説明

液体吐出ヘッドユニット及び画像形成装置

【課題】他のヘッドに影響を与えることなく所要のヘッドを交換することが難しい。
【解決手段】複数のヘッドユニット201のヘッドタンク212は連結管70を介して上流側から下流側まで直列に接続され、ヘッドタンク212の供給管部78内にはインク収容部80の供給口81と供給開口79が対向する位置と対向しない位置とで回転可能な供給管77と、排出管部84内にはインク収容部80の排出口82と排出開口85が対向する位置と対向しない位置とで回転可能な排出管83とが設けられ、連結管70の一端部は供給管77と一体のリング75に連結及び取り外し可能に接続され、連結管70の他端部は排出管83と一体のリング86と連結及び取り外し可能に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッドユニット及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。
【0003】
特に、ライン型画像形成装置(以下、単に「インクジェット記録装置」ともいう。)において、複数のヘッドを並べて構成したライン型記録ヘッドを備え、記録ヘッドの各ヘッドに対するインクの供給を、2以上のヘッドに共通の分配部材を用いて行うものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−262879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように、複数のヘッドを並べて構成したライン型記録ヘッドを構成した場合、一部のヘッドに不良が発生したときには、当該不良になったヘッドのみを交換できるようにすることが好ましい。
【0006】
そして、この場合、交換するヘッドを取り外すことで、他の正常なヘッドの負圧などに影響に与えないようにする必要がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、他のヘッドに影響を与えることなく特定のヘッドのみを容易に交換できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出ヘッドユニットは、
液滴を吐出する液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドに液体を供給するヘッドタンクとを有する複数のヘッドユニットが並べて配置され、
前記ヘッドタンクは、前記液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部に外部から前記液体を供給する供給管部と、前記液体収容部から外部に前記液体を排出する排出管部と、を有し、
前記複数の液体吐出ヘッドの各ヘッドタンクは、前記供給管部が、隣り合う前記ヘッドタンクの前記排出管部と連結管にて接続されて、最上流側のヘッドタンクから最下流側のヘッドタンクまで直列に接続され、
前記連結管は、前記ヘッドタンクの前記供給管部及び前記排出管部に連結及び取り外し可能に取り付けられ、
前記ヘッドタンクには、前記供給管部及び前記排出管部を開閉する開閉手段を有し、
前記複数のヘッドタンクのうちの所要のヘッドタンクを取り外すとき、前記開閉手段にて、前記所要のヘッドタンクの前記供給管部及び前記排出管部と、前記所要のヘッドタンクに隣り合う上流側の前記ヘッドタンクの前記排出管部と、下流側の前記ヘッドタンクの前記供給管部とををそれぞれ閉じた状態にして、前記所要のヘッドタンクを取り外すことが可能である
構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、他のヘッドに影響を与えることなく特定のヘッドのみを容易に交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る液体吐出ヘッドユニットを備える画像形成装置の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドユニット及びインク供給排出系を説明する説明図である。
【図3】3つのヘッドユニットが連結管を介して接続されている状態の正面説明図である。
【図4】同じくヘッドユニットの交換の説明に供するヘッドユニット取り外し後の状態を示す説明図である。
【図5】ヘッドユニットのヘッドタンクの排出側の連結部の作用説明に供する斜視説明図である。
