説明

液体化粧料用塗布具

【課題】キャップを取り外さないでカートリッジを取り換えるようにする。
【解決手段】筒状の容器本体1の内部に固定され、弁部2cと液体通路2dを有するジョイント部材2と、同ジョイント部材2との間に縮設した第一ばねS1により常時弁部2cから離間した位置に付勢される弁座3bおよびブラシ手段4を保持するホルダー部3eが形成され、ジョイント部材2に摺動可能に設けたブラシホルダ3、容器本体1に着脱自在に設けられ、ジョイント部材2の他端外側に摺動可能に設けられ、容器本体1とジョイント部材2との間に縮設した第二ばねS2により常時他端側へ付勢されるように形成したパイプ部材5、およびパイプ部材5の外方から圧入可能で、かつ、パイプ部材5との間で第二ばねS2のばね力に抗して摺動可能に装着された液体化粧料用のカートリッジ6を具備し、カートリッジ6外方終端部近傍が、容器本体1に形成した開口端部1b1から外部に臨む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体化粧料の充填されたカートリッジを交換する際に、液体化粧料塗布具のキャップや容器本体をその都度分解するように取り外すことなく行えるようにした手軽で簡単操作を実現した液体化粧料用塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、まつげの生え際に沿って液体化粧料を塗布して目の形を引き立てて、目元をはっきりさせる液体化粧料用塗布具(通称、「アイライナー」という)の一形態として、図7に示すペン型のものが公知である。これは、ブラシ01aを備えた首軸部01と、首軸部01に圧入して差し込んだ液体化粧料用を充填したカートリッジ02と、図示しないばねを内蔵したそのばね力により付勢されたノックボタン03aを有すると共に、首軸部01のネジ部01bにねじ込んで固定される筒状の軸部材03と、軸部材に形成したネジ部03bにねじ込むことでブラシ01aに蓋をするキャップ04とから成る。このように、キャップ04はカートリッジ02を保護する軸部材03に形成したネジ部03bにねじ込んだりすることにより、キャップ04が装着できるようになっている。アイライナーを使用しない場合では、アイライナーは図7(a)のような状態にあり、使用する場合には、図7(b)のようにキャップ04をネジ部03bから取り外して、ブラシ01aをまつげの生え際に沿ってラインをひいて化粧するようになっている。カートリッジ02を交換する場合には、図7(c)のようにキャップ04を軸部材03のネジ部03bから取り外し、次いで軸部材03を首軸部1のネジ部01bから取り外して行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記アイライナーにあっては、キャップ04は軸部材03のネジ部03bにねじ込まれる構造であるため、カートリッジ02を取り換える場合には、キャップ04だけでなく軸部材03も首軸部1から取り外さないと、カートリッジの取り換えができなかった。そのため、カートリッジの交換操作に手間取り、短時間での交換が行い難くなる問題があった。また、カートリッジ02を装着した後は、再び軸部材03を首軸部1にねじ込んで取り付けてからノックボタン03aを押すというリセット操作をすることにより初めてアイライナーとして使用できる状態となるため、結果としてカートリッジ02の交換操作が極めて煩雑となり、不利不便となる問題があった。