説明

消臭活性成分を含有するシリコーンゲルを有する物品

本発明は、柔軟材料から形成され、かつ、消臭活性成分Cを含むシリコーンゲルを充填材料として含有する密閉エンベロープAを有する外用人工乳房、痂皮形成防止クッション又は痂皮形成防止マットレスなどの物品に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用人工乳房、痂皮形成防止クッション又は痂皮形成防止マットレスなどの物品であって、消臭活性成分Cを含むシリコーンゲルを充填材料として含有する柔軟材料Bから形成された密閉エンベロープAを有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンゲル及び他のゲルは、医療分野において、外用(義乳房又は医療用クッション若しくは医療用マットレス)か内用(埋没式義乳房)かを問わず一般的に使用されている。これらのものは流動性が大きく、しかも非常に良好な機械的性質を有しており、それらの密度は、ヒトの組織の密度に近い。
【0003】
特に、ブラカップ内に設置することを目的とした、比較的多数のタイプの外用人工乳房が存在する。最初の義乳房は、低密度成形ポリウレタンから作られたものであった。後になって開発された膨張式プラスチック義乳房のように、これらのものには、次の欠点があった。本物の胸と同じ流動性を有しないこと、軽いこと(これは、着用者に不均衡をもたらした)及び定位置にあまりよくとどまらないこと。
【0004】
胸の形状を有する成形シリコーン義乳房が知られている。しかしながら、それらの重量は、正確には一致せず、しかも同じ自然な動きをしない。
【0005】
現時点では、外用人工乳房の多くのモデルは、ポリウレタンフィルムから形成され、シリコーンゲルで満たされた柔軟なエンベロープを含む。
【0006】
シリコーンゲルが頻繁に使用される別の分野は、床ずれ防止の分野である。
【0007】
長期間にわたり座った状態又は横になった状態のままであることを余儀なくされた人々は、血液が循環するのを妨げる長期間の組織圧迫により生ずる床ずれ(これは、壊死、次いで組織分解をもたらし、感染状態になる)を形成するというリスクにさらされることが知られている。
【0008】
床ずれは、自由な移動のできない人々(車いす使用者、高齢者、寝たきりの人など)や所定の組織表面に感覚がない人々にとっては大きな問題である。床ずれは、硬い表面上に骨の浮き上がった部分が長期間にわたり継続的に押しつけられた後に生じる潰瘍(皮膚及び皮下虚血性壊死)である。創傷、潰瘍又は痂皮としても知られているが、これらは、一般に、皮膚に近い骨の突き出た部分を有する身体の領域で出現する。現在のところ、依然として医療用クッション若しくは医療用マットレスが最も効果的な予防方法である。
【0009】
膨張型バッグや液体又はゲルで満たされたバッグから形成された痂皮形成防止クッション及びマットレス、或いは、気泡材料から作られたクッション又はマットレスが既に知られている。
【0010】
しかしながら、外用人工乳房や医療用のクッション又はマットレスなどの物品を製造するために、柔軟材料から作られたバッグ又はエンベロープ用、特にポリウレタン系プラスチックフィルム型又はシリコーンエラストマー型のエンベロープ用の充填剤としてシリコーンゲルを使用する場合、これらのものには、成形又は当業者に周知の他の任意の技術により物品を製造及び成形する間にシリコーンゲルを硬化させるときに不快な臭気を放つという欠点がある。特に、これらの物品を作製するために、シリコーンゲルの前駆体であるシリコーン組成物を、柔軟材料から作られたバッグ又はエンベロープ内に設置し、そして、型内において、温度を上昇させることによって又は硬化によって充填材料を重合させる。シリコーンゲルとエンベロープとの相互作用は、特に該エンベロープがポリウレタンフィルム型のものである場合には、硬化中の温度上昇と共に、吐き気を催させる臭気の出現に関与する分解生成物を発生させるように思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3159601号明細書
【特許文献2】米国特許第3159662号明細書
【特許文献3】米国特許第3723497号明細書
【特許文献4】米国特許第3220972号明細書
【特許文献5】仏国特許第1528464号明細書
