説明

液体フラックスとその製造方法及び製造装置

【課題】切断やロウ付けに使用する液体フラックスは高温や高圧下で製造する方法や強磁界帯で溶媒を回転させながら製造する方法が提案されているが、安全面や製造能力面で問題があり、実用的な量の液体フラックスを製造するのは困難であった。
【解決手段】アルコールなどの溶媒に強力な磁場を付加しながら撹拌するとともに、通電しながらパルス電圧を付加したり、白金とニッケルによる触媒反応を付与したりして電解質を常温・常圧で溶解せしめて高濃度の液体フラックスを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は普通鋼や特殊鋼などの厚板のガス切断や連続鋳造で製造するスラブの切断及びその表面をスカーフィングするときに生じるドロス(バリやノロなど)の付着防止用としてあるいは、銀ロウ、黄銅ロウ、リン銅ロウなどのロウ付け用として用いる気化フラックスの基となる液体フラックスとその製造方法及び製造装置に関するものである。本方法で製造した液体フラックスをプロパン(C3H6)やアセチレン(C2H2)などの燃焼ガス中に気化・混入して切断トーチやロウ付けトーチに導いて切断やロウ付けに使用する。
【背景技術】
【0002】
ガス切断法は、プロパン(C3H6)やアセチレン(C2H2)などの可燃性ガスを酸素と燃焼酸化反応させて、普通鋼や特殊鋼などの厚板のガス切断や連続鋳造で製造するスラブの切断などに活用されている。ガス切断法は切断速度が速く能率的であり設備も簡単でランニングコストも安価であるなどの利点がある。しかしながら、ガス切断法の最大の欠点は切断溶鉄と酸化反応ドロスが被切断材の下面に付着・成長することである。このような付着物となるドロスは一般にバリやノロと呼ばれ、切断後のドロス除去作業は重労働となっている。従来のガス切断作業におけるドロス除去作業は、人海戦術に頼る場合が多く、切断後に残熱のある鋼材の上に人間が乗って、ハンドグラインダーで切断部の手入れをしているのが実態であり、熱い、汚い、キツイの3K作業となっている。鋼材切断メーカーでは、材料取り・展開・切断などの工程は切断機のNC化等でコンピュータ化されており、非熟練者でも短期間の教育・訓練で対応可能となっている。しかしながら、ドロスの付着防止に関しては鋼種・板厚・温度などの条件に合わせて燃焼ガスや酸素の圧力・流量・切断スピード・切断予熱温度を変化させてドロスが付着しないような切断条件を見極めてこれを自動化するまでには至っていない。さらに、ドロス除去作業の自動化も遅れており、鋼種や切断形状の違いのためロボット化も困難な状況にある。そのため、従来から厚板の切断作業においては、ドロスが付着しないような切断方法が各種提案されている。また、連続鋳造で製造したスラブは表面疵があるため、疵の部分を燃焼ガスと酸素でスカーフィングして除去しているが、除去した後にドロスが再付着する場合がありスラブを薄板に圧延した際の表面疵の原因となっていた。
【0003】
アルカリ金属(H、Li、Na、K、Rb、Ce、Fr)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、ハロゲン(F、Cl、Br、I、At)、B、C、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒中に溶解して液体フラックスを製造できれば、これらの液体フラックスをアセチレンやプロパンなどの切断ガスと混合して、鋼材の切断やスカーフィングに使用することによりドロスが付着しないようにすることができる。液体フラックスの原料となる電解質は各種固体薬品として市販されている。例えば、酸化防止の役割をする電解質薬品として、ホウ酸(H3BO3)、酸化ホウ素(B2OB)、ホウ酸トリメチール((CH3O)3B)などがある。表面張力を除去及び清浄化役割をする薬品として、酸性フッ化カリウム(KHF2)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、テトラフルオロホウ酸(HBF4)などがある。融点を下げ切断面の清浄化役割をする薬品として、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)、リン酸トリフェニル((C6H5O)3PO)、リン酸(H3PO4)、亜リン酸2カリウム(K2PHO3)、テトラエトキシシラン((C2H5O)4Si)、テトラメチルシラン((CH3)Si)などがある。これら固体の電解質をアルコールなどの溶媒に溶解して液体フラックスをつくり、これらの液体フラックスを数種類混合することで所定の用途に応じた液体フラックスを自在に製造することが可能になる。しかしながらこれらの固体の電解質を溶媒中に溶解するのは困難であり実用化されていなかった。
【0004】
ロウ付けの分野では、ロウ材の酸化を防止しつつ被ロウ付け材の隙間にロウ材を毛細管現象で流入せしめるためにフラックスを必要とする。ロウ材を溶融させるためにアセチレン(C2H2)ガスやプロパン(C3H6)ガスなどの燃焼ガスでロウ材やロウ付け母材を450℃〜850℃程度まで加熱して塗布したフラックスが液体状になりロウ付けの適正温度に達した時一瞬にしてロウ材がロウ付け隙間に入り込みロウ付けが完成される。そのためには温度上昇するにしたがって膨張する母材を抑えてロウ付け隙間を常に一定に保持する冶具をセッティングしなければならない。また、ロウ付け近辺の酸化を防ぐとともに色彩を守るためにフラックスを一定の濃度に溶解してロウ付け母材にスプレーで塗布していた。固体フラックスを5〜10倍に薄めて霧状にして吹き付けるために、フラックスはロウ付け母材に塗膜状に付着し、ロウ付け時の熱により溶融しガラス状になってロウ付け母材に広い範囲でこびりついてしまう。ロウ付け母材にこびりついたフラックスは放置すると腐食の原因となるので後工程で確実に除去する必要があった。残存フラックスを除去した後もロウ付け母材は酸性になっているので中和のためにアルカリ液による洗浄工程が必要であった。クーラー、温水器、風呂釜、自転車、自動車のギヤ、切削工具バイト類などロウ付けは多種、多様な部品に採用されているが残留フラックスの除去がロウ付けの作業の大きな問題点である。
【0005】
以上の様に、従来のロウ付けは固体フラックスをペースト状などのように塗布しやすい状態にして使用するものであり、熟練した技能や冶具を要する特殊な作業である。ロウ付け作業者はロウ付けに関する知識と経験が必要でかつトーチロウ付けに関しては原則としてJISZ3891の試験に合格した人となる。フラックスを必要とするロウ材としては例えば、JISZ3261(銀ロウ)、JISZ3262(銅及び黄銅ロウ)、JISZ3264(リン銅ロウ)、JISZ3265(ニッケルロウ)である。ロウ付けに用いる母材は炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、銅、銅合金などでJISG3131、JISG3141、JISG4304、JISH3100、JISH3300に規定するものまたは相当するもので、有害な疵、錆、汚れのないものである。ロウ付け用のフラックスは母材と用途によってJISZ3261〜3265に相当するものを使用するが、加熱温度が違えばフラックスの成分も違ってくる。ロウ付け方法も置きロウと差しロウの場合があり、いずれもロウ付け以外の部分にロウが付着したり流れたりしないようにするためフラックスの塗布部に注意する必要がある。また、ロウ付け中に母材の隙間が動かないように適切に支持するための冶具の設計及びセットが必要である。このように固体フラックスを使用したロウ付けにおいては母材との組み合わせで条件や方法が多様化しており、品質管理・技能・環境などの面から多くのノウハウや技術を要する。固体フラックスはロウ付け面への塗布や取り扱いが難しいことから、塗布の必要がなくロウ付け後の洗浄も簡単な気化フラックスが求められており、そのためには気化フラックスの基になる機能性の高い液体フラックスの開発が求められていた。
【0006】
現状では共有結合や水素結合したアルコキシド系化合物がアルコールなどの溶媒に溶解しやすいことから液体フラックスとして市販されておりこれを気化させて気化フラックスとしてロウ付けなどに使用している。アルコキシド系のホウ酸(H3BO3)、ホウ酸トリメチール((CH3O)3B)、テトラトキシシラン((C2H5O)4Si)、リン酸メタノール((CH3O)3P)は確実にかつ単独に水に溶けるので容易に液体フラックス化できるが濃度が5%程度と低いうえに高価なため一部のロウ付けにしか使用されていない。例えば、ホウ酸(H3BO3)溶液やホウ酸トリメチール((CH3O)3B)60%とアセトン(CH3COCH3)30%とメタノール(CH3OH)10%を混合した溶液は180〜800℃の幅広い温度範囲でフラックス機能を発揮することからロウ付け用の液体フラックスとして市販されている。ホウ酸トリメチール((CH3O)3B)をアルコールに溶解した液体フラックスは温水器、風呂釜、クーラーなどの銅を主成分とした機器をリン銅ロウでロウ付けする場合に使用されている。リン銅ロウは銅(90〜93%)、リン(3〜7%)、残りを銀とするロウ材である。ステンレスと黄銅のような異種材をロウ付けする場合は比較的に温度が低い領域(450〜600℃)での銀ロウ付けとなるため、ロウ材の流れ込みをよくするために前もってロウ付け部近辺にフッ化物を含んだ固体フラックスを塗布しておく必要があった。ロウ材にフッ化物が含まれていないとロウ材の表面張力が大きくなり毛細管現象でロウ材が被ロウ付け材の隙間に流れ込んでいかないからである。このように現状の液体フラックスの主流であるホウ酸トリメチール溶液はフッ化物を含んでいないので、リン銅ロウ以外のロウ付けの場合はフッ化物を含んだ固体フラックスを併用せざるを得ず作業性が悪かった。以上のように、現在実用化されているホウ酸トリメチール((CH3O)3B)のような液体フラックスは濃度5%程度であり単独では十分なフラックスの機能を果たすことは困難であった。
