説明

液体ポンプ輸送装置及び方法

【解決手段】 ユーザーに治療液を配給するシステム及び装置が開示される。装置は、ユーザーに治療液をポンプ輸送するためのポンプ機構を備え、ハウジングを含んだ再使用部と、再使用部のハウジング内に挿入され、再使用部に接続されるように構成された使い捨て部とを有している。再使用部と使い捨て部の接続により、ポンプ機構の動作が可能となり、再使用部と使い捨て部の切り離しにより、ポンプ機構の動作が不能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年4月10日出願のタイトル“液体を哺乳動物の体にポンプ輸送するための装置及び方法”の米国仮特許出願第60/922,794号について、優先権を主張するものであり、当該出願が援用されて開示内容が全て記載されているものとする。
【0002】
本発明の実施形態は、一般的に、体内に液体をポンプ輸送するためのシステム、機器及び方法に関し、特に、患者の皮膚に装着又は接着することができる携帯型ポンプ(例えば、パッチ)に関する。その液体ポンプ輸送機器は、相対的に変位可能な2つのパーツを有するハウジング内で展開されるポンプ機構を備えている。そのポンプ機構は、それらのハウジングパーツの変位に応じて、動作可能となったり、動作不能となったりする。
【背景技術】
【0003】
いくつかの病気の中には、各種人体構成物に対して連続して医薬を注入するという医療的処置の必要なものがあり、それは皮下に対する注入や静脈内への注入により行われる。例えば、真正糖尿病患者というのは、血液ブドウ糖レベルを制御するために、一日中、インスリンの各種量の管理を行う必要がある。近年、インスリンの一日の複数回の注入に大きく取って代わるものとして、歩行携帯型のインスリン注入ポンプが登場した。インスリンを単発的なひと固まり(ボーラス)としても配給できるし基礎的な割合で連続的に配給できるこれらのポンプが開発されたことにより、患者をシリンジによる注入という繰返しの自己管理から解放し、ほとんど通常の日常生活を維持することができるようにした。インスリンが多過ぎになるというのは致命的になり得るのであるから、個々の処方箋に応じて、基礎投与であってもボーラス投与であっても正確な量で配給される必要がある。故に、インスリン注入ポンプは、インスリンの不本意な過度の配給を防止すべく、高い信頼性という特徴を有していなければならない。
【0004】
いくつかの歩行用インスリン注入ポンプが、現在市場に出回っている。主に、これらの機器は、2つの部分を有している。すなわち、分配手段、制御部及び電子部品を有した耐久部と、“輸液セット”と併せて称される、貯蔵タンク(レザバー)、針アセンブリ(カニューレ及び貫入部材)及び液体配給管を有する使い捨て部とである。通常、患者は、貯蔵タンクを満たし、その貯蔵タンクの排出ポートにその輸液セットを取り付け、そしてその貯蔵タンクをポンプハウジングの中に入れている。
【0005】
貯蔵タンク、配給管、針から空気を追い出した後、患者は、体の選んだ場所にその針アセンブリを挿入し、そして貫入部材の針が皮下挿入されると、カニューレ挿入したままで、貫入部材を抜き戻す。刺激や感染を避けるため、皮下カニューレは、空の貯蔵タンクと共に2,3日後に交換されて廃棄されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第一世代のシリンジタイプの使い捨て貯蔵タンク及び管の例が、Hobbsの米国特許第3,631,847号と、Kaminskiの米国特許第3,771,694号と、後のJuliusの米国特許第4,657,486号と、Skakoonの米国特許第4,544,369号に記述されており、それらの各記述は当該援用によりここに開示されているものとする。これらの機器の分配手段の駆動機構は、シリンジピストンの動きをプログラマブルに制御するねじ切りプランジャーを備えている。これらの機器は、一日の複数回の注入に対する重要な改良ではあるものの、それらはすべていくつかの欠点を有している。主の欠点は、シリンジ及びピストンの空間的構成と比較的大きな駆動機構の結果により、それらが大きくて重いということである。その比較的嵩張る機器は、患者のポケットに入れられて運ばれたり、ベルトに装着されなければならなかった。その結果、その液体配給管は、体の離れた箇所に針が挿入することができるよう、長かった。すなわち通常60cm以上であった。長い管を有したこれらの不快で嵩張る機器は、スポーツ活動や水泳のような通常の活動を妨げるので、糖尿病インスリン使用者のほとんどに拒絶されていた。更に、10代の身体に植え付けられるイメージ効果により、受け入れ難かった。加えて、液体配給管は、お尻や足のような離れたいくつかの箇所までは這わせることができない。管の制約を排除するために、第二世代という新たな概念が提案された。
【0007】
この新しい概念は、患者の皮膚に取り付けるために調整された底面を有したハウジングと、そのハウジング内に収容される貯蔵タンクと、そのタンクと液体が通じることができる注入針とを備えた皮膚固着機器に関するものであった。この皮膚固着機器は、現在流通しているポンプ輸液セットと同様、一般的に、2,3日毎に取り換えられるように設計されている。
【0008】
この設計は、Schneiderの米国特許第4,498,843号、Burtonの米国特許第5,957,895号、Connellyの米国特許第6,589,229号、及びFlahertyの米国特許第6,740,059号に開示されている。従来の皮膚固着ポンプの追加的構成は、米国特許第6,723,072号及び第6,485,461号に開示されている。
【0009】
これらの特許においては、ポンプは、一構成であり、機器の底面から飛び出す針を機器ハウジングに付けたまま、全使用時間、患者の皮膚に装着されていなければならない。
【0010】
これらの第二世代皮膚固着機器にはいくつかの制約がある。
【0011】
・インスリンの浪費 − 一構成の機器は、ポンプの交換ごとに(すなわち、2−3日ごとに)、不使用インスリンも含めて、廃棄されなければならない。更に、装着する場所を間違えたとき(組織への傷害、出血、カニューレの捻じれ等)、インスリンが満たされた貯蔵タンクを含む機器全体が処分される必要がある。
【0012】
・これらの機器は高価である − 比較的高価な部品を含んだ機器全体が、ポンプの交換ごとには処分される必要がある。従って、生産コストは高く、最終的な製品価格は、老人医療保険の可能な支払額をかなり超えている。
【0013】
・これらの機器は、嵩張り、重い − 機器で採用されている自動挿入機構が、米国特許第6,699,218号に記述されているように、実質的な大きさを占めている。従って、挿入処理が終わっても、患者は、ポンプの使用中は常に、その重く、嵩張る挿入機構(ばね等)を持ち運ぶ必要がある。
【0014】
これらの欠点を取り除く試みとしては、2つのパーツを含んだ2構成従来型皮膚固着分配パッチユニットがあった。すなわち、2つのパーツとは、
・再使用部 − 駆動及びポンプ機構、電子機器、並びに他の比較的高価な構成部を含んだ第一ハウジング。
【0015】
・使い捨て部 − 貯蔵タンクが空になるまで、通常2,3日、使用される貯蔵タンク、管及び電源のような構成部を含んだ第二ハウジング
この概念は、費用的効果のある機器を提供でき、またこの概念により、例えば、各種サイズのタンク、各種タイプの針及びカニューレ、可変の動作モードの発揮等の機器のいろいろな使用形態が得られる。2部位構成の機器のポンプ機構には、各種タイプの応用が考えられる。
【0016】
従来の配給機構は、ローラーを伴った回転ホイール、ステーター及び弾性配給管を有する線形能動変位ポンプ機構を備えている。管は、回転ホイールとステーターの間に置かれる。
【0017】
回転ホイールが回転している間、ローラーが管を一方向にのみ連続的に“絞り込み”、管内の液体をタンクからハウジングに設けられた排出ポートの方へ移動させる。ステーターは、ばねにより偏倚されており、配給管の方へ押されて、回転ホイールに押し付けられており、それにより管の粗雑な動きが抑えられている。
【0018】
かかる従来の配給機構機器にはいくつかの制約がある。
【0019】
・これらの機器は高価である − 各部(使い捨て及び/又は再使用)は、異なるハウジング内に内装されている。使い捨て部は、しばしば、例えば3日ごとに、交換すべきであるので、ハウジングは、重要な費用因子となる。ステーターが使い捨て部の一部として構成されているときには、追加的費用増加が生ずる。
【0020】
・密封障害 − 組み立ての公差や不正確性のために構成部間に不完全な密封性が生じ、それにより完全な接続状態の2つのパーツを製造することは、大変困難である。
【0021】
・液体配給非正確性 − 配給管、回転ホイール及びステーターは、分配パッチユニットにおける同一パーツ内に置かれている必要はない(例えば、ステーター及び配給管は、使い捨て部に置かれ、一方、回転ホイールは、再使用部に置かれる)。使い捨て及び再使用部が接続されるときには、これらの3つの構成部の整合は、製造公差や組み立ての不正確性により、機械的に不完全である。これは不正確な液体配給の原因となり得る。
