液体を自動的に取り扱うコンテナおよび方法
【課題】一個以上の管材部分と、該管材部分を容易で直接的な様式で同時に閉成する手段とを備える、液体を全自動的に取り扱う方法、機器およびベッセルを提供すること。
【解決手段】本発明の、分析機器において流体状生体サンプルを自動的に取り扱う方法は、分析機器上に、受容部内に保持されると共に開口を有する受杯部分と開口を閉成するカバーを備えると共に受杯部分の一側に対して恒久的に取付けられるキャップ部分とを備えるコンテナと、取り扱い用ヘッドとを配備する段階を備える。自動操作の間に取り扱い用ヘッドは、カバーを開口に対して鉛直的に且つ可逆的に固定して閉成するための蓋体を有するコンテナの側部に対して接近し、蓋体に対して水平に圧力を行使することで、鉛直的で可逆的な固定からカバーを解除し、且つ、選択的に、該取り扱い用ヘッドを上昇させることによりカバーを上昇させて受杯部分を開成する。
【解決手段】本発明の、分析機器において流体状生体サンプルを自動的に取り扱う方法は、分析機器上に、受容部内に保持されると共に開口を有する受杯部分と開口を閉成するカバーを備えると共に受杯部分の一側に対して恒久的に取付けられるキャップ部分とを備えるコンテナと、取り扱い用ヘッドとを配備する段階を備える。自動操作の間に取り扱い用ヘッドは、カバーを開口に対して鉛直的に且つ可逆的に固定して閉成するための蓋体を有するコンテナの側部に対して接近し、蓋体に対して水平に圧力を行使することで、鉛直的で可逆的な固定からカバーを解除し、且つ、選択的に、該取り扱い用ヘッドを上昇させることによりカバーを上昇させて受杯部分を開成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸の精製および増幅の分野において分析機器内の流体状生体サンプルを自動的に取り扱う方法に関する。
【0002】
本発明は更に、分析機器において使用されるに適したコンテナ(container)および管材であって、流体状生体サンプルが自動的に取り扱われると共に上記機器は該流体状生体サンプルを取り扱いかつ処理し得るというコンテナおよび管材に関する。
【0003】
更に本発明は、当該コンテナ内で生体サンプルが処理されるというコンテナと組み合わせて、液体を自動的に取り扱う機器を利用することで生体サンプルを分析し得るシステムに関する。
【0004】
付加的に本発明は、ひとつの成形型内において異なる材料による製品の製造を許容するという所謂る多成分射出成形技術を用いて3種類のプラスチック材料から成るコンテナを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、核酸の増幅および分析に対して重要で普及した方法である。PCR反応を実施するために、反応ベッセル(反応容器:reaction vessel)は多くの要件を満たさねばならない。ベッセル(容器)は、該ベッセルからの液体の蒸発を回避すべく、PCR反応の間に緊密に閉じられねばならない。更に、ベッセルの内側の液体の温度は、ベッセル材料に関する一定の熱伝導特性を規定する加熱および/または冷却設備により与えられる外側の既定温度に対して即座に追随せねばならない。また特定のPCR用途においては増幅過程の間において光学的測定が実施されることから、透明性および自己蛍光に関するベッセル材料の特定の光学的要件が必要とされる。
【0006】
PCR用途に関して、ベッセルに対する種々の実施形態が一般的である。それらの殆どは同様の形状、すなわち一端における可逆的に閉成可能な開口と、円錐状に勾配付けられて恒久的に閉じられた第2端部とを備える管材を呈するが、蓋体、空間的整列および/または管材組み合わせに関する幾つかの実施形態が知られている。蓋体は、管材に対して堅固に取付けられ得るか、または、別体的なキャップ部分として提供され得る。更に、単一のベッセルとしての用途に加え、特定のベッセルは組み合わされて配置されることで、96個〜384個のキャビティを備えるプレートまたは6本〜8本の管材を備える細長片が形成される。
【0007】
反応ベッセルの斯かる配置構成は欧州公開EP 0642828に記述されており、その場合、環状的に設定されて同一の形状および寸法を有する複数の反応ベッセルを具備する第1部材、および、同様に環状的に配置されて上記反応ベッセルを気密に閉成し得る複数の蓋体を具備する第2部材は、液体混合物の温度サイクルを実施するための使い捨て可能な反応ベッセルの配置構成を形成している。これらの蓋体は開口内に載置されることで管材を緊密にシールする一方、欧州公開EP 0907083は、着脱可能で螺着可能なキャップにより閉成され得るサンプルの受杯(カップ)を示している。米国公開公報US20040234422には、液体を処理および/または格納する別のベッセル・システムが開示されており、該システムは、頂部にて開成された複数のベッセルであって相互接続されてユニットを形成する複数のベッセルによる2次元のベッセル配置構成と、該ベッセル配置構成に対応する蓋体要素の配置構成を有する2次元の蓋体配置構成であって上記ベッセルの開口を閉成し得るという2次元の蓋体配置構成とを備えている。
【0008】
PCRを実施する使い捨て可能なポリプロピレン製管材は典型的に下側の円錐部分と上側の円筒状部分とを有し、下側部分は、加熱ブロックにおける対応形状の孔に接触すると共に、管材の上記上側部分の壁部よりも相当に薄寸の壁部を有する。欧州公開EP 1275438は、円錐区画の壁厚は0.009〜0.012インチ(0.2286〜0.3048mm)±0.001インチ(0.0254mm)の範囲であって0.012インチ(0.3048mm)が最も好適な実施形態である一方、管材の長手軸心に対する壁部角度は下側の円錐部分において典型的に17°であることを開示している。
【0009】
米国特許第5,382,408号は、丸形の開口を有するコンテナと、該開口を覆うべく寸法設定されると共に上記コンテナに対して枢動的に接続されて摩擦的に着座される蓋部とを有する微小遠心管材を開示している。上記蓋部は、該蓋部が着座解除されて上記コンテナの開口から移動され得る如き様式で蓋部表面から上方に且つ上記枢動部から離間して外方に延在する蓋部延長部を有する。摩擦的に着座された上記蓋部は、管材に対する該蓋部の保持力が、主として(該蓋部の下側面上の)環状の蓋部シールの直径と上記微小遠心管材の丸形開口の直径とに依存し、且つ、射出成形部品に対して典型的である如く変化し易い、という不都合を有する。このことは、管材の内圧が蓋部に抗する力を生成するときに主たる不都合となることさえある。
【0010】
米国特許第5,577,626号は、開口にてコンテナに取付けるための基部と該基部に枢動的に接続された蓋部とを有する蓋体を開示している。上記蓋部は外方に突出する係合部材を有することから、ユーザはラッチを解除して上記係合部材に力を加えることで該部材を介して上記蓋部を揚動できる。しかし斯かる蓋体は該蓋部の自動的な開成に対しては有用でない、と言うのも、それには2つの同時的な移動、すなわちラッチの解除と上記部材を介した上記蓋部の同時的な揚動とが必要とされるからである。上記蓋部の最初の小さな移動の後、上記ラッチを解除する物体は退去せねばならず、自動的な開成に対する更なる不都合を呈する。
【0011】
生体サンプルの自動的な調製および処理が多くの場合において好適であると共に次第に重要となることから、入手可能な多くのPCR管材はロボット装置における全自動処置の要求内容に適合されている。しかし、完全に自動的に閉成可能とされ得るのは僅かなPCRベッセルのみである。上記の欧州公開EP 0907083は、斯かるベッセル、および、螺着可能なキャップにより閉じられるサンプル受杯を自動的に取り扱う装置を開示しており、上記装置は、該装置が、当該回転可能な把持工具を第1方向に回転することにより繋止され得る接続であって該把持工具を上記第1方向とは逆の第2方向に回転することにより繋止解除され得るという接続を形成すべくベッセル・キャップの凹所に進入して係合し易い回転可能な把持工具を備えることを特徴としている。これに加えて米国特許第5,578,494号は、自動分析機器において使用される試薬を格納するコンテナ上に枢動的に取付けられたキャップを起動デバイスにより開閉する方法を記述している。
【0012】
ベッセルの全自動開閉のためのこれらの実施形態の全ては、単一開口の各々に対して一個の単一蓋体であるという共通の不都合を有している。故に全自動プロセスにおいては複数回の単一移動が実施されねばならず、診断プロセスの複雑さが増すことで信頼性が低下する。更に、複雑さが増し且つ単一移動の回数が増大すると、ベッセルから液体が溢れるリスクは大幅に増大する。これらの実施形態の別の不都合は自動プロセスの速度および低い作業能力である、と言うのも、全ての単一管材が順次的に開成されるべきだからである。更に、全自動蓋体に適用可能である一般的なPCRベッセルはネジ式頂部または差込ソケットのいずれかから成るので、回転動作を行い得るロボットを必要とするが、これは構造的に非常に複雑で高価である。
【0013】
更に米国特許第5,721,136号においては、ポリメラーゼ連鎖反応の如き分析技術を効率的に行うための気密シールを形成するシール・デバイスを配備する問題が対処されており、該米国特許は、水蒸気に対する浸透性が低い任意の基材から作成された比較的に薄寸の裏当て層上にカレンダー加工もしくは型成形された粘着性表面を有する弾性的もしくは非弾性的に変形可能なシール層から成る材料シール製の多層複合シートを記述している。この多層複合シートは熱サイクル用の一つ以上のベッセルを同時にシールするように、一つ以上の反応ベッセルの開口部上に配置されてもよい。これに加えて欧州公開EP 0836884は2つの弾性要素から成る一個以上のベッセルに対するシールを記述しており、その場合、第1シールは液密の内側蓋体を提供し、且つ、第2の外側蓋体は各ベッセルに対する圧力シールを提供する。
【0014】
しかし斯かる実施形態は、カバーおよび/またはシールがベッセルに対して恒久的には取付けられないという不都合を有することから、相互汚染の大きな可能性なしでキャップ部分を反復的に開閉する段階を備えるというベッセルの自動的取り扱いに対しては使用され得ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
故に、一個以上の管材部分と、容易で単純な様式でこれらの管材部分を反復的に開閉する段階を含む取り扱い手段とを備える、液体を全自動的に取り扱う方法およびベッセルを提供する必要がある。
【0016】