【0007】
本発明者は、高温高圧下において液体フラックスを製造する方法を発明し特願2007−287820号として出願した。この方法で製造した液体フラックスを燃焼ガスに混合して鋼材を切断したところドロスの付着がなくなった。また、フッ化物を含有した液体フラックスを製造してロウ付けを行ったところきれいなロウ付けができた。さらに、強磁場内で溶媒や電解質を回転、攪拌することにより液体フラックスを製造する方法を発明し特願2008−178420号して出願した。この方法で製造した液体フラックスを燃焼ガスに混合して鋼材を切断したところドロスの付着がなくなった。また、フッ化物を含有した液体フラックスを製造してロウ付けを行ったところきれいロウ付けができた。特願2007−287820号や特願2008−178420号で紹介した工程で製造された液体フラックスを燃焼ガスで気化させるとともに燃焼ガスに混入させて気化フラックスとして、切断やロウ付けに応用することにより、(1)切断母材の酸化防止とドロスの付着防止を図る、(2)切断ドロスの融点を最大50℃程度降下させて切断ドロスの流動性を向上させる、(3)切断ドロスの表面張力を低下させ、切断下面へのドロスの付着を防止することなどが可能となった。(4)液体フラックスを多様なロウ付けに応用することが可能となった。
【0008】
しかしながら、特願2007−287820号による液体フラックスの製造法は、ロウ付けなどに使用する固体フラックスを適宜混合して前処理した混合フラックスを、アルコールなどの溶媒に8〜50重量%混合して、超臨界装置内において温度300〜400℃、圧力34.3〜44.1MPaで溶解するものである。本発明により例えばホウ酸(H3BO3)やフッ化物などの複数の固体フラックスをアルコールなどの溶媒に溶かした液体フラックスの製造も可能となった。しかしながら高温高圧下で電解質を溶解するのは生産性が悪く危険であった。本発明者は常温常圧で液体フラックスを製造する方法として特願2008−178420号による方法を発明した。強磁場体で溶媒を回転撹拌しながら電解質を溶解する製造方法により、例えば25%程度の濃度のホウ酸トリメチール((CH3O)3B)の製造なども可能となった。
【0009】
しかし、電解質を強磁場の中で攪拌して溶解する方法ではアメリカのポーリングにより与えられた電気陰性度(単位を持たない相対値)の差が大きいほどイオン結合力が大きくなることから無機質の電解質は溶解しにくく製造能率が低かった。単体のイオンが2つあるいは3つ結合した共有結合で結ばれた2〜3原子の電気陰性度の差が大きいほどイオン結合が大きくなり、この原子間の電気陰性度の差が2を超えるとイオン結合となり共有結合や水素結合と異なり溶解しにくくなる。有機物質は共有結合と水素結合が主であり溶解しやすいが無機物質はイオン結合と金属結合が主であり溶解しにくい。そのためフッ化物のような電気陰性度の差が大きな電解質は強磁場の中で攪拌してもアルコールなどの溶媒に溶解しにくいという問題がある。例えば、フッ化カリウム(KF)の例をとると、KFの反応式はK(電気陰性度0.8)+F(電気陰性度4.0)=KFであるが、電気陰性度の差が3.2(4.0−0.8)となり電気陰性度は2.0より大きいため溶解しにくい傾向にある。例え溶媒に少量溶解したとしても他の元素と急激に反応しやすいため再結晶しやすく長期保存ができないという問題があった。このように電気陰性度の大きなフッ化物はフラックスとして優れた性質を有していても溶解しにくいため液体フラックスや気化フラックスとして利用しにくい状況にあった。
【特許文献1】特開2005−199299号公報
【特許文献2】特開平1−133675号公報
【特許文献3】特開2003−112239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の方法においては、プロパンやアセチレンなどの燃焼ガスや酸素圧力を上昇させて切断するため(1)ガス漏れや爆発などの危険性が増す、(2)可燃性ガスと酸素の圧力を上昇させて高温のドロスを吹き飛ばすことは可能であるが、被切断材が厚くなるに従い燃焼ガスや酸素の圧力も上昇し、酸素圧は高くなるほど酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe2O4)の粘性が増大するので切断ドロスの流動性が低下し切断面に付着しやすくなる、(3)そのため、切断幅の広い火口を使用して切断ドロスの流れる道筋を確保しつつ切断することになるが、燃焼ガスや酸素の使用量が増加するとともに厚板材の原単位が低下する、(4)切断面の表面粗さが低下する、(5)切断ドロスは厚板の下面にガス溶接された状態で強固に付着しているので除去作業に手間取る、(6)切断ノズルが大型化するので被切断材からの輻射熱がノズル本体に入熱しやすく、逆火や爆発のなどの問題がある。
【0011】
特許文献2の方法においては、切断ドロスに含まれる粘性の高い酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe2O4)は被切断材の下面だけでなく上面にも凸状に形成され、一般的に上面はスチールショットあるいはサンドショット方式で除去され、下面は機械的なハツリ機で除去されるが完全な除去は不可能であった。
【0012】
特許文献3の方法においては、(1)最終的に人力で除去している、(2)除去部材が磨耗するので消耗品の取替えや道具のメンテナンスに手間を要するなどの問題がある。
【0013】
特願2007−287820号で紹介した方法においては、(1)高温・高圧の装置が必要であり、反応時間も長く大量生産向きではなかった、(2)金属材料は450℃以上になると耐力が低下するためSCM440やSNCM815などの抗張力鋼を使用するが、酸性の薬品を処理する場合は容器の鉄イオンが微少ながら溶出してアルコールなどの溶媒中に混入するので、気化フラックスとして切断ガス中と混合したときに切断ドロスの種となってドロス付着を促進する、(3)そのため、溶解反応後は容器内を清掃して防錆処理などの手間が必要となる、(4)30%以上の高濃度の液体フラックスを製造するためには装置内の圧力を60MPa以上、温度を500℃以上にする必要があり、装置の大型化や高度な安全対策が必要となるなどの問題がある。
【0014】
特願2008−178420号で紹介した方法においては、(1)強磁場で撹拌するだけでは電解質の溶解に時間を要していた、(2)ポーリング値が2以上の電解質は溶解しにくかった。
【0015】
以上の問題点を踏まえて、本発明が解決しようとする課題は、(1)切断ドロスに物理的な外力を加えなくてもドロスが切断面から自重落下する、(2)凹凸の少ないきれいな切断面を得る、(3)燃焼ガスや酸素の圧力を極力低減して切断幅を小さくし、被切断材の歩留まりを向上させる、(4)燃焼ガスや酸素の消費量を低減するとともに安全な切断作業を実現する、(5)液体フラックスの製造方法を容易かつ安全にするとともに、高濃度の液体フラックスを製造するための方法と装置を実現する、(6)ロウ付け部にフラックスを塗布することなくロウ付けできる、(7)ロウ材の酸化防止が確実にできて表面張力を破り拡延性を促進し流動性を保持する、(8)電解質の溶解速度を向上させて液体フラックスの生産効率を向上させる、(9)電解質の溶解濃度を向上させる、(10)電気陰性度の高い電解質の液体フラックスを製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の解決手段は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに、該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒中に電極を挿入して通電するとともにパルス電圧を付加する液体フラックス製造方法である。
【0017】
第2の解決手段は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに、該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒を回転させる回転羽根の材質をマルテンサイト系ステンレスとし、該回転羽根にニッケルメッキと白金メッキを施している液体フラックス製造方法である。
【0018】
第3の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に、酸化ホウ素(B2OB)と5酸化リン(P2O5)を3対1から5対1の割合で混合した混合物を投入して、前記溶媒中の水分を除去するとともに、前記溶媒と前記混合物の反応熱で前記電解質を溶解させる液体フラックスの製造方法である。
【0019】
第4の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と四ホウ酸ナトリウム(NaB4O7)溶液を混合した液体フラックスである。
【0020】
第5の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とリン酸トリフェニル((C6H5O)3PO)溶液を混合した液体フラックスである。
【0021】