【0022】
・機器は安全ではない − 再使用部と使い捨て部の初期的接続は、患者により行われ、工場では行われない。故に、誤接続が生じて、医薬の過投与又は不足投与が起こり得る。
【0023】
・タンク内容物の状態 − タンクは、使い捨てハウジング内に置かれているので、患者は、プライミング操作の間、タンク内の液体の状態を認識しない。すなわち、タンクを満たしている間、患者は、タンク内にある液体の現在量を認識しない。
【0024】
現存の皮膚固着医薬注入機器の他の欠点は、挿入処理に関連するものである。誤挿入の場合には、含まれている液体も含めて、機器全体が廃棄されなければならない。この処理は、厄介であり費用がかかる。
【0025】
以上の観点から、液体の持続した医療的注入のための改良されたシステム、方法、及び機器を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の実施形態は、液体の持続した医療的注入のための改良されたシステム、方法、及び機器を提供する。
【0027】
いくつかの実施形態においては、液体配給機器は、注入機器と、薬品配給機構(すなわち、針、カニューレ、極小針の配列)とは、別れた構成となっている。
【0028】
いくつかの実施形態においては、短い外部管を有した、又は実質的に外部管がなく、人体の如何なる所望の位置にも固着することができる小型携帯型プログラマブル液体分配パッチユニットとして構成される液体配給機器が提供される。ここで使用されているように、液体分配パッチユニットは、しばしば、分配パッチ又は分配ユニットとして参照されるであろう。当業者には理解されるように、かかる参照は、ここでは例示として限定する目的ではなく行われる。
【0029】
いくつかの実施形態においては、液体配給機器は、分配パッチユニットと、皮膚に固着することができる担体ユニットを備えている。配給パッチユニットは、担体ユニットに接続される。担体ユニットは、分配パッチユニットを直接固着させることなく保持する。
【0030】
いくつかの実施形態においては、液体配給機器は、患者から取り外し、また再度接続することができる分配パッチユニットを備え、それにより入浴、サウナ、親密な行為等の場合に、機器を一時的に取り外すことができる。機器の構成に基づいて、取り外し及び再接続により、パッチの各種構成部(例えば、ポンプ機構及び針)、周りの組織及び/又は患者自身を害することはない。
【0031】
いくつかの実施形態においては、本発明の機器は、分配パッチユニット及び受け台ユニットを備えており、受け台ユニットは、皮膚に固着され、分配パッチユニットは、患者の裁量により、受け台ユニットに接続されたり、それから取り外されたりする。
【0032】
いくつかの実施形態においては、液体配給機器は、遠隔制御ユニットにより、及び/又は分配パッチに設けられたボタンにより、プログラムできる分配パッチユニットを有している。
【0033】
いくつかの実施形態においては、本発明の機器は、2つのパーツを有する分配パッチユニットを備えている。すなわち、使い捨て部及び再使用部である。これらの実施形態においては、比較的高価な構成部品は、再使用部内に配設され(例えば、電子部品、駆動機構、送受信部等)、比較的高価でない構成部品は、使い捨て部内に配設される(例えば、タンク、バッテリ等)。
【0034】
いくつかの実施形態においては、機器は、2つのパーツを有する分配パッチを備えている。接続された後の一体化した機器は薄い外観となっている。
【0035】
いくつかの実施形態においては、機器は、2つのパーツ、すなわち再使用部及び使い捨て部、を有する分配パッチを備えている。2つのパーツの接続の後、機器が一体化されると、再使用部に置かれたポンプ機構が、使い捨て部に置かれたタンクから液体を分配できる。
【0036】
いくつかの実施形態においては、機器は、2つのパーツを有する分配パッチユニットを備えており、2つのパーツの正確で、安全で、ユーザーフレンドリーな接続が行える。
【0037】
いくつかの実施形態においては、液体配給機器は、分配パッチユニット及び担体ユニットを備えている。担体ユニットは、皮膚に固着され、それにより2つのパーツからなる分配パッチユニットを体に接続することができる。担体ユニットは、周辺支持を使用して2つのパーツの接続を維持し、従って、それらの間の効果的な密封が実現できる。
【0038】
いくつかの実施形態においては、機器は、2つのパーツ、すなわち再使用部及び使い捨て部、を有する分配パッチを備えている。再使用部は、回転ホール及びステーターを有する線形能動変位ポンプ機構を含んでいる。2つのパーツの接続の後、ポンプ機構により、使い捨て部に配設されたタンクから液体を分配することできる。
【0039】
いくつかの実施形態においては、簡単に充填が行えるタンクを有する分配パッチユニットを備えており、充填の間、ユーザーは、タンク内に配給された液体を観察することできる。いくつかの実施形態においては、タンクの充填は、専用アダプターにより行うことができる。
【0040】
いくつかの実施形態においては、機器は、2つのパーツ、すなわち再使用部及び使い捨て部、を有する分配パッチを備えており、バッテリは、使い捨て部内に配設される。従って、これにより、患者がバッテリを扱ったり交換したりする困難を回避している。
【0041】
いくつかの実施形態においては、分配パッチユニットは、2つのパーツ、すなわち再使用部及び使い捨て部、を有しており、それらの間の密封性は、それらが接続された後には完全であり、機器の機能に影響を与えない。
入又は自動針挿入が行える分配パッチユニットを備えている。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態は、患者の皮膚に固着可能であって体に治療液を配給する分配パッチユニットを備えた液体配給機器に関する。以下の記述においては、このユニットは、しばしば、皮膚固着分配パッチユニット、分配パッチ、注入パッチ、分配ユニット、パッチユニット又は交換可能分配器と称される。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態は、小型携帯プログラマブル液体分配器として実現化される。その分配器は、皮膚の如何なる所望の箇所にも固着可能である。液体輸送命令は、パッチに設けられたボタンを押すことにより手作業でプログラムでき、又は遠隔制御ユニットにより、分配パッチユニットに遠くから送ることもできる。いくつかの実施形態においては、分配器は、2つのパーツ、すなわち再使用部及び使い捨て部、を有する単一のユニットである。分配器は、専用担体ユニットを使用して、又は受け台ユニットを使用して、皮膚に直接的に固着できる。
【0044】
いくつかの実施形態においては、分配パッチユニットは、タンクと、例えば電気的DC、ステッパーモーター、形状記憶合金アクチュエーター等を含む駆動機構と、ぜん動ポンプ、シリンジ/ピストンポンプ等のポンプ機構とを備えている。分配パッチユニットは、また、電源及び電子機器を備えていてもよい。いくつかの実施形態においては、分配パッチユニットは、配給管をステーターに押し絞って液体をタンクから体の方へ移動させる回転ホイール及びローラーから成る線形能動変位ポンプを採用している。2つのパーツの接続は、使い捨て部を再使用部の中に挿入することにより行われる。カバーにより使い捨て部を覆うように再使用部を閉じることにより、電気的接続と、電気的構成部及び回転ホイールへの電源供給が確立する。加えて、回転ホイールは、配給管をその回転ホイールに押し付けるステーターと組み合わされて、液体ポンプを構成する。
【0045】
皮下領域への液体配給は、柔らかいカニューレを使用して行うことができる。カニューレは、手作業で、又は専用インサーターを使用して挿入することができ、そのあと、貫入部材が抜き取られる。
【0046】
いくつかの実施形態においては、パッチユニットと皮下領域のカニューレとの間の連通は以下のように達成される。
【0047】
・カニューレをパッチユニットの排出ポートに直接接続する。
【0048】
・輸液セット(短い管)をパッチユニットに直接的に、又はルーアーを介して接続する。
【0049】
・井筒部を介し、カニューレを使用して、液体収集素子及び患者の皮膚を貫通させる。
【0050】
・受け台及びカニューレを含む受け台ユニットを分離する。ユーザーは、分配パッチユニットを受け台ユニットに着脱可能である。短い接続管腔(分配パッチユニット内に置かれる)が、自己密封隔壁(例えば、受け台ユニットに設けられたゴム製隔壁)に孔をあける。
【0051】
いくつかの実施形態においては、機器は、1つ以上の以下のユニット又はパーツを備えることができる。
【0052】
1.駆動及びポンプ機構、タンク、配給管及び排出ポートを備える分配パッチユニットである。いくつかの実施形態においては、分配パッチユニットは、以下の2つのパーツを備えている。
