説明

液体ろ過装置

通過する液体をろ過するためのろ過装置であって、ろ過装置は、液体源(3)に対して固定し、液体を流通させる液体供給ダクト(10)を有するハウジング(101)を含んで構成される。液体供給ダクト(10)は、液体源(3)と接続する上流側端部から、液体が排出されるろ過装置の出口(14)で終わる下流側端部まで延び、通過する液体からバクテリアをほとんど除去するフィルターエレメント(110,111,113)を組み込んだことを特徴とするろ過装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体源からの液体をろ過するろ過装置に関する。ただし、ろ過装置に供給される液体源は、例えば、プラスチック素材やガラスのボトルのような容器、特に市販されている、炭酸ガス抜きミネラルウォーター又はスパークリングウォーターの入ったプラスチック素材のボトルに限定されない。
【0002】
内部に炭酸ガス抜きのミネラルウォーターが入って市販されているプラスチック素材のボトルは、その容積が0.25リットルから2リットル、そして場合によっては5リットルまであり、本発明によるろ過装置は、これらのボトルと共に、更にはガラス瓶や金属缶などほかの容器と共に使用されることを目的とする。
【背景技術】
【0003】
一般的に公益事業又はグループ給水スキームから提供される比較的質の悪い水道水は概して飲むには適さない。極端な場合、重病をひきおこす汚染物質が混入していることもありえる。それ故、一般に飲料水はボトル又は適切な容器に入ったものが購入される傾向があるが、そのような飲料水は高価なこともある。例えばトレーニング中に定期的な水の摂取が必要なアスリートの場合、ボトル入り飲料水に対する支出がかさむこともある。
【0004】
それ故、この問題を克服するろ過装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ボトルに入った水道水を飲むためにこれをボトルから注ぐとき、もしくは排出する時に、水をろ過するろ過装置を提供することを目的とする。さらに本発明は容器内の液体をろ過するフィルターを提供することを目的とし、また液体源からの液体をろ過するろ過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、通過する液体をろ過するろ過装置を提供する。ろ過装置は液体源に対して固定するハウジングを含んで構成され、液体が通過する液体供給ダクトを有する。液体供給ダクトは液体源に通じる上流側端部から、液体が排出されるろ過装置の出口まで延びる。尚、ろ過装置は、通過する液体からバクテリアをほとんど除去するフィルターエレメントが組み込まれていることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、フィルターエレメントはセラミックフィルターを含んで構成される。
【0008】
セラミックフィルターエレメントは、好ましくは、ろ過装置と係合可能な交換式フィルターカートリッジに組み込まれている。
【0009】
セラミックフィルターエレメントは、好ましくは、少なくとも珪藻土と銅を含んで構成される。
【0010】
好ましくは、粒子状活性炭を含んで構成される付加的フィルターを備える。
【0011】
好ましくは、さらに薄膜フィルターを備える。
【0012】
薄膜フィルターは、好ましくは、液体供給ダクトの上流側に位置する上流側フィルターエレメントであり、通過した液体から粒子状物質を取り除く。セラミックフィルターは、上流側フィルターエレメントの下流側に位置する下流側フィルターエレメントであり、下流側フィルターエレメントは、フィルターチャンバーの範囲を定めるために、上流側フィルターエレメントとは間隔をあけて設置される。尚、フィルターチャンバー内には、液体供給ダクトを通過する液体からバクテリアを除去するろ過剤が収納されている。
【0013】
好ましくは、それぞれ粒子状活性炭が収納された、上流側チャンバー及び下流側チャンバーを備える。
【0014】
好ましくは、上流側及び下流側チャンバーはフィルター薄膜により分離される。
【0015】
好ましくは、上流側及び下流側チャンバーの少なくとも一方内の粒子状活性炭は銅を含侵させたものである。
【0016】
ろ過装置内のフィルターエレメントは粒子状活性炭を含んで構成されるのが有利である。
【0017】
フィルターエレメントの粒子状活性炭は、好ましくは、ろ過装置に配置された交換式フィルターカートリッジに収められる。
【0018】
粒子状活性炭は、好ましくは、銅を侵含されたものである。
【0019】
好ましくは、出口は内表面及び外表面を有し、内表面は実質的に銅層により被覆される。
【0020】
好ましくは、ろ過装置は液体容器と結合する結合手段を備える。
【0021】
セラミックフィルターエレメントは、好ましくは、セルロース、フラックス、及びセルロースガムを更に含んで構成される。フラックスは例えばホウ砂フリットである。
【0022】
本発明は請求項1に記載のろ過装置に用いられるフィルターカートリッジを更に提供し、カートッリッジは本明細書に記載されるいずれかのフィルターエレメントを有する。
【0023】
好ましくは、液体供給ダクトを通過する液体から粒子状物質を除去する、液体供給ダクト内の上流側に設置される上流側フィルターエレメントと、上流側フィルターエレメントの下流側に位置し、フィルターチャンバーの範囲を定めるため、上流側フィルターエレメントとは間隔をあけて設置される下流側フィルターエレメントと、液体供給ダクトを通過する液体からバクテリアを除去する、フィルターチャンバー内に設置されるろ過剤と、そして液体源にハウジングを結合するための結合手段と、を備える。好ましくは、フィルターチャンバー内のろ過剤は、液体からバクテリアと同様に汚染物質を取り除く。
【0024】
本発明の一態様では、上流側フィルターエレメントは有孔薄膜フィルターであり、好ましくは、網フィルターである。上流側フィルターエレメントの網目サイズは、好ましくは、200ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさであり、また有利には、150ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさであり、そして理想的には、100ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさである。
【0025】
本発明の別の態様では、フィルターチャンバー内のろ過剤は、微粒子ろ過剤であり、好ましくは粒子状活性炭素材である。尚、粒子状活性炭素材は、木炭又は椰子殻、もしくは木炭及び椰子殻から得られるものでもよい。
【0026】
本発明の別の態様では、下流側フィルターエレメントは抗バクテリア性を備え、好ましくは、セラミックフィルターである。尚、セラミックフィルターは、珪藻土と銅を含むセラミック組成を含んで構成される。
【0027】