第6の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液と四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)溶液とホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)溶液を混合した液体フラックスである。
【0022】
第7の解決手段は、フッ化カリウム(KF)とフッ化リチウム(LiF)とフッ化ナトリウム(NaF)を混合・溶融して化合物を作り、該化合物を粉砕してアルコールなどの溶媒に溶解した溶液とアルコールなどの溶媒中にそれぞれ溶解した三フッ化アルミニウム(AlF3)溶液と塩化セシウム(CsCl)溶液を混合した液体フラックスである。JISH4000、4040の1085、1080、1070などの純アルミニウム系母材のロウ付けにJISZ3263の5%Siアルミニウムロウや12%Siアルミニウムロウが使用されている。このロウ付けで使用されるフラックスは主としてフッ化物であるが、複合ワイヤーの中にKAlF4(80%)、K2AlF5(15%)、K3AlF6(5%)を入れた物が使用されている。KAlFのポーリング値はK(0.8)Al(1.5)F(4.0)であり、電気陰性度の差は(1.5−0.8)+(4.0−1.5)=3.2となりイオン結合となり溶解しにくい電解質なので液体フラックスの製造は難しい。しかも輸入品であり高価である。この他にアルミニウムのフラックスとして使用できるKF、NaF、LiFのポーリング値はK(0.9)F(4.0)、Na(0.9)F(4.0)、Li(1.0)F(4.0)となり電気陰性度の差はそれぞれ3.1、3.1、3.0となりイオン結合でありやはり溶解が困難な電解質である。図4のKF−NaF−LiF系の3元状態図にあるようにKFの融点は856℃、NaFの融点は990℃、LiFの融点は844℃であり単体での融点が高いが3種類を混合・溶融して作る化合物の融点は454℃程度にまで低下する。純アルミニウムの融点は643〜657℃なのでこのような融点の低いフッ化物の液体フラックスができればアルミニウムのフラックスとして使いやすくなる。フッ化物の液体フラックスを製造するために、フッ化カリウム(KF)とフッ化リチウム(LiF)とフッ化ナトリウム(NaF)をそれぞれ33〜35%ずつ混合して溶融した化合物を作る。この化合物の融点は単独で存在していたときよりも低い融点になる。この化合物を粉砕してアルコールなどの溶媒に溶解した溶液とアルコールなどの溶媒中にそれぞれ溶解した三フッ化アルミニウム(AlF3)溶液と塩化セシウム(CsCl)溶液を混合することによりアルミニウムのロウ付けに適した液体フラックスを製造することができる。
【0023】
第8の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に溶解したジエチルアミン塩酸塩((C2H5)2NH・HCL)溶液からなる液体フラックスである。
【0024】
第9の解決手段は、アルコールなどの溶媒に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液を混合した液体フラックスである。
【0025】
第10の解決手段は、アルコールなどの溶媒に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液を混合した液体フラックスである。
【0026】
第11の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液を混合して液体フラックスを製造し、該液体フラックス溶液を前記液体フラックス製造装置で通電・攪拌しながらリン酸トリフェニル((CH3O)3PO)と炭酸セシウム(CsCO3)などのセシウムの化合物を投入し溶解している液体フラックスである。第一段階でホウフッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、ケイフッ化カリウム、五酸化リン、ホウ酸を混合した一次液体フラックスを製造し、第二段階で一次液体フラックスにリン酸トリフェニルと炭酸セシウムを混合した二次液体フラックスを製造する。二次液体フラックスはセシウム(Cs)を含有しているところに特徴がある。リン酸トリフェニルなどのアルコキシ系はアルコールなどの溶媒に容易に溶解しアルコールと酸化反応し反応熱をだす。この反応熱を利用して炭酸セシウムなどのセシウム化合物を一次液体フラックスに溶解する。セシウム化合物には炭酸セシウム(CsCO3)の他に臭化セシウム(CsBr)、塩化セシウム(CsCl)、フッ化セシウム(CsF)、ヨウ化セシウム(CsI)などがありいずれも液体フラックスの成分として利用できる。
【0027】
第12の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウフッ化カリウム(KBF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とピロリン酸(H4P2O7)溶液を混合した液体フラックスである。
【0028】
第13の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウ酸カリウム(KBF4)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とピロリン酸(H4P2O7)溶液を混合した液体フラックスである。
【0029】
第14の解決手段は、アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウフッ化カリウム(KBF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とリン酸トリフェニル((C5H5O)3PO)溶液を混合した液体フラックスである。
【0030】
アメリカのポーリングにより与えられた電気陰性度(ポーリングの値と呼ばれ単位を持たない相対値)の差が大きいほどイオン結合力が大きくなり、電気陰性度の差が2を越えると共有結合を作るのが無理になり純粋なイオン結合しか作れない(泉 邦彦著 化学結合と物質のしくみ P73参照)。イオン結合力が大きい電解質はアルコールなどの溶媒に溶解しにくく切断やロウ付け用の液体フラックスを製造することは困難であったが、特願2007−287820号による方法のように高圧高温下で溶解する方法や特願2008−178420号による方法のように強磁場帯で回転・攪拌する方法により溶解できるようになった。電気陰性度が小さいほどイオン結合を作りやすいため、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znのイオン結合したものがロウ付け用フラックスとして利用されている。一般的に、電気陰性度の差が2以上になると溶解しにくくなる。電気陰性度(( )内の数字が電気陰性度である)は例えば、アルカリ金属ではH(2.1)、Li(1.0)、Na(0.9)、K(0.8)、Rb(0.8)、Cs(0.7)、Fr(0.7)である。ハロゲンではF(4.0)、Cl(3.0)、Br(2.8)、I(2.5)、At(2.2)である。ホウ酸(H3(2.1)B(2.0)O3(3.5))の電気陰性度の差は、(2.1−2.0)+(3.5−2.0)=1.6である。酸化ホウ素(B2(2.0)O3(3.5))の電気陰性度の差は3.5−2.0=1.5である。リン酸水素ナトリウム(Na2(0.8)H(2.1)P(2.1)O4(3.5))の電気陰性度の差は、(2.1−0.8)+(2.1−2.1)+(3.5−2.1)=1.7である。リン酸(H3(2.1)P(2.1)O4(3.5))の電気陰性度の差は、(2.1−2.1)+(3.5−2.1)=1.4である。5酸化リン(P2(2.1)O5(3.5))の電気陰性度の差は、(3.5−2.1)=1.4である。塩化ナトリウム(Na(0.9)Cl(3.0))の電気陰性度の差は、3.0−0.9=2.1とである。塩化カリウム(K(0.8)Cl(3.0))の電気陰性度の差は、(3.0−0.8)=2.2である。臭化カリウム(K(0.8)Br(2.8))の電気陰性度の差は、(2.8−0.8)=2.0である。ホウ砂(Na2(0.9)B4(2.0)O7(3.5))の電気陰性度の差は、(2.0−0.9)+(3.5−2.0)=2.6である。ホウフッ化カリウム(K(0.8)B(2.0)F4(4.0))の電気陰性度の差は、(2.0−0.8)+(4.0−2.0)=3.2である。酸性フッ化カリウム(K(0.8)H(2.1)F3(4.0))の電気陰性度の差は、(2.1−0.8)+(4.0−2.1)=3.2である。ケイフッ化カリウム(K(0.8)Si(1.8)F6(4.0))の電気陰性度の差は、(1.8−0.8)+(4.0−1.8)=3.2である。フッ化カリウム(K(0.8)F(4.0))の電気陰性度の差は、(4.0−2.0)=3.2である。電気陰性度の差が2以上あるとイオン結合であるため溶解が困難である。特にフッ化物の電気陰性度は3以上のものが多く溶解が困難である。流動性や清浄性を与えるフッ化物が10%以上溶解しないのは電気陰性度の差が3.0以上あることによる。
【0031】