【図6】同じく断面説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態における液体吐出ヘッドユニットの説明に供する3つのヘッドユニットが連結管を介して接続されている状態の正面説明図である。
【図8】同じくヘッドユニットの交換の説明に供するヘッドユニット取り外し後の状態を示す説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態における排出側の連結部を作用説明とともに示す断面説明図である。
【図10】本発明の第4実施形態の第1例を作用説明とともに示す説明図である。
【図11】本発明の第4実施形態の第2例の説明に供する説明図である。
【図12】比較例のヘッドユニットを取り外す前の状態を示す説明図である。
【図13】同じくヘッドユニットを取り外した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液体吐出ヘッドユニットを備える画像形成装置の一例について図1を参照して説明する。
【0012】
この画像形成装置は、ライン型画像形成装置であり、被記録媒体である用紙1に液滴を吐出して画像を形成する画像形成部101と、用紙1を搬送する搬送手段(部)である搬送機構103と、用紙1を給紙部104と、排紙トレイ28などを備えている。
【0013】
画像形成部101は、液滴を吐出する複数のヘッドを直列(ノズル配列方向)に並べて配列した後述する本発明に係る液体吐出ヘッドユニット200から構成される複数(ここでは4個とする。)の記録ヘッド19を、用紙搬送方向に並べて配置している。これらの記録ヘッド19によって、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する。
【0014】
ここでは、複数の記録ヘッド19の各ヘッドそれぞれ2列のノズル列を有し、2つの記録ヘッド19、19を各ヘッドが千鳥状になるように配置することで、している。これにより、一方の記録ヘッド19の一方のノズル列と他方の記録ヘッド19の他方のノズル列を使用して同じ色の液滴を吐出させ、一方の記録ヘッド19の他方のノズル列と他方の記録ヘッド19の一方のノズル列を使用して他の同じ色の液滴を吐出させることで、全体として1つの色について用紙幅相当分のノズル列を構成している。
【0015】
搬送機構103は、入口ローラ13と出口ローラ23とを有している。入口ローラ13は、モータ17によって、モータプーリ16、タイミングベルト15、タイミングプーリ14を介して回転駆動される。出口ローラ23は、モータ27によって、モータプーリ26、タイミングベルト25、タイミングプーリ24を介して回転駆動される。
【0016】
また、入口ローラ13に対向して拍車12が配置され、出口ローラ23に対向して拍車22が配置されている。さらに、画像形成部101に対向して印写受け皿20が配置され、画像形成部101と出口ローラ23との間にはガイド板21が配置されている。
【0017】
この画像形成装置においては、給紙部104の給紙トレイ2に収容された用紙は、搬送を解除する位置と搬送を行う位置との移動可能なピックアップローラ3により一枚ずつピックアップされて、分離ローラ対4に搬送され、分離ローラ対4で確実に一枚に分離される。分離された用紙1は、搬送経路を経由して中間搬送ローラ対5に送られた後、ローラ対6に送られる。
【0018】
ローラ対6は、用紙1が送られてくるときには停止しており、ローラ対6のニップ位置の上流側で用紙1の先端が接したことを前センサ7で検知すると、搬送ローラ対5の搬送も一時停止し、ループを描いた状態の用紙1の先端の位置合わせが行われる。
【0019】
その後、再度ローラ対6が回転されて、後センサ8を通過することで、所定位置に用紙1の先端が到達したことが検知される。そして、搬送ローラ対9を通過した後、ガイド板10、11間を通じて、入口ローラ13と拍車12との間に送られ、記録ヘッドユニット101の下方を搬送される。
【0020】
そして、用紙1の先端がヘッド前センサ18を通過したタイミングを検出することにより、用紙1の所望の位置から記録ヘッド19によって液滴が吐出されて画像が形成される。
【0021】
この画像が形成された用紙1はガイド板21で案内され出口ローラ23と拍車22との間を経て排紙トレイ28に排紙される。
【0022】
