説明

液体冷却装置

【課題】 短時間で被冷却液体を冷却可能なものであって被冷却液体の流路の洗浄が容易な液体冷却装置を提供する。
【解決手段】 被冷却液体を冷却剤と熱交換することにより冷却する冷却器本体1からなり、冷却器本体1は外側壁部10により形成される外容器2と、外容器2の内側に配置され、外側壁部10と所定間隔離隔して対向する内側壁部12により形成される内容器3とを備え、外側壁部10と内側壁部12は断面中空状に形成されると共に、それぞれ中空内部11、13に対する冷却剤の注入口20、22及び排出口21、23を備えて中空内部を冷却剤の循環自在とし、外容器2と内容器3の間の隙間部14には被冷却液体を注入する液体注入口17を設けて、隙間部14を被冷却液体の流路として形成してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーや紅茶など主に飲料を冷却する液体冷却装置に関し、特に冷却剤との熱交換により急速に飲料の冷却を行う液体冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料、特にコーヒーや紅茶などは、温度の高い湯によって抽出されるため、アイスコーヒーやアイスティを提供するためには、抽出した後、その飲料を冷却する必要がある。冷却するための手段としては従来、以下のようなものが用いられていた。
【0003】
第1の手段は、飲料を濃く抽出しておき、そこに氷を投入してその潜熱により冷却するものである。これは簡易な手段として広く用いられている。第2の手段は、飲料を通常の濃さで抽出し、それを容器に入れた状態で冷蔵庫に数時間保管することにより、冷却を行うものである。これも簡易であるため広く用いられている。
【0004】
第3の手段は、容器を予め冷却しておき、そこに通常の濃さで抽出した飲料を入れて、容器の顕熱により冷却するものである。容器の顕熱だけでは充分に冷却できない場合には、冷蔵庫に入れるなど補助的な手段を付加することもできる。また、第4の手段は、容器の周囲を冷却水等で冷却できる装置を用いるものである。第4の手段に用いる装置としては、例えば特許文献1や特許文献2に挙げるものがある。さらに、第5の手段は、容器内に熱伝導率の高いチューブを設け、容器は氷水など温度の低い冷却剤を満たし、チューブ内に飲料を通して冷却剤と熱交換させることにより冷却するものである。
【特許文献1】特開2003−319881号公報
【特許文献2】特開2004−267385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、第1の手段では、飲料の冷却時の濃さの調整が難しく、また店舗などで一度に多くの飲料を提供する際に濃さを均一にすることも困難である。第2の手段や第3の手段及び第4の手段では、冷却に時間を要するので、飲料の香りを失うことがある。
【0006】
熱交換を行う第5の手段の場合には、濃さの均一な飲料を短時間で冷却することができる。しかし、チューブ内に飲料を通すために、洗浄や殺菌を行うことが困難であるという問題を有していた。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、短時間で被冷却液体を冷却可能なものであって被冷却液体の流路の洗浄が容易な液体冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る液体冷却装置は、被冷却液体を冷却剤と熱交換することにより冷却する冷却器本体からなる液体冷却装置において、
上記冷却器本体は外側壁部により形成される外容器と、該外容器の内側に配置され、上記外側壁部と所定間隔離隔して対向する内側壁部により形成される内容器とを備え、
上記外側壁部と内側壁部は断面中空状に形成されると共に、それぞれ中空内部に対する上記冷却剤の注入口及び排出口を備えて中空内部を冷却剤の循環自在とし、
上記外容器と内容器の間の隙間部には上記被冷却液体を注入する液体注入口を設けて、上記隙間部を被冷却液体の流路として形成してなることを特徴として構成されている。
【0009】
また、本発明に係る液体冷却装置は、上記液体注入口は上記隙間部の上部に設けられると共に、上記外容器の底部には上記被冷却液体を排出する液体排出口を設けて上記隙間部を被冷却液体の流路としてなることを特徴として構成されている。
【0010】
さらに、本発明に係る液体冷却装置は、上記内容器の底部には上記隙間部の被冷却液体を内容器内に導入する液体導入口が形成されてなることを特徴として構成されている。
