説明

液体中の汚染物質の検出方法

【課題】液体中の汚染物質の濃度を判断する装置および方法、ならびにそれらを使用するシステムを提供する。
【解決手段】センサ(4)を液体と接触させる段階と、液体中の汚染物質の濃度に基づいて電気的情報を生成する段階と、電気的情報をコントローラ(6)に送信する段階と、液体中の汚染物質の濃度を判断する段階とを含む検査方法。センサ(4)は、膜(12)、パージチャンバ(42)、およびトランスデューサ(10)を含み、それらは、膜(12)の第1の表面が液体と流体連通し、パージチャンバ(42)が膜(12)の第1の表面と反対側の第2の表面と流体連通し、トランスデューサ(10)がパージチャンバ(42)と流体連通するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において、液体中の汚染物質を検出し定量化する装置および方法、ならびにそれらを使用するシステムが開示される。
【背景技術】
【0002】
水溶液中の微量(例えば、1容量%未満)および極微量(例えば、1.0×10−6容量%未満)レベルの汚染化学物質の検出は、多数の用途の状態を監視するために重要である。例えば、超純水(すなわち、極微量濃度のイオン種を有する水)は、半導体、製薬、農業、化学、エネルギー、および食品加工の業界が挙げられるがそれらに限定されない多くの工業的プロセスにおいて望ましい。1つの特定の例では、原子炉は、冷却目的で超純水を用いる場合がある。超純水は汚染物質を含む場合があり、それが、原子炉の流体処理システムにおいて腐食および他の問題を引き起こす。したがって、これらの汚染物質を検出し定量化するシステムおよび方法が非常に望ましい。
【0003】
汚染化学物質の検出は、最近の数十年間の間に著しく発展してきた。水溶液中の微量レベルのイオン種を検出し定量化する、現在利用可能ないくつかの技術がある。これらの技術としては、イオンクロマトグラフィー(IC)、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)、質量分析(MS)、ICP−MS、およびキャピラリー電気泳動(CE)が挙げられる。それに加えて、電気化学センサ、光学センサ、および複合化学センサ(例えば、表面プラズモン共鳴とアノーディック・ストリッピング・ボルタンメトリーなど、異なる技術の組み合わせ)が、水中のイオン種の微量分析に適用されてきた。残念なことに、これらの方法は、大量のサンプル調製を必要とする場合があり、または、低い選択性、不適当な検出限界、干渉の影響、ベースラインの変動、およびサンプリング中または処理中の汚染による制限がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ICは、水溶液中のイオン種を検出する主な手段である。例えば、原子力発電所は、イオン種を定期的に監視するため、インライン・イオンクロマトグラフィーを主に使用してきた。IC法は、本来、カラムイオン交換クロマトグラフィーを含んでおり、大量のサンプルと、収集した画分の湿式化学分析を必要とし、実行するのに時間を要するものであった。より最近では、必要とするサンプル量が大幅に少なく、コンピュータの制御下で事実上無人で作動し、かつほんの数分で実施することができるIC法が開発されている。しかし、現行のIC法には、依然として、費用、複雑性、および保守など、多くの状況においてその使用が非実用的になっているという不利な点がある。さらに、現在、ICの分析時間は約10分に達しているが、これは多くの用途において依然として長過ぎる。
【0005】
ICPおよびICP−MSもイオン種の検出に使用されている。誘導結合プラズマ同位体希釈質量分析(ICP−IDMS)は、微量元素および元素のスペシエーションを分析する通常の方法として適しているが、種に限定した同位体希釈用の市販の同位体標識スパイク化合物がないこと、また、種を限定しないICP−IDMS分析に必要なシステム設定が複雑であることによって制限されている。したがって、より適切な検出方法を開発することが強く求められている。
【0006】
CEは、ICに比べて用いる溶出液の量が10〜100分の1であり、かつ測定時間がより迅速(一般的に3分未満)である、イオン種を検出する別の一般的手段である。CEもまた、印加できる電圧量が限られ、毛管が短いという実用上の制限がある。さらに、サンプルは、幅が限定された帯域内に導入されなければならず、信頼性の高い検出には限定された量が必要とされる。それに加えて、非常に高い電圧勾配が原因で、管内の電解質を加熱することによって、ゾーンの望ましくない広がりや、さらには電解質の沸騰、および電気泳動プロセスの完全な機能停止などの問題が引き起こされる。そのような制限により、キャピラリーゾーン電気泳動の使用は多くの用途にとって非実用的になっている。
【0007】
水溶液中の種の検出および定量化に用いられる現行の技術に関連した欠点を踏まえて、上述の制限がなく、かつ著しい干渉の影響、ベースラインの変動、および処理による意図しない水質汚染などの制限がない、検出方法および検出システムが現在必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書において、液体中の汚染物質の濃度を判断する装置および方法、ならびにそれらを使用するシステムが開示される。
【0009】
一実施形態では、液体中の汚染物質の検出方法は、センサを液体と接触させる段階と、液体中の汚染物質の濃度に基づいて電気的情報を生成する段階と、電気的情報をコントローラに送信する段階と、液体中の汚染物質の濃度を判断する段階とを含む。センサは、膜、パージチャンバ、およびトランスデューサを含むことができ、それらは、膜の第1の表面が液体と流体連通し、パージチャンバが膜の第1の表面と反対側の第2の表面と流体連通し、トランスデューサがパージチャンバと流体連通するように構成される。
【0010】
別の実施形態では、液体中の汚染物質の検出方法は、センサを液体と接触させる段階と、液体中の汚染物質の濃度に基づいて電気的情報を生成する段階と、サンプルの導電率を判断する段階と、電気的情報および導電率をコントローラに送信する段階と、汚染物質の濃度を判断する段階と、導電率に基づいて汚染物質の濃度を補正する段階とを含む。
【0011】
さらに別の実施形態では、原子炉の水の中の汚染物質を検出する装置の操作方法は、センサアレイを水のサンプルと接触させる段階と、センサアレイ内のセンサからの電気的情報を生成する段階と、電気的情報に基づいて汚染物質の濃度を判断する段階とを含む。アレイ内のセンサはそれぞれ、トランスデューサ上に配置された膜を含み、膜によって特定の汚染物質の拡散を可能にする。
【0012】
上述の特徴および他の特徴は、以下の図面および詳細な説明によって例証される。
【0013】
以下に、代表的な実施形態である図面を参照するが、図面中、同様の要素には同様の符号が付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書において、液体中(例えば、水溶液中)の汚染物質を検出し定量化する装置および方法が開示される。汚染物質検出システム(以下、CDSと称する)と称される検出用の装置は、水溶液中に配置されたセンサと動作的に連通して接続されたコントローラを備える。センサは、マニホルドと一体化された、1つまたは複数のトランスデューサと1つまたは複数の化学反応性の膜(以下、膜と称する)とを備える。検出方法は、水溶液の汚染物質を分析する段階と、測定された信号を検出する段階と、溶液中の不純物の濃度を判断する段階とを含む。
【0015】
次に図1を参照すると、コントローラ6がセンサ4に動作可能に接続された、代表的な汚染物質検出システム(CDS)2が示される。センサ4は、導管18を通って流れることができる液体8と流体連通して配置される。センサ4は、液体8中の汚染物質(例えば、イオン種)の濃度を判断するために利用することができる情報を、コントローラ6に提供することができる。
【0016】
次に図2を参照すると、膜12と接触して配置されたトランスデューサ10を含み、膜12およびトランスデューサ10の両方がマニホルド16内に配置された、代表的なセンサ4が示される。トランスデューサ10と接触している膜12の表面と反対側の表面は、微量の汚染物質(図示なし)を含む液体8と流体連通して配置される。ワイヤ14は、トランスデューサ10およびコントローラ6(図示なし)と電気的に連通して接続されて、それらの間に電気通信を提供する。この実施形態はワイヤ14を用いるが、代替実施形態では、無線通信(例えば、RFIDトランスデューサを使用する無線周波通信)を使用するなど、ワイヤ14を使用せずにトランスデューサ10とコントローラ6の間の通信を達成できることが明白であろう。さらに、本明細書に記載されるどの実施形態の通信でも、任意の新規なまたは既知の通信規格(例えば、ブルートゥース(IEEE802.15.1としても知られる無線パーソナルエリアネットワーク(PAN)の工業規格)、DECT(デジタル式ヨーロッパコードレス電話方式)、DSRC(狭域通信)、HIPERLAN(高性能無線ローカルエリアネットワーク(一連のローカルエリアネットワーク通信規格))、HIPERMAN(高性能無線メトロポリタンエリアネットワーク)、IEEE(電気電子学会)、IRDA(赤外線通信協会規格)、RFID(無線識別)、WiFi(ワイヤレスフィデリティ)、WiMAX(IEEE規格802.16に一般に与えられる名称)、xMAX(無線周波(RF)変調および符号化技術)、ZigBee(IEEE規格802.15.4に準拠した無線ネットワーク)など、ならびに前述の少なくとも1つを含む組み合わせ)を利用して、トランスデューサ10とコントローラ6の間の通信を行うことができる。
【0017】
使用中、センサ4は、液体8中の汚染物質の濃度を判断するために利用できる情報を、コントローラ6に提供することができる。一般に、これは、トランスデューサ10を用いて、膜12を通過するイオンの量に基づいて変化する電気的情報をコントローラ6に提供することによって達成される。コントローラが、液体8中の特定の汚染物質の濃度を判断できるようにするため、膜12は、所望の汚染物質(例えば、評価されている汚染物質のイオン)を通過させ、所望以外の汚染物質(例えば、評価しない余分の汚染物質)が膜12を通過するのを部分的または完全に制限することができるように構成される。
【0018】
