説明

液体光開始剤ブレンド

本発明は、水を基礎とした、及び溶剤を基礎とした放射線硬化可能なシステム中に組み込むための光開始剤及びアルコキシレート界面活性剤を含有する均一な液体ブレンドに関する。特に、本発明は、遊離基タイプの固体光開始剤の全体のブレンドに関して少なくとも30質量%、及び少なくとも1つのアルコキシル化液体表面活性剤1〜70質量%、及び場合により有機希釈剤を含有する、室温で液体である均一な液体ブレンドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を基礎とした、及び溶剤を基礎とした放射線硬化可能なシステム中に組み込むための光開始剤及びアルコキシレート界面活性剤を含有する均一な液体ブレンドに関する。
【0002】
潜在的な問題は、多くの光開始剤が、室温で固体であり、かつそれらを被覆調合物に組み込む前に溶解されるべきであることである。固体の光開始剤を被覆調合物中に可溶化することは、被覆の性質に不利に影響し、又は環境側面から望ましくない物であってよい、過剰な又は追加の希釈剤を要求しうる。さらに、固体光開始剤の使用は、しばしば、UV硬化ペイントの製造中に、加工の欠点をもたらす。それらは、しばしば、均一な分布及び溶解に達するまでに長時間の混合を要求する。さらに、特に、水系UV硬化ペイントに関して、ペイント調合物がそれ自体混濁しているために均一な溶解の状態を制御することも非常に困難である。これらの問題は、より高い加工力、及びより劣った再生可能な品質を導く。従って、液体の光開始剤は、UV硬化ペイントの製造のために好ましい。他の選択肢は、反応希釈液中で光開始剤を溶解すること、液体のもので固体の光開始剤を溶解すること、及び被覆の特性に不利な影響を及ぼさない、非毒性、不揮発性の溶剤中で光開始剤を溶解することを含む。
【0003】
US 4,609,612(Ciba)は、50℃で油−液体又はペースト状の光開始剤組成物中に溶融する結晶化合物であるベンゾイルシクロヘキサノールを混合する問題を記載している。前記問題は、1−ベンゾイルシクロヘキサノールと、80℃未満で溶融する当量のベンゾフェノンとを混合することによって解決する。これらの混合物は、ある混合範囲内で液体であり、かつ従って、単純な方法で液体又はペースト状の組成物中に早急に組み込まれることができる。この溶液は、水性状態に相応しくない。
【0004】
欧州特許EP 1230276B1(Ciba)は、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィン酸化物(IRGACURE(登録商標)819)の水性懸濁液に関する。分散剤を水中で溶解し、そして光開始剤を室温で添加する。そして得られる濁液をコロイドミル中で処理し、0.1〜12μmの範囲での粒子を得る。
【0005】
欧州特許EP 386650(Lamberti)は、光開始剤及び界面活性剤を含有する水性分散液を開示している。前記光開始剤は、分散系30〜60質量%が存在する。前記界面活性剤は、例えば、高級脂肪族アルコールとエチレンオキシド及びプロピレンオキシドとの反応生成物である。最初に、均一な溶液を、光開始剤を高温で界面活性剤に添加することによって製造する。均一な溶液に水を添加する。前記溶液を、このように冷却しそして凝固させる。光開始剤分散体(固体粒子)を得る。該分散を研磨する。水性分散体としては、光開始剤粒子が長期の貯蔵に対して沈降し、かつ水性分散体が多くの非水性UV系と相容性ではないことの欠点が未だ残っている。
【0006】
UK特許出願GB 2014152は、液体溶液を形成するためのアルコキシル化液体表面活性剤中で溶解したトリアリールスルホニウム錯体塩光開始剤を含有するブレンドを記載しており、その際該錯体の塩は、少なくとも5質量%の濃度であり、かつ高くても30質量%であってよい。前記光開始剤のより高い濃度は開示されていない。
【0007】
本発明の根底にある問題は、室温で液体及び均一のままであり(すなわち分散体を形成しない)、かつ光開始剤の高い、有利には30質量%より多い有効含有率を有する液体光開始剤ブレンドを提供することである。該ブレンドは、水を基礎とした、及び溶剤を基礎とした放射線硬化システムのために適している。
【0008】
遊離基タイプの光開始剤と液体表面活性剤との、及び場合により有機希釈剤との混合は、光開始剤の高い含有率を有し、室温で安定な均一な液体ブレンドを導く。
【0009】
従って、本発明は、遊離基タイプの固体光開始剤の全体のブレンドに関して少なくとも30質量%、及び少なくとも1つのアルコキシル化液体表面活性剤1〜70質量%、及び場合により有機希釈剤(請求項1)を含有する、室温で液体である均一な液体ブレンドに関する。
【0010】
均一な系であるEP386650(Lamberti)の分散させた光開始剤と比較して、本発明は、室温で均一である。Lambertiは、室温で不均一生成物型を得るために水を要求する。高いエネルギー入力も、前記生成物型を製造するために要求する(分散プロセス)。
【0011】
定義
"均一な液体ブレンド"という用語は、一般に、分離してよい第二の液滴又は粒子相が存在しない、液相中での物質を記載している。液体ブレンドは、室温で3000mPs以下の粘度を有し、かつ従って、液体材料のポンピング及び混合のための標準技術要求を有する液体として加工されうる。
【0012】
アルコキシル化表面活性剤は、水性及び非水性調合物、例えばペイント又はインク調合物に対する乳化の特性の、及び得られる光開始剤の添加濃度の相容性を提供する原因である。有利には、純粋な界面活性剤は、室温で液体である。
【0013】
"アルコキシル化液体表面活性剤"という用語は、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの付加物に基づくアルコキシル化化合物から選択される表面活性剤の非イオン化合物の種々のタイプ(請求項3)を含むと解される。
【0014】
