説明

涙嚢鼻腔吻合用装置および方法

【課題】導入器と、鼻涙ドレナージ閉塞(NLDO)の治療用に内視鏡と組み合わせたレーザ支援DCRに導入器を使用するための導入器、装置および方法を提供する。
【解決手段】中空外側チューブおよび非外傷性内側マンドレルを具備する導入器を、涙嚢セクションに挿入する。非外傷性内側マンドレルは除去され、(1つまたはそれ以上の)光ファイバまたはファイバの束が、適切な位置を決定するために照明するために且つドレナージチャネルを切除するために挿入される。次いで、ファイバまたはその束が除去され、次いで、DCR挿管セットが導入されてドレナージチャネルを維持することができる。この装置および方法の1つの利点は、処置のすべての態様が導入器を通して実行することができることであり、したがって、単一の挿入点しか必要ではなく、涙管への外傷を減少し、複雑さ、および、合併症または感染症のリスクを減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、涙嚢鼻腔吻合(DCR)治療に関し、特に、DCR用の導入器に関する。
【背景技術】
【0002】
流涙症は、涙があふれ出ることとして規定され、涙が作られることとドレナージとの間のバランスが乱れるために発生する。ドレナージは、涙ドレナージシステムとして公知の膜チャネルによって達成される。不適切な涙ドレナージの理由として、変位した点による不良な涙ポンプ機能、瞼の弛緩、弱い輪筋、または、第七脳神経の麻痺、および、鼻涙ドレナージ閉塞(NLDO)として公知のドレナージチャネルの解剖学的閉塞が挙げられる。NLDOは、特に年配の人の中では比較的一般的であり、深刻な問題を生じることは稀ではあるが、不適切なドレナージのため絶えず涙が流れる目は、イライラする厄介なものであり、視覚が損なわれ、皮膚の表皮剥離を生じ、涙管に感染症が生じる可能性がある。
【0003】
NLDOを治療する伝統的な方法は、狭窄を外側から外科的に除去することに関与する。これは、術後疼痛等のかなりの副作用を伴う時間のかかる処置である。最近、鼻涙管の視覚化を可能にし、システム自体の作業チャネルを通して小型装置を加えることによって狭窄を治療することを可能にする新しいシステムが開発されている。
【0004】
レーザ等の器具は、現代の耳鼻咽喉科、眼科、および、一般内科的治療において特に興味深く重要であり、駆動力としてエネルギを提供し、したがって、レーザエネルギが耳、鼻および喉の領域の解剖学的構造物内にガイドされ且つ送出されるのを可能にする付属品が必要である。
【0005】
NLDOの治療は、涙嚢鼻腔吻合(DCR)として公知の外科的介入に関与し、これは基本的に、涙ドレナージを容易にするために、鼻涙管と鼻腔との間に新しいチャネルを形成することから構成される。DCRを実行するために、数種類の確立された方法が存在する。一般に、この種類の外科的介入は、外部DCRまたは内視鏡DCRのいずれかとして分類される。外部DCRは、鼻の側部を切開することと、涙が鼻腔内に排出されるように、十分な量の骨を除去して涙嚢を鼻内に組み込むことを伴う。([特許文献1]参照)外部DCRは、皮膚の切開を必要とし、したがって、内視鏡DCRよりも長い回復時間を必要とし、成功率には異論がある。内視鏡DCRは、レーザを使用して涙嚢から鼻腔への通路を切り、一次治療とみなされるが、それは、回復時間が短く、外部傷跡を残さず、局部麻酔の使用を可能にするからである。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,345,948号
【0007】
内視鏡DCRは、内小管および内視鏡鼻腔のアプローチの両方を組み合わせることから構成され、したがって一般に、多数の器具を使用することを必要とする。これは、マイクロドリル等で従来のように行われるか、または、レーザ支援されるかのいずれかである。
[特許文献2]は、ビデオ内視鏡および光ファイバの束に接続された骨切断レーザを涙嚢内に挿入することに関与する超涙レーザ涙嚢鼻腔吻合を実行する方法を提供する。照明は、光ファイバの束によって提供され、レーザは、ビデオ内視鏡からの助けで適切に位置決めされる。次いで、レーザが活性化され、涙排出瘻を形成する。この方法は、2つの別個の点ですなわち2つの小管における2つの点で、2つの別個のツールが涙嚢内に挿入されることを必要とし、それはこの方法を不必要に複雑にし、したがって合併症を被りやすい。チューブまたはステントが瘻に配置されて処置後にそれを開いたままにしてもよいが、これは、第3の直接挿入を必要とする。
【0008】
【特許文献2】米国特許第5,345,948号
【0009】