膜12は、一般に、特定の汚染物質を通過させることができる能力に基づいて選択された高分子材料を含む。より具体的には、膜12に用いられる代表的な高分子材料は、センサが動作する温度よりも低いガラス転移温度を有することができ、それによって、特定の汚染物質がそれを通って拡散するのを可能にする半粘稠状態を提供する。膜12内での種の拡散を調整するため、膜12に用いられる高分子材料中に添加物を組み込むことができる。膜12が望ましいガラス転移温度および/または拡散速度を呈すると、次に、高分子マトリックスを、プラス電荷またはマイナス電荷を有するイオン交換材料でドープすることができる。特定のイオン交換材料は、分析される液体中の汚染物質の電荷に基づく。例えば、マイナス電荷を有するイオン交換材料はプラスに帯電した汚染物質に使用され、プラスに帯電したイオン交換材料はマイナスに帯電した汚染物質に使用される。さらに、電荷が中性の膜を、電荷が中性の汚染物質に使用することができることも理解されたい。水中のイオンを検出する場合、膜組成物は、イオン透過担体を使用して目的のイオンの選択的結合プロセスを提供するように選択される。イオン透過担体は、膜12の選択性を増加させ、かつ膜を通して汚染物質を輸送するのをさらに容易にするため、高分子材料に添加される。同様に、イオン透過担体および/またはイオン交換材料は、所望以外の汚染物質(例えば、干渉物質)が膜12を通って拡散するのを制限するため、高分子材料に添加することもできる。スルフェート検出のためのイオン透過担体の例は、亜鉛フタロシアニン、および1,3−[ビス(3−フェニルチオウレ−イドメチル)]ベンゼンである。クロリド検出のためのイオン透過担体の例としては、4,5−ビス−[N’(ブチル)チオウレイド]−2,7−ジ−t−ブチル−9,9−ジメチルキサンテン、およびメソ−テトラフェニルポルフィリンマンガン(III)が挙げられる。亜鉛検出のためのイオン透過担体の例としては、3−[(2−フリルメチレン)アミノ]−2−チオキソ−1,3−チアゾリジン−4−オン、および1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトールが挙げられる。センサ膜内におけるイオン輸送を容易にするため、親油相として、可塑剤を高分子センサ膜配合物に添加することができる(例えば、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート(DOS)、2−ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)、アセトフェノン(AP)、ジブチルフタレート(DBP)、ニトロベンゼン(NB))。他の構成成分、例えば、イオン交換体(例えば、トリドデシルメチルアンモニウムクロリド)をセンサ膜組成物に添加することもできる。
【0019】
高分子膜は、それらの化学的組成に起因する固有の選択透過性を呈することができ、多種多様な化学的性質で利用可能であり、長期間にわたって安定であり、他の構成成分(可塑剤、イオン交換体、イオン透過担体など)を添加することによって物理的・化学的性質および選択性を変更することができるため、イオンセンサのためのマトリックス材料として使用することができる。イオンが、それらの水和エンタルピーに基づいて、様々な程度の親水性または親油性を呈するため、望ましい特性である選択透過性が生じる。
【0020】
膜12に用いることができる代表的な高分子は、ポリスルホン、ポリアニリン、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、アクリレートコポリマー、および前述の高分子の少なくとも1つを含む組み合わせである。それに加えて、シリコンアルコキシド(例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)またはテトラエトキシシラン(TEOS))のゾルゲル反応によって生成された高分子は、周囲温度での加水分解および縮合反応によってシリカを調製する有効な手段を提供する。水対アルコキシシランの比、pH、温度、および用いられる特定の溶剤などの処理条件を選択することにより、膜12の物理的性質(例えば、孔径、表面積、および孔隙率)の制御が可能になる。一般式(R(4−x)Si(OR’)、式中、RおよびR’は所望の試薬および/または官能基、Xは1〜3)を有するオルガノシラン前駆体を、シリコンアルコキシド(すなわち、TMOSまたはTEOS)を用いて、または用いずに加水分解し縮合して、結果として得られる材料の特定の物理的性質(例えば、機械的柔軟性、孔径、孔隙率、および疎水性)をもたらす共有結合された目標の官能基Rを含有する、シリカを生成することができる。
【0021】
ゾルゲル反応の緩やかな条件により、イオンセンシング試薬をゾル・ゲルマトリックスに封入することが可能になる。これらの薬剤はまた、アルコキシシラン前駆体に結合することにより、マトリックスに共有結合させることができる。これらの試薬は、物理的な封入または化学結合によってマトリックスに統合されると、目標の汚染物質に暴露することでそれとの複合体を形成し、トランスデューサを介して信号を提供する。ゾルゲル材料の多孔性により、複合体を形成するために細孔の内部で移動または再配向する高い自由度が、センシング試薬に提供される。柔軟性は、オルガノシラン前駆体のRを、フェニル基、エチル基、またはベンジル基などの嵩高い基に置換することによって、またはアルコキシ基の数を例えば2つに低減することによってさらに提供することができる。オルガノ官能基との架橋密度を低減することも、マトリックス中での汚染物質の可動性を増加させ、応答時間を低減することに寄与する。
【0022】
前駆体シラン上のオルガノ官能基のいくつかは、シリカネットワークの疎水性を増加させ、水性環境内での膨張を防ぎ、それは目標以外の汚染物質を区別するのに有益である。
【0023】
具体的な一実施形態では、ベンジルトリエトキシシランをテトラエトキシシランと組み合わせて使用して、架橋密度を低減し、かつ疎水性を増加させることができる。別の実施形態では、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、および以下の少なくとも1つを含む組み合わせを、前駆体として用いることができる。
【0024】
膜12にやはり用いることができる代表的な材料は、ポリスルホン、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアニリン、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど))、ポリカーボネート、アクリル、スチレン(例えば、衝撃変性ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、スチレンアクリロニトリル)、ポリ(メタ)クリレート(例えば、ポリブチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート)、ポリアミン、ポリアミド、ポリエーテル(例えば、ポリエーテルエステルおよびポリエーテルアミド)、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ポリシロキサン、多糖、ポリスルフェート、ポリスルフィド、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニルなど、ならびに前述の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。
【0025】
膜12の厚さは、それを通るイオンの輸送に影響を及ぼす。したがって、膜の特定の寸法は、時間や拡散速度などの所望のイオン輸送性に基づいて判断される。1つの実施例では、厚さ約0.1〜約200μmの膜12を用いることができる。1つの特定の実施例では、厚さ約10μmのポリスルホン膜12を用いることができる。別の特定の実施例では、厚さ約100μmのゾルゲル膜12を用いることができる。
【0026】
トランスデューサ10は、液体8中の汚染物質の濃度を判断するのに利用することができるコントローラ6に、情報を提供することができる任意の電気化学的トランスデューサであることができる。代表的な1つのトランスデューサ10が図3に示され、代表的なトランスデューサ10は、インターデジタル形フィンガー34と電気的に連通して個々に接続された第1の電極30および第2の電極32を含む(これらを組み合わせて全体を電極と称することができる)。電極は基部36上に配置される。図3に示されるトランスデューサ10は、本明細書に記載される実施形態のいずれかに用いることができ、限定されない。いくつかの実施形態は、ワイヤ14を有するトランスデューサ10を示すが、無線トランスデューサをそれと置き換えることができることを理解されたい。
【0027】
第1の電極30、第2の電極32、およびインターデジタル形フィンガー34は、導電性金属(例えば、金、プラチナ、または銅)、合金(例えば、ニッケル銅合金)あるいはトランスデューサ10の機能を可能にする他の導電性金属を含む。基部36は、ポリイミドなどの高分子膜、または、酸化シリコン、酸化アルミニウムなどの材料を含むことができる。
【0028】
図3に示される代表的なトランスデューサ10は、インターデジタル形フィンガーの間でコントローラ6によって測定される電気的特性が、膜12を通過しトランスデューサ10に接触するイオン(例えば、インターデジタル形フィンガーの間で動作的に連通して配置されたイオン)の量とともに増加するという原理に基づいて動作する。測定される電気的特性は、複数の周波数における複素インピーダンス、電気化学的に変調されたインピーダンス、電流、および電位、ならびに前述の少なくとも1つを含む組み合わせであることができる。
【0029】
代表的な1つの方法である線形応答方法を用いて、インピーダンスを測定することができる。より具体的には、線形応答方法では、システムは、振幅が小さい正弦波電流または電位によって振動を生じ、それによって、テイラー展開された非線形の電流電圧曲線の一次項のみを含む応答が発生する。一般に、この方法の動作の2つの「モード」を区別することができる。第1のモードは、直流電位バイアスに重ね合わされた小さな振幅の正弦波電位振動の周波数に応じて変わる、インピーダンスの測定である。インピーダンススペクトルは、様々な値の直流電位で測定される。この方法は、電気化学インピーダンス分光法またはインピーダンスボルタンメトリーと称される。第2のモードは、走査されるか階段状にされた直流電位に対する単一周波数正弦波電位の重ね合わせ、および直流電位に応じて変わる応答側正弦波電流の測定である。この技術は、交流ポーラログラフィーまたは交流ボルタンメトリーと称される。この場合、本質的に、アドミタンスと呼ばれるインピーダンスの逆数が得られる。
【0030】
イオン選択性の導電率測定マイクロセンサは、個別の参照電極を必要とし、その際、イオン錯化剤を含有する薄いイオン選択性膜12の体積導電率を測定することによってイオン検出が達成される。信号の大きさ(導電率)は、分析された水の中の一次イオンの含量に関係している場合がある。膜12の導電率を監視するため、膜12は、一対のインターデジタル形薄膜電極の上に配置される。センサの動作は、特定の可逆的なイオンを、液体から特定のイオン透過担体を含むセンシング膜に共同抽出することに基づく。イオンの共同抽出によって体積導電率が変わる。膜内のイオン透過担体は、カチオンを膜へ特異的に可溶化するのを助け、これは、電気的中性の条件を満たすため、同時にアニオンを共同抽出することを伴う。このアニオンの干渉を最小限にするため、液体を、高濃度の親油性アニオンで緩衝することができる。
【0031】