"アルコキシル化液体表面活性剤"という用語は、1つ以上の直鎖又は分枝鎖のC1〜C22アルキル鎖が、結合基の残基を介してアルキレンオキシド残基のオリゴマー又はポリマー鎖に連結されている化合物を言う。前記用語は、アルキル化されてよい1つ以上の芳香族基が、結合基の残基を介してアルキレンオキシド残基のオリゴマー又はポリマー鎖に連結されている化合物も言う。前記用語は、結合基の残基を介してアルキレンオキシド残基の1つ又は2つのオリゴマーもしくはポリマー鎖に連結されることができる1つ以上のアセチレン基を含有する化合物も言う。前記用語は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー又はランダムコポリマーも言う。前記架橋基は、酸素原子(アルコール又はフェノールからのヒドロキシル基残基)、カルボキシル基(脂肪酸又はエステル残基)、アミノ基(アミン基残基)、又はカルボキシアミド(カルボキシルアミド残基)であってよい。前記アルキレンオキシド残基は、典型的に、エチレンオキシド−CH2−CH2−O−又はプロピレンオキシド−CH2−CH2−CH2−O−、(−CH(CH3)−CH2−O)又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシド残基の組合せである。
【0015】
前記表面活性剤は、従って、アルコールアルコキシレート(グリコールエーテル)、脂肪酸アルコキシレート、脂肪酸アミンアルコキシレート、又は脂肪酸アミドアルコキシレート、フェノール又はアルキル置換したフェノールのアルコキシレート、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー又はランダムコポリマー、アルキン−アルコール又はアルキン−ジオールのアルコキシレート、ヒマシ油のアルコキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルのアルコキシレート、並びにそれらの混合物(請求項4)から選択される。
【0016】
適したアルコキシル化表面活性剤の例は、以下を含む:
式、C1〜C22アルキル−O−(AO)n−H又はC1〜C22アルキル−O−(AO)n−C1〜C6アルキルのアルコールアルコキシレート(グリコールエーテル)、
式、C1〜C22アルキル−COO−(AO)n−Hの又は式、C1〜C22アルキル−COO−(AO)n−C1〜C6アルキルの脂肪酸アルコキシレート、
式、C1〜C22アルキル−NRa−(AO)n−H;C1〜C22アルキル−NRa−(AO)n−C1〜C6アルキルの脂肪酸アミンアルコキシレート、又は
式、C1〜C22アルキル−CO−NRa−(AO)n−H;C1〜C22アルキル−NRa−CO−(AO)n−C1〜C6アルキルの脂肪酸アミドアルコキシレート
[式中、Raは、C1〜C6アルキル又は基−(AO)n−Hであり、かつそれぞれAOは、独立してエチレンオキシド又はプロピレンオキシドであり、かつ指数nの分子量における合計は、有利には2〜80、より有利には3〜40の範囲内である]
フェノール又はアルキル置換したフェノールのアルコキシレート、
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー又はランダムコポリマー、
アルキン−アルコール又はアルキン−ジオールのアルコキシレート、
ヒマシ油のアルコキシレート、
ソルビタン脂肪酸エステルのアルコキシレート。
【0017】
前記アルコキシレート中のC1〜C22アルキル基は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換、及び有利にはC6〜C20である。
【0018】
適したアルコキシル化液体表面活性剤の例は、直鎖又は分枝鎖のC1〜C22アルキル鎖が、前記で定義されたような架橋基の残基を介して、多官能価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、糖誘導体、例えばソルビタンエステル、トリグリセリド、例えばヒマシ油等に連結している化合物も含む。
【0019】
ポリ(アルキレンオキシド)基、例えばポリ(エチレンオキシド)基もしくはポリ(プロピレンオキシド)基、又はそれらの混合物を有する非イオン界面活性剤が好ましい。
【0020】
例えば、登録商標Brij、例えばポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(Brij30)又はポリオキシエチレン(20)セチルエーテル(Brij58)、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル(Brij78)及びポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル(Brij92)で販売されている化合物、又はポリエチレングリコールモノメチルエーテル(MPEG)である。他の例は、C12−オキソアルコール、例えばC13−オキシアルコール+3EO(Lutensol TO 3)、C13−オキソアルコール+7EO(Lutensol TO 7)への付加物、又はC10−オキソアルコール、例えばC10−オキソアルコール+6EO(Lutensol ON 60)への付加物である。
【0021】
脂肪酸のアルコキシル化エステルとグリセリン又はソルビタンとから誘導される非イオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートも好ましい。
【0022】
前記ソルビタンエステルは、商標名Tween、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート(Tween60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート(Tween65)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(Tween80)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート(Tween85)で販売されている。
【0023】