点および小管から鼻腔へ遮られないドレナージ通路を維持するためにステントの導入を容易にするための多数の装置および方法がある。そのようなステントは一般に、DCR後に一時的な装置として使用され、新しく形成された開口が閉塞するのを防止する。それらは一般に、涙器系を通してチューブに接続された1つまたはそれ以上の比較的剛性なプローブを供給し且つそれらを鼻孔を通して引くことによって頻繁に、可撓性のあるチューブを導入することに関与する。すべてのそのような方法は、ステントを導入するためのツールを必要とし、それは、視覚化または外科用の器具を導入するために使用されるツールとは別個のものであり、ステントを位置決めするために器具を再挿入しなければならないため、涙組織にさらなる外傷を課す。
【0010】
[特許文献3]には、NLDOの外科的矯正に使用されるカテーテルが記載されている。このカテーテルは、涙嚢と鼻腔との間に形成された開口を維持するために使用され、上方にすべって涙嚢内に入るかまたは下方にすべって鼻内に入るのを回避するために、拡大した端を有する。この発明は、先に挿入されたスラップスティックチュービングと使用されることに限定され、カテーテルを配置するために涙嚢および鼻腔の両方内の切開を必要とする。
【0011】
【特許文献3】米国特許第5,062,831号
【0012】
[特許文献4]には、ステントを鼻涙道内に導入するために使用される鼻涙管チューブが記載されている。一般に、シリコーンチューブが、1セットのプローブで、上位小管および下位小管を通って挿入され、チューブは鼻道に結ばれ、ドレナージを容易にするために鼻涙道を開いたままに保つステントを形成する。この発明において、単数または複数のプローブは、可撓性のあるステントの接続のために一方の端に開口を含む中空チューブから作られる。ステント開口から特定の距離で別の開口が形成され、光ファイバまたは他の照明装置がプローブ内に挿入されるのを可能にする。この発明は、ステント導入とともに使用されるのに限定され、一般に、DCR処置後に使用され、DCRおよび挿入治療の結果として、挿入の数および鼻涙組織への関連外傷を減らすことに関与しない。さらに、提供された照明は、鼻腔を通る直接視覚化を高めることに限定され、したがって、内部視覚化を提供せず、DCR処置中に有用ではない。
【0013】
[特許文献4]米国特許出願公開第2002/0107579号
【0014】
[特許文献5]には、新しく作られたドレナージチャネルを維持するための単一小管ステントが記載されている。ステントは、点に嵌るように形状づけられたチューブの近位端に位置するプラグに接続された好ましくはシリコーンのチューブと、新しく作られたドレナージチャネルへチューブを方向づけ進めるためにチューブ内に挿入される探り針と、から構成される。探り針は、チュービングおよびプラグが適所に位置した後に除去される。上記特許と同様に、この装置は、依然として、DCR治療後に鼻涙系内に新たに挿入されなければならず、したがって、組織へさらなる外傷を与える。
【0015】
[特許文献5]米国特許出願第2002/0151960号
【0016】
治療領域を視覚化し、瘻を形成し、挿管チューブまたはステントを挿入する能力を保存しながら、最小侵襲性であり最小の直接挿入しか必要としないレーザ支援DCR用の装置および方法が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、鼻涙ドレナージ閉塞の最小外傷治療のための装置および方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、最小外傷性であり器具の外傷性挿入を1回しか必要としないレーザ支援涙嚢鼻腔吻合(DCR)用の装置および方法を提供することである。
【0019】
本発明のさらなる目的は、器具の外傷性挿入を繰り返す必要性を排除し挿管チューブまたはステントのアクセスを提供するレーザ支援DCR用の導入器を提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、追加の器具または設定を修正する必要なく、いずれの既存の臨床環境で加えることができるレーザ治療用のDCR導入器を提供すること、および、簡単な適合性手段によって最新の耳、鼻および喉の要素によって拡張することができる完全に機能的な環境自体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