電位差センサの場合、分析情報は、イオン選択性のセンシング膜12で覆われた作用電極の電位と液体中の汚染物質濃度との関係から得られる。単一電極の電位を測定することはできないため、参照電極が作用電極と組み合わせて使用される。電位差センサのセンシング(または作用)電極は、センシングメンブランとしても知られているセンシング膜12で覆われる。そのような膜12は、配合されたゾルゲル、ガラス、または無機結晶、あるいは配合された高分子膜12であることができる。膜12の組成は、膜・電解質間のインターフェースにおける選択的な結合プロセスを介して、主に目的のイオン(例えば、特定の汚染物質)に関連付けられた電位を付与するように選択される。膜12の表面電位の大きさは、液体(例えば、水溶液)中の目的の一次イオンの活性または数に直接関係している。目的のイオンに対する電位差センサの選択的応答を説明するメカニズムおよびモデルとしては、化学吸着と界面電位が挙げられる。
【0032】
別のトランスデューサを同様に用いることができることが明白であろう。例えば、4電極トランスデューサを用いることができる。さらにまた、無線識別(RFID)を用いることができ、その際、RFIDタグはセンシング膜で覆われて、トランスデューサ10として、またはトランスデューサ10と組み合わせて用いることができるRFIDセンサを形成する。この実施形態では、RFIDセンサは、適切なデバイスに情報を送信することができる。さらにまた、RFIDセンサを導管18内に配置し、それを通して情報を送信することができ、その際、導管18は、ガラスまたはプラスチックなどの1つまたは複数の非導電性材料で形成された壁を含む。これらのRFIDセンサは、センサおよびその位置に関する情報(例えば、その正しいアセンブリ、製造日および使用期限、センサ校正、補正計数など)を自動的に提供する、同時デジタルID機能性を備えた個々のセンサを用いて、多重パラメータモニタリングを提供する。無線周波トランスデューサは、80kHz〜200kHz、5MHz〜10MHz、または9MHz〜16MHzの周波数で電気的情報を送信することができる。
【0033】
液体8は、導管18(例えば、パイプ、チューブなど)、容器(例えば、図示されないが、コンテナ、試験管、フラスコ、ボトルなど)を通して多量に、または少量ずつ(例えば、ピペットで供給されるなど)センサ4に送達することができる。供給の方法または量に関わらず、液体8は、センサ4に接触する前に、液体8の性質が変更および/または標準化されるように予備調整することができる。例えば、液体8(例えば、水溶液)に、温度調節(例えば、加熱または冷却)、フィルタリング、加圧、攪拌、1つまたは複数の化学物質(例えば、変性剤)との混合など、ならびに前述の少なくとも1つを含む組み合わせを施すことができる。液体8の予備調整は、センサ4(例えば、トランスデューサ10および/または膜12)が、液体8の特性による影響を受けるシステムにおいて有益であり得る。そのようなシステムでは、予備調整は、センサ4の再現性および/または感度を改善するか、あるいはセンサ応答を増加させることなどができる。例えば、イオン拡散性、導電率、インピーダンスなどの性質、ならびに他の性質は、液体8の温度に影響される場合があり、それがセンサ4の応答に影響を及ぼす場合がある。さらに液体8を予備調整する能力は液体8が様々な条件(例えば温度および/または圧力)の下の液体8を分析する能力を提供する。例えば、液体8が複数の温度で試験される試験を行うことができ、それにより、目的の汚染物質のイオン輸送に関する追加の情報を提供することができ、または、センサ2、40によって供給される電気的情報に影響を及ぼし得る所望以外の汚染物質の存在に関する情報を提供することなども可能である。
【0034】
マニホルド16は、トランスデューサ10および膜12を固定するために用いられる。ただし、マニホルドは、膜12がトランスデューサ10に接合される用途において必須ではないことは明白であろう。マニホルドは、トランスデューサ10および膜12を固定することができ、かつ液体8に対する長期の暴露(例えば、約6か月以上、またはより具体的には約1年以上)に耐性を示す任意の材料を含むことができる。
【0035】
図4には、パージチャンバ42がトランスデューサ10と膜12の間に配置された、代替構成を含む典型的なセンサ40の断面図が示される。より具体的には、センサ40は、導管18内を流れる液体8と流体連通して配置された膜12を含む。膜12の、液体に接する側と反対側の表面は、パージ媒体44がその中を流れることができるパージチャンバ42に流体接続されている。パージチャンバ42はまた、パージチャンバ42内を流れるパージ媒体44と流体接触して配置されたトランスデューサ10によって画定される。パージチャンバ42と接触している側と反対側のトランスデューサ10の側面上に、トランスデューサ10およびコントローラ6(図示なし)と電気的に連通してワイヤ14が接続される。パージチャンバ42は、トランスデューサ10、ワイヤ14、および膜12を固定するマニホルド24によってさらに画定される。マニホルド24にはさらに、パージ媒体44がそれらを通って流れることができる入口46および出口48が取り付けられる。適宜、追加のプローブをセンサ内に用いることができる。例えば、1つまたは複数の導電率プローブ(図示なし)を、液体8と接触させて、例えばチャンバ42の中および/または外側に置くことができる。同様に、温度を判断できるようにするため、1つまたは複数の温度プローブ(すなわち、温度センサ)を、液体と熱的に連通させて置くことができる。ただし、無線トランスデューサを、図示されたトランスデューサ10の代わりに、またはそれに加えて用いることができることを理解されたい。
【0036】
使用中、センサ40は、液体8中の汚染物質の濃度を判断するために利用することができる情報を、コントローラ6に提供することができる。一般に、センサ40は、センシングモードおよびパージモードで操作される。センシングモードでは、パージ媒体44の流れは停止され、液体8からのイオンが膜12を通って移動し、パージチャンバ42内のパージ媒体44に拡散する。トランスデューサ10は、パージ媒体44内に拡散されたイオンの量に基づいて、コントローラ6(図示なし)に電気的情報を提供する。パージモードでは、パージ媒体44の流れが開始される。パージ媒体44がパージチャンバ42を流れる際、膜12を通過できるようにされたイオンの大部分または全てがパージチャンバ42からパージされる(例えば、洗い流される)。
【0037】
センサ40からイオンをパージする能力には顕著な利点がある。第1に、パージする能力により、センサが、測定の間に校正済みの状態に戻るか、または自己校正することが可能になる。例えば、パージ媒体44が存在する状態でセンサが校正された場合、センサ40は校正済みの条件に戻る。さらに、各センシングモードの前にセンサ40を校正することによって利点が提示されると判断された場合(例えば、改善された測定精度)、パージモード中にセンサ40を校正することができる。センサ40をパージする能力によって実現される第2の顕著な利点は、干渉の影響の低減である。より具体的には、センサ40の精度は、所望以外の汚染物質(例えば、評価されない汚染物質)がセンサ内に蓄積することによって影響を受ける場合がある。これは、トランスデューサ10によって測定される電気的情報が、所望以外の汚染物質の蓄積によって影響されるという事実による。したがって、測定の間にこれらの所望以外の汚染物質をパージする能力は、それらの蓄積がセンサ精度に影響しないことが確保される。さらにまた、パージチャンバからイオンをパージするため、パージ媒体44を、加熱するか、加圧するか、かつ/または化学試薬で希釈することもできる。
【0038】
用いられるパージ媒体44は、パージチャンバ42から膜12を通過するイオンの全てまたは大部分をパージすることができる。さらに、パージ媒体44は液体8の精製された形態になる。例えば、水が液体8であるシステムでは、精製水がパージ媒体44として用いられる。
【0039】
液体8の濃度およびパージチャンバ42内の汚染物質の濃度が釣り合っているとき、センサ40は、液体8中の汚染物質の濃度の正確な測定を提供する。したがって、パージチャンバの容積を最小限にすることが望ましい。そのため、パージチャンバ42と入口管46の間の流体連通を選択的に妨害するバルブまたは他の手段を用いることができる。
【0040】
次に図5を参照すると、代表的なセンサアレイ50の断面図が示され、センサアレイ50は、導管18内を流れる液体8と流体連通して配置された、第1のセンサ52、第2のセンサ54、および第3のセンサ56(センサと総称される)を含む。センサアレイ50は、ワイヤ14を介して、各センサ40からコントローラ6に電気的情報を提供することができる。センサ40はそれぞれ、パージ媒体44を供給して各センサ40内のパージチャンバ42をパージすることができる、入口管46および出口管48に流体接続される。
【0041】
センサアレイ50を用いて、液体8中の平均汚染物質濃度を判断することができる。例えば、センサアレイ50は、3組の電気的情報(例えば、各センサ52、54および56に対して1組の電気的情報)をコントローラ6に提供することができる。次に、情報を分析することができ、平均汚染物質濃度を判断することができる。この実施形態では、センサは互いに類似して構成される(例えば、同じ膜12を有する)。
【0042】
代替実施形態では、センサアレイ50は、膜12を通る所望の汚染物質の時間依存的な移動に基づいて、コントローラ6に電気的情報を供給することが可能であり得る。より具体的には、所望のイオンが膜12を通過するのに必要な継続時間は、液体8中の1つまたは複数の所望以外の汚染物質の存在および/または濃度によって影響される。したがって、センサは、厚さが異なる1つまたは複数の同じ材料(例えば、ポリスルホン)の膜12を含むことができる。この構成では、各センサによって供給される電気的情報が平坦域に達するか、または特定のレベルに達するのに必要な持続時間を、コントローラ6によって評価し利用して、所望以外の汚染物質が所望の汚染物質のイオン輸送に影響しているかなどを判断することができる。
【0043】
代替実施形態では、センサアレイ50は、異なる膜12を有するセンサ40を用いることができ、したがって、各センサ40によってコントローラ6に供給される電気的情報を変更することができる。例えば、液体8中の所望の汚染物質の測定精度を増加させる目的で、異なるセンサ40を含むセンサアレイ50を用いて、液体8中の所望以外の汚染物質の存在によって引き起こされる干渉を低減することができる。より具体的には、第1のセンサを用いて、測定されるべき所望の汚染物質である第1の汚染物質に基づいた電気的情報を、コントローラ6に提供することができる。しかし、2つの追加の汚染物質、すなわち第2の汚染物質および第3の汚染物質が、液体8中の第1の汚染物質濃度の精度を不明瞭にすることが知られている。したがって、センサアレイ50は、第2の汚染物質がそれを通過できるように構成された膜12を含む第2のセンサと、第3の汚染物質がそれを通過できるように構成された膜12を含む第3のセンサとともに構成することができる。この構成では、3つのセンサによって供給される電気的情報を、コントローラ6によって分析することができる。コントローラ6が、第2のセンサが第2の汚染物質を検出せず、かつ第3のセンサが第3の汚染物質を検出しなかったと判断した場合、第1のセンサから受信した情報(第1の汚染物質が存在すると仮定して)は正確であり、かつ第2または第3の汚染物質の存在によって不明瞭にならないと判断される。