前記下流側フィルターエレメントは、この外有孔フィルターを含んで構成されるが、好ましくは、それは網フィルターである。そして好ましくは、下流側フィルターエレメントの網フィルターの網目サイズは、200ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさである。また有利には、下流側フィルターエレメントの網フィルターの網目サイズは、150ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさである。そして理想的には、下流側フィルターエレメントの網フィルターの網目サイズは、100ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさである。
【0028】
本発明の別の態様では、中間フィルターエレメントは上流側薄膜フィルターエレメントと下流側フィルターエレメントの間に位置し、本発明の一態様では、中間フィルターエレメントは有孔薄膜フィルターであり、好ましくは、網素材である。好ましくは、中間フィルターエレメントの網フィルターの網目サイズは、200ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさである。また有利には、中間フィルターエレメントの網フィルターの網目サイズは、150ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさである。そして理想的には、中間フィルターエレメントの網フィルターの網目サイズは、100ミクロンより大きい粒子が通り抜けることを阻止できる大きさである。
【0029】
中間フィルターエレメントは、上記の外にはセラミックフィルターであり、好ましくは中間フィルターエレメントのセラミック素材は抗バクテリア性を備え、そして有利には、珪藻土と銅を含むセラミック組成を含んで構成される。
【0030】
理想的には、中間フィルターエレメントは上流側フィルターエレメントと下流側フィルターエレメントの間に間隔をあけて位置し、上流側フィルターエレメントと共に上流側フィルターチャンバーの範囲を規定し、下流側フィルターエレメントと共に下流側フィルターチャンバーの範囲を規定する。好ましくは、ろ過剤は上流側及び下流側フィルターチャンバー内に位置し、そして有利には、上流側フィルターチャンバー内のろ過剤は粗粒子であり、下流側フィルターチャンバー内のろ過剤は微粒子である。
【0031】
本発明の別の態様では、上流側フィルターチャンバー内のろ過剤は粒子状活性炭を含んで構成され、好ましくは、粒子状活性炭は木炭から得られるものである。そして好ましくは、上流側フィルターチャンバー内の粒子状活性炭素材の粒径は800ミクロンから1200ミクロンの幅に収まる。また有利には、上流側フィルターチャンバー内の粒子状活性炭の粒径は、900ミクロンから1100ミクロンの幅に収まり、理想的には、上流側フィルターチャンバー内の粒子状活性炭の粒径はほぼ1000ミクロン程度である。
【0032】
本発明の別の態様では、下流側フィルターチャンバー内のろ過剤は粒子状活性炭を含んで構成され、好ましくは、粒子状活性炭は椰子殻から得られるものである。そして好ましくは、下流側フィルターチャンバー内の粒子状活性炭素材の粒径は200ミクロンから600ミクロンの幅に収まる。また有利には、下流側フィルターチャンバー内の粒子状活性炭素材の粒径は300ミクロンから500ミクロンの幅に収まり、理想的には、下流側フィルターチャンバー内の粒子状活性炭素材の粒径はほぼ400ミクロン程度である。
【0033】
本発明の別の態様では、ろ過装置は容器からの液体をろ過するのに適しており、その結合手段は、中央に穴の通ったチューブ結合部材を含んで構成される。そして好ましくは、結合部材の一方は容器の出口にあるねじと係合するように、内側にねじ山が刻まれた前記穴の一端で終わり、穴のもう一方の端は、ろ過装置のハウジングに刻まれた雄ねじと係合する雌ねじで終わる。あるいは、ろ過装置は、水道水などの液体をろ過するのに適しており、好ましくは、結合手段は蛇口の出口にはめ込む、中央に穴の通ったチューブ結合部材を含んで構成される。
【0034】
本発明のさらなる態様では、密閉手段は、好ましくは、ろ過装置の出口を閉じる密閉部材を含んで構成される。理想的には、密閉部材はハウジングと蝶番により接続される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明が用いられているろ過装置の斜視図。
【図2】本発明が用いられているろ過装置を示す図1の断面斜視図。
【図3】図1のろ過装置の部分を示す斜視図。
【図4】図1のろ過装置の部分を示す図3とは異なる別の斜視図。
【図5】図1のろ過装置の断面斜視図。
【図6】図1のろ過装置の部分を示す図3の断面斜視図。
【図7】本発明の別の実施形態によるろ過装置の部分を示す図6と同様の図。
【図8】本発明の更なるの実施形態によるろ過装置の部分を示す図6と同様の図。
【図9】本発明の更に別の実施形態によるろ過装置の部分を示す図6と同様の図。
【図10】本発明によるろ過装置の別の実施形態の分解斜視図。
【図10a】図10のろ過装置の交換式カートリッジの底部の斜視図。
【図11】図10の組み立てられた実施形態の部分断面図。
【図12】本発明によるろ過装置の別の実施形態の部分断面図。
【図13】本発明によるろ過装置の更なるの実施形態の部分断面図。
【図14】本発明によるろ過装置の別の実施形態の部分断面図。
【図15】本発明によるろ過装置のまた更なる実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、あくまでも例として示した本発明のいくつかの実施形態に関して、添付図面を参照して以下に説明することにより、より明確に理解される。
【0037】
図面、主として図1から図6までを参照すると、これには本発明によるろ過装置が図示されており、液体源からの液体をろ過するためのろ過装置が参照番号1により概略的に示されている。尚、本発明のこの実施形態においては、容器は、炭酸ガス抜きミネラルウォーターもしくはスパークリングウォーターが収納されて一般的に販売されているプラスチックボトル(3)をさす。一般にボトル(3)はその容積が0.25リットルから2リットルであるが(場合によっては)更に大きいこともあり、最大で5リットルである。ろ過装置(1)はプラスチック素材の四つの部分からなるハウジング(5)を含んで構成される。すなわち上流側部分(6)、下流側部分(7)、そして一組の中間部分(8)であり、それらすべては主として超音波溶接や食品安全性接着剤などの、それぞれを固定するのに適切な固定手段により互いに固定された、射出成形されたプラスチック材である。図に示すように、上流側、下流側及び中間部分(6)、(7)及び(8)はラップジョイント(9)により互いに接続される。液体供給ダクト(10)は、ハウジング(5)の上流側、下流側及び中間部分(6)、(7)及び(8)を通じて延びており、ボトル(3)と接続される上流側端部(11)から始まって、人がじかに水を飲むか、あるいはボトル(3)から水を注ぐ下流側端部(12)で終わっている。結合手段は、本発明のこの実施形態において結合部材(15)は、以下に詳細を記すが、ハウジング(5)をボトル(3)の出口(16)に隣接して接続する。
【0038】
