説明

液中ゲーム玩具

【課題】ゲーム要素を備えた容器には液体を満杯に入れた状態でもポンプ操作が支障なくできるようにした液中ゲーム玩具を提供する。
【解決手段】本願ゲーム玩具1は、液体Wを収容し該液中に備えたゲーム要素2を透視できる容器3と、該容器3内の液体に作動液体を注入させ、かつ、注入後に容器3内から注入相当量の液体を吸入するポンプ5と、該ポンプ5による液注入時に前記容器3内の加圧量に相当する液量を受領し、かつ、該ポンプ5による液吸入時に受領相当の液量を前記容器内に戻す液溜め手段11とを備えたことを特徴とし、容器内に液体を満杯にしてもポンプ操作時に生ずる圧を逃がすことができるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明部材で形成された容器内に密封された液中に備えたゲーム要素のうちの浮遊要素を容器外からの操作により浮遊させ、ゲーム要素のうちの固定要素との関係(たとえば輪投げの輪環を立てたポールに投げ入れる等々)で遊べるようにした液中ゲーム玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液中ゲーム玩具の代表的なものとして、実公昭56−30984号公報及び実公平7−4068号公報が知られていた。
【0003】
前者は、輪投げ遊びゲームを想定したもので、図4(a)に示す如く、透明部材で形成された容器41内にその頂部の栓41′を開けて水Wを収容し、該水中に水よりやや比重の重い水中遊動部材(浮遊要素=輪投げの輪環)42を入れ、該浮遊要素42を前記容器41の基部筐体43に設けた操作ボタン44を押してポンプ45を圧縮操作すると、該ポンプ45に予め保留されていた水が導水管46を通して容器41内に注入され、水の流動を起こさせて前記浮遊要素42を浮遊させ、容器41の後壁(あるいは中間壁等)に作られた水中固定部材(固定要素=輪投げのポールに対応)47に投げ入れるなどして遊べるようにしている。
【0004】
後者は、バレーボールゲームを想定したもので、図4(b)に示す如く、透明部材からなる側面山形状の容器51内に、その頂面の栓51′を開けて水Wを収容し、該水中に水よりやや比重の重い球体(浮遊要素=バレーボールのボールに対応)52を入れ、該容器51内の球体52を、山形容器51の両裾野部にそれぞれ設けた操作ボタン53、53′を対戦相手がそれぞれ押してポンプ54、54′を圧縮操作し、山形容器51内に前記ポンプ54及び54′に予め保留されていた水を導水管55を介して注入して上向きの噴流を起こさせて山形容器51の頂上(固定要素=透視できるネット)56を越えさせてラリーできるように遊べるものである。
【特許文献1】実公昭56−30984号公報
【特許文献2】実公平7−4068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者(実公昭56−30984号)のものは、容器41内と導通しているポンプ45を操作ボタン44で押して該ポンプ内に予め保留されている液体を容器内に作動液体として注入して浮遊部材42を遊動させて遊ぶようになっているが、その際に、容器41内に注入される液量に相当する圧を逃がすために容器41の上部に空間として確保しておく必要がある。したがって、この空間形成分だけ前記水中固定部材47の設置位置を下げなければ、その上に浮遊部材42を遊動させることができず、容器内で水中固定部材47の設置スペースが狭められるという問題があった。
【0006】
また、後者(実公平7−4068号)のものも、山形容器51の両裾野部にそれぞれ設けた操作ボタン53、53′を対戦相手が交互に押してポンプ54、54′からの噴流で球体52を打ち上げ、山形容器51の頂上(ネット)56を越えさせてラリーするものであるが、ラリーに勝つためにはポンプの操作のタイミングが問われる。このことから対戦者は同時的にポンプを操作することも考えられ、したがって、山形容器51の頂上付近には必要な圧を逃がすための空間(液がはいっていない個所)が作られていることとなる。したがって、山形容器51の頂上(ネット=固定要素)56はかなり下げなければならないという、前者と同様の問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解消するためのもので、その目的とするところは、ゲーム要素を備えた容器には液体を満杯に入れた状態でもポンプ操作が支障なくできるようにした液中ゲーム玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、液体を収容し該液中に備えたゲーム要素を透視できる容器と、該容器内の液体に作動液体を注入させ、かつ、注入後に容器内から注入相当量の液体を吸入するポンプと、該ポンプによる液注入時に前記容器内の加圧量に相当する液量を受領し、かつ、該ポンプによる液吸入時に受領相当の液量を前記容器内に戻す液溜め手段とを備えたことを特徴とし、容器内に液体を満杯にしてもポンプ操作時に生ずる圧を逃がすことができるように構成している。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記ポンプが前記容器の基部筐体に設けた押ボタンの押作動により自身の形態記憶性に抗して圧縮し、前記押ボタンの押力解除により旧形状に膨張復帰するジャバラ体であることを特徴とし、ポンプの簡易化により玩具全体の低コスト化を実現できるように構成している。