適したアルコキシル化脂肪酸の例は、ジエチレングリコールモノオレエート(Radiasurf7400)、PEG−400モノラウレート(Radiasurf7423)、PEG−600ジオレエート(Radiasurf7444)である。
【0024】
適した脂肪酸アミンアルコキシレートの例は、ラウリルアミンと5EOとの付加物(Lutensol FA 5 K)、ラウリルアミンと10EOとの付加物(Lutensol FA 10 K)である。
【0025】
適したアルコキシル化脂肪酸アミドの例は、オレイン酸アミドと10EOとの付加物(Lutensol FSA 10)、又はオレイン酸ものエタノールアミドと3EOとの付加物(Serdolamide NXC 3 H)である。
【0026】
アルコキシル化フェノールの例は、ノニルフェノールと3EOとの付加物(Marlophen NP 3)、ノニルフェノールと10EOとの付加物(Marlophen NP 10)、又はトリスチルフェノールのアルキレンオキシド付加物である。
【0027】
エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマーの例は、商標名Pluronicsで販売されている製品、例えばPluronics 3100、Pluronics 3500、Pluronics 4200、Pluronics 6400又はTetronic RED 9040(エチレンジアミンへのEO−POブロックコポリマー付加物)である。
【0028】
アルキン−アルコール又はアルキン−ジオールのアルコキシレートの例は、登録商標Surfynol(例えばSurfynol 104、Surynol 420、Surfynol 440、Surfynol 465及びSurfynol 2502)で販売されている製品である。
【0029】
野菜油又は動物脂のエトキシレートから由来する非イオン界面活性剤、例えばコーン油エトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、タロー油エトキシレートも好ましい。
【0030】
ヒマシ油エトキシレートのための例は、登録商標Hedipinで市販されているものである。
【0031】
前記界面活性剤は、前記のアルコキシル化表面活性物質の全ての分類のブレンドであってよい。
【0032】
場合により、1つ以上の有機希釈剤が存在してよい。
【0033】
場合により有機希釈剤は、さらに光開始剤の濃度の安定性を提供し、かつ異なる最終用途の調合物に対して光開始剤の濃度の相容性の改良を補助する。
【0034】
場合により有機希釈剤は、エステル及び又はエーテル化合物に基づく高沸点不活性液体、例えばオリゴエチレングリコール、アジペート、フタレート、アルキルエステル、芳香族エステル、ジエステル等からなる群から選択される。高沸点液体アルコール、例えばC10〜C20−アルコール又はポリオールも適している。より有利には、有機希釈剤は、120℃より高い、最も好ましくは160℃より高い沸点を有する。
【0035】
オリゴエチレングリコールの例は、異なる分子量のトリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコール又はテトラプロピレングリコール又はメトキシポリエチレングリコールを含む。エステル流体に基づく有機希釈剤の例は、ジオクチルアジペート、ジブチルアジペート、ベンジルベンゾエート、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルヘキシルエステル、クエン酸トリエチルエステルを含む。
【0036】
エーテル流体の例は、ジエチレングリコールジブチルエーテル及びフェノキシエタノールである。
【0037】
アルコールの例は、イソデカノール、C12〜C15オキソアルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、オリゴエチレングリコール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びグリセリンである。
【0038】
一実施態様において、有機希釈剤が存在する(請求項5)。
【0039】
本発明の液体ブレンド中の有機希釈剤の量は、典型的に、60質量%未満、有利には40質量%未満、及び最も有利には25質量%未満である。
【0040】
場合により前記ブレンドは水を含んでよい。少量の水は、本発明の光開始剤ブレンドの安定性に関して、及び非水性系に関する本発明の光開始剤の相溶性に関して負の影響を有さなくてよい。
【0041】
本発明液体ブレンド中の水の量は、典型的に10質量%未満、有利には5質量%未満及び最も有利には2質量%未満であり、又は水を有さない。
【0042】
光開始剤
前記光開始剤は、遊離基タイプのものである。該光開始剤は、室温で固体である。
【0043】
一実施態様において、前記光開始剤は、ベンゾフェノン、芳香族α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタール、芳香族α−アミノケトン、フェニルグリオキサル酸エステル、モノ−アシルホスフィンオキシド、ビス−アシルホスフィンオキシド、トリス−アシルホスフィンオキシド及び/又は芳香族ケトンから誘導されるオキシムエステルから選択される(請求項6)。
【0044】
光開始剤の例は、ショウノウキノン;ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、例えば2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−メトキシカルボニルベンゾフェノン4,4’−ビス(クロロメチル)−ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエート、3―メチル―4’−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチル−4’−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、
【化1】

