説明

液体マグネトグラフィ用現像剤、カートリッジ、及び画像形成装置

【課題】再分散性が良好である、液体マグネトグラフィ用現像剤、並びにこれを用いたカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
【解決手段】水性媒体と、高分子化合物及び磁性粉を含み、前記水性媒体中に存在する磁性重合体粒子と、前記水性媒体中であり、かつ、前記磁性重合体粒子の外部に存在する離型剤粒子と、を含有する液体マグネトグラフィ用現像剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体マグネトグラフィ用現像剤、カートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一回の潜像形成で必要部数の印刷が可能な磁気印写装置が知られている。この磁気印写装置では、磁気記録媒体(磁気潜像保持体)に磁気的に形成された磁気潜像を保持させ、現像領域でその磁気記録媒体に磁性トナーを供給して磁気潜像をトナー像として顕像化し、転写領域で紙などの記録媒体を磁気記録媒体へ押し当て、顕像化されたトナー像を記録媒体へ転写し、更に転写後の記録媒体を定着領域に搬送して定着処理することにより印写を完成させる。この方式は、一般にマグネトグラフィと呼ばれている。
【0003】
上記においては、磁気記録媒体における磁化状態は半永久的に保たれるから、1回潜像形成すると、現像・転写のプロセスを繰り返すだけできわめて多数のコピーが得られる。また、マルチコピーを得るのに潜像を記録し直す必要がないので、高速化への対応が可能である。さらに、磁気は静電気と違って環境に対して安定である上、解像度の高い画像を得ることもできる。
一方、磁気潜像は容易に磁気的に形成および消去可能であり、刷版が不要なため、コストの低減が可能である。
【0004】
前記マグネトグラフィの具体的なプロセスとしては、例えば磁性トナーは磁気記録媒体に対して離間位置に配置された供給ローラによって供給される。供給ローラは磁性トナー層をその周面上に保持し、磁性トナー層を磁気記録媒体へ接触させて、磁気記録媒体の磁気潜像へ磁性トナーを供給し、付着させる。
上記プロセスを用いた画像形成装置として、粉体の磁性トナーを利用したいわゆる乾式の画像形成装置があるが、磁性トナーを液体中に分散させた液体現像剤を用いた画像形成装置(いわゆる「液体マグネトグラフィ」)も検討されており(例えば、特許文献1、2参照)、このプロセスにおいては、トナーが液体中に含まれるため、高画質化のためにトナー粒径を小さくしてもトナークラウド等の問題が発生することがないという利点がある。
【0005】
前記液体現像剤としては、静電潜像を可視化するための技術に用いられる現像剤として、水不溶性の疎水性樹脂に色材を含有させたトナー粒子を水を主とする水性媒体中に分散させた水性現像剤や(例えば、特許文献3、4参照)、親水性基を有する皮膜形成性熱可塑性樹脂により着色剤を被覆内包したトナー粒子を水を主成分とするキャリア液に分散させた水性液体現像剤(例えば、特許文献5参照)が提案されている。
【0006】
また、磁気潜像を顕像化する液体現像剤としては、例えば、5nmから50nmの磁性粉を水に分散させた、いわゆる磁性流体を利用した現像剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、液体状のインクと、該インクに分散される磁性粉を含む樹脂粒子とからなる現像剤が提案されており(例えば、特許文献6参照)、この技術では、磁気潜像に対して液体インクと樹脂粒子を含む現像剤が供給され、記録紙には液体インクのみを転写させることにより色再現性に優れた画像が得られている。
【特許文献1】特公平5−87834号公報
【特許文献2】特開平5−188827号公報
【特許文献3】特開平10−10802号公報
【特許文献4】特開平11−24410号公報
【特許文献5】特開平11−24324号公報
【特許文献6】特開平11−38671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、磁性重合体粒子の再分散性が良好である、液体マグネトグラフィ用現像剤、並びにこれを用いたカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題は、以下の本発明によって達成される。
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、
水性媒体と、
高分子化合物及び磁性粉を含み、前記水性媒体中に存在する磁性重合体粒子と、
前記水性媒体中であり、かつ、前記磁性重合体粒子の外部に存在する離型剤粒子と、
を含有する液体マグネトグラフィ用現像剤である。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記離型剤粒子の個数平均粒子径が、0.1μm以上1.0μm以下である請求項1に記載の液体マグネトグラフィ用現像剤である。
【0010】
請求項3に係る発明は、
液体現像剤を貯留する現像剤貯留手段と、
前記液体現像剤を外部に供給する現像剤供給手段と、を有し、
前記液体現像剤が、請求項1又は請求項2に記載の液体マグネトグラフィ用現像剤であるカートリッジである。
【0011】
請求項4に係る発明は、
磁気潜像保持体と、
前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成手段と、
液体現像剤を貯留する現像剤貯留手段と、
前記磁気潜像をトナー像として顕像化するために前記液体現像剤を前記磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に供給する現像剤供給手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記液体現像剤が、請求項1又は請求項2に記載の液体マグネトグラフィ用現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、前記離型剤粒子を含有しないものと比較して、磁性重合体粒子の再分散性が良好である、といった効果を奏する。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、本発明の数値範囲に入らないものと比較して、画像形成時の耐オフセット性及び現像性が向上する、といった効果を奏する。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、液体現像剤中に前記離型剤粒子を含有しないものと比較して、オフセットを抑制し、オフセットに起因する画像欠陥のない画像が形成される、といった効果を奏する。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、液体現像剤中に前記離型剤粒子を含有しないものと比較して、オフセットを抑制し、オフセットに起因する画像欠陥のない画像が形成される、といった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
<液体マグネトグラフィ用現像剤>
本実施形態の液体マグネトグラフィ用現像剤(以下、「液体現像剤」と称する場合がある。)は、磁性重合体粒子と、離型剤粒子と、水性媒体と、を少なくとも含有し、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
【0017】
液体現像剤が上記構成であることにより、磁性重合体粒子の分散性及び再分散性が良好であり、画像形成時の耐オフセット性が向上する。
【0018】
記録媒体に転写されたトナー像を定着する工程において、トナー像の一部が定着ロール等の定着部材表面に付着して転移する、いわゆるオフセット現象が起こる場合がある。特に、トナー像を加熱して定着する場合は、記録媒体上のトナー像が加熱溶融した状態で、熱定着手段の定着部材(例えば、熱ローラ等)に接触するため、上記オフセット現象がさらに起こりやすい。そこで、乾式トナーにおいては、トナー中にワックス等の離型剤を内包することにより、上記オフセット現象を抑制することが行われている。
【0019】
また、フルカラートナーのように2色以上のトナーを重ね合わせて発色させる場合や、OHP画像の透明性を持たせるためにフラットな定着画像表面を作製する必要がある場合には、トナーを低粘度化し熱溶融性を増す必要がある。このような場合において、トナー中に離型剤を内包することにより十分な耐オフセット性を得るためには、離型剤をトナー中に多量に添加する必要がある。
【0020】
一方、水性媒体を用いた液体現像剤においては、トナー中に離型剤を多量に添加すると、トナーの疎水性が上がることにより、水性媒体中におけるトナーの分散性が低下する場合がある。また、水性媒体を用いた液体現像剤においては、トナーの分散性を確保するために、無機粒子や界面活性剤等の分散安定剤を多量に添加すると、定着不良、泡立ち等が発生する場合がある。
【0021】
しかし、本実施形態においては、磁性重合体粒子(トナー)の内部ではなく、磁性重合体粒子の外部であり、かつ、水性媒体の内部に、離型剤粒子を含んでいるため、上記のような磁性重合体粒子の疎水性上昇を回避しつつ、耐オフセット性が向上される。