【特許文献6】仏国特許第2372874号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この技術常識において、本発明の必須の目的の一つは、ポリウレタン系プラスチックフィルム型又はシリコーンエラストマー型の柔軟材料から形成され、かつ、充填材料としてシリコーンゲルを含有する密閉エンベロープを有する物品であって、上記の臭気の問題を有しないものを提供することである。
【0013】
本出願人は、この目的を達成するために、相当なリサーチ手段を集結し、そして多数の実験を実施したところ、特にその努力の結果として、驚くべきことに、また予期せぬことに、架橋してシリコーンゲルを形成することができる標準的なシリコーン組成物に、上記用途における臭気の問題を低減させるためにアルミノシリケートを導入することが有益であることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の主題の一つは、柔軟材料、好ましくはポリウレタン系プラスチックフィルム型又はシリコーンエラストマー型の柔軟材料から形成された密閉エンベロープAを含む物品であって、該密閉エンベロープAは、ヒドロシリル化によりゲルに架橋できるシリコーン組成物Bを架橋することによって得られたシリコーンゲルを充填材料として含有し、該シリコーン組成物Bがアルミノシリケート、シクロデキストリン及び開いた又は閉じたかご形構造を有する化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の消臭活性成分Cを含むことを特徴とする、前記物品である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の必須の特徴によれば、柔軟材料、好ましくはポリウレタン系プラスチックフィルム型又はシリコーンエラストマー型の柔軟材料から形成された密閉エンベロープAを有する対象の物品は、基本的に、アルミノシリケート、シクロデキストリン及び開いた又は閉じたかご形構造を有する化合物よりなる群から選択される消臭活性成分Cを含むシリコーンゲルを充填剤として含有することを特徴とする。
【0016】
有利な一実施形態によれば、消臭活性成分Cは、アルミノシリケート、好ましくはゼオライト、さらに好ましくは合成ゼオライトである。
【0017】
ゼオライトは結晶性多孔質材料である。構造的には、ゼオライトは、結晶性アルミノシリケートのケージの集合体である。その単位ケージは、酸化アルミニウムと酸化珪素の錯体を結合し、かつ、酸素原子を共有する四面体の集合体からなる。つまり、ゼオライトは、四面体QO4(ここでQは、一般にSi及びAl原子を表すが、ただし、Ti、Ge、B、Fe及びGaも表す。)の集合体によって特徴付けられる。陰イオン電荷は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属陽イオン(Na、K、Li、Ca)の存在により平衡化され、そして最終的には式:Mx/n[AlxSiy2(x+y)]・zH2Oに従って組織化される。比y/xの値によって、これらの構造は、いくつかのタイプに分類できる。国際ゼオライト学会による3文字コードに従って分類される120を超えるタイプの元素構造が見出されている。これらのコードの定義は、例えば、ゼオライト構造の講評:Ch.Baerlocher,W.W.Meier,D.H.Oison,Atlas of Zeolite framework Types,改訂版第5版,Elsevier,Amsterdam 2001,3−18に記載されている。
【0018】
ゼオライト合成は、例えば、次の論文:H.Kessler,Synthesis of Molecular Sieves,Comprehensive Supramolecular Chemistry,G.Alberti,T.Bein(著),第7巻,Pergamon,Oxford,1996,425−464及びC.S.Cundy及びP.A.Cox,The Hydrothermal Synthesis of Zeolites:History and Development from the Earliest Days to the Present Time,Chem.Rev.2003,103,663−701に記載されている。
【0019】
開いた又は閉じたかご形構造を有する化合物は、周期律表の第3〜13族の元素から選択される元素の少なくとも4個の原子と、少なくとも4個の酸素原子とを有する化合物であり、該元素の該原子は、酸素原子及び1個以上の同一の又は異なる置換基のみに結合している。