【0053】
i.再使用部 − 駆動及びポンプ機構のように、何回も使用できる構成部を含んでいる。
【0054】
ii.使い捨て部 − タンク、配給管、排出ポートのように、タンクが空になるまで使用することができる使い捨て構成部を含んでいる。また、皮膚に当てられる接着剤層を有した平坦シートと、分配パッチユニットの受け台ユニットへの接続を可能にする接続手段とを備えていてもよい。
【0055】
2.以下のパーツを有する受け台ユニット
i.弾性シートとして構成された受け台部。その底面には接着剤が塗られ、皮膚に固着できるようになっている。その上側は、分配ユニットを着脱できるような接続手段が備わっている。
【0056】
ii.カニューレ及び貫入部材。貫入部材は、挿入の後に取り外される。カニューレ及び貫入部材は、手作業で、又はインサーターの支援により、皮下に挿入できる。カニューレは、手作業で、又はインサーターを使用して、以下のように挿入できる。
【0057】
1.分配ユニットの外部において − カニューレと分配パッチユニットの排出ポートとを接続する短い外部管
2.井筒部を介し
3.受け台部の一構成部を使用する
iii.井筒部
3.以下を有する担体ユニット
i.接着剤が塗布され得る底部を有し、分配パッチユニットを搭載できる皮膚固着フレーム
4.流れとデータ取得のプログラムを行うための遠隔制御ユニット
いくつかの実施形態においては、ここで開示された方法、システム及び機器は、治療液の体内への医療的注入に使用できる。
【0058】
いくつかの実施形態においては、体内への治療液の制御された割合での注入が行える持続的医療的注入のための機器が提供される。
【0059】
いくつかの実施形態においては、医療的注入のための本発明の機器は、薄く、外部管がなく、患者の皮膚に固着できる(例えば皮膚固着注入パッチ)。
【0060】
いくつかの実施形態においては、本発明の皮膚固着注入パッチは、タンクと、配給管と、井筒部を介して液体が通じるように皮下挿入カニューレと連通できる排出ポートとを備えている。
【0061】
いくつかの実施形態においては、皮膚固着注入パッチは、2つのパーツ、すなわち再使用部及び使い捨て部、を備えている。再使用部は、電子構成部品及び駆動機構を含み、使い捨て部は、タンク、配給管及び排出ポートを含む。
【0062】
いくつかの実施形態においては、2つのパーツを有する皮膚固着注入パッチを含むシステムが提供される。注入パッチユニットは、担体ユニットを使用して、又は受け台ユニットを使用して、皮膚に直接的に付着できる。
【0063】
いくつかの実施形態においては、取り外して再接続できる分配パッチユニットを含んだ機器が提供される。
【0064】
いくつかの実施形態においては、フレキシブルで柔らかい皮下挿入カニューレを介して患者の体内に治療液を注入できる医療的注入方法が提供される。カニューレは、患者の手作業により、又はばねにより付勢されたインサーターを使用して、患者の体内に挿入される。
【0065】
いくつかの実施形態においては、皮膚固着注入パッチユニットを有した、信頼でき、安全で、正確で、ユーザーフレンドリーなシステムが提供される。
【0066】
いくつかの実施形態においては、本発明による低価格皮膚固着注入パッチは、2つのパーツ、すなわち再使用部及び使い捨て部、を備え、使い捨て部の製造コストは低い(使い捨て部は、いくつかの比較的高価でない構成部を含んでいる)。
【0067】
いくつかの実施形態においては、皮膚固着注入パッチは、再使用部及び使い捨て部を有し、使い捨て部は、充填とポンプ動作の間、患者が液体の量を見ることができるように透明タンクを含んでいる。
【0068】
いくつかの実施形態においては、皮膚固着注入パッチは、再使用部及び使い捨て部を備えており、ポンプの構成部は、再使用部内に置かれる。初期調整は、患者によるのではなく、工場で行われ、それにより液体ポンプのより高い正確性及び性能が得られる。
【0069】
いくつかの実施形態においては、皮膚固着注入パッチは、再使用部及び使い捨て部を備えており、その2つのパーツの間の接続は、良好に密封され、それにより水の浸透、漏れ、又は汚染物の混入を防止できる防水分配パッチユニットが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明の実施形態の詳細な説明が、添付の図面を参照して、行われる。各図面において、同一の参照符号は、対応する部材を示す。
【図1】図1は、本発明のいくつかの実施形態による、分配ユニット及び遠隔制御ユニットを含む液体分配機器の一例を示す図である。
【図2】図2A−Cは、本発明のいくつかの実施形態による、2パーツ分配ユニットの一例と、使い捨て部の再使用部内への配設を示す図である。
【図3】図3A−Bは、本発明のいくつかの実施形態による、分配ユニットの体への直接的な取り付けの一例を示す図である。
【図4】図4A−Cは、本発明のいくつかの実施形態による、受け台ユニットを使用した、分配ユニットの患者の皮膚への固着の一例を示す図である。
【図5】図5A−Dは、本発明のいくつかの実施形態による、担体ユニットを使用した、分配ユニットの患者の皮膚への固着の一例を示す図である。
【図6】図6A−Bは、本発明のいくつかの実施形態による、分配ユニットの動作モードの一例を示す図である。
【図7】図7A−Cは、本発明のいくつかの実施形態による、本体及びカバーを含む再使用部の一例を示す図であり、使い捨て部を、再使用部の本体部内に置くことが可能となっている。
【図8】図8A−Cは、本発明のいくつかの実施形態による、カバー、及び使い捨て部を含んだ再使用部の一例を示す図であり、再使用部のカバー及び本体がヒンジにより結合されている。
【図9】図9A−Dは、本発明のいくつかの実施形態による、充填及びプライミング処理の間の使い捨て部の一例を示す図である。
【図10】図10A−Cは、本発明のいくつかの実施形態による、再使用部及び使い捨て部とそれらの接続の一例を示す図である。
【図11】図11A−Dは、本発明のいくつかの実施形態による、分配ユニットの密封機構の一例を示す図である。
【図12】図12A−Hは、本発明のいくつかの実施形態による、担体ユニットを使用した、分配ユニットの患者の体への固着の一例を示す図である。
【図13】図13A−Bは、本発明のいくつかの実施形態による、使い捨て部に取り付けられ、分配パッチユニットのための担体としての役割を果たす担体部の一例を示す図である。
【図14】図14A−Dは、本発明のいくつかの実施形態による、分配機器の一例を示す図であり、配給管が、輸液セットに接続される分配パッチユニットから延びている。
【図15】図15A−Cは、本発明のいくつかの実施形態による、井筒構成を備えた分配パッチユニットの一例を示す図である。
【図16】図16A−Bは、本発明のいくつかの実施形態による、分配機器の貫入カートリッジ及び貫入部材の一例を示す図である。
【図17】図17A−Cは、本発明のいくつかの実施形態による、インサーターを使用した、井筒構成への貫入カートリッジ(カニューレを含む)の挿入の一例を示す図である。
【図18】図18A−Dは、本発明のいくつかの実施形態による、受け台ユニット及び貫入カートリッジユニットの一例を示す図である。
【図19】図19A−Dは、本発明のいくつかの実施形態による、受け台ユニット及び貫入カートリッジユニットと、それらの接続の一例を示す断面図である。
【図20】図20A−Bは、本発明のいくつかの実施形態による、接続管腔を有する排出ポートを備えた分配パッチユニットの一例を示す図である。
【図21】図21A−Cは、本発明のいくつかの実施形態による、分配パッチユニットの受け台ユニットに対する着脱の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1−6Bは、液体配給システム又は機器(1)と体に対するそれの取り付けの各種可能性を示す図である。図1は、治療液体の体への医療的注入のための機器(1)を示している。機器(1)は、分配ユニット(10)及び遠隔制御ユニット(40)を備えている。当該技術分野における当業者であれば理解できるように、分配ユニット(10)は、分配パッチのような各種タイプの分配機器とすることができ、本発明は、パッチに限定されない。語句“分配ユニット”及ぶ“分配パッチ”は、以下の詳細な説明を通じて、交換可能に使用されており、同じ意味を有している。いくつかの実施形態においては、遠隔制御ユニット(40)は、分配ユニット(10)の動作と相互作用すると共にそれを制御できる各種制御部、プロセッサー、及び通信能力を備えている。遠隔制御ユニット(40)は、また、患者(語句“患者”及び“使用者”が、この詳細な説明で使用される)のために状態や他の情報を表示できる表示画面(44)を備えている。分配ユニット(10)は、また、後に記述されるように、他の構成部に加えて、各種制御部、プロセッサー、及び通信能力を備えている。分配ユニット(10)の構成部は、動作目的のために、遠隔制御ユニット(40)の構成部と相互作用する。
【0072】
