説明

液体収納容器

【課題】 ラッチレバー形態のインクタンクにおいて、中途半端な状態の装着をなくし、確実な装着を実現する。
【解決手段】 インクタンクがホルダーに挿入されると電磁石1が働いてインクタンクを挿入方向にひっぱり、電磁石2でラッチレバーをひっぱり確実に装着位置まで引っ張る。装着位置までインクタンクが来たら電磁石1、2を開放してラッチレバーが契合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換型の液体収納容器および該液体収納容器を用いたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写機など画像を形成する記録装置の一形態に、記録ヘッドから記録紙等の記録媒体へインクを吐出して記録を行う記録装置がある。
【0003】
このような記録装置においては、記録ヘッドへインクを供給するためのインクタンクを着脱可能に装着することが行われており、着脱の構成にはいくつかの方式のものが実施あるいは提案されている。
【0004】
図6はインクタンクを着脱可能に装着するための従来の構成例を示す模式的縦断面図である。
【0005】
図6において、インクタンク400の一側面にタンクホルダ300の抜け止め穴320に挿入される抜け止め用突起405が設けられている。
【0006】
また、該インクタンク400の反対側の側面にタンクホルダ300の係止穴403と係合するラッチ403が形成されたラッチレバー402が設けられている。
【0007】
インクタンク400を装着する際には、図6の状態Aに示すように該インクタンク400を抜け止め用突起405側からタンクホルダ300に挿入する。
【0008】
そして、途中の状態Bを経て、状態Cのように抜け止め用突起405をタンクホルダ300の抜け止め穴320に差し込んで係合させる。
【0009】
次いで、インクタンク400の後部を図中の矢印D方向に押すことにより、ラッチレバー402を弾性変形させてタンクホルダのフランジ部321を越えさせ、最後にラッチ部403を係止穴403に係止させる。
【0010】
これと同時に、インクタンクに設けられたインク供給口330は記録ヘッド100に設けられたインク供給管304に圧接されてインクの供給が可能な状態となる。
【0011】
次にインクタンクを外す場合は、ラッチレバー402を図中矢印E方向に押すことによってラッチ爪403を係止穴403から解放する。これと同時にインク供給口330とインク供給管304との圧接が解放されるため、その反力でインクタンク400は若干押上げられる。
【0012】
その後、インクタンク400の後部を持って引き出すことにより、抜け止め用突起405が抜け止め用穴320から引き出され、インクタンク400を取り外すことができる(特許文献1の第8頁、図4を参照)。
【特許文献1】特許第3368269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来例においては、インクタンクを容易にキャリッジやタンクホルダに着脱できるものの、ユーザーの中にはラッチが十分に係合する所までインクタンクを十分に押し切れない場合、又は押したと思って途中で操作を止めてしまう場合がある。
【0014】
稀なケースではあるが、上記の場合にはインクタンクが単にタンクホルダに載ったままの状態となる。
【0015】
このような状態で使用されると、インクタンクのインク供給口と記録ヘッドのインク供給管とが十分に結合されていない状態になる。
【0016】
そのため、インクが供給されずに記録ができない事態が発生する。また、インクタンクが十分に装着されていないため、キャリッジの走査の際にカタカタと異音が発生するなどの不都合の原因になることがあった。
【0017】
また、従来例の構成に対してラッチを樹脂素材にて構成する場合には、経年変化や周辺環境の熱により弾性が劣化して反発力がなくなりやすく、上記不十分な装着状態が発生する可能性が高くなる。
【0018】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものである。
【0019】
第1の本発明の目的は、インクタンクが不十分な状態でセットされた場合、あるいはインクタンクを所定位置に置くだけでも、該インクタンクを自動的に正しく装着することができる記録装置を提供することである。
【0020】
また、第2の本発明の目的は、インクタンクを外す場合に、該インクタンクを自動的に外すことができ、ラッチ等の係止手段を外すなどの手間を省くことができる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するための本発明の液体収納容器は
記録装置に装着され、該記録装置に液体を供給する液体収納容器であり、
該記録装置に設けられた、箱状のホルダに挿入されて着脱され、