なお、印写受け皿20は、適宜印刷タイミングの合間で記録ヘッド19から吐出される画像形成に寄与しない空吐出滴を受け止める。また、この部位において用紙1を案内するガイド部材は図示を省略しているが、例えば、ガイド板21を記録ヘッド19び下方まで延長し、ノズル位置では液滴が掛からないスリットを設ける等の構造とすることができる。
【0023】
また、入口ローラ13と出口ローラ23は、1つのモータでタイミングベルトや歯車、或いはその両方の駆動伝達手段を用いて同期させて駆動させることもできる。
【0024】
次に、本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドユニットについて図2を参照して説明する。図2は同液体吐出ヘッドユニット及びインク供給排出系を説明する説明図である。
【0025】
液体吐出ヘッドユニット200は、複数(ここでは6個とする)のヘッドユニット201を共通のヘッドベース202に直列に並べてアレイ化して搭載している。
【0026】
各ヘッドユニット201は、液滴を吐出する複数のノズルを有する液体吐出ヘッド211と、この液体吐出ヘッド211に液体(インク)を供給するヘッドタンク212とをスペーサ61を介して一体化して構成している。このヘッドユニット201は、ヘッドブラケット63に取り付けられ、ヘッドブラケット63がねじ64などでヘッドベース202に取付けられている。
【0027】
各ヘッドユニット201のヘッドタンク212は、隣り合うヘッドタンク212と連結管70を介して順次直列に接続され、最も上流側(メインタンク30側)から最も下流側(廃液タンク41側)まで一連のインク供給経路も構成している。
【0028】
そして、最上流側のヘッドタンク212は、連結管51及びジョイント50を介してサブタンク35に接続され、サブタンク35は供給ポンプ32を有する供給路33を介してメインタンク30に接続されている。
【0029】
他方、最下流側のヘッドタンク212は、廃液管37及びジョイント36を介して、廃液ポンプ39を有する廃液管38に接続され、廃液管38の他方は廃液タンク41に臨んでいる。廃液タンク41には大気開放弁43を有する大気開放通路44が設けられている。
【0030】
このように構成した液体吐出ヘッドユニット200及びインク供給排出系においては、メインタンク30に貯留されたインク500は、供給ポンプ32によって供給路33を介してサブタンク35に送液される。このとき、図示しないインク量検出手段によってサブタンク35のインク量を検出しながら、サブタンク35のインク量が所定量に維持されるように送液を行う。
【0031】
サブタンク35に供給されたインクは、サブタンク35から最上流側のヘッドユニット201のヘッドタンク212に供給され、最上流側のヘッドタンク212から連結管70を経て次段のヘッドユニット201のヘッドタンク212に供給され、同様にして、最下流側のヘッドユニット201のヘッドタンク212までインクが供給される。
【0032】
そして、最下流側のヘッドユニット201のヘッドタンク212から排出されるインクは廃液ポンプ39にて吸引されて廃液タンク41に廃液42として排出される。廃液タンク41は適宜内圧があがらないように大気開放通路44が大気開放弁43にて大気に開放される。
【0033】
次に、ヘッドユニットについて図3を参照して説明する。図3は3つのヘッドユニットが連結管を介して接続されている状態の正面説明図である。
【0034】
ヘッドユニット201(201A〜201C)は、上述したように、液体吐出ヘッド211とヘッドタンク212とを一体化したものであり、ヘッドタンク212からスペーサ61内に設けた供給路60を介して液体吐出ヘッド211にインクが供給される。
【0035】
ヘッドタンク212は、インク収容部80と、インク収容部80にインクを供給する供給管部78と、インク収容部80からインクを排出する排出管部84と形成するタンクケース213を有している。
【0036】
インク収容部80内の底部には、液体吐出ヘッド211に供給するインクから異物を捕集するフィルタ92が設けられている。
【0037】
インク収容部80には、ヘッドユニットの配列方向の一側部の底部にインクを供給する供給口81が設けられ、他側部の上部にインクを排出する排出口82が設けられている。
【0038】
ここで、ヘッドタンク212の供給管部78側には、上流側のヘッドタンク212との間を連結する連結管70が連結部221によって連結及び取り外し可能に接続される。
