液体吐出ヘッド及び画像形成装置
【課題】流路部材が大型化し、コストが高くなる。
【解決手段】液滴を吐出する複数のノズル11が形成されたノズル板2と、ノズル板2の周縁部に接合された枠部材3と、複数のノズル11が連通する複数の個別液室12が形成され、枠部材3の内側でノズル板2に接合された流路部材6と、ノズル板2と反対側で枠部材3と流路部材6とに跨って接合されたフレーム部材7とを備え、枠部材3の内周面と流路部材6の外周面との間に複数の個別液室12に通じる液溜り16が形成されている。
【解決手段】液滴を吐出する複数のノズル11が形成されたノズル板2と、ノズル板2の周縁部に接合された枠部材3と、複数のノズル11が連通する複数の個別液室12が形成され、枠部材3の内側でノズル板2に接合された流路部材6と、ノズル板2と反対側で枠部材3と流路部材6とに跨って接合されたフレーム部材7とを備え、枠部材3の内周面と流路部材6の外周面との間に複数の個別液室12に通じる液溜り16が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置、例えばインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の個別液室と、複数の個別液室に液体を供給する共通液室とを形成した流路部材を有し、個別液室と共通液室をノズル配列方向に並べて配置したもの(特許文献1)、複数のノズルを形成したノズル板と、複数の個別液室を形成する流路部材と、共通液室を形成した共通液室部材とを積層接合し、共通液室部材は流路部材及びノズル板の周縁部に接合されているもの(特許文献2)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−290295号公報
【特許文献2】特許第4527466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、複数の個別液室と共通液室とを流路部材に形成しているため、流路部材としてシリコン基板を使用した場合に、コストが高くなるという課題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示の構成にあっては、共通液室部材の共通液室から個別液室にいたる流路が直角に曲がった流路となり、加工が難しくなり、特に、複数のノズル列を有する多列型ヘッドを構成する場合に、流路部材が大型化するという課題がある。
【0007】
本願発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、流路部材の小型を図ることでコストの増加を抑えつつ、多列型ヘッドを得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、
前記ノズル板の周縁部に接合された枠部材と、
前記複数のノズルが連通する複数の液室が形成され、前記枠部材の内側で前記ノズル板に接合された流路部材と、
前記ノズル板と反対側で前記枠部材と前記流路部材とに跨って接合された壁面部材と、を備え、
前記枠部材の内周面と前記流路部材の外周面との間に前記複数の液室に通じる液溜りが形成されている
構成とした。
【0009】
ここで、前記複数のノズルが配列された複数のノズル列を有し、
前記液溜りは前記複数のノズル列のすべてのノズル列の前記液室に通じている
構成とした。
【0010】
また、前記複数のノズルが配列された複数のノズル列を有し、
前記液溜りは前記複数のノズル列の各ノズル列毎又は2以上のノズル列毎に区画されている
構成とできる。
【0011】
また、前記液溜りは、前記流路部材のノズル配列方向の端面と前記枠部材との間に充填されたシール材で区画されている構成とできる。
【0012】
また、前記枠部材と前記流路部材及び壁面部材の各接合面は滴吐出方向を高さ方向とするとき、同じ高さである構成とできる。
【0013】
また、前記流路部材には前記液室と前記液溜りを連通する液連通路が設けられ、
前記液連通路は前記流路部材のノズル配列方向端部で前記液溜りに通じている
構成とした。
【0014】
また、前記枠部材の内側には、複数の流路部材が配置されている構成とできる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、前記ノズル板の周縁部に接合された枠部材と、前記複数のノズルが連通する複数の液室が形成され、前記枠部材の内側で前記ノズル板に接合された流路部材と、前記ノズル板と反対側で前記枠部材と前記流路部材とに跨って接合された壁面部材と、を備え、前記枠部材の内周面と前記流路部材の外周面との間に前記複数の液室に通じる液溜りが形成されている構成としたので、流路部材の小型化を図れ、コストの増加を抑えつつ多列型ヘッドを得ることができる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えるので、高画質画像を形成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図3】同ヘッドの要部分解拡大斜視説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図5】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図7】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図8】同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う断面説明図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図10】本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載する画像形成装置の一例の説明に供する機構部の側面説明図である。
【図11】同じく機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図3は同ヘッドの要部分解拡大斜視説明図である。
る。
【0020】
この液体吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズル11を形成したノズル板2と、ノズル板2の周縁部に接合された枠部材(第1保持部材)3と、ノズル11が連通する個別液室(圧力発生室)12、個別液室12に通じる液連通路を兼ねる流体抵抗部13を形成した流路板4及び流路板4に接合され個別液室12及び流体抵抗部13の壁面を形成する振動板部材5で構成される流路部材6とを備えている。
【0021】
ここでは、ノズル板2には、4つのノズル列11A〜11Dを形成している。そして、1枚のノズル2に対して1つの枠部材3を接合し、この枠部材2の内側に2つの流路部材6、6をノズル板2に接合して配置している。つまり、2つの流路部材6、6の外周側を囲んで枠部材3が設けられている。
