説明

消防用ヘルメット

【課題】 帽体に対して防護面を簡単に着脱でき、防護面を安定且つ円滑に昇降操作でき、防護面の使用時と格納時に防護面を確実に保持でき、部品点数、製造工数が少なく、製造コスト低減化が図れる消防用ヘルメットを提供する。
【解決手段】 ブラケット板2には、前部中央の上下方向に案内長孔4を形成し、その左右近傍に沿った裏面に一対のリブ8を突設し、左右両側の表面に案内レール5を形成し、防護面3には、上端部中央の裏面に長形の係止部材6を、軸部9にて軸方向高さを設けて回転可能に取付け、係止部材の両遊端部の表面側に、リブにスライド係合する凹部を形成し、上端部両側の裏面に案内レールに摺接するスライダー7を突設し、係止部材を案内長孔に前方から挿通した後90度回転させて凹部をリブに係合させ、両スライダーを案内レールに接合した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護面が帽体に対して昇降可能なヘルメットに係わり、特に消防用として使用することが好ましい消防用ヘルメットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
消防用ヘルメットは、火の粉、煙、燃えかす等が飛び交う過酷な火災現場で使用され、帽体から引き出された防護面で消防士の顔や目を保護する機能を備えている。防護面は火の粉、煙、燃えかす等によって表面に汚れや傷等がつくので、交換のために帽体に対して着脱可能に取付けられている。そして、通常は、防護面は帽体の内部に押し込まれた状態で格納され、火災現場でヘルメットを着用して緊迫した状況になると防護面を引き下げて顔面を保護するのである。従って、防護面は帽体に対して着脱可能である上に、昇降操作が円滑に行えるとともに、使用時にぐらつかないといった特性が要求される。また、防護面は、使用時に十分に顔面を覆うことができるように、帽体の内部空間による制限及び防護面を取付けるブラケット板の寸法による制限いっぱいに帽体に対する引き出し長さを十分に長く設定する必要がある。尚、消防用ヘルメットには、前記ブラケット板にしころも取付けられる。
【0003】
従来、このような消防用ヘルメットとして、特許文献1には、帽体の内側に取付けられるブラケット板に防護面がスライド可能、且つ着脱可能に取付けられて帽体に対して出し入れ可能にされた消防用ヘルメットにおいて、前記ブラケット板はその表面に、防護面を着脱可能、且つ防護面の下限位置を掛止保持する掛止部と、該掛止部を挟んで左右両側に、前記ブラケット板とで防護面の左右両側縁を着脱可能に挟持して該防護面を前後左右方向不動状態で上下方向に案内する弾性を有した2枚の案内板とを備え、前記案内板は前記防護面を挟持する面に、防護面を上下方向に案内する案内部を上下方向に延長して設けると共に、該案内部の上下に防護面の上限及び下限位置を保持する保持部を設けて形成され、一方前記ブラケット板に取付けられた防護面はその上部面に、前記掛止部に上下方向着脱可能、且つ前後方向不動に掛止される掛止片と、前記防護面の左右両側縁の上部に前記案内板における案内部に上下方向スライド可能、且つ前後方向着脱可能に係合すると共に、保持部に上下方向着脱可能に保持される係合片とを備えた構造が開示されている。
【0004】
ここで、上記掛止部を、その前面に防護面における掛止片を掛止して防護面の下限位置を保持する掛止孔を開設し、該掛止孔の上側に、同孔径よりも幅狭の開放部を連設した掛止板をブラケット板の表面に、同ブラケット板との間に隙間を設けて固着して構成し、一方上記掛止片を、前記掛止孔に対して適合する径の凸部を設けると共に、該凸部の先端に掛止孔径よりも大径の掛け部を一体形成して構成している。あるいは、上記掛止部を、ブラケット板の表面に防護面の下限位置を保持する掛止孔を開設し、該掛止孔の上側に同孔径よりも幅狭の開放部を連設すると共に、開放部の上側に前記掛止孔径よりも幅広で、その全長が掛止孔径よりも長く、且つ上記案内板における案内部の長さよりも短い開孔部を連設し、更に、開孔部の上端縁から開孔部内側方向に延長して帽体の内側方向に向かうテーパ面を一体形成して構成し、一方上記掛止片を、前記掛止孔径に対して適合する径の凸部を設けると共に、該凸部の先端に掛止孔径よりも大径で、開孔部よりも小径の掛け部を一体形成して構成している。
【0005】
しかし、この特許文献1記載の消防用ヘルメットは、ブラケット板に案内溝を開設していないので、該ブラケット板の剛性を保つことができるものの、ブラケット板の表面に弾性を有する2枚の案内板を固着するとともに、両案内板の中間に掛止板を固着する必要があるので、部品点数が多くなり、製造工数も増えてコスト高となる傾向にある。尚、掛止板を用いずにブラケット板に掛止孔を開設するものは、防護面の掛止片を確実に掛止できるかどうか疑問である。