このような問題点を解消するために、カートリッジ交換時においては、キャップを取り外すことなくカートリッジの取り換えを短時間で簡単に行え、交換後はそのままの状態でキャップをはずすだけで直ちに使用可能となる液体化粧料用塗布具を提供しようとするのが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明に係る液体化粧料用塗布具は、筒状の容器本体の内部に固定され、弁部を形成した一端近傍と他端とを連通する液体通路を有するジョイント部材と、同ジョイント部材との間に縮設した第一ばねのばね力により常時上記弁部から離間した位置に付勢される弁座およびブラシ手段を保持するホルダー部が形成され、上記ジョイント部材に液密的に摺動可能に形成されたブラシホルダ、上記容器本体に着脱自在に設けられ、上記ブラシホルダに蓋をするブラシ保護用のキャップ、上記ジョイント部材の上記他端外側に液密的に摺動可能に設けられ、上記容器本体と上記ジョイント部材との間に縮設した第二ばねのばね力により常時上記他端側へ付勢されるように形成したパイプ部材、および同パイプ部材の外方から圧入可能で、かつ、同パイプ部材との間で上記第二ばねのばね力に抗して摺動可能に装着された液体化粧料用のカートリッジを具備し、上記カートリッジを上記パイプ部材に装着したとき、上記カートリッジ外方終端部近傍が、上記容器本体に形成した開口端部から外部に臨むように構成したことを特徴とする。
【0005】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の液体化粧料用塗布具に係り、上記カートリッジの外方終端部に、上記容器本体の開口端部を通るノック用キャップを脱着自在に取り付けたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の液体化粧料用塗布具において、上記パイプ部材の内方端に上記第二ばねを受け止めるばねシートを形成し、かつ、このばねシートに、上記容器本体内に沿って移動可能で上記カートリッジの外方への最大移動量を規定するストップリングを設ける一方で、上記ノック用キャップに上記容器本体と当接可能なストッパ部を設けたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体化粧料用塗布具に係り、上記ブラシ保護用キャップを、アウターキャップと、同アウターキャップ内に移動可能に設けたインナーキャップと、上記アウターキャップと上記インナーキャップとの間に設けた上記第一ばねのばね力よりも大きなばね力を有する第三ばねとから形成し、上記ブラシ保護用キャップを上記容器本体に被着して、上記インナーキャップを上記ブラシホルダに当接させるとき、上記第三ばねのばね力が上記インナーキャップを介して上記ブラシホルダに伝達されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の液体化粧料用塗布具に係り、上
記ブラシホルダのホルダー部に設けられる上記ブラシ手段は、ブラシと、同ブラシ外周を包むブラシケースとで形成する一方で、同ブラシケースの外側に上記インナーキャップに当接可能な鍔部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明に係る液体化粧料用塗布具によれば、ジョイント部材の一端にはブラシホルダを、ジョイント部材の他端にはカートリッジを装着可能なパイプ部材をそれぞれ設け、このジョイント部材を収納するようにジョイント部材の外側から筒状の容器本体を挿入して固定する。ブラシホルダはジョイント部材との間に縮設した第一ばねにより常時弁座がジョイント部材の弁部から離間する方向(ジョイント部材の一端方向、つまり液体化粧料が流れる下流側の方向)に付勢される。他方、パイプ部材は容器本体とジョイント部材との間に縮設した第二ばねにより常時ジョイント部材の他端方向(上流側の方向)へ付勢される。そして、容器本体には、ブラシ保護用のキャップが着脱自在に取り付けられる。パイプ部材に圧入して装着されたカートリッジは、その外方終端部近傍が上記容器本体に形成した開口端部から外部に臨むようになっている。このため、カートリッジを交換する場合には、ブラシ保護用キャップを容器本体に装着したままの状態でも、使用済みのカートリッジの外方終端部(頭部)近傍を摘んでパイプ部材から引き抜いて容器本体から抜き出す。次いで、入れ替わりに新しいカートリッジを容器本体の開口端部から挿入し、パイプ部材に第二ばねのばね力に抗して圧入することでカートリッジをジョイント部材に装着することができる。この結果、従来のように、キャップ04や軸部材03に相当する容器本体までを、首軸部材01に相当するジョイント部材から逐一取り外して分解するような動作を不要化できる。そして、キャップを容器本体に取り付けたままの状態で、カートリッジの取り換え、取り付けを簡単、容易に、しかも短時間で行える操作性に優れた液体化粧料用塗布具を得ることができるようになる。