[式中、sは1〜20である](Omnipol BP)、
【化2】

[式中、qは約2である]と
【化3】

[式中、dとeとの合計は約14であり、dはeより大きい]の混合物(Speedcure(登録商標)7005、Lambson社製)、
【化4】

[式中、fは約14である](Speedcure(登録商標)7006、Lambson社製)、
【化5】

[式中、gは約12である](Speedcure(登録商標)7003、Lambson社製)、
【化6】

[式中、hは約13である](Speedcure(登録商標)7020、Lambson社製)、並びに前記化合物のブレンド又は混合物;チオキサントン、チオキサントン誘導体、ポリマーチオキサントン、例えばOMNIPOL TX;ケタール化合物、例えばベンジルジメチルケタール(IRGACURE(登録商標)651);アセトフェノン、アセトフェノン誘導体、例えばα−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン又はα−ヒドロキシアルキルフェニルケトン、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン(DAROCUR(登録商標)1173)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE(登録商標)184)、1−(4−ドデシルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル―エタン、1−(4−イソプロピルベンゾイル)−1−ヒドロキシ−1−メチル−エタン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)2959);2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)127);2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン;ジアルコキシアセトフェノン、α−ヒドロキシ−又はα−アミノアセトフェノン、例えば(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(IRGACURE(登録商標)907)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)369)、(4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン)、(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン;4−アロイル−1,3−ジオキソラン、ベンゾインアルキルエーテル及びベンジルケタール、例えばジメチルベンジルケタール、フェニルグリオキサル酸及びそれらの誘導体、例えばメチルα−オキソベンゼンアセテート、オキソ−フェニル−酢酸2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチルエステル、二量体フェニルグリオキサルエステル、例えばオキソ−フェニル−酢酸1−メチル−2−[2−(2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ)−プロポキシ]−エチルエステル(IRGACURE(登録商標)754);ケトスルホン、例えばESACURE KIP 1001 M(登録商標);オキシムエステル、例えば1,2−オキタンジオン1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標)OXE01)、エタノン1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシムシム)(IRGACURE(登録商標)OXE02)、9H−チオキサンタン−2−カルボキシアルデヒド9−オキソ−2−(O−アセチルオキシム)、ペルエステル、例えばEP 126541において記載されているようなベンゾフェノンテトラカルボキシルペルエステル、モノアシルホスフィンオキシド、例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、エチル(2,4,6トリメチルベンゾイルフェニル)ホスフィン酸エステル;ビスアシルホスフィンオキシド、例えばビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)、ビス(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)−2,4−ジペントキシフェニルホスフィンオキシド、トリスアシルホスフィンオキシド、ハロメチルトリアジン、例えば2−[2−(4−メトキシ−フェニル)−ビニル]−4,6−ビス−トリクロロメチルー[1,3,5]トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、2−メチル−4,6−ビス−トリクロロメチル−[1,3,5]トリアジン、ヘキサアリールビスイミダゾール/共開始剤系、例えば2−メルカプトベンズチアゾールと合したオルト−クロロヘキサフェニル−ビスイミダゾール、フェロセニウム化合物、又はチタノセン、例えばビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−ピリリル−フェニル)チタン(IRGACURE(登録商標)784)である。さらに、ホウ素化合物を共開始剤として使用することができる。さらなる光開始剤として、オリゴマー化合物、例えばオリゴマーアルファヒドロキシケトン、例えば2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン、Fratelli Lamberti社製のESACURE KIP(登録商標)、又はオリゴマーアルファアミノケトンを、同様に使用してよい。
【0045】
一実施態様において、前記光開始剤は、ベンゾフェノン(DAROCURE(登録商標)BP)、ベンジルジメチルケタール(IRGACURE(登録商標)651)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACUR 184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1オン(IRGACURE(登録商標)2959)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)127)、(4−メチルチオ−ベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(IRGACURE(登録商標)907)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)369)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)379)、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)及び2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン、(ESACURE ONE(登録商標))、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンジルオキシム)(IRGACURE OXE01(登録商標))である(請求項7)。
【0046】
前記開始剤は、有利には、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IIRGACURE(登録商標)184)、2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン、(ESACURE ONE(登録商標))、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)2959)である。
【0047】
最も有利には、固体のアルファヒドロキシケトン、例えばIIRACURE(登録商標)184である。
【0048】