簡単に述べると、本発明は、導入器と、鼻涙ドレナージ閉塞(NLDO)の治療用に内視鏡と組み合わせたレーザ支援DCRに導入器を使用するためのシステムおよび方法と、を提供する。導入器は、半剛性中空外側チューブおよび非外傷性内側マンドレルを具備する。内側マンドレルは、挿入を支援し且つ挿入中の外傷を減少するために、丸い遠位端を有する。対応する方法において、導入器は、涙嚢セクション内に挿入される。非外傷性内側マンドレルは除去され、1つまたはそれ以上の光ファイバまたはファイバの束が、適切な位置を決定するために照明するために且つドレナージチャネルを切除するために挿入される。次いで、ファイバまたはその束が除去され、次いで、DCR挿管セットが導入されてドレナージチャネルを維持することができる。本発明の1つの利点は、処置のすべての態様が導入器を通して実行することができることであり、したがって、単一の挿入点しか必要ではなく、鼻涙管への外傷を減少し、治療の複雑さ、および、合併症または感染症のリスクを減少する。本発明の別の利点は、現在のDCR処置用に使用される既存の挿管チューブの多くとともに使用することができることであり、したがって、本発明の装置および方法は、一次処置として容易に且つコスト効果的に導入することができることである。
【0022】
本発明の上記のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面と併せて下記の説明を読むことから、明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の1つの態様は、照明手段および切除手段用に、および、多くの標準挿管セット用に、涙嚢へ同時アクセスを提供する、涙嚢鼻腔吻合(DCR)レーザ治療用の非外傷性導入器である。本発明の他の態様として、DCR方法と、導入器、放射線源および光ファイバまたはファイバの束、および、挿管セットを含むDCRシステムと、が挙げられる。
【0024】
レーザDCR処置における一般的な問題は、治療後に開口を保存するように作用する挿管セットまたはステントを挿入するために、涙嚢と中道との間に新しく形成された開口にアクセスする際に難題に遭遇することである。中道は、中鼻甲介の下にあり、それは、鼻腔内に突出する3本の主な骨の1つである。本発明は、患者に過剰な外傷を生じることなく、多数の操作、すなわち、レーザDCR治療および挿管セット挿入さらに視覚化等の他のいずれの必要な操作を行うことを可能にすることによって、この問題を解決する。
【0025】
この開示で使用される次の用語は、下記に規定される。図1は、下記に述べられる鼻涙の涙ドレナージシステムの様々な部分を例示する。「点」(101)は、瞼の内部隅に位置する小さな開口であり、涙用のドレーンとして機能する。それぞれの瞼に位置する上部点および下部点がある。「小管」(103)は、点を涙嚢に接続し、涙が目から涙嚢へ排出するのを可能にするように作用する。「涙嚢」(105)は、涙を集める大きな領域である。その上部端は丸く、その下部端は鼻涙管内に延在する。「鼻涙管」(107)は、骨−膜性の管であり、これは、涙嚢の下部部分から鼻腔(109)へ延在する。涙は、涙腺(111)で作られ、点および小管を経由して涙嚢内に排出され、涙小管を通って続き、最終的に鼻内に排出される。
【0026】
「近位端」は、ハンドピースが取り付けられ且つ様々な器具が挿入されるのに通る導入器の端を意味する。「遠位端」は、典型的なDCR用途で点内に挿入され且つ鼻涙管へ進められる導入器の端を意味する。これらの意味は、導入器のチューブを通って進むすべての構成要素および器具にも当てはまる。
【0027】
さらに、コストを合理的なものに保つために、治療領域の拡大を既存の挿管セットと両立することが、非常に重要な問題である。
【0028】
レーザ治療用の新規DCR導入器に固有の多数の利点がある。第1に、小型サイズのDCR導入器(直径1mm未満であることが好ましい)は、光ファイバまたはファイバの束を鼻涙管に非外傷的に導入し閉塞に到達することを可能にする。別の利点は、DCR治療を、レーザエネルギの使用によってより安全な状況下で実行することができることである。周囲の組織を破壊せずに開口を作るために、レーザ源はレーザエネルギを鼻涙管内に安全に送出し、次に、示されたレベルへの出力密度用の臨床プロトコルを決定する。さらに、導入器自体が、他の組織を刺したり間違った路に従ったりする可能性なく、涙嚢の所望の場所へ、非常に薄いことが可能である(たとえば220ミクロン)光ファイバをガイドすることによって、レーザ治療の安全性を高める。これはまた、偶発的な照射の場合に涙器系を保護するようにも作用し、一方、ファイバは、治療領域へ向かって進み、ファイバが破砕するのを防止する。
【0029】