フィルター保持部(17)、(18)及び(19)は内部のフィルターを保持するため、液体供給ダクト(10)内に位置する。フィルター保持部(17)は上流側フィルターエレメント(20)を保持するが、本発明のこの実施形態においては、上流側フィルターエレメント(20)は、200ミクロンよりも大きい粒子が通り抜けることを阻止できる網目サイズの網フィルターにより提供される。本発明のこの実施形態におけるフィルター保持部(18)は、中間フィルターエレメント(22)を保持するが、本発明のこの実施形態においては、中間フィルターエレメント(22)はそれぞれ抗バクテリア剤として作用する、珪藻土及び銅を含むセラミック剤組成から成るセラミックフィルターである。中間フィルターエレメント(22)内に位置する下流側フィルターエレメント(24)はフィルター保持部(19)により保持される。本発明のこの実施形態においては、下流側フィルターエレメント(24)もまた、中間フィルターエレメント(22)のセラミックフィルターとほぼ同様のセラミックフィルターが設けられる。珪藻土及び銅を含んで構成される中間及び下流側フィルターエレメント(22)及び(24)のセラミック剤組成は、同様に、またセルロース、フラックス及びCMCガム(カルボキシメチルナトリウムセルロース)として知られるセルロースガムを含んで構成される。セルロースは充填剤として作用し、フィルター製造の焼成工程において300℃で焼き落とすことにより、セラミックの内部にハニカム構造を残す。ブラノーゼはさらに可鍛性のある構造を作るために作用し、フラックスはフィルター製造の焼成工程において成分を、すなわち珪藻土と銅を結合する働きをし、完成したセラミックフィルターに更に強度を与える。フラックスはボラックスフリットでもかまわない。
【0039】
中間フィルターエレメント(22)は上流側フィルターエレメント(20)及び下流側フィルターエレメント(24)と共に、上流側フィルターチャンバー(25)と下流側フィルターチャンバー(26)の範囲をそれぞれ規定し、そこには上流側及び下流側微粒子ろ過剤が(図示省略)設置される。上流側ろ過剤は粗粒子サイズであり、下流側ろ過剤は微粒子サイズである。本発明の一実施形態において、下流側フィルターチャンバー(26)内のろ過剤は椰子殻から得られる細かい粒子状活性炭素材を含んで構成され、この実施形態においてはおよそ400ミクロン程度の微粒子サイズである。上流側フィルターチャンバー(25)内のろ過剤は木炭から得られる粒子状活性炭素材であり、およそ1000ミクロン程度の粗粒子サイズである。上流側及び下流側フィルターチャンバー(25)及び(26)内の粒子状活性炭素材は、水中の、鉄分を含む化学物質や金属と同様に、例えばE.coli等のバクテリアを除去殺菌するために提供される。
【0040】
逆止め弁(28)は、液体供給ダクト(10)内の出口(14)に隣接して、水がボトル(3)へ戻るのを防ぐために設置される。液体供給ダクト(10)の出口(14)に隣接した表面(29)は、水が出口(14)を通して排出され、もしくは吸い上げられている際、水中に存在するバクテリアを除去し、E.coliを殺菌するために、内周を銅めっきされている。表面(29)の銅めっきは、特にボトルが使用されない時、出口(14)にとどっている水中のE.coliを殺菌する。銅めっきはマウスピース内のE.coliの初期コロニーを殺菌するため、マウスピース内でのE.coliの繁殖を防ぐ。
【0041】
出口(14)を閉じるための密閉手段は、プラスチックヒンジ(31)によりハウジング(5)と接続された蓋(30)を含んで構成される。蓋(30)の内部の中央突起部(32)は出口(14)とかみあうことで密閉する。蓋(30)から伸びるリップ(33)は出口(14)から蓋(30)をヒンジ開きするためのグリップを提供する。
【0042】
結合部材(15)に戻るが、結合部材(15)は中央穴(35)が貫通する射出成形されたプラスチック材である。中央穴(35)は、その一端が雌ねじ(36)で終わる。尚、雌ねじを、ハウジング(5)の周囲に刻まれた雄ねじ(37)とかみあわすにより、結合部材(15)をハウジング(5)に固定する。また、中央穴(35)のもう一方の端は、ボトル(3)の出口(16)上の雄ねじとかみあう雌ねじで終わっている。雌ねじは、結合部材(15)をボトル(3)に固定し、これによりハウジング(5)をボトル(3)に固定する。
【0043】
上流側部分(6)の周りのねじ溝(41)内部に位置するO−リングシール(40)は、図2に示したようにボトル(3)の出口(16)の内側表面を密閉する。
【0044】
使用される場合、一般に、ハウジング(5)は結合部材(15)と結合されていない状態で販売される。一般に、結合部材(15)は、販売時にボトル(3)についているスクリューキャップのかわりに、ボトル(3)の出口(16)に固定されて提供される。ボトル(3)から水を飲みたい、もしくはボトル(3)から水を排出したいとき、蓋(30)は出口(14)からはずされ、水を飲みたいときは出口(14)から飲むことになる。あるいは、ボトル(3)から水を排出したいとき、例えばグラスやカップに水を注ぐときは、同様に水は出口(14)から排出される。水が液体供給ダクト(10)を通して吸い上げられるか、もしくは通過するにつれて、水はまず上流側網フィルターエレメント(20)により、次に上流側フィルターチャンバー(25)内の粒状活性炭ろ過剤により、そして中間セラミックフィルターエレメント(22)により、さらに下流側フィルターチャンバー(26)内の粒子状活性炭ろ過剤により、順次ろ過され、それから出口(14)の逆止め弁(28)を通過する前に下流側セラミックフィルターエレメント(24)によりろ過される。この段階で、ほとんどすべての微粒子、バクテリア、そして金属が、水から取り除かれる。
【0045】
図7に関して、参照番号50に概略的に示される本発明によるろ過装置の一部が図解される。ろ過装置(50)はろ過装置(1)とほぼ同様であり、同様の部品は同一の参照番号により特定される。ろ過装置(50)とろ過装置(1)の主な違いは、ろ過装置(50)において、中間フィルターエレメント(22)がセラミックフィルターにより提供されているかわりに、網フィルターにより提供されていることである。該網フィルターは、上流側フィルターエレメント(20)の網フィルターと類似しているが、しかし、網目サイズはより小さく、この場合中間フィルターエレメント(22)の網フィルターの網目サイズは、160ミクロンより大きい粒子がそこを通り抜けることを阻止できる大きさである。
【0046】
それ以外の点では、ろ過装置(50)はその利用法においてろ過装置(1)と同様である。
【0047】
図8に関しては、本発明の別の実施形態によるろ過装置(60)が図解される。ろ過装置(60)はろ過装置(1)と類似しており、同様の部品は同一の番号により特定される。ろ過装置(60)とろ過装置(1)の主な違いは、下流側フィルターエレメント(24)が、上流側フィルターエレメント(20)と同様、網フィルターにより提供されていることである。しかし、下流側フィルターエレメント(24)の網目サイズは、160ミクロンより大きい粒子がそこを通り抜けることを阻止できる大きさである。
【0048】