図2A−2Cを参照して、分配パッチユニット(10)は、再使用部(100)及び使い捨て部(200)を備えている。再使用部(100)及び使い捨て部(200)は、図2Cに示すように、互いに接続することができる。
【0073】
図2A−Cは、その2つのパーツの接続を示している。図2Aは、使い捨て部(200)の再使用部(100)への挿入を示している。図2Bは、再使用部(100)内に配設された使い捨て部(200)と、閉じられようとしているカバー部(102)を示している。図2Cは、カバー部(102)が閉じられ、使い捨て部(200)が再使用部(100)内に挿入されたときの分配パッチユニット(10)を示している。
【0074】
図3A−Bは、分配パッチユニット(10)を患者の皮膚(5)へ固着させる例を示している。図3Aは、分配パッチユニット(10)の皮膚(5)への固着を示している。図3Bは、動作する準備の整った固着分配パッチユニット(10)を示している。
【0075】
図4A−Cに示す他の実施形態においては、受け台ユニット(20)が、まず、皮膚(5)に固着され、そして分配パッチユニット(10)が、患者の裁量で受け台ユニット(20)に対して着脱される。図4Aは、患者の体に固着された受け台ユニット(20)を示している。図4Bは、分配パッチユニット(10)の受け台ユニット(20)への接続を示している。図4Cは、受け台ユニット(20)に接続された後の分配パッチユニット(10)であって、動作の準備ができたそれを示している。
【0076】
図5A−Dは、専用担体ユニット(30)を使用した、分配パッチユニット(10)の患者への取り付けを示している。図5Aは、担体ユニット(30)の皮膚(5)への取り付けを示している。図5Bは、固着された担体ユニット(30)を示している。図5Cは、分配パッチユニット(10)の担体ユニット(30)への接続を示している。図5Dは、担体ユニット(30)に接続され、動作準備のできた分配パッチユニット(10)を示している。当業者に理解されるように、受け台ユニット(30)は、患者の体の希望するどの場所へも取り付けることができる。
【0077】
いくつかの実施形態においては、担体ユニット(30)は、患者の皮膚(5)に受け台ユニットが固着される前に、分配ユニット(10)に接続できる。
【0078】
図6A−Bは、分配パッチユニット(10)の動作のモードを示している。患者は、遠隔制御ユニット(40)を使用して(図6Aに示す)、又は図6Bに示すように、分配パッチユニット(10)に設けられた1つ以上のボタン(15)を使用して、分配パッチユニット(10)を操作できる。遠隔制御ユニット(40)は、例えば、専用リモートコントローラー、携帯電話、パーソナルデータアシスタント(“PDA”)、時計、パーソナルコンピューター(“PC”)、ラップトップ、iPod、又は分配パッチユニットを操作するのに適した他の電気機器である。
【0079】
遠隔制御ユニットは、無線通信はもとより、例えば、インダクション、RF送信、IR送信等の他の適した方法、又は有線通信により、分配パッチユニットと通信できる。遠隔制御ユニットと分配パッチユニット(10)との間の通信は、単方向(つまり、一方向通信)でもよいし、双方向(つまり、二方向通信)でもよい。
【0080】
いくつかの実施形態においては、遠隔制御ユニットは、それに接続されたブドウ糖センサーを備えていてもよい(図6A−Bには示されていない)。ブドウ糖濃度レベルの検出は、電気化学的、光学的等の各種検出技術により実行できる。いくつかの実施形態においては、患者の血液サンプルは、遠隔制御ユニットに設けられた専用ポートに挿入される従来のテストストリップと関連させて利用できる。
【0081】
図7A−Cは、2つのパーツ、すなわち再使用部(100)及び使い捨て部(200)、を有する分配パッチユニット(10)を示している。
【0082】
図7Aは、本体部(101)及び分離カバー部(102)を有する再使用部(100)を示している。図7Aは、また、再使用部(100)よりも小さく、それにより再使用部(100)内に配設可能なように構成された使い捨て部(200)を示している。図7Bは、使い捨て部(200)の再使用部(100)への挿入を示している。使い捨て部(200)を再使用部(100)に挿入するために、カバー部(102)が再使用部(100)から外される。つまり、それは本体部(101)から離される。いくつかの実施形態においては、使い捨て部(200)は、再使用部(100)の本体部(101)の空洞に入れることが可能なカセットである。図7Cは、再使用部(100)の本体部(101)内に配設された使い捨て部(200)と、カバー部(102)が本体部(101)に再装着されて閉じられたところを示している。分配パッチユニット(10)の操作は、カセットタイプの使い捨て部(200)が本体部(101)内に適切に位置付けされたときのみ可能である。適切な整合を行うために、カセットタイプの使い捨て部(200)と本体部(101)空洞は、使い捨て部(200)が本体部(101)内で滑らかに摺動できるように構成されている。
【0083】
図8A−Cは、本発明の一実施形態を示しており、再使用部(100)の本体部(100)とカバー部(102)とが、ヒンジ又は旋回軸(103)で結合されており、カバー部(102)の旋回が可能となっている。図8aは、閉じた再使用部(100)(図8Aの左側)と開いた再使用部(100)(図8Aの右側)と使い捨て部(200)(図8Aの下側)を示している。図8Aに示されたように、旋回軸(103)は、再使用部(100)の右側に配設されている。当業者に理解されるように、旋回軸(103)は、再使用部(100)のどちら側にも配設でき、再使用部(100)の一辺の長さ全体に渡って設けるように設計できる。図8Bは、再使用部(100)の本体部(101)への使い捨て部(200)の挿入を示している。カバー部(102)が旋回されて開かれると、本体部(101)の内部が現れ、使い捨て部(200)がその本体部(101)に挿入される。挿入されると、カバー(102)が閉じられる。図8Cは、再使用部(100)内に配設された使い捨て部(200)と、カバー(102)が閉じられたところを示している。
【0084】
図9A−Dは、充填及びプライミング処理中の使い捨て部(200)及びタンク(220)の実施形態の追加的詳細を示している。図9Aは、使い捨て部(200)の構成部品を示しており、それは、タンク(220)、充填ポート(213)、配給管(230)、及びバッテリ(240)からなっている。充填ポート(213)は、液体が通るようにタンク(220)と通じており、それによりタンク(220)を、例えばインスリンのような治療液で満たすことができる。タンク(220)は、液体が通るように配給管(230)と通じており、その配給管(230)を通して、治療液が排出ポート(210)に配給され、例えばカニューレ等を介して更に患者へと配給される。いくつかの実施形態においては、充填ポート(213)は、ゴムの隔壁のような遮断機器を備えており、液体が充填ポート(213)を介してタンク(220)から漏れてしまうことを防止している。バッテリ(240)は、タンク(220)の外側に取り付けられており、機器(10)に電源供給する。
【0085】
上記実施形態においては、ステーター(図9Aには示されていない)は、(下の図10A−Cに示されるように)機器(10)の使い捨て部への配設とは反対側の再使用部内に配設できる。いくつかの実施形態においては、再使用部(100)の本体部(101)内に入れられた使い捨て部(200)は、再使用部のハウジングが使い捨て部とその構成部品を防御しているので、ハウジングは不要である。
【0086】
いくつかの実施形態においては、単一の再使用部ハウジングの必要性が、重要な費用低減因子の一つであり、それにより機器(10)の製造費用と共に消費者の最終的な費用をかなり低減できる。加えて、再使用部(100)のハウジングの少なくとも一部が透明であるので、患者は、タンク(220)内の液体のレベル及び/又は状態を連続的に監視できる。図9B−Dは、充填及びプライミング手続きを示している。図9B−Cは、充填ポート(213)からシリンジ(215)で充填されたタンク(220)を示している。いくつかの実施形態においては、アダプター(図9A−Dには示されていない)が、シリンジ(215)と充填ポート(213)を接続するために使用される。そのような接続の例は、共通に保有する特許出願である2006年8月18日に出願された米国仮特許出願第60/838,660号と、2007年8月16日に出願された国際特許出願PCT/IL07/001027号に詳述されている。シリンジ(215)を充填ポート(213)に取り付け終わると、シリンジ(215)の中身がタンク(220)に転送される(典型的には、シリンジのプランジャーを押圧することによる圧力により)。上述のように、使用者は、図9Cに示すように、充填されたタンク(220)を観察することができる。
【0087】