前記光開始剤は、合計ブレンドに対して、少なくとも30質量%、より有利には少なくとも50質量%、及び最も有利には少なくとも65質量%の量で存在する。
【0049】
アルコキシル化液体表面活性剤は、合計ブレンドに対して、1〜70質量%、より有利には1〜40質量%、及び最も有利には1〜20質量%の量で存在する。
【0050】
製造
本発明の均一な液体ブレンドは、
・光開始剤少なくとも30質量%をその融点より高い温度まで加熱する工程
・液体表面活性剤の少なくとも1つのアルコキシル化液体表面活性剤の1〜70質量%を添加する工程、及び場合により希釈剤を添加する工程
・室温まで冷却して、液体ブレンドを得る工程
を含むプロセスによって得られる。
【0051】
利点
本発明の易流動性液体は、水性及び溶剤を基礎とした系に適している。
【0052】
高い有効含有率は、以前の溶液、例えばEP386650(Lamberti)及びEP1230276B1(Ciba)において、並びにGB2014152(Minesota Mining)において記載されている光開始剤の水系分散液と比較して得られる。さらに、本発明の均一な液体ブレンドは、分散液の場合におけるように不可逆的に沈降してよい均一な光開始剤粒子ではないために、特に高温でのより良好な貯蔵安定性を示す。
【0053】
本発明は、さらに、
(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和の光重合可能な化合物、及び
(B)前記の光開始剤及び界面活性剤の少なくとも均一な液体ブレンド
を含む光重合可能な組成物に関する。
【0054】
不飽和化合物は、1つ以上のオレフィン性二重結合を含んでよい。それらは、低い(モノマー)又は高い(オリゴマー)分子量のものであってよい。二重結合を含有するモノマーの例は、アルキル又はヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレート、例えばメチル、エチル、ブチル、2−エチルヘキシル又は2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチルメタクリレートである。ケイ素又はフッ素で変性された樹脂、例えばシリコーンアクリレートも興味深い。他の例は、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルエーテル、例えばイソブチルビニルエーテル、スチレン、アルキル及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデンである。
【0055】
2つ以上の二重結合を含有するモノマーの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコールの、又はビスフェノールAのジアクリレート、及び4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート又はトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレートである。
【0056】
比較的高分子量の多価不飽和化合物(オリゴマー)の例は、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリエステル、ビニルエーテル又はエポキシ基を含有するポリエステル、及びさらにはアクリル化ポリウレタン及びポリエーテルである。不飽和オリゴマーのさらなる例は、不飽和ポリエステル樹脂であり、それは通常、マレイン酸、フタル酸及び1つ又はそれより多くのジオールから調製され、かつ、約500〜3000の分子量を有する。さらには、ビニルエーテルモノマー及びオリゴマー、さらには、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシ主鎖を有するマレエート末端化オリゴマーを用いることも可能である。
【0057】
特に適した例は、エチレン性不飽和カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、及びエチレン性不飽和基を鎖内又は側鎖内に有するポリマー、例えば、不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン及びそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖内に(メタ)アクリル酸基を含有するポリマー及びコポリマー、さらには1つ又はそれより多くのかかるポリマーの混合物である。
【0058】
不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、及び不飽和脂肪酸、例えばリノレン酸又はオレイン酸である。アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0059】
適したポリオールは、芳香族の、及び特に脂肪族及び脂環式のポリオールである。
【0060】
芳香族ポリオールの例は、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、さらにはノボラック及びレゾールである。ポリエポキシドの例は、上述のポリオール、特に芳香族ポリオールに基づくもの、及びエピクロロヒドリンである。他の適したポリオールは、ポリマー鎖内又は側鎖内にヒドロキシル基を含有するポリマー及びコポリマーであり、例はポリビニルアルコール及びそれらのコポリマー又はポリヒドロキシアルキルメタクリレート又はそれらのコポリマーである。適したさらなるポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0061】
脂肪族及び脂環式ポリオールの例は、有利には2〜12このC原子を有するアルキレンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、有利には200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びソルビトールである。
【0062】
該ポリオールは、部分的又は完全に、1つのカルボン酸又は種々の不飽和カルボン酸でエステル化されていてよく、かつ、部分的なエステルにおいて、遊離ヒドロキシル基が変性され、例えば他のカルボン酸でエーテル化又はエステル化されていてよい。
【0063】
エステルの例は以下である:トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、ペンタエリトリトールジイタコネート、ジペンタエリトリトールトリス−イタコネート、ジペンタエリトリトールペンタイタコネート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトール−変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はそれらの混合物。
【0064】
使用
前記のような均一な液体ブレンドを、溶剤を有さない、溶剤を基礎とした又は水を基礎とした表面塗料、印刷インク、スクリーン印刷インク、オフセット印刷インク、フレキソ印刷インク、レジスト材料又は画像記録材料を製造するために、特に対応する水系の製造において使用する。
【0065】
実施例及び適用の結果
次の光開始剤の液体光開始剤の生成物型を製造した:
【化7】