また、本実施形態においては、磁性重合体粒子間に離型剤粒子が存在するため、水性媒体中における磁性重合体粒子の分散性及び再分散性が良好である。
さらに、本実施形態の現像剤は、磁気潜像記録方式に用いるものであるため、静電潜像記録方式の場合に比べて、磁気潜像保持体表面における離型剤粒子の固着による影響が少ない。
【0022】
以下、本発明の実施形態における液体現像剤について、その構成に沿って具体的に説明する。
【0023】
―離型剤粒子―
離型剤粒子は、少なくとも離型剤を含む粒子であり、水性媒体中において磁性重合体粒子と共に分散されている。すなわち、本実施形態の液体現像剤においては、離型剤粒子が、磁性重合体粒子の外部であり、かつ、水性媒体の内部に存在する。
また離型剤粒子は、固体の離型剤を粒子状としたものでもよいし、例えばエマルジョンなどのように、液体の離型剤を粒子状としたものでもよい。
【0024】
離型剤としては、離型効果を有するものであれば、特に限定されない。
離型剤として具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類; 加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の長鎖脂肪族アルコール類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;ペンタエリスリトール-ジステアレート、ペンタエリスリトール-テトラステアレート、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル等のエステル系合成ワックス;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の高級脂肪酸;及びそれらの変性物などが挙げられる。
【0025】
また離型剤としては、25℃において固体の離型剤(以下、「固体離型剤」と称する場合がある)のほか、25℃において液体の離型剤(以下、「液体離型剤」と称する場合がある)を用いてもよい。なお、液体離型剤としては、高沸点(沸点が100℃以上)のものが望ましい。
このような液体離型剤としては、具体的には、例えば、ノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化脂肪族炭化水素などが挙げられるが、安全性、揮発性等の面から実用上好ましくはイソパラフィン系炭化水素溶媒であるシェルゾル71(シェル石油製)、アイソパーO、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーG(アイソパーはエクソン社の商品名)やアイピーソルベント(出光石油化学製)等が挙げられる。
【0026】
本実施形態においては、上記のように、液体離型剤を用いてもよい。例えば、磁性重合体粒子の内部に離型剤粒子を含ませる形態においては、粒子内部に液体離型剤を微分散させることが難しいこと、粒子作製時および、作製後に粒子内部から液体離型剤がシミだすことにより粒子同士の凝集が起こって粒径/粒度分布が悪化する、といった理由により、離型剤として液体離型剤を用いることが困難である。しかし、本実施形態においては、上記の通り離型剤粒子が、磁性重合体粒子の外部であり、かつ、水性媒体の内部に存在するため、離型剤として液体離型剤を用いるにあたり上記のような困難性は小さい。また離型剤として液体離型剤を用いることにより、より低温でオフセットが抑制できる、記録媒体に残存しにくいといった利点がある。
また、低温定着といった観点からは、本実施形態において特に好ましい離型剤として、液体離型剤を含有したゲル状の半固体離型剤で、上記液体離型剤を含有した上記固体離型剤が挙げられる。
【0027】
固体離型剤の分子量(重量平均分子量)は、100以上10000以下が望ましく、200以上5000以下がより望ましく、300以上3000以下がさらに望ましい。固体離型剤の分子量が前記範囲であることにより、定着工程においてトナー像と定着部材との間に形成される離型剤被膜の強度が十分に得られ、また、水性媒体中への微分散が容易であるという利点がある。
また液体離型剤の分子量(重量平均分子量)は、100以上300以下が望ましく、110以上250以下がより望ましく、120以上200以下がさらに望ましい。液体離型剤の分子量が前記範囲であることにより、乾燥性に優れ、定着後に残存しにくいという利点がある。
なお、上記固体離型剤の分子量は、THFを用いて溶解分として分離した成分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定される。一方、液体離型剤の分子量は、GC−MSを用いて測定した。GC−MSは島津製作所QP−5050型を用いた。
【0028】
また離型剤は、水性媒体に不溶なものであることが望ましい。水性媒体に対する溶解度が高い離型剤を用いた場合、離型剤が水性媒体に溶解して液体現像剤の粘度が上昇し、磁性重合体粒子の移動度が下がり、画質が低下する場合がある。しかし水性媒体に不溶な離型剤を用いることにより、磁性重合体粒子の移動度低下による画質の低下が抑制される。
【0029】
離型剤粒子の個数平均粒子径としては、0.1μm以上1.0μm以下が望ましく、0.15μm以上0.9μm以下がより望ましく、0.2μm以上0.8μm以下がさらに望ましい。
離型剤粒子の個数平均粒子径が上記範囲であることにより、離型剤粒子の個数平均粒子径が上記範囲より小さい場合に比べ、画像形成時の耐オフセット性が向上する。また、離型剤粒子の個数平均粒子径が上記範囲であることにより、離型剤粒子の個数平均粒子径が上記範囲より大きい場合に比べ、離型剤粒子による現像の阻害が抑制されるため、現像性が向上する。
磁性重合体粒子内部に離型剤粒子を添加する場合、個数平均粒子径の小さい離型剤粒子を用いると、定着工程において、離型剤が磁性重合体粒子内部から外へ染み出しにくく、磁性重合体粒子内部に残留し、離型効果を発揮しない場合がある。しかし本実施形態では、離型剤粒子が、磁性重合体粒子の外部であり、かつ、水性媒体の内部に存在するため、磁性重合体粒子内部に離型剤粒子を添加する場合に比べ、個数平均粒子径の小さい離型剤粒子を用いても離型効果を発揮しやすいと考えられる。
【0030】
離型剤粒子の作製方法としては、例えば、強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機等を用いて、上記離型剤及び上記水性媒体の混合物を分散させ、離型剤粒子分散液とする方法が挙げられる。分散時において離型剤が固体である場合には、離型剤の融解温度以上に加熱しながら分散を行うことが望ましい。
離型剤粒子の作製において、水性媒体中における離型剤粒子の分散性を向上させるため、後述する界面活性剤等を用いてもよい。
【0031】
―磁性重合体粒子―
本実施形態の磁性重合体粒子は、結着樹脂としての高分子化合物、及び磁性粉を含み、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。また磁性重合体粒子は、後述するように液体マグネトグラフィ用の液体現像剤に好適に用いられる粒子状の磁性重合体粒子である。したがって、一定以上の磁力を保持しつつ、水などの水性媒体中にばらつきを抑制して(均一に)分散可能とすることが望ましい。
なお、上記「磁性重合体粒子」とは、磁性粉が重合体中に分散されてなる磁性粉分散粒子で構成されるものである。
【0032】
(高分子化合物)
前記高分子化合物としては、例えばスチレン、クロロスチレン等のスチレン類;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;などの単独重合体又は共重合体を例示することができる。
【0033】
上記の中で好適な重合体としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィン、ワックス類を挙げることができる。
【0034】
本実施形態において、特に好適に用いられる構成する高分子化合物は、(メタ)アクリレートモノマー及びスチレン系モノマーのうちの少なくとも1つを重合した重合体である。以下、この重合体について詳細に説明する。
なお、ここで上記(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを表す表現であり、また、「(メタ)アクリレート」とは、常用されるように「(メタ)アクリル酸エステル」を意味し、スチレン系モノマーとは、スチレン及びスチレン誘導体を意味する。以下においてもこれに準ずる。
【0035】
(メタ)アクリレートモノマーにおいては、(メタ)アクリル酸エステルのアルコール残基のアルキル基が、炭素数1乃至18の置換・無置換のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられ、その他にベンジル基、ヒドロキシエチル基、水酸基をジヒドロピラン等の疎水性保護基で保護したヒドロキシエチル基、ポリオキシエチレン基等であってもよい。重合体粒子の水への分散性を考慮すると、前記高分子化合物としてはヒドロキシエチルメタアクリレートを含む重合体を用いたり、前記(メタ)アクリレートの重合体にさらに(ポリ)エチレングリコールで修飾させたりすることが望ましい。