故に本発明の主要目的は、一個以上の管材部分と、低い信頼性および高コストに繋がる複雑な構造的および機械的解決策を必要とせずにこれらの管材部分を容易で直接的な様式で同時に閉成する手段とを備える、液体を全自動的に取り扱う方法、機器およびベッセルを提供することに在る。更に、上記ベッセルの構成および特性は、分析機器においてポリメラーゼ連鎖反応を実施するために最適化されねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の見地に依れば、上記課題は、分析機器上に、受容部内に保持されると共に開口を有する受杯部分と、上記開口を閉成するカバーを備えると共に上記受杯部分の一側に対して恒久的に取付けられるキャップ部分と、を備えるコンテナと、取り扱い用ヘッドと、を配備する段階と、上記カバーを上記開口に対して鉛直的に且つ可逆的に固定して閉成するための蓋体を有する上記コンテナの側部に対して上記取り扱い用ヘッドを接近させる段階と、上記蓋体に対して上記取り扱い用ヘッドにより水平に圧力を行使することで、上記鉛直的で可逆的な固定から上記カバーを解除する段階と、選択的に、上記取り扱い用ヘッドを上昇させることにより上記カバーを上昇させて上記受杯部分を開成する段階とを有する、分析機器において液体を自動的に取り扱う方法により解決される。
【0018】
本発明の第2の見地に依れば、上記課題は、上側開口を有する受杯部分と、上記受杯部分の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分であって上記上側開口を閉成するカバーを備えるキャップ部分と、上記受杯部分の側部に配置されたラッチ嵌合部であって該ラッチ嵌合部によれば上記キャップ部分の弾性係止ラッチは上記カバーが上記開口を鉛直的に且つ可逆的に閉成する様に保持されるというラッチ嵌合部を備える蓋体であって、上記弾性係止ラッチは上記受杯の上記側部から取り扱い用ヘッドによりアクセス可能な傾斜平面部であって該平面部に対して水平に圧力を行使することにより上記キャップ部分を上記受杯部分から解除するという傾斜平面部を備えるという蓋体とを備える、分析機器上で液体を自動的に取り扱うコンテナを用いて達成される。
【0019】
本発明の第3の見地に依れば、上記課題は、分析機器上で液体を自動的に取り扱う管材であって、上側開口を有すると共に実質的に円錐状の第1壁部分と実質的に円筒状で下方に勾配付けられた第2壁部分とを有する受杯部分を備え、上記第1壁部分は上記第2壁部分よりも実質的に薄寸の壁部を有し、且つ、上記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は7°〜15°、更に好適には8°〜12°、最も好適には9°〜11°であるという管材を用いて達成される。
【0020】
本発明の第4の見地に依れば上記目的は、水平方向を指すスパイクを有する部分と、アイテムを鉛直にピックアップする部分とを備える取り扱い用ヘッドを備える、液体を自動的に取り扱う機器を用いることで満足される。
【0021】
本発明の第5の見地に依れば上記目的は、本発明に係る器具と本発明に係るコンテナとを備える液体分析用のシステムにより達成される。
【0022】
本発明の第6の見地に依れば、3種類のプラスチック材料から成り上記目的を達成するベッセルは、ひとつの成形型内において異なる材料による製品の製造を許容するという所謂る多成分射出成形技術を用いる作製方法に従い製造される。
【0023】
本発明の第7の見地に依れば上記課題は、本発明の第6の見地において記述された上記作製方法に従い作製されたベッセルであって第1の堅固な合成物質から型成形された受杯部分と、第2の堅固な合成物質から型成形されたキャップ部分と、柔軟な合成物質から型成形されたシール部分とを備えるベッセルを用いることで解決される。
【0024】
本発明の主な利点は、上記コンテナを開閉するために必要な移動によれば、簡素化された自動プロセスが許容されることから、これらの作業を実施するロボットの簡素化された構成が許容されるということである、と言うのも、回転動作が実施される必要はないので診断プロセスの複雑さは減少し、信頼性は高められてコストが低下するからである。
【0025】
本発明の更なる利点は、幾つかの受杯部分のキャップ部分が同時に開成もしくは閉成され得る結果としてロボット移動の回数が減少するので、これもまた複雑さの減少に繋がることから、診断プロセスを実施するシステムの信頼性が高まると共に作業能力が高まるということである。
【0026】
本発明の付加的な利点は、上記受杯部分の一側に対して上記キャップ部分が恒久的に取付けられることである、と言うのも、全自動診断プロセスを実施するシステム内において上記プロセスが行われる間に上記キャップを中間的に保存する付加的なスペースは必要とされないからである。更に、キャップによる受杯部分の間違った閉成は排除される。
【0027】
上記作製方法の特定の利点は、複雑で時間が掛かる組立て方法(たとえば溶接)を使用せずに異なる成分が恒久的に接合されることである。
【0028】
本発明の好適実施形態は、添付図面を参照して一例として以下に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本明細書中で用いられる如く‘分析機器’という語句は、液体の自動的な取り扱いおよび処理を行い得る機器を指している。好適実施形態において分析機器は、核酸の精製および/または増幅の全自動的な実施に対して使用され得る。これに関連して‘取り扱い用ヘッド’とは、上記分析機器の制御ユニットにより水平面内で移動かつ制御され得るという該分析機器の一部分であって、上記制御ユニットにより鉛直方向に移動され得る少なくとも一個の把持器を包含するという上記分析機器の一部分と考えられる。その故に‘把持器’は、ベッセルもしくはコンテナを可逆的に収容して保持すると共に2つの可動部分を好適に有するツールであって、一方の可動部分上にはキャップの閉成に対して好適なスプリング取付け部分を且つ他方の可動部分上にはキャップの開成を許容する段差を備えるというツールと見做される。
【0030】
本発明に係るコンテナは、上側開口を有する受杯部分と、該受杯部分の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分と、上記受杯部分の側部に配置されたラッチ嵌合部であって該ラッチ嵌合部によれば上記キャップ部分の弾性係止ラッチは上記カバーが上記受杯部分の上記開口を鉛直的に且つ可逆的に閉成する様に保持されるというラッチ嵌合部を備える蓋体とから作成される。上記ラッチ嵌合部および弾性係止ラッチはスプリング錠を構成し、該スプリング錠は、上記受杯部分上への上記キャップ部分の可逆的な繋止を実現すべく設計されることから上記コンテナの可逆的蓋体として作用する。
【0031】
図1は、開成位置におけるコンテナの第1実施形態を示している。受杯部分(1)は強調されると共に、好適には線形配置である特定配置とされた所定数の単一管材(2)を包含し、一個以上のラッチ嵌合部(3)を更に備えている。上記コンテナの第1実施形態はキャップ部分(4)を強調する図2にも示され、該キャップ部分は、上述の受杯部分の一側に恒久的に取付けられると共に、上記受杯部分の各上側開口を閉成するカバーを備える。上記キャップ部分は上記受杯部分の各ラッチ嵌合部(3)内へと夫々可逆的に係合する如き様式で配置された一個以上の弾性係止ラッチ(5)を呈し、該弾性係止ラッチ(5)は、上記受杯の側部から取り扱い用ヘッドによりアクセス可能な傾斜平面部であって上記取り扱い用ヘッドが該平面部に対して水平に圧力を行使したときに上記受杯部分から上記キャップ部分が解除されるのを許容するという傾斜平面部を備える。
【0032】
好適実施形態において上記コンテナは、各々が開口を有する2本から12本の管材の整列体から成り、全ての開口は上記キャップ部分の上記カバーにより同時的にかつ自動的に閉成および開成され得る。
【0033】
本発明の特定実施形態において上記コンテナの上記キャップ部分は、双安定ヒンジ(6)を介して上記受杯部分の一側に対して恒久的に取付けられる。双安定ヒンジは、特定構成のヒンジ要素を用いて形成される。本明細書において第1ヒンジ要素は単に、上記受杯部分の一側を上記キャップ部分の一側に対して接続してキャップ運動の回転軸心を呈するという薄壁から成る。第2ヒンジ要素は、上記受杯部分およびキャップ部分に対する非常に薄寸の接続部を備えた薄壁として形成されると共に、上記キャップを2つの異なる安定位置に保持し得るスプリングを具現する。故に、これらの2つのヒンジ要素の組み合わせは双安定ヒンジに帰着する。斯かる双安定ヒンジは当業者に公知である。本発明の利点は、上記キャップ部分の開成および閉成位置が好適で安定した位置であることである。故に、機器上へ移動されて使用される前に上記コンテナが閉成されて長期に亙り該閉成位置で保存されたとしても、上記取り扱い用ヘッドを用いて開成された後で該コンテナは更なる処理のための開成位置のままである。
【0034】
図3はコンテナの別の好適実施形態を示しており、キャップ部分のカバーは少なくとも一本の仕切りバー(7)を備えている。該仕切りバーは上記キャップ部分の内側部分上に配置されると共に、該仕切りバーは、上記キャップ部分のカバーが受杯部分に緊密に固定されたときに該受杯部分のひとつの上側開口を第2の近傍の上側開口から分離する如き様式で位置される。故に上記仕切りバーは、熱サイクル・プロセスの間に蒸発により引き起こされる上記キャップ部分の内側上の流体析出に対する障壁として作用すると共に、隣接する各受杯部分内の反応混合物間の相互汚染を回避する付加的な好適手段と見做され得る。
【0035】
本発明の更なる好適実施形態においてコンテナは不透明なキャップ部分を備えることから、自己蛍光および光散乱が減少するという利点、ならびに、該コンテナが光障壁を超えるときにおける該コンテナの優れた認識に繋がる。
【0036】
上記キャップ部分の外側部分が平面的表面として形成されるという本発明に係る上記コンテナの実施形態の特定利点は、全自動診断プロセスが実施される間に上記システムにおいて該コンテナの確実な識別を許容するために図4に示された如く該平面的表面をバーコード(8)でマークする可能性である。本発明の更に好適な実施形態においてバーコードは、各部分のバーの頂部が更に狭幅側の縁部に向けられるという4個の部分に分割され、上記バーコードの上記4個の部分はひとつの全長バーコードを構成する。この実施形態は好適である、と言うのも、バーコード読取器がバーコードを読み取るためにスペース節約様式で位置され得る様に上記コンテナは分析機器内へと長さ方向に挿入され得るからである。
【0037】
上記コンテナの更なる実施形態は、蒸発を回避することで相互汚染を回避する付加的手段であって処理および熱サイクル・プロセスの間に上記キャップ部分により閉成された上記受杯部分をシールする付加的手段としてのシール部分(14)を更に備える。該シール部分は、上記受杯部分に臨む上記キャップ部分の内側上に装着され得るか、または、上記キャップ部分に臨む上記上側開口の回りにおいて上記受杯部分上に装着され得る。
【0038】