箱状のホルダには液体収納容器の挿入方向に対向する方向に反発力が働く
弾性部材がもうけられ、該弾性部材は強磁性体により構成され、
液体収納容器は
液体を収容する容器と、該ホルダに設けられたインク取り込み手段と連結して
液体を供給する供給口と
底面と
容器挿入方向に対して磁場が働く電磁石および
弾性部材に対して磁場が働く電磁石を設けられたことを
特徴とする。
【0022】
また、別の本発明による液体収納容器は、記録装置に装着され、該記録装置に液体を供給する液体収納容器であり、
該記録装置に設けられた、箱状のホルダに挿入されて着脱され、
液体収納容器は
液体を収容する容器と、該ホルダに設けられたインク取り込み手段と連結して
液体を供給する供給口と
底面と
底面に隣接する一端面とが交わる稜線に傾斜面が形成され
前記一端面に爪状突起が設けられると共に
他端面にラッチ爪が設けられたラッチレバーが弾性的に指示されて設けられ
前記ラッチレバーが強磁性体からなり
容器挿入方向に対して磁場が働く電磁石および
ラッチレバーに対して磁場が働く電磁石を設けられたことを
特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
上記発明の構成によれば、インクタンクに設けられた電磁石により、タンクホルダにセット位置まで押し込む構成とした。
【0024】
そのため、ユーザーがインクタンクの装着の途中で押し込みをやめて手を離した場合でも、インクタンクがタンクホルダの中に十分に押し下げられるため、インクタンクを確実にタンクホルダに装着することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。図5は、従来からの一般的なインクジェット記録装置300を示す斜視図である。
【0027】
図5に示されるインクジェット記録装置300では、互いに平行なリードスクリュー304およびガイド軸305が筐体に備えられている。
【0028】
リードスクリュー304およびガイド軸305には、ホルダ200がリードスクリュー304およびガイド軸305と平行な方向に移動可能に取り付けられている。
【0029】
ホルダ200は、モータ(不図示)によってリードスクリュー304が回転されることで平行移動させられる。
【0030】
ホルダ200には、インクジェットヘッド(不図示)を備えたインクジェットヘッドカートリッジが搭載されている。インクジェットヘッドの吐出口移動軌跡面の近傍には、紙押さえ板309が備えられている。
【0031】
また、インクジェット記録装置300には、被記録媒体である記録用紙306をインクジェットヘッドの記録領域に向けて搬送する給紙ローラ307と、インクジェットヘッドにより記録された記録用紙306を排出するための排紙ローラ308とが備えられている。
【0032】
給紙ローラ307および排紙ローラ308は、不図示のモータにより回転される。
【0033】
インクジェットヘッドから吐出されるインクが、インクジェットヘッドの吐出口面と対向する記録用紙306に付着することによって、記録用紙306の表面に記録画像が形成される。
【0034】
インクジェットヘッド302による記録用紙306への記録と連動して、モータにより回転される給紙ローラ307および排紙ローラ308と、紙押さえ板309とによって記録用紙306がインクジェット記録装置の外部に排出される。
【0035】
(図面の説明)
図1、図2、図3は本発明を適用した液体収納容器100とインクジェット記録装置に設けられた液体収納容器100の装着部であるホルダ200の第1実施例を示す模式断面図である。
【0036】
図1は液体収納容器100がホルダ200に装着された状態の概略構成を示すための模式断面図であり、図2は図1の液体収納容器100の概略構成を示すための模式的断面図であり、図3は図1のホルダ200の概略構成を示すための模式断面図である。
【0037】
図1〜図3のように液体収納容器100がインクジェット記録装置のインクタンクである場合には、インクジェット記録装置の装着部であるホルダ200に着脱可能に装着される。
【0038】
そして、該インクジェット記録装置の記録手段としてのインクジェットヘッド(記録ヘッド)にインクを供給するために使用される。
【0039】
(タンクの構成 内部)
図1、図2に示すように液体収納容器100は、液体(インク)11を収容する液体収容部(インク収容部)1と、インク11を内部に保持する吸収体7と該液体収容部1内の液体を取り出すための供給口6と、を備えている。
【0040】
そして、液体収容容器1内から液体が供給された時、供給されたインク11と同じ体積の空気を取り入れるための大気連通口8を設けている。前記液体収容容器100はプラスチック材をインジェクション成形で成形された複数の部品接合からなる中空容器である。
【0041】
(タンクの構成 外部)