それ以外の点では、本発明の一実施形態であるろ過装置(60)はろ過装置(1)とその利用法において同様である。
【0049】
図9に関して、本発明のさらなる実施形態によるろ過装置(70)の一部が図解される。ろ過装置(70)はろ過装置(1)とほぼ同様であり、同様の部品は同一の参照番号で特定される。ろ過装置(70)とろ過装置(1)の主な違いは、ろ過装置(70)においては全てのフィルターエレメント、すなわち上流側フィルターエレメント(20)、中間フィルターエレメント(22)及び下流側フィルターエレメント(24)がそれぞれ上流側網フィルターエレメント(20)と同様のフィルターエレメントを備えていることであるが、例外は、中間及び下流側フィルターエレメント(22)及び(24)の網目サイズは、上流側フィルターエレメントのそれよりも小さいことである。本発明のこの実施形態において、中間フィルターエレメント(22)の網フィルターの網目サイズは160ミクロンより大きい粒子がそこを通り抜けることを阻止できる大きさであり、下流側フィルターエレメント(24)の網の網目サイズは、160ミクロンより大きい粒子がそこを通り抜けることを阻止できる大きさである。
【0050】
それ以外の点では、ろ過装置(70)はその利用においてろ過装置(1)と同様である。
【0051】
本発明によるろ過装置の利点は多い。とくに本発明によるろ過装置は水道水のろ過にとりわけ適している。ボトルは水道水で満たされており、ボトルから水を飲んでいるあいだ、水はフィルターを通して吸い上げられ、ろ過され、それにより水道水中のバクテリアや汚染物質及びその他の不純物が取り除かれる。
【0052】
ろ過装置は、ボトルからの水をろ過するために、ボトルと結合するのに適していると説明されてきたが、しかし、あらゆる容器からの水そして実際あらゆる容器からのあらゆる液体をろ過するために使われるものと予想される。また、ろ過装置は蛇口から水が流れ出るにつれ水道水がろ過されるよう、直接水道の蛇口に接続されるものと予想される。またろ過装置は水道管の蛇口上流側、実際には水道水をろ過するため水道管のそのほかのあらゆる適切な位置に設置されるものと予想される。更に、ろ過装置はあらゆる液体源から液体をろ過するのに適しており、その場合、ろ過装置の結合手段は、液体源に結合するのに適しているものと予想される。
【0053】
図10、図10a及び図11に関しては、本発明によるろ過装置の別の実施形態の分解斜視図が示されている。この実施形態において、ろ過装置(100)は、前述したボトル(3)にはめるためのボトルキャップ(101)を含んで構成される。ボトルキャップ(101)は、ボトルキャップ(101)と係合可能な交換式カートリッジ(102)を包含する。カートリッジ(102)はカートリッジハウジング(103)及びボトルキャップ(101)のトップ(106)にねじ込むねじ山フランジ(105)を有するヘッド(104)を含んで構成される。ヘッド(104)に密閉キャップ(107)を固定する。逆止め弁(108)はヘッド(104)の内部にはめ込まれる。カートリッジハウジング(103)の上端(109)はヘッド(104)に固定されてもよい。もしくはフランジ(105)の内部に隣接して密閉連結されてもよい。
【0054】
カートリッジ(102)は、内部に固定される薄膜フィルター(110)及び環状シール(112)を有するセラミックフィルター(111)を有している。セラミックフィルター(111)は前述した珪藻土と銅を含んで構成される。
【0055】
セラミックフィルター(111)と薄膜フィルター(110)間の空間により、コンパートメント(118)の範囲が規定され、コンパートメント(118)内には、前述した粒子状活性炭の形でろ過剤(113)が提供される。粒子状活性炭は、有利には、銅を侵含させている。
【0056】
Oリングシール(114)はカートリッジハウジング(103)の端部(115)に設置され、カートリッジハウジング(103)をろ過する液体の入ったボトル(3)のネック(117)の内表面(116)に密閉する。
【0057】
カートリッジの下端(120)の内部には、ボトル(3)からカートリッジに入ってきた液体に、螺旋流を引き起こす複数の弁(121)が備えられる。
【0058】
一実施形態ではカートリッジ(103)は、セラミックフィルター(111)のみ、もしくは薄膜フィルター(110)のみ、もしくは粒子状活性炭(113)の形のろ過剤のみ、もしくは銅を侵含させた粒子状活性炭もしくはこれらの任意の組み合わせによるフィルターを含む。たとえば、セラミックフィルターと粒子状活性炭又は銅を侵含させた粒子状活性炭、セラミックフィルターと薄膜フィルター、薄膜フィルターと粒子状活性炭又は銅を侵含させた粒子状活性炭などの組み合わせは含まれる。これらの例はしかし、カートリッジが前述のように薄膜フィルター(110)とセラミックフィルター(111)、及び粒子状活性炭の形のろ過剤、もし必要ならば銅を侵含させたもの、を含んでいる。
【0059】
出口(14)に近接した液体供給ダクト(10)の表面(29)は前述のとおり銅めっきされている。ボトルキャップ(101)は、ボトル(3)の出口(16)上にある雄ねじとかみあう雌ねじを有しており、中央穴(35)の範囲を規定する。ボトル(3)の中の液体は、逆止め弁(108)(これは付随的なものだが)を通過した後、ろ過装置(100)の出口(14)から流れ出るまで、まず薄膜フィルター(110)によりろ過され、次に粒子状活性炭(113)(もしくは銅を侵含させた粒子状活性炭)により、そして最後にセラミックフィルター(111)によりろ過される。
【0060】
それゆえ、本発明が、薄膜フィルター(110)、セラミックフィルター(111)、粒子状活性炭の形の、もしくは銅を侵含させた粒子状活性炭の形のろ過剤のいずれかを含んで構成されたフィルターエレメントもしくはろ過手段を組み込んだろ過装置(100)を提供するのは明らかである。ろ過装置(100)は前述のように交換式カートリッジ(102)を有してもよい。これにかわるものとして、交換式カートリッジ(102)の必要性をなくして、ボトルキャップ(101)の内部でフィルターエレメント又はろ過手段を設置してもよいことも明らかである。交換式カートリッジ(102)の利点は、使用によりろ過能力や効率が下がった場合、新しいカートリッジと交換できることである。そして使い終わったカートリッジは処分するか、あるいはフィルターエレメントを再充填することができる。もしフィルターエレメントもしくはろ過手段がカートリッジの中に配置されておらず、ボトルキャップ(101)と一体化させて配置されていたら、使用により装置全体のろ過効率が下がった場合ボトルキャップ(101)全体を処分しなければならない。
【0061】
図12には本発明のさらなる実施形態が示されている。この実施形態と図11に示した実施形態の主な違いは、カートリッジ(102)が薄膜フィルター(110a)により分離された2つのコンパートメント(118a)及び(118b)を有していることである。上部コンパートメント(118a)には細粒の粒子状活性炭が入っており、下部コンパートメント(118b)には粗粒の粒子状活性炭が入っている。コンパートメント(118a)及びコンパートメント(118b)内部の粒子状活性炭は必要ならばそれぞれ銅を侵含させたものでもよい。この構造では、カートリッジハウジング(103)は、間に薄膜フィルター(110a)が設けられた2つの部分から構成され、超音波により2つの部分をお互いに溶接することが出来る。コンパートメント(118a)及び(118b)内部の粒子状活性炭は同一タイプ、同一グレードであっても、もしくは要求されるろ過条件に応じてかえてもかまわないことは明らかである。