本発明の特定実施形態において上記コンテナのシール部分(14)の設計形態は、図7Aから図7Dに示された如く異なる断面形状を呈し得る。シール部分の断面形状は気密シールを形成する上で重要である。上記シール部分の断面形状の最適な設計は、上記キャップ部分により引き起こされる該シール部分の変形が、内圧が増大するほど緊密さが強化されることを意味する耐圧シールに帰着するときに達成される。故に図7Aにおいて理解され得る如く、上記シール部分の断面は、主として上記管材の内側領域に対する該シール部分の変形に繋がる面取り外側縁部を備えた矩形状として形状化され得る。内圧が増大すると、変形されたシール部分は上記キャップに対して更に強く押圧されることから、耐圧シールが達成される。図7Bには、管材の内側領域に対して変形されるという明確な傾向は有さないシール部分断面の別の形状が見られ得る。但しこの形状はシール部分材料における更に良好な応力分布を有しており、このことは特に、キャップが長期に亙り閉成して維持されるときに利点となり得る。図7Cは、図7Aに示された形状と同一の概念を備えるが、管材の内側領域へと変形されるべき内側シール唇部およびキャップ運動に対する機械的停止部として作用する主要部分へと形状を明確に幾何学的に分割したシール部分断面の形状を示している。図7Dに示されたシール部分断面の形状は、シール問題における標準物として典型的に使用される公知のO-リング形状に基づいている。
【0039】
図8に示された別の好適実施形態においてコンテナは、そのキャップ部分の下側において、凸状または増深リング領域(13)を備える。該リング領域(13)は、シール部分(14)の可能的な高度差の正確な調節を可能とすべく且つ/又はコンテナ全体の可能的な反りを補償すべく設計される。更に、上記ヒンジ部分の設計形態のみによりキャップ部分の正確な運動を予測することは非常に困難である。故に上記凸状または増深リング領域は、閉成状況において上記キャップ部分が上記受杯部分に対して緊密に固定されるときに該キャップ部分がその所定位置に正確に配置されていなくとも上記受杯部分の上側開口が該キャップ部分により閉成されることを許容すべく該キャップ部分の実際の運動を調節する機械的に簡素で効果的な手法である。故に斯かる実施形態は、上記コンテナが加熱に委ねられるときに液体の蒸発を回避する付加的手段として好適である。
【0040】
好適実施形態の上記コンテナの上記受杯部分は第1の堅固な合成物質から作成される一方、上記キャップ部分は第2の堅固な合成物質から作成されると共に上記シール部分は柔軟な合成物質から作成され、上記堅固な合成物質は熱可塑性ポリマ材料であり且つ上記柔軟な合成物質はエラストマ・ポリマ材料または熱可塑性のエラストマ・ポリマ材料である。更に好適な実施形態において上記受杯部分、キャップ部分およびシール部分は、コンテナの一体的要素であり且つ頑丈に接続される。
【0041】
上記コンテナの更なる実施形態において、該コンテナの受杯部分は実質的に円錐状の第1壁部分と実質的に円筒状で下方に勾配付けられた第2壁部分とを備え、上記第1壁部分は上記第2壁部分よりも実質的に薄寸の壁部を有し、且つ、上記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は7°〜15°、更に好適には8°〜12°、最も好適には9°〜11°である。更に、上記第1壁部分の厚さは好適には0.15mm〜0.30mmである。斯かるコンテナの好適実施形態において、実質的に円錐状とされた上記第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は約10°であり且つ該第1壁部分の厚さは約0.2mmである。
【0042】
図5に示された本発明に係る管材は、上側開口を有すると共に、実質的に円錐状の第1壁部分と実質的に円筒状で下方に勾配付けられた第2壁部分とから構成され、上記第1壁部分は上記第2壁部分より実質的に薄寸の壁部を有し、且つ、上記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は7°〜15°であり、更に好適には8°〜12°であり、最も好適には9°〜11°である。更に、上記第1壁部分の厚さは好適には0.15mm〜0.30mmである。
【0043】
上記管材の好適実施形態において、上記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は約10°であり、且つ、上記第1壁部分の厚さは0.15mm〜0.30mm、好適には約0.2mmである。
【0044】
別の好適実施形態において上記管材は更に、受杯の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分であって上記受杯の上側開口を閉成し得るカバーを具備するキャップ部分を備える。好適には上記キャップ部分は、双安定ヒンジを介して上記受杯の一側に恒久的に取付けられると共に、不透明である。
【0045】
本発明の一定の実施形態に係るコンテナおよび管材の利点は、上記受杯部分を通る長手軸心により画成される角度は7°〜15°であることから加熱/冷却ブロックから流体に対して更に良好に熱が伝達されると共に流体の温度均一性が高められること、および、上記受杯部分内の第1壁部分の厚さが0.15mm〜0.30mmの厚さを呈することから、これもまた加熱/冷却ブロックから流体に対する更に良好な熱伝達と、検出測定に対して好適である優れた透明特性とに繋がることである。
【0046】
上記管材の別の好適実施形態において該管材は、受杯部分の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分であって上記受杯部分の上側開口を閉成し得るカバーを備えるキャップ部分を有する。更に好適には上記キャップ部分は、双安定ヒンジを介して上記受杯部分の一側に恒久的に取付けられる。これらの実施形態は好適である、と言うのも、それらは分析機器により自動的に処理され得るからである。本発明の特定実施形態において上記管材の上記キャップ部分は不透明であることから、自己蛍光および光散乱が減少するという利点、ならびに、該コンテナが光障壁を超えるときにおける該コンテナの優れた認識に繋がる。
【0047】
図6には、分析機器において液体を自動的に取り扱う方法が示される。図6Aには、閉成位置におけるコンテナ(10)の自動的開成が示される。取り扱い用ヘッド(9)は、上記コンテナが該コンテナのカバーを上記受杯部分に対して鉛直的に且つ可逆的に固定するための蓋体を呈する該コンテナの側部に接近する。引き続き、好適実施形態においてはスパイクを含む取り扱い用ヘッド(9)は上記蓋体に対して水平に圧力を行使することで上記の鉛直的で可逆的な固定から上記カバーを解除すると共に、上記取り扱い用ヘッドを上昇させることで上記カバーを選択的に上昇させて上記受杯部分を開成してもよい。
【0048】
図6Bには、開成位置におけるコンテナ(11)を閉成する方法が示される。此処で取り扱い用ヘッド(9)は、開成されたカバーの蓋体からラッチ嵌合部が指し示す側に対して上記コンテナに接近する。引き続き、取り扱い用ヘッド(9)は上記コンテナの直上を水平に移動することで、上記受杯部分の上側開口の上方にて上記カバーを押圧すると共に、上記カバーの弾性係止ラッチを受杯部分のラッチ嵌合部の近傍にもたらす。第2の鉛直移動において上記取り扱い用ヘッドは今や上記カバーに対して圧力を行使することで、上記弾性係止ラッチがラッチ嵌合部に係合することを可能とする。
【0049】
上記方法の好適実施形態において上記取り扱い用ヘッドは更に、分析機器内におけるたとえば受容部などのひとつの位置から上記コンテナをピックアップして別の位置へと搬送するために把持器を備える。
【0050】
本発明に係る上記方法の特定実施形態において上記コンテナの上記受杯部分は移動可能な下方保持クランプにより上記受容部に対して可逆的に束縛される一方、上記取り扱い用ヘッドは上記コンテナに接近して作動する。この実施形態は、上記取り扱い用ヘッドの操作の間に且つ上記コンテナのキャップ部分が該コンテナの受杯部分に対して堅固には固定されない間に該コンテナは上記受容部に固定されるので、流体の溢流が回避されることから反応混合物の相互汚染に対する発生源が排除されるという利点を有する。
【0051】
本発明の別実施形態は、水平方向を指すスパイクを有する部分(図6における(12)参照)と、一定の実施形態においてはピペット先端または本発明に係るコンテナとされ得るアイテムを鉛直にピックアップする部分とを備える取り扱い用ヘッドを包含する、液体を自動的に取り扱う機器である。より好適には該機器は、上記取り扱い用ヘッドの水平および鉛直移動を指示する制御ユニットを更に備える。
【0052】
本発明の方法または器具において使用されるベッセルは、同様に本発明において提供される作製方法を用いて製造され得る。所謂る多成分射出成形技術である該作製方法によれば、ひとつの成形型内において異なる材料を用いて上記ベッセルの作製が許容される。第1段階においては、多成分用成形型の第1キャビティ内へと第1成分が射出される。習用の射出成形において行われる様に成形型を開いた後でこの成分を排出する代わりに、上記第1成分は、上記成形型の射出側もしくは移動可能側のいずれかにおいて上記第1キャビティの一側に留まる。引き続き上記成形型の射出側もしくは移動可能側のいずれかは、第1成分が依然として固定された上記第1キャビティが上記成形型の他側の第2キャビティに臨む様に、射出軸心の回りにおいて(たとえば3個の成分に対しては120°の角度だけ)回転される。第2段階においては上記第2キャビティ内に第2成分が充填される。それを行う際に、適切な材料が処理されたときには上記第1成分と第2成分との間における恒久的接合が得られる。この第2段階の間において上記第1キャビティは上記第1成分により再び充填される。故に上記成形型の射出側もしくは移動可能側は、上記第1成分が依然として固定された上記第1キャビティは上記第2キャビティに臨み且つ上記第1および第2成分を備えた上記第2キャビティは上記成形型の他側の第3キャビティに臨む様に、射出軸心の回りで(たとえば3個の成分に対しては120°の角度だけ)再び回転される。第3段階においては第3成分が射出される。故に3つの段階の後で、最初の三成分ベッセルが完成される。故に夫々の3段階サイクルにおいては、完全な三成分部材が作製される。要約すると、ベッセルは3種類のプラスチック材料から作成されると共にひとつの成形型において作製されるというベッセルの斯かる作製方法は、
−多成分用成形型の第1キャビティ内へと第1成分を射出する段階と、
−上記第1成分を上記第1キャビティ内に留まらせ乍ら上記成形型を射出軸心の回りに回転する段階であって回転の後で上記成形型は第2キャビティに臨むという段階と、
−上記第2キャビティ内に第2成分を射出して上記第1および第2成分間に恒久的接合を形成する段階と、
−上記第1成分を上記第1キャビティ内に留まらせ乍ら上記成形型を上記射出軸心の回りに回転する段階であって回転の後で上記成形型は第3キャビティに臨むという段階と、
−上記第3キャビティ内に第3成分を射出し、上記第1および第2成分から成る上記成分に対して上記第3成分を恒久的に接続する段階とを備有する。
【0053】
本発明の特定実施形態において上記作製方法により製造された上記ベッセルは、本発明の上記コンテナである。上記ベッセルが本発明のコンテナであるという本発明の別の特定実施形態において、該コンテナは、該コンテナが繋止位置に在るときに上記受杯部分とキャップ部分との間に配置されるシール部分を包含する。