第3の主な利点は、レーザによって形成された開口を維持するための挿管セットを、鼻涙管への連続した外傷および新しく形成された経路を見出す困難さのリスクを回避しながら、今やDCR導入器を通してユーザによって開口内に挿入することができることである。多くの挿管セットは公知であり使用され、光ファイバが除去された後に外側チューブを通して点内に新しく挿入されることが可能である。本発明なしで点を通ってステントを挿入することは、ユーザがステントを挿入して新しく形成された道を探すことが必要であり、これは、患者にさらなる痛みおよび外傷を与える可能性がある。本発明は、導入器チューブが既に挿入されているため、このさらなる外傷を回避する。したがって、ステントおよび他の器具は、さらなる外傷なしで導入されることができる。本発明では、ステントを含む多数の器具が導入されるが、患者は、1回だけ外傷的挿入および除去を経験すればよい。
【0030】
したがって、本発明の目的は、臨床的使用によって設定されるすべての必要性を満たし且つ簡単な手段で操作することができる小型のDCR導入器を提供することである。本発明の別の主題は、鼻涙管挿管セットを位置決めするためのアクセス(または同一の治療中に複数のアクセス)を提供しながら、レーザファイバで治療ゾーンへエネルギを送出するのに固有な安全利点を使用することである。これは、導入器が既存の挿管セットと適合することができるため、述べられた問題のすべてを解決する。
【0031】
本発明は、切開せずに小管を通して涙嚢内に挿入されるほど十分に小さな直径の、且つ、涙嚢を通って涙小管に到達するほど十分に長い中空チューブから構成される導入器を開示する。好適な実施の形態において、導入器チューブは、剛性または半剛性の材料から作られる。導入器はまた、導入器を涙嚢内に挿入している間にチューブ内に位置する内側マンドレルも含む。中空チューブと内側マンドレルとの両方が、オートクレーブ金属材料から作られることが好ましい。内側マンドレルはまた、挿入中に外傷を減少することによって導入器の挿入を補助する丸い形状の遠位端も含む。挿入を補助するのに加えて、内側マンドレルは、流体または他の材料が、導入器チューブの内部に入りその後の器具の挿入中に閉塞または他の問題を潜在的に発生させるのを防止するように作用する。好適な実施の形態において、内側マンドレルは、導入器チューブと同一の材料から作られる。導入器は、使用を容易にするために、ハンドピースに接続されることが好ましい。
【0032】
導入器が、涙嚢内または鼻涙管の適所に位置した後に、組織をさらに傷つけることなく、多数の器具がチューブ内に挿入されてもよい。光ファイバまたは光ファイバの束が、切除レーザ放射線の送出のために挿入されてもよい。導入器の遠位端が適所にあることを確実にするために、徹照によって、領域を視覚化するためにレーザ送出ファイバ(単/複)の挿入前に、内視鏡が挿入されてもよい。あるいは、領域を視覚化するための手段および切除用のファイバ(単/複)が、単一の束内に組み込まれ、プロセスをさらに簡略化してもよい。
【0033】
本発明にレーザを使用する他の利点として、組織を照明し切断するというレーザの二重の能力のため、治療時間を短縮し治療がさらに簡略化されることが挙げられる。さらに、ある波長、たとえば980nm等では、レーザは、同時に切除/切断し焼灼することができる。組織を同時に切除し焼灼することができる重要性は、この能力が、結果として、出血が最小限になるため、治療領域をよりよく見ることができることである。したがって、そのような波長では、照明および/または視覚化手段を即座に且つ効率的に使用して処置をガイドすることができる。
【0034】
本発明の導入器は、レーザ支援閉塞減少方法と使用されることに限定されない。マイクロドリル等の機械的な方法、および、電気外科的器具も使用されてもよい。そのような方法で本発明を使用することは、涙系組織への外傷を減少するという利点を保持する。
【0035】
ドレナージ開口が形成された後に、閉鎖を防止するために、挿管チューブまたはステントが開口内に挿入されてもよい。挿管チューブは、導入器を通して挿入することができ、器具のさらなる外傷性再挿入を回避し、したがって、再度、処置を簡略化し、外傷を減少する。導入器の外側チューブは、挿管用の多くの装置および方法を収容するのに十分な直径である。
【0036】
本発明の好適な方法は、下記のように実行される。DCR導入器は、下部点または上部点、および、下部小管または上部小管を通って挿入され、涙嚢セクションまたは涙管に到達する。次いで、導入器の非外傷性内側部分が除去され、光ファイバが導入器自体を通って挿入され、そのため、ファイバの遠位端が導入器チューブの遠位端を越えて進む。次いで、レーザ照準光が作動され、適切な導入器位置をチェックすることができる。