【0044】
さらに、代替実施形態では、第2の汚染物質または第3の汚染物質のいずれかが存在すると判断された場合、コントローラ6は、これらの汚染物質の濃度を明らかにして、液体8中の第1の汚染物質の正確な濃度を判断することが可能であり得る。
【0045】
図6には、センサが積層構成を含む、代表的なセンサアレイ60の断面図が示される。より具体的には、センサアレイ60は、上面64、左側面66、右側面68、後面70、前面72、および底面74を含むマニホルド62を含む(以下、上、左、右、後、前、または底という用語が使用される場合、これらの意味に関して使用される)。マニホルド62の底面74は、液体8がそこを流れる導管18と接触して配置される。マニホルド62は、液体8が第1の膜80と流体連通するようにして、マニホルドの底面74を介して配置された試験用窓76を含み、第1の膜80は、液体8が第1の膜80の縁部の周りを流れることができないようにして、マニホルド62によってすべての縁部82(例えば、後縁部、左縁部、右縁部、および前縁部)で固定される。
【0046】
第1の膜80は、液体8と接触している底面と反対側の上面を有する。上面は第1のパージチャンバ82と流体連通して配置され、第1のパージチャンバ82は第1のトランスデューサ84の底面と流体連通している。第1のトランスデューサの上面84は第2のパージチャンバ86と流体連通し、第2のパージチャンバ86は第2の膜88の底面と流体連通している。第2の膜88の上面は第3のパージチャンバ90と流体連通し、第3のパージチャンバ90は第2のトランスデューサ92の底面と流体連通している。第2のトランスデューサ92の上面は第4のパージチャンバ94と流体連通している。以下、第1のパージチャンバ82、第2のパージチャンバ86、第3のパージチャンバ90、および第4のパージチャンバ94は、パージチャンバと総称される場合がある。同様に、第1のトランスデューサ84および第2のトランスデューサ92はトランスデューサと称される場合があり、第1の膜80および第2の膜88は膜と称される場合がある。トランスデューサ10は、ワイヤ14によってコントローラ6(図示なし)と電気的に連通されて接続され、または、代替実施形態ではトランスデューサは無線式であることができる。
【0047】
第1のトランスデューサ84および第2のトランスデューサ92は、左縁部および右縁部でマニホルド62によって固定され、前縁部および後縁部はマニホルド62によって固定されない。この構成では、第1のパージチャンバ82および第2のパージチャンバ86は、互いに、かつ入口管46および出口管48に流体接続される。同様に、第3のパージチャンバ90および第4のパージチャンバ94は、互いに、かつ第2の入口管98および第2の出口管100に流体接続される。
【0048】
動作中、センサアレイ60を用いて、液体8中の平均汚染物質濃度を判断することができる。例えば、センサアレイ60は、2組の電気的情報をコントローラ6(図示なし)に提供することができる。次に、情報を分析することができ、平均汚染物質濃度を判断することができる。より具体的には、第1の膜80は、液体8中の様々な汚染物質がそれを通って移動し、かつ第1のパージチャンバ82および第2のパージチャンバ86内に分布することができるように構成することができる。その中に入ると、汚染物質は、第1のトランスデューサ84によってコントローラ6に提供される電気的情報に影響する。同様に、第2の膜88は、第1のパージチャンバ82および第2のパージチャンバ86内の様々な汚染物質がそれを通って移動し、かつ第3のパージチャンバ90内に分布することができるように構成することができる。その中に入ると、汚染物質は、第2のトランスデューサ92によってコントローラ6に提供される電気的情報に影響する。
【0049】
第2の膜88は、各膜(第1の膜80および第2の膜88)を通ることができる特定の汚染物質を変更するため、第1の膜80と同じ膜材料または異なる膜材料を含むことができる。
【0050】
一実施形態では、コントローラ6は、所望の汚染物質が膜12を通って移動する時間に基づいて、センサアレイ60によって供給される電気的情報を評価することができる。例えば、第1の膜および第2の膜88が同じ材料を含んでいた場合、第1のトランスデューサ84によって電気的情報が供給される前の経過時間は、第2のトランスデューサ92によって電気的情報が供給される前の経過時間と同様であり、コントローラによって比較することができる。
【0051】
別の実施形態では、第1の膜80および第2の膜88は同じ膜材料を含むことができるが、厚さが異なる。この構成では、同様に、各センサによって供給される電気的情報が平坦域に達するか、または特定のレベルに達するのに必要な継続時間を、コントローラ6によって評価し利用して、所望以外の汚染物質が所望の汚染物質のイオン輸送に影響しているかなどを判断することができる。
【0052】
代替実施形態では、第1の膜80および第2の膜88は、異なる材料を用いて、所望以外の汚染物質の存在によって引き起こされる干渉を低減することができる。より具体的には、第1の膜80を、所望の汚染物質のイオン輸送を可能にするが、それを通る所望以外の汚染物質の移動も同様に可能にするように構成することができる。第2の膜88は、所望以外の汚染物質のイオン輸送を可能にする(ただし、所望の汚染物質の輸送は可能にしない)ように構成することができる。この構成では、コントローラ6は、第1のトランスデューサ84および第2のトランスデューサ92によって供給される電気的情報を評価し、所望以外の汚染物質が存在するか、かつ/または第1の膜80を通過した所望以外の汚染物質がどの程度の濃度であるかを判断することができる。その後、コントローラ6は、第1のトランスデューサ84からの電気的情報が液体8中の所望の汚染物質の濃度を正確に表しているかを判断することができる。さらに、第2の汚染物質が存在すると判断された場合、コントローラ6は、その濃度を明らかにし、所望の汚染物質の正確な濃度を判断する(以下にさらに考察される)ことが可能であり得る。
【0053】
さらに別の実施形態では、第1の膜80および第2の膜88は異なる材料を用いることができ、また、第1の膜80は、所望の汚染物質のイオン輸送を可能にするが、所望以外の汚染物質の移動も同様に可能にすることができる。しかし、第2の膜88は、所望以外の汚染物質のイオン輸送を可能にせず、所望の汚染物質の輸送を可能にするように構成することができる。この構成では、コントローラ6は、第1のトランスデューサ84および第2のトランスデューサ92によって供給される電気的情報を評価し、所望以外の汚染物質が存在するか、かつ/または第1の膜80を通過した所望以外の汚染物質がどの程度の濃度であるかを判断することができる。その後、コントローラ6は、第1のトランスデューサ84からの電気的情報が液体8中の所望の汚染物質の濃度を正確に表しているかを判断することができる。さらに、所望以外の汚染物質が存在すると判断された場合、コントローラ6は、その濃度を明らかにし、所望の汚染物質の正確な濃度を判断する(以下にさらに考察される)ことが可能であり得る。
【0054】
コントローラ6は、センサ4、40および/またはセンサアレイ50、60からの情報を受信し、情報を解釈し、液体8中の汚染物質の濃度を判断することができる、任意の装置であることができる。より具体的には、センサ(4、40)および/またはセンサアレイ(50、60)に動作可能に接続されたデータ取得システムを含むコンピュータ(すなわち、電子情報を解釈することができる任意の電子デバイス)を用いることができる。さらにより具体的には、コンピュータは、データおよび命令を受け、命令を実行してデータを処理し、結果を表示することができる適切な電子デバイスである。したがって、コンピュータは、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ミニコンピュータ、光コンピュータ、ボードコンピュータ、複雑命令セットコンピュータ、ASIC(特定用途向け集積回路)、縮小命令セットコンピュータ、アナログコンピュータ、デジタルコンピュータ、分子コンピュータ、量子コンピュータ、セルコンピュータ、超伝導コンピュータ、スーパーコンピュータ、ソリッドステートコンピュータ、シングルボードコンピュータ、バッファ付きコンピュータ、コンピュータネットワーク、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、科学計算機、科学用計算器、または前述のいずれかの複合型であることができる。より具体的には、コントローラ6は、ROM(読み出し専用メモリ)に連結されたマイクロプロセッサである。
【0055】
コントローラ6によって受信される情報は信号などの電子情報であり、またはより具体的には、共振複素インピーダンス、複素インピーダンス、電気化学的に変調された複素インピーダンス、電流、および/または、液体8中の汚染物質の濃度を判断する能力をコントローラ6に提供するのに十分な他の電気的情報である。一般に、情報はアナログ形式で受信される。その場合、サンプリング周波数は、約0.0001ヘルツ(Hz)より大きく、より具体的には約1.0Hzよりも大きく、さらにより具体的には約100.0Hzよりも大きくあるべきである。1つの実施例では、コントローラは約400Hzで情報を受信することができる。情報は、デジタル形式で受信するか、かつ/またはコントローラによってデジタル形式に変換する(例えば、アナログ・デジタル変換器を利用して)こともできる。
【0056】
液体8中の汚染物質の濃度を判断するため、コントローラ6は、センサ/センサアレイから受信した情報をメモリ(例えば、参照テーブル、データアレイ、校正曲線など)と比較することができる。コントローラ6によってアクセスされるメモリは、望ましくは、実験的試験結果に基づいてメーカーによってプログラムされるが、コントローラ6またはユーザ(例えば、CDSを操作する任意の者)が経験的に判断することができる。メモリは、コントローラ6に動作的に連通して接続されるか、またはそれと一体であることができる。
【0057】
コントローラ6によって用いられる操作は、コンピュータ実装型のプロセスおよび/またはプロセスを実行する他の装置の形態で具体化することができる。これらの操作は、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、ハードドライブ、または他の任意のコンピュータ可読記憶媒体などの、実体的な媒体の形で具体化された命令を含む、コンピュータプログラムコードの形態で具体化することもでき、その際、コンピュータプログラムコードがコンピュータまたはコントローラにロードされ実行されると、コンピュータは方法を実行するための装置となる。方法は、また、例えば、記憶媒体に格納されるか、コンピュータもしくはコントローラにロードされ、かつ/またはそれによって実行されるか、電気配線もしくはケーブル布線、光ファイバー、または電磁放射などの何らかの送信媒体を通して送信されるか、コンピュータプログラムコードまたは信号の形態で具体化されてもよく、その際、コンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされ実行されると、コンピュータは方法を実行するための装置となる。汎用マイクロプロセッサ上で実現された場合、コンピュータプログラムコードセグメントは、マイクロプロセッサを構成して特定の論理回路を作る。