【0054】
上記作製方法に従い製造されたベッセルは、第1の堅固な合成物質から型成形された受杯部分と、第2の堅固な合成物質から型成形されたキャップ部分と、柔軟な合成物質から型成形されたシール部分とを備え、上記堅固な合成物質は熱可塑性ポリマ材料であり、且つ、上記柔軟な合成物質はエラストマ・ポリマ材料または熱可塑性のエラストマ・ポリマ材料である。更に、上記受杯部分、キャップ部分およびシール部分は、上記ベッセルの一体的要素であり且つ頑丈に接続される。上記の3つの一体的要素の分解は、上記ベッセルの破壊に繋がる。代替的に上記ベッセルは、習用の射出成形により夫々の単一材料を製造した後で組立てられても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】強調された受杯部分(1)が管材(2)とラッチ嵌合部(3)とを備えて開成位置に在るという本発明の第1実施形態を示す図である。
【図2】強調されたキャップ部分(4)が弾性係止ラッチ(5)を備えて開成位置に在るという本発明の第1実施形態を示す図である。
【図3】6個の管材(2)から構成されると共に開成位置とされた本発明の第1実施形態を示す図であり、受杯部分およびキャップ部分は双安定ヒンジ(6)を介して接続され、仕切りバー(7)ならびに弾性係止ラッチ(5)はキャップ部分(4)上に見られる。
【図4】閉成位置に在る本発明の第1実施形態を示す図であり、キャップ部分の上側部にはバーコード・ラベル(8)が取付けられる。
【図5】本発明の第2実施形態に係る管材を示す図である。
【図6A】取り扱い用ヘッド(9)がスパイク(12)を備えるという本発明の第1実施形態の開成プロセスを示す図である。
【図6B】取り扱い用ヘッド(9)がスパイク(12)を備えるという本発明の第1実施形態の閉成プロセスを示す図である。
【図7A】シール部分(14)の断面形状が異なるという本発明の種々の実施形態の断面図である。
【図7B】シール部分(14)の断面形状が異なるという本発明の種々の実施形態の断面図である。
【図7C】シール部分(14)の断面形状が異なるという本発明の種々の実施形態の断面図である。
【図7D】シール部分(14)の断面形状が異なるという本発明の種々の実施形態の断面図である。
【図8】開成位置における本発明の第2実施形態を示す図であり、キャップの下側は各受杯部分(2)に対する凸状または増深リング領域(13)を更に備えている。
【符号の説明】
【0056】
1 受杯部分
2 管材
3 ラッチ嵌合部
4 キャップ部分
5 弾性係止ラッチ
6 双安定ヒンジ
7 仕切りバー
8 バーコード・ラベル
9 取り扱い用ヘッド
10 閉成位置におけるコンテナ
11 開成位置におけるコンテナ
12 取り扱い用ヘッドのスパイク
13 凸状もしくは増深リング領域
14 シール部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸の精製および増幅の分野において分析機器内の流体状生体サンプルを自動的に取り扱う方法に関する。
【0002】
本発明は更に、分析機器において使用されるに適したコンテナ(container)および管材であって、流体状生体サンプルが自動的に取り扱われると共に上記機器は該流体状生体サンプルを取り扱いかつ処理し得るというコンテナおよび管材に関する。
【0003】
更に本発明は、当該コンテナ内で生体サンプルが処理されるというコンテナと組み合わせて、液体を自動的に取り扱う機器を利用することで生体サンプルを分析し得るシステムに関する。
【0004】
付加的に本発明は、ひとつの成形型内において異なる材料による製品の製造を許容するという所謂る多成分射出成形技術を用いて3種類のプラスチック材料から成るコンテナを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、核酸の増幅および分析に対して重要で普及した方法である。PCR反応を実施するために、反応ベッセル(反応容器:reaction vessel)は多くの要件を満たさねばならない。ベッセル(容器)は、該ベッセルからの液体の蒸発を回避すべく、PCR反応の間に緊密に閉じられねばならない。更に、ベッセルの内側の液体の温度は、ベッセル材料に関する一定の熱伝導特性を規定する加熱および/または冷却設備により与えられる外側の既定温度に対して即座に追随せねばならない。また特定のPCR用途においては増幅過程の間において光学的測定が実施されることから、透明性および自己蛍光に関するベッセル材料の特定の光学的要件が必要とされる。
【0006】
PCR用途に関して、ベッセルに対する種々の実施形態が一般的である。それらの殆どは同様の形状、すなわち一端における可逆的に閉成可能な開口と、円錐状に勾配付けられて恒久的に閉じられた第2端部とを備える管材を呈するが、蓋体、空間的整列および/または管材組み合わせに関する幾つかの実施形態が知られている。蓋体は、管材に対して堅固に取付けられ得るか、または、別体的なキャップ部分として提供され得る。更に、単一のベッセルとしての用途に加え、特定のベッセルは組み合わされて配置されることで、96個〜384個のキャビティを備えるプレートまたは6本〜8本の管材を備える細長片が形成される。
【0007】
反応ベッセルの斯かる配置構成は欧州公開EP 0642828に記述されており、その場合、環状的に設定されて同一の形状および寸法を有する複数の反応ベッセルを具備する第1部材、および、同様に環状的に配置されて上記反応ベッセルを気密に閉成し得る複数の蓋体を具備する第2部材は、液体混合物の温度サイクルを実施するための使い捨て可能な反応ベッセルの配置構成を形成している。これらの蓋体は開口内に載置されることで管材を緊密にシールする一方、欧州公開EP 0907083は、着脱可能で螺着可能なキャップにより閉成され得るサンプルの受杯(カップ)を示している。米国公開公報US20040234422には、液体を処理および/または格納する別のベッセル・システムが開示されており、該システムは、頂部にて開成された複数のベッセルであって相互接続されてユニットを形成する複数のベッセルによる2次元のベッセル配置構成と、該ベッセル配置構成に対応する蓋体要素の配置構成を有する2次元の蓋体配置構成であって上記ベッセルの開口を閉成し得るという2次元の蓋体配置構成とを備えている。
【0008】
PCRを実施する使い捨て可能なポリプロピレン製管材は典型的に下側の円錐部分と上側の円筒状部分とを有し、下側部分は、加熱ブロックにおける対応形状の孔に接触すると共に、管材の上記上側部分の壁部よりも相当に薄寸の壁部を有する。欧州公開EP 1275438は、円錐区画の壁厚は0.009〜0.012インチ(0.2286〜0.3048mm)±0.001インチ(0.0254mm)の範囲であって0.012インチ(0.3048mm)が最も好適な実施形態である一方、管材の長手軸心に対する壁部角度は下側の円錐部分において典型的に17°であることを開示している。
【0009】
米国特許第5,382,408号は、丸形の開口を有するコンテナと、該開口を覆うべく寸法設定されると共に上記コンテナに対して枢動的に接続されて摩擦的に着座される蓋部とを有する微小遠心管材を開示している。上記蓋部は、該蓋部が着座解除されて上記コンテナの開口から移動され得る如き様式で蓋部表面から上方に且つ上記枢動部から離間して外方に延在する蓋部延長部を有する。摩擦的に着座された上記蓋部は、管材に対する該蓋部の保持力が、主として(該蓋部の下側面上の)環状の蓋部シールの直径と上記微小遠心管材の丸形開口の直径とに依存し、且つ、射出成形部品に対して典型的である如く変化し易い、という不都合を有する。このことは、管材の内圧が蓋部に抗する力を生成するときに主たる不都合となることさえある。
【0010】
米国特許第5,577,626号は、開口にてコンテナに取付けるための基部と該基部に枢動的に接続された蓋部とを有する蓋体を開示している。上記蓋部は外方に突出する係合部材を有することから、ユーザはラッチを解除して上記係合部材に力を加えることで該部材を介して上記蓋部を揚動できる。しかし斯かる蓋体は該蓋部の自動的な開成に対しては有用でない、と言うのも、それには2つの同時的な移動、すなわちラッチの解除と上記部材を介した上記蓋部の同時的な揚動とが必要とされるからである。上記蓋部の最初の小さな移動の後、上記ラッチを解除する物体は退去せねばならず、自動的な開成に対する更なる不都合を呈する。
【0011】
生体サンプルの自動的な調製および処理が多くの場合において好適であると共に次第に重要となることから、入手可能な多くのPCR管材はロボット装置における全自動処置の要求内容に適合されている。しかし、完全に自動的に閉成可能とされ得るのは僅かなPCRベッセルのみである。上記の欧州公開EP 0907083は、斯かるベッセル、および、螺着可能なキャップにより閉じられるサンプル受杯を自動的に取り扱う装置を開示しており、上記装置は、該装置が、当該回転可能な把持工具を第1方向に回転することにより繋止され得る接続であって該把持工具を上記第1方向とは逆の第2方向に回転することにより繋止解除され得るという接続を形成すべくベッセル・キャップの凹所に進入して係合し易い回転可能な把持工具を備えることを特徴としている。これに加えて米国特許第5,578,494号は、自動分析機器において使用される試薬を格納するコンテナ上に枢動的に取付けられたキャップを起動デバイスにより開閉する方法を記述している。
【0012】
ベッセルの全自動開閉のためのこれらの実施形態の全ては、単一開口の各々に対して一個の単一蓋体であるという共通の不都合を有している。故に全自動プロセスにおいては複数回の単一移動が実施されねばならず、診断プロセスの複雑さが増すことで信頼性が低下する。更に、複雑さが増し且つ単一移動の回数が増大すると、ベッセルから液体が溢れるリスクは大幅に増大する。これらの実施形態の別の不都合は自動プロセスの速度および低い作業能力である、と言うのも、全ての単一管材が順次的に開成されるべきだからである。更に、全自動蓋体に適用可能である一般的なPCRベッセルはネジ式頂部または差込ソケットのいずれかから成るので、回転動作を行い得るロボットを必要とするが、これは構造的に非常に複雑で高価である。
【0013】
更に米国特許第5,721,136号においては、ポリメラーゼ連鎖反応の如き分析技術を効率的に行うための気密シールを形成するシール・デバイスを配備する問題が対処されており、該米国特許は、水蒸気に対する浸透性が低い任意の基材から作成された比較的に薄寸の裏当て層上にカレンダー加工もしくは型成形された粘着性表面を有する弾性的もしくは非弾性的に変形可能なシール層から成る材料シール製の多層複合シートを記述している。この多層複合シートは熱サイクル用の一つ以上のベッセルを同時にシールするように、一つ以上の反応ベッセルの開口部上に配置されてもよい。これに加えて欧州公開EP 0836884は2つの弾性要素から成る一個以上のベッセルに対するシールを記述しており、その場合、第1シールは液密の内側蓋体を提供し、且つ、第2の外側蓋体は各ベッセルに対する圧力シールを提供する。