図9Dは、プライミング処理を示しており、それは引き続きタンク(220)を満たすことにより行われる。プライミング処理の間、使い捨て部(200)は、上に直立した状態に保たれ、使用者がシリンジのプランジャーを押すことにより生成された液体圧力が、気泡/ポケットに作用し、それらがタンク(220)及び配給管(230)から追い出され、満たされる。プライミング処理は、図9Dに示されるように、液体が、排出ポート(210)から滴下し始めるまで行われる。
【0088】
図10A−Cは、再使用部及び使い捨て部の接続の詳細を示している。図10Aは、使い捨て部とその構成部を示している。構成部には、ローラー(図10Aでは示されていない)のついた回転ホイール(110)、ギア(図10Aでは示されていない)のついたモーター(120)、ステーター(190)、及びプリント回路基板(“PCB”)(130)で構成される線形能動変位ポンプ構造が含まれている。PCB(130)はモーター(120)に接続されており、そのモーターは、回転ホイール(110)に回転力を与えている。回転ホイールが廻ると、回転ホイールの内側に配設されたローラーがステーター(190)と相互に働く。いくつかの実施形態においては、ステーター(190)は、カバー(102)内に配設されるが、線形能動変位ポンプの残りの構成は、再使用部(100)の本体部(101)内に配設されている。ステーター(190)は、更にばね(191)に結合されており、そのばねが今度は、カバー(102)に接続されている。使い捨て部(200)が再使用部(100)内に挿入されてカバー(102)が閉められると、図10Cに示されるように、ばね(190)は、張力を発生し、それによりステーター(190)が配給管(230)に押し付けられる。
【0089】
再使用部(100)は、更に、分配パッチユニット(10)のマニュアル操作を(例えば、遠隔制御ユニット(40)なしに)可能にする2つのボタン(15)を備えている。ボタン(15)の機能は多様であり、機器(10)の電源オン/オフ、患者に治療液(例えばインスリン)をボーラス投与又は基礎投与するように機器(10)をプログラム/起動すること、又は他の機能などが含まれる。各ボタン(15)は、独自の機能が与えられ得る。いくつかの実施形態においては、2つのボタンは、安全性の理由、つまり不本意な押下を防止するため、同じ機能(例えば、ボーラス用量の注入)が割り当てられる。
【0090】
図10Bは、再使用部(100)に挿入された使い捨て部(200)を示している。カバー(102)が、ヒンジ/旋回軸(103)を使用して揺り動かされて開かれ、本体(101)の内部が露呈する。そして、使い捨て部(200)が、本体部(101)内に挿入される。挿入されると、図10Bに示すように、電気的接触子(119)を使用して、バッテリ(240)がPCB(130)に接続され、配給管(230)が回転ホイール(110)に重ねられる。バッテリ(240)がPCB(130)に接続されると、機器(10)は、起動される。
【0091】
図10Cは、使い捨て部(200)を再使用部(100)の本体部(101)内に置いた後であって、カバー部(102)を閉じた後の分配パッチユニット(10)を示している。上述のように、この位置においては、バッテリ(240)は、基板(130)に電気的に接続され、電気部品及び回転ホイール(110)を励起すべく電力が供給される。更に、回転ホイール(110)は、(ばね(191)により支持された)ステーター(190)と並置され(すなわち、互いに近接して又は並べて置かれ)、それにより回転ホイールは、配給管(230)をホイール(110)に対して押し付けて絞り、それにより液体がぜん動的に押し出される。
【0092】
ステーター(190)を再使用部(100)のカバー部(102)内に配置することにより、正確性がもたらされ、回転ホイール(110)、配給管(230)、及びステーター(190)の間の信頼できる相互作用が提供される。それにより、また、組み立て及び製造公差による不正確性が排除される。
【0093】
排出ポート(210)は、図10Cに示すように、再使用部(100)の外側に飛び出すように構成できる。このようにすると、機器(10)が操作されると、治療液が、タンク(220)から配給管(230)に押し出され、このとき、配給管(230)の一部は、ステーター(190)と回転ホイール(110)の間に挟まれているので、治療液は更に排出ポート(110)に配給され、そしてカニューレを介して患者に配給される。回転ホイール(110)、及び/又は、ステーター(190)により加えられる圧力に沿って回転ホイール(110)内に配設されたローラーの回転速度/周波数を変化させることにより、患者に配給される治療液の量(例えば、基礎対ボーラス用量)を決定できる。
【0094】
図11A−Dは、分配パッチユニット(10)の密封機構の一実施形態を示している。図11Aは、2つのガスケット(例えばゴムのOリング)、すなわち上方ガスケット(104)及び下方ガスケット(105)を有する使い捨て部(200)を示している。いくつかの実施形態においては、ガスケット(104)及び(105)は、タンク(220)の部分の周りと共に配給管(230)の部分の周りに配設されている。更に、ガスケット(104)及び(105)は、本体部(101)及びカバー(102)の周囲を整合させるように構成されている。
【0095】
図11Bは、接続されつつある使い捨て部(200)及び再使用部(100)を示している。ガスケット(104)及び(105)は、使い捨て部(200)を再使用部(100)内に入れられ、カバー部(102)を旋回させて本体部(101)を閉じた後に、分配パッチユニット(10)の密封性を維持する。図11Cは、本体部(101)が開けられたときの分配パッチユニット(10)を示している。図11Dは、カバー部(102)により閉じられた本体部(101)を有する分配パッチユニット(10)を示している。ガスケット(104)及び(105)は、本体部(101)及びカバー(102)の周囲を整合させているので、分配パッチユニット(10)は完全に密封されており、排出ポート(210)を介したタンク(220)からの液体配給が可能となる。いくつかの実施形態においては、カバー(102)が閉じられるとボタン(15)が操作可能となるようになっており、それによりカバー(102)と本体部(101)の間の密封接続が形成されることが保証されている。
【0096】
図12A−Hは、担体ユニット(30)を使用して患者の体に取り付けられた分配パッチユニット(10)の一実施形態を示している。担体ユニット(30)は、皮膚(5)に接続される接着剤が付いたフレームである。接着剤は、フレームの底部に配設される。担体ユニット(30)は、分配パッチユニット(10)のための担体としての役目を果たし、それを着脱できる。図12A−Bは、分配パッチユニット(10)の担体ユニット(30)への接続を示している。担体ユニット(30)のフレームは、更に、図12C−Dに示すように、分配ユニット(10)を設置収容するように構成された面を取り囲む縁(14)を備えている。図12C−Dは、担体ユニット(30)に接続された分配パッチユニット(10)を示している。この構成においては、分配パッチユニット(10)及び担体ユニット(30)が液体配給機器(1)を構成している。分配ユニット(10)は、パチッと嵌る機構又は他の適した機構により担体ユニット(30)に固定される。図12E−Fは、どのように機器(1)が皮膚(5)に固着されるかを示している。接着剤層(図12E−Fでは示されていない)が、患者の皮膚(5)に固定され、それにより担体ユニット(30)が患者の皮膚に固定される。接着剤層により、複数回の取付けもできるし(すなわち複数回使用接着剤)、一回のみの取付けもできる(一回使用接着剤)。図12G−Hは、それぞれ、皮膚(5)に貼り付けられた機器(1)の側面図及び斜視図である。
【0097】
図13A−Bは、本発明のいくつかの実施形態による分配パッチユニット(10)の他の実施形態を示している。これらの実施形態においては、使い捨て部(200)は、担体部に直結されており、その担体部が今度は患者の皮膚に固定される。図13A−Bを参照すると、担体部(202)は、使い捨て部(200)に取り付けられている。しかしながら、再使用部(100)と使い捨て部(200)を接続した後、分配パッチユニット(10)は、皮膚(5)に直接固着される、ということを心に留めておくべきである。使い捨て部(200)(例えば、ユニタリー担体を伴った)は、少なくも部分的に、再使用部(100)内に受け入れられる。いくつかの実施形態においては、ユニット(10)は、再使用部(100)に使い捨て部(200)が取り付けられていなければ、動作しない。従来の接着剤の問題の一つは、それらのほとんどが一回のみの使用のために設計されている、ということであり、それにより、再使用部(100)の構成部品を使用者の皮膚に固着させることは望ましくない。図13A−Bに示された実施形態の利点の一つは、システム内の構成部品の数が減り、使用者が簡単に効果的に機器を取り付けることができると共に、機器の製造費用及び使用者に対する最終的な費用が低減されるということである。