【0011】
さらにまた、本発明に係る液体冷却装置は、上記外容器と内容器は底部を中心部に向かって下方傾斜状に形成してなることを特徴として構成されている。
【0012】
そして、本発明に係る液体冷却装置は、上記内容器の注入口は上記冷却剤の供給装置に接続され、上記内容器の排出口と上記外容器の注入口が接続されると共に、上記外容器の排出口が上記冷却剤の供給装置に接続されることを特徴として構成されている。
【0013】
さらに、本発明に係る液体冷却装置は、上記外容器の注入口は上記冷却剤の供給装置に接続され、上記外容器の排出口と上記内容器の注入口が接続されると共に、上記内容器の排出口が上記冷却剤の供給装置に接続されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る液体冷却装置によれば、外側壁部と内側壁部は断面中空状に形成され、それぞれ中空内部に対する冷却剤の注入口及び排出口を備えて中空内部を冷却剤の循環自在とし、外容器と内容器の間の隙間部には被冷却液体を注入する液体注入口を設けて、隙間部を被冷却液体の流路として形成してなることにより、外側壁部と内側壁部を伝熱面として外容器と内容器の間の隙間部で被冷却液体を冷却するので、短時間に冷却をなすことができると共に、内容器を外容器から取り外すことで被冷却液体の流路を容易に洗浄することができる。
【0015】
また、本発明に係る液体冷却装置によれば、液体注入口は隙間部の上部に設けられ、外容器の底部には被冷却液体を排出する液体排出口を設けて隙間部を被冷却液体の流路としてなることにより、被冷却液体を隙間部の上部から下部に向かって流動させることができ、効率よく冷却を行うことができる。
【0016】
さらに、本発明に係る液体冷却装置によれば、内容器の底部には隙間部の被冷却液体を内容器内に導入する液体導入口が形成されてなることにより、隙間部で冷却された被冷却液体を内容器内に導入することができ、冷却後の液体を溜めておくことができる。
【0017】
さらにまた、本発明に係る液体冷却装置によれば、外容器と内容器は底部を中心部に向かって下方傾斜状に形成してなることにより、隙間部ないし内容器内からの液体の排出を効率よく行うことができる。
【0018】
そして、本発明に係る液体冷却装置によれば、冷却剤の供給装置から内容器、外容器の順に、または供給装置から外容器、内容器の順で冷却剤を循環させることにより、冷却剤の配管を簡易にすることができて、小型でコストの低いものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1は、本実施形態における液体冷却装置の概要図である。この図に示すように、本実施形態における液体冷却装置は、温度の高い被冷却液体と温度の低い冷却剤との間の熱交換により被冷却液体を冷却する冷却器本体1を有して構成され、冷却剤は冷却剤供給装置7から供給されてなるものである。
【0020】
被冷却液体は、コーヒーや紅茶など高温で抽出される飲料である。ただし、これらに限られず、緑茶など他の茶であってもよいし、麺つゆなどであってもよい。また、冷却剤としては氷で冷却された冷水を用いているが、これには限られず、例えばブラインなどを用いてもよい。
【0021】
冷却剤供給装置7は、内部に氷水を溜めるタンクを有しており、そこから冷却器本体1に対して冷水を供給するためのポンプをさらに有している。ただし、氷水による冷却には限られず、冷凍機により冷水を供給するようにしてもよいし、またペルチェ素子を用いて冷水を供給するようにしてもよい。さらには、氷での冷却とペルチェ素子とを併用するようにしてもよい。
【0022】
冷却器本体1の構成について説明する。図1に示すように、冷却器本体1は、外側壁部10により形成される外容器2と、外容器2よりも一回り小さく形成され内側壁部12により形成される内容器3とからなっており、外側壁部10の内面と内側壁部12の外面は、所定間隔を有して対向するように配置されている。これにより、外容器2と内容器3の間に隙間部14を形成している。また、外容器2と内容器3は、熱伝導率の高いステンレスやアルミ等の金属から構成される。
【0023】
図2は、外容器2と内容器3の組み合わせを概要的に示した斜視図である。この図に示すように、外容器2と内容器3はそれぞれ上部が円筒状で下部が円錐状の略同形状に形成されており、内容器3は外容器2の内部に完全に納まる大きさに形成されている。