【0039】
この連結部221において、連結管70の端部には流れの方向を水平方向から垂直方向下向きに変えるためのL字管71が取付けられ、L字管71の先端部にはヘッドタンク212に挿入して連結し、引き抜いて取り外すための挿入管74が下方を向けて取付けられている。
【0040】
この挿入管74の外周にはフランジ部72が設けられ、フランジ部72には連結管70の連結及び取り外し方向に沿って一部が直線状に切り欠かれた切り欠き部73が形成されている。
【0041】
一方、ヘッドタンク212の供給管部78の上部には、挿入管74の外周に嵌め込まれることで挿入管74の周囲を密閉するリング75が設けられている。このリング75の外周にはレバー76が一体に設けられている。
【0042】
また、リング75と一体構造で内部に供給路77aを形成する供給管77が、供給管部78内に回転可能に嵌め込まれて配置され、供給管77の下端部には供給路77aに通じ、インク収容部80の供給口81に対向可能な供給開口79が設けられている。
【0043】
これらのリング75及び供給管77は一体で管状の回転部材を構成し、レバー76を回転することで、一体として回転して、供給管77の供給開口79が供給口81と対向する位置(開位置)に回転させることで、供給管77内の供給路77aを通じて供給口81からインク収容部80へのインク供給が可能になり、供給管77の供給開口79が供給口81と対向しない位置(閉位置)に回転させることで、供給管77の供給開口79は供給管部78の壁面にて閉じられて供給口81に通じない状態になる。
【0044】
つまり、リング75及び供給管77、供給管部78の壁面によって開閉手段としての所謂コック栓を構成している。
【0045】
なお、図3では、ヘッドユニット201B、201Cは供給開口79が閉じられている状態(閉位置にある状態)、ヘッドユニット201Aは供給開口79が開いている状態(開位置にある状態)を示している。
【0046】
また、レバー76を供給管77の供給開口79がインク収容部80の供給口81に対向する開位置にしたときに、レバー76は連結管70側のフランジ部72の切り欠き部73に対向して、連結管70の取り外し方向への移動が可能になる。
【0047】
これに対し、レバー76を供給管77の供給開口79がインク収容部80の供給口81に対向しない閉位置にしたときに、レバー76は連結管70側のフランジ部72の切り欠き部73に対向せず、フランジ部72に係わり合って連結管70の取り外し方向への移動を規制する。
【0048】
つまり、レバー76とフランジ部72によって、開閉手段が供給管部を開いているとき(供給管77の供給開口79を供給口81に通じさせているとき)に連結管70の取り外しを規制し、開閉手段が供給管部を閉じているとき(供給管77の供給開口79を供給口81に通じさせていないとき)に連結管70の取り外しを可能にする規制手段を構成している。
【0049】
また、ヘッドタンク212の排出管部84側には、下流側のヘッドタンク212と連結するための連結管70が連結部222によって連結及び取り外し可能に接続される。
【0050】
この連結部222において、連結管70の端部には流れの方向を垂直方向上向きから水平方向に変えるためのL字管91が取付けられ、L字管91の後端部にはヘッドタンク212に挿入して連結し、引き抜いて取り外すための挿入管90が下方を向けて取付けられている。
【0051】
この挿入管90の外周にはフランジ部88が設けられ、フランジ部88には連結管70の連結及び取り外し方向に沿って一部が直線状に切り欠かれた切り欠き部89が形成されている。
【0052】
一方、ヘッドタンク212の排出管部84の上部には、挿入管90の外周に嵌め込まれることで挿入管90の周囲を密閉するリング86が設けられている。このリング86の外周にはレバー87が一体に設けられている。
【0053】
また、リング86と一体構造で内部に排出路83aを形成する排出管83が、排出管部84内に回転可能に嵌め込まれて配置され、排出管83の下端部には排出路83aに通じ、インク収容部80の排出口82に対向可能な排出開口85が設けられている。
【0054】
これらのリング86及び排出管83は一体で管状の回転部材を構成し、レバー87を回転することで、一体として回転して、排出管83の排出開口85が排出口82と対向する位置(開位置)に回転させることで、排出管83内の排出路83aを通じて排出口82からインク収容部80内のインク排出が可能になり、排出管83の排出開口85が排出口82と対向しない位置(閉位置)に回転させることで、排出管83の排出開口85は排出管部84の壁面にて閉じられて排出口82に通じない状態になる。
