説明

液体収容容器

【課題】簡単に液体を詰め替えられるようにするとともに、取り外したキャップを装着する際に空気を導入する通路を容易かつ確実に確保できるようにする。
【解決手段】液体を収容する容器本体1と、容器本体1の上面の容器口部2に取り外し可能に螺合するキャップ本体6、及びキャップ本体6にヒンジ部7により接続するキャップカバー8からなり、キャップカバー8による開閉面11に、液体をシャワー状に散布するための複数の噴出穴12、及び空気導入穴13が形成されたヒンジキャップ3とを備える。容器本体1には、その内部の液体を収容する空間Sに対して上下で開口する空気導入路16が設けられている。キャップ本体6には、空気導入穴13に連通して容器本体1の内部に延出する空気導入管15が設けられ、キャップ本体6を容器口部2に所定量だけ螺合させると、空気導入管15が空気導入路16の上側の開口に連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液体農薬や液体肥料を収容し、それを散布することのできる液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を収容し、それを散布することのできる液体収容容器として、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示された除草剤等を収納するための包装用容器100では、図5、図6に示すように、注ぎ口101に被せられた薄板状の蓋102に多数の穴103が設けられており、収納した液体を当該容器100から直接シャワー状に散布することができる。容器100の上部の把手104は持ち運びの際に、側面部の把手105は液体の散布の際に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1404844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、環境保護等の観点から、液体洗剤やシャンプー等を収容する容器に関しては、液体を使い切ったら捨てるのではなく、液体を詰め替えることにより再利用することが一般的になっている。このように液体を詰め替えられるようにすることは、例えば家庭園芸で使用される液体農薬や液体肥料を収容する容器に関しても望まれている。
【0005】
特許文献1に開示されているような従来の容器100では、液体の詰め替えは想定されておらず、薄板状の蓋102が注ぎ口101の外縁に嵌め込まれて、容易に取り外しできないようになっている。
【0006】
また、特許文献1に開示されているような従来の容器100では、液体を散布するときの脈動を抑えるために、蓋102に空気導入穴106を形成するとともに、その空気導入穴106に連通する空気導入管107を容器の内部に延出させている。空気導入管107は、液体を散布する際に把手105を持って注ぎ口101を下向きに傾けたときに、その先端が液体の上方に位置するように、把手105側に湾曲させられている。
【0007】
図5、図6に示すようなタイプの容器でも、蓋102を強引に取り外して液体を詰め替えることは不可能ではないが、液体で手が汚れたり、空気導入管107の向きを気にせずにユーザが蓋102を取り付けたりするおそれがある。
【0008】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、キャップを取り外し可能として簡単に液体を詰め替えられるようにするとともに、取り外したキャップを装着する際に空気を導入する通路を容易かつ確実に確保できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体収容容器は、液体を収容する容器本体と、前記容器本体の上面の容器口部に取り外し可能に螺合するキャップ本体、及び前記キャップ本体のキャップカバーを具備し、前記キャップ本体の前記キャップカバーにより開閉される面に、前記容器本体に収容された液体をシャワー状に散布するための複数の噴出穴、及び空気導入穴が形成されたキャップとを備え、前記容器本体には、その内部の液体を収容する空間に対して上下で開口する空気導入路が設けられており、前記キャップの前記キャップ本体には、前記空気導入穴に連通して前記容器本体の内部に延出する空気導入管が設けられ、前記キャップ本体を前記容器口部に所定量だけ螺合させると、前記空気導入管が前記空気導入路の前記上側の開口に連通することを特徴とする。
また、本発明の液体収容容器の他の特徴とするところは、前記容器口部は、前記容器本体の上面に上方に突出するように筒状に成形され、前記容器本体には前記容器口部の内側に膨出する膨出部が成形されており、その膨出部に前記上側の開口が上向きに形成されている点にある。