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記液溜め手段が前記ポンプの圧縮により自身の形態記憶性に抗して膨張し、前記ポンプの膨張により旧形状に圧縮復帰するジャバラ体であることを特徴とし、液溜め手段の簡易化により玩具全体の低コスト化を実現できるように構成している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体を収容し該液中に備えたゲーム要素を透視できる容器内の液体にポンプの押作動にて作動液体を注入させたときに生ずる容器内の加圧分の液量を一時的に液溜め手段で吸収し、ポンプの押力を止めてポンプが容器内の液体を収容すると同時に、液溜め手段から吸収していた液量を容器内に戻すように機能することができる。したがって、容器内には液体が満杯であってもポンプ操作時に生ずる圧を逃がしつつゲーム操作ができるから、ゲーム要素のうちの固定要素の設置スペースを狭めることがないという優れた効果を奏するものである。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記ポンプとしてジャバラ体を使用したので、この種のゲーム玩具の簡易化により玩具全体の低コスト化が達成できるという優れた効果を奏するものである。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、前記液溜め手段としてジャバラ体を使用したので、この種のゲーム玩具の簡易化により玩具全体の低コスト化が達成できるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は本願ゲーム玩具の外観斜視図、図2は本願ゲーム玩具の要部の説明図、図3は本願ゲーム玩具の動作状態を示す正面図である。
【0015】
本願ゲーム玩具1は、図1では、液中での輪投げ遊びゲームを想定したものであるが、ゲーム要素を変更して他の遊びを想定するようにしてもよい。本願ゲーム玩具1は上面に設けた栓12を外して液体(水)Wを満杯に収容し、該液中のゲーム要素(浮遊要素2aと固定要素2bからなる)2を透視できる容器3を備えている。
【0016】
前記ゲーム要素のうち、浮遊要素2aは、水よりやや比重の重いもの(輪投げの輪環)で作られており、液体を流動させると浮遊し、液体の流動がおさまると自重により沈降するようになっている。また、ゲーム要素のうち、固定要素2bは、前記容器3の後壁(あるいは中間壁等)に作られたもの(輪投げのポール)で、液体の流動には影響を受けないものである。勿論、容器3内にはゲーム要素のほか、水流により回る水車Sや水流の方向を変える邪魔板S′やその他の小道具も併設してもよい。
【0017】
前記容器3の基部筐体4内には、容器内の液体を流動させて前記浮遊要素2aを浮遊させるために液中に作動液体を注入できるポンプ5が設けられている。該ポンプ5は前記基部筐体4の前壁4′に設けた押ボタン6を手指にて押すことにより圧縮し、内部に予め保留していた液体を導液管7を通して容器3の底面に設けた噴出口8より作動流体として矢印Aの如く噴出させることができるようになっている。このポンプ5は押ボタン6の手指での押力を解除すると、形状記憶性により旧形状(先の膨張状態)に復帰するもので、復帰時に容器3内から必要量の液体を吸入する働きをする。
【0018】
前記ポンプ5の圧縮により容器3内に作動流体が注入されると、前記容器3内は加圧され、その加圧相当の液量は、該容器3の底面に開口させた排出口9より矢印Bの如く圧入され、導液管10を経て液溜め手段11に受領される。該液溜め手段11はその受領分だけ膨張することとなる。しかして、該液溜め手段11の膨張分は、前述の如く、ポンプ5の押力が解除されると、自身の形状記憶性により旧形状(先の圧縮状態)に復帰するもので、復帰時に先の受領分を容器3内に戻す働きをする。なお、この液溜め手段11は前記基部筐体4内の狭スペースを利用して、前記ポンプ5のように筐体外からは操作できない状態で設置されている。
【0019】
前述の働きをするポンプ5としては、ジャバラ体Jaを使用して満足できる。ここに使用されるジャバラ体Jaは、常に平状態を維持しようとする形態記憶性を有するもので、平状態より押されて圧縮すると、内部に保留していた液の圧縮相当量を容器3内に注入するし、押力を解除すると、その形態記憶性にて膨張して平状態に戻る。このときの膨張力により容器3内から液を吸引するようになっている。
【0020】
また、前述の働きをする液溜め手段11も、ジャバラ体Jbを使用して満足できる。ここに使用されるジャバラ体Jbは、常に平状態を維持しようとする形態記憶性を有するもので、前記ポンプ5の圧縮に伴って容器3内の圧が上がると、該容器3内の液を加圧相当分だけ受領して平状態より膨張し、該容器3内の圧を逃がす一方、前記ポンプ5の膨張に伴って容器3内の圧が低下すると、内部に受領していた増加分の液量を容器3内に戻すことができるようになっている。
【0021】