しかしながら、強磁場内で回転させると共に電気分解、電気ショックの作用を付加することによりフッ化物の溶解を容易にすることができる。酸性フッ化カリウム、ケイフッ化カリウム、ホウフッ化カリウム、フッ化カリウムの電気陰性度の差は3.2であり極めて溶解しにくい物質であるが、本発明による電気分解と電気ショック作用を与えることで溶解可能となる。例えば、ケイフッ化カリウムはK(0.8)Si(1.8)F6(4.0)→K(0.8)F(4.0)+Si(1.8)F4(4.0)となり、KFの電気陰性度の差は2.2、SiF4の電気陰性度の差は1.5であるあるためKFとSiF4の電気陰性度の差は2.2−1.5=0.7となり溶解しやすくなる。またホウフッ化カリウムはK(0.8)B(2.0)F4(4.0)→K(0.8)F(4.0)+B(2.0)F3(4.0)となり、KFの電気陰性度の差は2.2、BF4の電気陰性度の差は2.0であるためKFとBF4の電気陰性度の差は0.2となり溶解しやすくなる。
【0032】
本発明において、アルコールなどの溶媒とは、メタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)、プロピルアルコール(CH2(CH2)2OH)、イソプロピルアルコール((CH2)2CHOH)、ブタノール(CH2(CH2)OH)、アセトン(CH3COCH3)、トルエン(CH3C6H5)、アミルアルコール(CH3(CH2)2OH)、キシレン(C6H4(CH3)2)などの沸点50℃以上で毒性の弱いものを言う。
【0033】
第15の解決手段は、液体フラックスを製造する装置であり、アルコールなどの溶媒を収容し底部と頂部を除く主要部が筒型の容器と、容器内の溶媒中に電解質を投入する電解質投入装置と、容器内で電解質を投入された溶媒中に浸漬して定常的に電圧をかける電解電極と、容器内で電解質を投入された溶媒中に浸漬して間歇的にパルス電圧を印加するパルス電圧電極(前記電解電極を併用しても良い)と、容器の内壁に沿って周方向に例えば対面的に複数対配列して容器の中央部すなわち軸心部に向けて磁力線を出す磁石7列を好ましくは高さ方向に複数段設けた磁石装置と、電解質を投入された溶媒に容器の周方向の回転流を付与する磁性体の回転羽根を容器内の底部に設けこの回転羽根の各羽根間で電位差が生じる触媒金属を各羽根毎に被覆した回転羽根装置とからなる。
【発明の効果】
【0034】
第1の解決手段による効果を説明する。プラス側とマイナス側の電極棒を設置し、電流を流すことで、(1)電気分解作用が生まれる、(2)電解質の溶解が進むと溶媒の電気抵抗が徐々に大きくなり電流が流れにくくなり溶解速度が低下するので、間歇的にパルス電圧を与えることにより溶解性能を回復させることができる、(3)短時間で高濃度の液体フラックスを作ることが可能となる、(4)電気陰性度の高い電解質の溶解を促進して液体フラックスの製造を効率化できる、(5)安全な環境での液体フラックスの製造方法を具現化できるなどの効果がある。ロウ付け分野では、液体フラックスを気化させた気化フラックスはロウの流れ込む隙間は従来のロウ付け方法よりも小さくできる。銅ロウ付け、黄銅ロウ付け、リン銅ロウ付け、銀ロウ付けなどでは、気化フラックスは0.05〜0.25mmの隙間に十分に入り込み、ロウ付け隙間を清浄に保ち酸化防止するため正常なロウ付けができる。また、フッ化カリ(FK)酸性フッ化カリ(KHF2)、ホウフッ化カリウム(CKBF4)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、ホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)などのフッ化物を短時間で効率的に製造することができる。特に本発明で製造可能になったホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)を含有した液体フラックスを燃焼ガス中に3〜4%混入した気化フラックスはステンレスと黄銅などのロウ付けにおいて黄銅が脱亜鉛により赤っぽく変色するのを防ぐことができる。
【0035】
第2の解決手段による効果を説明する。回転羽根にSUS403のような13Cr系のマルテンサイト系ステンレスを使用することで強磁場帯電しかつ13Cr系回転羽根上面が厚さ3〜5μmのニッケルメッキ、下段羽根に3〜5μmの白金メッキをすることで、(1)液体フラックス製造装置内壁周囲を強磁場で囲み、その中で強磁性体を回転させるので誘導電流が流れる、(2)白金メッキとニッケルメッキ間に電位差が生じるので電流が流れる、(3)触媒反応をさせることができる、(4)常温、常圧で液体フラックスの製造が可能となるなどの効果がある。
【0036】
第3の解決手段による効果を説明する。酸化ホウ素(B2OB)と5酸化リン(P2O5)を3対1から5対1に混合した混合物をアルコールなどの溶媒中に入れることで、(1)溶媒であるアルコール中に含有される8〜9%の水分と急激に反応し80℃程度まで発熱するので電解質の溶解が促進する、(2)KHF2、KBF4、K2SiF6などのフッ化物の溶解濃度を向上させるなどの効果がある、(3)酸化ホウ素(B2OB)と5酸化リン(P2O5)を混合した液体フラックスは気化フラックスとして鋼材の切断に使用すると切断母材にドロスの付着を防止できる。
【0037】
第4の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と四ホウ酸ナトリウム(NaB4O7)溶液を混合した液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いることにより、銀含有率35%銀ロウや銀含有率45%銀ロウなどの銀ロウ付けを良好に行なうことが出来る。さらに、ロウ付け母材上に付着した残留フラックスは30〜40℃の水洗浄で簡単に除去でき作業性も改善できる。
【0038】
第5の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とリン酸トリフェニル((C6H5O)3PO)溶液を混合した液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いることにより、リン銅棒のロウ付けを実施したところ良好なロウ付けができる。更に、被ロウ付け材上に付着した残留フラックスは30〜40℃の水洗浄で簡単に除去可能であり作業性が改善できる。
【0039】
第6の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液と四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)溶液とホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)溶液を混合した液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いて、SUS304と黄銅(6−4黄銅)の銀ロウ付けを銀含有率45%銀ロウですると、銀ロウを600〜650℃で流し込むため、黄銅側の温度を650〜700℃になるように約50℃高くしてもロウ付け終了後黄銅側の脱亜鉛(Zn)の赤色部はまったく見られなくなる。従来の固体フラックスのように、ロウ付け中に蒸発する亜鉛(Zn)を補充するためにバーナー加熱炎の中に亜鉛(Zn)を供給する液体シャワーリングの必要もなくなる。
【0040】
第7の解決手段による効果を説明する。図4のKF−NaF−LiF系の3元状態図にあるようにKFの融点は856℃、NaFの融点は990℃、LiFの融点は844℃であり単体での融点が高いが3種類を混合・溶融して作る化合物の融点は454℃程度にまで低下する。即ちフッ化カリウム(KF)とフッ化リチウム(LiF)とフッ化ナトリウム(NaF)をそれぞれ33〜35%ずつ混合して溶融した化合物を作るとこの化合物の融点は単独で存在していたときよりも低くなり、純アルミニウムの融点643〜657℃よりも低くすることが出来るのでアルミニウムのロウ付けに適した液体フラックスを製造することができる。アセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いて、純アルミニウム母材にAl−Si系の差しロウにて隅肉流しロウ付けをすると、複合ワイヤーのように黒っぽい変色無しでロウ付けが可能となる。従来のロウ付け方法ではAlの酸化がトーチを当てたときから始まるのに対して、本気化フラックスを使用したロウ付け方法ではガス気化したフラックスがフッ化物と塩化物のハロゲンガスとしてAlをカバーする効果がある。Alのロウ付けにセシウム(Cs)を入れることで高価であるがロウ材の流動性を大幅に向上させることができる。Alのロウ付けに初めてフッ化物を含んだ気化フラックスを適用することが可能となった。
【0041】
第8の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒中に溶解したジエチルアミン塩酸塩((C2H3)NH・HCL)溶液からなる液体フラックスはPH7.1であり略中性を示しロウ付け後の酸化腐食の問題を解消できる。本液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いると、180〜350℃の軟ロウ付けに非常に滑らかなロウ付けが可能となる。半田や錫と銀の合金の軟ロウ棒でSUS304のロウ付けが非常に美しくできる。
【0042】
第9の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液を混合した液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いると、500mm程度の普通鋼厚板をガス切断しても切断母材へのドロス不着はなくなる。
【0043】