【0058】
最も具体的には、コントローラ6の作用の技術的効果は、センサおよび/またはセンサアレイから獲得した電気的情報を評価し、液体8中の汚染物質濃度を判断することである。これらの能力が、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの何らかの組み合わせの形で具体化される場合、実施形態は、個別の商品であるか、またはコンピュータシステムの一部として含まれるか、あるいは別個に販売されることができる。
【0059】
汚染物質検出システム(CDS)2は、図7に示される代表的な方法によって操作することができ、この方法は、液体を分析する段階と、情報をメモリと比較する段階と、液体中の汚染物質濃度を判断する段階とを含む。液体8は、液体8と流体連通して配置された、センサ4、40、またはセンサアレイ50、60によって分析することができる。例えば、原子炉(例えば、原子力発電所)では、センサアレイ60は、冷却水(液体8)を含むパイプに直接配置することができ、それによって、任意の追加の操作なしに冷却水を直接分析することができる。ただし、代替実施形態では、液体8は、ピペットまたは他のサンプリング手段を使用してサンプリングし、センサ4、40および/またはセンサアレイ50、60と流体接触させて配置することができる。任意の数のセンサを用いることができ、センサは、任意の多数の構成で配置し、異なるタイプの情報(例えば、温度、圧力、流量など)を提供することができることも留意されたい。
【0060】
液体8の分析中、コントローラ6は、1つもしくは複数のセンサ4、40、および/または1つもしくは複数のセンサアレイ50、60から、電気的情報(例えば、共振複素インピーダンス、複素インピーダンス、電気化学的に変調された複素インピーダンス、および/または電流)を受信する。例えば、次に図8を参照すると、複素インピーダンスグラフの代表的な図が示される。X軸上にはZ’がMΩ単位で示されており、ここでZ’は複素インピーダンスの実部である。Y軸上にはZ’’がMΩ単位で示されており、ここでZ’’は複素インピーダンスの虚部である。グラフから分かるように、5つのデータプロットが示される。サンプル1と名付けられた第1のプロットは、0重量十億分率(ppb)のクロリドイオンを有する水を含んでいた。サンプル2と名付けられた第2のプロットは、5ppbのクロリドイオンを有する水を含んでいた。サンプル3と名付けられた第3のプロットは、25ppbのクロリドイオンを有する水を含んでいた。サンプル4と名付けられた第4のプロットは、50ppbのクロリドイオンを有する水を含み、サンプル5と名付けられた第5のプロットは、100ppbのクロリドイオンを有する水を含んでいた。データから分かるように、様々なプロットはインピーダンス応答の著しい違いを呈していたので、サンプル中の汚染物質の濃度を定量化するために利用することができる。
【0061】
次に図9を参照すると、複素インピーダンスグラフの別の代表的な図が示される。X軸上には、Z’がMΩ単位で示されており、ここでZ’は複素インピーダンスの実部である。Y軸上には、Z’’がMΩ単位で示されており、ここでZ’’は複素インピーダンスの虚部である。グラフから分かるように、5つのデータプロットが示される。サンプル1と名付けられた第1のプロットは、0ppbのスルフェートイオンを有する水を含んでいた。サンプル2と名付けられた第2のプロットは、5ppbのスルフェートイオンを有する水を含んでいた。サンプル3と名付けられた第3のプロットは、25ppbのスルフェートイオンを有する水を含んでいた。サンプル4と名付けられた第4のプロットは、50ppbのスルフェートイオンを有する水を含み、サンプル5と名付けられた第5のプロットは、100ppbのスルフェートイオンを有する水を含んでいた。やはり、様々なプロットはインピーダンス応答の著しい違いを呈しているので、グラフを、サンプル中の汚染物質の濃度を定量化するために用いることが可能になる。
【0062】
次に図10を参照すると、複素インピーダンスグラフの別の代表的な図が示される。X軸上には、Z’がMΩ単位で示されており、ここでZ’は複素インピーダンスの虚部である。Y軸上には、Z’’がMΩ単位で示されており、ここでZ’’は複素インピーダンスの実部である。グラフから分かるように、5つのデータプロットが示される。サンプル1と名付けられた第1のプロットは、0ppbの亜鉛イオンを有する水を含んでいた。サンプル2と名付けられた第2のプロットは、5ppbの亜鉛イオンを有する水を含んでいた。サンプル3と名付けられた第3のプロットは、25ppbの亜鉛イオンを有する水を含んでいた。サンプル4と名付けられた第4のプロットは、50ppbの亜鉛イオンを有する水を含み、サンプル5と名付けられた第5のプロットは、100ppbの亜鉛イオンを有する水を含んでいた。やはりグラフから分かるように、様々なプロットはインピーダンス応答の著しい違いを呈していた。したがって、応答を、サンプル中の汚染物質の濃度を定量化するために利用することができる。
【0063】
情報を受信する際、フィルタ(例えば、帯域幅フィルタ、電圧フィルタ、およびサンプリングフィルタ)、コンバータ(例えばアナログ・デジタル変換器)、プロセッサ信号(例えば、フーリエ波形プロセッサ、ウェーブレット変換プロセッサなど)、バッファなどを利用して調整することができる。調整に関わらず、情報は、方法の次の段階で既知の情報と比較するためにメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)に格納することができる。
【0064】
コントローラ6が、1つもしくは複数のセンサ4、40、および/または1つもしくは複数のセンサアレイ50、60から情報を受信すると、コントローラ6は、情報をメモリに格納された既知の情報(例えば、参照テーブル、データアレイ、校正曲線など)と比較する第2の段階に進む。比較の間、受信した情報の態様は既知の情報と比較されて、次に、液体8中の特定の汚染物質の濃度を判断するために必要な任意の追加の情報がコントローラ6に提供される。情報の態様は、ピーク振幅、周波数、位相などの特定の特性であることができる。1つの実施例では、コントローラは、センサ40からインピーダンス情報と、センサ40のパージチャンバ42と流体連通して配置された熱電対から温度情報とを受信するが、ここで、インピーダンスは55KΩ、温度は27℃である。この情報から、コントローラ6は、図11に示されるような参照テーブルを参照することができ、また、アルゴリズム(代表的な実施形態におけるインピーダンス応答は温度の対数関数である)に対して、温度プロットが20℃のプロットと30℃のプロットの間に内挿されて、対応する濃度をそこから判断することが可能な27℃のプロットが提供されると判断することができる。この時点で、コントローラ6は、汚染物質の濃度を判断する第3の段階に進むことができる。
【0065】
方法の第3の段階では、コントローラ6は、メモリからアクセスされる任意の情報を利用して、液体8中の汚染物質濃度を判断する。濃度は、アルゴリズム、内挿、外挿、計算、および任意の他の技術を利用して計算することができ、ならびに、コントローラ6によって集められたもしくは知られている情報に基づいて相関させることができる。例えば、上述の実施例を続けると、20℃と30℃のプロットから27℃のプロットが内挿されるべきであるとコントローラ6が判断すると、27℃のプロットが内挿され利用されて、図11に示されるように、27℃および55KΩでの対応する濃度は240十億分率(ppb)であると判断される。
【0066】
それに加えて、代表的な方法の任意の段階において、コントローラ6は、受信した情報が、液体8中の目的の汚染物質の濃度を判断するのに利用するための許容範囲内にあるかを判断することができる。例えば、受信した情報をメモリと比較する方法の第2の段階の間、コントローラ6は、センサアレイ50の追加センサ40またはセンサ60の第2のトランスデューサ92などからの追加の情報を受信することができ、その際、追加の情報を利用して、高濃度の所望以外の汚染物質が情報に悪影響を及ぼしているかを判断することができ、または、それを用いて所望以外の汚染物質の特定の濃度を明らかにすることができる。
【0067】
代替実施形態では、コントローラ6は、正準相関分析、回帰分析、主成分分析、判別関数分析、多次元尺度構成法、線形判別分析、論理回帰、および/またはニューラルネットワーク分析などの、電気的情報から濃度を定量化する多変量解析ツールを用いることができるかもしれない。
【0068】
コントローラ6によって受信される電気的情報の量は大量になる場合があるので、センサアレイ50、60が用いられる多変量解析ツールは特に適切である。その目的のため、多変量解析ツールには単変量校正方法を超えるいくつかの利点がある。第1に、1つを超える測定チャネルが分析に用いられるので、信号加算平均が達成される。また、複数の種が校正液体中に存在する場合、それらの濃度が測定されてもよい。校正モデルは、校正標準溶液からの応答を使用することによって構築される。校正モデル中において明らかになっていない種が液体中にある場合、未知の液体の分析は困難になるであろう。このことは、液体が校正セットからのアウトライアーであるか否かを検出する能力によって多少緩和される。多変量校正の手法により、異なる種からの重なり合った応答が単変量解析を使用する妨げになるとき、複数の種(例えば、汚染物質)を有する液体(例えば、水)中の目的の複数の種を選択的に定量化し、センシング膜12を備えたセンサ4などの低分解能の機器を使用して干渉することが可能になる。
【0069】
一実施形態では、主成分分析(PCA)が、動的データから所望の記述子を抽出するために使用された。PCAは、共直線性が除去された次元数の低い部分空間上にデータセットを投影する多変量データ解析ツールである。PCAは、顕著な情報の損失がない元の変数の重み付けされた合計の観点から、データ行列Xの分散について説明することによってこの目的を達成する。元の変数のこれらの重み付けされた合計は、主成分(PC)と呼ばれる。PCAを適用する際、データ行列Xは、主成分の方向に沿った直交ベクトルの一次結合として表される。
【0070】
X=t+t+…+t+E (式1)
式中、
tは得点、
pは負荷ベクトル、
Kは主成分の数、
Eはランダム誤差を表す残りの行列、
Tは行列の転置である。
PCAの前に、自動スケーリングなどによってデータは適切に前処理された。
【0071】