【0055】
つまり、リング86及び排出管83、排出管部84の壁面によって開閉手段としての所謂コック栓を構成している。
【0056】
なお、図3では、ヘッドユニット201A、201Bは排出開口85が閉じられている状態(閉位置にある状態)、ヘッドユニット201Cは排出開口85が開いている状態(開位置にある状態)を示している。
【0057】
また、レバー87を排出管83の排出開口85がインク収容部80の排出口82に対向する開位置にしたときに、レバー87は連結管70側のフランジ部88の切り欠き部89に対向して、連結管70の取り外し方向への移動が可能になる。
【0058】
これに対し、レバー87を排出管83の排出開口85がインク収容部80の排出口82に対向しない閉位置にしたときに、レバー87は連結管70側のフランジ部88の切り欠き部89に対向せず、フランジ部88に係わり合って連結管70の取り外し方向への移動を規制する。
【0059】
つまり、レバー87とフランジ部88によって、開閉手段が排出管部を開いているとき(排出管83の排出開口85を排出口82に通じさせているとき)に連結管70の取り外しを規制し、開閉手段が排出管部を閉じているとき(排出管83の排出開口85を排出口82に通じさせていないとき)に連結管70の取り外しを可能にする規制手段を構成している。
【0060】
次に、ヘッドユニットの交換について図4も参照して説明する。図4はヘッドユニット取り外し後の状態を示す説明図である。ここでは、3つのヘッドユニット201A〜201Cのうちの真ん中のヘッドユニット201Bを交換するものとする。
【0061】
まず、図3に示すように、ヘッドユニット201Bの連結部221、222のレバー76、87を図示の位置にして供給管77の供給開口79、排出管83の排出開口85が閉じられた状態にする。また、上流側のヘッドユニット201Aの連結部222のレバー87を図示の位置にして排出管83の排出開口85が閉じられた状態にする。また、下流側のヘッドユニット201Cの連結部221のレバー76を図示の位置にして供給管77の供給開口79が閉じられた状態にする。
【0062】
その後、図4に示すように、ヘッドユニット201Bを上流側ヘッドユニット201Aとの連結管70及び下流側ヘッドユニット201Cとの連結管70を含めて、ヘッドベース202から取り外す。
【0063】
このとき、交換するヘッドユニット201Bは供給側と排出側の両端で閉じられている状態になるので、取り外しても、ヘッドタンク212のインク収容部80内に大気圧が掛からないので、インクが液体吐出ヘッド211のノズルから垂れ落ちることがなくなる。
【0064】
また、上流側のヘッドユニット201Aの排出側も閉じられているので、ヘッドユニット201Aの排出側から連結管70がはずされても、ヘッドタンク212のインク収容部80内に大気圧が掛からないので、インクが液体吐出ヘッド211のノズルから垂れ落ちることがなくなる。
【0065】
同様に、下流側のヘッドユニット201Cの供給側も閉じられているので、ヘッドユニット201Cの供給側から連結管70がはずされても、ヘッドタンク212のインク収容部80内に大気圧が掛からないので、インクが液体吐出ヘッド211のノズルから垂れ落ちることがなくなる。
【0066】
このように、直列接続された複数のヘッドユニット201から他のヘッドユニットに影響を与えることなく、特定のヘッドユニット、例えば吐出不良を生じたヘッドユニット201を取り外して、容易に交換することができる。
【0067】
ここで、図12及び図13に示す比較例について説明する。図12は同比較例のヘッドユニットを取り外す前の状態を示す説明図、図13はヘッドユニットを取り外した状態の説明図である。
【0068】
この比較例は、隣り合うヘッドユニット501のヘッドタンク512の一方の排出側排出管部556と他方の供給側供給管部553とを、途中でジョイント559にて連結された排出側連結管558Bと供給側連結管558Aを介して連結したものである。
【0069】
この比較例において例えば中央のヘッドユニット501Bを交換するときには、ジョイント559を取り外すことになる。
【0070】