第10の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と、酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液を混合した液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いると、500mm程度の普通鋼厚板をガス切断しても切断母材へのドロス不着はなくなる。
【0044】
第11の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液を混合して液体フラックスを製造し、該液体フラックス溶液を前記液体フラックス製造装置で通電・攪拌しながらリン酸トリフェニル((CH3O)3PO)と炭酸セシウム(CsCO3)などのセシウムの化合物を投入し溶解している液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いると、500mm程度の普通鋼厚板をガス切断しても切断母材へのドロス不着はなくなる。セシウムは燃焼ガスの燃焼熱で二酸化セシウム(CsO2)や水酸化セシウム(CsOH)となり強度のアルカリ性を示し、空気中の窒素、酸素、水素と一瞬で反応し切断溶融鉄中の酸化鉄(Fe2O3やFe2O4やFeOなど)の酸化粘性を切断する働きがあるため酸化鉄の流動性が向上する。液体フラックスにセシウムの化合物を少量添加するだけでホウ素やリンの含有量を低くすることが出来る。
【0045】
第12の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウフッ化カリウム(KBF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とピロリン酸(H4P2O7)溶液を混合した液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いると、500mm程度の普通鋼厚板をガス切断しても切断母材へのドロス不着はなくなる。
【0046】
第13の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とピロリン酸(H4P2O7)溶液を混合した液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いると、500mm程度の普通鋼厚板をガス切断しても切断母材へのドロス不着はなくなる。
【0047】
第14の解決手段による効果を説明する。アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウフッ化カリウム(KBF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とリン酸トリフェニル((C5H5O)3PO)溶液を混合した液体フラックスをアセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスと混合して気化フラックスとして用いると、500mm程度の普通鋼厚板をガス切断しても切断母材へのドロス不着はなくなる。
【0048】
第15の解決手段であるに液体フラックス製造装置1よる効果を説明する。
液体フラックス製造装置1は、前記構成により、溶媒中に強磁場を形成して回転羽根で回転流を与えることにより強磁場と回転流を乱してその効果により電解質の分子間結合力を分断する。更に磁性体の回転羽根の回転により溶媒中に誘導電流を起電させて昇温させ電解質の溶解反応速度を高める。更に電解電極3から定常的に電圧を印加しながらパルス電圧電極からパルス電圧をかけることで当該電解質の溶解を更に促進する。更に電位差が生じる異種の触媒金属を被覆した回転羽根5と回転羽根6からのイオン化電流により触媒反応を助成して電解質のイオン化を一段と推進する。
そしてこれらの単独効果は相乗作用効果となり、複数の電解質を含有する液体フラックスを別々に製造して合わせる工程を皆無もしくは大幅に省略して所望の液体フラックスを常温、常圧の安全装置で短時間で効率よくしかも確実に製造することを可能にしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
図1、図2、図3、図4に従って液体フラックスを製造するための製造方法と製造装置について説明する。図1は製造液体フラックス製造装置1の縦断面図である。図2は液体フラックス製造装置1のA−A横断面図である。図3は特願2008−014825号公報にて本発明者が出願した液体フラックスの気化装置25の断面図である。図4はKF−NaF−LiF系の3元状態図である。
【0050】
アルカリ金属(H、Li、Na、K、Rb、Ce、Fr)、アルカリ土類金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、ハロゲン(F、Cl、Br、I、At)、B、C、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒4を入れた容器2中で、磁場をかけるとともに、該溶媒4を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒4中に電極3を挿入して通電するとともに適宜時間間隔でパルス電流を付加することを特徴とする液体フラックス製造方法である。溶媒4を回転させる回転羽根5、6の材質をマルテンサイト系ステンレスとし、該回転羽根5、6にニッケルメッキと白金メッキを施している。アルコールなどの溶媒中に、酸化ホウ素(B2OB)と5酸化リン(P2O5)を3対1から5対1の割合で混合した混合物を投入して、前記溶媒中の水分を除去するとともに、前記溶媒と前記混合物の反応熱で前記電解質を溶解しやすくしている。
【0051】
そこで本発明の液体フラックスを製造する装置1(以下液体フラックス製造装置1と言う)は、図1−1の全体図と、図1−2の要部拡大図と、図2の横断面図に示すように、アルコールなどの溶媒を収容し底部と頂部を除く主要部が筒型の容器2と、容器2内の溶媒中に電解質を投入する電解質投入装置(例えばホッパー9−1〜9−3と定量フィーダ10−1〜10−3を主構成とする)と、容器2内で電解質を投入された溶媒中に浸漬して定常的に電圧をかける電解電極3と、容器2内で電解質を投入された溶媒中に浸漬して間歇的にパルス電圧を付加する電解促進電極(前記電解電極3を併用しても良い)と、容器2の内壁に沿って周方向に対面的に複数対配列して容器2の中央部すなわち軸心部に向けて磁力線を出す磁石7列を好ましくは高さ方向に複数段設けた対面磁石装置(7、14、13)と、電解質を投入された溶媒に周方向の回転流を付与する磁性体の回転羽根5、6を容器2内の底部に設けこの回転羽根5、6の各羽根間で電位差が生じる触媒金属を各羽根毎に被覆した回転羽根装置(11、12、5、6、)とを主な構成要件としてある。
【0052】
上記液体フラックス製造装置1において、容器2の材質は耐食性の高いSUS304LやSUS316Lなどのオーステナイト系ステンレスが適している。電極3の材質はチタン、ステンレス、銅あるいは銅合金、アルミニウム、鉄あるいは鉄に各種メッキを施したものが使用できる。電解電極3は平滑でもよいが表面積をふやすためにネジなどを加工してもよい。電極3から定常的に10〜300Vの電圧をかける。通常は20〜30Vの電圧でよいが電解質の溶解状態を見ながら300V程度まで電圧をかけられるようにする。電圧は電解質の種類、溶解速度、同時に複数溶解する場合の電解質の組み合わせなどの溶解条件により異なるからである。電解電極3から定常的に20〜30Vの電圧を付加しながらパルス電圧電極から少なくとも10秒内に1回以上100〜30000Vのパルス電圧をかける。通常は300〜3000Vであるが30000V程度までは電圧をかけられるようにするのがよい。パルス電圧の周期や電圧の大きさも電解質の種類、溶解速度、同時に複数溶解する場合の電解質の組み合わせなどの溶解条件によりに異なるからである。パルス電圧は電解電極3を通じて付加しても良いし別にパルス電圧専用のパルス電圧電極((図示せず))を設けても良い。パルス電圧は例えば自動車のイグニッションコイルと同様な回路が採用できる。間歇的にパルス電圧を付加することで電解質の溶解が促進される。また瞬間的に(+)と(−)の極も切り替えるようにするとさらに電解質の溶解が促進される。
【0053】
容器2は底部と頂部を除き筒状にし、内部の周壁には、6〜10平面を多角配列した磁石装置を設けているので、回転羽根装置の回転羽根5、6の回転により電解質を投入された溶媒4が回転流動すると角部で乱流が生じるとともにそれで磁場も乱れるので、溶媒4と磁場の乱流効果により電解質の分子間結合力を分断し溶解し易くする。またこの強磁場内で強磁性体であるマルテンサイト系ステンレスの回転羽根5、6が回転するのでフレミングの法則により誘導電流が生まれ、溶媒4の温度は最大80℃程度近くまで上昇する。磁石装置の磁石7は例えばサマリウム磁石やネオジ磁石等の一般公知の磁石を用いるが1個当り3000ガウス以上の磁力を有する必要があり磁力が強いほど好ましい。本発明で使用しているネオジ磁石は32000ガウスである。各ネオジ磁石7は多面体の磁石ホルダー13にて支持され容器2の内壁部に装着しており、液体フラックス製造装置1の中央部に向けて磁力線が出るように対面配置している。磁石ホルダー13の材質は樹脂、アルミ、SUS304などの非磁性体が適している。磁石ホルダー13やネオジ磁石7の表面は樹脂やゴムなどのコーティング材14でコーティングされており腐食を防止している。ネオジ磁石7の段数や列数は液体フラックス製造装置1の容量に応じて適宜選択される。ネオジ磁石7の段数は4〜20段がよい。望ましくは6〜12段である。ネオジ磁石7の列数は磁石ホルダー13の面数によって決まる。磁石ホルダー13は6〜12面体がよい。望ましくは6〜8面体である。図1、図2ではネオジ磁石7の段数は6段、列数は8列(8面体)を示している。磁石ホルダー13を多面体の形状にしている理由は、アルコールなどの溶媒4が回転する際に多面体が衝突板の役割を果たし、多面体の角部で乱流が生じるので電解質の溶解を促進する効果があるからである。ネオジ磁石7は容器2の中央方向に磁力線が形成されるように対面配置されているので、容器2中央の磁界強度は60000ガウスの強磁場帯となっている。特開昭63−12357号公報や特開昭64−77743号公報で経験済みであるが、これ等の磁場が3000〜4000ガウスでも電解質の溶解に効果を発揮することが確認されており、本発明では容器2の中央部近辺で略60000ガウスの強磁場体を形成しているので電解質を溶解しやすくなっている。更に回転羽根5、6の回転で生じた誘導電流で発熱効果が加わるので更に溶解性能が向上し効率的な液体フラックス製造装置となっている。