また、本発明の液体収容容器の他の特徴とするところは、前記容器本体の上面及び側面にそれぞれ把手が設けられており、これら把手に沿って前記空気導入路が形成されている点にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器本体の容器口部に取り外し可能に螺合するキャップを採用したので、簡単に液体を詰め替えることができる。しかも、キャップを容器口部に所定量だけ螺合させると、空気導入管が空気導入路に連通するようにしたので、取り外したキャップを装着する際に空気を導入する通路を容易かつ確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本実施形態に係る液体収容容器を示す平面図である。
【図1B】本実施形態に係る液体収容容器を示す正面図である。
【図1C】本実施形態に係る液体収容容器を示す左側面図である。
【図1D】本実施形態に係る液体収容容器を示す底面図である。
【図2】本実施形態に係る液体収容容器の断面斜視図である。
【図3】ヒンジキャップまわりの構成を示す断面斜視図である。
【図4】本実施形態に係る液体収容容器から液体をシャワー状に散布しているときの状態を説明するための図である。
【図5】従来の液体収容容器を示す図である。
【図6】従来の液体収容容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1A〜図1Dは本実施形態に係る液体収容容器を示す図であり、図1Aが平面図、図1Bが正面図、図1Cが左側面図、図1Dが底面図である。また、図2は本実施形態に係る液体収容容器の断面斜視図、図3はヒンジキャップ3まわりの構成を示す断面斜視図である。本実施形態に係る液体収容容器は、家庭園芸で使用される液体農薬や液体肥料(以下、単に液体と称する)を収容するのに用いられる。
【0013】
液体収容容器は、液体を収容する樹脂製の容器本体1と、容器本体1の容器口部2に装着される樹脂製のヒンジキャップ3とを備える。
【0014】
容器本体1は、全体として上下に長い箱型を呈し、上部及び側面1aに把手4、5が一体成形されている。上部の把手4は主に持ち運びの際に、側面1aの把手5は主に液体の散布の際に使用される。また、容器本体1の上面には、把手5とは逆側の側面1bに近い位置に、上方に突出する筒状の容器口部2が一体成形されている。
【0015】
ヒンジキャップ3は、図3に示すように、容器本体1の容器口部2に取り外し可能に螺合する筒状のキャップ本体6と、キャップ本体6にヒンジ部7により接続するキャップカバー8とからなる。本実施形態のヒンジキャップ3は、キャップ本体6の下端部がリング9と薄肉部10で連結し、使用時はキャップ本体6を回転させて薄肉部10を切断する、所謂バージンキャップとなっている。
【0016】
キャップ本体6のキャップカバー8により開閉される面11には、容器本体1に収容された液体をシャワー状に散布するための複数の噴出穴12と、空気導入穴13とが形成されている。噴出穴12及び空気導入穴13の周囲には液垂れを防ぐための環状壁部14が立設されており、その内側において噴出穴12は側面1b側に、空気導入穴13は側面1a側に配置される。
【0017】
ヒンジキャップ3のキャップ本体6には、空気導入穴13に連通し、容器本体1の内部に垂下する空気導入管15が設けられている。空気導入管15はヒンジキャップ3に一体成形されていてもよいし、別部材として空気導入穴13に挿着するようにしてもよい。
【0018】
また、図2、図3に示すように、容器本体1には、その内部の液体を収容する空間Sに対して上下で開口する空気導入路16が形成されている。ここでいう上下とは、液体収容容器の底面を平面に置いた状態での上下を意味するものとする。空気導入路16は、容器本体1の上面及び側面1aに沿って、空間Sとは独立するかたちで形成されており、把手4の上側、把手5の外側を通るように配置される。容器本体1には容器口部2の内側に膨出する膨出部17が一体成形されており、空気導入路16は、膨出部17で上向きに開口し(上側開口部16aと称する)、また、容器本体1の底に近い位置、本例では把手5の下側で開口する(下側開口部16bと称する)。
【0019】
そして、ヒンジキャップ3のキャップ本体6を容器口部2に所定量だけ螺合させて締め上げると、空気導入管15が空気導入路16の上側開口部16aに連通するようになっている。この場合に、例えばヒンジキャップ3及び容器本体1の所定の位置にマークを記しておき、キャップ本体6を容器口部2に所定量だけ螺合させたとき、すなわち空気導入管15が空気導入路16の上側開口部16aに連通したときにマークが一致するようにしてもよい。また、図3に示すように、空気導入管15に対して上側開口部16aをやや大きめにしておき、空気導入管15が空気導入路16に連通しやすいようにしてもよい。
【0020】
また、本実施形態では、空気導入管15が上側開口部16aに直接連通する構成を示したが、例えば空気導入管15を短くしてその先端に所定の形状のピースを設け、このピースを介して上側開口部16aに連通するようにしてもよい。例えば、本実施形態では空気導入管15が垂下する位置に上側開口部16aが位置する例を示したが、空気導入管15が垂下する位置と上側開口部16aの位置とがずれているような場合には、例えば空気導入管15の先端に湾曲する筒状のピースを設けて、このピースを介して上側開口部16aに連通するようにすればよい。また、例えばピースの材質を空気導入管15や膨出部17よりも柔らかいものとし、このピースが膨出部17の上面に密着して、空気導入管15と上側開口部16aとを連通するような形態としてもよい。