【0010】
また、カートリッジを圧入して交換する間は、筒部材に装着されるキャップから受ける力により、ブラシホルダの弁座は第一ばねのばね力に抗してジョイント部材の弁部を閉じている。このため、新しいカートリッジ内の液体化粧料は、パイプ部材に圧入して進入していくカートリッジで生じる液体圧によりブラシから液体化粧料が不用意に漏れ出すようなことを回避でき、液体化粧料の無駄使いを防止できるようになる。殊に、カートリッジの交換を終えてキャップを取り外して使用しようとする場合には、ジョイント部材の弁部に至る液体通路は所定液体圧で充填状態となっているため、従来のように、ノックボタンを最初に押すような初期操作、すなわち、カートリッジを第二ばねばね力に抗して押し込むという動作を行うことは必要でなく、そのままブラシ保護用キャップを取り外し、カートリッジをノックするだけで、再使用の準備が整うこととなる。したがって、第一ばねのばね力により弁部から弁座が離反して形成された間隙から直ちに液体化粧料がブラシホルダのブラシへ供給されていくようになっている。その結果、液体化粧料を無駄にすることなく迅速に化粧を行うことができ、ひいては維持コストの安価な液体化粧料用塗布具を実現できるようになる。
【0011】
さらに、通常使用時においても、ブラシに液体化粧料を補給したい場合には、ただ単に容器本体の開口端部から外部に突きだしているカートリッジの外方終端部を第二ばねのばね力に抗して押し込む動作を行うことで、カートリッジと一体になっているパイプ部材がジョイント部材に摺動する。これにより、押し込んだ回数、押し込み量等に応じた量の液体化粧料が液体通路から弁部と弁座との間の隙間を経由してブラシへ補給されていき、スムーズでフィーリングの良い液体化粧料用塗布具を得ることができる。
【0012】
また請求項2記載の発明によれば、カートリッジの外方終端部に、上記容器本体の開口端部を通るノック用キャップを脱着自在に取り付けた構成にしているので、カートリッジ外方終端部(頭部)に、容器本体の表面に施したメッキ、塗装、あるいは容器本体自体の材質(例えば、プラスチック、金属等)に係る意匠に合わせたノック用キャップを脱着できる。こうして、種々の意匠を施されたノック用キャップを好みに合わせて使用でき、美的なおしゃれ感覚に優れた液体化粧料用塗布具を実現できるようになる。
【0013】
また、請求項3記載の発明によれば、パイプ部材の内方端に第二ばねを受け止めるばねシートを形成すると共に、このばねシートに容器本体内に沿って移動可能でカートリッジの外方への最大移動量を規定するストップリングを設ける一方で、上記ノック用キャップに容器本体と当接可能なストッパ部を設けけた構成にすることにより、カートリッジ頭部を押し込んでノックした場合に、カートリッジと一体のパイプ部材のばねシートと、カートリッジ内方端との間に挟まれたストップリングは、容器本体内をスムーズに移動するので、液体化粧料の補給のためのカートリッジの移動操作フィーリングが優れたものとなる。また、カートリッジおよびカートリッジと一体のパイプ部材の摺動量(ストローク量)は、ストップリングが容器本体に当接する位置と、ノック用キャップのストッパ部が容器本体に当接する位置とで規定されるので、ノック用キャップの一回の押し込み操作による液体化粧料の液体通路側への補給量は常時一定の量に設定でき、液体化粧料の浪費を抑制することができるようになる。
【0014】