【0054】
液体フラックス製造装置1において、溶媒4を回転させる回転羽根装置は、回転羽根5には厚み2〜5μmの白金メッキ、回転羽根6には厚み2〜5μmのニッケルメッキが施されている。このため回転羽根5と回転羽根6には電位差が生じるのでイオン化電流が発生するとともに白金とニッケルの触媒反応により一段と電解質がイオン化しやすくなりその溶解を促進する。
液体フラックス製造装置1において、電解質を投入する電解質投入装置として、パルスモータ8や定量フィーダ10−1〜10−3及びホッパー9−1〜9−3、集合管TP、フィーダ回転数可変プーリP1〜P4などを本例のように複数組設置することにより複数の電解質の配合比率、投入順序、投入間隔、投入量、投入速度、投入速度比率などを任意に設定してそれらの好ましい反応時間や反応量をコントロールすることができるので、ゼリー状にすることなく且つ泡立ちを伴うガスの異常な発生等を確実に抑制防止して高濃度の液体フラックスを得ることができる。このため複数の電解質を含有する液体フラックスを別々に製造して合わせる工程を皆無もしくは大幅に省略するものである。
【0055】
次にこの本例の液体フラックス製造装置1による液体フラックスの製造工程を紹介する。
容器2には溶媒4としてメチルアルコールやメタノールなどの溶媒を予め入れる。回転用パルスモータ11にて回転羽根5、6を適宜な回転数で回転させて撹拌する。回転用パルスモータ11の回転数は10〜200rpmがよい。望ましくは20〜180rpmである。回転用パルスモータ11は例えば出力0.4kw程度のバイエルサイクロモータなどを使用できる。
回転用パルスモータ11により20〜180rpmで低速回転する溶媒4中にフラックスの元になる電解質を投入する。電解質の投入は、パルスモータ8を回転させて、ホッパー9−1〜9−3内の粉状の電解質を定量ミキサー10−1〜10−3から適宜な時間間隔をおいての順番と適宜な切り出し速度(g/sec)で容器2内で回転乱流動している溶媒中に順次投入する。
覗き窓23から容器2内の反応状態を観察しながら、適宜に回転用パルスモータ11のスピードをハンドル12で調整する。
このようにパルスモータ8が回転して定量フィーダ10−1〜10−3から所定の電解質が順次投入されて、回転乱流動する溶媒4中に電解質が溶解し始めると電解電極3より20〜30Vの直流電流を流し、さらに溶媒4中に同電解電極3から1〜10秒おきに制御器15から300〜3000Vの高電圧のパルス電圧を付加して電気ショックを与える。制御器15は交流電源16を直流に変換する整流機能とコンデンサ機能を有している。
電解質は30〜60分程度で溶解あるいは反応が終了するので、覗き窓23から容器2の内部状況を観察して反応完了を確認してから、バルブ17を開けて液体フラックスをタンク18に収納する。反応中に発生するガスは、排気筒19で抜き取り無害化処理する。この排気塔19にはゼオライト充填層19−1と活性炭層19−2の無害化処理層と吸引フアン19−3を順次設けてある。他に排気ガスを石灰水中に通したりすることにより排気ガスを無害なものにするものでも良い。
以上の工程により、電解質が30%以上に溶解した飽和状態の高濃度の液体フラックスの製造を完了する。液体フラックスは、適宜に容器外に排出して次の気化装置22などに供給する。
【0056】
この後、容器2は、内部に電解質が析出して固着するのを防ぐために洗浄するのがよい。バルブ23を開いて洗浄水を洗浄ノズル22から噴射して容器2の内部を洗浄し、排水はバルブ20を開いて排水タンク21に収納する。排水はPH7程度に中和して無害なものにする。
容器2から排出した出来上がった液体フラックスは1〜3種類の電解質の混合体であり組み合わせ配分比も最大濃度(飽和状態)もしくは最大濃度ちかくになっている。飽和状態の液体フラックス同士を容器2外で混合すると溶解していた電解質が析出する場合があるので、混合する場合は前もってアセトンあるいはエタノールなどを10%程度加えて希釈してから混合する。液体フラックスを混合する場合は、まず同一系統の液体フラックスを混合しておいてから他の系統の液体フラックスと混合する。例えば、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸トリメチール、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩はホウ酸塩同士で混合し、フッ化カリ、酸性フッ化カリ、ホウフッ化カリウム、ケイフッ化カリウム、ホウフッ化リチウム、ホウフッ化亜鉛などのフッ化物はフッ化物同士で混合しておいてから最後にホウ酸塩とフッ化物を混合する。これらのことは容器2内で複数の電解質を順次溶解して液体フラックスを製造する場合も同様のことであり極めて重要な条件である。
これによりゼリー状にすることなく且つ泡立ちを伴うガスの異常な発生等を確実に抑制防止して極めて好ましい高濃度の液体フラックスを得ることができるものである。
【0057】
本発明による液体フラックス製造装置1を使用してアルコールなどの溶媒4中に単独もしくは複数の電解質を溶解して液体フラックスを製造した後は、単独もしくはさらに目的に応じて上記のようにして適宜複数種類混合した液体フラックスを図3の気化装置25に投入して燃焼ガスを吹き込んで気化することにより、燃焼ガスと混合した気化フラックスとしてロウ付けや鋼材の切断用の溶断ノズルに供給して使用する。
図3の気化装置25は発明者が特願2008−104825号にて紹介しているもので、アセチレンガスやプロパンガスなどの燃焼ガスを気化装置25のヘッダー管26に導いてノズル27から液体フラックスの中に吹き込んで液体フラックスを気化せしめて、析出防止用ネオジ磁石28、29で囲まれた空間を通過させて配管30を通して切断トーチやロウ付け用トーチに導くものである。ネオジ磁石28,29の磁力線を通過させることで一旦気化した気化フラックスが再結晶するのを防いでいる。ロウ付けに使用する場合には、気化フラックスはトーチで燃焼する際にフラックスとなりロウ付けの隙間(0.05〜0.25mm)に入り込みロウ材の流れ込みを助ける。鋼材の切断やスカーフィングに使用する場合は、フラックスとして切断ドロスの中に侵入しドロスの流動性を改善し鋼材に付着するのを防止する。
【実施例】
【0058】
(実施例1)本発明による前例の液体フラックス製造装置1を使用して溶媒としてエタノール中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法において、単独に製造したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液を90CC、酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液を90CC、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液を90CC、四ホウ酸ナトリウム(NaB4O7)溶液を60CCずつ混合し、390CCの液体フラックスを製造して、表1の元素配合比を得た。図3の気化装置に本液体フラックスを入れ燃焼ガスを吹き込んで気化せしめて気化フラックスとして使用し、銀含有率35%銀ロウと銀含有率45%銀ロウの銀ロウ付けを実施したところ良好なロウ付けができた。ロウ付け母材上に付着した残留フラックスは30〜40℃の水洗浄で簡単に除去でき作業性も改善できた。
【0059】
【表1】

【0060】
(実施例2)本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてメタノール中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法において、単独に製造したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液を40CC、酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液を80CC、ホウ酸(H3BO3)溶液を120CC、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液を60CC、リン酸トリフェニル((C6H5O)3PO)溶液を90CCずつ混合し、390CCの液体フラックスを製造して、表2の元素配合比を得た。本実施例では電解質溶液を混合すると、水素と酸素が反応して水となり、炭素と酸素が反応して炭酸ガスとなるので液体フラックスの重量が減少する。図3の気化装置に本液体フラックスを入れ、燃焼ガスを吹き込んで気化せしめて気化フラックスとして使用し、リン銅棒のロウ付けを実施したところ良好なロウ付けができた。更に、ロウ付け母材上に付着した残留フラックスは30〜40℃の水洗浄で簡単に除去可能であり作業性が改善できた。