【0036】
前記スチレン系モノマーとしては、炭素数6乃至12の置換・無置換のアリール基を有するビニル基含有モノマーが望ましく、該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、p−n−オクチルオキシフェニル基等が挙げられるが、フェニルが望ましい。
【0037】
なお、前記(メタ)アクリレートモノマーのアルキル基、スチレン系モノマーのアリール基における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基等が挙げられる。
前記アルキル基としては、前述のアルキル基で例示したものに準じて挙げることができる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、これらの中ではメトキシ基、エトキシ基が好ましい。また、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子が好ましい。前記アリール基としては、前述のアリール基で例示したものに準じて挙げることができる。
【0038】
モノマーとして(メタ)アクリレートモノマー及びスチレン系モノマーの双方を用いる場合には、混合物中の(メタ)アクリレートとスチレン系モノマーとの含有量の比は、モル比((メタ)アクリレートモノマー/スチレン系モノマー)で95/10乃至5/95が望ましく、90/10乃至10/90がさらに好適である。
また、本実施形態の磁性重合体粒子には、前記単量体の重合体成分の他に、他の単量体をさらに共重合させてもよい。
【0039】
本実施形態における高分子化合物は、必要に応じてカルボキシル基を有する単量体をさらに共重合させたものであってもかまわない。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロイルオキシエチルモノフタレート、メタクリロイルオキシエチルモノフタレート、アクリロイルオキシプロピルモノフタレート、メタクリロイルオキシプロピルモノフタレート、アクリロイルオキシブチルモノフタレート、メタクリロイルオキシブチルモノフタレート、アクリロイルオキシエチルモノサクシネート、メタクリロイルオキシエチルモノサクシネート、アクリロイルオキシプロピルモノサクシネート、メタクリロイルオキシプロピルモノサクシネートが挙げられる。また、モノマー混合物中のカルボキシル基を有するモノマーの含有量は、加熱定着を前提とした場合には、(メタ)アクリレートモノマー及び/またはスチレン系モノマー合計量100質量部に対して0.05質量部以上20質量部以下が望ましく、0.5質量部以上10質量部以下がより好適である。非加熱定着を前提とした場合には、20質量部以上含有させることが好ましい。
さらに、本実施形態における高分子化合物は、必要に応じて架橋性を有する単量体(架橋剤)をさらに共重合させたものであってもかまわない。具体的には、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(メタ)アクリレート等の架橋ポリマーであり、重合の際に架橋構造とするか、重合によるポリマー粒子化した後に架橋させてもよい。
また、モノマー混合物中の架橋剤の含有量は、(メタ)アクリレートモノマー及び/またはスチレン系モノマー合計量100質量部に対して0.05質量部以上20質量部以下が望ましく、0.5質量部以上10質量部以下がより好適である。
【0040】
また、本実施形態における高分子化合物が非架橋重合体を含む場合、該非架橋重合体の分子量(数平均分子量)は、5000以上1000000以下が望ましく、10000以上500000以下がより好適である。
なお、上記数平均分子量は、前記THFを用いて溶解分として分離した成分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて測定される。
【0041】
(磁性粉)
本実施の形態において使用される磁性粉としては、例えば、純鉄やカルボニル鉄などの鉄材料、マグネタイト、四酸化三鉄(Fe34)、γ酸化鉄(Fe23)、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Li系フェライト、Cu−Zn系フェライトの如き鉄系酸化物を挙げることができる。これらの中では、特にシアンもしくは青用の磁性粒子に適するという点で、カルボニル鉄、純鉄を用いることが望ましい。なお、前記鉄を構成成分とする鉄粉の製造方法としては、下記の5種類が挙げられる。
(1)ミルスケール還元鉄粉法:鋼材の圧延の際に発生するミルスケールをコークスで還元
(2)鉱石還元鉄粉法:鉄鉱石を原料とし、同上処理
(3)噴霧鉄粉法:溶融鉄を細孔より流出させ、高圧水や高圧ガスで粉末化
(4)電解鉄粉法:鉄を含む硫酸鉄、塩化鉄などの水溶液から鉄を電解析出
(5)カルボニル鉄粉法:カルボニル鉄Fe(CO)に水蒸気を加え熱分解し粉末化
これらのうち、前記カルボニル鉄粉は(5)の方法により得られた鉄粉をいう。
また、他の金属酸化物として、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Ba、Pb等の金属を単独あるいは複数用いた非磁性の金属酸化物および上記磁性を示す金属酸化物を使用できる。例えば非磁性の金属酸化物として、Al、SiO、CaO、TiO、V、CrO、MnO、Fe、CoO、NiO、CuO、ZnO、SrO、Y、ZrO系等を使用することができる。これらの中では、黄、緑、マゼンタもしくは赤用の磁性カラー粒子に適するという点でイットリウム・鉄・ガーネット(YFe12、YIG)を用いることが望ましい。
【0042】
磁性粉の平均一次粒子径は、0.02μm以上2.0μm以下の範囲であることが好ましい。磁性粉の平均一次粒子径が上記範囲内であると、磁性粉が磁性重合体粒子中において凝集することが抑制され、この磁性重合体粒子中における分散性が良好となる。
【0043】
本実施の形態の磁性重合体粒子中における磁性粉の含有率は、求める磁力によって決定されるのであるが、本実施形態においては、磁性重合体粒子構成成分の総量に対して2.5質量%以上50質量%以下の範囲とすることが望ましく、3.5質量%以上30質量%以下の範囲とすることがより好適である。含有量を上記範囲とすることにより、十分な磁力が得られ、また重合体粒子として水性媒体に対する分散安定性が高まる。
【0044】
なお、前記高分子化合物中での磁性粉の分散性向上や長期保存における磁性粉の劣化を抑制するために、磁性粉の表面を疎水化してもよい。疎水化処理にはカップリング剤を用いることが好ましい。該カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。より好適に用いられるのはシランカップリング剤であり、例えば下記一般式(1)で示される構造のシラン化合物が用いられる。
一般式(1): RSiY
(上記式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を示し、Yはアルキル基、ビニル基、グリシドキシ基、メタクリル基の如き炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
【0045】
具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ヒドロキシプロピリトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0046】
これらの中では、C2p+1−Si−(OC2q+1(式中、pは2〜20の整数を表し、qは1〜3の整数を表す。)で示されるアルキルトリアルコキシシランカップリング剤、C−C2r−Si−(OC2s+1(式中、rは2〜20の整数を示し、sは1〜3の整数を示す。)で示されるアラルキルトリアルコキシシランカップリング剤を使用して磁性粉を疎水化処理するのが好ましい。なお、ここで使用される“アラルキル” は、芳香族構造および脂肪族構造の両方を有する炭化水素基を意味する。即ち、アルキル基の水素原子の代わりに置換または未置換のアリール基が置換されている。そのアラルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、α−メシチル基等が挙げられる。
【0047】
また本実施形態では、前記シランカップリング剤として、特に下記構造式(1)で示される重合性基含有シランカップリング剤を用いることが望ましい。
【0048】
【化1】



【0049】
なお、上記構造式(1)中、nは1乃至18の整数を、Rは水素またはメチル基を、X,Y及びZはハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基のうちのいずれかを各々表す。また、前記ハロゲン原子としては塩素、アルキル基としてはメチル基、エチル基、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が望ましい。