【0098】
図14A−Dは、本発明のいくつかの実施形態による、分配パッチユニット(10)と共に輸液セットを使用する一例を示している。図14Aは、分配パッチユニット(10)を示している。配給管(230)が、分配パッチユニット(10)から、患者(図14Aには示されていない)の体の挿入箇所に延びている。図14A−Dに示された実施形態においては、挿入箇所は、固着された担体ユニット(30)により覆われた皮膚の領域外に指定することができる(図14B−Dに示すように)。
【0099】
図14Bは、担体ユニット(30)を使用して皮膚(5)に固着された組立て分配パッチユニット(10)を示している。配給管(230)は、ユニット(10)から外へ飛び出している。図14Bは、輸液セット(50)を更に描いている。輸液セット(50)は、ハブ(54)、接続管(52)、カニューレ(330)及び貫入部材(320)を備えている。接続管(52)は、ハブ(54)に接続されている。貫入部材(320)は、針、又は患者の皮膚の所望の位置(すなわち挿入箇所)に穴をあける他の貫入器具(331)を備えている。図14Bに示すように、針(331)を伴った貫入部材(320)はハブ(54)に結合されており、針(331)は、カニューレ(330)を通され、更にカニューレ(330)から突出している。
【0100】
図14cは、患者の皮膚(5)に固着され、更に輸液セット(50)に接続される分配パッチユニット(10)を示している。いくつかの実施形態においては、図14Cに示すように、接続管(52)は、配給管(230)に接続され、そして貫入部材(320)の針(331)が、皮膚(5)の挿入箇所に穴をあけ、それによりカニューレ(330)内に配設された針(331)と共にカニューレ(330)が挿入できるようになる。いくつかの実施形態においては、皮膚の穴あけは、管(52)及び(320)が接続される前に行われる。患者の皮膚(5)に穴をあけることにより、治療液(例えばインスリン)が、配給管(230)を介し、接続管(52)を通してカニューレ(330)に入り、それにより患者の皮下組織に配給できるようになる。
【0101】
皮膚(5)に穴をあけた後、図14Dに示されるように、貫入部材(320)がハブ(54)から抜かれ、カニューレ(330)は皮膚(5)の皮下に埋まったままにする。上述のように、カニューレ(330は、管(52)及び(230)を介して液体が通るように、分配パッチユニット(10)内に置かれたタンク(220)と通じている。いくつかの実施形態においては、ハブ(54)及びカニューレ(330)を更に固定するために、ハブ(54)は、その底部に接着剤ストリップを有し、それにより、一旦皮膚が貫入部材(320)により穴あけされると、ハブは皮膚(5)に固着されるようになる。更に、いくつかの実施形態においては、機器(10)は、管(52)及び(230)の接続及び/又は貫入部材(320)のハブ(54)からの取外しが検出されたときのみ、動作可能とすることができる。
【0102】
図15−17Cは、本発明の実施形態であり、井筒構成(60)及び貫入カートリッジ(62)を使用してタンク(220)をカニューレ(330)に接続することを示している。そのような接続の例は、共通に保有している特許出願である2006年7月24日に出願された米国仮特許出願第60/833,110号及び2006年8月14日に出願された米国仮特許出願第60/837,877号と、2007年7月24日に出願された国際特許出願PCT/IL07/000932号に開示されている。なお、ここでそれらの全内容を援用し開示されているものとする。井筒構成(60)により、図14A−Dに示すような外側の代わりに、分配ユニット(10)及び/又は担体ユニット(30)の下を挿入箇所とすることができる。井筒構成(60)は、更に、図14A−Dに示すような輸液セット(50)の接続管から配給管(230)が偶然外れてしまうことを防止している。
【0103】
図15Aは、バッテリ(240)、タンク(220)及び排出ポート(210)を備えた使い捨て部(200)の一例を示している。排出ポート(210)は、井筒構成(60)を含んでいる。井筒構成(60)は、配給管(230)を介して液体が通るようにタンク(220)と連通している。
【0104】
図15Bは、分配ユニット(10)の全体を示しており、再使用部及び使い捨て部が互いに接続されており、カバー(102)が閉じられている。タンク(220)は、回転ホイール(110)及びステーター(190)により絞り込まれる配給管(230)を介して治療液を井筒構成(60)に供給するように構成されている。
【0105】
図15Cは、線A−Aに沿って切って得られた井筒構成(60)の拡大断面図である。井筒構成(60)は、掛止、ルーアーロック、又は他のタイプの接続方法を使用して配給管(230)に接続される管接続用延設部(69)を有している。いくつかの実施形態においては、図15Cに示すように、管(230)は、管(230)が延設部(69)に取り付けられたときに管(230)の滑り落ちを防止するような複数の歯(61)を有している。井筒構成(60)は、更に、内腔(64)が形成されたハウジング(65)を備える。内腔(64)は、管(230)が延設部(69)に取り付けられたときに、液体が通るように配給管(230)と連通する、閉じることができる溝を備えている。かかる液体の流通は、ハウジング(65)内に配設された溝(67)により行われる。内腔(64)は、円筒形、方形、楕円、又は他の適した断面を有する。内腔(64)には、カニューレを有する貫入カートリッジ、又はカニューレを伴った他の機器、又は他の液体配給機器/溝構造を挿入することができる。図15Cに示すように、井筒構成(60)は、液体が通るように排出ポート(210)と連通しており、そのポートに、カニューレを伴った貫入部材が、液体を患者に配給するために挿入される。
【0106】
図16Aは、本体部(63)、カニューレ(330)、自己密封隔壁(313)を有する貫入カートリッジ(62)を示している。貫入カートリッジ(62)は、更に、本体部(63)の上部からカニューレ(330)内に延びる溝(319)を備えている。溝(319)は、貫入部材(320)(図16Aの右側に示されている)を収容できる。自己密封隔壁(313)は、貫入部材(320)がカートリッジ(62)から取り外されたときに、溝(319)を密封するように構成される。貫入部材(320)は、鋭利端(327)及び握り部(322)を有するダガー(321)から成っている。貫入部材(320)は、皮膚(5)の表面に穴をあけるように調整される。図16Bは、貫入カートリッジ(62)に挿入された貫入部材(320)を示している。
【0107】
図17A−Cは、患者の体にカニューレを挿入して皮下に位置付けするところを示している。いくつかの実施形態においては、カニューレ(330)の挿入と皮下への位置付けは、インサーターと呼ばれる挿入機器を使用して行われる。図17Aは、本発明のいくつかの実施形態による、インサーター(90)の一例の断面図である。インサーター(90)は、貫入部材(320)を装填/収容する中空ハウジング(405)を備えている。ハウジング(405)は、更に、ハウジング(405)と相互に作用して貫入部材(320)を井筒構成(60)内に投下する投下ばね(407)と、貫入部材(320)の滑落/誤発射を防止する、例えば拘束体(99及び99’)のような停止機構とを備えている。ハウジング(405)は、更に、井筒構成(60)に形成されている対応する凹部(212)と相互作用する突起(92)を備えている。突起(92)と凹部(212)の相互作用により、貫入部材(320)が装填されたハウジング(405)が、井筒構成(60)のハウジングに更に強く固定される。これにより、図17Bに示すように、貫入部材(320)及びカニューレ(330)の挿入箇所へのより正確な挿入が行える。インサーター(90)の構成及び動作の一例は、共通に保有するの2006年11月28日に出願された米国仮特許出願第60/861,345号と、2007年11月26日に出願された国際特許出願PCT/IL07/001454号に開示されている。なお、ここでそれらの全内容を援用し開示されているものとする。図17Aに更に示されているように、配給管(230)は、貫入部材(320)が挿入される前に、井筒構成(60)に連結できる。いくつかの実施形態においては、そのような連結は、貫入部材(320)の挿入後に行える。
【0108】