【0062】
図13では本発明のさらなる実施形態が図解されている。この実施形態と図10〜図12に関して説明された実施形態との主な違いは、カートリッジがないことである。ヘッド(104)はボトルキャップ(101)に超音波溶接で固定されている。コンパートメント(118)はボトルキャップ(101)内部に範囲を規定され、粒子状活性炭又は銅を侵含させた粒子状活性炭を含む。ボトルキャップ(101)は前述と同様の方法によりボトル(3)の端に固定が可能である。類似した部分を示すため同様の参照番号が使われている。フェイスシール(120)は、ボトル(3)の出口(16)の上端がボトルキャップ(101)のフランジ(121)と隣接して位置する。フェイスシール(120)は薄膜フィルター(110)と隣接し、保持するように配置することが出来る。
【0063】
かわりに、ボトルキャップ(101)は薄膜フィルター(110)、セラミックフィルター(111)、又はコンパートメント(118)に収められた粒子状活性炭か、もしくは銅を侵含させた粒子状活性炭のうちのいずれか1つのフィルターのみを持つことが出来る。さらに、ボトルキャップ(101)は上記のフィルターのうちの2つを備えることが可能である。その上、必要があれば、コンパートメント(118)は、それぞれ例えば異なった大きさや種類の粒子状活性炭などの様々なろ過手段を有する(薄膜フィルターにより分けられた)2つのコンパートメントにしてもよい。
【0064】
図14では、粒子状活性炭の形のフィルターがないことを除いて図13と同様の、本発明による実施形態が示されている。コンパートメント(118)は非常に小さく、必要であれば除去することももちろん出来る。従って、この配置では、セラミックフィルター(111)と薄膜フィルター(110)のみを有するろ過装置(100)が示されている。ろ過装置が薄膜フィルター(110)のみ、又はセラミックフィルター(111)のみ、あるいは粒子状活性炭の形のフィルターのみを含んで構成されるために、どちらか一方のフィルターを除去することが出来ることは明らかである。
【0065】
図15では、薄膜フィルター(110a)で区切られた2つのコンパートメント(118a)及び(118b)が設けられていること除き、図13と同様な、本発明による実施形態が示される。コンパートメント(118a)及び(118b)には、例えばコンパートメント(118a)には粗粒子を、そしてコンパートメント(118b)には微粒子を、という具合に、異なる種類又は異なる粒度の粒子状活性炭を収めてもよい。あるいは、どちらか一方又は両コンパートメント内の炭素に銅を侵含させたものとしてもよい。
【0066】
本発明はさらにセラミックフィルターを提供する。それは、
(a)重量の約75%から約95%の珪藻土と、
(b)重量の約10%から約20%のフラックスと、そして
(c)重量の約0.03%から約0.4%の金属化合物と、
を含んで構成される。
これらのパーセントはセラミックフィルターの重量に対するパーセントである。
【0067】
本明細書において、用語「フラックス」は、原料の融点を下げ、セラミックの結合形成を誘発するガラス化物質(vitrifying agent)を意味する。
【0068】
6属から12属の銀以外の金属化合物は本発明に適した金属化合物である。こうした金属化合物は、好ましくは、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛の中から選ばれる。より好ましくは、銅又は亜鉛から選ばれる。特に銅が好適である。金属化合物はセラミックフィルター中にセラミックフィルターの重量のうち、好ましくは、約0.05%から約0.3%含まれる。中でも好ましくは、約0.1%から約0.25%、より好ましくは、約0.13%から約0.23%、最も好ましくは、約0.18%含まれる。
【0069】
セラミックフィルターは直径1.5ミクロン以上の物質を上手に取り除くことができる。
【0070】
本発明のセラミックフィルターは、好ましくは、約0.30から約0.55の圧縮比であり、より好ましくは、約0.35から約0.50、又は約0.37から約0.45である。圧縮比は0.40が好適である。本明細書において、用語「圧縮比」とは、焼成後のセラミックの厚さ(ミリメートル)の、焼成前のセラミックフィルターの厚さ(ミリメートル)に対する比であり、この場合、焼成中には、0.08kg/cmの荷重がセラミックフィルターに加えられていたということである。
【0071】
本発明のセラミックフィルターは、好ましくは、約2.0mmから約4.5mmの厚さであり、より好ましくは、約2.5mmから約4.0mmである。約3.2mmの厚さが好適である。
【0072】
好ましくは、珪藻土は少なくとも70%のシリカを含む。シリカ、ナトリウム、マグネシウム及びフェライトを含んで構成される珪藻土が好適である。珪藻土は、Celatomという商品名で販売され、少なくとも70%のシリカ、約4%から約8%のナトリウム、約2%から約4%のマグネシウム、そして約1.5%から約2.5%のフェライトを含んで構成されるものが好ましい。珪藻土は、好ましくはCelatomFWという商品名で販売されている珪藻土であり、より好ましくは:Celatom
FW−12(平均流径約24μmを有し、粒度約0.7μmの粒子の除去可能)、
FW−14(平均流径約28μmを有し、粒度約0.75μmの粒子の除去可能)、
FW−18(平均流径約31μmを有し、粒度約0.8μmの粒子の除去可能)、
FW−20(平均流径約33μmを有し、粒度約0.9μmの粒子の除去可能)、
FW−40(平均流径約40μmを有し、粒度約1.0μmの粒子の除去可能)、
FW−50(平均流径約42μmを有し、粒度約1.1μmの粒子の除去可能)、
FW−60(平均流径約48μmを有し、粒度約1.2μmの粒子の除去可能)、
又は
FW−80(平均流径約77μmを有し、粒度約1.6μmの粒子の除去可能)
という商品名で販売されている珪藻土、もしくはそれらの混合物である。
【0073】
珪藻土は、2もしくは複数の異なる粒径の珪藻土の混合物、たとえば、平均粒径約25μmから約30μmの珪藻土と、平均粒径約75μmから約80μmの珪藻土の混合物、を含んで構成されてもよい。平均粒径約28μmの珪藻土と、平均粒径約77μmの珪藻土の混合物が好適である。2つの珪藻土の混合物が使われる場合、珪藻土は、好ましくは、粒度が約0.5μmから約3.0μmの粒子を、より好ましくは、粒度が約1.0μmから約2.5μmの粒子を、そしてより好ましくは、約1.5μmから約2.0μmの粒子を取り除ける。CelatomFW−14及びFW−80という商品名で販売されている珪藻土の混合物が好ましく、好ましくは、珪藻土の重量比が約30:70から約70:30の混合であり、より好ましくは、約60:40から約40:60の混合であり、最も好ましくは、約50:50の混合である。CelatomFW−14及びFW−80という商品名で販売されている珪藻土の50:50の混合物が好適である。