このとき、ヘッドユニット501Bの供給側及び排出側はいずれも大気に開放されてインク収容部580に大気圧がかかり、液体吐出ヘッド211からインクが垂れるため、液体吐出ヘッド211のノズル面をキャップ部材566にてキャッピングしなければならない。
【0071】
また、上流側のヘッドユニット501Aも排出側が大気開放されるので、同様に、インク収容部580に大気圧がかかり、液体吐出ヘッド211からインクが垂れるため、液体吐出ヘッド211のノズル面をキャップ部材566にてキャッピングしなければならない。
【0072】
さらに、下流側のヘッドユニット501Cも供給側が大気開放されるので、同様に、インク収容部580に大気圧がかかり、液体吐出ヘッド211からインクが垂れるため、液体吐出ヘッド211のノズル面をキャップ部材566にてキャッピングしなければならない。
【0073】
このように比較例の液体吐出ヘッドユニットにあっては、特定のヘッドユニットの交換を行うときには、キャップ部材によるキャッピングが必要になり、交換作業が面倒になる。
【0074】
次に、ヘッドユニット201のヘッドタンク212の排出側の連結部222の作用の詳細について図5及び図6を参照して説明する。図5は同作用説明に供する斜視説明図、図6は同じく断面説明図である。
【0075】
図5(a)及び図6(a)では、レバー87の回転位置は、排出開口85がインク収容部80の排出口82と対向する開位置にある。これにより、インク収容部80のインクは排出開口85を通じて連結管70に流れることができる。
【0076】
このとき、レバー87と連結管70側のフランジ部88の切り欠き部89とは回転方向の異なる位置にある。そして、レバー87はフランジ部88の上面側に突き出した規制部材である突き出し部87aを有している。このため、連結管70を取り外そうとすると、フランジ部88とレバー87の突き出し部87aが干渉し(規制され)、いわば鍵が掛けられた状態になって、連結管70をヘッドタンク212から外すことができない。
【0077】
この状態から、図5(b)及び図6(b)に示すように、レバー87を突き出し部87aが連結管70のフランジ部88の切り欠き部89に対向する位置まで回転させる。これにより、排出開口85がインク収容部80の排出口82と対向しない位置まで回転されて、排出開口85が閉じ、インク収容部80から排出開口85にインクは排出されない。
【0078】
また、レバー87の突き出し部87aが連結管70のフランジ部88の切り欠き部89に対向することで、いわば鍵が外された状態になり、連結管70を外すことができる状態(規制が解除された状態)になる。
【0079】
そこで、図5(c)及び図6(c)に示すように、連結管70をヘッドタンク212の排出側から取り外すことができる。
【0080】
なお、説明は省略するが、供給側の連結部221の作用も上記と同様である。
【0081】
次に、本発明の第2実施形態における液体吐出ヘッドユニットについて図7及び図8を参照して説明する。
【0082】
本実施形態では、隣り合う2つのヘッドユニット201の排出側と供給側を連結する連結管70を、高さ方向で、排出側(上流側)が低く、供給側(下流側)が高くなるように傾斜させて配置している。
【0083】
このように構成することで、インクの充填作業を行うときに、流路内に滞留した気泡が、浮力により、傾斜した連通管70内を上方向,即ち下流側方向に向けて移動し易くなる。これによって、気泡は、効率よく次段のヘッドユニット201に流れ、気泡を下流側への一方方向に流すことが可能となるため、気泡排出性が向上し、インク充填を短時間で行うことができる。したがって、効率的にヘッドユニットの交換作業を行うことができる。
【0084】
次に、本発明の第3実施形態について図9を参照して説明する。図9は同実施形態における排出側の連結部を作用説明とともに示す断面説明図である。
【0085】
本実施形態では、L字管91に球状弁体94を内蔵している。球状弁体94は、較的比重の大きい,金属や、ガラス,セラミックス,弾性ゴム,エラストマ,樹脂等からなる球体形状の弁体である。フランジ88の内径は球状弁体94にと閉じることができる大きさに形成している。
【0086】
そして、L字管91内には球状弁体94を退避させる退避凹部93が設けられている。また、球状弁体94には、挿入管90からヘッドタンク212の排出管83内に進入する連動線部材95が設けられ、連動線部材95の下端部には排出管83の底部に当たり接する突き当て部96が設けられている。連動線部材95は比較的剛直な材質、具体的には球状弁体94の重力荷重では座屈しない程度の剛性のある樹脂や金属ワイヤ等で形成されている。
