を得た。
【0041】
ポリマー(PO−1)90部と、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(3)10部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、本発明の繊維{ポリエステルステープル、1.7dt、38mm}(3)を得た。
【0042】
<実施例4>
ポリマー(PO−1)90部と、実施例3で得た消臭抗菌性繊維用樹脂(3)10部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度285℃、紡速160m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、本発明の繊維{ポリエステルステープル、3.3dt、51mm}(4)を得た。
【0043】
<実施例5>
実施例1で得た酸化チタンマスターペレット(TI−P1)1部と、実施例1で得た酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)6部とを混合して、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(4){酸化チタンマスターペレット(TI−P1)1部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)6部との混合ペレット}を得た。
【0044】
ポリマー(PO−1)93部と、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(4)7部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、本発明の繊維{ポリエステルステープル、1.7dt、38mm}(5)を得た。
【0045】
<実施例6>
「ポリマー(PO−1)」を、「ポリマー(PO−2){ポリプロピレン、ノバテックPP FY4、日本ポリプロ株式会社、「ノバテック」は同社の登録商標である。}」に変更したこと、及び「二軸混練機{バレル温度255℃、吐出温度260℃}」を「二軸混練機{バレル温度225℃、吐出温度230℃}」に変更したこと以外、実施例1と同様にして、酸化チタンマスターペレット(TI−P2)及び酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)を調製し、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(5){酸化チタンマスターペレット(TI−P2)2部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)7部との混合ペレット}を得た。
そして、ポリマー(PO−2)91部と、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(5)9部とを用いて、実施例1と同様にして、本発明の繊維{ポリプロピレンステープル、1.7dt、38mm}(6)を得た。
【0046】
<実施例7>
実施例6で得た酸化チタンマスターペレット(TI−P2)4部と、実施例6で得た酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)8部とを混合して、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(6){酸化チタンマスターペレット(TI−P2)4部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)8部との混合ペレット}を得た。
そして、ポリマー(PO−2)88部と、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(6)12部とを用いて、実施例1と同様にして、本発明の繊維{ポリプロピレンステープル、1.7dt、38mm}(7)を得た。
【0047】
<実施例8>
実施例6で得た酸化チタンマスターペレット(TI−P2)2部と、実施例6で得た酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)8部とを混合して、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(7){酸化チタンマスターペレット(TI−P2)2部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)8部との混合ペレット}を得た。
【0048】
ポリマー(PO−2)90部と、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(7)10部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、本発明の繊維{ポリプロピレンステープル、1.7dt、38mm}(8)を得た。
【0049】
<実施例9>
ポリマー(PO−2)90部と、実施例8で得た消臭抗菌性繊維用樹脂(7)10部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度285℃、紡速160m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、本発明の繊維{ポリプロピレンステープル、3.3dt、51mm}(9)を得た。
【0050】
<実施例10>
実施例6で得た酸化チタンマスターペレット(TI−P2)1部と、実施例6で得た酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)6部とを混合して、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(8){酸化チタンマスターペレット(TI−P2)1部と酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)6部との混合ペレット}を得た。
【0051】
ポリマー(PO−2)93部と、本発明の消臭抗菌性繊維用樹脂(8)7部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、本発明の繊維{ポリプロピレンステープル、1.7dt、38mm}(10)を得た。
【0052】
<比較例1>
ポリマー(PO−1)91部と、酸化チタンマスターペレット(TI−P1)9部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、比較用の繊維{ポリエステルステープル、1.7dt、51mm}(H1)を得た。
【0053】
<比較例2>
ポリマー(PO−1)90部と、酸化チタンマスターペレット(TI−P1)10部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度285℃、紡速160m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、比較用の繊維{ポリエステルステープル、3.3dt、51mm}(H2)を得た。
【0054】
<比較例3>
ポリマー(PO−1)91部と、酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)9部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、比較用の繊維{ポリエステルステープル、1.7dt、38mm}(H3)を得た。
【0055】
<比較例4>
ポリマー(PO−1)90部と、酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P1)10部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度285℃、紡速160m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、比較用の繊維{ポリエステルステープル、3.3dt、38mm}(H4)を得た。
【0056】
<比較例5>
ポリマー(PO−2)91部と、酸化チタンマスターペレット(TI−P2)9部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、比較用の繊維{ポリプロピレンステープル、1.7dt、38mm}(H5)を得た。
【0057】
<比較例6>
ポリマー(PO−2)91部と、酸化亜鉛マスターペレット(ZN−P2)9部とを混合し、一軸押し出し機{最高温度300℃、口金温度300℃、紡速625m/分}で吐出した後、80℃の温浴槽中でローラーを通過させて4.0倍に延伸させて、比較用の繊維{ポリプロピレンステープル、1.7dt、51mm}(H6)を得た。
【0058】
実施例1〜10及び比較例1〜6で得た繊維について、表1及び2にまとめた。そして、実施例1〜10及び比較例1〜6で得た繊維について、抗菌性及び消臭性の評価を行い、これらの結果を表3に示した。
【0059】
<抗菌性>
ストマック用袋(滅菌ポリエチレン製袋)に評価試料0.2gを入れ、前培養した菌液200μlを添加し、0.1mW/cmのブラックライトを8時間照射した後、1%のツィーン60を含む滅菌生理食塩水20mlを用いて菌を洗い流して生残菌数(BLB)(a×10cfu)を計測した。
一方、ストマック用袋(滅菌ポリエチレン製袋)に評価試料0.2gを入れ、前培養した菌液200μlを添加し、8時間放置した後、1%のツィーン60を含む滅菌生理食塩水20mlを用いて菌を洗い流して生残菌数(未照射)(c×10cfu)を計測した。
そして、b/dが1/10のとき抗菌性1、1/100のとき抗菌性2、1/1000のとき抗菌性3とした{a、cは小数点以上が1位だけの数字である。}。
【0060】
なお、滅菌はオートクレーブで行った。また、前培養は標準寒天培地にて35℃48時間画線塗抹培養し、1/500−NBに分散した。また、使用した菌は、(1)Stapharococcus aureus IF013276{黄色ブドウ球菌}、(2)Klebsiea pneumoniae NBRC13277{肺炎桿菌}を用いた。
【0061】
<消臭性>
300ml耐熱ガラス製三角フラスコに、評価試料0.3gを入れた後、1.4%アンモニア水4μlを加え、密閉した。ブラックライトを24時間照射した後、残留ガス濃度(e)をガス検知管で測定した。
評価試料0.3gを入れないこと以外、上記と同様にして残留ガス濃度(f)を測定し、次式から、除去率を算出し、これを消臭性とした。