【0074】
珪藻土は、好ましくは、セラミックフィルターの重量パーセント約80%から約90%存在するが、中でも好ましくは、約81%から約87%、より好ましくは、約83%から約85%、最も好ましくは、約84%の量が存在する。
【0075】
フラックスはフィルターの製造において、焼成工程中に構成物質を、すなわち、珪藻土と金属化合物を結びつける働きをし、完成したセラミックフィルターに付加的な強度を与える。本発明に利用するのに適したフラックスは、炭酸バリウム(BaCO)、バリウム(BaSO)、方解石(CaCO)、チョーク(CaCO)、コーンウォール石(可変)、ドロマイト(CaCO;MgCO)、長石(炭酸カリウム)(KO;Al;6SiO)、長石(ソーダ)(NaO;Al;6SiO)、レピドライト(LiF;Al;3SiO)、ライムストーン(CaCO)、炭酸リチウム(LiCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸マグネシウム(発火物)(3MgCO;Mg(OH);3HO)、炭酸マンガン(MnCO)、酸化マンガン(MnO)、霞石閃長岩((K)NaO;Al;4SiO(約))、葉長石(LiO;Al;8SiO)、炭酸カリウム(真珠灰)(KCO)、玄武岩や花崗岩の岩石粉末、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)(NaCO)、リシア輝石(LiO;Al;4SiO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、滑石(3MgO;4SiO;HO)、重質炭酸カルシウム(CaCO)、珪灰石(CaO;SiO)、木灰(可溶性のものを含む)(可変)(多くの場合、石灰に多く含まれる)、酸化亜鉛(ZnO)、ホウ素化合物を含む。
【0076】
ホウ素化合物はとくに好ましいものであり、好ましくは、ホウ素の酸化物、ホウ素塩及びホウ素塩の水和物である。適切な塩にはホウ素又はホウ酸のアルカリ金属塩が含まれる。3ホウ酸ナトリウム10水和物として知られるホウ酸ナトリウム、3ホウ酸2ナトリウム、ホウ砂10水和物もしくはホウ砂(Na・10HO)のほうが好ましい。
【0077】
適切なホウ素酸化物は、コレマナイト(2CaO;3B・5HO(可変))、ガーストレーボレート(コレマナイト(Ca11・5HO)とウレキサイト(NaO・2CaO・5Ba・5HO)の混合物)、及び化学式Bの酸化ホウ素が含まれる。化学式Bのホウ素か、好ましくは随意で非晶形である。ホウ酸(B)、酸化アルミニウム(Al)及びシリカ(SiO)の少なくとも1つを含んで構成されたフラックスが好ましく、特に約10%から約30%、好ましくは約20%の酸化ホウ素、約2%から約15%、好ましくは約8%の酸化アルミニウム、そして、約40%から約60%、好ましくは50%のシリカを含んで構成される。ホウ素を含んで構成されるフリットが好ましく、特に酸化ホウ素を含んで構成されるフリットが好ましい。酸化ホウ素(B)、酸化アルミニウム(Al)、及びシリカ(SiO)の少なくとも1つを含んで構成されるフリットが好適である。ホウ素フリットは約10%から約30%、好ましくは、約20%の酸化ホウ素と、約2%から約15%の、好ましくは、約8%の酸化アルミニウム及び、約40%から約60%、好ましくは約50%のシリカを含んで構成される。
【0078】
フラックスの焼成温度は好ましくは約300℃から約1500℃であるが、その中で好ましくは約400℃から約1300℃、より好ましくは約500℃から約1200℃である。約1050℃の焼成温度が好適である。焼成温度が約1085℃のホウ素フリットが特に好ましい。
【0079】
フラックスは好ましくはセラミックフィルターの重量パーセント約12%から約18%の量が存在しており、その中で好ましくは約14%から約16%、更に好ましくは約15%の量が存在する。ホウ素フリットは約15%含まれるのが特に好ましい。
【0080】
本発明はまた、本発明によるセラミックフィルターを形成する組成も提供する。その組成は(a)重量パーセント約10%から約30%の珪藻土と、(b)重量パーセント約1%から約6%のフラックスと、(c)重量パーセント約0.05%から約1.0%の金属化合物もしくはそれらの塩もしくはそれらの塩の水和物と、(d)重量パーセント約0.5%から約6%のセルロースガムと、そして(e)重量パーセント約2%から約10%の充填剤及び(f)重量パーセント約50%から約85%の水を含んで構成される。これらの重量パーセントは、全組成の重量パーセントである。
【0081】
金属化合物は、上で特定したセラミックフィルターに適した金属化合物でよく、好ましくは、塩か塩の水和物の形で組成中に存在する。塩は好ましくは、硫酸塩、炭酸塩、塩素化合物、酢酸塩から選ばれるが、硫酸塩が最も好ましい。硫酸銅もしくはその水和物が好ましく、特に硫酸銅6水和物が好ましい。
【0082】
組成中に、金属化合物、又はそれらの塩、又はそれらの塩の水和物は、好ましくは、全組成の重量パーセント約0.07%から約0.8%の量が存在し、より好ましくは、約0.1%から約0.5%、更に好ましくは、約0.1%から約0.3%、そして最も好ましくは、約0.2%の量が存在する。
【0083】
珪藻土は上記のセラミックフィルターに適しており、好ましくは、全組成の重量パーセント約14%から約26%の量が存在し、より好ましくは、約16%から約24%、更に好ましくは、約18%から約22%、そして最も好ましくは、約20%の量が存在する。
【0084】
フラックスは上記のセラミックフィルターに適しており、好ましくは、全組成の重量パーセント約2%から約5%の量が存在し、より好ましくは、約2.5%から約4.5%、更に好ましくは約3%から約4%、そして最も好ましくは、約3.8%の量が存在する。
【0085】
組成中のセルロースガムは可鍛性のある構成を作る働きをする。適切なセルロースガムはメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ハイドロキシメチルセルロース、ハイドロキシプロピルセルロース、ハイドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの混合物を含む。カルボキシメチルセルロースが好適である。変性セルロースガムが特に好ましく、好ましくは、変性カルボキシルメチルセルロースであり、特にナトリウムカルボキシメチルセルロースである。ブラノーゼという商品名でフランスのHercules S.A.,Alizay社から販売されているナトリウムカルボキシメチルセルロースが好ましい。セルロースガムは好ましくは全組成の重量パーセント約1%から約5%の量が存在し、その中でも好ましくは約1.5%から約4%、更に好ましくは約2%から約3%、そして最も好ましくは約2.3%の量が存在する。ナトリウムカルボキシメチルセルロースが約2.3%含まれるのが特に好ましい。
