説明

液体供給装置

【課題】 一定量の液体を安定して供給するとともにコストを低減する。
【解決手段】 貯留タンク1から受入口9を介して計量タンク8に水を送り込み、計量タンク8にエアポンプ18からのエアにより、供給口22aから水を受け入れる容器に供給する。受入口9には、計量タンク8から貯留タンク1への水の逆流を規制する逆止弁13が設けられている。そして、計量タンク8において内部空間における最上部8aの高さ位置Aは、貯留タンク1において内部空間における最下部1aの高さ位置Bよりも低い位置に位置付けられている。また、エアポンプ18の高さ位置Dおよび供給口22aの高さ位置Eは、貯留タンク1において内部空間における最上部1bの高さ位置Cよりも高い位置に位置付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子レンジ等のスチーム用として一定量の水を供給するための液体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の液体供給装置としては、貯水タンクと、この貯水タンクから供給される水を受け入れる受入口および製氷皿に水を送り出す排出口を有する所定容量の計量タンクと、この計量タンクにエアを供給するエアポンプと、前記計量タンクの吸入口および排出口のそれぞれに設けられ弁開閉作業を行うフロート弁とを備え、貯水タンクから計量タンクに流入させた水を計量タンク内に満たすことにより、受入口が一方のフロート弁によって閉塞され、しかる後、エアポンプによって計量タンクにエアを供給することにより、計量タンク内の水を排水口から排出して一定量の水を製氷皿に供給するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−39242号公報(段落〔0013〕〜〔0018〕、図1および図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来の液体供給装置においては、貯水タンクの水量(水位)や貯水タンクと計量タンクとの高さの差により、フロート弁の動作が不安定になりやすく、これを調整する作業が煩雑であり、一定量の水を供給するのが難しかった。また、構造が複雑なフロート弁を二つ必要とするため、コストが嵩むという問題もあった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、一定量の液体を安定して供給するとともにコストを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、液体を貯留する貯留タンクと、この貯留タンクから液体が送り込まれる受入口および送り込まれた液体を排出する排出口を有する所定容量の計量タンクと、この計量タンクにエアを送り込むエアポンプと、前記受入口を開閉し前記計量タンクから前記貯留タンクへの液体の逆流を規制する逆止弁と、前記排出口から排出された液体を供給する供給口とを備え、前記貯留タンク内に貯留された液体の液面の高さによる液圧で前記逆止弁を開き前記計量タンク内に液体を満たすとともに、前記エアポンプによってエアを前記計量タンクに送ることにより、前記計量タンク内の液体を前記排出口を通して前記供給口から一定量供給するものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記計量タンクの内部空間における最上部の高さ位置を前記貯留タンクの内部空間における最下部の高さ位置よりも低い位置に位置付け、前記エアポンプの高さ位置および前記供給口の高さ位置を前記貯留タンクの内部空間における最上部の高さ位置よりも高い位置に位置付けたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、貯留タンク内に貯留された液体の水位による液圧で逆止弁を開き、計量タンク内に液体を満たすようにしたことにより、逆止弁の構造を簡素化することができるためコストが低減される。
【0009】
また、前記発明のうちの一つの発明によれば、エアポンプおよび供給口の高さ位置を貯留タンクの内部空間における最上部の高さよりも高い位置に位置付けたことにより、計量タンク内に所定量の液体が満たされると自動的に貯留タンクから計量タンクへの液体の送り込みが停止するため、排出口を開閉する弁体が不要になるとともに、一定量の液体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る液体供給装置の断面図である。
【図2】本発明に係る液体供給装置において、貯留タンクから計量タンクへ液体を流入させている状態を示す断面図である。