また、請求項4記載の発明によれば、ブラシ保護用キャップは、アウターキャップと、同アウターキャップ内に移動可能に設けたインナーキャップと、上記アウターキャップと上記インナーキャップとの間に設けた上記第一ばねのばね力よりも大きなばね力を有する第三ばねとから形成し、上記ブラシ保護用キャップを上記容器本体に被着して、上記インナーキャップを上記ブラシホルダに当接させるとき、上記第三ばねのばね力が上記インナーキャップを介して上記ブラシホルダに伝達されるように構成している。このため、ブラシ保護用キャップを容器本体に装着するだけで、第三ばねのばね力により付勢されたインナーキャップブラシホルダに当接する。このように、ブラシホルダ、つまり弁座が第一ばねのばね力に打ち勝ってジョイント部材の弁部に密着して液体化粧料の通路を閉じるようになる。この結果、ブラシ保護用キャップを容器本体に装着することで、インナーキャップとアウターキャップとの間に設けた第三ばねのばね力により、弁座が弁部を閉じるため、例え強引にノック用キャップを押し込む操作をしようとしても、液体化粧料が不用意にブラシ側に補給されることはなく、液体化粧料の使用を節約できるようになる。
【0015】
また、請求項5記載の発明によれば、ブラシホルダのホルダー部に設けられる上記ブラシ手段は、ブラシと、同ブラシ外周を包むブラシケースとで形成する一方で、同ブラシケースの外側に上記インナーキャップに当接可能な鍔部を形成した構成にしているため、ブラシの外周がブラシケースによって保護されることとなり、ブラシの不用意な損傷を未然に回避でき、また、ブラシ保護用キャップを容器本体に装着するときには、そのインナーキャップがブラシケースの外側に形成した鍔部に当接する。こうして、ブラシホルダはブラシケースと一体化されるので、インナーキャップが鍔部に当接すると、第三ばねのばね力は鍔部からブラシホルダに円滑に伝達されるようになる。その結果、ブラシ保護用キャップを容器本体に装着することで、確実に弁座を弁部に密着させることが可能となり、容器本体から取り外すことで弁座が弁部から第一ばねのばね力を受けて離隔して液体化粧料の補給通路を確保でき、確実に液体化粧料の供給と遮断とを行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態をアイライナーに適用した場合を例に挙げ、図1乃至図6に基づいて説明する。本実施の形態にかかるアイライナーの概略の構成は図1(a)に示すように、使用しない状態ではノック用キャップ6dの一部を外部にのぞかせた円筒状の容器本体1と、それに装着されるブラシ保護用のキャップ7とからなり、その内部断面構造は図2および図3に示したものとなる。すなわち、図1(b)のようにブラシ保護用キャップ7を取り外すとブラシ4aが現れ、アイラインを化粧できる状態となり、そのときの内部断面構造は図5に示したようになる。そして、図1(c)に示すノック用キャップ6dを押し込むことで、図6に示すカートリッジ6から液体化粧料の適量をブラシ4aへ補給できるようになっている。
【0017】
容器本体1は図2,図3に示すように、短軸のPP樹脂製ネックホルダー1aと、その外側に圧入して固定した長軸のPP樹脂製ボデー1bとから成る。ネックホルダー1aの内部には、例えばPP樹脂製のジョイント部材2が設けられる。すなわち、このジョイント部材2は、ジョイント2aと、ジョイント2a芯部の軸線L方向(図3参照)に沿う細孔に挿通した、例えば低密度のポリエチレン材(LLDPE)でなるガイドシャフト2bとで形成される。ガイドシャフト2bには、その一端側(液体化粧料の下流側)の先端に弁部2cが設けられると共に、ジョイント2aの芯部に液体通路2dが形成される。また、ジョイント2aはその大径部2eと係止部2fとがネックホルダー1a側の内部突起1a1の両側を挟むことにより容器本体1と一体化される。こうして、ジョイント部材2は、全体としてネックホルダー1aに対して軸線L方向の他端側(液体化粧料の上流側)へオフセット配置される。そして、一端側に弁部2cが備えられ、他端側に設けられるカートリッジからの液体化粧料を液体通路2d、弁部2cを経由して下流側へ供給できるようになっている。
【0018】