多変量解析の適用性を実証するため、13.56メガヘルツ(MHz)の公称周波数を有する受動RFIDセンサを、純水に浸漬させた。可変濃度のNaClを作成し、RFIDセンサを、約600および1,000ppbのNaClと接触させて設置した。複数回反復して暴露を行った。ネットワークアナライザを使用して測定を行い、図13、14、15にそれぞれ示されるように、周波数偏移、ピーク幅、およびピーク強度を含む、無線センサからの3つのパラメータを測定した。多変量解析の結果は図12に示され、動的データの3つの主成分の得点プロットは、1つのRFIDセンサからの測定信号間の複雑な関係を示している。収集されたデータにおける関係は、PCAモデルの関連する主成分(例えば、PC1、PC2、およびPC3)の互いに対する得点をプロットし、式1を使用して図13〜15に示されるデータを処理することによって説明された。
【0072】
さらにより具体的には、データは、実部と虚部を含む複素インピーダンスを測定した無線RFIDトランスデューサを使用してコントローラ6に伝達された。これらの測定されたパラメータの非限定例としては、複素インピーダンスの実部の最大値のシフト、複素インピーダンスのピーク幅、および複素インピーダンスの実部の大きさ(ピーク強度)が挙げられる。多変量解析により、センサの応答に影響し、応答と干渉に関係する主な要因を識別することが可能になる。例えば、次に図16を参照すると、代表的なグラフは、約600ppbのNaClに対する2回反復した露出および約1,000ppbのNaClに対する3回反復した露出による結果を描く、実験時間に応じて変わる第2の主成分(PC)のプロットを示すPCA結果を示す。しかし、単一のPCの応答に基づいて、センサに対する影響を判断することは困難である。したがって、無線センサのいくつかの応答の組み合わせが分析される。例えば、次に図17を参照すると、代表的なグラフは、約600ppbのNaClに対する2回反復した露出および約1,000ppbのNaClに対する3回反復した露出による結果を描く、実験時間に応じて変わる第1および第2のPCのPCA結果を示す。明らかに、単一のセンサからの1つを超える応答を分析することにより、雑音の寄与と有用な信号との所望の区別が提供される。
【0073】
PCAなどの多変量ツールを使用して分析される無線センサデータの質を保証するため、いくつかの統計ツールが適用されてもよい。これらのツールは、多変量管理図および多変量寄与プロットである。多変量管理図は、組み合わせのサンプルまたは時間の関数としてプロットされた、ホテリングTおよびQ値などの、PCAモデルの2つの統計指標を使用する。PCAモデルの顕著な主成分はTチャートを展開するために使用され、残りのPCはQチャートに寄与する。正規化された二乗得点の合計、すなわちT統計により、PCAモデル内における変化の基準が得られ、統計的に異常なサンプルが判断される。
【0074】
=tλ−1=xPλ−1 (式2)
式中、
はTkのi番目の行であり、
kの行列はPCAモデルからのベクトルを採点し、
λ−1は、モデル中で保持されたK固有ベクトル(主成分)に関連付けられた固有値の逆数を含む対角行列、
はX中のi番目のサンプル、
Pは、PCAモデル中で保持されたK負荷ベクトルの行列(ここで各ベクトルはPの列)である。
Q残差は二乗された予測誤差であり、PCAモデルがどの程度良好に各サンプルに適合するかを説明する。それは、モデル中で保持されたK主成分によって捕捉されない各サンプル中の変化量の基準である。
【0075】
=e=x(I−PkPk)x (式3)
式中、
はEのi番目の行、
Iは適切なサイズ(n×n)の恒等行列である。
【0076】
図18および19を参照すると、無線センサからの動的データに対する代表的な多変量のQおよびTの統計管理図がそれぞれ示される。これらの管理図は、いくつかのデータ点がPCAモデルによって説明されるTおよびQ統計の95%信頼限界を超えることを示す。これらの統計パラメータの寄与プロットを使用して、これらの警告の最大の誘因の原点を追跡することができる。
【0077】
時間とともに、化学センサ応答が変動し、誤った結果に結び付く場合がある。したがって、変動に対する補償は、センサの長期的な性能を強化することができ、正確な結果を可能にする。したがって、化学センサを使用する一実施形態は、センサに液体を導入する段階と、化学プローブ(すなわち、化学センサ)および導電率プローブ(すなわち、導電率センサ)を接触させて、液体中の特定の種の濃度ならびにその時点におけるその液体の導電率(例えば、1センチメートル当たりのマイクロジーメンス)を判断する段階とを含む。次に、任意の種を溶液に添加することによって溶液の導電率は非選択的に変わるので、導電率の測定値によって化学濃度の測定値を補正(例えば、調節)して、変動を補償することができる。導電率プローブ(導電率センサ)が、時間に伴う液体の導電率の変化(例えば、センサの感度および雑音に依存する)を測定するのに十分な感度を有する限り、この補正は任意のタイプの液体において可能である。したがって、センサは、1つまたは複数の化学プローブ(すなわち、1つまたは複数の化学センサ、例えばセンサアレイ)、1つまたは複数の導電率プローブ(すなわち、1つまたは複数の導電率センサ)および、適宜1つまたは複数の温度プローブ(すなわち、1つまたは複数の温度センサ)を含むことができ、その際、化学プローブと同様に、導電率プローブは液体と流体連通して、導電率の判断を可能にする。例えば、第1の導電率プローブを液体8中に置くことができ(例えば、液体8中の導電率を測定するため)、かつ/または、第2の導電率プローブをチャンバ42内に置いて、チャンバ42内の液体の導電率を測定することができる。
【0078】
導電率プローブは、DCモードで得られる導電率の測定を提供することができる。導電率センサは、複素インピーダンスの実部および虚部を得るために複素インピーダンス測定が行われる、複数の周波数において導電率の測定を提供する。
【0079】
導電率および/または温度プローブの応答からの補正は、多変量補正によって行うことができる。導電率が異なる周波数において測定され、かつZ’値およびZ’’値(上述)がこれらの異なる周波数で得られる場合に、導電率の変化に対する多変量補正が行われる。測定される周波数範囲は、0.00001Hz〜100,000,000Hz(すなわち、100MHz)、より具体的には0.0001Hz〜10MHz、さらにより具体的には0.001Hz〜5MHzであることができる。これらの多周波数導電率応答は、導電率プローブからのデータ行列と化学センサからのデータ行列とを組み合わせ、上述の多変量解析ツールを使用して結果として得られる組み合わされた行列に対する多変量解析を行うことによって、多変量解析ツールを使用して、化学センサまたはセンサアレイの応答とさらに組み合わされる。適宜、導電率センサからの補正は単変量補正によって行うことができる。単変量補正の非限定例は、化学センサからの応答が導電率センサの応答によって正規化される場合である。
【0080】
一実施形態では、化学センサ変動の補正は相対的な補正によって行われる。プリセットされた導電率閾値を超える導電率応答に化学的に誘発された変化が測定されたとき、化学センサ測定が行われる。化学センサ測定値は、導電率センサ応答の閾値が変化する前の化学センサ応答と、導電率センサ応答の閾値が変化した後の化学センサ応答との差である。閾値導電率応答は、ベースライン導電率が既知のとき、指定された検出限界に対して様々な温度で計算または指定することができる任意の値である。例えば、25℃の超純水は、0.055μS/cmの導電率を有する。化学センサ測定を行う閾値は、例えば、0.1μS/cmであるように選択することができる(水中に存在する不純物によって導電率が0.1μS/cmを超えたとき、化学センサ測定が行われる)。微分化学センサ測定は短期間の間に行われるので、変動の影響は最小限にされるべきである。導電率がそれに対応して変化しない変動は無視される。
【0081】
温度プローブは、温度測定を得ることが可能になるように、液体と熱的に連通して配置することができる。導電率プローブおよび化学センサの応答は温度に依存するので、温度補正を読取り値に対して行うこともでき、温度補正は線形または非線形である。導電率データ行列に加えて、温度データも、データ解析および温度の影響に対する補正のために加えることができる。
【0082】
膜の表面効果およびバルク効果に対して補正を行うことができることに、さらに留意されたい。センサ膜における表面効果およびバルク効果を補正するため、同一のセンサ膜組成物が、作動中の化学センサ内および制御センサ上に堆積される。作動中の化学センサは上述したような信号を測定する。制御化学センサは、図8〜10に示されるものに類似の、ただしトランスデューサが制御センシング膜で覆われているときに得られる複素インピーダンス信号を測定する。膜構成成分の浸出、膜の他の不可逆的変化(化学物質に暴露された際の膜からの種の不完全な拡散など)、およびセンサ膜の厚さに関係している膜のバルク誘電特性は、比較的高い周波数応答から判断され、表面効果(例えば、膜の表面汚染および膜の侵食など)は、比較的低い周波数応答から判断される。
【0083】
以下の実施例は例示に過ぎず、センサおよびその使用をさらに説明するために提供されるものであって、限定的なものではない。
【実施例】
【0084】
実験1
第1の実験では、センサ2を、トランスデューサ10(13.56MHzの公称周波数で動作する)およびポリスルホン膜12としての無線識別タグを使用して構築した。RFIDトランスデューサは、481−1067−1−NDの品番でDigi−Keyから購入した。
【0085】
センサは、ポリスルホンをジメチルスルホキシド(DMSO、Aldrich Chemical Company Inc.から購入)に37℃で24時間溶解して、約10体積%〜15体積%の固体を有する溶液を作成することによって組み立てた。次に、コーティングをRFIDトランスデューサに塗布し、37℃で24時間乾燥させた。コーティングが乾燥した後、結果として得られた膜12は約50μmの平均厚さを有していた。
【0086】
ポリスルホンでコーティングされたセンサ2を、試験装置の導管内に配置した。比較のため、コーティングなしのトランスデューサ10も導管内に配置した。センサ2およびコーティングなしのトランスデューサ10が様々な濃度で様々な汚染化学物質を含む様々な溶液に触れると、Zmaxを記録することができるようにして、データ取得システム(LabVIEW、National Instruments,Inc.)を、センサ2およびコーティングなしのトランスデューサ10に動作可能に接続した。
【0087】
約100ppbのNaSOを含む第1の水溶液が導管を通過したときに、ポリスルホンでコーティングされたセンサ2およびコーティングなしのトランスデューサ10の、複素インピーダンス(ピーク強度)の実部のZmaxおよび大きさを測定した。Zmax値が平坦になって見えたとき、水が導管を通過してイオンが膜12からパージされた。この手順を、約100ppbのHClを含む第2の水溶液、約100ppbのNaClを含む第3の水溶液、および約100ppbのKHPOを含む第4の水溶液を使用して繰り返した。
【0088】