【0020】
本発明の目的上、用語「かご形構造を有する化合物」とは、該元素の原子と酸素原子との配置及び該元素の原子と酸素原子との結合配置が少なくとも1個の多面体の少なくとも3面、好ましくは4面をなし、これらの面の頂点が該原子によって形成され、しかもこれらの面の辺が該結合によって形成される化合物を意味する。
【0021】
本発明の目的上、用語「閉じたケージ」とは、該多面体(polyhedra)の辺の全てが該元素の原子と酸素原子との結合を構成するケージ(かご)を意味する。
【0022】
本発明の目的上、用語「開いたケージ」とは、該多面体(polyhedra)の所定の辺が該元素の原子と酸素原子との結合を構成しないゲージを意味する。
【0023】
好ましくは、該化合物(1種以上)は、該第3〜13族の元素の4〜20個、好ましくは4〜12個、さらに好ましくは6、7、8、9、10又は12個の原子を有する。
【0024】
シリコーンゲルは、従来どおり、
・珪素に結合するアルケニル基を1分子当たり平均して2個有する少なくとも1種のポリオルガノシロキサン(A)であって、該アルケニル基がそれぞれ2〜6個の炭素原子を含有し、1個を超えるアルケニル基には珪素原子が結合していないもの、
・珪素原子に結合する水素原子を1分子当たり少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個有する少なくとも1種の水素保有シリコーン化合物(B)、
・随意に、少なくとも1種の非官能化ポリオルガノシロキサン(C)、及び
・白金系ヒドロシリル化触媒(D)
を含むシリコーン組成物を架橋させることによって得られる。
【0025】
これらの用途全てについて、これらのゲルの物性は、ビニル及びSiH官能基を保持するシロキシル単位の含有量を変更することによって用途に応じて調節される。
【0026】
一般に、ポリジオルガノシロキサン(A)は、珪素に結合するアルケニル基を1分子当たり平均2個含有し、ここで、それぞれのアルケニル基は異なる珪素原子に結合している。このポリジオルガノシロキサン(A)は、実質的に直鎖状の重合体であるものの、わずかな分岐が存在していてもよい。好ましくは、これらのアルケニル基は、その分子内で互いに離れた珪素原子に結合しており、限度では、これらはシロキサン鎖の末端珪素原子に結合している。これらのアルケニル基は、多くとも6個の炭素原子を含有し、そして、これらのものは、例えば、ビニル、アリル又はヘキセニル基であることができるが、これらのものは、好ましくはビニル基である。ポリジオルガノシロキサン(A)上の残りの有機置換基は、アルキル基及びアリール基から選択されるところ、好ましくは8個を超えない炭素原子を有するアルキル基及びフェニル基である。これら残りの置換基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソブチル及びフェニル基である。最も容易に使用される化合物は、α,ω−(ジメチルビニルシロキシ)ポリジメチルシロキサン又はポリ(ジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)α,ω−(ジメチルビニルシロキシ)型のポリオルガノシロキサンである。
【0027】
ポリジオルガノシロキサン(A)は、商品、例えば、ブルースターシリコーンズ社製のRhodorsil(商標)621Vという商品群であり、それらの構造及びそれらの合成の両方について広く技術文献に開示されている。
【0028】
好ましくは、ポリジオルガノシロキサン(A)は、実質的に直鎖状であり、かつ、200000mPa.s以下、好ましくは170000mPa.s以下、さらに好ましくは20〜165000mPa.sの動的粘度を有する。
【0029】
別の変形例によれば、珪素原子に直接結合したアルケニル反応性基の重量パーセントは0.025%〜3%である。
【0030】
水素化珪素化合物(B)は、一般に、珪素原子に結合した水素原子を1分子当たり少なくとも2個、好ましくは3個含むポリオルガノシロキサン又はシランである。これらの水素原子は、末端シロキサン単位上及び重合体鎖内にあるシロキサン単位上にも位置することができ、或いは、これらのものは、シロキサン鎖内にのみ位置することができる。
【0031】
実際には、使用するポリオルガノヒドロゲノシロキサン(B)は、例えば、ポリ(ジメチルシロキシ)(シロキシメチルヒドロゲノ)−α,ω−(ジメチルヒドロゲノシロキシ)型のポリオルガノシロキサン及びα,ω−(ジメチルヒドロゲノシロキシ)ポリジメチルシロキサンである。これらのPOS(I)は商品であり、それらの構造及びそれらの合成に関して技術文献に広く開示されている。