構造式(1)に示すシランカップリング剤を用いることにより、処理後の磁性粉表面にビニル基が存在するため、後述する樹脂層形成の際に該樹脂層形成のための単量体と重合反応的に反応するため、樹脂層形成とともに層が磁性粉表面と化学的に結合することとなる。
【0050】
磁性粉の疎水化処理は、例えばシランカップリング剤を用いる場合は、磁性粉体を撹拌によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理、又は、磁性粉体を溶媒中に分散させシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法、あるいは、磁性粉体を溶媒中に分散させシランカップリング剤を混合した後ロータリーエバポレータのごとき蒸留装置で溶媒を蒸発させ、シランカップリング剤が付着した磁性粉体を熱処理する方法等の一般に知られた方法で処理すればよい。また、前記の疎水化処理も併用可能である。
【0051】
前記疎水化処理での磁性粉に対するカップリング剤の処理量は、磁性粉100質量部に対して、0.05質量部以上20質量部以下の範囲が望ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲とするのがより好適である。
【0052】
(その他の成分)
本実施形態の磁性重合体粒子には、更にポリマーの着色を目的とした染料、有機顔料、カーボンブラック等の着色剤、酸化チタンなどを含有させてもよい。その場合には磁性粉の分散された前記単量体等の混合物に各添加剤を直接混合してもよいし、磁性粉および前記単量体等の混合物にあらかじめ混合し、磁性粉の分散処理と前記各添加剤の分散処理とを同時に行うようにしてもよい。
【0053】
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジゴ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料などを挙げることができる。これらの着色剤は1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0054】
本実施形態の磁性重合体粒子において、前記着色剤の含有量としては、磁性重合体粒子に含まれる高分子化合物100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された色材を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記色材の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー等が得られる。
【0055】
本実施形態の磁性重合体粒子には、更にその他の樹脂成分を含有させてもよい。
前記樹脂成分としては、例えば塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系単量体とのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でも、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂が好ましく、スチレンと(メタ)アクリル酸n−ブチルとの共重合体、(メタ)アクリル酸n−ブチル、ビスフェノールA・フマル酸共重合体、スチレンとオレフィンとの共重合体が特に好ましい。
【0056】
本実施形態の磁性重合体粒子には、更に目的に応じて、無機粒体、滑剤、研磨材などの成分を含有させてもよい。
また、本実施形態においては、磁性重合体粒子の内部には離型剤を含有させない方が望ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記磁性重合体粒子の外部に存在する離型剤粒子の他に、磁性重合体粒子の内部に離型剤を含有させてもよい。磁性重合体粒子内部における離型剤の含有量としては、磁性重合体粒子全体の質量に対し、10質量%以下が好ましい。
【0057】
(磁性重合体粒子の製造方法)
上記磁性重合体粒子を得るには、公知の方法が利用され、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、シード重合法等が好適に用いられる。さらに、膜乳化法として知られる乳化方法を使って懸濁重合してもよい。
【0058】
具体的に、例えば前記懸濁重合法により磁性重合体粒子を作製する場合には、まず前記高分子化合物を構成する所望量のモノマー、磁性成分としての上記磁性粉に、さらに架橋剤、重合開始剤等を加えた混合物を調製する。
架橋剤としては、公知の架橋剤を選択して用いることができ、好適なものとしては、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル等が挙げられる。これらの中でも、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより望ましく、更には、ジビニルベンゼンが特に好適である。また、重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤等が好適なものとして挙げられるが、中でも油溶性開始剤が望ましい。
【0059】
また、前記混合物には、更にポリマーの着色を目的とした前記着色剤など、さらには磁性成分としての他の磁性粉等を含有させてもよい。
上記他の磁性粉としては、磁性を示すMO・FeまたはM・Fe(Mは2価あるいは1価の金属イオン)の一般式で表されるマグネタイト、フェライト等が好適に用いられる。
【0060】
以上の各単量体等を含む混合物の作製方法としては、例えば、まず前記モノマー、重合開始剤及びその他の必要な成分とを混合して単量体等の混合液を作製する。混合の方法は特に制限されない。
次いで、これに磁性粉を分散させる。上記混合液への磁性粉の分散には公知の方法が適用できる。すなわち、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の分散機が使用される。なお、あらかじめ単量体成分を別途重合し、得られた重合体に磁性成分を分散させる場合には、ロールミル、ニーダー、バンバリーミキサー、エクストルーダー等の混練機が使用される。
【0061】
なお、混合物の作製方法としては、上記に限られず、例えば前記混合液作製の際に磁性成粉を混合したものを用いて、この段階で磁性粉を含有させてもよいし、前記単量体、磁性粉等を一度に混合して混合物としてもよい。
【0062】
次に、前記モノマー等を含む混合物の水性媒体への懸濁を行う。懸濁は、例えば以下のようにして行うことができる。
すなわち、無機塩類などの塩を溶解し且つ分散安定剤を存在させた水性媒体中に、前記混合物を投入し、懸濁させる。懸濁の方法としては、公知の懸濁方法が利用できる。例えば、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ水性媒体中に単量体等を懸濁させる方法、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で懸濁する方法、超音波によって懸濁する方法等の機械的な懸濁方法が挙げられる。
【0063】
前記分散安定剤としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の無機分散安定剤、硫酸エステルスルホン酸塩系、燐酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤;以外に、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、アルキルアルコールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤、及び種々のグラフトポリマー等を挙げることができるが、特に制限されるものではない。
【0064】
次いで、前記懸濁させた単量体及び磁性粉等を含む粒子を懸濁重合させることにより磁性重合体粒子を得る。重合反応は、大気下だけでなく、加圧下においても行うことができるが、これらその他の反応条件は、必要に応じて適用されるもので、特に限定されるものではない。
【0065】
反応条件としては、例えば、大気圧下で、前記懸濁粒子が分散した懸濁液を攪拌しながら、40℃乃至100℃の反応温度で1時間乃至24時間反応させることが、80%程度以上の収率で重合体粒子を得る等の観点から好適である。
【0066】
また、乳化重合法で磁性重合体粒子を作製する場合は、少量の不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸等により保護コロイド層が形成され、ソープフリー重合が可能になるので特に好ましい。
【0067】
なお、本実施形態で使用する重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物系開始剤等が好適なものとして挙げられるが、中でも水溶性開始剤が望ましい。
水溶性アゾ開始剤としては、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等が挙げられる。