【0061】
【表2】

【0062】
(実施例3)本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてイソプロピレン中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法において、単独に製造したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液を40CC、酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液を60CC、ホウ酸(H3BO3)溶液を110CC、四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)溶液を60CC、ホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)溶液を120CCずつ混合し、390CCの液体フラックスを製造して、表3の元素配合比を得た。図3の気化装置に本液体フラックスを入れ燃焼ガスを吹き込んで気化せしめて気化フラックスとして使用し、SUS304と黄銅(6−4黄銅)のロウ付けを銀含有率45%の銀ロウで実施したところ、銀ロウを600〜650℃で流し込むため黄銅側の温度を50℃高くしたがロウ付け終了後黄銅側の脱亜鉛(Zn)の赤色部はまったく見られなかった。従来の固体フラックスのように、ロウ付け中に蒸発する亜鉛(Zn)を補充するためにバーナー加熱炎の中に亜鉛(Zn)を供給する液体シャワーリングの必要がなくなった。
【0063】
【表3】

【0064】
(実施例4)そこで、KF、NaF、LiFを同時に溶解した液体フラックスを作成し、これと三フッ化アルミニウム(AlF3)、塩化セシウム(CsCl)などを組合せて液体フラックスを作成した。アルコール中にフッ化カリウム(KF)とフッ化リチウム(LiF)とフッ化ナトリウム(NaF)を混合して溶解した溶液を310CC、三フッ化アルミニウム(AlF3)溶液を40CC、塩化セシウム(CsCl)溶液を40CCずつ混合し、390CCの液体フラックスを製造して、表4の元素配合比を得た。図3の気化装置に本液体フラックスを入れ、燃焼ガスを吹き込んで気化せしめて気化フラックスとして使用し、純アルミニウム母材にAl−Si系の差しロウにて隅肉流しロウ付けを実施したところ、複合ワイヤーのように黒っぽい変色無しでロウ付けが可能となった。従来のロウ付け方法ではAlの酸化がトーチを当てたときから始まるのに対して、本気化フラックスを使用したロウ付け方法では気化したフラックスがフッ化物と塩化物のハロゲンガスとしてAlを保護するため酸化を防止できるのである。Alのロウ付けにセシウム(Cs)を入れることで高価であるがロウ材の流動性を大幅に向上させることが出来た。本実施例ではセシウム化合物として塩化セシウムを用いたが他に炭酸セシウム(CsCO3)、臭化セシウム(CsBr)、フッ化セシウム(CsF)、ヨウ化セシウム(CsI)を使用することが出来る。Alのロウ付けに初めてフッ化物を含有した気化フラックスを適用することが可能となった。
【0065】
【表4】

【0066】
(実施例5)本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてブタノール中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法において、単独にブタノール中にジエチルアミン塩酸塩((C2H5)2NH・HCL)を溶解し390CCの液体フラックスを製造して表5の元素配合比を得た。本液体フラックスはPH7.1であり略中性を示した。図3の気化装置に本液体フラックスを入れ、アセチレン(C2H2)やプロパン(C3H6)などの燃焼ガスを吹き込んで気化せしめて気化フラックスとして180〜350℃の軟ロウ付けをしたところ非常に滑らかなロウ付けができた。半田や錫と銀の合金の軟ロウ棒でSUS304のロウ付けが非常に美しくできた。
【0067】
【表5】

【0068】
(実施例6)本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてトルエン中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法を用いた。トルエンなどの溶媒に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)の8%溶液を60CC、酸性フッ化カリウム(KHF2)の8%溶液を60CC、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)の8%溶液を60CC、五酸化リン(P2O5)の40%溶液を90CC、酸化ホウ素(B2O3)の20%溶液を120CC混合して390CCの液体フラックスを製造して元素含有量が表6のようになった。液体フラックスの濃度は19.70%である。ドロスの酸化を防止する効果のある元素はKとBで含有量は13.45gで配合比は18.08%である。清浄作用と表面張力に効果のある元素はFで含有量は7.72gで配合比は10.38%である。融点を降下させ流動性を向上させる効果のある元素はPとSiで含有量は16.32gで配合比は21.94%である。その他の元素としてOとHが36.90gで配合比は49.60%である。この液体フラックスを図3の気化装置にてプロパンガスで気化させて燃焼ガス中に混合して500mmの普通鋼厚板の切断試験を実施してドロスの付着状況を観察したところまったく付着しなかった。
【0069】
【表6】

【0070】
(実施例7)本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてアセトン中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法を用いた。アセトンに溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)の10%溶液を60CC、酸性フッ化カリウム(KHF2)の10%溶液を60CC、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)の20%溶液を60CC、五酸化リン(P2O5)の70%溶液を90CC、ホウ酸(H3BO3)の20%溶液を60CC、酸化ホウ素(B2O3)の20%溶液を60CC混合して390CCの液体フラックスを製造して元素含有量が表7のようになった。液体フラックスの濃度は28.45%である。ドロスの酸化を防止する効果のある元素はKとBで含有量は15.46gで配合比は13.93%である。清浄作用と表面張力に効果のある元素はFで含有量は12.75gで配合比は11.49%である。融点を降下させ流動性を向上させる効果のある元素はPとSiで含有量は29.02gで配合比は26.15%である。その他の元素としてOとHが53.75gで配合比は48.43%である。この液体フラックスを図3の気化装置にてプロパンガスで気化させて燃焼ガス中に混合して500mmの普通鋼厚板の切断試験を実施してドロスの付着状況を観察したところまったく付着しなかった。
【0071】
【表7】

【0072】
(実施例8)本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてプロピルアルコール中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法を用いた。プロピルアルコールに溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)の8%溶液を60CC、酸性フッ化カリウム(KHF2)の8%溶液を60CC、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)の8%溶液を60CC、五酸化リン(P2O5)の40%溶液を90CC、ホウ酸(H3BO3)の22%溶液を120CC混合して390CCの液体フラックスを製造する。この液体フラックス溶液390CCを本発明による液体フラックス製造装置で通電・攪拌しながらリン酸トリフェニル((CH3O)3PO)を10g混入して溶解した後リン炭酸セシウム(CsCO3)を1g投入し溶解して最終的な液体フラックスを得た。この最終的な液体フラックスの元素含有量は表8のようになった。液体フラックスの濃度は22.50%である。ドロスの酸化を防止する効果のある元素はKとBで含有量は10.62gで配合比は12.10%である。清浄作用と表面張力に効果のある元素はFで含有量は7.72gで配合比は8.80%である。融点を降下させ流動性を向上させる効果のある元素はPとSiで含有量は18.52gで配合比は21.10%である。その他の元素としてOとHが47.59gで配合比は54.20%である。この液体フラックスを図3の気化装置にてプロパンガスで気化させて燃焼ガス中に混合して500mmの普通鋼厚板の切断試験を実施してドロスの付着状況を観察したところまったく付着しなかった。
【0073】
【表8】

【0074】
