説明

液体中に微小気泡を発生させる装置

【課題】細胞培養・細胞増殖のさらなる大量高速化、「piPS細胞)技術」によるiPS細胞の実用的な大量取得(量産)に利用できる細胞培養液の実用的な製造装置の提供。
【解決手段】液体槽、渦流ポンプ、液体吸入手段、液体吐出手段などの具体的構成を工夫した。それによって、実用的なマイクロバブリングを実現する装置をなした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば主として細胞膜に刺激を与え、かかる細胞を利用する者にとって有効な変化を細胞に醸成促進させる組成物を製造する際にもちいる液体である組成物中に微小気泡を発生させる装置に関する。および、その利用対象に関するものである。
【0002】
発明者は、本発明と関連する特許文献2および特許文献3を出願している。
【0003】
以上の記述は、やや漠然としているが、「有効な変化を細胞に醸成促進」を「細胞培養の促進」「細胞増殖の促進」あるいは「iPS化の促進」に置換すれば、その意味は明確になるだろう。
【0004】
一方、いわゆる「マイクロバブル」には通常の気泡とは異なった性質がある、とされている。この「マイクロバブル」には、低濃度タイプ:直径が30μm 付近に分布のピークがあり、気泡濃度としては数百個/mL 程度。見た目は水が少し曇った状態のもの。および、高濃度タイプ:10μm 付近に気泡分布のピークがあり、気泡個数は数千個/mL 以上。見た目は牛乳のような状態のものがある。
【0005】
本発明の組成物には、この「マイクロバブル」が含有され、かかる気泡が細胞膜に刺激を与え、細胞膜での物質取り込み(エンドサイト−シス)を促進し、その結果として、(1)細胞培養に要する時間短縮、(2)通常細胞iPS化のための物質取り込みを促進し、iPS細胞(誘導多能性幹細胞)獲得歩留まり向上、その他の産業上有効な効果を得るためのものである。
【0006】
ここで、前記の「マイクロバブル」2種:低濃度タイプ(30μm)、高濃度タイプ(10μm)による経験的差異は、概して、高濃度タイプ(10μm)の与える種々の効果の方が、低濃度タイプ(30μm)のそれよりもはるかに大きいということである。
【0007】
ゆえに本発明の実施の際も同様であり、高濃度タイプ(10μm)にて実施するのがよりよい効果を与える。
【0008】
高濃度タイプ(10μm)マイクロバブルを生成する技術は、たとえば、特許文献1に記載されている。それに対し、低濃度タイプ(30μm)あるいは、さらにバブル径が大きな低級(ミリスケール)タイプの技術が特許文献4および特許文献5に記載されている。
【0009】
特許文献4および特許文献5には、本発明と同じコンセプトである「微細気泡による細胞培養」の記述が散見されるものの、バブル径が本発明のものよりはるかに大きいこと、エンドサイトーシスなどの用語で細胞膜に対する明確な現象把握をなしえていないこと、の2点から本発明の特許性を損なうものではない。
【0010】
細胞培養は、実験研究および実用的細胞量産にて無数の実施態様がある。一例を厳選して挙げるなら、あとで述べるiPS細胞研究のための皮膚細胞の培養、味噌・醤油・酒その他に多種かつ大量の実用用途がある酵母の培養が挙げられる。
【0011】
かかる細胞培養においては、いかにして細胞に、栄養分および酸素等のエネルギー獲得に要する分子を、多量、かつ、迅速に取込ませるか、が必要条件である。ここで、細胞の物質取り込みを「エンドサイトーシス」という用語で記載することにする。
【0012】
市販の培養液は、おおまかな対象細胞群ごとに個別商品化されている。これらは多くの試行錯誤から、その対象細胞の細胞膜におけるエンドサイトーシスが頻繁かつ迅速に起こるものをスクリーニングして得られた組成物である。
【0013】
しかし、エンドサイトーシスの条件は細胞によって大きく異なる。おおまかな対象群ごとに最小公倍数的にブレンドされた市販培養液は、個別の対象細胞ごとに、こまかなチューニングが必要だろう。
【0014】
だが、チューニングは、適切な方法論(技術)がなく、費用対効果が不明であることから、実施されることはほとんどなかった。一方、実際の培養対象細胞は無限にあるので、市販培養液と理想的培養環境(養分を含む)とは、小さからぬ乖離があった。
【0015】
たとえば、ある酵母が通常の培養条件よりもやや多目、すなわち、高濃度の酸素下のほうが好ましい、と推察されていても、酸素圧を上げる設備は高価であるし、簡便な低級(ミリスケール)タイプの酸素バブリングでは、酸素濃度不均一;一部では貧酸素、一部では必要以上に豊酸素となってしまって望む効果が得られていなかった。
【0016】
こういった細胞培養環境の理想からの乖離は、迅速性を要する実験研究の大きなネックであり、細胞培養に費やされるバイオ系実験のヘッドロスタイムは大きいまま放置されている。本発明は、この問題を解決する適切な方法論と装置を提供する。
【0017】
一方、受精卵をもちいないので倫理的が問題がないiPS細胞(誘導多能性幹細胞)の再生医療上における重要性はいうまでもない。皮膚など増殖旺盛な通常細胞、その他の細胞をもちいてiPS細胞を得る実験的な試みがなされている。(前記のごとく、ここでも皮膚細胞等の大量かつ高速な培養増殖のニーズがある)
iPS細胞の獲得について、いわゆる山中技術が開示されている。この技術は、通常細胞のiPS化のため、4つの遺伝子(Oct3/4・Sox2・Klf4・c-Myc)を用いる。これらは発見者の名を取り「山中因子 (Yamanaka factors)」とも呼ばれている。
【0018】
しかしながら、iPS化のための遺伝子が通常細胞の染色体DNAに組み込まれるため、かかる染色体が体内に湧出し、他の細胞をがん化させる危険性がある。
【0019】
その問題を解決すべく、遺伝子を用いずにiPS細胞を樹立した最近の論文で、合成化合物によるiPS細胞樹立の研究で注目されたスクリプス研究所のSheng Dingらのグループの成果が公表されてうる。すなわち、遺伝子を用いない、安全かつ効率的な「蛋白質によるiPS化」の技術である。
【0020】
この技術は、山中因子遺伝子がコードする蛋白質(リコンビナント蛋白質)をもちいる、ということがアイデアの核心である。かかる公表技術の論文筆者ら、は、protein-induced pluripotent stem cells (piPS細胞)の技術と命名した。
【0021】
しかしながら、「piPS細胞の技術」でも、かかる蛋白質が核内になかなか取り込まれない。現在の公開情報から、山中因子遺伝子では、通常細胞100個に1個、piPS細胞の技術では、1000個に1個のiPS細胞が得られている。ゆえにいまのところ、山中遺伝子法が10:1で蛋白質によるiPS化法に対して勝利している。
【0022】
とはいえ、山中遺伝子法には前述の癌化等欠点があるので、蛋白質によるiPS化法(piPS法)にて、核内への蛋白取込を向上させ、実用において蛋白質によるiPS化法を勝利に導く技術が求められている。
【特許文献1】特許第3620797号公報「微細気泡発生装置」アイピーエムエス
【特許文献2】特願2009−234683号「細胞変化を促進する微小気泡含有組成物、およびその微小気泡含有組成物を製造する装置、ならびに微小気泡含有組成物を用いた細胞変化促進方法」丸井智敬
【特許文献3】特願2009−243940号「微小気泡含有組成物、および、微小気泡発生器」丸井智敬
【特許文献4】特許第2762372号公報「微細気泡発生装置」小松製作所
【特許文献5】特公平5-60353号公報「液中通気による培養方法及び培養装置」日立製作所
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の課題は、同発明者による特許文献2および/または特許文献3に開示された技術を実用レベルで実施する際の装置の提示である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明のベースは、特許文献2および特許文献3と同様、最近になって研究が活発化している「マイクロバブル」が、(1)細胞培養・細胞増殖、(2)iPS化のための特定蛋白の取り込みに、促進方向の影響を与えている、と着想し、その実用化でネックとなる装置の使い勝手を検討する際に着想した。
【0025】
特許文献2および特許文献3と同様の本発明のベースを記載する。
【0026】
牡蠣など貝類や魚類養殖場で、海中マイクロバブル・バブリングすると、かかる貝類・魚類の成育が飛躍的によくなることが知られている。また、皮膚にマイクロバブル水を接触させ、皮下の血流を測定すると、血流量が増大することも知られている。
【0027】
これらの事実は、細胞レベルにおいて。マクロバブルがなんらかのバイオロジカルな影響を体表に与えていることを示唆している。その影響機序は、現時点では研究中で明らかでない。
【0028】
本発明の発明者は、こういった実験・経験的事実から、マイクロバブルが細胞膜のエンドサイトーシス、さらには、細胞内の核膜の物質取込みに対し、促進作用がある、と推論した。
【0029】
エンドサイトーシスでは、細胞膜近傍のマイクロバブルが、細胞に対してより活発な活動と増殖促進のシグナルを与え、より多くの酸素・栄養素が細胞膜を通過し、細胞内でエネルギーを生成する。その結果、細胞培養・高速化が実現する、と推論した。
【0030】
核膜の物質取込みはエンドサイトーシス(細胞膜通過)が条件である。山中因子遺伝子がコードする蛋白質(リコンビナント蛋白質)が、まずエンドサイトーシスにて細胞膜から侵入、細胞内のリコンビナント蛋白濃度を上昇させ、単純な核内拡散、あるいは、細胞内侵入した微小気泡によるなんらかの促進作用で核内に取込まれる。
【0031】
その結果、現状1000個に1個の「piPS細胞)技術」によるiPS細胞獲得率が飛躍的に向上するだろう、と推論した。
【0032】
以上の特許文献2および特許文献3と同様である本発明のベース、すなわち方法論を実現する際には、当然のことながら、使い勝手のよい装置が必要である。
【0033】
ここにおいて、特許文献1の装置をよく考察する。特許文献1の装置の特徴のひとつは、「渦流ポンプ」の採用である。かかる渦流ポンプには、多数の突起が周縁にある回転「インペラ」(図1参照)が配設されている。
【0034】
このインペラの回転によって生じた渦群が低圧ゾーンを形成し、かかる低圧によって、渦流ポンプに接続された液体吸入孔より自然と液体が吸引され、インペラ内に誘導される。
【0035】
液体はこのインペラの回転にて、前記の低圧ゾーンを形成するとともに、強い剪断力をうける。ここにおいて、特許文献1の技術では、気体吸入手段が具備されているので、液体は強い剪断力を、気体(ガス)の導入とともに受ける。
【0036】
推論であって研究中であるが、このインペラモーション中の渦形成低圧化、剪断力、気体の混入が、マイクロバブルの生成の中核をなすものである。
【0037】
ゆえに、マイクロバブル生成技術の中核は、渦流ポンプの内蔵インペラの3次元的な構造、回転数や気体導入量、液体導入制限量(自然吸引を制限する)など、が重要であって。これらの分析は現在研究中である。
【0038】
本発明では、その請求項6でインペラの回転数を変化させてマイクロバブル生成を最適化する回転数にセットできるフィレキシビリティを提供している。
【0039】
たとえば、大気ガスである培養液に良好なマイクロバブリングができたとしても、同一条件で、酸素、窒素、二酸化炭素ガスでマイクロバブリングしても良好な微細泡ができない、という問題がある。その際に、インペラの3次元的な構造は変えられないので、(装置を作り直せばできるが高価かつ研究時間ロスになる)問題があった。
【0040】
本発明の請求項6は、この問題を解決する。すなわち、大気で良好なマイクロバブリングを発見しておき、他のガスでもしも良好でなければ、インペラ回転数をその前後に変えて最適なマイクロバブリング回転数を探索すればよい。
【0041】
さて、請求項6だけを先行説明したが、請求項の順に本発明を特定する。
【0042】
本発明は(請求項1、図1参照)、気体吸引手段と液体吸引手段と液体吐出手段が接続された渦流ポンプと、前記液体吸引手段の吸引端と前記液体吐出手段の吐出端が接続された液体槽とからなる液体中に微小気泡を発生させる装置であって、該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、前記渦流ポンプは交流モータで内蔵インペラを回転するもので、この渦流ポンプにおいて、該渦流ポンプの内部に取り込まれた液体の最高位レベルをUp、内部に取り込まれた液体の最低位レベルをLwとしたときに、前記の液体吸引手段の吸引端が、Upのレベルより高いレベルに配設されている液体中に微小気泡を発生させる装置である。
【0043】
この請求項1発明は単純である。通常の風呂あるいは汚泥処理などに適用されるマイクロバブラーの液体吸引手段は、インペラ内蔵渦流ポンプよりも低いレベルの液体を吸引する場合もある。
【0044】
そのため、液体吸引手段は、ホースなどの先端に吸引端をとりつけたものである。
【0045】
ここにおいて、渦流ポンプの特徴であるが、液体吸引手段から空気を吸引してしまうと、インペラが高速カラ回転するので、電気回路ならびに機械構造上好ましくない。
【0046】
ゆえに、バブリング開始時には、液体吸引手段、または、液体吐出手段、または、渦流ポンプに液体導入孔(導入手段)を配設しておき、これらの液体導入手段にて多作業などで液体をインペラにフィルアップせねばならない。
【0047】
このフィルアップ作業は面倒である。本請求項1によれば、液体吸入手段の先端部はインペラ最上部を含む液体流路より上にあるので、液体槽に液体を注入するだけで前記フィルアップが達成され便利である。
【0048】
また本発明の請求項2(図2参照)は、請求項1の液体中に微小気泡を発生させる装置において、前記の液体吐出手段の吐出端がLwよりも低いレベルに配設されている液体中に微小気泡を発生させる装置態様である。
【0049】
これは、液体を吐出する際に吐出ヘッドを吐出手段が低い分だけかせげる、というものである。渦流ポンプの消費エネルギーがわずかに節約になる。
【0050】
本発明の請求項3は(図3参照)、請求項1または請求項2の液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体の取り出し手段が、前記液体吸引手段の吸引端よりも、さらに高いレベルに配設された液体中に微小気泡を発生させる装置である。
【0051】
このように高いレベルに液体の取り出し手段を配設すれば、この取り出し手段の開閉を自動化したとしても、液体は液体吸入手段のレベル以下に下がらないので、渦流ポンプに気体(ガス)吸入することがなく(図4参照)、安心して自動制御モードにまかせることができる。
【0052】
また、本発明の請求項3は必須な条件ではなく(図5参照)、当然のことながら、図5に示すように、取り出し手段を液体槽のもっとも低い位置にして、いわゆるドレーン排出孔となす態様も否定するものではない。
【0053】
本発明の請求項4または請求項6は、請求項1から請求項3のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサーが配設されており、かかるセンサーの出力である液体の光学特性信号に基づいて、渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの起動停止を制御する制御手段をさらに具備した液体中に微小気泡を発生させる装置、または(請求項6)、請求項1から請求項5のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサーが配設されており、渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの回転数を可変制御する手段をさらに具備し、かかるセンサーの出力である液体の光学特性信号に基づいて、渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの回転数を制御する制御手段をまたさらに具備した液体中に微小気泡を発生させる装置である。
【0054】
このような構成で、緊急時、たとえば、吸入手段近傍に液体がなく、気体(ガス)吸引してしまうことが光学センサーで察知された場合にポンプモータ(M)12を緊急停止することができる。
【0055】
また前述のように、気体の種類が変わって、マイクロバブリングの最適条件が変化しても、ポンプモータの回転数を変えて調整することによって、速やかに最適バブリングできる。
【0056】
本発明の請求項5(図示は略す)は、請求項3の液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサーが配設されており、かかるセンサーの出力である液体の光学特性信号に基づいて、液体の取り出し手段の液体取り出し制御を行う制御手段を、さらに具備した液体中に微小気泡を発生させる装置である。
【0057】
この請求項5の構成によって、液体に十分な微小泡が混入されたことを、光学センサーで察知して、自動的に液体を抽出できるので便利である。光学センサーは、液体の取り出し手段の近傍に配設し、液体取りだしシークエンスの最中も液体の光学特性をリアルタイムで検知し、もしも微小泡の十分な混入にフィットしない検知信号が得られた場合は、取り出しを中断してバブリングを継続、かかる継続で十分な微小泡が混入された信号が検知されれば、取り出し手段に液体取りだし再開、という指令を出す、といった自動制御が可能となって便利である。
【0058】
本発明の請求項7(図8図9参照)は、請求項1から請求項6のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体槽の液体を濾過する濾過手段が、さらに液体槽中に配設された液体中に微小気泡を発生させる装置である。
【0059】
この構成は、微生物の培養を意図した態様であって、微生物培養ジャー、あるいは、バイオリアクターと呼称される装置の態様である。
【0060】
すなわち、微生物自体をこの液体中に培養液とともに混入し、液体槽の内部で増殖および物質産生を行わせる。このような態様では、微生物が液体とともに液体吸入手段に取り込まれ、渦流ポンプ内で剪断されてしまうので問題である。
【0061】
そこで、図8のように、液体吸入手段の直近、または、図9のように液体槽の中央、ないしは、その他の任意の位置に微生物のサイズ以下のメッシュであって微生物が通過できない濾過手段を配設して、前記の微生物剪断、および、微生物の渦流ポンプ内進入による汚染を防止できる。
【0062】
本発明の請求項8と請求項9は、培養液の製造、微生物の培養という用途を明示したものである。
【0063】
すなわち(請求項8)、請求項1から請求項7のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体が細胞培養液であり、細胞培養液中に微小気泡を発生させるものである液体中に微小気泡を発生させる装置であり、(請求項9)請求項1から請求項8のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体が微生物を混入させた微生物の増殖媒体または微生物の産生物を得るためのバイオリアクター媒体であり、かかる増殖またはバイオリアクター媒体に微小気泡を発生させるものである液体中に微小気泡を発生させる装置である。
【発明の効果】
【0064】
本発明によって、細胞培養・細胞増殖のさらなる大量高速化、「piPS細胞)技術」すなわち「蛋白によるiPS化」法において、かかる蛋白質の核内取込み率を向上させiPS細胞の実用的な大量取得(量産)が可能となすための培養液の製造が実用レベルで実現される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本案発明請求項1の液体中に微小気泡を発生させる装置の模式例図。
【図2】本案発明請求項2の液体中に微小気泡を発生させる装置の模式例図。
【図3】本案発明請求項3の液体中に微小気泡を発生させる装置の模式例図であって、液体の取り出し手段2が、前記液体吸引手段の吸引端よりも、さらに高いレベルに配設されたがさらに配設されている例。
【図4】本案発明請求項3の説明図であって、液体の取り出し手段2が、低いレベルにあると前記液体吸引手段の吸引端から気体吸引してしまいNGであることを示す図。
【図5】本案発明請求項3の例図であって、液体の取り出し手段2が、低いレベルにあると前記液体吸引手段の吸引端から気体吸引してしまいNGであるが、液体の排出にはこのようなレベルに液体の取り出し手段2をいわゆるドレーン排出口として配設してよいことを示す図。
【図6】本案発明請求項4または請求項6の例図であって、液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサー17が配設されており、かかるセンサーの出力である液体の光学特性信号に基づいて、渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータ12の起動停止を制御する制御手段31または渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの回転数を制御する制御手段32をさらに具備した液体中に微小気泡を発生させる装置の例図。
【図7】本案発明請求項4または請求項6の例図であって、液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサー17が図6よりも低いレベルに配設されており、かかるセンサーの出力である液体の光学特性信号に基づいて、渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータ12の起動停止を制御する制御手段31または渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの回転数を制御する制御手段32をさらに具備した液体中に微小気泡を発生させる装置の態様の例図。
【図8】本案発明請求項7の例図であって、液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体槽の液体を濾過する濾過手段3が、さらに液体槽1中に配設された態様の例図。
【図9】本案発明請求項7の例図であって、液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体槽の液体を濾過する濾過手段3が、さらに液体槽1中に配設された態様の例図。
【符号の説明】
【0066】
1 液体
2 液体の取り出し手段
3 液体槽の液体を濾過する濾過手段
4 気体吸引手段
10 渦流ポンプ
11 渦流ポンプの内蔵インペラ
12 渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータ
13 液体槽
14 液体吸引手段(の先端部分)
15 液体吐出手段(の先端部分)
17 液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサーであって、たとえば濁度を透過光または散乱光測定方式で測定する濁度センサーなど。
18 細胞培養液容器
20 複数の微小気泡発生器(のひとつ)
21 20の複数の液体吸引手段の先端部分(のひとつ)
22 20の複数の液体吐出手段の先端部分(のひとつ)
30 渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの制御手段
31 渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの起動停止を制御する制御手段
32 渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの回転数を制御する制御手段◆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体吸引手段と液体吸引手段と液体吐出手段が接続された渦流ポンプと、前記液体吸引手段の吸引端と前記液体吐出手段の吐出端が接続された液体槽と
からなる液体中に微小気泡を発生させる装置であって、
該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、
前記渦流ポンプは交流モータで内蔵インペラを回転するもので、
この渦流ポンプにおいて、該渦流ポンプの内部に取り込まれた液体の最高位レベルをUp、内部に取り込まれた液体の最低位レベルをLwとしたときに、
前記の液体吸引手段の吸引端が、Upのレベルより高いレベルに配設されている液体中に微小気泡を発生させる装置。
【請求項2】
請求項1の液体中に微小気泡を発生させる装置において、
前記の液体吐出手段の吐出端がLwよりも低いレベルに配設されている液体中に微小気泡を発生させる装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の液体中に微小気泡を発生させる装置において、
液体の取り出し手段が、前記液体吸引手段の吸引端よりも、さらに高いレベルに配設された液体中に微小気泡を発生させる装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、
液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサーが配設されており、かかるセンサーの出力である液体の光学特性信号に基づいて、渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの起動停止を制御する制御手段をさらに具備した液体中に微小気泡を発生させる装置。
【請求項5】
請求項3の液体中に微小気泡を発生させる装置において、
液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサーが配設されており、かかるセンサーの出力である液体の光学特性信号に基づいて、液体の取り出し手段の液体取り出し制御を行う制御手段を、さらに具備した液体中に微小気泡を発生させる装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、
液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサーが配設されており、渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの回転数を可変制御する手段をさらに具備し、かかるセンサーの出力である液体の光学特性信号に基づいて、渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの回転数を制御する制御手段をまたさらに具備した液体中に微小気泡を発生させる装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、
液体槽の液体を濾過する濾過手段が、さらに液体槽中に配設された液体中に微小気泡を発生させる装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、液体が細胞培養液であり、細胞培養液中に微小気泡を発生させるものである液体中に微小気泡を発生させる装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかの液体中に微小気泡を発生させる装置において、
液体が微生物を混入させた微生物の増殖媒体または微生物の産生物を得るためのバイオリアクター媒体であり、かかる増殖またはバイオリアクター媒体に微小気泡を発生させるものである液体中に微小気泡を発生させる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−92111(P2011−92111A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249900(P2009−249900)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(596174329)
【Fターム(参考)】