【0024】
図1に示すように、外側壁部10と内側壁部12は、それぞれ断面中空状に形成されており、冷却剤を循環させることができる冷却剤流路11、13を構成している。図2にも示すように、外側壁部10には、冷却剤を冷却剤流路11に注入するための外容器注入口20と、冷却剤を冷却剤流路11から排出するための外容器排出口21とが上面に形成されている。また、内側壁部12には、冷却剤を冷却剤流路13に注入するための内容器注入口22と、冷却剤を冷却剤流路13から排出するための内容器排出口23とが上面に形成されている。
【0025】
内側壁部12の内容器注入口22には、冷却剤供給装置7から冷却剤の供給を受ける冷却剤供給管8が接続される。また、外側壁部10の外容器排出口21には、冷却剤供給装置7に冷却剤を戻すための冷却剤排出管9が接続される。さらに、内側壁部12の内容器排出口23と外側壁部10の外容器注入口20は、接続管4によって接続される。これによって、冷却剤供給装置7から供給される冷却剤は、まず内側壁部12の冷却剤流路13に導かれ循環した後、外側壁部10の冷却剤流路11に導かれ循環し、そこから排出されて冷却剤供給装置7に戻される。
【0026】
被冷却液体は、液体注入部17を介して外側壁部10と内側壁部12の間の隙間部14に導かれる。液体注入部17は、トレイ状に形成されると共に、隙間部14と連通するように形成されており、トレイ状の部分に注がれた被冷却液体が隙間部14に注入されるようにされている。
【0027】
外側壁部10と内側壁部12の冷却剤流路11、13には、上述のように冷却剤が循環されているので、隙間部14に導かれた被冷却液体は、外側壁部10の内面と内側壁部12の外面との両面を伝熱面として冷却剤と熱交換され、冷却される。隙間部14は、その幅を小さくした方が、効率よく熱交換を行うことができるが、小さくしすぎると流動抵抗が大きくなり、注入量をあまり大きくできなくなる。そこで、隙間部14の幅は、これらがバランスするように、適宜設定する。外容器2と内容器3には、隙間部14を形成するために図示しないリブを設けて、それによって外側壁部10と内側壁部12の間隔を維持するようにしている。
【0028】
外容器2の底部には、その中心部に液体排出口16が形成されており、隙間部14を通った被冷却液体は、この液体排出口16から隙間部14の外部に排出される。また、液体排出口16には、管状の液体排出部5がさらに接続されており、その先端部に設けられる開閉栓6から被冷却液体を取り出すことができるようにされている。外容器2は、底部を中心部に向かう下方傾斜状に形成しているので、隙間部14内の被冷却液体を円滑に取り出すことができる。
【0029】
内容器3の底部には、液体導入口15が形成されており、隙間部14の被冷却液体を内容器3内に導くことができるようにされている。開閉栓6を閉状態としておけば、隙間部14内の被冷却液体は、液体導入口15を介して内容器3内に導かれ、冷却された被冷却液体を内容器3内に溜めておくことができる。内側壁部12は内面も伝熱面となり、内容器3内に溜められた被冷却液体の温度を冷却剤流路13の冷却剤により保つことができる。
【0030】
開閉栓6を開状態とすることにより、液体排出口16及び液体排出部5を介して内容器3内に溜められた被冷却液体を取り出すことができる。また、内容器3はその底部を外容器2と同様に中心部に向かう下方傾斜状に形成しているので、内容器3内の被冷却液体を円滑に取り出すことができる。
【0031】
被冷却液体の流路である隙間部14の洗浄は以下のように行われる。被冷却液体の流路を形成するのは、外側壁部10の内面と、内側壁部12の外面である。接続管4や冷却剤供給管8及び冷却剤排出管9を取り外すと共に、内容器3を外容器2から取り外すことで、それらの面を露出させることができ、その状態で洗浄を行う。したがって、容易に洗浄を行うことができる。
【0032】
図3は、冷却器本体1の全体を示した斜視図である。この図に示すように、外容器2と内容器3は、円筒状の外殻部30内に納められている。外殻部30は、断熱材を有して構成されており、外部からの熱の侵入を防いでいる。また、外容器2と内容器3の上部には、蓋部31が設けられており、外部からのホコリ等の侵入を防ぐと共に、熱の侵入を防いでいる。
【0033】