図17Bは、皮下組織に挿入されたカニューレ(330)を示している。かかる挿入は、貫入部材(320)が装填されたハウジング(405)を井筒構成(60)のハウジングに(突起(92)及び凹部(212)を使用して)固定し、そしてばね(407)を解放して貫入部材(320)を皮膚(5)の表面に対して下方に押し出し発射することにより、達成できる。貫入部材(320)のカニューレ(330)を伴った貫入ダガー(321)は、押されると、皮膚(5)に穴をあけ、患者の皮下組織に入っていく。ばね(407)の解放は、ハウジング(405)の上部に配設されたボタン(93)を使用して行われ、そのボタンは、拘束体(99及び99’)を排除してばね(407)を解放し、それにより貫入部材(320)が発射される。カニューレ(330)が、皮下に挿入されてしまえば、図17Cに示すように、貫入部材(320)はハウジング(405)と共に抜き取られる。いくつかの実施形態においては、ボタン(93)が押されると、ばね407がハウジング405内で縮み、それにより貫入部材(320)(ばね(407)に固定可能)が上方に引かれ、拘束体(99及び99’)は、貫入部材(320)をハウジング(405)内に保持する。いくつかの実施形態においては、貫入部材(320)の排除は、ハウジング(405)を上方に引くというように手作業で行われる。貫入部材(320)が取り除かれると、自己密封隔壁(313)により溝(319)が密封され、それにより液体の漏れ及び/又は汚染が防止される。更に、貫入部材(320)が外されると、カニューレ(330)は皮下領域に残ったままである。貫入部材(320)/カニューレ(330)の挿入箇所への挿入は、所望の如何なる角度でも行える。
【0109】
図18A−21Cは、本発明の実施形態を示しており、ここでは、分配パッチユニット(10)の皮膚(5)への接続は、受け台ユニットを使用して行われている。受け台ユニットの例は、共通に保有する2006年12月22日に出願された米国仮特許出願第60/876,679号及び2007年12月21日に出願された米国特許出願第11/963,481号と、2007年12月20日に出願された国際特許出願PCT/IL07/001579号に開示されている。なお、ここでそれらの全内容を援用し開示されているものとする。
【0110】
いくつかの実施形態においては、受け台ユニットは、以下の2つの部分を有している。
【0111】
1.以下を備えた受け台ユニット
a.受け台ベース
2.以下を有した貫入カートリッジ
a.井筒部
b.カニューレ
c.貫入部材
図18A−Dは、本発明のいくつかの実施形態による受け台ユニットの一例を示している。図18Aは、受け台ベース(300)、接続ラッチ(306(a,b,c))、開口(307)、及び、分配パッチユニット(10)を接続するための掛止ラッチ(302(a,b,c,d))を備えた受け台部(21)を示している。図18Aは、受け台部(21)の側面図であり、2つの接続ラッチ(306)と2つの掛止ラッチ(302)のみが表示されている。ラッチ(302)及び(306)は、パチッと嵌る構成を有するように設計されており、それにより、ユニット(10)が受け台部(21)に挿入されると、ラッチ(302)及び(306)は、ユニット(10)及び/又はその構成部をベース(300)にしっかりとロックする。
【0112】
図18B−Cは、それぞれ、受け台ベース(300)と、開口(307)の周りに配設された3つの接続ラッチ(306)とを有した受け台部(21)の平面図及び斜視図である。開口(307)及びラッチ(306)は、図18Dに示されたカニューレカートリッジユニット(22)を受け入れるように構成されている。
【0113】
図18Dを参照すると、カニューレカートリッジユニット(22)は、井筒部(310)、側面凹部(316)、隔壁(313)、カニューレ(330)及び貫入部材(320)を備えている。側面凹部(316)は、ラッチ(306)と係合してパチッと嵌るように構成され、それにより、カニューレカートリッジユニット(22)を開口(307)に対して固定し、又は留める。カニューレカートリッジユニット(22)の挿入の際には、前述のように、貫入部材(320)が皮膚(5)(図18A−Dには示されていない)に穴をあけ、カニューレ(330)を挿入できるようになっている。ラッチ(306)及び凹部(316)がカニューレカートリッジユニット(22)を留めるので、カニューレ(330)を皮下組織内の挿入したままにして、貫入部材(320)を取り除くことができる。隔壁(313)は、前述のように、貫入部材(320)が抜き取られる通路の最上部を密封する。カニューレカートリッジユニット(22)は、ラッチ(306)間に実質的に正確に嵌り、貫入部材(320)を伴ったカニューレ(330)と開口(307)を実質的に正確に揃えることができるような形状を有している。
【0114】
図19A−Dは、図18A−Dに関して上述したような受け台部(21)とカニューレカートリッジユニット(22)の接続を示している。図19Aは、患者の皮膚(5)に取り付けられた受け台部(21)を示している。その取り付けは、接着剤を使用して、又は他の何らかの手段を使用して行われる。当業者であれば理解できるように、接着剤層は、受け台ベース(300)の、皮膚(5)に向いた側に配設されている。図19Bは、カニューレカートリッジユニット(22)の受け台部(21)への、ラッチ(306)及び凹部(316)を使用した接続を示している。貫入部材(320)の鋭利先端(322)が皮膚(5)に穴をあけ、カニューレ(330)を患者の体内に導く。図19Cは、受け台部(21)に接続されたカニューレカートリッジユニット(22)を示している。図19Dは、カニューレカートリッジユニット(22)から貫入部材(320)を取り外すところを示している。受け台部(21)は、皮膚(5)に固着され、カニューレ(330)は体内に残ったままである。井筒部(310)の自己密封隔壁(313)により、分配パッチユニット(10)の接続管腔(250)に対する繰り返しの着脱が行える。自己密封隔壁(313)は、漏れと汚染物の混入も防止している。
【0115】
図20A−21Cは、分配パッチユニット(10)の受け台ユニット(21)に対する着脱を示している。図20Aは、再使用部(100)及び使い捨て部(200)を備え、受け台ユニット(21)に接続される分配パッチユニット(10)の平面図である。図20Aは、更に、使い捨て部(200)が、排出ポート(210)、接続管腔(250)、配給管(230)及びタンク(220)を備えている、ことを示している。接続管腔(250)は、排出ポート(210)のところに配設されている。配給管(230)は、タンク(220)、その配給管(230)及びカニューレ(330)(図20Aには示されていない)を連通させて液体が通るようにする接続管腔(250)に接続されている。
【0116】
図20bは、更に、配給管(230)に堅固に接続された接続管腔(250)の詳細を示している。また、管腔(250)の線B−Bに沿った詳細な断面が示されている。
【0117】
図21Aは、分配パッチユニット(10)の受け台ユニット(21)への接続を示している。上述のように、ラッチ(302)は、ユニット(10)を受け台ユニット(21)に固定するように構成されている。ユニット(10)は、更に、ユニット(10)が受け台ユニット(21)内に置かれる際にラッチ(302)と係合するように構成された複数の側面切欠き/凹部(12)を備えている。分配ユニット(10)が受け台ユニット(21)に接近すると、接続管腔(250)が井筒部の自己密封隔壁に孔をあけ、それによりカニューレ(330)とタンク(220)との間を液体が通じるようになる。
【0118】
図21bは、受け台ユニット(21)に取り付けられた分配ユニット(10)を示している(すなわち、分配ユニット(10)は、動作モードにある)。2つのユニットが接続されると、接続管腔(250)が受け台ユニット(21)の隔壁(313)に孔をあけ、カニューレ(330)内に入り込み、それによりタンク(220)とカニューレ(330)の間の液体の連通が維持される。側面切欠き(12)により、掛止ラッチ(302)による分配パッチユニット(10)の受け台ユニット(21)への接続が可能となる。
【0119】
図21cは、分配パッチユニット(10)の取外しを示している。弾性変形可能なラッチ(302)が、ユニット(10)のハウジングから引き外され、ユニット(10)は、受け台ユニット(21)の把持から解放される。受け台ユニット(21)は、皮膚(5)に固着したままであり、カニューレ(330)もまた体内に残される。自己密封隔壁(313)は、体液の漏れと汚染を回避する。
【0120】
いくつかの実施形態においては、分配パッチユニットは、更に、例えばブドウ糖センサー又は連続ブドウ糖監視機器(“CGM”)などの、体内の分析対象物を監視して測定する感知手段(図示せず)を備えている。いくつかの実施形態においては、分配パッチユニット及び感知手段(“分配システム”とも称される)は、閉ループ、開ループ、又は準開ループのうちの1つ以上のモードで動作可能である。一体型感知手段を伴ったかかる分配パッチユニットの例は、共通に保有している2007年2月14日及び2007年12月21日にそれぞれ出願された米国特許出願第11/706,606号及び第11/963,481号に開示されている。なお、ここでそれらの全内容を援用し開示されているものとする。
【0121】