【0014】
しかし斯かる実施形態は、カバーおよび/またはシールがベッセルに対して恒久的には取付けられないという不都合を有することから、相互汚染の大きな可能性なしでキャップ部分を反復的に開閉する段階を備えるというベッセルの自動的取り扱いに対しては使用され得ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
故に、一個以上の管材部分と、容易で単純な様式でこれらの管材部分を反復的に開閉する段階を含む取り扱い手段とを備える、液体を全自動的に取り扱う方法およびベッセルを提供する必要がある。
【0016】
故に本発明の主要目的は、一個以上の管材部分と、低い信頼性および高コストに繋がる複雑な構造的および機械的解決策を必要とせずにこれらの管材部分を容易で直接的な様式で同時に閉成する手段とを備える、液体を全自動的に取り扱う方法、機器およびベッセルを提供することに在る。更に、上記ベッセルの構成および特性は、分析機器においてポリメラーゼ連鎖反応を実施するために最適化されねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の見地に依れば、上記課題は、分析機器上に、受容部内に保持されると共に開口を有する受杯部分と、上記開口を閉成するカバーを備えると共に上記受杯部分の一側に対して恒久的に取付けられるキャップ部分と、を備えるコンテナと、取り扱い用ヘッドと、を配備する段階と、上記カバーを上記開口に対して鉛直的に且つ可逆的に固定して閉成するための蓋体を有する上記コンテナの側部に対して上記取り扱い用ヘッドを接近させる段階と、上記蓋体に対して上記取り扱い用ヘッドにより水平に圧力を行使することで、上記鉛直的で可逆的な固定から上記カバーを解除する段階と、選択的に、上記取り扱い用ヘッドを上昇させることにより上記カバーを上昇させて上記受杯部分を開成する段階とを有する、分析機器において液体を自動的に取り扱う方法により解決される。
【0018】
本発明の第2の見地に依れば、上記課題は、上側開口を有する受杯部分と、上記受杯部分の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分であって上記上側開口を閉成するカバーを備えるキャップ部分と、上記受杯部分の側部に配置されたラッチ嵌合部であって該ラッチ嵌合部によれば上記キャップ部分の弾性係止ラッチは上記カバーが上記開口を鉛直的に且つ可逆的に閉成する様に保持されるというラッチ嵌合部を備える蓋体であって、上記弾性係止ラッチは上記受杯の上記側部から取り扱い用ヘッドによりアクセス可能な傾斜平面部であって該平面部に対して水平に圧力を行使することにより上記キャップ部分を上記受杯部分から解除するという傾斜平面部を備えるという蓋体とを備える、分析機器上で液体を自動的に取り扱うコンテナを用いて達成される。
【0019】
本発明の第3の見地に依れば、上記課題は、分析機器上で液体を自動的に取り扱う管材であって、上側開口を有すると共に実質的に円錐状の第1壁部分と実質的に円筒状で下方に勾配付けられた第2壁部分とを有する受杯部分を備え、上記第1壁部分は上記第2壁部分よりも実質的に薄寸の壁部を有し、且つ、上記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は7°〜15°、更に好適には8°〜12°、最も好適には9°〜11°であるという管材を用いて達成される。
【0020】
本発明の第4の見地に依れば上記目的は、水平方向を指すスパイクを有する部分と、アイテムを鉛直にピックアップする部分とを備える取り扱い用ヘッドを備える、液体を自動的に取り扱う機器を用いることで満足される。
【0021】
本発明の第5の見地に依れば上記目的は、本発明に係る器具と本発明に係るコンテナとを備える液体分析用のシステムにより達成される。
【0022】
本発明の第6の見地に依れば、3種類のプラスチック材料から成り上記目的を達成するベッセルは、ひとつの成形型内において異なる材料による製品の製造を許容するという所謂る多成分射出成形技術を用いる作製方法に従い製造される。
【0023】
本発明の第7の見地に依れば上記課題は、本発明の第6の見地において記述された上記作製方法に従い作製されたベッセルであって第1の堅固な合成物質から型成形された受杯部分と、第2の堅固な合成物質から型成形されたキャップ部分と、柔軟な合成物質から型成形されたシール部分とを備えるベッセルを用いることで解決される。
【0024】
本発明の主な利点は、上記コンテナを開閉するために必要な移動によれば、簡素化された自動プロセスが許容されることから、これらの作業を実施するロボットの簡素化された構成が許容されるということである、と言うのも、回転動作が実施される必要はないので診断プロセスの複雑さは減少し、信頼性は高められてコストが低下するからである。
【0025】
本発明の更なる利点は、幾つかの受杯部分のキャップ部分が同時に開成もしくは閉成され得る結果としてロボット移動の回数が減少するので、これもまた複雑さの減少に繋がることから、診断プロセスを実施するシステムの信頼性が高まると共に作業能力が高まるということである。
【0026】
本発明の付加的な利点は、上記受杯部分の一側に対して上記キャップ部分が恒久的に取付けられることである、と言うのも、全自動診断プロセスを実施するシステム内において上記プロセスが行われる間に上記キャップを中間的に保存する付加的なスペースは必要とされないからである。更に、キャップによる受杯部分の間違った閉成は排除される。
【0027】
上記作製方法の特定の利点は、複雑で時間が掛かる組立て方法(たとえば溶接)を使用せずに異なる成分が恒久的に接合されることである。
【0028】
本発明の好適実施形態は、添付図面を参照して一例として以下に記述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本明細書中で用いられる如く‘分析機器’という語句は、液体の自動的な取り扱いおよび処理を行い得る機器を指している。好適実施形態において分析機器は、核酸の精製および/または増幅の全自動的な実施に対して使用され得る。これに関連して‘取り扱い用ヘッド’とは、上記分析機器の制御ユニットにより水平面内で移動かつ制御され得るという該分析機器の一部分であって、上記制御ユニットにより鉛直方向に移動され得る少なくとも一個の把持器を包含するという上記分析機器の一部分と考えられる。その故に‘把持器’は、ベッセルもしくはコンテナを可逆的に収容して保持すると共に2つの可動部分を好適に有するツールであって、一方の可動部分上にはキャップの閉成に対して好適なスプリング取付け部分を且つ他方の可動部分上にはキャップの開成を許容する段差を備えるというツールと見做される。
【0030】
本発明に係るコンテナは、上側開口を有する受杯部分と、該受杯部分の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分と、上記受杯部分の側部に配置されたラッチ嵌合部であって該ラッチ嵌合部によれば上記キャップ部分の弾性係止ラッチは上記カバーが上記受杯部分の上記開口を鉛直的に且つ可逆的に閉成する様に保持されるというラッチ嵌合部を備える蓋体とから作成される。上記ラッチ嵌合部および弾性係止ラッチはスプリング錠を構成し、該スプリング錠は、上記受杯部分上への上記キャップ部分の可逆的な繋止を実現すべく設計されることから上記コンテナの可逆的蓋体として作用する。
【0031】
図1は、開成位置におけるコンテナの第1実施形態を示している。受杯部分(1)は強調されると共に、好適には線形配置である特定配置とされた所定数の単一管材(2)を包含し、一個以上のラッチ嵌合部(3)を更に備えている。上記コンテナの第1実施形態はキャップ部分(4)を強調する図2にも示され、該キャップ部分は、上述の受杯部分の一側に恒久的に取付けられると共に、上記受杯部分の各上側開口を閉成するカバーを備える。上記キャップ部分は上記受杯部分の各ラッチ嵌合部(3)内へと夫々可逆的に係合する如き様式で配置された一個以上の弾性係止ラッチ(5)を呈し、該弾性係止ラッチ(5)は、上記受杯の側部から取り扱い用ヘッドによりアクセス可能な傾斜平面部であって上記取り扱い用ヘッドが該平面部に対して水平に圧力を行使したときに上記受杯部分から上記キャップ部分が解除されるのを許容するという傾斜平面部を備える。
【0032】
好適実施形態において上記コンテナは、各々が開口を有する2本から12本の管材の整列体から成り、全ての開口は上記キャップ部分の上記カバーにより同時的にかつ自動的に閉成および開成され得る。
【0033】
本発明の特定実施形態において上記コンテナの上記キャップ部分は、双安定ヒンジ(6)を介して上記受杯部分の一側に対して恒久的に取付けられる。双安定ヒンジは、特定構成のヒンジ要素を用いて形成される。本明細書において第1ヒンジ要素は単に、上記受杯部分の一側を上記キャップ部分の一側に対して接続してキャップ運動の回転軸心を呈するという薄壁から成る。第2ヒンジ要素は、上記受杯部分およびキャップ部分に対する非常に薄寸の接続部を備えた薄壁として形成されると共に、上記キャップを2つの異なる安定位置に保持し得るスプリングを具現する。故に、これらの2つのヒンジ要素の組み合わせは双安定ヒンジに帰着する。斯かる双安定ヒンジは当業者に公知である。本発明の利点は、上記キャップ部分の開成および閉成位置が好適で安定した位置であることである。故に、機器上へ移動されて使用される前に上記コンテナが閉成されて長期に亙り該閉成位置で保存されたとしても、上記取り扱い用ヘッドを用いて開成された後で該コンテナは更なる処理のための開成位置のままである。
【0034】
図3はコンテナの別の好適実施形態を示しており、キャップ部分のカバーは少なくとも一本の仕切りバー(7)を備えている。該仕切りバーは上記キャップ部分の内側部分上に配置されると共に、該仕切りバーは、上記キャップ部分のカバーが受杯部分に緊密に固定されたときに該受杯部分のひとつの上側開口を第2の近傍の上側開口から分離する如き様式で位置される。故に上記仕切りバーは、熱サイクル・プロセスの間に蒸発により引き起こされる上記キャップ部分の内側上の流体析出に対する障壁として作用すると共に、隣接する各受杯部分内の反応混合物間の相互汚染を回避する付加的な好適手段と見做され得る。
【0035】
本発明の更なる好適実施形態においてコンテナは不透明なキャップ部分を備えることから、自己蛍光および光散乱が減少するという利点、ならびに、該コンテナが光障壁を超えるときにおける該コンテナの優れた認識に繋がる。
【0036】
上記キャップ部分の外側部分が平面的表面として形成されるという本発明に係る上記コンテナの実施形態の特定利点は、全自動診断プロセスが実施される間に上記システムにおいて該コンテナの確実な識別を許容するために図4に示された如く該平面的表面をバーコード(8)でマークする可能性である。本発明の更に好適な実施形態においてバーコードは、各部分のバーの頂部が更に狭幅側の縁部に向けられるという4個の部分に分割され、上記バーコードの上記4個の部分はひとつの全長バーコードを構成する。この実施形態は好適である、と言うのも、バーコード読取器がバーコードを読み取るためにスペース節約様式で位置され得る様に上記コンテナは分析機器内へと長さ方向に挿入され得るからである。