上記ジョイント部材2の一端側には、例えば、PP樹脂材で成るブラシホルダ3が摺動可能に設けられる。このブラシホルダ3の内部は、その略中央部に仕切り壁3aが設けられ、仕切り壁3aの上流側、つまりジョイント部材2側には上記弁部2cと密着したり離隔したりする弁座3bと、ジョイント2aの突起部2gと当接可能なストッパ部3cと、突起部2gによりブラシホルダ3の軸線L方向への移動がガイドされる案内溝3dとが設けられる。ストッパ部3cと大径部2eとの間には、例えばステンレス材で形成したコイルスプリングの形態でなる第一ばねS1が圧縮した状態で設けられる(縮設される)。このため、第一ばねS1のばね力によりストッパ部3cが突起部2gに常時当接するように付勢される。こうして、ブラシホルダ3に第一ばねS1を押圧する外力が作用しない場合、すなわち、キャップ6を取り外したような場合には、ブラシホルダ3は第一ばねS1のばね力によってジョイント部材2に対して下流側へ摺動して、図5に示すように盤座3bが弁部2cから離れて隙間が生じ、液体化粧料が下流側へ流れるようにしている。なお、符号P1は例えば、NBR(ニトリルゴム)樹脂材で形成されたO−リングを示す。
【0019】
他方、上記ブラシホルダ3の仕切り壁3aの左方側に形成されるホルダー部3eに、ブラシ手段4が設けられる。ブラシ手段4は、ブラシ4aと、ブラシケース4bと、鍔部4cと、ステンレス材で形成したブラシパイプ4dとで成る。ブラシ4aは、例えばPBT樹脂材(ポリブチレンテレフタレート)で成り、その外周にPP樹脂製のブラシケース4bを設けてブラシ4aの保護を図る。また、ブラシケース4bの外側には鍔部4cが設けられ、ブラシケース4bを、鍔部4cがブラシホルダ3の端部に当接するまで押し込む。これによりブラシケース4bが仕切り壁3a左方側の上記空洞部に取り付けられる。このため、鍔部4cに図2または図3における左方向(液体化粧料の下流方向)から右方向(上流方向)への外力が作用すると、それに応じてブラシホルダ3が第一ばねS1のばね力に抗して右方向へ摺動できるようになっている。
【0020】
また、ネックホルダー1aの外側には、ブラシ保護用キャップ6の挿入量を規定するキャップ止め鍔1a2が形成され、ブラシ保護用キャップ6がキャップ止め鍔1a2に当接する位置にくるまで着脱自在に挿入できるようになっている。
【0021】
次に、ジョイント2aの上流側にカートリッジ6が装着される構成について説明する。ジョイント2aの上流側は、ネックホルダー1aの終端係止部1a3から外方に突出し、その突出部を摺動可能にステンレス製のパイプ5が設けられる。パイプ5の内方端には第二ばねS2を受け止めるばねシート5aが形成され、ばねシート5aと係止部2fとの間にステンレス製のコイルスプリングの形態でなる第二ばねS2が縮設される。また、このばねシート5aに容器本体1の軸線Lに沿ったネックホルダー1aとジョイント2aとの間の空洞を移動可能で、例えばPOM樹脂材(ポリアセタール樹脂)で形成したストップリング5bが設けられる。ストップリング5bは第二ばねS2のばね力により常時終端係止部1a3に係合する。これによりカートリッジ6外方端がボデー1b開口端部1b1から突出する最大突出量を規定するようになっている。パイプ5とジョイント2aとの間にはNBR樹脂材で形成したO−リングP2が設けられ、パイプ5が摺動しても液体化粧料が外部へリークしないようにしている。こうして、ストップリング5bは第二ばねS2のばね力により、常時ネックホルダー1aの終端係止部1a3に係合する状態に付勢される(図2,図3参照)。
【0022】
上記パイプ5には、カートリッジ6が圧入して挿入されるようになっている。