また、図1、図2に示すように液体収納容器100はインクジェット記録装置300、またはインクジェット記録装置300に着脱可能で印字を行うヘッド部などを設けたホルダ200などと係合し、液体収納容器100を固定するための爪4、係止部5を設けている。
【0042】
またレバー2は前記した爪4、液体収納容器100の取り外し操作を行うためのレバー操作部3備えている。そしてレバー2は鉄またはNi等の強磁性体で構成されている。
【0043】
そして、レバー2の支点が設けられている、液体収納部1を構成する面にはレバー2と対向する形で電磁石1 10が設けられている。
【0044】
更に供給口6と同じ底面には電磁石2が設けられている。(係止部5と離れている部分に)
また電磁石1および電磁石2を動作させ、また電磁石1および2を駆動させる電流値を検出することにより、レバー2と電磁石1、そして液体収納容器100と電磁石2の相対距離を検知する、コントローラー10とを備える。
【0045】
係止部5には記録装置本体からコントローラ10への電力を供給する接続端子14が設けられている。
【0046】
(ホルダの構成)
図1、図3に示すようにホルダ200はインクジェット記録装置300の一部でインクジェット記録装置300に着脱可能である。
【0047】
そして、液体収納容器100の供給口6からヘッドへとインクを導くインク供給路24、外部からのごみがインク供給路24内に進入しないようにするフィルタ25が設けられている。
【0048】
さらに、液体収納容器100に設けられた爪4、係止部5と係合し液体収納容器100を固定するための係止部止め22および爪係部23が設けられている。
【0049】
(効果の発生)
本発明ではプリンタがユーザーに対して液体収納容器100を交換動作を指示する場合に効果を発揮する。
【0050】
本実施例では液体収納部1内のインク11が無くなり、ユーザーに対して液体収納容器100の交換を指示する例を示している。
【0051】
さらに、本発明の効果はこれ以外の理由でインクジェット記録装置300がユーザーに対して液体収納容器100の交換指示を行う場合にも適応される。
【0052】
以下図4-1〜図4-5を用いて、図1から図3にて説明したインクタンクの動作および発明の効果を説明する。
【0053】
図4-1はタンクホルダ200にインクタンク100を挿入し始めた時点を示した図である。
【0054】
この時点でインクタンク100の係止部5に設けられた接続端子14とタンクホルダ200の係止部止22に設けられた端子21が電気接続してコントローラ9に電力が供給される。
【0055】
電力が供給され次第、コントローラ9は電磁石2 12および電磁石1 10の電流値計測する。この二つの電流値はそれぞれ、強磁性材料で構成されたレバー2と電磁石2 12間の距離変化と、タンクホルダ200に設けられた強磁性体25と電磁石1 10の距離変化により変化する。
【0056】
そして、この時の2つの電流値を初期値としてコントローラ9に内臓されているメモリに記録する。
【0057】
図4-2は図4-1と比較して更にユーザーによりインクタンク100が押し込まれた状態を示した図である。
【0058】
ユーザーによりインクタンクが押し込まれ、レバー2が弾性変形をしてレバー2と電磁石2 12の距離が短くなる。このとき、電流値は初期値と比較して変化する。変化を計測したコントローラ9により電磁石2 12に与える電流値または電圧値を上げて磁束密度を上げる。
【0059】
そして、レバー2を電磁石2 12で吸引してレバー2を液体収納容器1に当接させる。そして、電磁石1 10に電力を供給してホルダ200に設けられた、強磁体25を吸引する。ここで、ユーザーによる押し込みと電磁石1 10による吸引力でインクタンク100全体をホルダ200内に挿入させる。
【0060】
図4-3はインクタンク100がタンクホルダ200の中で、十分に押し下げられた状態を示した図である。
【0061】
インクタンク100が十分に押し下げられた状態では強磁性体と強磁性体25と電磁石1 10の距離がもっとも短くなる。そのため電流値が変化しそれをコントローラ9にて検知する。そしてこの時点での電流値と図4-1の時点にてメモリに記録した初期値とを比較して、コントローラ9は強磁性体と強磁性体25と電磁石1 10の距離がもっとも短くなったことを判断する。
【0062】
そして、コントローラ9は電磁石2 12への電力を止めレバー2を開放する。レバー2を開放した時点では電磁石1 10への電力は供給したままである。
【0063】
図4-4は開放されたレバー2が弾性力により元に復元して爪4が爪係り部23に係合した状態を示した図である。
【0064】
図4-3で開放されたレバー2が復元してインクタンク100の爪4がタンクホルダ200の爪係り部23に係合する。この状態でインクタンク100はタンクホルダ200に十分に装着される。そしてコントローラ9は電磁石1 10への電力供給を止める。(止めなくても問題はない)