【0021】
以上のようにした液体収容容器により液体を散布するときには、図4に示すように、把手5を持って容器口部2を下向きに傾けると、容器本体1に収容された液体が噴出穴12からシャワー状に噴出する。このとき、空気導入穴13から空気が導入され、その空気が、空気導入管15、上側開口部16a、空気導入路16を経て、下側開口部16bから容器本体1内の液体の上方に形成される密封空間18に導かれる。これにより、液体の水位が下がっても密封空間18の気圧は一定に保たれ、脈動が生じることなくスムーズに液体を散布することができる。
【0022】
なお、底面を平面に置いた状態(すなわち、容器口部2や把手4を上向きにした状態)で液体収容容器を置いているときには空気導入路16にも液体が入り込んでいるが、図4に示すように把手5を持って容器口部2を下向きに傾ける過程で、空気導入路16内の液体は主に下側開口部16bから空間Sに流れ出て、空気導入路16に空気が通るようになる。特に把手5の下側、すなわち空気導入路16の下側が空間S側に向かうような形状になっているので、容器口部2を下向きに傾ける過程で、空気導入路16内の液体が下側開口部16bから空間Sに流れ出やすくなっている。
【0023】
本実施形態に係る液体収容容器では、ヒンジキャップ3を容器口部2に取り外し可能に螺合する構成となっているので、ヒンジキャップ3を容易に取り外すことができる。したがって、液体で手が汚れることなく、簡単に液体を詰め替えることができる。
【0024】
そして、ヒンジキャップ3のキャップ本体6を容器口部2に所定量だけ螺合させると、空気導入管15が空気導入路16の上側開口部16aに連通するので、取り外したヒンジキャップ3を装着する際に空気を導入する通路を容易かつ確実に確保することができる。
【0025】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。例えば容器本体1及びヒンジキャップ3の大きさや形状等は一例に過ぎない。また、本実施形態ではヒンジキャップ3を例に説明したが、例えばキャップ本体に対してキャップカバーを螺合する形態のキャップであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、液体農薬や液体肥料といった液体化学薬品だけでなく、液体一般を収容する液体収容容器に適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1:容器本体、2:容器口部、3:ヒンジキャップ、4、5:把手、6:キャップ本体、7:ヒンジ部、8キャップカバー、11:キャップ本体の面、12:噴出穴、13:空気導入穴、15:空気導入管、16:空気導入路、16a:上側開口部、16b:下側開口部、17:膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器本体と、
前記容器本体の上面の容器口部に取り外し可能に螺合するキャップ本体、及び前記キャップ本体のキャップカバーを具備し、前記キャップ本体の前記キャップカバーにより開閉される面に、前記容器本体に収容された液体をシャワー状に散布するための複数の噴出穴、及び空気導入穴が形成されたキャップとを備え、
前記容器本体には、その内部の液体を収容する空間に対して上下で開口する空気導入路が設けられており、
前記キャップの前記キャップ本体には、前記空気導入穴に連通して前記容器本体の内部に延出する空気導入管が設けられ、前記キャップ本体を前記容器口部に所定量だけ螺合させると、前記空気導入管が前記空気導入路の前記上側の開口に連通することを特徴とする液体収容容器。
【請求項2】
前記容器口部は、前記容器本体の上面に上方に突出するように筒状に成形され、
前記容器本体には前記容器口部の内側に膨出する膨出部が成形されており、その膨出部に前記上側の開口が上向きに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器。
【請求項3】
前記容器本体の上面及び側面にそれぞれ把手が設けられており、これら把手に沿って前記空気導入路が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体収容容器。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−18517(P2013−18517A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153108(P2011−153108)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(390026778)レインボー薬品株式会社 (4)
【出願人】(504190722)北酸株式会社 (2)
【Fターム(参考)】