このカートリッジ6は、図6によく示されるようにPP樹脂製のカートリッジ本体6aと、ボール6bを圧入固定したLLDPE樹脂製のパッキング6cと、カートリッジ本体6aのボス状に形成した外方終端部6a1に脱着自在に取り付けたPP樹脂製のノック用キャップ6dとから成る。ノック用キャップ6dにはボデー1bの開口端部1b1に当接可能なストッパ部6d1が設けられる。このノック用キャップ6dは、容器本体1すなわちボデー1bの表面に施したメッキ、塗装、あるいはボデー1b自体の材質(例えば、プラスチック、金属等)に係る意匠に合わせたデザイン処理を行った種々のノック用キャップを適宜好みに応じてカートリッジ本体6aの外方終端部6a1から取り外して趣向に応じた種類のキャップ6dに装着換えできるようにしている。
また、ノック用キャップ6dと一体のカートリッジ本体6aの外側とボデー1bの内周との間にはわずかな隙間があるだけで、カートリッジ6は、その左右方向への移動への移動に際してガタ音がなくスムーズにガイドされる。
【0023】
こうして、未使用のカートリッジ6を、ボデー1bの開口端部1b1から挿入してストップリング5bに当接させ、第二ばねS2のばね力に抗してパイプ5に圧入する。これにより、ボール6bがカートリッジ内方へ押し込まれ、ボール6bを位置していた位置決め6b1とパイプ5との間に生じる摩擦抵抗により、カートリッジ6はパイプ5と一体になってジョイント2aに摺動可能となる。また、ノック用キャップ6dを摘んで引き抜くと、パイプ5のばねシート5aがストップリング5bに引っ掛かって取り残され、カートリッジ6だけがパイプ5をスライドして抜き出される。次の新しいカートリッジを再びボデー1bの開口端部1b1から挿入することにより、パイプ5で突かれたボール6bは位置決め部6b1から外され、パイプ5はパッキング6cに圧入するので、カートリッジが取り換えが完了する。そして、ストップリング5bが終端係止部1a3に係合した位置において、ノック用キャップ6dのストッパ部6d1がボデー1bの開口端部1b1に当接するまで、第二ばねS2のばね力に抗して押し込む。これにより、カートリッジ6はパイプ5と一体になってジョイント2aを摺動してポンプ作用を惹起させ、液体化粧料を液体通路2dから弁部2cへ供給できるようになるものである。
【0024】
次に、ブラシ保護用キャップ7を説明する。このキャップ7の基本形態は、図4に示すように、アウターキャップ7aと、同アウターキャップ7a内に移動可能に設けたインナーキャップ7bとの二重構造で、アウターキャップ7aとインナーキャップ7bとの間に第一ばねS1のばね力よりも大きなばね力を有する第三ばねS3が縮設されている。インナーキャップ7bは常時第三ばねS3のばね力によりアウターキャップ7aに設けたストッパ7a1に押圧されて係合する。キャップ7はアウターキャップ7aの開口端が、容器本体1のネックホルダー1aに設けたキャップ止め鍔1a2に係合するようになるまで被着される。また、アウターキャップ7aの内側に係合部7a2が設けられ、相手側のネックホルダー1aに設けた被係合部1a4(図5参照)に係合する。こうして、図4に示すキャップ7を図5に示す状態のブラシホルダ4に蓋をすると、図3に示すように係合部7a2が被係合部1a4に噛み合う。これにより、ブラシ保護用キャップ7は所定の係合力を維持してネックホルダー1aに保持され、ブラシ4aを保護する。
【0025】
したがってまた、キャップ7によりブラシ4aが蓋をされるときには、アウターキャップ7aがキャップ止め鍔1a2に係合する前に、必ずインナーキャップ7bがブラシケース4aの鍔4cに衝合する。その後もなお蓋をする力(外力)が作用するので、第三ばねS3のばね力がインナーキャップ7bから鍔4cを経由してブラシホルダ3に伝達される。この結果、キャップ7で蓋をすることで確実に弁座3bを弁部2cに密着させて液体化粧料の流通をカットし、逆にキャップ7を取り外すと、弁座3bは第一ばねS1のばね力を受けて離隔し、液体通路2dがブラシ4a側と連通して、液体化粧料の補給通路を確保できるようになっている。
【0026】