【0086】
組成中で使用される充填剤は麻、綿、フラックス、シルク、羊毛、セルロース及びそれらの混合物を含む。セルロースが好適である。充填剤は全組成の重量パーセント約3%から約7%の量存在してよく、好ましくは、約3.5%から約6%、更に好ましくは約4%から約5%、そして最も好ましくは約4.3%の量が存在してよい。セルロースは約4.3%含まれるのが好適である。充填剤はセラミックフィルターの製造の焼成過程において焼き落とされ、セラミック内にハニカム構造を残す。セルロースは典型的には約300℃で焼き落とされる。
【0087】
水は、全組成の重量パーセント約55%から約80%の量が存在してよく、好ましくは約60%から約75%、更に好ましくは約65%から約70%、そして最も好ましくは約68%の量が存在する。
【0088】
本発明はまた、本発明によるセラミックフィルターを形成するための先行フィルターを提供する。先行フィルターは、
(a)重量パーセント約50%から約90%の珪藻土と、
(b)重量パーセント約2%から約20%のフラックスと、
(c)重量パーセント約0.1%から約1.5%の金属化合物又はそれらの塩又はそれらの塩の水和物と、
(d)重量パーセント約2%から約20%のセルロースガムと、そして
(e)重量パーセント約5%から約35%の充填剤を含んで構成される。
重量パーセントは先行フィルター全重量の重量パーセントである。
【0089】
先行フィルター内に存在する金属化合物又はそれらの塩、又はそれらの塩の水和物、珪藻土、フラックス、セルロースガム、そして充填剤はそれぞれ上記の組成で規定される。
【0090】
金属化合物又はそれらの塩、又はそれらの塩の水和物は、好ましくは、先行フィルター全重量の重量パーセント約0.2%から約1.2%の量が存在し、より好ましくは、約0.3%から約1.0%、更に好ましくは、約0.4%から約0.8%、そして最も好ましくは、約0.5%の量が存在する。
【0091】
珪藻土は、好ましくは、先行フィルター全重量の重量パーセント約55%から約90%の量が存在し、好ましくは、約60%から約85%、より好ましくは、約62%から約80%、そして最も好ましくは、約65%の量が存在する。
【0092】
フラックスは、先行フィルター全重量の重量パーセント約5%から約15%の量が存在してよく、好ましくは、約8%から約14%、より好ましくは、約12%の量が存在してよい。
【0093】
セルロースガムは、好ましくは、先行フィルター全重量の重量パーセント約4%から約15%の量が存在し、好ましくは、約5%から約10%、より好ましくは、約8%の量が存在する。
【0094】
充填剤は、好ましくは、先行フィルター全重量の重量パーセント約8%から約30%の量が存在し、そして好ましくは、約10%から約25%、より好ましくは、約13%の量が存在する。
【0095】
本発明はまた、本発明によるセラミックフィルターを作成する方法を提供する。その方法は
(A)以下の材料を混ぜ合わせることで本発明による組成物を形成するステップと、
(a)重量パーセント約10%から約30%の珪藻土と、
(b)重量パーセント約1%から約6%のフラックスと、
(c)重量パーセント約0.05%から約1.0%の金属化合物又はそれらの塩又
はそれらの塩の水和物と、
(d)重量パーセント約0.5%から約6%のセルロースガムと、そして
(e)重量パーセント約2%から約10%の充填剤及び
(f)重量パーセント約50%から約85%の水
これらの重量パーセントは全組成物の重量パーセントである。
(B)形成可能な固さにするため、構成物から水分を一部除去するステップと、
(C)残留水を全て除去し、本発明による先行フィルターを形成するために、組成物を乾燥させるステップと、そして
(D)セラミックフィルターを形成するため焼成するステップとを含んで構成される。
【0096】
ステップ(A)において、組成物の原料は、好ましくは、約20℃から約40℃の温度で結合され、より好ましくは、約30℃で結合される。
【0097】
ステップ(A)において、組成物の原料は、好ましくは、以下の添加順序で混ぜ合わされる。
(i)金属化合物又はその塩又はその塩の水和物を水に加え、
(ii)得られた混合物にセルロースガムを加え、
(iii)得られた混合物にフラックスを加え、
(iv)得られた混合物に充填剤を加え、そして
(v)得られた混合物に珪藻土を加える。
【0098】
ステップ(B)において、好ましくは、構成物を約30分から約5時間ねかせ、より好ましくは、約1時間から約3時間、最も好ましくは、約2時間ねかせる。また、好ましくは、温度約20℃から約40℃で、より好ましくは、約30℃でねかせる。組成物を形成に適した固さにすることは、好みの形に切り取る上で都合がよい。
【0099】
ステップ(B)からステップ(C)までの間で、組成物を好きな形にきっておくのが好ましい。好みの形はどのような適当な形であってもよいが、好ましくは略円盤状であり、より好ましくは、直径は約20mmから約25mmであり、その中でも好ましくは、ほぼ22mmである。
【0100】
ステップ(C)は、組成物を、好ましくは、約30分から約2時間、そして好ましくは、約1時間、約90℃から約110℃、好ましくは、約100℃の温度で熱することを含んで構成される。
【0101】
ステップ(D)において、焼成は好ましくは、約800℃から約1200℃で、より好ましくは、約900℃から約1150℃で、更に好ましくは、約1000℃から約1100℃で、そして最も好ましくは、約1085℃で行われる。先行フィルターは、好ましくは、約4時間から約11時間、より好ましくは、約6時間から約9時間焼成、そして最も好ましくは、約8.25時間焼成される。
【0102】
この方法は焼成中(ステップ(D))に、先行フィルターを圧縮するために負荷を加えることを含んで構成される。負荷は好ましくは、約0.05kg/cmから約0.1kg/cm、そして好ましくは、約0.08kg/cmである。
【0103】
本発明によるセラミックフィルターは以下の利点を含む。
・水道水からクリプトスポリジウムやジルジア属を含むバクテリアを完全にもしくはほぼ完全に除去する。
・フィルター内の金属化合物が銅であった場合、都合のよいことに、抗バクテリア剤として働く。
・セラミックフィルターは優れたろ過性と抗チバクテリア性のいずれも持ち合わせている。
【0104】
以下の例は本発明を説明するために示されるが、本発明がこれらの例のみに制限されるものでないことは理解されるだろう。
【0105】
(実施例1)
セラミックフィルターは表1に記載の材料と表2のステップに従って製造された。
【0106】
【表1】

【0107】
ブラノーゼ:カルボキシメチルセルロース
ホウ素フリット:Al(7.5%)、B(18.0%)、SiO(50.0%)、CaO+MgO(14.0%)、LiO+NaO+KO(10.3%)Johnson Mathey Ceramics社(英国Stoke−on−Trent)から購入
珪藻土:商品名CelatomFW−14及びFW−80で市販の珪藻土50:50の混合物
【0108】
【表2】

【0109】
(実施例2)