【特許文献1】特許第2839240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、帽体に対して防護面を簡単に着脱することが可能であり、また防護面を安定且つ円滑に昇降操作することができ、また防護面を引き下げて使用する時と押し上げて格納する時に防護面を確実に保持することが可能であり、しかも部品点数、製造工数が少なく、製造コスト低減化を図ることができる消防用ヘルメットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、帽体の内部で開口部近傍にハンモック及びしころを取付けるブラケット板を帽体の内面との間に間隔を設けて取付けるとともに、帽体の内方前部で該帽体とブラケット板との間に顔を保護する防護面を昇降可能に支持してなる消防用ヘルメットであって、前記ブラケット板には、前部中央の上下方向に案内長孔を形成するとともに、該案内長孔の左右近傍に沿った裏面に一対のリブを突設し、更に前記案内長孔の左右両側の表面にそれぞれ案内レールを形成してなり、一方、前記防護面には、上端部中央の裏面に短辺が前記案内長孔の孔幅よりも狭く且つ長辺が該孔幅よりも広い係止部材の中央部を、外径が前記案内長孔の孔幅よりも小さい軸部にて回転可能に取付けるとともに、該防護面と係止部材との間に前記ブラケット板を挟持し得る軸方向高さを有するように設定し、前記係止部材の両遊端部の表面側に前記リブにスライド係合する凹部を形成し、更に上端部両側の裏面に前記案内レールに摺接するスライダーを突設してなり、前記係止部材を前記案内長孔に前方から挿通した後90度回転させて前記凹部をリブに係合させるとともに、両スライダーを案内レールに接合してなる消防用ヘルメットを構成した(請求項1)。
【0008】
ここで、前記案内長孔内の上下端部に、前記軸部が強制的に通過し得る弾性変形可能な係止凸部を設け、前記防護面を引き下げ使用状態と押し上げ格納状態に維持してなることが好ましい(請求項2)。
【0009】
また、前記防護面に形成した取付孔に前記軸部となるカラーを嵌挿するとともに、該カラーの先端に前記係止部材の中央部の嵌合孔を嵌合し、前記カラーと係止部材とをリベットで連結してなることが好ましい(請求項3)。
【0010】
また、前記案内レールは、上下方向に延びた2条の平行な凹溝であり、前記スライダーは、両側に前記凹溝にそれぞれスライド係合する突条を形成し、中央部を前記防護面に取付けてなることが好ましい(請求項4)。
【0011】
そして、前記防護面に形成した通孔に、前記スライダーの凸部を嵌合し、該凸部に形成した貫通孔を用いてリベットで締結してなることが好ましい(請求項5)。
【0012】
また、前記ブラケット板の前部に対応する下縁に沿って剛性の高い部分を形成し(請求項6)、あるいは前記ブラケット板の前部に、前記案内長孔と略平行に該案内長孔を中心として左右対称になるように複数の薄肉溝を形成し、該ブラケット板の前部における曲率を略一定にしてなることも好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる請求項1に係る発明の消防用ヘルメットは、係止部材を上下方向に向けた状態で、帽体とブラケット板の間の空間に下方から防護面を挿入すると、左右両側のスライダーが案内レールにスライド係合し、それから前記係止部材を前方から押圧して案内長孔を挿通するとともに、該係止部材を90度回転させて両遊端部の表面側に形成した凹部を、案内長孔の左右近傍に沿った裏面に突設した一対のリブに係合させることによって取付け、また係止部材を90度回転させて案内長孔に沿った向きにして該係止部材を案内長孔から前方へ抜き、そのまま帽体を引き下げることによって外すことができるので、防護面の着脱が極めて簡単である。また、係止部材の軸部が案内長孔内に位置した状態で、係止部材の凹部が一対のリブに上下スライド可能に係合するとともに、両側のスライダーが案内レールに摺接するので、常に3点での支持となり、防護面の昇降操作が安定且つ円滑である。また、案内長孔の左右両側に沿った近傍に1対のリブを形成したことにより、案内長孔を形成したことによるブラケット板の強度低下を補強することができる。
【0014】
請求項2によれば、ブラケット板の案内長孔の上下終端部に形成した弾性変形可能な係止凸部を、防護面の軸部が強制的に通過することにより、防護面を引き下げ使用状態と押し上げ格納状態とに維持することができる。
【0015】