次に、本実施の形態におけるアイライナーの使用における作動を説明する。図1(a)、すなわち図2,図3に示すようにブラシ保護用キャップ7でブラシホルダ3の一構成要素であるブラシ手段4が蓋をされている不使用の場合には、第三ばねS3のばね力が第一ばねS1のばね力に打ち勝っているため、弁座3bは弁部2cに密着し、弁座3bの弁孔は閉じている。このため、カートリッジ6内の液体化粧料は不用意にブラシ4a側へ供給されるのをカットする。また、カートリッジ6のノック用キャップ6dを押し込んで液体化粧料を供給しようとしても、弁孔は遮断されているので供給されることはない。
【0027】
また、カートリッジ6を新しいものに交換する場合には、ブラシ保護用キャップ7で蓋をした状態のままで行うことができる。すなわち、ノック用キャップ6dをつまんでカートリッジ6をパイプ5から抜き出し、かつ、ボデー1bからも引き出すことで、外部に取り出すことができる。そして、新しいカートリッジをボデー1bに挿入していき、図2または図3に示すようにパイプ5に圧入して装着することにより、ブラシ保護用キャップ7を取り外すことなく蓋をしたままの状態で、カートリッジの取り換え動作が行える。この場合、キャップ7で蓋をしているので、カートリッジ交換時にカートリッジの押し込みによる圧力によって、液体化粧料が不用意にブラシ側へ吹き出すような事態を回避できる。
【0028】
アイライナーとして使用する場合には、ブラシ保護用キャップ7を容器本体1から取り外す。すると、図5に示すようにブラシケース4bの鍔部4cを拘束する力が作用しなくなるので、ブラシホルダ3およびブラシ手段4は第一ばねS1のばね力によってストッパ部3cが突起部2gに左方へストロークして係合する。これにより、弁座3bは弁部2cから離間し、液体通路2dはブラシ4a側と連通することとなる。この結果、カートリッジ6のノック用キャップ6dを左方へノック(プッシュ)すると、カートリッジ6と一体のパイプ5は、第三ばねS3のばね力に抗してジョイント2aを左方へストロークしていき、ストッパ部6d1に当接して停止する。これにより、カートリッジ6内の液体化粧料が液体通路2dから弁部2c、弁座3bを経由してブラシ4aへ補給され、液体化粧料の絶やすことなくスムーズな化粧を行うことができる。
【0029】
本実施の形態によれば、カートリッジ6の取り付け、取り外しを容易、かつ短時間で行える。また、カートリッジに取り付けるノック用キャップ6dをユーザーの好みに応じた種々のデザインのものを採用して装着できる。さらに、カートリッジ交換を行って新しいカートリッジを取り付けた場合には、ノック用キャップ6dをそのままノックすることで使用することが可能となる。
【0030】
上記実施の形態では、アイライナーを例に挙げて説明してきたが、これ以外にまぶた、口紅、あるいはその他液体化粧料用塗布具にも適宜使用できるのは言うまでもない。また、上記アイライナーに採用した各部材、要素の材質は一例を示したものであり、その他の材質を採用してもよいことは勿論である。さらに、カートリッジ6にノック用キャップ6dを着脱自在に設けられるタイプについて説明したが、ノック用キャップ6dを用いない形態のカートリッジを採用することも可能である。この場合、勿論、カートリッジ自体をノックする構成とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の使用状態の概略を示す外観図である。
【図2】図1(a)の内部構造を示した拡大断面図である。
【図3】図2のアイライナーをさらに拡大して分断して示した拡大断面図である。
【図4】本発明のアイライナーに係るブラシ保護用キャップの断面図である。
【図5】図2に示すアイライナーからブラシ保護用キャップを外した状態を示す拡大断面図である。
【図6】(a)は本発明のアイライナーに適用されるカートリッジの断面図、(b)はその外観図である。
【図7】従来のものの使用状態の概略を示す外観図である。
【符号の説明】
【0032】
1 筒状の容器本体
1a ネックホルダー
1a1 内部突起
1a2 キャップ止め鍔
1a3 終端係止部
1b ボデー
1b1 開口端部
2 ジョイント部材
2a ジョイント
2b ガイドシャフト
2c 弁部
2d 液体通路
2e 大径部
2g 突起部
3 ブラシホルダ