【0032】
非官能化ポリオルガノシロキサン(C)について、最も手軽に使用されるものは、α,ω−(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン又はPDMSである。これらのポリオルガノシロキサンは、商品、例えばブルースターシリコーンズ社製のRhodorsil(商標)47V群(例えば47V50、47V100、47V500、47V500、47V12500又は47V30000)という商品であり、また、それらの構造及びそれらの合成に関して技術文献に広く開示されている。
【0033】
好ましくは、非官能化ポリオルガノシロキサン(C)は、実質的に直鎖状であり、かつ、50000mPa.s以下、好ましくは20〜40000mPa.sの動的粘度を有する。
【0034】
触媒(D)は、本発明に従う組成物の別の重要な成分である。このものは、好ましくは、有機金属白金錯体であるか、或いは、例えば、従来から≡SiH基と≡Si−ビニル基とのヒドロシリル化反応の触媒として使用されている白金系触媒の一つである。言及できる例としては、とりわけ、白金黒、塩化白金酸、アルコールで変性された塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、アルデヒド、ビニルシロキサン又はアセチレン系アルコールが挙げられる。米国特許第2823218号には塩化白金酸型のヒドロシリル化触媒が開示され、米国特許第3419593号は、塩化白金酸と、ビニルシロキサン型の有機シリコーンとの錯体によって形成された触媒に関するものである。ヒドロキシル化触媒として有用な白金と炭化水素との錯体が米国特許第3159601号及び同3159662号に開示されている。米国特許第3723497には、アセチルアセトン酸白金が記載され、米国特許第3220972号は白金アルコキシド系触媒に関するものである。
【0035】
成分(D)について、用語「有効量の少なくとも1種のヒドロシリル化反応触媒」とは、ヒドロシリル化反応を開始させるのに十分な量を意味する。触媒として有効な使用量に関して、当該技術分野における当業者であれば、ヒドロシリル化反応を促進させるために触媒の最適量を完全に決定することができることは言うまでもない。この量は、特に、対象とする触媒の性質及びPOSの性質による。参考までに、この量は、該組成物の総重量に対して0.001重量%〜0.5重量%であると示すことができる。
【0036】
好ましくは、成分(A)、(B)、(C)及び(D)の量は、珪素に結合した水素原子対珪素に結合したアルケニル基(X)のモル比rが0.5:1〜5:1であるように選択される。
【0037】
また、本発明に従うシリコーン組成物は、次の化合物から選択される少なくとも1種の付加反応遅延剤又は架橋禁止剤を含むこともできる:
・環状形態であってもよい、少なくとも1個のアルケニルで置換されたポリオルガノシロキサン(テトラメチルビニルテトラシロキサンが特に好ましい)、
・ピリジン、
・有機ホスフィン及びホスフィット、
・不飽和アミド、
・マレイン酸アルキル、及び
・アセチレン系アルコール。
【0038】
好ましいヒドロシリル化反応熱阻害剤のうち、これらのアセチレン系アルコール(FR−A−1528464号及びFR−A−2372874参照)は、次式を有する:
R’−(R”)C(OH)−C≡CH
この式において、
・R’は、直鎖又は分岐アルキル基又はフェニル基であり;
・R”は、H又は直鎖若しくは分岐のアルキル基又はフェニル基であり;これらのR’基、R”基及び該三重結合に対してα位にある炭素原子は環を形成してよく;
・R’及びR”に含まれる炭素原子の総数は、少なくとも5、好ましくは9〜20である。
【0039】
該アルコールは、好ましくは、250℃を超える沸点を有するものから選択される。言及することができる例としては、
・1−エチニル−1−シクロヘキサノール;
・3−メチル−1−ドデシン−3−オール;
・3,7,11−トリメチル−1−ドデシン−3−オール;
・1,1−ジフェニル−2−プロピン−1−オール;
・3−エチル−6−エチル−1−ノニン−3−オール;
・2−メチル−3−ブチン−2−オール;
・3−メチル−1−ペンタデシン−3−オール
が挙げられる。
【0040】