ESACURE(登録商標)ONE Difunctional Alpha Hydroxyketone(二官能価アルファヒドロキシケトン)、Lamberti社製
ESACURE KIP 150(登録商標)オリゴマー多官能価アルファ−ヒドロキシケトン、Lamberti社製。
【0066】
実施例1
純度>90%を有する1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184)75gを、60℃で反応器中で溶融する。Hedipin R/200(PEG−20ヒマシ油)10gを添加し、テトラエチレングリコール15gを添加し、そしてその混合物を均一になるまで60℃で撹拌する。該混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な、無色〜黄色の液体である。
【0067】
実施例2
純度>90%を有する1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184)75gを、60℃で反応器中で溶融する。Hedipin R/200(PEG−20ヒマシ油)10gを添加し、ポリ(エチレングリコール)350モノメチルエーテル15gを添加し、そしてその混合物を均一になるまで60℃で撹拌する。該混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な、無色〜黄色の液体である。
【0068】
実施例3
純度>90%を有する1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184)70gを、60℃で反応器中で溶融する。Tween 80(ポリ(エチレングリコール)ソルビタンモノオレエート)8g及びSpan 80(ソルビタンモノオレエート)2gを添加し、ポリ(エチレングリコール)350モノメチルエーテル20gを添加し、そしてその混合物を均一になるまで60℃で撹拌する。該混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な、無色〜黄色の液体である。
【0069】
実施例4
純度>90%を有する1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184)90gを、60℃で反応器中で溶融する。Brij 30(テトラエチレングリコールドデシルエーテル)10gを添加し、そしてその混合物を均一になるまで60℃で撹拌する。該混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な無色〜黄色の液体である。
【0070】
実施例5
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド(DAROCURE TPO)31gを、Hedipin R/200(PEG−20ヒマシ油)10gと、ポリ(エチレングリコール)350モノメチルエーテル59gと共に混合する。その混合物を、均一になるまで90℃で反応器中で撹拌する。該混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な黄色の液体である。
【0071】
実施例6
1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンジルオキシム)(IRGACURE OXE01)50gを、Hedipin R/200(PEG−20ヒマシ油)10gと、ポリ(エチレングリコール)350モノメチルエーテル40gと共に混合する。その混合物を、均一になるまで60℃で反応器中で撹拌する。該混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な黄色の液体である。
【0072】
実施例7
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651)31gを、Hedipin R/200(PEG−20ヒマシ油)10gと、ポリ(エチレングリコール)350モノメチルエーテル59gと共に混合する。その混合物を、均一になるまで70℃で反応器中で撹拌する。該混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な黄色の液体である。
【0073】
実施例8
2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン(Esacure ONE)70gを、Tween 80(ポリ(エチレングリコール)ソルビタンモノオレエート)8gとSpan 80(ソルビタンモノオレエート)2gとテトラエチレングリコール20gと共に混合する。その混合物を115℃まで加熱し、そして均一になるまで撹拌する。該混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な、無色〜黄色の粘着性の液体である。
【0074】
適用結果
以下において、光開始剤は、本発明の液体ブレンドデリバリー型に関し、有効含有量ではない。
【0075】
1.透明なEpoxy−Acrylate塗料のUV硬化
UV硬化ペイントを、次の調合物を使用して製造する:
【表1】

【0076】
試料を、前記調合物を使用して製造し、そして前記ペイント中に光開始剤(デリバリー型)2質量%を溶解させた。そしてその試料を、50℃の温度で60分間撹拌した。
【0077】
試料を、WFT60μmを有する巻き線型のドローダウンバーを使用して、白色の予め被覆したアルミニウムパネル上に適用した。その試料を、IST研究室用UV硬化装置上で、1つのHg電球を使用して、100W及び線速度10m/分で硬化した。
【0078】
硬化の拡大は、被覆表面のAT−IR分光計を使用を基準とした樹脂自体の転化率に対するアクリレート二重結合転化率(DBC)の測定に従った。約1425cm-1でのアクリレートピークを、約2900cm-1でのCH結合を使用して標準化した。さらに、Koenigによる振り子硬度を、全てのパネル上で測定した。
【0079】
硬化の結果:
【表2】