【0037】
上記コンテナの更なる実施形態は、蒸発を回避することで相互汚染を回避する付加的手段であって処理および熱サイクル・プロセスの間に上記キャップ部分により閉成された上記受杯部分をシールする付加的手段としてのシール部分(14)を更に備える。該シール部分は、上記受杯部分に臨む上記キャップ部分の内側上に装着され得るか、または、上記キャップ部分に臨む上記上側開口の回りにおいて上記受杯部分上に装着され得る。
【0038】
本発明の特定実施形態において上記コンテナのシール部分(14)の設計形態は、図7Aから図7Dに示された如く異なる断面形状を呈し得る。シール部分の断面形状は気密シールを形成する上で重要である。上記シール部分の断面形状の最適な設計は、上記キャップ部分により引き起こされる該シール部分の変形が、内圧が増大するほど緊密さが強化されることを意味する耐圧シールに帰着するときに達成される。故に図7Aにおいて理解され得る如く、上記シール部分の断面は、主として上記管材の内側領域に対する該シール部分の変形に繋がる面取り外側縁部を備えた矩形状として形状化され得る。内圧が増大すると、変形されたシール部分は上記キャップに対して更に強く押圧されることから、耐圧シールが達成される。図7Bには、管材の内側領域に対して変形されるという明確な傾向は有さないシール部分断面の別の形状が見られ得る。但しこの形状はシール部分材料における更に良好な応力分布を有しており、このことは特に、キャップが長期に亙り閉成して維持されるときに利点となり得る。図7Cは、図7Aに示された形状と同一の概念を備えるが、管材の内側領域へと変形されるべき内側シール唇部およびキャップ運動に対する機械的停止部として作用する主要部分へと形状を明確に幾何学的に分割したシール部分断面の形状を示している。図7Dに示されたシール部分断面の形状は、シール問題における標準物として典型的に使用される公知のO-リング形状に基づいている。
【0039】
図8に示された別の好適実施形態においてコンテナは、そのキャップ部分の下側において、凸状または増深リング領域(13)を備える。該リング領域(13)は、シール部分(14)の可能的な高度差の正確な調節を可能とすべく且つ/又はコンテナ全体の可能的な反りを補償すべく設計される。更に、上記ヒンジ部分の設計形態のみによりキャップ部分の正確な運動を予測することは非常に困難である。故に上記凸状または増深リング領域は、閉成状況において上記キャップ部分が上記受杯部分に対して緊密に固定されるときに該キャップ部分がその所定位置に正確に配置されていなくとも上記受杯部分の上側開口が該キャップ部分により閉成されることを許容すべく該キャップ部分の実際の運動を調節する機械的に簡素で効果的な手法である。故に斯かる実施形態は、上記コンテナが加熱に委ねられるときに液体の蒸発を回避する付加的手段として好適である。
【0040】
好適実施形態の上記コンテナの上記受杯部分は第1の堅固な合成物質から作成される一方、上記キャップ部分は第2の堅固な合成物質から作成されると共に上記シール部分は柔軟な合成物質から作成され、上記堅固な合成物質は熱可塑性ポリマ材料であり且つ上記柔軟な合成物質はエラストマ・ポリマ材料または熱可塑性のエラストマ・ポリマ材料である。更に好適な実施形態において上記受杯部分、キャップ部分およびシール部分は、コンテナの一体的要素であり且つ頑丈に接続される。
【0041】
上記コンテナの更なる実施形態において、該コンテナの受杯部分は実質的に円錐状の第1壁部分と実質的に円筒状で下方に勾配付けられた第2壁部分とを備え、上記第1壁部分は上記第2壁部分よりも実質的に薄寸の壁部を有し、且つ、上記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は7°〜15°、更に好適には8°〜12°、最も好適には9°〜11°である。更に、上記第1壁部分の厚さは好適には0.15mm〜0.30mmである。斯かるコンテナの好適実施形態において、実質的に円錐状とされた上記第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は約10°であり且つ該第1壁部分の厚さは約0.2mmである。
【0042】
図5に示された本発明に係る管材は、上側開口を有すると共に、実質的に円錐状の第1壁部分と実質的に円筒状で下方に勾配付けられた第2壁部分とから構成され、上記第1壁部分は上記第2壁部分より実質的に薄寸の壁部を有し、且つ、上記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は7°〜15°であり、更に好適には8°〜12°であり、最も好適には9°〜11°である。更に、上記第1壁部分の厚さは好適には0.15mm〜0.30mmである。
【0043】
上記管材の好適実施形態において、上記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は約10°であり、且つ、上記第1壁部分の厚さは0.15mm〜0.30mm、好適には約0.2mmである。
【0044】
別の好適実施形態において上記管材は更に、受杯の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分であって上記受杯の上側開口を閉成し得るカバーを具備するキャップ部分を備える。好適には上記キャップ部分は、双安定ヒンジを介して上記受杯の一側に恒久的に取付けられると共に、不透明である。
【0045】
本発明の一定の実施形態に係るコンテナおよび管材の利点は、上記受杯部分を通る長手軸心により画成される角度は7°〜15°であることから加熱/冷却ブロックから流体に対して更に良好に熱が伝達されると共に流体の温度均一性が高められること、および、上記受杯部分内の第1壁部分の厚さが0.15mm〜0.30mmの厚さを呈することから、これもまた加熱/冷却ブロックから流体に対する更に良好な熱伝達と、検出測定に対して好適である優れた透明特性とに繋がることである。
【0046】
上記管材の別の好適実施形態において該管材は、受杯部分の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分であって上記受杯部分の上側開口を閉成し得るカバーを備えるキャップ部分を有する。更に好適には上記キャップ部分は、双安定ヒンジを介して上記受杯部分の一側に恒久的に取付けられる。これらの実施形態は好適である、と言うのも、それらは分析機器により自動的に処理され得るからである。本発明の特定実施形態において上記管材の上記キャップ部分は不透明であることから、自己蛍光および光散乱が減少するという利点、ならびに、該コンテナが光障壁を超えるときにおける該コンテナの優れた認識に繋がる。
【0047】
図6には、分析機器において液体を自動的に取り扱う方法が示される。図6Aには、閉成位置におけるコンテナ(10)の自動的開成が示される。取り扱い用ヘッド(9)は、上記コンテナが該コンテナのカバーを上記受杯部分に対して鉛直的に且つ可逆的に固定するための蓋体を呈する該コンテナの側部に接近する。引き続き、好適実施形態においてはスパイクを含む取り扱い用ヘッド(9)は上記蓋体に対して水平に圧力を行使することで上記の鉛直的で可逆的な固定から上記カバーを解除すると共に、上記取り扱い用ヘッドを上昇させることで上記カバーを選択的に上昇させて上記受杯部分を開成してもよい。
【0048】
図6Bには、開成位置におけるコンテナ(11)を閉成する方法が示される。此処で取り扱い用ヘッド(9)は、開成されたカバーの蓋体からラッチ嵌合部が指し示す側に対して上記コンテナに接近する。引き続き、取り扱い用ヘッド(9)は上記コンテナの直上を水平に移動することで、上記受杯部分の上側開口の上方にて上記カバーを押圧すると共に、上記カバーの弾性係止ラッチを受杯部分のラッチ嵌合部の近傍にもたらす。第2の鉛直移動において上記取り扱い用ヘッドは今や上記カバーに対して圧力を行使することで、上記弾性係止ラッチがラッチ嵌合部に係合することを可能とする。
【0049】
上記方法の好適実施形態において上記取り扱い用ヘッドは更に、分析機器内におけるたとえば受容部などのひとつの位置から上記コンテナをピックアップして別の位置へと搬送するために把持器を備える。
【0050】
本発明に係る上記方法の特定実施形態において上記コンテナの上記受杯部分は移動可能な下方保持クランプにより上記受容部に対して可逆的に束縛される一方、上記取り扱い用ヘッドは上記コンテナに接近して作動する。この実施形態は、上記取り扱い用ヘッドの操作の間に且つ上記コンテナのキャップ部分が該コンテナの受杯部分に対して堅固には固定されない間に該コンテナは上記受容部に固定されるので、流体の溢流が回避されることから反応混合物の相互汚染に対する発生源が排除されるという利点を有する。
【0051】
本発明の別実施形態は、水平方向を指すスパイクを有する部分(図6における(12)参照)と、一定の実施形態においてはピペット先端または本発明に係るコンテナとされ得るアイテムを鉛直にピックアップする部分とを備える取り扱い用ヘッドを包含する、液体を自動的に取り扱う機器である。より好適には該機器は、上記取り扱い用ヘッドの水平および鉛直移動を指示する制御ユニットを更に備える。
【0052】
本発明の方法または器具において使用されるベッセルは、同様に本発明において提供される作製方法を用いて製造され得る。所謂る多成分射出成形技術である該作製方法によれば、ひとつの成形型内において異なる材料を用いて上記ベッセルの作製が許容される。第1段階においては、多成分用成形型の第1キャビティ内へと第1成分が射出される。習用の射出成形において行われる様に成形型を開いた後でこの成分を排出する代わりに、上記第1成分は、上記成形型の射出側もしくは移動可能側のいずれかにおいて上記第1キャビティの一側に留まる。引き続き上記成形型の射出側もしくは移動可能側のいずれかは、第1成分が依然として固定された上記第1キャビティが上記成形型の他側の第2キャビティに臨む様に、射出軸心の回りにおいて(たとえば3個の成分に対しては120°の角度だけ)回転される。第2段階においては上記第2キャビティ内に第2成分が充填される。それを行う際に、適切な材料が処理されたときには上記第1成分と第2成分との間における恒久的接合が得られる。この第2段階の間において上記第1キャビティは上記第1成分により再び充填される。故に上記成形型の射出側もしくは移動可能側は、上記第1成分が依然として固定された上記第1キャビティは上記第2キャビティに臨み且つ上記第1および第2成分を備えた上記第2キャビティは上記成形型の他側の第3キャビティに臨む様に、射出軸心の回りで(たとえば3個の成分に対しては120°の角度だけ)再び回転される。第3段階においては第3成分が射出される。故に3つの段階の後で、最初の三成分ベッセルが完成される。故に夫々の3段階サイクルにおいては、完全な三成分部材が作製される。要約すると、ベッセルは3種類のプラスチック材料から作成されると共にひとつの成形型において作製されるというベッセルの斯かる作製方法は、