これらのα−アセチレン系アルコールは商品である。このような遅延剤は、該シリコーン組成物中におけるポリオルガノシロキサンの総重量に対して最大3000ppmの割合、好ましくは100〜1000ppmの割合で存在する。
【0041】
それ自体周知の態様で、シリコーンエラストマー組成物に、様々な慣用型添加剤、例えば充填剤又は着色剤を添加することもできる。
【0042】
本発明に従う組成物の貯蔵安定性を改善し、かつ、容易に取り扱うことができる商業形態を使用者に提供するために、成分(A)、(B)及び(C)と、随意に、本発明に従って定義されるヒドロシリル化によって接着ゲルに架橋できるシリコーン組成物の成分(E)とを含む少なくとも2種の成分A及びBを有する系が想起される。ただし、当該系は、ヒドロシリル化反応触媒(D)が成分(B)から分離していることを条件とするものとする。
【0043】
使用を単純にするために、割合A:Bがおよそ10:100〜100:10、好ましくは40:60〜60:40、さらに好ましくは50:50重量部である2成分系を提案することが好ましい。
【0044】
ゲルの製造に関して、組成物のゲルへの架橋は、室温で生じること又は例えば50〜200℃の温度に加熱した後に生じることを指摘することができる。この文脈において、必要な架橋時間は、例えば、数分〜1時間30分である。上記組成物から得られた架橋接着ゲルは、本発明の完全な主題となるものである。
【0045】
好ましい実施形態によれば、ヒドロシリル化によってゲルに架橋できるシリコーン組成物Bは、該シリコーン組成物Bの総重量に対して、消臭活性成分Cを1重量%まで、好ましくは0.5重量%まで、さらに好ましくは0.01重量%〜0.1重量%含む。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態によれば、本発明に従う物品は、外用人工乳房、痂皮形成防止クッション又は痂皮形成防止マットレスである。
【0047】
これらの製品は、商業的に広く流通しており、また、当業者には周知である。
【0048】
また、本発明は、
・少なくとも1種のアルミノシリケートの、整形外科用途などのためのプラスチック製再建プロテーゼ又はクッション用シリコーンゲルにおける消臭活性成分Cとしての使用、
・少なくとも1種のアルミノシリケート(ゼオライトが特に好ましく、合成ゼオライトがさらに好ましい)の、外用義乳房、痂皮形成防止クッション又は痂皮形成防止マットレス用のシリコーンゲルにおける消臭活性成分Cとしての使用、及び
・前記アルミノシリケートがゼオライト、好ましくはゼオライトであることを特徴とする前記使用
に関するものでもある。
【0049】
以下の非限定的な実施例は、本発明に従う組成物の配合の様々な可能性、及び該組成物を架橋することによって得られるシリコーンゲルの特徴及び特性を示すものである。
【実施例】
【0050】
例:
(1)以下のリストは、このゲルのA及びB部の組成物において使用した出発材料を説明するものである
・オイル(A)(SiVi)=粘度100000mPa.sのα,ω(ジメチルビニルシロキシ)ポリジメチルシロキサンオイル、
・オイル(B)(SiH)=粘度25mPa.sのポリ(ジメチルシロキシ)(シロキシメチルヒドロゲノ)−α,ω−(ジメチルヒドロゲノシロキシ)オイル、
・オイル(C)(PDMS)=粘度100mPa.sのα,ω(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン、
・スラリー(D):ビニル末端基を有するポリジメチルシロキサンオイル+30重量%の非晶質ヒュームドシリカの混合物
・オイル(E)(環状DVI):メチルビニルシクロシロキサン、
・混合物(F):粘度50mPa.sのポリジメチルシロキサンオイル中、10重量%のα,ω(トリメチルシロキシ)ポリ(シロキシメチルヒドロゲノ)オイル(構造MD’50M)、
・粘度10mPa.sのオイル(G)(SiH)α,ω(トリメチルシロキシ)ポリ(ジメチルシロキシ)(シロキシメチルヒドロゲノ)オイル、
・触媒(F)=架橋用触媒として使用した溶液状の有機金属白金錯体;この触媒の濃度は、該組成物の総質量に対する、酸化状態0のPt金属の重量パーセントとして与えられる。
【0051】
(2)表1は、A及びB部における成分のそれぞれの濃度を説明するものである。
【表1】

【0052】
説明した組成物は2成分形態であり、また、架橋は、2つの部分、すなわちA及びBを50/50の比で25℃で混合させた後に生じる。同じようにして比較ゲル(C−1)を得る。