水溶性過酸化物系開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などが挙げられる。
【0068】
上記重合開始剤の添加量は特に制限されないが、全単量体成分100質量部に対して0.05質量部以上10質量部以下の範囲であることが望ましく、0.1質量部以上5質量部以下であることがより好適である。
【0069】
(磁性重合体粒子の特性)
上記のようにして得られた磁性重合体粒子は、個数平均粒子径が1.0μm以上20.0μm以下であることが望ましく、1.5μm以上8.0μm以下であることがより望ましく、2.0μm以上5.0μm以下であることがさらに望ましい。
本実施形態においては、上記の通り、離型剤粒子が、磁性重合体粒子の外部であり、かつ、水性媒体の内部に存在するため、磁性重合体粒子の再分散性が良好である。よって、上記離型剤粒子が存在しない場合に比べて、個数平均粒子径の小さい磁性重合体粒子の取り扱いが容易である。そして、個数平均粒子径が上記範囲のように小さい磁性重合体粒子を用いることにより、高精細な画像が形成される。
【0070】
なお、本実施の形態において、「個数平均粒子径」は、乾燥粒子を光学顕微鏡または電子顕微鏡にて写真撮影し、その中から無作為に選んだ100個から200個の粒子の粒子径を各々測定し、それらの合計を個数で除した値である。
【0071】
本実施形態においては、前記高分子化合物が、水酸基、カルボキシル基及びそのアルキルエステル基から選択される少なくとも1種を有することが望ましい。これにより、磁性重合体粒子の水分散性が大幅に改善される。高分子化合物が前記官能基を有するためには、前記高分子化合物を構成するモノマーを選択することにより行う。
なお、上記各官能基の存在は、磁性重合体粒子について赤外吸収スペクトルを測定することにより確認してもよいが、磁性成分等の影響を受けるため、下記の方法により行うことが望ましい。
【0072】
すなわち、前記磁性重合体粒子における水酸基、カルボキシル基は、磁性成分によって異なるので、高分子化合物の水酸基等は、磁性成分を除いた重合体成分の水酸基量、カルボキシ基量として求めることにより確認することが望ましい。
この場合、前記高分子化合物が水酸基のみを有するときは、水酸基量は0.1mmol/g以上5.0mmol/g以下であることが望ましい。水酸基量がこの範囲あれば、重合体粒子が膨潤することなく良好な水性媒体への分散性が得られる。
水酸基量は、0.2mmol/g以上4.0mmol/g以下であることが望ましく、0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下であることがより好適である。
【0073】
一方、高分子化合物がカルボキシル基を有する場合には、カルボキシル基量が0.005mmol/g以上0.5mmol/g以下であることが望ましい。カルボキシル基量が前記範囲にあると、水酸基に比べて少ない官能基数であっても良好な水性媒体への分散性、膨潤抑制効果が得られ、他の官能基が存在する場合の変動に対してもこれらの特性が維持される。
カルボキシル基量は、0.008mmol/g以上0.3mmol/g以下がより望ましく、0.01mmol/g以上0.1mmol/g以下であることがさらに好適である。なおこの場合、水酸基も有するときは、水酸基量は、0.2mmol/g以上4.0mmol/g以下であることがより望ましく、0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下であることがさらに好適である。
【0074】
上記水酸基量、カルボキシル基量は、前述の方法に準じて測定される。この場合、例えば、上記高分子化合物に無水酢酸のピリジン溶液等の試薬を加え、加熱して、水を加えて加水分解し、遠心分離機により粒子と上澄みとに分け、該上澄みをフェノールフタレイン等の指示薬を用いて、エタノール性水酸化カリウム溶液等で滴定することにより、その水酸基量を求める。一方、カルボキシル基量の場合は、例えば、上記高分子化合物に水酸化カリウムのエタノール溶液等の試薬を加えて中和反応を行い、遠心分離機により粒子と上澄みとに分け、過剰の水酸化カリウムが含まれる該上澄みを自動滴定装置を用いて、イソプロパノール塩酸溶液等で滴定することにより、そのカルボキシル基量を求める。
【0075】
また、カルボキシル基が塩構造(−COO:ここでYはアルカリ金属イオンやアルカリ土類金属イオン、もしくはアンモニウムなどの有機カチオンを示す)を形成している場合は、塩酸等の酸で塩をカルボン酸に変換した後、上述の滴定を行いカルボキシル基量を求める。
すなわち、本実施形態におけるカルボキシル基量とは、カルボキシル基が塩構造を形成している場合には、該塩構造に寄与しているカルボキシル基を含めたカルボキシル基量をいう。
【0076】
―水性媒体―
水性媒体としては、水、又は水にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を加えたものが好適に用いられる。この中でも水単独が特に好ましい。水溶性有機溶媒を添加する場合の添加量は、分散させる磁性重合体粒子の性状にもよるが、水性媒体全体に対し30質量%以下が望ましく、10質量%以下がより好適である。
【0077】
液体現像剤の製造に当たっては、通常の水系の粒子分散体に使用することのできる各種副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤等を併用してもよい。
【0078】
上記界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等、いずれの公知の界面活性剤も使用可能である。また、ポリシロキサンオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロアルキルエーテル等のフッ素系界面活性剤;スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント;等も挙げられる。
水性媒体中における界面活性剤の含有量としては、本発明の効果を損なわず、画像形成において定着不良や泡立ち等が発生しない範囲であることが望ましい。具体的には、例えば、0.01質量%以上10質量%以下が望ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下がより望ましい。
【0079】
前記分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部とを有する重合体であれば有効に用いられる。例えば、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられ、これら共重合体は、ランダム、ブロックおよびグラフト共重合体等いずれの構造でもあってもよい。
水性媒体中における分散剤の含有量としては、上記界面活性剤の場合と同様に、本発明の効果を損なわず、画像形成において定着不良や泡立ち等が発生しない範囲であることが望ましい。具体的には、例えば、0.1質量%以上10質量%以下が望ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下がより望ましい。
【0080】
また、本実施形態において、蒸発性制御や界面特性制御の目的で、水溶性有機溶媒の使用が可能である。水溶性有機溶媒としては、水に添加したときに2相に分離しない有機溶剤であって、例えば一価もしくは多価のアルコール類、含窒素溶媒、含硫黄溶媒、その他その誘導体等が挙げられる。
さらに、水性媒体に導電率、pHの調整等を目的として、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等の添加が可能である。
【0081】
また、その他に、必要に応じて、防カビ、防腐、防錆等を目的として安息香酸、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸等を添加してもよい。また、酸化防止剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、キレート化剤等も添加してもよい。
【0082】
―液体現像剤の特性―
本実施形態において、液体現像剤における磁性重合体粒子の分散粒子径は、体積平均粒子径で1.0μm以上20μm以下とすることが望ましく、1.5μm以上8.0μm以下の範囲とすることがより望ましく、2.0μm以上5.0μm以下の範囲とすることがさらに望ましい。
【0083】
なお、上記磁性重合体粒子及び離型剤粒子の分散平均粒子径は、コールターカウンター マルチサイザー3(ベックマン−コールター社製)または、ナノトラック粒度分布測定装置UPA-EX150(日機装社製)により求めた体積平均粒径である。
【0084】
また本実施形態において、液体現像剤における離型剤粒子の分散粒子径は、体積平均粒子径で0.1μm以上1.0μm以下とすることが望ましく、0.15μm以上0.9μm以下の範囲とすることがより望ましく、0.2μm以上0.8μm以下の範囲とすることがより望ましい。
【0085】
液体現像剤に混合する磁性重合体粒子の量は、現像性を向上させるという理由から水性媒体100質量部に対して1.0質量部以上50質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上30質量部以下であることが更に好ましい。
【0086】
液体現像剤に混合する離型剤粒子の量は、耐オフセット性を向上させるという理由から水性媒体100質量部に対して1.0質量部以上30質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以上20質量部以下であることが更に好ましい。
【0087】
なお、本実施の形態において、液体現像剤に混合する磁性重合体粒子と離型剤粒子との比率は、質量比で50:1.0以上1.0:30以下の範囲内であることが好ましく、30:2.0以上3.0:20以下の範囲内であることが更に好ましい。液体現像剤に混合する磁性重合体粒子と離型剤との比率が上記範囲内であると、現像剤の再分散性を向上させるという利点がある。
【0088】
―液体現像剤の製造方法―
前記液体現像剤の製造は、以下の手順により行われるが、これに限られるものではない。
例えば、まず、主溶媒の水と各添加剤とを含む分散媒をマグネチックスターラー等を用いて調製し、これに上記離型剤粒子を分散させた離型剤粒子分散液を調整する。そして、この離型剤粒子分散液と、主溶媒である水と、上記磁性重合体粒子と、その他の添加剤と、を分散した分散液を調整する。
これらの分散には公知の方法が適用される。すなわち、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の分散機が使用できる。また、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を高速で回転させ分散させる方法、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散する方法、超音波によって分散する方法等が挙げられる。
【0089】
なお、上記では、離型剤粒子を予め主溶媒である水に分散させた後に、さらに磁性重合体粒子、その他の添加剤、及び水などと混合分散する形態を説明したが、離型剤粒子、磁性重合体粒子、その他の添加剤、及び主溶媒である水を混合する分散した分散液として調整してもよい。
【0090】
そして、液中で磁性重合体粒子同士が単独の分散状態になったことを分取した分散液の顕微鏡観察等により確認し、その後、防腐剤等の添加物を加えて溶解していることを確認した後、得られた分散液を、例えば孔径100μmの膜フィルターを用いて濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去することにより画像形成用記録液としての液体現像剤が得られる。
【0091】
本実施形態における液体現像剤の粘度は、用いる画像形成システムにもよるが、1mPa・s以上500mPa・s以下が好ましい。液体現像剤の粘度が1mPa・s以上500mPa・s以下の範囲内であると、十分な画像の濃度が得られるとともに、容易なハンドリング性、及びお現像性低下の抑制が図れる。
【0092】
<カートリッジ、画像形成装置>
次に、本実施形態の離型剤粒子及び磁性重合体粒子を含む液体現像剤が用いられるプロセスについて説明する。
本実施形態の液体現像剤が適用される画像形成プロセスは、いわゆる電子写真プロセスや、誘電体上にイオンなどで静電潜像を形成するプロセス(イオノグラフィ)、帯電した誘電体にサーマルヘッドの熱により画像情報に応じて静電潜像を形成するプロセスなど、静電潜像を利用するものではなく、像保持体上に磁気潜像を形成してトナー像を形成するプロセス(液体マグネトグラフィ)であり、その構成は、現像剤として、本実施形態の離型剤粒子及び磁性重合体粒子を含む液体現像剤を用いる以外特に制限されない。
下記において、前述の本実施形態における液体現像剤を用いた磁気現像プロセスによる画像形成装置を簡単に説明する。
【0093】
図1は、前記液体マグネトグラフィ方式を採用した本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
画像形成装置100は、磁気ドラム(磁気潜像保持体)10、磁気ヘッド(磁気潜像形成手段)12、現像装置(現像剤貯留手段及び現像剤供給手段)14、中間転写体(転写手段)16、クリーニングブレード18、消磁装置(消磁手段)20、転写定着ローラ(転写手段)28を含んで構成される。磁気ドラム10は円柱形状を有し、該磁気ドラム10の外周に磁気ヘッド12、現像装置14、中間転写体16、クリーニングブレード18及び消磁装置20が順次に設けられている。
以下、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
【0094】
まず、磁気ヘッド12が、例えば図示しない情報機器と接続され、該情報機器から送られた2値化された画像データを受ける。磁気ヘッド12は、磁気ドラム10の側面上を走査しながら磁力線を放出することによって、磁気ドラム10に磁気潜像22を形成する。なお、図1では磁気潜像22は磁気ドラム10における斜線を付した部分で示される。
【0095】
現像装置14は、現像ローラ(現像剤供給手段)14aと現像剤貯蔵容器(現像剤貯留手段)14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤貯蔵容器14bに貯蔵される液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられる。
なお、現像ローラ(現像剤供給手段)14aと現像剤貯蔵容器(現像剤貯留手段)14bとを備えた現像装置14は、本実施形態のカートリッジの一例である。
【0096】
液体現像剤24として、上述した本実施形態の、離型剤粒子、磁性重合体粒子(以下、トナー粒子と称する場合がある)、及び水性媒体を含む液体現像剤を用いる。離型剤粒子、トナー粒子、及び水性媒体の詳細については、前述の通りである。
液体現像剤24中では、トナー粒子及び離型剤粒子は均一に分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤貯蔵容器14b内に設けられる撹拌部材によって所定の回転速度で撹拌し続けることで、液体現像剤24中のトナー粒子及び離型剤粒子の濃度の位置ばらつきは低減される。これにより図の矢印A方向に回転する現像ローラ14aには、トナー粒子及び離型剤粒子の分散された液体現像剤24が供給される。
【0097】
なお、本実施形態においては、液体現像剤24として上記実施形態の液体現像剤を用いているため、液体現像剤24中におけるトナー粒子及び離型剤粒子の再分散性が良好である。よって、現像剤貯蔵容器14b内における液体現像剤24の攪拌を一旦停止し、トナー粒子等が沈殿した後に、液体現像剤24の攪拌を再開したとしても、トナー粒子及び離型剤粒子が再分散するため、上記濃度の位置ばらつきは低減される。
【0098】
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、後述する規制部材によって一定の供給量に制限された状態で磁気ドラム10に搬送され、現像ローラ14aと磁気ドラム10とが近接(あるいは接触)する位置で磁気潜像22に供給される。これによって磁気潜像22は顕像化されてトナー像26となる。
【0099】
上記現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する磁気ドラム10に搬送され用紙(記録媒体)30に転写されるが、この画像形成装置では、用紙30に転写する前に、磁気ドラム10からのトナー像の剥離効率を含めた記録媒体への転写効率を向上させ、さらに記録媒体への転写と同時に定着を行うため、一旦中間転写体16にトナー像を転写する。
中間転写体16への転写は、トナー粒子が電荷をほとんど有していないため、シアリング転写(非電界転写)により行うことが好適である。具体的には、矢印B方向に回転する磁気ドラム10と矢印C方向に回転する中間転写体16とを一定のニップ(移動方向の接触幅を有する接触面)を持って接触させ、トナー像26に対して磁気ドラム10との磁気力以上の吸着力により中間転写体上にトナー像26を移行させる。このとき、磁気ドラム10及び中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
【0100】
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写定着ローラ28との接触位置において用紙30に転写され、同時に定着される。
転写定着ローラ28は、中間転写体16との間に用紙30を挟みつつ搬送することで、中間転写体16上のトナー像を用紙30に密着させる。一方、図示しない加熱部材によって、転写定着ローラ28が加熱され、用紙30及びトナー像が加熱される。これによって用紙30にトナー像が転写されると同時に、用紙30上にトナー像が定着されて定着像29となる。この場合、トナー像の加熱温度は80℃以上180℃以下が望ましく、転写定着ローラ28による中間転写体16への押圧力は0.05MPa以上10MPa以下とすることが望ましい。
なお、本実施形態とは異なり、別途定着装置を設けてもよいが、その場合にも、例えば定着ローラ間の押圧力及び加熱温度は上記と同程度とすることが望ましい。