【0080】
前記硬化の結果は、本発明の液体光開始剤ブレンドが、ブレンド成分で希釈していない、最新の光開始剤ICU184に類似する二重結合転化率及び振り子硬度を有する、典型的な100%UV系における良好な硬化性能を提供することを証明する。
【0081】
ここでの目標は、前記液体ブレンドが100%の系(有利には液体生成物型であってよい)において良好な性能を得ることを示すことである。
【0082】
さらに、水系に関しても有利である。
【0083】
2.透明なPolvester−Acrylat塗料のUV硬化
UV硬化ペイントを、次の調合物を使用して製造する:
【表3】

【0084】
試料を、前記調合物を使用して製造し、そして前記ペイント中に光開始剤6質量%を溶解させた。そしてその試料を、50℃の温度で60分間撹拌した。
【0085】
試料を、WFT60μmを有する巻き線型のドローダウンバーを使用して、白色の予め被覆したアルミニウムパネル上に適用した。その試料を、IST研究室用UV硬化装置上で、2つのHg電球を使用して、100W及び線速度10m/分で硬化した。
【0086】
硬化の拡大は、被覆表面のAT−IR分光計を使用を基準とした樹脂自体の転化率に対するアクリレート二重結合転化率(DBC)の測定に従った。約1425cm-1でのアクリレートピークを、約2900cm-1でのCH結合を使用して標準化した。さらに、Koenigによる振り子硬度を、全てのパネル上で測定した。
【0087】
硬化の結果:
【表4】

【0088】
再度、硬化の結果は、液体光開始剤ブレンドが、ブレンド成分で希釈剤した堆積物の良好な硬化性能を提供することを証明する。
【0089】
3.w/b中への透明なUV硬化調合物の取り込み
次の水を基礎とした調合物を製造した(WB−調合物1):
【表5】

【0090】
光開始剤0.4g(デリバリー系)を、ガラス瓶100ml中に置いた。前記水を基礎とした調合物40gを添加した。その組合せを、磁気撹拌を使用して5分間約500rpmで撹拌した。混合後直ちに、塗料試料を、黒い予め被覆した鋼鉄パネルを覆って、120μmの未乾燥塗膜厚を有する巻き線型のドローダウンバーを使用して適用した。
【0091】
その膜を、30分間30℃で乾燥し、そしてIST研究室用UV硬化装置上で、2つのHg電球を使用して、100W及び線速度10m/分で硬化した。
【0092】
その膜を、不十分に取り込まれた光開始剤の粒子又はスミアトレースに関して視覚的に評価した。
【0093】
【表6】

【0094】
その結果は、本発明の光開始剤ブレンドを、ペイント膜に欠陥を与えない水系UV調合物中に容易に取り込むことができることを示す。これは、基準のIrgacure 184と対照的に、不相容性によって、有用な水系UVペイントを提供しない、従って、本発明の光開始剤ブレンドは、典型的な非水性UVペイントから水性UV系までの非常に広い適用可能性を有する
4.w/bの透明なUV硬化調合物の硬化
前記光開始剤試料を、2つの異なる水を基礎としたクリアコート調合物中で試験した。WB−調合物1:前記に記載されている
WB−調合物2:
【表7】

【0095】
光開始剤(デリバリー系)1質量%を含有する調合物30gを製造した。該調合物をガラス瓶中に置き、そして光開始剤を、歯付ディスクを用いて1500rpmで撹拌しながら添加した。その調合物を、合計15分間撹拌した。試料を、白い予め被覆したアルミニウムパネルを覆って、120μmの未乾燥塗膜厚を有する巻き線型のドローダウンバーを使用して適用した。
【0096】
水を60℃で10分間にわたって対流で蒸発させた。その膜を、IST研究室用UV硬化装置上で、2つのHg電球を使用して、100W及び線速度10m/分で硬化した。冷却後に、Koenigによる振り子強度を測定した。
【0097】
参照のために、調合物の光開始剤を有さない試料を、同様の方法で処理した。
【0098】
WB−調合物1の硬化結果:
【表8】

【0099】
WB−調合物2の硬化結果:
【表9】

【0100】
前記結果は、本発明の液体光開始剤ブレンドが、通常の非水性UV系に加えて、水系UVペイント中で良好な硬化性能も有することを示す。
【0101】
実施例9
ESACURE KIP 150の70gを70℃に加熱する。Hedipin R/200(PEG−20ヒマシ油)10g、及びテトラエチレングリコール20gを添加し、そしてその混合物を均一になるまで70℃で撹拌する。該均一混合物を、室温までゆっくりと冷却する。その生成物型は透明な黄色の液体である。
【0102】
適用結果
実施例9の適用特性を、オーバープリントワニス(OPV)において評価した。実施例9を、その純型でEsacure KIP 150に対して試験した。評価は、取扱い、取り込み、効果効率及び黄変(視覚的)であった。
【0103】
試験系
【表10】