請求項3によれば、防護面に係止部材を、カラーを介してリベットで簡単に取付けることができ、またカラーの長さによって防護面と係止部材との間にブラケット板を挟持し得る軸方向高さを有するように設定できる。
【0016】
請求項4によれば、案内レールの2条の平行な凹溝に、スライダーの突条がそれぞれスライド係合するので、スライド動作が安定であり、またスライダーの中央部を防護面に取付けるので、突条の向きを案内レールの凹溝に沿うように微調整することができる。
【0017】
請求項5によれば、防護面にスライダーをリベットで締結するので、取付けが容易である。
【0018】
請求項6又は7によれば、前部の中央に案内長孔を形成しても、ブラケット板の前部における曲率を略一定にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係る消防用ヘルメットを示し、図2は防護面とブラケット板との関係を示した展開図、図3はブラケット板の裏面から見た斜視図、図4はブラケット板の表面から見た斜視図、図5〜図9は要部の詳細を示し、図中符号1は帽体、2はブラケット板、3は防護面、4は案内長孔、5は案内レール、6は係止部材、7はスライダーをそれぞれ示している。
【0020】
本発明に係る消防用ヘルメットは、図1〜図9に示すように、帽体1の内部で開口部近傍にハンモック及びしころ(共に図示せず)を取付けるブラケット板2を帽体1の内面との間に間隔を設けて取付けるとともに、帽体1の内方前部で該帽体1とブラケット板2との間に顔を保護する防護面3を昇降可能に支持してなる消防用ヘルメットであって、前記ブラケット板2には、前部中央の上下方向に案内長孔4を形成するとともに、該案内長孔の左右近傍に沿った裏面に一対のリブ8,8を突設し、更に前記案内長孔4の左右両側の表面にそれぞれ案内レール5,5を形成してなり、一方、前記防護面3には、上端部中央の裏面に短辺が前記案内長孔4の孔幅よりも狭く且つ長辺が該孔幅よりも広い係止部材6の中央部を、外径が前記案内長孔4の孔幅よりも小さい軸部9にて回転可能に取付けるとともに、該防護面3と係止部材6との間に前記ブラケット板2を挟持し得る軸方向高さを有するように設定し、前記係止部材6の両遊端部の表面側に前記リブ8,8にスライド係合する凹部10,10を形成し、更に上端部両側の裏面に前記案内レール5,5に摺接するスライダー7,7を突設してなり、前記係止部材6を前記案内長孔4に前方から挿通した後90度回転させて前記凹部10,10をリブ8,8に係合させるとともに、両スライダー7,7を案内レール5,5に接合した構造を有している。
【0021】
更に詳しくは、前記ブラケット板2は、帽体1の前部に対応する保護面取付部11とその左右両側に延びた帯状部12,12とからなる合成樹脂製の板状成形体であり、前記帽体1の内部にリング状に丸めて配置し、前記帯状部12,12を帽体1にリベット止め固定し、前記保護面取付部11と帽体1の前部内面との間には所定の空間部を形成し、該空間部に前記防護面3を装着するのである。また、前記ブラケット板2には、内部に着用者の頭部に載せるハンモック(図示せず)を取付けるとともに、側方から後部にかけて着用者の首を保護するしころ(図示せず)を吊下げ状に取付けるのである。
【0022】
そして、前記ブラケット板2の保護面取付部11の中央部に前記案内長孔4を形成するとともに、裏面(頭部側)であって該案内長孔4の左右両側近傍に平行に1対のリブ8,8を突設している。本実施形態では、前記リブ8の断面形状は、図5に示すように、略半円形であり、それに対応して前記係止部材6の凹部10,10の断面形状も前記リブ8よりも曲率半径の大きな略半円形にしている。尚、前記リブ8,8は、前記案内長孔4の周辺部の補強の役目も担っている。また、前記ブラケット板2の保護面取付部11の左右両側表面(前面側)に1対の互に平行な案内レール5,5を、前記案内長孔4を中心とした対称位置に形成している。
【0023】
前記防護面3は、透明な合成樹脂製の湾曲成形体であり、両側のスライダー7,7がそれぞれ案内レール5,5に接合し、また前記係止部材6の両側凹部10,10が前記リブ8,8に係合して回転規制された状態で係止するとともに、該係止部材6を支持する軸部9が案内長孔4内に位置して、上下スライド可能となっている。ここで、前記防護面3の昇降操作における上限と下限は、前記軸部9が案内長孔4の上下終端部に当止することによって実現する。前記防護面3が下限に位置する状態は、該防護面3で着用者の顔面を覆って保護した使用状態であり、上限に位置する状態は、前記帽体1とブラケット板2の保護面取付部11との間の空間部に防護面3の大部分が隠れた格納状態である。
【0024】