(実施例9)本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてアルミアルコール中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法を用いた。液体フラックス1000CC中の電解質の配合比において、単独に製造した液体フラックスである酸性フッ化カリウム(KHF2)を200CC(重量比15%)、ホウフッ化カリウム(KBF4)を100CC(重量比8%)、ホウ酸(H3BO3)を300CC(重量比20%)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)を100CC(重量比8%)、ピロリン酸(H4P2O7)を300CC(重量比15%)として表8の元素配合比を得た。この液体フラックスをプロパンガスで気化させて500mmの普通鋼厚板の切断試験を実施してドロス不着状況を観察したところまったく付着しなかった。
【0075】
【表9】

【0076】
(実施例10) 本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてキシレン中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法を用いた。液体フラックス1000CC中の電解質の配合比において、酸性フッ化カリウム(KHF2)を200CC(重量比15%)、硼酸カリウム(KBF4)を100CC(重量比8%)、酸化硼素(B2O3)を300CC(重量比20%)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)を100CC(重量比8%)、ピロリン酸(H4P2O7)を300CC(重量比15%)として表10の元素配合比を得た。この液体フラックスをプロパンガスで気化させて500mmの普通鋼厚板の切断試験を実施してドロス不着状況を観察したところまったく付着しなかった。
【0077】
【表10】

【0078】
(実施例11)本発明による液体フラックス製造装置を使用して溶媒としてエタノール中に単独もしくは複数の電解質を溶解した電解質溶液を複数混合して液体フラックスを製造する方法を用いた。液体フラックス1000CC中の電解質の配合比において、単独に製造した液体フラックスである酸性フッ化カリウム(KHF2)を200CC(重量比15%)、ホウ酸カリウム(KBF4)を100CC(重量比8%)、ホウ酸(H3BO3)を300CC(重量比20%)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)を100CC(重量比8%)、リン酸トリフェニル((C5H5O)3PO)を300CC(重量比50%)として表11の元素配合比を得た。この液体フラックスをプロパンガスで気化させて500mmの普通鋼厚板の切断試験を実施してドロス不着状況を観察したところまったく付着しなかった。
【0079】
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1−1】本発明の液体フラックス製造装置の実施例を示す縦断面図である。
【図1−2】図1−1の要部拡大説明図である。
【図2】図1−1に示す液体フラックス製造装置の矢視A−Aからの横断面図である。
【図3】液体フラックスの気化装置を示す縦断面図である。
【図4】KF−NaF−LiF系の3元状態図である。
【符号の説明】
【0081】
1:液体フラックス製造装置、2:容器、3:電解電極(パルス電圧電極を兼ねる)、4:アルコールなどの溶媒、5:回転羽根、6:回転羽根、7:ネオジ磁石、8:パルスモータ、9:ホッパー、10:定量ミキサー、11:回転用パルスモータ、12:ハンドル、13:磁石ホルダー、14:コーティング材、15:制御器、16:交流電源、17:バルブ、18:タンク、19:排気筒、20:排水バルブ、21:排水タンク、22:洗浄ノズル、23:洗浄バルブ、24:覗き窓、25:気化装置、26:ヘッダー管、27:ノズル、28:析出防止用ネオジ磁石、29:析出防止用ネオジ磁石、30:配管





















【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒中に電極を挿入し電圧を付加するとともにパルス電圧を付加することを特徴とする液体フラックス製造方法。
【請求項2】
アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに、該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒を回転させる回転羽根の材質をマルテンサイト系ステンレスとし、該回転羽根にニッケルメッキと白金メッキを施していることを特徴とする請求項1の液体フラックスの製造方法。
【請求項3】
アルコールなどの溶媒中に、酸化ホウ素(B2OB)と5酸化リン(P2O5)を混合した混合物を投入して、前記溶媒中の水分を除去するとともに前記溶媒と前記混合物の反応熱で前記電解質を溶解させる請求項1及び請求項2記載の液体フラックスの製造方法。
【請求項4】
アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と四ホウ酸ナトリウム(NaB4O7)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項5】
アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とリン酸トリフェニル((C6H5O)3PO)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項6】
アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液と四ホウ酸ナトリウム(Na2B4O7)溶液とホウフッ化亜鉛(Zn(BF4)2)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項7】
フッ化カリウム(KF)とフッ化リチウム(LiF)とフッ化ナトリウム(NaF)を混合・溶融して化合物を作り、該化合物を粉砕してアルコールなどの溶媒に溶解した溶液とアルコールなどの溶媒中にそれぞれ溶解した三フッ化アルミニウム(AlF3)溶液と塩化セシウム(CsCl)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項8】
アルコールなどの溶媒中に溶解したジエチルアミン塩酸塩((C2H5)2NH・HCL)溶液からなる液体フラックス。
【請求項9】
アルコールなどの溶媒に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項10】
アルコールなどの溶媒に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と、酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項11】
アルコールなどの溶媒中に溶解したホウフッ化カリウム(KBF4)溶液と酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液と五酸化リン(P2O5)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液を混合して液体フラックスを製造し、該液体フラックス溶液を前記液体フラックス製造装置で通電・攪拌しながらリン酸トリフェニル((CH3O)3PO)と炭酸セシウム(CsCO3)などのセシウム化合物を投入し溶解している液体フラックス。
【請求項12】
アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウフッ化カリウム(KBF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とピロリン酸(H4P2O7)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項13】
アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウ酸カリウム(KBF4)溶液と酸化ホウ素(B2O3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とピロリン酸(H4P2O7)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項14】
アルコールなどの溶媒中に溶解した酸性フッ化カリウム(KHF2)溶液とホウフッ化カリウム(KBF4)溶液とホウ酸(H3BO3)溶液とケイフッ化カリウム(K2SiF6)溶液とリン酸トリフェニル((C5H5O)3PO)溶液を混合した液体フラックス。
【請求項15】
アルコールなどの溶媒を収容し底部と頂部を除く主要部が筒型の容器と、容器内の溶媒中に電解質を投入する電解質投入装置と、容器内で電解質を投入された溶媒中に浸漬して定常的に電圧をかける電解電極と、容器内で電解質を投入された溶媒中に浸漬して間歇的にパルス電圧を印加するパルス電圧電極と、容器の内壁に沿って周方向に配列して容器の中央部に向けて磁力線を出す磁石7列を好ましくは容器高さ方向に複数段設けた磁石装置と、電解質を投入された溶媒に容器の周方向の回転流を付与する磁性体の回転羽根を容器内の底部に設けこの回転羽根の各羽根間で電位差が生じる触媒金属を各羽根毎に被覆した回転羽根装置とからなる液体フラックス製造装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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