3a 仕切り壁
3b 弁座
3c ストッパ部
3d 案内溝
3e ホルダー部
4 ブラシ手段
4a ブラシ
4b ブラシケース
4c 鍔部
4d ブラシパイプ
5 パイプ(パイプ部材)
5a ばねシート
5b ストップリング
6 カートリッジ
6a カートリッジ本体
6a1 外方終端部
6b ボール
6c パッキング
6d ノック用キャップ
7 ブラシ保護用キャップ
7a アウターキャップ
7b インナーキャップ
L 軸線
P1,P2 O−リング
S1 第一ばね
S2 第二ばね
S3 第三ばね




【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の容器本体の内部に固定され、弁部を形成した一端近傍と他端とを連通する液体通路を有するジョイント部材と、同ジョイント部材との間に縮設した第一ばねのばね力により常時上記弁部から離間した位置に付勢される弁座およびブラシ手段を保持するホルダー部が形成され、上記ジョイント部材に液密的に摺動可能に形成されたブラシホルダ、上記容器本体に着脱自在に設けられ、上記ブラシホルダに蓋をするブラシ保護用のキャップ、上記ジョイント部材の上記他端外側に液密的に摺動可能に設けられ、上記容器本体と上記ジョイント部材との間に縮設した第二ばねのばね力により常時上記他端側へ付勢されるように形成したパイプ部材、および同パイプ部材の外方から圧入可能で、かつ、同パイプ部材との間で上記第二ばねのばね力に抗して摺動可能に装着された液体化粧料用のカートリッジを具備し、上記カートリッジを上記パイプ部材に装着したとき、上記カートリッジ外方終端部近傍が、上記容器本体に形成した開口端部から外部に臨むように構成したことを特徴とする液体化粧料用塗布具。
【請求項2】
上記カートリッジの外方終端部に、上記容器本体の開口端部を通るノック用キャップを脱着自在に取り付けると共に、同キャップの頭部に上記容器本体の開口端部に当接可能なストッパ部を設けたことを特徴とする請求項1記載の液体化粧料用塗布具。
【請求項3】
請求項1または2記載の液体化粧料用塗布具において、上記パイプ部材の内方端に上記第二ばねを受け止めるばねシートを形成し、かつ、このばねシートに、上記容器本体内に沿って移動可能で上記カートリッジの外方への最大移動量を規定するストップリングを設ける一方で、上記ノック用キャップに上記容器本体と当接可能なストッパ部を設けたことを特徴とする液体化粧料用塗布具。
【請求項4】
上記ブラシ保護用キャップを、アウターキャップと、同アウターキャップ内に移動可能に設けたインナーキャップと、上記アウターキャップと上記インナーキャップとの間に設けた上記第一ばねのばね力よりも大きなばね力を有する第三ばねとから形成し、上記ブラシ保護用キャップを上記容器本体に被着して、上記インナーキャップを上記ブラシホルダに当接させるとき、上記第三ばねのばね力が上記インナーキャップを介して上記ブラシホルダに伝達されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液体化粧料用塗布具。
【請求項5】
上記ブラシホルダのホルダー部に設けられる上記ブラシ手段は、ブラシと、同ブラシ外周を包むブラシケースとで形成する一方で、同ブラシケースの外側に上記インナーキャップに当接可能な鍔部を形成したことを特徴とする請求項4記載の液体化粧料用塗布具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−87753(P2006−87753A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278571(P2004−278571)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(502323885)ケミコスクリエイションズ株式会社 (6)
【出願人】(504359776)株式会社ケミコスクリエーションズコリア (1)
【Fターム(参考)】