そして、これら防護面3の引き下げ使用状態と押し上げ格納状態を安定に維持するために、前記案内長孔4内の上下端部に、前記軸部9が強制的に通過し得る弾性変形可能な係止凸部13,13をそれぞれ設けている。ここで、前記両係止凸部13,13の間隔は、前記軸部9の外径よりも狭く設定し、前記防護面3が格納状態にあるときは、該防護面3の自重では軸部9が下方へ通過せず、前記防護面3が使用状態にあるときは、該防護面3に不意に持ち上げ力が作用しても簡単に上方へ通過しない程度の通過抵抗力を有するようにしている。
【0025】
前記係止部材6は、軸部9によって前記防護面3の裏面から軸方向へ所定高さ突出した位置に回転可能に取付けられている。具体的には、図5〜図7に示すように、前記防護面3に形成した取付孔14に前記軸部9となるカラー15を嵌挿するとともに、該カラー15の先端に前記係止部材6の中央部の嵌合孔16を嵌合し、前記カラー15と係止部材6とをリベット17で連結している。つまり、前記カラー15は、前記取付孔14に回転可能に嵌挿する軸筒15Aと、該軸筒15Aの一端に前記防護面3の表面に当止する鍔部15Bとを有し、前記軸筒15Aを防護面3の表面から取付孔14に嵌挿し、その先端に前記係止部材6の嵌合孔16を嵌合した状態で、前記軸筒15Aに内挿したリベット17で該カラー15と係止部材6を連結している。ここで、前記カラー15の軸筒15Aの長さは、前記防護面3と係止部材6との間に前記ブラケット板2の案内長孔4近傍部分を挟持できる長さに設定している。
【0026】
そして、前記防護面3をブラケット板2の保護面取付部11に装着するには、前記係止部材6の長手方向を上下方向、つまり前記案内長孔4に沿った向きにした状態で、該係止部材6を案内長孔4に表面側から挿入し(図6参照)、それから係止部材6を90度回転させて、該係止部材6の両端部を前記リブ8,8に乗り上げさせ、案内長孔4と交叉させた状態で(図7参照)、前記凹部10,10がそれぞれリブ8,8に上下スライド可能に係合させるのである。この際、前記両スライダー7,7は、表面側から両案内レール5,5にそれぞれ接合するだけで、上下スライド可能な状態となる。
【0027】
また、前記防護面3を交換する際には、前記係止部材6を90度回転させて、その長手方向を案内長孔4に沿った向きにした状態で、該防護面3を前方へ変位させて係止部材6を案内長孔4から抜き去り、それから防護面3を下方へ引き出せば取外すことができる。
【0028】
本実施形態では、前記案内レール5は、図8及び図9に示すように、上下方向に延びた2条の平行な凹溝18,18であり、前記スライダー7は、両側に前記凹溝18,18にそれぞれスライド係合する突条19,19を形成している。そして、前記スライダー7は、中央部を前記防護面3に若干の回転を許容して取付けている。それにより、前記防護面3が若干こじれて傾いても案内レール5に対して円滑にスライドできるようにしている。具体的には、前記防護面3に形成した通孔20に、前記スライダー7の凸部21を嵌合し、該凸部21に形成した貫通孔22を用いてリベット23で締結している。ここで、前記凹溝18,18の下端は閉じており、前記防護面3の引き下げ使用時に前記スライダー7の突条19,19が、前記凹溝18,18の下端に当止される。
【0029】
尚、本実施形態では、案内レール5,5とスライダー7,7とによるスライド案内機構を示したが、案内レールが案内溝であり、スライダーに代えて案内溝内で転動するローラ若しくはボールとしても良く、その場合には更に円滑な案内ができる。
【0030】
また、前記案内長孔4を形成したことにより、該案内長孔4の部分で剛性が低くなるので、帽体1の開口部に沿って前記ブラケット板2をリング状に曲げる際に、保護面取付部11の中央部で曲率が大きくなって滑らかな円弧状にならない。そのため、前記ブラケット板2の前部に対応する下縁、即ち保護面取付部11の下縁に沿って剛性の高い部分を形成することが好ましい。具体的には、前記保護面取付部11の下縁の肉厚を厚くしたり、下縁に剛性のあるワイヤー等をインサート成形する。あるいは、前記ブラケット板2の前部、即ち前記保護面取付部11に、前記案内長孔4と略平行に該案内長孔4を中心として左右対称になるように複数の薄肉溝を形成し、該ブラケット板2の前部における曲率を略一定になるようにすることも好ましい。尚、前記保護面取付部11を予め所定形状に湾曲した形状に成形しておけば、このような手段を採用しなくても良いのである。
【0031】
尚、本実施形態では、消防用ヘルメットとして説明したが、他の防護面が必要な用途で使用するヘルメットにも本発明は適用可能である。その場合には、前記ブラケット板2にはしころを取付けないこともあるのである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る消防用ヘルメットの省略全体斜視図である。
【図2】防護面とブラケット板との関係を示した展開図である。
【図3】ブラケット板の裏面から見た斜視図である。
【図4】ブラケット板の表面から見た斜視図である。
【図5】ブラケット板と防護面とのスライド案内構造を示し、案内長孔と係止部材との関係を示す要部拡大断面図である。
【図6】同じく係止部材の長手方向を案内長孔に沿った向きに設定し、該案内長孔に挿通する状態を、防護面を省略して示した部分正面図である。
【図7】図6の状態から係止部材を90度の回転させて両端部を案内長孔の両側のリブに係合した状態を、防護面を省略して示した部分正面図である。
【図8】案内レールとスライダーの関係を示す要部拡大断面図である。
【図9】案内レールとスライダーの関係を、防護面を省略して示した部分正面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 帽体
2 ブラケット板
3 防護面
4 案内長孔
5 案内レール
6 係止部材
7 スライダー
8 リブ
9 軸部
10 凹部
11 保護面取付部
12 帯状部
13 係止凸部
14 取付孔
15 カラー
15A 軸筒
15B 鍔部
16 嵌合孔
17 リベット
18 凹溝
19 突条
20 通孔
21 凸部
22 貫通孔
23 リベット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
帽体の内部で開口部近傍にハンモック及びしころを取付けるブラケット板を帽体の内面との間に間隔を設けて取付けるとともに、帽体の内方前部で該帽体とブラケット板との間に顔を保護する防護面を昇降可能に支持してなる消防用ヘルメットであって、前記ブラケット板には、前部中央の上下方向に案内長孔を形成するとともに、該案内長孔の左右近傍に沿った裏面に一対のリブを突設し、更に前記案内長孔の左右両側の表面にそれぞれ案内レールを形成してなり、一方、前記防護面には、上端部中央の裏面に短辺が前記案内長孔の孔幅よりも狭く且つ長辺が該孔幅よりも広い係止部材の中央部を、外径が前記案内長孔の孔幅よりも小さい軸部にて回転可能に取付けるとともに、該防護面と係止部材との間に前記ブラケット板を挟持し得る軸方向高さを有するように設定し、前記係止部材の両遊端部の表面側に前記リブにスライド係合する凹部を形成し、更に上端部両側の裏面に前記案内レールに摺接するスライダーを突設してなり、前記係止部材を前記案内長孔に前方から挿通した後90度回転させて前記凹部をリブに係合させるとともに、両スライダーを案内レールに接合してなることを特徴とする消防用ヘルメット。
【請求項2】
前記案内長孔内の上下端部に、前記軸部が強制的に通過し得る弾性変形可能な係止凸部を設け、前記防護面を引き下げ使用状態と押し上げ格納状態に維持してなる請求項1記載の消防用ヘルメット。
【請求項3】
前記防護面に形成した取付孔に前記軸部となるカラーを嵌挿するとともに、該カラーの先端に前記係止部材の中央部の嵌合孔を嵌合し、前記カラーと係止部材とをリベットで連結してなる請求項1又は2記載の消防用ヘルメット。
【請求項4】
前記案内レールは、上下方向に延びた2条の平行な凹溝であり、前記スライダーは、両側に前記凹溝にそれぞれスライド係合する突条を形成し、中央部を前記防護面に取付けてなる請求項1〜3何れかに記載の消防用ヘルメット。
【請求項5】
前記防護面に形成した通孔に、前記スライダーの凸部を嵌合し、該凸部に形成した貫通孔を用いてリベットで締結してなる請求項4記載の消防用ヘルメット。
【請求項6】
前記ブラケット板の前部に対応する下縁に沿って剛性の高い部分を形成し、該ブラケット板の前部における曲率を略一定にしてなる請求項1〜5何れかに記載の消防用ヘルメット。
【請求項7】
前記ブラケット板の前部に、前記案内長孔と略平行に該案内長孔を中心として左右対称になるように複数の薄肉溝を形成し、該ブラケット板の前部における曲率を略一定にしてなる請求項1〜5何れかに記載の消防用ヘルメット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−97164(P2006−97164A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−283295(P2004−283295)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000107619)スターライト工業株式会社 (62)
【Fターム(参考)】