【0037】
光ファイバが適切に位置決めされるときには、レーザエネルギが加えられて、鼻涙管と中道との間に開口を達成し、これによって、導入器が鼻腔を通って見える位置内に動くことができる。次いで、レーザファイバが除去され、導入器は開口を通って進み、DCR挿管セットが導入器を通って挿入され、涙道内に配置される。
【0038】
図2は、DCR導入器の好適な実施の形態を例示する。外側チューブ201は、切開せずに点を通して鼻涙管内に挿入されるほど十分に小さな直径であり、遠位端203に開口を有し、チューブ201の近位端により大きな開口205を有して、様々な器具の挿入を容易にする。ハンドピース207もまた、チューブ201の近位端に位置する。マンドレル209は、ハンドピースが鼻涙管内に挿入される前に、チューブ201内に挿入される。
【0039】
図3は、本発明の基礎として、DCR処置の基本的な要素および導入器の添加を示す。導入器301は、下部点305を経由して下部小管303内に挿入され、涙嚢307を通って鼻涙管309内にさらに進む。導入器301の遠位端が適所に位置した後に、非外傷性内側マンドレル311が除去される。次いで、ファイバの遠位端が導入器301の遠位端から延在するまで、適切なレーザ源に接続された光ファイバが導入器内に挿入される。開口313が涙骨315を通って形成されるまで放射線が活性化され、今や鼻涙管309と鼻腔317を接続する。
【0040】
本発明は、下記の実施例によってさらに例示されるが、それによって限定されない。
【実施例1】
【0041】
本発明を使用するハンドピースは、外径が0.9mm、内径が少なくとも0.7mmの金属チューブから構成される導入器を特徴とする。中実円筒形マンドレルがチューブ内部に位置し、0.7mm未満の直径を有する。マンドレルは、近位端に引き手リングを有し、導入器が挿入された後に除去するのを容易にする。
【0042】
980nmダイオードレーザが、200ミクロンの好適な直径を備えた光ファイバに連結される。あるいは、810nmダイオードレーザがファイバに連結されるか、または、810nmおよび980nmレーザの両方が、同時にファイバに連結されることができる。導入器の挿入後に、マンドレルは除去され、200ミクロンのファイバがチューブ内に挿入される。次いで、ダイオードレーザが活性化され、組織を切除し、ドレナージ開口を形成する。
【0043】
ドレナージ開口が完了した後に、導入器が開口を通って進み、ファイバは非外傷的に引き抜かれる。ファイバが引き抜かれた後に、マーク状の導入器を使用して、必要に応じて、新しく形成された開口端の内視鏡の鼻腔内拡大を実行することができる。次いで、挿管セットが導入器を通って挿入され、次いで、導入器チューブが引き抜かれる。次いで、ループを形成するために、上部小管および新しく形成された鼻涙管を通って鼻に到達するために、ステントの他方の先端が上部点に導入される。挿管セットの2つの先端は、通常通り、ノットで鼻に固定される。セットは、一定の期間の間、たとえば5〜6ヶ月までの間、適所に残され、再ルートづけられた管が閉じるのを防止する。
【0044】
添付の図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明してきたが、本発明は厳格な実施の形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲または精神から逸脱することなく、当業者によって様々な変更および修正がなされてもよいことを、理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】鼻涙の涙ドレナージシステムを例示する図である。
【図2】DCR導入器の好適な実施の形態の断面図である。
【図3】DCRおよびステント挿入に使用されるような導入器を例示する図である。
【符号の説明】
【0046】
101 点
103 小管
105 涙嚢
107 鼻涙管
109 鼻腔
111 涙腺
201 外側チューブ
203 遠位端
205 開口
207 ハンドプース
209 マンドレル
301 導入器
303 下部小管
305 下部点
307 涙嚢
309 鼻涙管
311 非外傷性内側マンドレル
313 開口
315 涙骨
317 鼻腔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
涙ドレナージシステムの閉塞を最小外傷治療するための装置であって、
切開する必要なく前記涙装置内に挿入されることができる中空外側チューブと、