図20には、実験1の間に生成された代表的なグラフが示される。図から分かるように、コーティングなしのRFIDトランスデューサおよびポリスルホンでコーティングされたRFIDトランスデューサ10のZmax応答を、NaClに対するそれぞれの応答によって正規化した。この信号の正規化は、トランスデューサがコーティングされていないとき、ならびにセンシング膜12(ポリスルホン)でコーティングされているときの、4つの異なるイオン溶液に対するセンサの応答の多様性を評価するために行った。図に示されるように、コーティングなしとコーティングありのトランスデューサを用いて得られた4つの溶液に対する応答パターンは、異なるイオン溶液間の差分に対してこの手法を適用するため、所望のように異なる。
【0089】
実験2
第2の実験では、センサ2を、トランスデューサ10(13.56MHzの公称周波数で動作する)およびポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)膜12としての無線識別タグを使用して構築した。センサは、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)(Aldrich Chemical Co.)を1−メトキシ−2−プロパノール(Aldrich)に20℃で24時間溶解して、約10体積%〜15体積%の固体を有する溶液を作成することによって組み立てた。次に、コーティングをRFIDトランスデューサに塗布し、20℃で24時間乾燥させた。結果として得られた膜12は約10〜50μmの平均厚さを有していた。
【0090】
ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)でコーティングされたセンサを、実験1に利用したものと類似の試験装置内に配置したが、コーティングなしのトランスデューサは用いなかった。装置は、時間に対するポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)でコーティングされたセンサ2のZmaxを測定することができた。
【0091】
ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)でコーティングされたセンサを、40ppbのNaClを含む第1の水溶液に触れさせた。Zmax値が平坦になって見えたとき、水が導入されてイオンが膜12からパージされた。その後、8ppbのNaClを含む第2の水溶液を導管に通過させた。Zmax値が平坦になって見えたとき、水が導入されてイオンが膜12からパージされた。その後、14ppbのHClを含む第3の水溶液を導管に通過させた。Zmax値が平坦になって見えたとき、水が導入されたイオンが膜12からパージされた。その後、72ppbのHClを含む第4の水溶液を導管に通過させた。Zmax値が平坦になって見えたとき、水が導入されてイオンが膜12からパージされた。
【0092】
図21には、実験2の結果を示す代表的なグラフが示され、グラフはZmax値が水のZmax値で始まることを示す。図に示されるように、第1の溶液が導入されたとき、約200秒において、イオンが膜12に入る結果としてZmaxは減少し始める。約300秒において、Zmaxは平坦域に達し、そのとき、水が導管に導入されてNaClイオン形態が膜12から洗い流された。明らかなように、Zmaxは再び水のZmax付近まで戻った。約425秒において、第2の溶液が添加され、Zmaxは減少し始め、約600秒において平坦域に達した。第2の溶液の平坦域は第1の溶液のZmax値を呈さず、したがって、センサ2は、濃度に依存したZmaxを提供することができることに留意されたい。これは、第3の溶液のZmaxを第4の溶液のZmaxと比較したときにも見られる。それに加えて、NaClは、一般に、HClよりも大きなZmax値を呈する(8ppbのNaClと14ppbのHCl、および40ppbのNaClと72ppbのHClを比較して)ので、膜12内に移動するNaClイオンの量は、通ることができるHClイオンの量よりも多い。さらに、サンプリングの間に水をパージさせることで、測定されたZmaxはベースライン付近に戻ることに留意されたい。
【0093】
実験3
第3の実験では、センサ2を、2電極の金製のインターデジタル形トランスデューサ10(図3を参照)およびポリアニリン(PANI)膜12を使用して構築した。アニリンモノマーは、242284の品番でAldrich Chemical Company Inc.から購入した。
【0094】
高分子膜12は、50mV/秒の速度で銀/酸化銀参照に対する−0.3V〜1.1Vの電位を繰り返し印加しながら、1MのHSO中に0.1Mのアニリンの濃度で、アニリンモノマーをトランスデューサの表面上に電気重合することによって堆積させた。結果として得られたポリアニリン膜12は、約1〜100μmの平均厚さを有していた。
【0095】
ポリアニリンでコーティングされたセンサ4を、LabVIEW(National Instruments)を使用して動作するデータ取得システムに接続し、40ppbのZnClを含む水溶液に触れさせた。インピーダンスが平坦になって見えたとき、水が導入されてイオンが膜12からパージされた。その後、190ppbのZnClを含む第2の水溶液を導管に通過させた。インピーダンスが平坦になって見えたとき、水が導入されてイオンが膜12からパージされた。その後、151ppbのZnClを含む第3の水溶液を導管に通過させた。インピーダンスが平坦になって見えたとき、水が導入されてイオンが膜12からパージされた。
【0096】
図22では、代表的なグラフは実験3の結果を示し、グラフは時間に対するΩ単位の実インピーダンスを示す。プロットは、水中のセンサのインピーダンス信号(例えば、1.127×10Ω)から始まる。約500秒において、第1の溶液が導入され、約600秒において、インピーダンスは約1.175×10Ωまで減少し、そのとき、導管が水でパージされて、インピーダンスが水のインピーダンスまで戻った。約1500秒において、第2の溶液が試験装置に導入され、それによって約1800秒においてインピーダンスは約8.75×10Ωまで低下し、次に洗い流された。約2600秒において、第3の溶液が導入され、それによって約2,900秒においてインピーダンスは約1.00×106Ωまで低下した。
【0097】
実験4
第4の実験では、幅約10μmの電極と電極間に10μmの間隔とを有する、2電極の金製のインターデジタル形電極(IDE)を用いた(図3を参照)。このIDEを、Aldrich Chemical Co.から得られるアニリンモノマーを使用して、アニリン高分子膜12でコーティングした。アニリンモノマーは、最初に、1MのHSO中に0.1Mのアニリンを有する溶液に触れさせ、銀/酸化銀(Ag/AgCl)参照に対する−0.3V〜1.1Vの電位を繰り返し印加する(50mV/秒の走査速度)ことによって、IDEの表面上に電気重合した。
【0098】
ポリアニリン(PANI)でコーティングされたIDEを、超純水中にクロリドとスルフェートの汚染物質を含むサンプルに暴露した。より具体的には、サンプルは、40ppb、190ppb、および151ppbのZnClと、40ppb、190ppb、および290ppbのZnSOとを水中に有する溶液を含んでいた。情報は、20Hz〜1MHzの複素インピーダンスの実データ成分および虚データ成分を測定しそのログを取るように構成された、データ取得システムを介してIDEから受信した。
【0099】
PANIでコーティングされたIDEトランスデューサによって提供される応答の選択性および感度を、主成分分析プロットとして図23に示す。プロット図では、2つの主成分(PC1およびPC2)がプロットされる。プロット図から分かるように、PANIでコーティングされたIDEは、ZnCl溶液およびZnSO溶液の分析において高い選択性と感度を呈する。
【0100】
実験5
この実験では、自動センサ変動補正の方法が示される。31.8重量%のポリ(塩化ビニル)(PVC)、64.5重量%の可塑剤(ビス(2−エチルヘキシル)セバケート(DOS)など)、1.3重量%の中性塩(テトラドデシルアンモニウムテトラキス(4−クロロフェニル)ボラート(TDDATCPB))、1.1重量%のイオン交換剤(テトラドデシルアンモニウムクロリド(TDDMACl)など)、および1.3重量%のスルフェートイオン透過担体(1,3−[ビス(3−フェニルチオウレ−イドメチル)]ベンゼンなど)の配合高分子組成物を利用した、スルフェートセンサ膜を成長させた。
【0101】
センサ膜溶液を、電極の先端上に滴下塗布し、次に室温でX時間溶剤蒸発させた。スルフェート検出は、結果として得られたセンサを用いて、超高純度の脱イオン水中の5、25、50、および100ppbのスルフェートイオンにセンサを暴露することによって行った。水の導電率も、スルフェート検出と平行して監視した。図24は、1センチメートル当たりのマイクロジーメンス(μS/cmまたはmicroS/cm)単位で提供される導電率、電位(V対Ag/AgCl)、および時間(h)単位の時間を用いて、スルフェートセンサを異なるスルフェート濃度に繰り返し暴露した結果と、それと同時の導電率測定の結果とを示す。
【0102】
図24は、60時間の試験全体にわたる、スルフェートセンサの応答のわずかであるが顕著な変動を示す。したがって、このセンサ変動を補償する方法が開発されている。方法は、化学イオンセンサ応答の変動を補正するため、導電率プローブの応答を利用する。補正は、導電率プローブの応答によって化学イオンセンサの応答を正規化することによって行われる。この補正は、原子炉の水を模倣する試験された水が超高純度であったことによって可能になった(例えば、導電率センサは、この特定のサンプルの導電率の変化を検出するのに十分に高感度である。原子炉の水の導電率は、一般的に0.05〜0.15microS/cmであり、異なるイオンが存在することによって増加する)。イオンのバックグラウンド濃度が非常に高い水(飲料水、水道水、環境水など)では、水の導電率を使用するそのような補正は最も良くても問題があり、本質的に不可能である。望ましくは、液体(例えば、水)は1microS/cm未満のバックグラウンド導電率(すなわち、目的のイオンなしで)を有する。
【0103】
この方法の実験の実証を図25に示す。図25の上側のグラフは、0、5、25、50、および100ppbのスルフェートイオンに4回繰り返して暴露した際の、スルフェートセンサの元の応答を示す(例えば、図24に示される結果を図25に再度図示した)。明らかに、センサ応答の変動が原因で、これらの4つの応答曲線は互いからずれた。線1は、図24に示される第1の組の応答に対するもの(例えば、15時間以下)、線2は、第2の組の応答に対するもの(例えば、15時間〜30時間)、線3は、第3の組の応答に対するもの(例えば、30時間〜45時間)、線4は、第4の組の応答に対するもの(例えば、45時間〜60時間)である。しかし、液体(例えば、水)の導電率値の変化によって、化学イオンセンサの応答を補正(例えば、正規化)する際、図25の下側のグラフに示されるように、繰り返し応答曲線はさらに再現可能である。換言すると、導電率の変化を使用して、センサの変動に対する補償が成功裡に得られた。
【0104】