また、インクタンク100の爪4がタンクホルダ200の爪係り部23に係合した状態での電磁石2での電流値をメモリに記録しておく。
【0065】
以上の操作でインクタンク100をタンクホルダ200に装着し完了したが、上述の操作はユーザーが従来例で行っても完了可能である。しかし、図4-2〜図4-3での電磁石1 10の吸引効果でインクタンク100がタンクホルダ200に引き寄せられること。更にレバー電磁石2 12でレバー2を引き寄せるため本来、レバー2が爪係り部23に当接してかかる反発力がなくなる。
【0066】
以上、2点の理由からより弱い力でインクタンク100を確実にタンクホルダ200に装着することが可能になる。
【0067】
次はインクタンク100の装着途中でユーザーがインクタンク100の押し込みをやめた場合について説明する。
【0068】
図4-5は図4-2の時点でユーザーがインクタンク100の押し込みをやめて手を離した場合でも、本発明の効果でインクタンク100がタンクホルダ200の中に十分に押し下げられた状態を示した図である。
【0069】
レバー2を電磁石2 12で吸引してレバー2を液体収納容器1に当接させる。そして、電磁石1 10に電力を供給してホルダ200に設けられた、強磁体25を吸引する。ここで、電磁石1 10による吸引力でインクタンク100全体をホルダ200内に挿入させる。
【0070】
インクタンク100が十分に押し下げられた状態では強磁性体と強磁性体25と電磁石1 10の距離がもっとも短くなる。そのため電流値が変化しそれをコントローラ9にて検知する。そしてこの時点での電流値と図4-1の時点にてメモリに記録した初期値とを比較して、コントローラ9は強磁性体と強磁性体25と電磁石1 10の距離がもっとも短くなったことを判断する。
【0071】
そして、コントローラ9は電磁石2 12への電力を止めレバー2を開放する。レバー2を開放した時点では電磁石1 10への電力は供給したままである。
【0072】
そして、図4-4の状態へと移行する。図4-4の状態の内容は上述したとおりである。
【0073】
以上のようにユーザーがインクタンク100の装着の途中で押し込みをやめて手を離した場合でも、本発明の効果でインクタンク100がタンクホルダ200の中に十分に押し下げられる。
【0074】
そのため、インクタンク100を確実にタンクホルダ200に装着することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明による液体収納容器とホルダーを示す模式図である。
【図2】本発明による液体収納容器を示す模式図である。
【図3】本発明による液体収納容器とホルダーを示す模式図である。
【図4】液体収納容器をホルダーに装着する段階を示した模式図である。
【図5】本発明の記録装置の模式図である。
【図6】従来技術を示す模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1 液体収納部
2 レバー
3 レバー操作部
4 爪
5 係止部
6 供給口
7 吸収体
8 大気連通口
9 コントローラー
10 電磁石1
11 インク
12 電磁石2
13 接続端子
20 フィルター
21 端子
22 係止部止
23 爪係り部
24 インク供給路
25 強磁体
100 液体収納容器
200 ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録装置に装着され、該記録装置に液体を供給する液体収納容器であり、
該記録装置に設けられた、箱状のホルダに挿入されて着脱され、
箱状のホルダには液体収納容器の挿入方向に対向する方向に反発力が働く
弾性部材がもうけられ、該弾性部材は強磁性体により構成され、
液体収納容器は
液体を収容する容器と、該ホルダに設けられたインク取り込み手段と連結して
液体を供給する供給口と
底面と
容器挿入方向に対して磁場が働く電磁石および
弾性部材に対して磁場が働く電磁石を設けられたことを
特徴とする液体収納容器。
【請求項2】
記録装置に装着され、該記録装置に液体を供給する液体収納容器であり、
該記録装置に設けられた、箱状のホルダに挿入されて着脱され、
液体収納容器は
液体を収容する容器と、該ホルダに設けられたインク取り込み手段と連結して
液体を供給する供給口と
底面と
底面に隣接する一端面とが交わる稜線に傾斜面が形成され
前記一端面に爪状突起が設けられると共に
他端面にラッチ爪が設けられたラッチレバーが弾性的に指示されて設けられ
前記ラッチレバーが強磁性体からなり
容器挿入方向に対して磁場が働く電磁石および
ラッチレバーに対して磁場が働く電磁石を設けられたことを
特徴とする液体収納容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate