説明

液体化粧料組成物用アプリケータ

液体化粧料組成物(3)とこれを適用するための装置(14)とを含む製品であって、前記装置(14)が、多孔質ポリマーアプリケータヘッド(1)と、これと密接して固定された吸収材料(2)と、前記組成物を前記吸収材料(2)に供給する液体化粧料組成物(3)用リザーバ(4)とを含み、前記吸収材料(2)による前記液体化粧料組成物(3)の全収容量が、前記リザーバ(4)中に保持することができる液体化粧料組成物(3)の量よりも少ないことを特徴とする製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品の適用の分野にあり、液体化粧料組成物の人体への適用、およびこれを実施するための装置の分野にある。
【背景技術】
【0002】
化粧料組成物を身体に適用するための装置は、接触型アプリケータおよび非接触型アプリケータ(たとえばスプレーアプリケータ)の2つの種類に大きく分けることができる。本発明は、前者の種類のアプリケータ、特に液体化粧料組成物用の接触型アプリケータに関する。液体化粧料組成物を接触適用するために一般的に使用される装置は、液体組成物が回転可能なボールから適用されるロールオン式アプリケータであり、このボールはアプリケータの内部で液体組成物と接触し、使用時に回転してボールの外側の上で消費者の身体に移される。
【0003】
液体化粧料組成物を適用する方法として、ロールオン式アプリケータは多数の欠点を有する。特に、ボールは動かなくなる傾向を有する場合があり、この知覚特性は一部の使用者には十分に認識されない。これらの問題は、多孔質ポリマープラスチックアプリケータ表面を有する装置の使用によって克服することができ、このような装置の例は、GB 2,084,455、US 4,384,589、US 4,480,940、EP 155,349 B1、US 4,936,700、およびUS 5,073,057に記載されている。他の同様の装置は、DE 39,38,347 A1、DE 88,03,017 U、およびUS 2002/0094225 A1に開示されている。
【0004】
その他の流体供給用具、特に筆記用具が、WO 98/21052、US 6,322,268 B1、およびUS 6,632,041 B1に開示されている。
【0005】
多孔質ポリマープラスチックアプリケータ表面を有する装置は、それ自体が使用に関する問題を有する場合がある。特に、液体組成物のアプリケータ表面への供給に関する問題が存在しうる。たとえば、単純な装置において、液体組成物のアプリケータヘッドとの接触は方向に依存する。このため、使用前に装置が適切な方向を向いていない場合に、アプリケータヘッドが濡れるのが遅れることがある。このような装置に関するさらなる問題は、液体組成物のアプリケータ表面への流れの調節が行われないことであり、このため組成物の漏れおよび/または適用過剰が生じうる。高性能の化粧品用アプリケータから、全量および/または割合に関して調節され十分となる供給が行われることが望まれている。
【0006】
上記引用文献の多くでは、多孔質ポリマープラスチックアプリケータヘッドと密接する吸収材料上に液体組成物を吸収させることが提案されている。吸収材料は、液体組成物のアプリケータ表面への流れを調節する機能を果たすことができ、これによって前述の流れが調節されない問題が軽減される。さらに、アプリケータヘッドと密接した状態で吸収材料が固定される場合、方向の影響に関する問題が軽減され、さらには問題が解消されることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第1の側面においては、液体化粧料組成物とこれを適用するための装置とを含む製品であって、この装置が、多孔質ポリマーアプリケータヘッドと、これと密接して固定された吸収材料と、組成物を吸収材料に供給する液体化粧料組成物用リザーバとを含み、吸収材料による液体化粧料組成物の全収容量が、リザーバ中に保持することができる液体化粧料組成物の量よりも少ないことを特徴とする製品が提供される。
【0008】
本発明の第2の側面においては、液体化粧料組成物を人体に適用するための方法であって、多孔質ポリマーアプリケータヘッドと、これと密接して固定された吸収材料と、吸収材料による液体化粧料組成物の全収容量よりも液体化粧料組成物の全収容量が多い液体化粧料組成物用リザーバとを含む装置を、体表に沿って移動させて、液体化粧料組成物をリザーバから吸収材料に移動させ、そこから多孔質ポリマーアプリケータヘッドを介して体表に移動させるステップを含む方法が提供される。
【0009】
本明細書全体において、人体への適用に言及する場合、皮膚および毛髪の両方への適用を含むものと理解されたい。本発明の製品および方法は、ヒトの皮膚への適用に特に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、従来公知の液体化粧料組成物用アプリケータに対して顕著な改善を示している。本発明は、多孔質ポリマーアプリケータヘッドと、これと密接して固定される吸収材料とを含む。しかし、本発明者らは、吸収材料の使用に関する技術的問題を発見しており、このような材料では、ある量の液体組成物が、供給不可能な残留物として吸収材料内に保持される。この問題を軽減するために、本発明による装置は、液体化粧料組成物を保持するためのリザーバをさらに含み、このリザーバによる液体化粧料組成物の全収容量は、吸収材による液体化粧料組成物の全収容量よりも多い。この構成要素の組み合わせによって、吸収材料が存在することによる前述の利点が得られ、さらに実際に使用される吸収材料の量が減少する利点も得られる。存在する吸収材料量が減少することは、吸収材料自体に関して、および吸収材料によって保持される残留物に関しての両方において経済的および環境的利点を有する。装置によって保持される残留液体化粧料組成物量が減少することは、消費者が特に望んでいる利点である。
【0011】
本明細書全体において、全収容量に言及する場合、言及される要素によって維持することができる液体化粧料組成物の最大重量を意味するものと理解されたい。
【0012】
本発明による製品は、使用時に特に良好な知覚特性を示す。消費者は、製品に存在する特徴の独特の組み合わせによって、組成物が人体に移るときに快適な感覚が得られることに気づく。特に、本発明の製品は使用が容易であり、組成物が滑らかに適用され、適用後には体表のべたつき感が最小限になり、快適な感覚が最大限となる。
【0013】
本発明による製品は、アプリケータ装置によって、液体化粧料組成物の安定した流れを実現することもできる。安定した流れとは、中断されずに液体化粧料組成物を体表に供給できることを意味する。不愉快な感覚が生じる過剰適用も、本発明による製品の使用によって回避され、液体化粧料組成物の流れが好都合に調節される。上記のような供給における利点は、吸収材料から多孔質ポリマーアプリケータヘッドを介した液体化粧料組成物の供給が、完全に吸い上げの結果によって行われることで向上させることができる。このような適用においては、体表と接触することによってアプリケータの上面から離れる液体化粧料組成物は、吸収材料中に存在する液体化粧料組成物によって置き換えられ、この液体は、完全に吸い上げによって、吸収材料から多孔質ポリマーアプリケータヘッドを通過して吸い出される。液体化粧料組成物は、吸い上げによって液体リザーバから吸収材料に移動させることもできる。
【0014】
本発明のある実施態様で得ることができるさらに別の利点は、吸収材料および多孔質ポリマーアプリケータによって吸収される組成物の量からこれらによって保持される残留物を引いた量に等しい「単位用量」の組成物を供給できることである。これは、リザーバ中の液体組成物が吸収材料と接触するような方向で装置を保持または保管し、次に、リザーバ中の液体組成物が吸収材料と接触しない適用方向に装置を向けることによって実現することができる。
【0015】
前述のように「単位用量」の組成物を供給できる装置は、リザーバ中の液体組成物と吸収材料との間の接触が方向に依存する。このような装置は、製品の使用中に、リザーバ中の液体組成物と吸収材料との間の接触を意味する手段を有さない。
【0016】
本発明の特定の実施態様においては、多孔質ポリマーアプリケータヘッドは、装置の上部にあり、直下に吸収材料が密接しており、液体組成物のリザーバは吸収材料の直下にある。このような装置において、アプリケータヘッドおよび吸収材料は、使用前に倒立位置に装置を保持または保管することによって液体組成物を充填することができ、次にアプリケータヘッドが上部にあるように装置を向けることによって組成物を適用することができる。保管中ではなく使用中に、リザーバ中の液体組成物を吸収材料から分離することは、リザーバ中の液体組成物と吸収材料との間で方向に依存する接触を実現する一手段であり、このようにして「単位用量」の供給を実現することができる。
【0017】
本明細書全体において、「上部」および「底部」などに言及する場合、装置の主要な使用時の方向に関する。
【0018】
本発明のさらに別の実施態様においては、装置は、製品の方向に依存しないリザーバ中の液体組成物と吸収材料との間の接触を維持する手段を含む。このような実施態様によって、装置の方向とは無関係に使用中に、吸収手段を介して液体組成物のアプリケータヘッドへの連続的な供給が可能となる。好適な手段としては、液体組成物のリザーバの底部に延在する、吸収材料までの1つまたはそれ以上の芯状延長部分が挙げられる。このような1つまたはそれ以上の芯状延長部分は、吸収材料の一部であり、実際には、吸収材料が、このような1つまたはそれ以上の芯状延長部分のみを含むことができる。多孔質アプリケータヘッドと接触する吸収材料の表面積が、このような1つまたはそれ以上の芯状延長部分(存在する場合)の最大全断面積よりも大きいことが好ましい。これによって、吸収材料からアプリケータヘッドへの液体化粧料組成物の移動を促進することでき、これによって全体的に装置を介して十分な供給速度を確保することができる。
【0019】
1つまたはそれ以上の芯状延長部分が存在する場合、これらは、吸収材料の上部の中央に位置することができるし、または吸収材料の上部の周辺から延在することもできる。好ましくは、1つまたはそれ以上の芯状延長部分は、リザーバの底部の周辺まで延在し、これによってリザーバ内部に残る残留組成物が減少する。
【0020】
多孔質ポリマーアプリケータヘッドと吸収材料との間の接触は密接である必要がある。これは、これらの構成要素の間に物理的な接触が存在することを意味する。液体化粧料組成物の吸収材料からアプリケータヘッドへの移動を促進し、これによって全体的に装置を介して十分な供給速度を確保するために、アプリケータヘッドの内面または下面の10%以上が、吸収材料と密接することが好ましい。アプリケータヘッドの内面または下面の25%以上、さらに特に好ましくは50%以上が吸収材料と密接することが特に好ましい。上記の程度で密接することによって、保持される液体化粧料組成物残留物を最小限にすることもできる。
【0021】
多孔質ポリマーアプリケータヘッドは、典型的には非可撓性、非変形性の焼結材料でできている。好適な材料は、全方向性の相互連絡孔隙を有する多孔質合成樹脂であり、場合によっては一体となったポリマー粒子凝集体で形成される。この材料は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリフッ化ビニリデンであってよい。好適な市販製品は、ポレックス・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(Porex Technologies Inc.)より入手可能な「ポレックス(Porex)(商標)」である。アプリケータヘッドの孔径は、典型的には1から200μmであり、特に10から100μm、とりわけ25から75μmである。
【0022】
製品使用時の快適性を向上させるため、アプリケータヘッドの外面がドーム型であることが好ましい。
【0023】
多孔質ポリマーアプリケータヘッドと密接して固定される吸収材料は、毛細管流動または吸い上げによって、液体組成物をアプリケータヘッドまで移動させていると考えられる。この接触は、一般に、アプリケータヘッドの内面または下面と、吸収材料の外面または上面との間に存在する。この接触は、主として平面の間に存在することができるし、またはこれらの面が凹凸を有してもよく、後者の場合、表面間で密接するように互いに対称的な表面の凹凸が、当該表面積のほぼすべてにわたって実現されることが好ましい。この後者の表面構造は、装置製造中に、吸収材料に対するアプリケータヘッドの位置を決定しやすくするのに有用となりうる。特に好ましい実施態様は、吸収材料の外面における隆起部、およびアプリケータヘッドの内面の対応する空洞部分である。
【0024】
吸収材料は、液体化粧料組成物のリザーバから多孔質ポリマーアプリケータヘッドへの流れを調節する機能を果たす。液体化粧料組成物は典型的には吸収材料に直接供給され、吸収材料は典型的にはリザーバ中の液体と直接接触することができる。吸収材料によって吸収される液体は、毛管現象によってアプリケータヘッドに移動することができる。
【0025】
吸収材料は、適用される液体組成物を吸収することができ、アプリケータヘッドへの液体の吸い上げが可能となるあらゆる材料であってよい。繊維状材料または連続気泡フォームが好適である。特に好適な繊維状材料は、40体積%から60体積%の繊維密度を有する。好適な材料の例としては、酢酸セルロース、ポリエステル、綿、レーヨン、およびナイロンが挙げられる。好適な市販製品は、フィルトローナ・インターナショナル・リミテッド(Filtrona International Ltd.)より入手可能なPTトラソルブ(PT Trasorb)である。好適な連続気泡フォーム材料としては、ポリエーテルおよびポリエステルのフォームが挙げられ、特に、60から90孔隙/直線インチ(152から229孔隙/直線cm)および/または元の寸法の9分の1から4分の1に減少する圧縮性を有する材料が挙げられる)。
【0026】
吸収材料は、液体組成物に対して、ある「グラム当たりの収容力」を有する必要がある。これは、圧力および温度の標準条件(すなわち1気圧および25℃)下で吸収材料1gによって保持することができる液体組成物の最大量として定義することができる。吸収材料の収容力が、同様に定義される多孔質ポリマーアプリケータヘッドの収容力よりも大きいことが好ましく、これによって、液体化粧料組成物の体表への移動が促進される。
【0027】
絶対表現では、吸収材料の収容力は、好ましくは1.0g/g以上、より好ましくは2.0g/g以上、最も好ましくは3.0g/g以上であり、この数値は、乾燥吸収材料1g当たりに保持される液体化粧料組成物のg数を意味する。
【0028】
液体化粧料組成物の体表への移動をさらに促進するために、吸収材料による液体化粧料組成物の全収容量が、多孔質ポリマーアプリケータヘッドによる液体化粧料組成物の全収容量よりも多いことが好ましい。多孔質ポリマーアプリケータヘッドの収容力が、多孔質ポリマーアプリケータヘッドの収容力の2倍を超えるとさらに好ましい。
【0029】
吸収材料による液体化粧料組成物の全収容量は、リザーバ中に保持することができる液体化粧料組成物の量よりも少ない。吸収材料内部での液体化粧料組成物の保持をさらに最小限にするために、吸収材料による液体化粧料組成物の全収容量が、リザーバ中に保持することができる液体化粧料組成物の量の半分未満となることが好ましい。
【0030】
製品使用中にリザーバ中の液体組成物と吸収材料との間の接触を維持するための手段を有さない装置では、吸収材料による液体化粧料組成物の全収容量が、供給されるべき製品の所望の用量に十分となることが重要である。このような製品からのある特定の「単位用量」が望まれる場合、これに従って吸収材料の全収容量が選択されるべきである。このような全収容量は、1gから100g、特に2gから50gであってよく、特にヒトの皮膚への使用を意図する場合は2gから5gであってよい。
【0031】
液体化粧料組成物のリザーバは、組成物を維持するための収容空間である。この収容空間を吸収材料を含まない。組成物をリザーバから吸収材料に供給する手段が存在することが重要である。本発明の典型的な実施態様においては、この手段は、リザーバの上方境界として吸収材料の下面を有することによって設けられる。この典型的な実施態様においては、リザーバは、この吸収材料下面と、側壁および底部とによって画定することができる。この底部は、内面上の凹面であってよく、これによって、中央に位置する芯状の延長部分を含む実施態様(上記を参照)において液体組成物の吸収材料への移動を促進することができる。
【0032】
一般的な使用においては、本発明の装置は、部分的にリザーバを画定する側壁領域において消費者が保持することができる。装置のこの領域の外部断面は、消費者による取り扱いが容易になるよう設計されることが好ましい。好適な断面形状としては、円形および楕円形が挙げられる。
【0033】
吸収材料の周辺部と使用者の身体との間に生じうる接触を回避するために、吸収材料が、この周辺部に側壁を有することが非常に好ましい。このような接触は、多孔質ポリマーアプリケータヘッドとの接触よりも快適度が少ないと考えることができる。この側壁は、容器の壁、またはリザーバの側壁と連続していてもよい。
【0034】
ある実施態様においては、リザーバの収容壁が可撓性であってもよく、これによって収容壁、特にリザーバの側壁を使用者が握ることで、リザーバ内の液体化粧料組成物に圧力をかけることが可能となる。これによって液体化粧料組成物の供給を促進することができる。
【0035】
リザーバの収容壁、および吸収材料周囲の側壁(存在する場合)は、供給される流体が不浸透性である材料でできていてよい。典型的な材料は、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどのポリオレフィン、またはナイロンまたはPET/POETなどの付加コポリマーなどプラスチックである。
【0036】
ある実施態様においては、リザーバは折り畳み可能な袋の形態をとる。このような実施態様は、リザーバの通気が不要であるという利点を有することができる(下記を参照)。
【0037】
吸収材料および/またはリザーバが大気と通じるための通気口は、本発明に記載の装置の好ましい構造である。通気口は、周囲温度または大気圧の変化によって生じる装置内の圧力変化を緩和する機能を果たすことができる。過剰の圧力は、リザーバの側壁または底部の通気口によって緩和することができ、このような通気口の例としては、感圧性一方向弁および気体透過性膜が挙げられる。何もなければ露出する吸収材料の周囲全体に側壁が存在する場合、本発明の装置は好ましくは、吸収材料が大気と直接通じるための通気口を含む。この通気口は、吸収材料周囲の側壁中に存在することができるし、または、多孔質ポリマーアプリケータヘッドが吸収材料の上面を完全には覆わないことによって形成されてもよい。通気口は、装置内部の陰圧の増加を軽減する機能を果たすことができ、このような陰圧は、製品適用中に発生することがあり、適用に有害となりうる。
【0038】
アプリケータヘッドを覆うためのキャップは、本発明の装置の望ましい追加構造である。このようなキャップは、アプリケータヘッドとの不慮の接触を防止することができ、アプリケータヘッドの孔隙内の組成物からの揮発成分の損失を軽減することができる。キャップは好ましくは吸収材料周囲の側壁と接触する。キャップは、この側壁上に蝶番で取り付けることができるし、完全に取り外し可能であってもよい。完全に取り外し可能なキャップは、ねじ山によって側壁上に維持することができるし、またはキャップ側壁の内面と吸収材料またはこの側壁の外面との間の摩擦、たとえばスナップ嵌めによって単純に側壁上に維持することができる。前述の通気口が存在する場合、キャップがこの通気口を覆ってもよい。好ましくは、キャップは、アプリケータヘッド上で気密シールを形成せず、これは、キャップ自体に存在する通気口を有することで実現することができる。
【0039】
化粧料組成物は、圧力および温度の標準条件において液体である。液体化粧料組成物はあらゆる種類のものであってよく、たとえば、ヘアケア製品、香水、デオドラント、または制汗剤であってよい。デオドラントまたは制汗剤組成物が特に好適である。このような組成物中に典型的に存在する成分が、本発明に使用される組成物中に含まれてよい。
【0040】
本発明の組成物は、多孔質ポリマーアプリケータヘッドの孔隙よりも大きな寸法の固体粒子を含まないことが非常に好ましい。このような粒子は、アプリケータヘッドの孔隙の詰まり、および/または製品の知覚性能の低下の原因となりうる。より好ましくは、同じ理由で組成物は、固体粒子材料を全く含まない。好ましい実施態様においては、多孔質ポリマーアプリケータヘッドの孔径が10μm以上であり、組成物は10μm以上の寸法のあらゆる粒子を含まない。
【0041】
液体化粧料組成物は多くの場合、液体分散媒、たとえば、エタノール、プロピレングリコール、プロパノール、またはイソプロパノールなどのC2からC4アルコールを含む。このような組成物は、本発明により適用した場合に特に良好な知覚特性を得ることができる。好適な液体組成物は、典型的にはC2からC4アルコールを組成物の5重量%から95重量%、特に25重量%から80重量%、特に40重量%から75重量%の量で含む。エタノールを含む液体組成物が特に好適である。
【0042】
液体分散媒は、たとえば組成物の0.1重量%から60重量%の量で水を含むこともできる。水とC2からC4アルコール、特にエタノールとを含む組成物が特に好ましい。
【0043】
これより、図1から4を参照しながら具体的で非限定的な実施態様によってさらに本発明を開示する。
【0044】
図1、3、および4において、多孔質ポリマーアプリケータヘッド(1)は装置(14)の上部にあり、直下の吸収材料(2)と密接して固定されている。液体化粧料組成物(3)は、吸収材料(2)の下のリザーバ(4)内部に保持される。リザーバ(4)は、吸収材料(2)の底部、側壁(5)、および底部(6)によって画定される。側壁(5)は、上向きに延在し、吸収材料(2)を囲んでいる。アプリケータヘッドはキャップ(7)によって覆われている。側壁(5)の上部は、キャップ(7)の側壁(8)と取り外し自在のシールを形成し、キャップ(7)は摩擦嵌めによって取り外し自在に維持される。
【0045】
図2は、この実施態様の楕円形断面(9)およびキャップ(8)の側壁を示している。図3は、内面(11)上の凹面であるリザーバ(6)底部まで延在する、吸収材料(2)への中央芯状延長部分(10)を有する実施態様を示している。
【0046】
図4は、リザーバ(6)底部まで延在する、吸収材料(2)への周辺芯状延長部分(12)を有する実施態様を示している。図4からは明らかでないが、この延長部分は、リザーバ(4)の周囲全体に延在している。吸収材料(2)を覆う側壁(5)中の通気口(13)も示されている。この通気口(13)は取り外し自在のキャップ(7)の側壁(8)によって覆われている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明による製品の垂直断面図を表しており、リザーバ(4)中の液体組成物(3)と吸収材料(2)との間の接触は方向に依存している。
【図2】図2は、図1、3、または4に示される実施態様の上面透視図を表している。
【図3】図3は、本発明による製品の垂直中央断面図を表しており、吸収材料(2)への異なる種類の芯状延長部分(10、12)が、液体組成物(3)のリザーバ(4)の底部まで延在しており、リザーバ(4)中の液体組成物(3)と吸収材料(2)との間の接触を維持するための手段として機能している。
【図4】図4は、本発明による製品の垂直中央断面図を表しており、吸収材料(2)への異なる種類の芯状延長部分(10、12)が、液体組成物(3)のリザーバ(4)の底部まで延在しており、リザーバ(4)中の液体組成物(3)と吸収材料(2)との間の接触を維持するための手段として機能している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体化粧料組成物(3)とこれを適用するための装置(14)とを含む製品であって、前記装置(14)が、多孔質ポリマーアプリケータヘッド(1)と、これと密接して固定された吸収材料(2)と、前記組成物を吸収材料(2)に供給する液体化粧料組成物(3)用リザーバ(4)とを含み、吸収材料(2)による液体化粧料組成物(3)の全収容量が、前記リザーバ(4)中に保持することができる液体化粧料組成物(3)の量よりも少ないことを特徴とする製品。
【請求項2】
前記リザーバ(4)中の前記液体組成物(3)と前記吸収材料(2)との接触が方向に依存する、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記製品の方向に依存しない前記リザーバ(4)中の前記液体組成物(3)と前記吸収材料(2)との接触を維持するための手段を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
前記リザーバ(4)中の前記液体組成物(3)と前記吸収材料(2)との接触を維持するための前記手段が、前記液体組成物(3)の前記リザーバ(4)の底部まで延在する、前記吸収材料(2)への芯状延長部分(10、12)を含む、請求項3に記載の製品。
【請求項5】
前記多孔質アプリケータヘッド(1)と接触する前記吸収材料(2)の表面積が、前記1つまたはそれ以上の芯状延長部分(10、12)の最大全断面積よりも大きい、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
前記アプリケータヘッド(1)の内面または下面の10%以上が、前記吸収材料(2)と密接している、請求項1から5のいずれか1項に記載の製品。
【請求項7】
前記アプリケータヘッド(1)の内面または下面の50%以上が、前記吸収材料(2)と密接している、請求項6に記載の製品。
【請求項8】
前記アプリケータヘッド(1)が非可撓性、非変形性の焼結材料でできている、請求項1から7のいずれか1項に記載の製品。
【請求項9】
前記アプリケータヘッド(1)の外面がドーム型である、請求項1から8のいずれか1項に記載の製品。
【請求項10】
吸収材料(2)が繊維状材料または連続気泡フォームである、請求項1から9のいずれか1項に記載の製品。
【請求項11】
吸収材料(2)が、前記多孔質ポリマーアプリケータヘッド(1)のグラム当たりの収容力よりも大きい、前記液体組成物(3)のグラム当たりの収容力を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の製品。
【請求項12】
前記吸収材料(2)が、前記多孔質ポリマーアプリケータヘッド(1)の前記液体組成物(3)に対する全収容量よりも大きい、前記液体組成物(3)に対する全収容量を有する、請求項1から11のいずれか1項に記載の製品。
【請求項13】
前記吸収材料(2)が、前記リザーバ(4)中に保持することができる液体化粧料組成物の量の半分未満となる、前記液体組成物(3)に対する全収容量を有する、請求項1から12のいずれか1項に記載の製品。
【請求項14】
前記リザーバ(4)が折り畳み可能な袋の形態をとる、請求項1から13のいずれか1項に記載の製品。
【請求項15】
前記吸収材料(2)および/または前記リザーバ(4)が大気と通じるようにする通気口(13)を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の製品。
【請求項16】
液体化粧料組成物(3)を人体に適用する方法であって、多孔質ポリマーアプリケータヘッド(1)と、これと密接して固定された吸収材料(2)と、前記吸収材料(2)による液体化粧料組成物(3)の全収容量よりも液体化粧料組成物(3)の全収容量が多い液体化粧料組成物(3)用リザーバとを含む装置を、体表に沿って移動させて、液体化粧料組成物(3)を前記リザーバ(3)から吸収材料(2)に移動させ、そこから多孔質ポリマーアプリケータヘッド(1)を介して前記体表に移動させるステップを含む方法。
【請求項17】
前記液体化粧料組成物(3)の前記吸収材料(2)から前記多孔質ポリマーアプリケータヘッド(1)を介する供給が、完全に吸い上げの結果によるものである、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−512957(P2006−512957A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565993(P2004−565993)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014493
【国際公開番号】WO2004/062423
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】