開示される検出方法および汚染物質検出システムには、いくつかの顕著な利点がある。第1に、汚染物質検出システムは、センサの膜およびその上に構築することができるトランスデューサからイオンを除去するためにパージすることができる、センサおよびセンサアレイを組み込む。この能力によって、センシングモードの間にセンサを校正することが可能になり、それにより、イオンの蓄積によって生じる干渉を低減および/または排除し、かつベースライン変動を低減することができる。さらに、本明細書に開示されるセンサおよびセンサアレイは、それを通るイオンの輸送を選択的に可能にする膜を用いることができる。これにより、液体内の所望以外の汚染物質イオンによって引き起こされる干渉が最小限になる。さらにまた、センサおよびセンサアレイは異なるメンブランの複数の膜を含むことができ、それにより、システムが、干渉イオン形態の所望以外の汚染物質が存在することを判断し、それらの干渉イオンの濃度を評価することができるようにして、その結果、これらのイオンの濃度を明らかにして、液体中の目的の汚染物質の濃度を判断する精度を改善することができる、汚染物質検出システムを操作する方法が可能になる。さらにまた、センサおよびセンサアレイは、少量の液体(例えば、水)を用いることでサンプリング時間を減少させ、また、センサの構成要素を必要に応じて交換できるように、モジュラー設計で校正することができる。
【0105】
本明細書に開示される範囲は、包括的かつ結合可能である(例えば、「約25重量%以下、またはより具体的には約5重量%〜約20重量%」が、「約5重量%〜約25重量%」の範囲の両端とすべての中間値を包含するなど)。「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを包含する。さらに、「第1の」、「第2の」などの用語は、本明細書では、あらゆる順序、量、または重要性を意味するものではなく、1つの要素を別の要素と区別するために使用され、「1つの(「a」および「an」)」の用語は、量の限定を意味するものではなく、言及された品目が少なくとも1つ存在することを意味する。量に関して使用される「約」の修飾句は、状態値を包含し、文脈によって決定される意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連付けられたある程度の誤差を含む)。本明細書で使用される「1つまたは複数の」の語句は、用語の単数と複数の両方を含み、それにより、その用語の1つ以上を含む(例えば、1つまたは複数の着色剤とは1つ以上の着色剤を含む)。明細書全体を通して、「一実施形態」、「別の実施形態」、「実施形態」などに対する言及は、実施形態に関して記載される特定の要素(例えば、特徴、機構、および/または特性)が、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態には存在してもしなくてもよいことを意味する。それに加えて、記載される要素は、様々な実施形態において任意の適切な形で組み合わされてもよいことを理解されたい。センサおよびプローブという用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0106】
引用された特許、特許出願、および他の引用文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ただし、本出願における用語が組み込まれた引用文献の用語と相反または矛盾する場合、本出願からの用語が、引用文献から組み込まれた矛盾する用語に優先する。
【0107】
本発明を代表的な実施形態を参照して記載してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更が行われてもよく、またそれらの要素が等価物と置き換えられてもよいことが、当業者には理解されるであろう。それに加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正が行われてもよい。したがって、本発明は、本明細書を実施するために想到される最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の請求項の範囲内にあるすべての実施形態を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】代表的な汚染物質検出システム(CDS)の図である。
【図2】代表的なセンサの断面図である。
【図3】代表的なトランスデューサの図である。
【図4】代表的なセンサの断面図である。
【図5】代表的なセンサアレイの断面図である。
【図6】代表的なセンサアレイの断面図である。
【図7】汚染物質検出システム(CDS)を操作する代表的な方法の図である。
【図8】代表的な複素インピーダンスグラフの図である。
【図9】代表的な複素インピーダンスグラフの図である。
【図10】代表的な複素インピーダンスグラフの図である。
【図11】代表的なグラフ形式の参照テーブルの図である。
【図12】主成分分析(PCA)グラフの代表的な図である。
【図13】周波数偏移グラフの代表的な図である。
【図14】虚信号成分グラフのピーク幅の代表的な図である。
【図15】実信号成分グラフのピーク強度の代表的な図である。
【図16】実験時間に応じて変わる第2の主成分の代表的なグラフである。
【図17】実験時間に応じて変わる第1および第2の主成分の代表的なグラフである。
【図18】多変量Q残差統計管理図グラフの代表的な図である。
【図19】多変量ホテリングT統計管理図グラフの代表的な図である。
【図20】実験1の間に生成されたトランスデューサに対する応答の選択性および感度を示す代表的なグラフである。
【図21】実験2の間に生成されたトランスデューサに対する応答の選択性および感度を示す代表的なグラフである。
【図22】実験3の間に生成されたトランスデューサに対する応答の選択性および感度を示す代表的なグラフである。
【図23】実験4の間に生成されたトランスデューサに対する応答の選択性および感度を示す代表的なグラフである。
【図24】実験5におけるスルフェートセンサの導電率および電位の代表的なグラフである。
【図25A】実験5の間に生成されたスルフェートセンサに対する元の応答および補正された応答の代表的なグラフである。
【図25B】実験5の間に生成されたスルフェートセンサに対する元の応答および補正された応答の代表的なグラフである。
【符号の説明】
【0109】
2 汚染物質検出システム
4 センサ
6 コントローラ
8 検体
10 トランスデューサ
12 膜
14 ワイヤ
16 マニホルド
18 導管
20 トランスデューサ
22 膜
24 マニホルド
30 第1の電極
32 第2の電極
34 インターデジタル形フィンガー
36 基部
40 センサ
42 パージチャンバ
44 パージ媒体
46 入口管
48 出口管
50 センサアレイ
52 第1のセンサ
54 第2のセンサ
56 第3のセンサ
60 センサアレイ
62 マニホルド
64 上面
66 左側面
68 右側面
70 後面
72 前面
74 底面
76 試験用窓
80 第1の膜
82 第1のパージチャンバ
84 第1のトランスデューサ
86 第2のパージチャンバ
88 第2の膜
90 第3のパージチャンバ
92 第2のトランスデューサ
94 第4のパージチャンバ
96 縁部
98 第2の入口管
100 第2の出口管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ(4)を液体と接触させる段階と、
前記液体中の汚染物質の濃度に基づいて電気的情報を生成する段階と、
前記電気的情報をコントローラ(6)に送信する段階と、
前記液体中の汚染物質の前記濃度を判断する段階とを含み、
前記センサ(4)が、膜(12)、パージチャンバ(42)、およびトランスデューサ(10)を含み、それらが、前記膜(12)の第1の表面が前記液体と流体連通し、前記パージチャンバ(42)が前記膜(12)の前記第1の表面と反対側の第2の表面と流体連通し、前記トランスデューサ(10)が前記パージチャンバ(42)と流体連通するように構成された、液体中の汚染物質の検出方法。
【請求項2】
センサアレイ(50)を、水である液体と接触させる段階と、
前記センサアレイ(50)内のセンサ(4)からの電気的情報を生成する段階と、
前記電気的情報に基づいて汚染物質の濃度を判断する段階とを含み、
前記アレイ内のセンサ(4)がそれぞれ、トランスデューサ(10)に隣接して配置された膜(12)を含み、前記膜(12)によって特定の汚染物質の拡散を可能にする、原子炉の水の中の汚染物質を検出する装置の操作方法。
【請求項3】
前記液体と接触させる前記段階の前に、前記液体を予備調整する段階をさらに含み、前記予備調整する段階が、温度調整、加圧、攪拌、化学物質との混合、および前述の少なくとも1つを含む組み合わせから成る群から選択されたプロセスをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
導電率プローブを前記液体と接触させる段階と、前記液体の導電率を判断する段階と、前記導電率に基づいて前記液体の濃度を補正する段階とをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記濃度を補正する前記段階に単変量補正を使用することを含むことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記膜(12)のバルク効果を補正する段階をさらに含み、前記バルク効果が、前記膜(12)の構成成分の浸出、前記膜(12)の構成成分の性能の低下、および前述の少なくとも1つを含む組み合わせから成る群から選択されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記膜(12)の表面効果を補正する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記濃度を補正する前記段階が、インピーダンス測定、または電位差測定とインピーダンス測定の組み合わせを含むことを特徴とする請求項6乃至7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記センサ(4)が、作用電極と参照電極を含む電位差センサ(4)であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記センサアレイ(50)内の第2のセンサ(54)からの第2の電気的情報を生成する段階と、
前記第2の電気的情報に基づいて第2の汚染物質の濃度を判断する段階とをさらに含むことを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【公開番号】特開2008−129009(P2008−129009A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285659(P2007−285659)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】