前記外側チューブ内に挿入される非外傷性内側ロッドであって、前記内側ロッドは、前記外側チューブが前記涙ドレナージシステム内に挿入された後に除去することができ、前記閉塞を治療するための手段は、前記涙ドレナージシステムにさらなる外傷を生じることなく挿入されることができる非外傷性内側ロッドと、
を具備する上記装置。
【請求項2】
前記外側チューブは、剛性かまたは半剛性である請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記外側チューブおよび前記内側ロッドは、オートクレーブ金属材料から作られる請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記内側ロッドの遠位端は、前記装置の挿入中に外傷を減少するために丸い形状を有する請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記閉塞を治療するための前記手段は、放射線治療装置と、機械的治療装置と、電気外科的治療装置と、からなる群から選択される請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記外側チューブは、1mmの最大外径を有する請求項1記載の装置。
【請求項7】
涙ドレナージシステムの閉塞を最小外傷治療するための装置であって、
中空外側チューブと内側ロッドとを具備する請求項1記載の装置と、
放射線源と、
前記源に接続されて、ドレナージチャネルを形成するのに十分な前記涙ドレナージシステムの場所に前記源から放射線を送出する送出手段であって、前記装置が挿入された後に、前記外側チューブ内に非外傷的に挿入されることができる送出手段と、
を具備する上記装置。
【請求項8】
前記放射線源はレーザである請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記放射線源は、810nmおよび980nmからなる群から選択された波長で放射線を放出する請求項7記載の装置。
【請求項10】
前記送出手段は、光ファイバおよび光ファイバの束からなる群から選択される請求項7記載の装置。
【請求項11】
前記ドレナージチャネルを維持するために前記送出手段が引き抜かれた後に前記中空チューブ内に挿入されることができる可撓性のあるステントをさらに具備する請求項7記載の装置。
【請求項12】
涙ドレナージシステムの閉塞を最小外傷治療するための方法であって、
a.非外傷性内側ロッドを中空外側チューブ内に挿入するステップと、
b.前記外側チューブを涙管内に挿入するステップであって、前記外側チューブの遠位端は、前記涙管の所定の場所に対して近位であるステップと、
b.前記内側ロッドを除去するステップと、
c.前記切除手段の遠位端が前記外側チューブの前記遠位端から延在するまで前記外側チューブ内に切除レーザ放射線を放出する手段を挿入するステップと、
d.切除レーザ放射線を放出する前記手段を作動して、前記涙管と鼻腔との間に開口を形成するステップと、
を含む上記方法。
【請求項13】
e.前記外側チューブの前記遠位端が前記鼻腔を通して見えるようになるまで前記開口を通って前記外側チューブの前記遠位端を進めるステップと、
f.前記挿管チューブが前記開口内に位置するように、前記外側チューブを通って挿管チューブを挿入するステップと、
g.前記挿管チューブが前記開口を支持するままになるように、前記外側チューブを除去するステップと、
をさらに含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記外側チューブを前記涙管内に挿入する前記ステップは、前記チューブを下部点内に挿入することによって達成される請求項12記載の方法。
【請求項15】
切除レーザ放射線を放出する前記手段は、少なくとも1つのレーザ放射線源に接続された少なくとも1つの光ファイバである請求項12記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−522665(P2006−522665A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509851(P2006−509851)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/010973
【国際公開番号】WO2004/091431
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(502359666)セラムオプテック インダストリーズ インコーポレーテッド (20)
【Fターム(参考)】