【0101】
なお、本実施形態においては、液体現像剤24として上記実施形態の液体現像剤を用いているため、液体現像剤24の耐オフセット性が良好である。よって、定着時に加熱を行っても、オフセット現象が抑制される。
【0102】
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した磁気ドラム10では、転写残トナーがクリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。クリーニング後、磁気潜像22を保持したまま磁気ドラム10は消磁位置まで回転移動する。
消磁装置20は、磁気ドラム10に形成された磁気潜像22を消去する。前記クリーナ18と消磁装置20とによって磁気ドラム10は画像形成前の磁性層の帯磁状態にばらつきがない状態に戻される。以上の動作を繰返すことによって、前記情報機器から次々に送られてくる画像を連続的に短時間で形成する。なお、上記画像形成装置100に備えられる磁気ヘッド12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、クリーナ18及び消磁装置20は、すべて磁気ドラム10の回転速度と同期をとって動作されている。
【0103】
上記画像形成装置においては、磁気潜像保持体として、撥水性を有する磁気ドラム10を用いことが望ましい。ここで撥水性とは水をはじく性質のことを意味し、具体的には純水との接触角が70度以上であることをいう。
なお、上記磁気ドラム10表面の接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製:CA−X)を用い、25℃、50%RHの環境下で、純水を磁気ドラムの表面に3.1μl滴下し、15秒後の接触角を求めたものである。
【実施例】
【0104】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中に示した「部」及び「%」は、特に断りのない限りそれぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0105】
<磁性粉の調整>
(磁性粉1)
酢酸でpHを4.5乃至5.5に調整したエタノール95%水溶液100部に、シランカップリング剤(フェネチルトリメトキシシラン)2部を添加しよく撹拌する。これに、酸化鉄表面を有する鉄粉(JFE社製、超微粒鉄粉、平均一次粒径:0.5μm)100部を加え、超音波分散機(印加条件:10kHz、200W)にて5分間分散し、30分間静止後、濾過して溶剤を除去し、乾燥し、磁性粉1を調整した。
【0106】
(磁性粉2)
上記磁性粉1の調整において、鉄粉に変えて、YIG粉(高純度化学社製、平均一次粒径:0.6μm)を用いた以外は、磁性粉1と同じ方法を用いて磁性粉2を調整した。
【0107】
(磁性粉3)
上記磁性粉1の調整において、鉄粉に変えて、マグネタイト粉(戸田工業社製、平均一次粒径:0.2μm)を用いた以外は、磁性粉1と同じ方法を用いて磁性粉3を調整した。
【0108】
<磁性重合体粒子の調整>
(磁性重合体粒子1)
n−ブチルメタクリレート(和光純薬(株)製)36部、スチレン単量体(和光純薬(株)製)38部及びスチレン−アクリル樹脂(エスレックP−SE−0020、積水化学(株)製)11部を混合した後、これに、上記調整した磁性粉1を、5部及び青顔料ピグメントブルー15:3を10部加え、ボールミルで24時間分散した。この磁性成分を含む混合液90部に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬(株)製)5部を加えて、単量体及び磁性粉を含む混合物を調整した。
【0109】
一方、塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)28部をイオン交換水160部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)30部と、カルボキシメチルセルロース(第一工業製薬(株)製、セロゲン)3.5部とを加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。
この分散媒体200部に前記混合物を投入して、乳化装置(IKA社製、ウルトラタラックスT−25)にて24000rpmで3分間乳化し、懸濁液を得た。
【0110】
撹伴機、温度計、冷却管及び窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに、窒素導入管より窒素を導入し、フラスコ内を窒素雰囲気にした。ここに上記懸濁液を入れ、65℃で3時間反応させ、更に70℃で10時間加熱し、その後冷却した。反応液は良好な分散液となっており、目視では重合中に凝集塊は確認できなかった。
反応液に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。得られた粒子を1Lのイオン交換水で3回繰り返して洗浄を行った後、磁力の異なるマグネチックセパレータで磁性粉の入っていない粒子と、磁性粉の入りすぎている粒子を除去した。得られた粒子を40℃で真空乾燥した後、風力分級機(エルボージェット)で粗粉と微粉とをカットし、個数平均粒子径が5.0μmの磁性重合体粒子1を得た。VSM磁化特性測定機にて粒子の磁力を測定し、磁性粉の含有量を算出したところ、4.5質量%であった。
【0111】
(磁性重合体粒子2)
スチレンアクリル樹脂(エスレックP−SE−0020、積水化学(株)製)86部に、上記調整した磁性粉2を6部及び黄色顔料C.I.ピグメントイエロー185(BASF社製)8.0部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕した後ジェットミル粉砕した。これを、一旦イオン交換水に分散し、磁力の異なるマグネチックセパレータで磁性粉の入っていない粒子と、磁性粉の入りすぎている粒子を除去した。得られた磁性重合体粒子を、磁性重合体粒子1の調整と同様にして乾燥後、風力分級機(エルボージェット)で粗粉と微粉をカットして、個数平均粒子径が5.0μmの磁性重合体粒子2を得た。VSM磁化特性測定機で粒子の磁力を測定し、磁性粉の含有量を算出したところ、6質量%であった。
【0112】
(磁性重合体粒子3)
上記磁性重合体粒子2の調整において、磁性粉2に変えて、磁性粉3を8部、黄色顔料に代えてカーボンブラック(キャボット社製)を6部用いた以外は、磁性重合体粒子2と同じ方法を用いて磁性重合体粒子3を調整した。
個数平均粒子径は5.0μm、磁性粉の含有量は8質量%であった。
【0113】
(磁性重合体粒子4)
上記磁性重合体粒子3の調整において、磁性重合体粒子2と同じ方法を用い風力分級機(エルボージェット)のカットポイントを変更して、磁性重合体粒子4を調整した。
個数平均粒子径は3μm、磁性粉の含有量は7質量%であった。
【0114】
(磁性重合体粒子5)
上記磁性重合体粒子2の調整において、スチレンアクリル樹脂80部に減らし、離型剤(日油(株)製ワックス:WEP−02)を6部加えた以外は、磁性重合体粒子2と同じ方法を用いて磁性重合体粒子5を調整した。
個数平均粒子径は5.0μm、磁性粉の含有量は6質量%、離型剤の含有量は6質量%であった。
【0115】
<離型剤粒子分散液の調整>
(離型剤粒子分散液1)
・エステルワックス(日油(株)製:WEP−02、融点60℃、重量平均分子量:500):50g
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):0.5g
・イオン交換水:200g
以上の成分を混合後、95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が230nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液1(離型剤濃度:20質量%)を調製した。
なお、上記平均粒径の制御は、上記ホモジナイザーの処理圧力(20MPaから60MPa)及びパス回数(2回から10回)を調整することにより行った。以下同様である。
【0116】
(離型剤粒子分散液2)
上記離型剤粒子分散液1の調整において、エステルワックスに変えて、ポリエチレンワックス(三井化学社製:ハイワックス100P、融点116℃、重量平均分子量:900)を用いた以外は、離型剤粒子分散液1と同じ方法を用いて離型剤粒子分散液2を調整した。
離型剤粒子の個数平均粒子径は300nm、離型剤濃度は20質量%であった。
【0117】
(離型剤粒子分散液3)
上記離型剤粒子分散液1の調整において、エステルワックスに変えて、液体離型剤であるアイソパーL(エクソン社製、融点−57℃、蒸留範囲188〜210℃、重量平均分子量:171)を用いた以外は、離型剤粒子分散液1と同じ方法を用いて離型剤粒子分散液3を調整した。
離型剤粒子の個数平均粒子径は250nm、離型剤濃度は20質量%であった。
【0118】
(離型剤粒子分散液4)