【図3】本発明に係る液体供給装置において、計量タンクに液体が満たされた状態を示す断面図である。
【図4】本発明に係る液体供給装置において、計量タンク内の液体を供給口から供給している状態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る液体供給装置において、計量タンク内の液体をすべて供給口から供給し終わった状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1に符号1で示すものは液体としての水が貯留され略密閉状態の箱状に形成された貯留タンクであって、貯留タンク1内の水を最後の一滴まで取水できるサイホン3と、貯留タンク1の側面に設けられサイホン3で取水された水を後述するチューブ17に導く給水口4と、蓋5によって覆われ貯留タンク1内に水2を補給するために貯留タンク1の上面に設けられた補給口6とがそれぞれ備えられている。
【0012】
8は一定量を計量するために略密閉状態の箱状に形成され前記貯留タンク1の容積よりも小さい容積を有する計量タンクであって、一側部に設けられ貯留タンク1から水を受け入れる受入口9と、他側部の下部に設けられ水を計量タンク8から送り出す排出口10と、上面に設けられ後述するエアポンプ18からエアを受け入れる空気口12とが備えられている。
【0013】
13は受入口9を開閉するための逆止弁であって、計量タンク8から貯留タンク1への水の逆流を規制する。この逆止弁13は略平板状を呈しており、支持部材14を介して支点15を揺動中心として自重によって計量タンク8に揺動自在に支持され、後述するように貯留タンク1から送り込まれる水2の圧力によって揺動し受入口9を開く。一方、エアポンプ18から計量タンク8内に送り出されたエアによって、逆止弁13は受入口9を閉じるように揺動する。
【0014】
17は貯留タンク1の給水口4と、計量タンク8の受入口9との間を接続するチューブであって、サイホン3によって取水された水が計量タンク8内に送り込まれる。19はエアポンプ18と計量タンク8の空気口12との間を接続するチューブであって、エアポンプ18からのエアが計量タンク8内に送り込まれる。
【0015】
計量タンク8の排出口10にはチューブ21の下端部が接続されており、このチューブ21の上端部には供給チューブ22の一端部が接続されている。供給チューブ22の他端には供給口22aが設けられており、後述するように計量タンク8の排出口10から排出された水は、チューブ21および供給チューブ22を介して供給口22aから水を受け入れる容器(図示せず)に供給される。
【0016】
ここで、計量タンク8において水が満たされる内部空間における最上部8aの高さ位置、すなわち計量タンク8内に満たされた水2B(図3参照)の液面2bの高さ位置Aは、貯留タンク1において水を貯留するための内部空間における最下部1aの高さ位置Bよりも低い位置に位置付けられている。また、エアポンプ18の高さ位置Dおよび供給口22aの高さ位置Eは、貯留タンク1において水を貯留するための内部空間における最上部1bの高さ位置Cよりも高い位置に位置付けられている。
【0017】
なお、チューブ19,21の断面積は、説明の都合上、大きく図示しているが、実際は計量タンク8の断面積と比較して極めて小さく形成されている。したがって、チューブ19,21の容積も、計量タンク8の容積と比較して極めて小さく形成されている。
【0018】
次に、このように構成された液体供給装置における液体の供給動作について説明する。先ず、補給口6から水を貯留タンク1内に補給し、この貯留タンク1をチューブ17を介して計量タンク8に接続する。上述したように、計量タンク8の内部空間における最上部8aの高さ位置Aは、貯留タンク1の内部空間における最下部1aの高さ位置Bよりも低い位置に位置付けられているから、図2に示すように貯留タンク1内に貯留されている水2Aの水位F(水2Aの液面2aの高さ)が、計量タンク8の内部空間における最上部8aの高さ位置Aよりも高い。
【0019】
したがって、水位Fによる水の圧力によって、貯留タンク1内の水2Aは、チューブ17を通って、図2に示すように逆止弁13による受入口9の閉塞を開放させるように逆止弁13を揺動させるので、受入口9から計量タンク8内に水が流入する。
【0020】
計量タンク8内が水によって満たされた後も、貯留タンク1から計量タンク8内に水が送り込まれ、図3に示すようにチューブ19,21内の水位が、貯留タンク1内の水位F1と同じ水位F1となると、貯留タンク1からの計量タンク8内への水の送り込みが停止する。この状態で、計量タンク8の最上部8aの高さと同じ水位Aよりも高さHだけ高い水位F1を有するチューブ19,21内の水2C,2Dの水量は、上述したように計量タンク8内の水2Bの水量よりも極めて少ない量となっている。