−多成分用成形型の第1キャビティ内へと第1成分を射出する段階と、
−上記第1成分を上記第1キャビティ内に留まらせ乍ら上記成形型を射出軸心の回りに回転する段階であって回転の後で上記成形型は第2キャビティに臨むという段階と、
−上記第2キャビティ内に第2成分を射出して上記第1および第2成分間に恒久的接合を形成する段階と、
−上記第1成分を上記第1キャビティ内に留まらせ乍ら上記成形型を上記射出軸心の回りに回転する段階であって回転の後で上記成形型は第3キャビティに臨むという段階と、
−上記第3キャビティ内に第3成分を射出し、上記第1および第2成分から成る上記成分に対して上記第3成分を恒久的に接続する段階とを備有する。
【0053】
本発明の特定実施形態において上記作製方法により製造された上記ベッセルは、本発明の上記コンテナである。上記ベッセルが本発明のコンテナであるという本発明の別の特定実施形態において、該コンテナは、該コンテナが繋止位置に在るときに上記受杯部分とキャップ部分との間に配置されるシール部分を包含する。
【0054】
上記作製方法に従い製造されたベッセルは、第1の堅固な合成物質から型成形された受杯部分と、第2の堅固な合成物質から型成形されたキャップ部分と、柔軟な合成物質から型成形されたシール部分とを備え、上記堅固な合成物質は熱可塑性ポリマ材料であり、且つ、上記柔軟な合成物質はエラストマ・ポリマ材料または熱可塑性のエラストマ・ポリマ材料である。更に、上記受杯部分、キャップ部分およびシール部分は、上記ベッセルの一体的要素であり且つ頑丈に接続される。上記の3つの一体的要素の分解は、上記ベッセルの破壊に繋がる。代替的に上記ベッセルは、習用の射出成形により夫々の単一材料を製造した後で組立てられても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】強調された受杯部分(1)が管材(2)とラッチ嵌合部(3)とを備えて開成位置に在るという本発明の第1実施形態を示す図である。
【図2】強調されたキャップ部分(4)が弾性係止ラッチ(5)を備えて開成位置に在るという本発明の第1実施形態を示す図である。
【図3】6個の管材(2)から構成されると共に開成位置とされた本発明の第1実施形態を示す図であり、受杯部分およびキャップ部分は双安定ヒンジ(6)を介して接続され、仕切りバー(7)ならびに弾性係止ラッチ(5)はキャップ部分(4)上に見られる。
【図4】閉成位置に在る本発明の第1実施形態を示す図であり、キャップ部分の上側部にはバーコード・ラベル(8)が取付けられる。
【図5】本発明の第2実施形態に係る管材を示す図である。
【図6A】取り扱い用ヘッド(9)がスパイク(12)を備えるという本発明の第1実施形態の開成プロセスを示す図である。
【図6B】取り扱い用ヘッド(9)がスパイク(12)を備えるという本発明の第1実施形態の閉成プロセスを示す図である。
【図7A】シール部分(14)の断面形状が異なるという本発明の種々の実施形態の断面図である。
【図7B】シール部分(14)の断面形状が異なるという本発明の種々の実施形態の断面図である。
【図7C】シール部分(14)の断面形状が異なるという本発明の種々の実施形態の断面図である。
【図7D】シール部分(14)の断面形状が異なるという本発明の種々の実施形態の断面図である。
【図8】開成位置における本発明の第2実施形態を示す図であり、キャップの下側は各受杯部分(2)に対する凸状または増深リング領域(13)を更に備えている。
【符号の説明】
【0056】
1 受杯部分
2 管材
3 ラッチ嵌合部
4 キャップ部分
5 弾性係止ラッチ
6 双安定ヒンジ
7 仕切りバー
8 バーコード・ラベル
9 取り扱い用ヘッド
10 閉成位置におけるコンテナ
11 開成位置におけるコンテナ
12 取り扱い用ヘッドのスパイク
13 凸状もしくは増深リング領域
14 シール部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析機器上に、
受容部内に保持されると共に開口を有する受杯部分と、
前記開口を閉成するカバーを備えると共に前記受杯部分の一側に対して恒久的に取付けられるキャップ部分と、
を備えるコンテナと、
取り扱い用ヘッドと、
を配備する段階と、
前記カバーを前記開口に対して鉛直的に且つ可逆的に固定して閉成するための蓋体を有する前記コンテナの側部に対して前記取り扱い用ヘッドを接近させる段階と、
前記蓋体に対して前記取り扱い用ヘッドにより水平に圧力を行使することで、前記鉛直的で可逆的な固定から前記カバーを解除する段階と、
選択的に、前記取り扱い用ヘッドを上昇させることにより前記カバーを上昇させて前記受杯部分を開成する段階とを有する、
分析機器において液体を自動的に取り扱う方法。
【請求項2】
前記キャップは前記受杯の一側に対し双安定ヒンジを介して恒久的に取付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャップは前記受杯部分に対しスプリング錠を介して可逆的に取付けられる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記取り扱い用ヘッドを用いて前記キャップにより前記開口を閉成する段階を有する、請求項1から請求項3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記受容部から前記コンテナをピックアップする段階を更に有する、請求項1から請求項4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記取り扱い用ヘッドは前記受容部から前記コンテナをピックアップして搬送する把持器を更に有する、請求項1から請求項5のいずれか一つ請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記コンテナは、各々が開口を有する2本から12本の受杯部分と、前記開口を閉成するカバーを備える少なくともひとつのキャップ部分とを備える、請求項1から請求項6のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンテナの前記受杯部分は移動可能な下方保持クランプにより前記受容部に対して可逆的に束縛される一方、前記取り扱い用ヘッドは前記コンテナに接近して作動する、請求項1から請求項7のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項9】
上側開口を有する受杯部分と、
前記受杯部分の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分であって前記上側開口を閉成するカバーを備えるキャップ部分と、
前記受杯部分の側部に配置されたラッチ嵌合部であって該ラッチ嵌合部によれば前記キャップ部分の弾性係止ラッチは前記カバーが前記開口を鉛直的に且つ可逆的に閉成する様に保持されるというラッチ嵌合部を備える蓋体であって、前記弾性係止ラッチは前記受杯の前記側部から取り扱い用ヘッドによりアクセス可能な傾斜平面部であって該平面部に対して水平に圧力を行使することにより前記キャップ部分を前記受杯部分から解除するという傾斜平面部を備えるという蓋体とを具備する、
分析機器上で液体を自動的に取り扱うコンテナ。
【請求項10】
前記キャップ部分の前記カバーは、該キャップ部分の該カバーが受杯部分に対して緊密に固定されたときに該受杯部分のひとつの上側開口を第2の近傍の上側開口から分離する如き様式で位置される少なくとも一本の仕切りバーを備える、請求項9に記載のコンテナ。
【請求項11】
前記キャップは前記受杯部分に対しスプリング錠を介して可逆的に取付けられる、請求項9または請求項10に記載のコンテナ。
【請求項12】
前記キャップ部分は前記受杯の一側に対し双安定ヒンジを介して恒久的に取付けられる、請求項9から請求項11のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項13】
前記キャップ部分は不透明である、請求項9からの請求項12のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項14】
前記キャップ部分の外側部分は、各部分のバーの頂部が更に狭幅側の縁部に向けられる4個の部分に分割されるというバーコードを備え、且つ、
前記バーコードの前記4個の部分はひとつの全長バーコードを構成する、請求項9から請求項13のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項15】
当該コンテナは、前記キャップ部分の前記カバーが前記受杯部分に対して緊密に固定されるときに前記受杯部分と前記キャップ部分との間に配置されるシール部分を付加的に有する、請求項9から請求項14のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項16】
前記受杯部分は第1の堅固な合成物質から作成され、前記閉成カバーを備える前記キャップ部分は第2の堅固な合成物質から作成され、且つ、前記シール部分は柔軟な合成物質から作成される、請求項15に記載のコンテナ。
【請求項17】
前記シール部分は、前記キャップ部分に臨む前記上側開口の回りにて前記受杯部分に対して装着される、請求項15または請求項16に記載のコンテナ。
【請求項18】
前記受杯部分は、実質的に円錐状の第1壁部分と実質的に円筒状で下方に勾配付けられた第2壁部分とから構成され、
前記第1壁部分は前記第2壁部分よりも実質的に薄寸の壁部を有し、且つ、
前記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は7°から15°の間である、請求項9から請求項17のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項19】
前記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される前記角度は約10°である、請求項18に記載のコンテナ。
【請求項20】
前記第1壁部分の厚さは0.15mm〜0.30mmである、請求項18または請求項19に記載のコンテナ。
【請求項21】
前記第1壁部分の厚さは約0.2mmである、請求項18または請求項19に記載のコンテナ。
【請求項22】
当該コンテナは各々が開口を有する2本から12本の管材の整列体から構成され、
全ての開口は前記キャップ部分の前記カバーにより同時的にかつ自動的に閉成および開成される、請求項9から請求項21のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項23】
水平方向を指すスパイクを有する部分と、
請求項9から請求項22のいずれか一つの請求項に記載のコンテナであるアイテムを鉛直にピックアップする部分とを備える取り扱い用ヘッドを具備する、