上記離型剤粒子分散液1の調整において、アニオン性界面活性剤に加えてノニオン界面活性剤(花王(株):エマルゲン350):0.5gを添加するとともに、ホモジナイザーの条件を変えた以外は、離型剤粒子分散液1と同じ方法を用いて離型剤粒子分散液4を調整した。
離型剤粒子の個数平均粒子径は90nm、離型剤濃度は20質量%であった。
【0119】
(離型剤粒子分散液5)
上記離型剤粒子分散液1の調整において、ホモジナイザーの条件を変えた以外は、離型剤粒子分散液1と同じ方法を用いて離型剤粒子分散液5を調整した。
離型剤粒子の個数平均粒子径は120nm、離型剤濃度は20質量%であった。
【0120】
(離型剤粒子分散液6)
上記離型剤粒子分散液1の調整において、ホモジナイザーの条件を変えた以外は、離型剤粒子分散液1と同じ方法を用いて離型剤粒子分散液6を調整した。
離型剤粒子の個数平均粒子径は900nm、離型剤濃度は20質量%であった。
【0121】
(離型剤粒子分散液7)
上記離型剤粒子分散液1の調整において、ホモジナイザーの条件を変えた以外は、離型剤粒子分散液1と同じ方法を用いて離型剤粒子分散液7を調整した。
離型剤粒子の個数平均粒子径は1200nm、離型剤濃度は20質量%であった。
【0122】
<実施例1>
(液体現像剤の作製)
ポリビニルアルコール(PVA、クラレ(株)製、クラレポバール217、重合度:1700、けん化度:88モル%)5部を冷却したイオン交換水95部に加え、マグネチックスターラーで攪拌しながら分散した後、さらにウォーターバスで70℃に加熱ながら3時間攪拌溶解して、PVA水溶液(5%溶液)を調製した。
【0123】
・磁性重合体粒子1 : 5.0部
・PVA水溶液 : 10.0部
・ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(和光純薬(株)製): 0.5部
・イオン交換水 : 62.0部
・離型剤粒子分散液1 : 22.5部
上記各成分を混合し、ボールミルで3時間分散して、液体現像剤1を得た。
【0124】
(粒子の分散性及び再分散性の評価)
液体現像剤1において、作製直後の液体現像剤中における粒子(磁性重合体粒子及び離型剤粒子)の分散性を目視で観測した。また、作製した液体現像剤を3時間静置した後、パドル型撹拌羽根(攪拌部材)により攪拌した直後における粒子の分散性(再分散性)を目視で観測した。分散性及び再分散性の評価基準は以下の通りであり、結果を表1に示す。
○:水性媒体中で粒子の凝集がみられず、分散が良好である。
×:水性媒体中で粒子が凝集し、分散が良好ではない。
【0125】
(実機特性の評価)
図1に示した構成で、市販の磁気プリンター(MG−8100型プリンター、岩崎通信機(株)製)の磁気ドラムを用いた画像形成装置100を用意し、現像剤として前記液体現像剤1を用いて、画像評価を行った。
なお、磁気ヘッド12としては、Mn−Znフェライトで構成される600dpi相当の画素を形成できる4チャネルのフルライン型磁気ヘッドを用意した。
【0126】
現像装置14としては、現像ローラ14aとしてアルミニウム製の非磁性スリーブ中に円筒状の永久磁石が同心円状に配置されたマグネットロールを備え、現像剤貯蔵容器14bに内部で液体現像剤を攪拌する攪拌羽とを設けた現像装置14を用いた。この現像剤貯蔵容器14bに前記液体現像剤1を投入し、非磁性スリーブ表面と磁気ドラム10表面とのギャップが50μmとなるように現像装置14を配置した。
【0127】
中間転写体16としては、表面に厚さが7.5mmのシリコーンゴム層を有し、磁気ドラム10と同一周速で回転するアルミニウム製の中間転写ドラムを用いた。また、転写定着ローラ28としては、ステンレス製の芯材の外周にシリコーンゴム層、フッ素ゴム層をこの順に被覆してなる弾性ロールを用いた。
【0128】
以上の構成の画像形成装置100により印字条件を下記のように設定した。
・磁気ドラム線速:100mm/秒。
・現像ローラ周速/磁気ドラム周速比:1.2。
・転写条件(中間転写):中間転写体の磁気ドラムへの押圧力を0.147MPa(1.5kgf/cm)に設定。
・転写定着条件:中間転写体に対する転写定着ローラの押圧力を0.245MPa(2.5kgf/cm)、表面温度を160℃に設定。
・トナー画像:ソリッド像(20mm×50mm)、細線画像(幅:50μm)
・トナー量:0.9mg/cm
・紙(被転写体):富士ゼロックス社製カラーコピー用ペーパー(J紙)
・搬送速度:紙の場合、100mm/sec
【0129】
―定着性能の評価―
定着性能の評価は、定着温度を80℃から200℃まで、10℃ずつ上昇させ、トナーの定着が可能な最低温度(最低定着温度)、および、中間転写体にトナーが転写する、いわゆるオフセット現象が発生する最低温度(オフセット 開始温度)を求めることにより行った。定着性能の試験結果を表1に示す。
【0130】
―現像性の評価―
上記ソリッド画像を現像し、紙に転写した後の画像を目視により評価した。評価基準は以下の通りであり、評価結果を表1に示す。
G1:画像にムラが無く、ハッキリした画像である。
G2:エッジに凸凹があるが、画像のムラがない。
G3:画像にムラがある。
【0131】
―画質の評価―
上記細線画像を現像し、紙に転写した後の画像を目視により評価した。評価基準は以下の通りであり、評価結果を表1に示す。
G1:シャープな画像である。
G2:部分的に滲みがある。
G3:全体的に滲みがある。
【0132】
<実施例2から実施例10>
実施例1において、磁性重合体粒子及び離型剤粒子分散液として、表1に記載のものを用いた以外は、実施例1と同様にして液体現像剤を調整し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0133】
<比較例1>
実施例1において、離型剤粒子分散液1を用いない以外は、実施例1と同様にして液体現像剤を調整し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0134】
<比較例2>
実施例1において、離型剤粒子分散液1を用いず、磁性重合体粒子1に代えて磁性重合体粒子5を用いた以外は、実施例1と同様にして液体現像剤を調整し、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0135】
<比較例3>
離型剤として、エステルワックスの代わりに、アイソパーLを用いた以外は、磁性重合体粒子5と同様の方法により、磁性重合体粒子の製造を試みた。しかし、炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行ったところ、粒子が凝集してしまった。
【0136】
【表1】

【0137】
以上のように、前記実施例では、液体現像剤が上記構成であるため、比較例に比べ、磁性重合体粒子の分散性及び再分散性が良好であり、オフセット開始温度が高く耐オフセット性が良好であることがわかる。また、上記実施例1から3、5、6、及び8から10では、その他の実施例に比べ、オフセット開始温度が高く耐オフセット性が良好であり、現像性が良好であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0139】
10 磁気ドラム(磁気潜像保持体)
12 磁気ヘッド(磁気潜像形成手段)
14 現像装置(現像剤貯留手段及び現像剤供給手段)
16 中間転写体(転写手段)
18 クリーニングブレード
20 消磁装置
22 磁気潜像
24 液体現像剤
26 トナー像
28 転写定着ローラ
29 定着像
30 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体と、
高分子化合物及び磁性粉を含み、前記水性媒体中に存在する磁性重合体粒子と、
前記水性媒体中であり、かつ、前記磁性重合体粒子の外部に存在する離型剤粒子と、
を含有する液体マグネトグラフィ用現像剤。
【請求項2】
前記離型剤粒子の個数平均粒子径が、0.1μm以上1.0μm以下である請求項1に記載の液体マグネトグラフィ用現像剤。
【請求項3】
液体現像剤を貯留する現像剤貯留手段と、
前記液体現像剤を外部に供給する現像剤供給手段と、を有し、
前記液体現像剤が、請求項1又は請求項2に記載の液体マグネトグラフィ用現像剤であるカートリッジ。
【請求項4】
磁気潜像保持体と、
前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成手段と、
液体現像剤を貯留する現像剤貯留手段と、
前記磁気潜像をトナー像として顕像化するために前記液体現像剤を前記磁気潜像が形成された前記磁気潜像保持体に供給する現像剤供給手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記液体現像剤が、請求項1又は請求項2に記載の液体マグネトグラフィ用現像剤であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−282131(P2009−282131A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132034(P2008−132034)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】