【0053】
本発明に従い、第2ゲル(I−1)を、上記A及びB部(1:1)にUOP社が販売するZeolite Abscents(商標)1000を該組成物の総重量に対して0.05重量%添加したものを混合させることによって製造する。
【0054】
臭気の放出を評価するための試験
Pharetra社が販売するポリウレタンフィルム(フィルムの厚さ:60〜70ミクロン)の2cm2の面積を有する断片をこれらのゲル(C−1)及び(I−1)に混合し、そして、その全体を120℃で1時間30分にわたり硬化させる。この試験の結果を以下の表2に与える。
【0055】
【表2】

【0056】
本発明に従うゲル(I−1)には、吐き気を催す臭気が全くなかった(アミン様の臭気が全くなかった)のに対し、比較例に従うゲル(C−1)には、吐き気を催す強烈な臭気があった。
【0057】
同じ結果(吐き気を催す臭気が存在しないこと)が、本発明に従うシリコーンゲルを、外用人工乳房、痂皮形成防止クッション及び痂皮形成防止マットレスを製造する際にポリウレタン系柔軟材料から形成された密閉エンベロープ用の充填剤量として使用した場合にも得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟材料、好ましくはポリウレタン系プラスチックフィルム型又はシリコーンエラストマー型の柔軟材料から形成された密閉エンベロープAを含む物品であって、該密閉エンベロープAは、ヒドロシリル化によりゲルに架橋できるシリコーン組成物Bを架橋することによって得られたシリコーンゲルを充填材料として含有し、該シリコーン組成物Bがアルミノシリケート、シクロデキストリン及び開いた又は閉じたかご形構造を有する化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の消臭活性成分Cを含むことを特徴とする、前記物品。
【請求項2】
外用人工乳房、痂皮形成防止クッション又は痂皮形成防止マットレスであることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記アルミノシリケートがゼオライト、好ましくはゼオライトであることを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
ヒドロシリル化によってゲルに架橋できる前記シリコーン組成物Bが、前記消臭成分Cを、該シリコーン組成物Bの総重量に対して1重量%まで、好ましくは0.5重量%まで、さらに好ましくは0.01重量%〜0.1重量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
少なくとも1種のアルミノシリケートの、整形外科用途などのためのプラスチック製再建プロテーゼ又はクッション用のシリコーンゲルにおける消臭活性成分Cとしての使用。
【請求項6】
少なくとも1種のアルミノシリケートの外用義乳房、痂皮形成防止クッション又は痂皮形成防止マットレス用のシリコーンゲルにおける消臭活性成分Cとしての使用。
【請求項7】
前記アルミノシリケートがゼオライト、好ましくは合成ゼオライトであることを特徴とする、請求項6に記載の使用。

【公表番号】特表2010−524514(P2010−524514A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553181(P2009−553181)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000333
【国際公開番号】WO2008/129171
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(507421304)ブルースター・シリコーン・フランス・エスアエス (62)
【氏名又は名称原語表記】BLUESTAR SILICONES FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】21,AVENUE GEORGES POMPIDOU F−69486 LYON CEDEX 03 FRANCE
【出願人】(509259219)
【氏名又は名称原語表記】BLUESTAR SILICONES GERMANY
【住所又は居所原語表記】Hans−Sachs−Strasse.4,23566 Lubeck GERMANY
【Fターム(参考)】