【0021】
次いで、エアポンプ18を作動させ、チューブ19を介して計量タンク8内へエア20を送り込むと、エア20の圧力によって、図4に示すようにチューブ19内の水2Cと計量タンク8内の水2Bがチューブ21側へ押し出され、供給チューブ22を介して供給口22aから容器(図示せず)に水2が供給される。
【0022】
チューブ19内の水2C、計量タンク8内の水2Bおよびチューブ21内の水2Dのすべてが供給口22aから容器に供給されると、図5に示すように供給口22aからエアポンプ18から送り込まれたエア20が排出されるようになる。この時点で、まだ、このエアポンプ18から計量タンク8内に送り込まれたエアが残っているので、エアの圧力によって逆止弁13が受入口9を閉塞しているから、貯留タンク1から計量タンク8内への水の送り込みは規制されている。
【0023】
エアポンプ18の動作時間は、チューブ19内の水2C、計量タンク8内の水2Bおよびチューブ21内の水2Dのすべてが供給口22aから容器に供給されるのに要する時間よりも充分長く設定されているため、これらの水2B,2C,2Dを確実に容器に送り出すことができる。また、チューブ19内の水2Cおよびチューブ21内の水2Dの水量は、計量タンク8内の水2Bの水量に対して充分に少なく設定することが可能なので、供給口22aから供給される水量にばらつきがなくなり、常に一定の水量を供給口22aから供給することができる。
【0024】
また、貯留タンク1内の水2Aの水位による水の圧力で逆止弁13を開くことにより、計量タンク8内へ水を送り込み、計量タンク8内に水を満たした後は、チューブ19,21内に供給される水2C,2Dの水位F1が貯留タンク1内の水2Aの水位F1と同じになることにより、貯留タンク1から計量タンク8への水の供給が自動的に停止する。このため、排出口10を開閉する弁体が不要になり、従来のようにフロート弁を二つ必要とせずに、逆止弁13が一つだけで済み、かつ逆止弁13を平板状を呈する簡単な構造のものとすることができるためコストが低減される。
【0025】
なお、本実施の形態においては、液体として水2を例として説明したが、他の液体でもよいことは勿論である。また、逆止弁13は平板状を呈するものについてのみ説明したが、この形状に限定されるものではなく、要は貯留タンク1から送り込まれる水の圧力により開閉する弁であればよい。
【符号の説明】
【0026】
1…貯留タンク、1a…最下部、1b…最上部、2,2A,2B,2C,2D…水(液体)、8…計量タンク、8a…最上部、9…受入口、10…排出口、12…空気口、13…逆止弁、18…エアポンプ、19,21…チューブ、20…エア、22a…供給口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留タンクと、この貯留タンクから液体が送り込まれる受入口および送り込まれた液体を排出する排出口を有する所定容量の計量タンクと、この計量タンクにエアを送り込むエアポンプと、前記受入口を開閉し前記計量タンクから前記貯留タンクへの液体の逆流を規制する逆止弁と、前記排出口から排出された液体を供給する供給口とを備え、前記貯留タンク内に貯留された液体の液面の高さによる液圧で前記逆止弁を開き前記計量タンク内に液体を満たすとともに、前記エアポンプによってエアを前記計量タンクに送ることにより、前記計量タンク内の液体を前記排出口を通して前記供給口から一定量供給することを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記計量タンクの内部空間における最上部の高さ位置を前記貯留タンクの内部空間における最下部の高さ位置よりも低い位置に位置付け、前記エアポンプの高さ位置および前記供給口の高さ位置を前記貯留タンクの内部空間における最上部の高さ位置よりも高い位置に位置付けたことを特徴とする請求項1記載の液体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−92333(P2013−92333A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236040(P2011−236040)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000121833)応研精工株式会社 (31)
【Fターム(参考)】