【0087】
このように構成したので、図9(a)に示すように、レバー87の回転位置は、排出開口85がインク収容部80の排出口82と対向する位置にあり、レバー87の突き出し部87aと連結管70側のフランジ88の切り欠き89とは回転方向の異なる位置にあるため、連結管70をヘッドタンク212から外すことができない。
【0088】
このとき、球状弁体94は、連動線部材95の突き当て部96が排出管83の底部に突き当たり、L字管91内を上方に押し上げられて退避凹部93に収容された状態になる。
【0089】
したがって、L字管91内の流路の断面積は狭まることが無く流体抵抗は通常の状態になっている。
【0090】
これに対し、図9(b)に示すように、レバー87を突き出し部87aと連結管70側のフランジ88の切り欠き89が対向する位置まで回転させることにより、連結管70をヘッドタンク212から外すことができる状態になる。そこで、連結管70を取り外しと、球状弁体94は重力によって下方へ移動し、挿入管90の内周部で形成された弁座97に嵌り、挿入管90の流路を閉じる。
【0091】
また、再度,連結管70を接続するときには、図9(a)の状態に戻る。
【0092】
このように、取り外すヘッドユニット201の供給側に接続された連結管70の上流側端部が球状弁体94によって自動的に閉じられるので、取り外すヘッドユニット201の供給側の連結部221のレバー76で供給開口79を閉じる操作を忘れても、ヘッドタンク212のインク収容部80内が大気開放されないため、インクの漏れ出しを防ぐことができる。
【0093】
なお、供給側の連結部221についても同様に構成することができる。
【0094】
次に、本発明の第4実施形態の第1例について図10を参照して説明する。図10は同実施形態を作用説明とともに示す説明図である。
【0095】
本実施形態では、図10(a)に示すように、ヘッドユニットのヘッドタンクには連結管307を連結する供給側連結部301と排出側連結部302とが設けられている。そして、連結管307の連結部分には弾性部材311が嵌め込まれている。この弾性部材311は、連結部301、302のリング状の凹部を有するキャップ部材312内に嵌め込まれている。
【0096】
弾性部材311は、図10(b)に実線で示すように、折り返された状態では内部開口314が広がり、同図に破線で示すように、折り返しが伸ばされた状態では内部開口314が縮小する。
【0097】
したがって、連結管307を連結部302に連結するときには、弾性部材311を折り返して内部開口314を広げて流路を確保することができる。これに対し、連結管307を連結部302から取り外すときには、弾性部材311を折り返しを伸ばして内部開口314を縮めることで、流体抵抗を高くする。
【0098】
これによって、連結管307を上流側のヘッドタンクから取り外しても内部のインクが連結管307から漏れ出すことを抑えることができる。なお、この場合、ヘッドタンクの連結部301、302には別途開閉弁を設けて、ヘッドタンク内が大気開放されることを防止している。
【0099】
次に、本発明の第4実施形態の第2例について図11を参照して説明する。図11は同実施形態の説明に供する説明図である。ここでは、便宜上、図の連結部302側を開いた状態、連結部301側を閉じた状態で示している。
【0100】
本実施形態では、連結管327の両端部に連結部301、302と連結する内部に球状弁体329を有するバルブ部328を設けている。
【0101】
このバルブ部328の球状弁体329は、例えば、ヘッドタンクの連結部302に嵌め込んだときに、バルブ部328内の球状弁体329が連結部302で押し上げられて、連結部302と連結管327との間の流路を開く。
【0102】
これに対し、連結管327のバルブ部328を連結部301から取り外したときには、バルブ部328内の球状弁体329が重力で下降して連結管327の流路を閉じる。
【0103】
これによって、連結管307を上流側のヘッドタンクから取り外しても内部のインクが連結管307から漏れ出すことを抑えることができる。なお、この場合、ヘッドタンクの連結部301、302には別途開閉手段を設けて、ヘッドタンク内が大気開放されることを防止している。