実施例1の表2のステップ16において製造された先行フィルターの分析結果を表3に示す。
【0110】
【表3】

【0111】
ブラノーゼ:カルボキシメチルセルロース
ホウ素フリット:Al(7.5%)、B(18.0%)、SiO(50.0%)、CaO+MgO(14.0%)、LiO+NaO+KO(10.3%)、Johnson Mathey Ceramics社(英国Stoke−on−Trent)から購入
珪藻土:商品名CelatomFW−14及びFW−80で市販の珪藻土50:50の混合物
【0112】
(実施例3)
実施例1の表2のステップ20で得られた本発明によるセラミックフィルターの分析内容を表4に示す。
【0113】
【表4】

【0114】
珪藻土:商品名CelatomFW−14及びFW−80で市販の珪藻土50:50の混合物
【0115】
セラミックフィルターはフリットと他の構成物質も含んで構成されている。
【0116】
(実施例4)
実施例1で入手され、典型的な含有内容を実施例3で示した6つのセラミックフィルターを対象に、200個のジルジアシスト及び200個のクリプトスポリジウムオーシストを混入した非電離水を使いろ過テストを行った。実験に先立ち、それぞれのフィルターの厚さと圧縮比が決められた。混入された10リットルの水はいずれのセラミックフィルターも10kPaの圧力で1litre/minの割合でろ過された。その水に含まれるクリプトスポリジウム及びジルジア属について、ろ過前及びろ過後で分析した。その結果を表5に示す。
【0117】
【表5】

【0118】
本発明によるセラミックフィルターは最高98%までのクリプトスポリジウムを除去し、最高100%までのジルジア属を除去したことがわかる。厚さ3.04mm、圧縮比0.43のセラミックフィルターNo.6を使用した場合に、最高の結果が得られた。
【0119】
要約すると、本発明によるセラミックフィルターは原生生物に対して、優れたろ過性を示し、幅広い用途に利用されるものと思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する液体をろ過するためのろ過装置であって、
液体源(3)に対して固定し、液体を流通させる液体供給ダクト(10)を有するハウジング(101)を含んで構成され、
前記液体供給ダクト(10)は、前記液体源と接続する上流側端部から、前記液体が排出される前記ろ過装置の出口(14)で終わる下流側端部まで延び、
通過する前記液体からバクテリアをほとんど除去するフィルターエレメントを組み込んだことを特徴とする、前記ろ過装置。
【請求項2】
前記フィルターエレメントはセラミックフィルター(111)を含んで構成される、請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
前記セラミックフィルターエレメント(111)は、前記ろ過装置に着脱自由な交換式フィルターカートリッジ(102)内に収められた、請求項2に記載のろ過装置。
【請求項4】
前記セラミックフィルターエレメント(111)が、少なくとも珪藻土及び銅を含んで構成される請求項2又は3に記載のろ過装置。
【請求項5】
粒子状活性炭(113)を含んで構成される付加的なフィルターを備えた、請求項2〜4のいずれか1つに記載のろ過装置。
【請求項6】
薄膜フィルター(110)を更に備えた前記請求項1〜5のいずれか1つに記載のろ過装置。
【請求項7】
前記薄膜フィルター(110)は、前記液体供給ダクト(10)の上流側に配置されて、前記ダクトを通過する液体から粒子状物質を除去する上流側フィルターエレメントであり、
前記セラミックフィルター(111)は、前記上流側フィルターエレメント(110)の下流側に配置された下流側フィルターエレメントであって、上流側フィルターエレメントとの間にフィルターチャンバー(118)を構成し、
ろ過剤は、粒子状活性炭(113)の形でフィルターチャンバー内に配置され、前記液体供給ダクトを通過する前記液体からバクテリアを除去する請求項6に記載のろ過装置。
【請求項8】
それぞれ粒子状活性炭を収納した上流側チャンバー(118b)及び下流チャンバー(118a)を備えた請求項7に記載のろ過装置。
【請求項9】
前記上流側及び下流側フィルターチャンバー(118a、118b)は、フィルター薄幕(110a)により分離された請求項8に記載のフィルターエレメント。
【請求項10】
前記上流側及び下流側フィルターチャンバーの少なくとも一方内の前記粒子状活性炭に銅を侵含させた請求項5〜9のいずれか1つに記載のフィルターエレメント。
【請求項11】
前記フィルターエレメントは、粒子状活性炭(113)を含んで構成される、請求項1に記載のろ過装置。
【請求項12】
前記粒子状活性炭は、前記ろ過装置内に配置された交換式フィルターカートリッジ(102)内に収められた請求項11に記載のろ過装置。
【請求項13】
前記粒子状活性炭に銅を侵含させた請求項11又は12に記載のろ過装置。
【請求項14】
それぞれ粒子状活性炭が収められた、上流側チャンバー(118b)及び下流側チャンバー(118a)を備えた請求項11,12又は13に記載のろ過装置。
【請求項15】
前記上流側及び下流側チャンバー(118b、118a)は、薄膜フィルター(110a)により分離された請求項14に記載のろ過装置。
【請求項16】
前記上流側及び下流側フィルターチャンバーの少なくとも一方内の前記粒子状活性炭に銅を侵含させた請求項14又は15に記載のろ過装置。
【請求項17】
前記出口は、内表面及び外表面を有し、前記内表面が実質的に銅層(29)により被覆される前記請求項のいずれか1つに記載のろ過装置。
【請求項18】
液体容器と接続する結合手段(35、38)を備えた請求項1〜17のいずれか1つに記載のろ過装置。
【請求項19】
前記セラミックフィルターエレメントは、セルロース、フラックス及びセルロースガムを更に含んで構成される請求項4に記載のろ過装置。
【請求項20】
請求項1に記載のろ過装置に使用するフィルターカートリッジであって、前記請求項1〜19のいずれか1つに記載のフィルターエレメントを有するフィルターカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10a】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−539590(P2009−539590A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514701(P2009−514701)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005214
【国際公開番号】WO2007/144160
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(508368116)アクア−ニュー フィルトレイション システムズ リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】AQUA−NU FILTRATION SYSTEMS LIMITED
【Fターム(参考)】