(除去率)=(f−e)×100/f
【0062】
【表1】



【0063】
表1及び2において、(TI−1)は、光活性酸化チタン粒子(TI−1){ジュピターF4−AP、昭和電工株式会社、粒子径約30nm}を意味する。また、(ZN−1)は、光活性酸化亜鉛粒子(ZN−1){ZNOUVE、三井金属鉱業株式会社社、粒子径0.1〜0.2nm}を意味する。また、(PO−1)は、ポリマー(PO−1){ポリエチレンテレフタレート、ペットボトルからの再生原料}を意味する。また、(PO−2)は、ポリマー(PO−2){ポリプロピレン、ノバテックPP FY4、日本ポリプロ株式会社}を意味する。また、(TI−1)、(ZN−1)、(PO−1)又は(PO−2)の欄に記載された数字は、繊維の重量に基づいた各成分の含有量(重量%)を意味する。また、TI/ZNは、光活性酸化チタン粒子(TI−1)と光活性酸化亜鉛粒子(ZN−1)との含有重量比(TI/ZN)を意味する。また、繊維の太さの単位はデシテックス(dt)であり、繊維の長さはmmである。
【0064】
【表2】



【0065】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光活性酸化チタン粒子(TI)、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)及びポリマー(PO)を含有することを特徴とする消臭抗菌性繊維用樹脂。
【請求項2】
光活性酸化チタン粒子(TI)が、光活性酸化チタンの表面の一部に光不活性物質を担持した被覆粒子である請求項1に記載の樹脂。
【請求項3】
光活性酸化亜鉛粒子(ZN)が、シランカップリング剤で表面処理した被覆粒子である請求項1又は2に記載の樹脂。
【請求項4】
ポリマー(PO)がポリエステル、ポリオレフィン又はポリアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂。
【請求項5】
光活性酸化チタン粒子(TI)の粒子径が3〜200nmであり、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)の粒子径が25〜400nmである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂。
【請求項6】
光活性酸化チタン粒子(TI)と光活性酸化亜鉛粒子(ZN)との含有重量比(TI/ZN)が0.1〜1.0である請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂から構成される消臭抗菌性繊維。
【請求項8】
繊維の重量に基づいて、光活性酸化チタン粒子(TI)の含有量が0.1〜1重量%、光活性酸化亜鉛粒子(ZN)の含有量が0.5〜1.5重量%である請求項7に記載の消臭抗菌性繊維。
【請求項9】
光活性酸化チタン粒子(TI)と光活性酸化亜鉛粒子(ZN)との含有重量比(TI/ZN)が0.1〜1.0である請求項7又は8に記載の消臭抗菌性繊維。
【請求項10】
繊維の太さが0.5〜20デシテックス(dt)である請求項7〜9のいずれかに記載の消臭抗菌性繊維。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載の消臭抗菌性繊維を用いて製造された繊維製品。

【公開番号】特開2009−84758(P2009−84758A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258369(P2007−258369)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(593033913)株式会社アイ・エム・ティー (1)
【出願人】(593200205)小山化学株式会社 (3)
【Fターム(参考)】