閉ループモードにおいては、分析物濃度が、センサーにより感知され、プロセッサーにより判定される。プロセッサーは、判定された濃度に基づいて人体に一種類以上の治療液を分配するように分配装置に指令を出す。開ループモードにおいては、感知機能と分配機能はリンクしていない。このモードで動作する機器/システムは、判定した分析物濃度の値を示し得るが、分配の量に関するフィードバック制御は行われない。使用者が機器に対してコマンドを入力できるユーザーインターフェース又は他の手段により、使用者は、治療液を分配できる。準閉ループモードにおいては、感知は、閉ループモードについて上述したように行われる。しかしながら、その機器/システムは、判定された分析物濃度に基づいて必要であろう量の治療液を分配する前に、使用者から、できれば何らかのユーザーインターフェースを介した、確認/動作を待つか、あるいはそのような確認/動作を要求する。
【0122】
特定の実施形態がここで詳細に開示されているものの、それは例示の目的のためだけのものであり、以下に添付の請求の範囲を限定することを意図したものではない。特に、請求の範囲により画定される発明の精神や範囲から逸脱することなく、各種代用、変更、変形が、発明者により想到される。他の様相、有利な特徴、変形も、以下の請求の範囲内にあると考えられる。提示される請求項は、ここで開示された発明の代表例である。他の請求項に記載されていない発明もまた考えられる。発明者は、そのような発明を後の請求項で追及する権利を保有する。
【0123】
本開示内容において参照している全ての特許、特許出願、製品、及び他の出版及び/又は非出版文献の全内容が、ここに援用されているものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの第一部分内に収容された、ポンプ機構の第一構成部と、
前記ハウジングの第二部分内に収容された、前記ポンプ機構の第二構成部と、
を備え、
前記ハウジングの前記第一部分及び前記ハウジングの前記第二部分は、前記ポンプ機構が動作不能な開いた位置と、前記ポンプ機構が動作可能な閉じた位置との間を相対的に変位するように構成されていることを特徴とする液体を哺乳動物の体にポンプ輸送するための装置。
【請求項2】
前記ポンプ機構は、線形能動変位ポンプであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ポンプ機構の前記第一構成部は、ばねにより支持されたステーターであることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ポンプ機構の前記第二構成部は、ローラーを備えた回転ホイールであることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジングの前記第二部分は、更に、モーター及び印刷回路基板のうちの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ハウジングの前記第一部分及び前記ハウジングの前記第二部分は、接続可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記接続は、ヒンジ接続であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ハウジングが前記開いた位置にあるとき、前記ハウジングに挿脱可能な少なくとも1つの構成部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの構成部は、カセットタイプの挿入物であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの構成部は、タンク、充填ポート、配給管、及びバッテリのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの構成部は、少なくともタンクであり、当該タンクは透明であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ハウジングの前記少なくとも一部は、透明であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの構成部は、更に、カニューレへの接続のための排出ポートを備えていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの構成部は、更に、井筒構成を備えていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記ポンプ機構の前記第一構成部は、前記ハウジングの前記第一部分内にあって、再使用可能であり、
前記ポンプ機構の前記第二構成部は、前記ハウジングの前記第二部分内にあって、再使用可能であり、
前記ハウジングに挿脱可能な前記少なくとも1つの構成部は、使い捨て可能であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項16】
前記ハウジングが前記閉じた位置にあるときに、前記ハウジングの前記第一部分、前記ハウジングの前記第二部分、及び前記少なくとも1つの構成部を密封するための密封機構を備えることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項17】
前記密封機構は、少なくとも1つのガスケットであることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記ハウジングは、担体ユニットに取り付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記ハウジングは、受け台ユニットに取り付け可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記受け台ユニットは、カニューレカートリッジユニットを受け入れるように調整されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ハウジングは、前記哺乳動物の皮膚に固着可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項22】
遠隔制御装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記ハウジングは、少なくとも1つの制御ボタンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項24】
液体を哺乳動物の体に配給する方法であって、
ハウジング内の空間を露呈するために、ポンプ機構の第二構成部を備えた、前記ハウジングの第二部分に対して、前記ポンプ機構の第一構成部を備えた、前記ハウジングの第一部分を動かし、
前記ハウジング外でタンクに液体を加え、
前記タンクを前記ハウジング内の前記空間に挿入し、
前記ハウジングの前記第二部分に対して前記ハウジングの前記第一部分の位置を戻してそれらを前記閉じた位置にして、前記ポンプ機構を動作可能とし、
前記ポンプ機構により、前記哺乳動物の体の皮下領域に前記液体を配給することを特徴とする方法。
【請求項25】
皮下に挿入可能なカニューレを介して、前記タンクと前記皮下領域の間を液体が連通できるようにすることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記皮下に挿入可能なカニューレは、輸液セット、井筒構成及びカニューレカートリッジユニットからグループの一部であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記タンクに液体を加えることは、内容物レベルの視覚的検査が行えるような透明なタンクに液体を加えることであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ハウジングの前記第二部分に対して前記ハウジングの前記第一部分の位置を戻すことにより、前記ハウジングの前記第一部分と前記第二部分の間が密封されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記ハウジングの前記第二部分に対して前記ハウジングの前記第一部分の位置を戻すことにより、前記ポンプ機構の前記第一構成部と前記第二構成部とが並置されることを特徴とする請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【公表番号】特表2011−516097(P2011−516097A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502637(P2010−502637)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/IL2008/000499
【国際公開番号】WO2008/122983
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(508135194)メディンゴ・リミテッド (20)
【Fターム(参考)】