【符号の説明】
【0104】
1 用紙
4 給紙カセット
19 記録ヘッド
13 入口ローラ
23 出口ローラ
28 排紙トレイ
70 連結管
72 フランジ部
73 切り欠き部
74 挿入管
75 リング
76 レバー
77 供給管
78 供給管部
79 供給開口
80 インク収容部
81 供給口
82 排出口
83 排出管部
85 排出開口
86 リング
87 レバー
88 フランジ部
89 切り欠き部
90 挿入管
200 液体吐出ヘッドユニット
202 ヘッドユニット
211 液体吐出ヘッド
212 ヘッドタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する液体吐出ヘッド及び液体吐出ヘッドに液体を供給するヘッドタンクとを有する複数のヘッドユニットが並べて配置され、
前記ヘッドタンクは、前記液体を収容する液体収容部と、前記液体収容部に外部から前記液体を供給する供給管部と、前記液体収容部から外部に前記液体を排出する排出管部と、を有し、
前記複数の液体吐出ヘッドの各ヘッドタンクは、前記供給管部が、隣り合う前記ヘッドタンクの前記排出管部と連結管にて接続されて、最上流側のヘッドタンクから最下流側のヘッドタンクまで直列に接続され、
前記連結管は、前記ヘッドタンクの前記供給管部及び前記排出管部に連結及び取り外し可能に取り付けられ、
前記ヘッドタンクには、前記供給管部及び前記排出管部を開閉する開閉手段を有し、
前記複数のヘッドタンクのうちの所要のヘッドタンクを取り外すとき、前記開閉手段にて、前記所要のヘッドタンクの前記供給管部及び前記排出管部と、前記所要のヘッドタンクに隣り合う上流側の前記ヘッドタンクの前記排出管部と、下流側の前記ヘッドタンクの前記供給管部とをそれぞれ閉じた状態にして、前記所要のヘッドタンクを取り外すことが可能である
ことを特徴とする液体吐出ヘッドユニット。
【請求項2】
前記開閉手段は、前記供給管部又は前記排出管部にそれぞれ設けられた、内部に内部の供給路又は排出路を有する管状の回転部材を有し、
前記回転部材の前記供給路又は排出路に前記連結管が連結され、
前記回転部材には前記内部の供給路又は排出路に通じる供給開口又は排出開口が設けられ、
前記回転部材は、少なくとも、前記供給開口又は前記排出開口が前記液体収容部の供給口又は排出口に通じる開位置と、前記供給開口又は前記排出開口が前記液体収容部の供給口又は排出口に通じない閉位置との間で、回転可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドユニット。
【請求項3】
前記連結管側の端部には外周にフランジ部が設けられ、
前記フランジ部には前記連結管の連結及び取り外し方向に沿って切欠部が形成され、
前記開閉手段の回転部材には、前記連結管側のフランジ部の前記切り欠き部に対向しない位置では前記フランジ部に係わり合って前記連結管の取り外し方向への移動を規制し、前記連結管側のフランジ部の前記切り欠き部に対向する位置では前記連結管の取り外し方向への移動を可能にする規制部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッドユニット。
【請求項4】
前記連結管と前記ヘッドタンクとの間には、前記開閉手段が前記供給管部及び前記排出管部を開いているときに前記連結管の取り外しを規制し、前記開閉手段が前記供給管部及び前記排出管部を閉じているときに前記連結管の取り外しを可能にする規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッドユニット。
【請求項5】
前記連結管側の端部には、前記連結管を前記ヘッドタンクに連結したときに流路を開き、前記連結管を前記ヘッドタンクから取り外したときに流路を閉じる弁手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドユニット。
【請求項6】
前記連結管は、上流側よりも下流側が高さ方向に高くなるように傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッドユニットを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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