すなわち、前記ポンプ5と前記液溜め手段11は、それぞれ自身の形状記憶性によりポンプ5が圧縮すれば、液溜め手段11が膨張する。一方、ポンプ5が膨張すれば、液溜め手段11が圧縮する如くなる。このポンプ5及び液溜め手段11の機能や効能は風船でもスポイトのゴム球でも備えるためジャバラ体Ja及びJbに代えることも可能である。
【0022】
また、前述のジャバラ体Ja、Jbの機能や効能は、たとえば、電磁弁を利用した給排水機構を適用することも可能であるが、本願ゲーム玩具1においてジャバラ体Ja、Jbを用いたのは、その簡易化による玩具全体の低コスト化を実現するためである。
【0023】
次に、本願ゲーム玩具1の作用を、図3に基づいて説明する。まず、本願ゲーム玩具1の容器3の上面に設けた栓12を外して水(液体)Wを満杯になるように収容し、栓12で封緘する。容器3内には予めゲーム要素(浮遊要素2aと固定要素2b)2が入っているから、浮遊要素2aは水Wの収容時の水の動きにより乱舞するが、水の動きがおさまると沈降してゲーム開始の状態になる。
【0024】
次に、本願ゲーム玩具1を、両手に持って右手の親指の腹を押ボタン6の上におく。このとき容器3は出来るだけ立たせた状態にしておくとよい。しかして、親指で押ボタン6を強く押すと、遊戯者には見えないが、基部筐体4内でポンプ5が圧縮させられる。すると、該ポンプ5の内部に予め保留していた液体が導液管7を通して容器3の底面に設けた噴出口8より矢印Aの如く噴出することとなる。
【0025】
前記ポンプ5の圧縮作動により容器3内の圧が上がるが、その加圧相当の液量は、容器3の底面に開口した排出口9から、矢印Bの如く、圧入され、導液管10を経て基部筐体4内に備えた液溜め手段11に受領され、容器3内の圧が逃がされる。
【0026】
前記ポンプ5による作動流体の噴出流は、水車Sを廻すとともに、ゲーム要素のうちの浮遊要素(輪投げの輪環)2aを浮遊させ、該浮遊した浮遊要素2aが自重により沈降しつつ、固定要素(輪投げのポール)2bに投げ入れられる数を競う遊びができる。
【0027】
しかして、前記ポンプ5を押ボタン6により押していた押力を解除すると、該ポンプ5は自身の形状記憶性により旧形状(膨張状態)に復帰する。この復帰時(膨張時)には容器3内から必要量の液体を吸入することとなる。このとき、前述の如く、液溜め手段11に受領されていた受領分は該液溜め手段11の自身の形状記憶性により旧形状(圧縮)に復帰し、復帰時(圧縮時)に先に受領した液量を容器3内に戻すから容器3内の液の満杯状態は維持されることとなる。
【0028】
遊戯者が、押ボタン6を押したり、解除したりを繰り返したときは、ポンプ5の圧縮と膨張、これに伴う液溜め手段11の膨張と圧縮が繰り返されることとなる。この場合、押ボタン6を神経質に早く激しく押そうとしても、ポンプ5から容器3内に注入した液量分が、容器3から戻される前にはポンプ5の次の押操作が行われないので、自ずと早押しには限界があるため、ゆったりとゲームを楽しむことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本願ゲーム玩具1は、透視できる容器内に密封された液中に備えたゲーム要素を、容器外から透視しながら操作して、浮遊要素を浮遊させ、固定要素との関係(たとえば輪投げの輪環を立てたポールに投げ入れるなど)で遊べるようにしたもので、子供から大人まで広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本願ゲーム玩具の外観斜視図である。
【図2】本願ゲーム玩具の要部の略示的平面図である。
【図3】本願ゲーム玩具の動作状態を示す正面図である。
【図4】従来ゲームの説明図で、(a)は輪投げ、(b)はバレーボールである。
【符号の説明】
【0031】
1 本願ゲーム玩具
2 ゲーム要素
2a 浮遊要素
2b 固定要素
3 容器
4 基部筐体
4′ 前壁
5 ポンプ
6 押ボタン
7 導液管
8 噴出口
9 排出口
10 導液管
11 液溜め手段
12 栓
Ja ジャバラ体
Jb ジャバラ体
W 水(液)
S 水車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容し該液中に備えたゲーム要素を透視できる容器と、該容器内の液体に作動液体を注入させ、かつ、注入後に容器内から注入相当量の液体を吸入するポンプと、該ポンプによる液注入時に前記容器内の加圧量に相当する液量を受領し、かつ、該ポンプによる液吸入時に受領相当の液量を前記容器内に戻す液溜め手段とを備えたことを特徴とする液中ゲーム玩具。
【請求項2】
前記ポンプが、前記容器の基部筐体に設けた押ボタンの押作動により自身の形態記憶性に抗して圧縮し、前記押ボタンの押力解除により旧形状に膨張復帰するジャバラ体であることを特徴とする請求項1に記載の液中ゲーム玩具。
【請求項3】
前記液溜め手段が、前記ポンプの圧縮により自身の形態記憶性に抗して膨張し、前記ポンプの膨張により旧形状に圧縮復帰するジャバラ体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液中ゲーム玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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