液体注入部17は、蓋部31の上部に取付けられており、この部分から被冷却液体を隙間部14に注入する。また、液体排出部5は、外殻部30から外方に突出するように形成されており、ここから冷却された被冷却液体を取り出す。液体注入部17から注入された被冷却液体は、隙間部14及び内容器3の内部において、1〜2分程度で充分な温度まで冷却される。
【0034】
本実施形態の液体冷却装置は、以上のような構成からなることにより、中空内部に冷却剤を循環させる外側壁部10と内側壁部12との間の隙間部14によって、被冷却液体を短時間で冷却することができるので、飲料の香りを損なうことなく冷却することができ、かつ外容器2と内容器3を分離することで容易に洗浄を行うことができるものである。また、熱湯消毒を行っても、すぐに復帰することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態に限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、冷却剤供給装置7からの冷却剤はまず内側壁部12の冷却剤流路13に導かれ、その後に外側壁部10の冷却剤流路11に導かれるように構成したが、逆に外側壁部10の冷却剤流路11から内側壁部12の冷却剤流路13に導かれるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態における液体冷却装置の概要図である。
【図2】外容器と内容器の組み合わせを概要的に示した斜視図である。
【図3】冷却器本体の全体を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 冷却器本体
2 外容器
3 内容器
4 接続管
5 液体排出部
6 開閉栓
7 冷却剤供給装置
8 冷却剤供給管
9 冷却剤排出管
10 外側壁部
11 冷却剤流路
12 内側壁部
13 冷却剤流路
14 隙間部
15 液体導入口
16 液体排出口
16 液体注入部
20 外容器注入口
21 外容器排出口
22 内容器注入口
23 内容器排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却液体を冷却剤と熱交換することにより冷却する冷却器本体からなる液体冷却装置において、
上記冷却器本体は外側壁部により形成される外容器と、該外容器の内側に配置され、上記外側壁部と所定間隔離隔して対向する内側壁部により形成される内容器とを備え、
上記外側壁部と内側壁部は断面中空状に形成されると共に、それぞれ中空内部に対する上記冷却剤の注入口及び排出口を備えて中空内部を冷却剤の循環自在とし、
上記外容器と内容器の間の隙間部には上記被冷却液体を注入する液体注入口を設けて、上記隙間部を被冷却液体の流路として形成してなることを特徴とする液体冷却装置。
【請求項2】
上記液体注入口は上記隙間部の上部に設けられると共に、上記外容器の底部には上記被冷却液体を排出する液体排出口を設けて上記隙間部を被冷却液体の流路としてなることを特徴とする請求項1記載の液体冷却装置。
【請求項3】
上記内容器の底部には上記隙間部の被冷却液体を内容器内に導入する液体導入口が形成されてなることを特徴とする請求項1または2記載の液体冷却装置。
【請求項4】
上記外容器と内容器は底部を中心部に向かって下方傾斜状に形成してなることを特徴とする請求項3記載の液体冷却装置
【請求項5】
上記内容器の注入口は上記冷却剤の供給装置に接続され、上記内容器の排出口と上記外容器の注入口が接続されると共に、上記外容器の排出口が上記冷却剤の供給装置に接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体冷却装置。
【請求項6】
上記外容器の注入口は上記冷却剤の供給装置に接続され、上記外容器の排出口と上記内容器の注入口が接続されると共に、上記内容器の排出口が上記冷却剤の供給装置に接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−266550(P2006−266550A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82983(P2005−82983)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名:国際ホテル・レストラン・ショー 主催者名:社団法人日本能率協会 開催日:平成17年3月8日から同11日まで
【出願人】(000202062)早川産機株式会社 (7)
【Fターム(参考)】