液体を自動的に取り扱う機器。
【請求項24】
前記取り扱い用ヘッドの水平および鉛直移動を指示する制御ユニットを更に具備する、請求項23に記載の機器。
【請求項25】
請求項23から請求項24のいずれか一つの請求項に記載の器具と、請求項9から請求項22のいずれか一つの請求項に記載のコンテナとを具備する、液体を分析するシステム。
【請求項26】
3種類のプラスチック材料から作成されると共にひとつの成形型において作製されるベッセルに対する作製方法であって、
−多成分用成形型の第1キャビティ内へと第1成分を射出する段階と、
−前記第1成分を前記第1キャビティ内に留まらせ乍ら前記成形型を射出軸心の回りに回転する段階であって回転の後で前記成形型は第2キャビティに臨むという段階と、
−前記第2キャビティ内に第2成分を射出して前記第1および前記第2成分間に恒久的接合を形成する段階と、
−前記第1成分を前記第1キャビティ内に留まらせ乍ら前記成形型を前記射出軸心の回りに回転する段階であって回転の後で前記成形型は第3キャビティに臨むという段階と、
−前記第3キャビティ内に第3成分を射出し、前記第1および前記第2成分から成る前記成分に対して前記第3成分を恒久的に接続する段階とを有し、
前記ベッセルは請求項9から請求項22のいずれか一つに記載のコンテナである、
作成方法。
【請求項27】
前記コンテナの前記受杯部分および前記キャップ部分は繋止位置においてシール部分によりシールされる、請求項26に記載の作製方法。
【請求項28】
第1の堅固な合成物質から型成形された受杯部分と、
第2の堅固な合成物質から型成形されたキャップ部分と、
柔軟な合成物質から型成形されたシール部分とを具備する、
請求項26から請求項27のいずれか一つの請求項に記載の方法により作製されたベッセル。
【請求項1】
分析機器上に、
受容部内に保持されると共に開口を有する受杯部分と、
前記開口を閉成するカバーを備えると共に前記受杯部分の一側に対して恒久的に取付けられるキャップ部分と、
を備えるコンテナと、
取り扱い用ヘッドと、
を配備する段階と、
前記カバーを前記開口に対して鉛直的に且つ可逆的に固定して閉成するための蓋体を有する前記コンテナの側部に対して前記取り扱い用ヘッドを接近させる段階と、
前記蓋体に対して前記取り扱い用ヘッドにより水平に圧力を行使することで、前記鉛直的で可逆的な固定から前記カバーを解除する段階と、
選択的に、前記取り扱い用ヘッドを上昇させることにより前記カバーを上昇させて前記受杯部分を開成する段階とを有する、
分析機器において液体を自動的に取り扱う方法。
【請求項2】
前記キャップは前記受杯の一側に対し双安定ヒンジを介して恒久的に取付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャップは前記受杯部分に対しスプリング錠を介して可逆的に取付けられる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記取り扱い用ヘッドを用いて前記キャップにより前記開口を閉成する段階を有する、請求項1から請求項3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記受容部から前記コンテナをピックアップする段階を更に有する、請求項1から請求項4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記取り扱い用ヘッドは前記受容部から前記コンテナをピックアップして搬送する把持器を更に有する、請求項1から請求項5のいずれか一つ請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記コンテナは、各々が開口を有する2本から12本の受杯部分と、前記開口を閉成するカバーを備える少なくともひとつのキャップ部分とを備える、請求項1から請求項6のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンテナの前記受杯部分は移動可能な下方保持クランプにより前記受容部に対して可逆的に束縛される一方、前記取り扱い用ヘッドは前記コンテナに接近して作動する、請求項1から請求項7のいずれか一つの請求項に記載の方法。
【請求項9】
上側開口を有する受杯部分と、
前記受杯部分の一側に恒久的に取付けられたキャップ部分であって前記上側開口を閉成するカバーを備えるキャップ部分と、
前記受杯部分の側部に配置されたラッチ嵌合部であって該ラッチ嵌合部によれば前記キャップ部分の弾性係止ラッチは前記カバーが前記開口を鉛直的に且つ可逆的に閉成する様に保持されるというラッチ嵌合部を備える蓋体であって、前記弾性係止ラッチは前記受杯の前記側部から取り扱い用ヘッドによりアクセス可能な傾斜平面部であって該平面部に対して水平に圧力を行使することにより前記キャップ部分を前記受杯部分から解除するという傾斜平面部を備えるという蓋体とを具備する、
分析機器上で液体を自動的に取り扱うコンテナ。
【請求項10】
前記キャップ部分の前記カバーは、該キャップ部分の該カバーが受杯部分に対して緊密に固定されたときに該受杯部分のひとつの上側開口を第2の近傍の上側開口から分離する如き様式で位置される少なくとも一本の仕切りバーを備える、請求項9に記載のコンテナ。
【請求項11】
前記キャップは前記受杯部分に対しスプリング錠を介して可逆的に取付けられる、請求項9または請求項10に記載のコンテナ。
【請求項12】
前記キャップ部分は前記受杯の一側に対し双安定ヒンジを介して恒久的に取付けられる、請求項9から請求項11のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項13】
前記キャップ部分は不透明である、請求項9からの請求項12のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項14】
前記キャップ部分の外側部分は、各部分のバーの頂部が更に狭幅側の縁部に向けられる4個の部分に分割されるというバーコードを備え、且つ、
前記バーコードの前記4個の部分はひとつの全長バーコードを構成する、請求項9から請求項13のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項15】
当該コンテナは、前記キャップ部分の前記カバーが前記受杯部分に対して緊密に固定されるときに前記受杯部分と前記キャップ部分との間に配置されるシール部分を付加的に有する、請求項9から請求項14のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項16】
前記受杯部分は第1の堅固な合成物質から作成され、前記閉成カバーを備える前記キャップ部分は第2の堅固な合成物質から作成され、且つ、前記シール部分は柔軟な合成物質から作成される、請求項15に記載のコンテナ。
【請求項17】
前記シール部分は、前記キャップ部分に臨む前記上側開口の回りにて前記受杯部分に対して装着される、請求項15または請求項16に記載のコンテナ。
【請求項18】
前記受杯部分は、実質的に円錐状の第1壁部分と実質的に円筒状で下方に勾配付けられた第2壁部分とから構成され、
前記第1壁部分は前記第2壁部分よりも実質的に薄寸の壁部を有し、且つ、
前記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される角度は7°から15°の間である、請求項9から請求項17のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項19】
前記実質的に円錐状とされた第1壁部分を通る長手軸心により画成される前記角度は約10°である、請求項18に記載のコンテナ。
【請求項20】
前記第1壁部分の厚さは0.15mm〜0.30mmである、請求項18または請求項19に記載のコンテナ。
【請求項21】
前記第1壁部分の厚さは約0.2mmである、請求項18または請求項19に記載のコンテナ。
【請求項22】
当該コンテナは各々が開口を有する2本から12本の管材の整列体から構成され、
全ての開口は前記キャップ部分の前記カバーにより同時的にかつ自動的に閉成および開成される、請求項9から請求項21のいずれか一つの請求項に記載のコンテナ。
【請求項23】
水平方向を指すスパイクを有する部分と、
請求項9から請求項22のいずれか一つの請求項に記載のコンテナであるアイテムを鉛直にピックアップする部分とを備える取り扱い用ヘッドを具備する、
液体を自動的に取り扱う機器。
【請求項24】
前記取り扱い用ヘッドの水平および鉛直移動を指示する制御ユニットを更に具備する、請求項23に記載の機器。
【請求項25】
請求項23から請求項24のいずれか一つの請求項に記載の器具と、請求項9から請求項22のいずれか一つの請求項に記載のコンテナとを具備する、液体を分析するシステム。
【請求項26】
3種類のプラスチック材料から作成されると共にひとつの成形型において作製されるベッセルに対する作製方法であって、
−多成分用成形型の第1キャビティ内へと第1成分を射出する段階と、
−前記第1成分を前記第1キャビティ内に留まらせ乍ら前記成形型を射出軸心の回りに回転する段階であって回転の後で前記成形型は第2キャビティに臨むという段階と、
−前記第2キャビティ内に第2成分を射出して前記第1および前記第2成分間に恒久的接合を形成する段階と、
−前記第1成分を前記第1キャビティ内に留まらせ乍ら前記成形型を前記射出軸心の回りに回転する段階であって回転の後で前記成形型は第3キャビティに臨むという段階と、
−前記第3キャビティ内に第3成分を射出し、前記第1および前記第2成分から成る前記成分に対して前記第3成分を恒久的に接続する段階とを有し、
前記ベッセルは請求項9から請求項22のいずれか一つに記載のコンテナである、
作成方法。
【請求項27】
前記コンテナの前記受杯部分および前記キャップ部分は繋止位置においてシール部分によりシールされる、請求項26に記載の作製方法。
【請求項28】
第1の堅固な合成物質から型成形された受杯部分と、
第2の堅固な合成物質から型成形されたキャップ部分と、
柔軟な合成物質から型成形されたシール部分とを具備する、
請求項26から請求項27のいずれか一つの請求項に記載の方法により作製されたベッセル。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図1】
【図2】
【公開番号】特開2007−17441(P2007−17441A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−185560(P2006−185560)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185560(P2006−185560)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】
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