【0104】
取扱い
Esacure KIP 150を、ハンマーで抽出し、そしてOPV中で1時間45℃溶解した。対照的に、実施例9は、蜂蜜に似た粘度を有し、かつOPV中に直接注がれてよい。
【0105】
効果効率
KIP 150及び実施例9の双方を3%活性で試験した。硬化速度をボール紙及びコイル被覆上で比較した。
【0106】
【表11】

【0107】
第1表は、実施例9の反応性が、純粋な生成物型でのEsacure KIP 150に相当することを示す。
【0108】
視覚的に、黄変における差は観察されなかった。
【0109】
前記適用の結果は、液体生成物型が、効果効率を損なうことなしに、明らかな加工の利点(取扱い及び取り込み)を提供することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離基タイプの固体光開始剤の全体のブレンドに関して少なくとも30質量%、及び少なくとも1つのアルコキシル化液体表面活性剤1〜70質量%、及び場合により有機希釈剤を含有する、室温で液体である均一な液体ブレンド。
【請求項2】
前記光開始剤の濃度が、少なくとも50質量%、及び最も有利には少なくとも65質量%である、請求項1に記載の均一な液体ブレンド。
【請求項3】
前記表面活性剤が、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを有する付加物を基礎としたアルコキシル化化合物から選択される、請求項1に記載の均一な液体ブレンド。
【請求項4】
前記表面活性剤が、アルコールアルコキシレート(グリコールエーテル)、脂肪酸アルコキシレート、脂肪酸アミンアルコキシレート、又は脂肪酸アミドアルコキシレート、フェノール又はアルキル置換したフェノールのアルコキシレート、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー又はランダムコポリマー、アルキン−アルコール又はアルキン−ジオールのアルコキシレート、ヒマシ油のアルコキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルのアルコキシレート、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の均一な液体ブレンド。
【請求項5】
前記希釈剤が存在する、請求項1に記載の均一な液体ブレンド。
【請求項6】
前記光開始剤が、ベンゾフェノン、芳香族α−ヒドロキシケトン、ベンジルケタール、芳香族α−アミノケトン、フェニルグリオキサル酸エステル、モノ−アシルホスフィンオキシド、ビス−アシルホスフィンオキシド、トリス−アシルホスフィンオキシド及び芳香族ケトンから誘導されるオキシムエステルから選択される、請求項1に記載の均一な液体ブレンド。
【請求項7】
前記光開始剤が、ベンゾフェノン(DAROCURE(登録商標)BP)、ベンジルジメチルケタール(IRGACURE(登録商標)651)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACUR 184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1オン(IRGACURE(登録商標)2959)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE(登録商標)127)、(4−メチルチオ−ベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(IRGACURE(登録商標)907)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)369)、(4−モルホリノベンゾイル)−1−(4−メチルベンジル)−1−ジメチルアミノプロパン(IRGACURE(登録商標)379)、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(DAROCUR(登録商標)TPO)、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)及び2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン、(ESACURE ONE(登録商標))、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(O−ベンジルオキシム)(IRGACURE OXE01(登録商標))から選択される、請求項1に記載の均一な液体ブレンド。
【請求項8】
前記開始剤が、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184)、2−ヒドロキシ−1−{1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−フェニル]−1,3,3−トリメチル−インダン−5−イル}−2−メチル−プロパン−1−オン、(ESACURE ONE)、ビス(2,6−ジメトキシ−ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標)819)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE2959)から選択される、請求項7に記載の均一な液体ブレンド。
【請求項9】
以下の工程、
・光開始剤少なくとも30質量%をその融点より高い温度まで加熱する工程
・少なくとも1つのアルコキシル化液体表面活性剤1〜70質量%を添加する工程、及び場合により希釈剤を添加する工程
・室温まで冷却して、均一な液体ブレンドを得る工程
を含む、請求項1に記載の均一な液体ブレンドの製造方法。
【請求項10】
以下、
(A)少なくとも1つのエチレン性不飽和の光重合可能な化合物、及び
(B)請求項1に記載の少なくとも均一な液体ブレンド
を含む、光重合可能な組成物。
【請求項11】
溶剤を有さない、溶剤を基礎とした及び水を基礎とした表面塗料、印刷インク、スクリーン印刷インク、オフセット印刷インク、フレキソ印刷インク、レジスト材料又は画像記録材料の製造における、請求項1に記載の均一な液体ブレンドの使用。

【公表番号】特表2012−515238(P2012−515238A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545704(P2011−545704)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050003
【国際公開番号】WO2010/081749
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】