【0022】
このとき、枠部材3の内周面と流路部材6の外周面とを離間して配置することで、枠部材3の内周面と流路部材6の外周面との間には複数の個別液室12の通じる共通の液溜り16(共通液室)が形成される。そして、これらの枠部材3と流路部材6とに跨って液溜り16の壁面を形成する壁面部材を兼ねるフレーム部材(第2保持部材)7を接合している。これにより、個別液室12及び共通の液溜り16は同じ平面内に並んで配置される。
【0023】
この場合、個別液室12は、流路部材6のノズル配列方向と直交する方向の端面で液溜り16に臨む液連通路(流体抵抗部)13を介して液溜り16に通じる。
【0024】
フレーム部材7には液溜り16に外部から液体を供給する液体供給口部41が形成されている。液体供給口部41は流路部材6のノズル配列方向両端部側にそれぞれ各ノズル列4A〜4Dに対応して互い違いの位置に配置されている。これにより、供給された液体は液溜まり16から流体抵抗部13へと流れ、同時に気泡がノズル11から排出されやすくなる。
【0025】
なお、枠部材3及び流路部材6のそれぞれと壁面部材であるフレーム部材7との各接合面は滴吐出方向を高さ方向とするとき同じ高さとしている。これにより、接合面の平坦精度を確保して各部材を接合し易くなり、接合精度、接合信頼性を確保することができる。
【0026】
一方、流路部材6を構成する振動板部材5の個別液室12に対応する部分は可撓性領域17であり、この可撓性領域17の中央の個別液室12と反対側の面には凸部18が設けられている。そして、振動板部材5の凸部18には、可撓性領域18を変位させて個別液室12内の液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段としての柱状の積層型圧電部材21が接合されている。
【0027】
圧電部材21はベース部材22に接合固定され、圧電部材21に駆動波形を伝送するフレキシブル基板23が接続され、これらによって圧電型アクチュエータ20を構成している。この圧電型アクチュエータ20はフレーム部材7内に配置されている。
【0028】
ここで、ノズル板2は、例えば、薄板のステンレス材、薄板のポリイミド材等の樹脂材をプレス加工やレーザー加工で開口して形成することができる。あるいは、ニッケル電鋳で形成することができる。
【0029】
枠部材3は、機械加工、プレス加工、エッチング加工などによって薄板のステンレス材を積層して形成し、あるいは、耐液性の高い樹脂によるモールドにて成形することができる。
【0030】
流路板4は、シリコン基板をウエットエッチング或いはドライエッチングして形成している。振動板5は、ニッケル電鋳で形成し、あるいは、薄い樹脂膜に薄板のステンレス板を貼り付けて2層構造の薄板を用い形成している。
【0031】
このように、流路部材6の外周側に流路部材6とは別の枠部材3を配置して個別液室12と並んで共通の液溜り16を形成したので、流路部材6を小型化することができ、流路部材6としてシリコン基板を使用してもコストの増加を抑えることができ、低コストで複数のノズル列を有する多列型ヘッドを得ることができる。また、個別液室12と液溜り16が並んで配置されていることで、フレーム部材に複雑な流路を形成する必要がなくなり、加工も容易である。
【0032】
また、ノズル板2に枠部材3が接合されていることで、次工程となる圧力アクチュエータ20と流路部材6との接合時にノズル板2が補強され、また、持ち運びの時のノズル板2の周縁部の保護手段ともなる。
【0033】
さらに、枠部材3及び流路部材6とフレーム部材7との接合面を平面とすることで、接合精度が高くなる。また、ノズル板2と枠部材3との接合面を平面とすることで、同様に接合精度が高くなる。さらに、ノズル板2、枠部材3、流路部材6及びフレーム部材7をそれぞれ同一方向で接合することができ、組み立てが容易になる。
【0034】
なお、本実施形態では、流路板4に設けられた個別液室12は、例えば1列150dpiで千鳥状に2列配置され、300dpiピッチで形成されている。また、ノズル板2に形成されたノズル列11A〜11Dは、1列のノズルピッチを150dpiとし、各列が600dpiをシフトさせるように配置されている。
【0035】
したがって、各ノズル列11A〜11Dのノズル11が通じる個別液室12に連通する液溜り16には同じ色の液体が供給され、1パスで600dpi相当の解像度で画像を形成することができる。また、本実施形態の液体吐出ヘッドをライン状に配置することで、高密度の画像を高速で形成することができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は同ヘッドの分解斜視説明図、図5は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【0037】
本実施形態では、枠部材3には2つの流路部材6、6の間に架橋部31が設けられることで、流路部材6、6のそれぞれを囲む穴部32、32が形成されている。
【0038】
これにより、流路部材6、6と枠部材3との間に形成される液溜りは、ノズル列11A、11Bの個別液室12に液体を供給する液溜り16Aと、ノズル列11C、11Dの個別液室12に液体を供給する液溜り16Bの2つに区画される
【0039】
したがって、本実施形態では2種類の液体を吐出させることができる。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図6ないし図8を参照して説明する。なお、図6は同ヘッドの分解斜視説明図、図7は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図8は同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う断面説明図である。
【0041】
本実施形態では、上記第2実施形態において、2つの流路部材6、6のノズル配列方向両端部(図6の斜線領域Aの部分)と、これに対向する枠部材3の内周面の領域(図6の斜線領域Bの部分)との間をシール剤50にて封止することで、液溜り16を各ノズル列11A〜11D毎に区画している。シール剤50は耐液性を有する材料を使用している。
【0042】
したがって、本実施形態では4種類の液体を吐出させることができる。
【0043】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図9を参照して説明する。なお、図9は同ヘッドの分解斜視説明図である。
【0044】
本実施形態では、前記第1実施形態の2つの流路部材6を各ノズル列11A〜11D毎の流路部材6A〜6Dに分割している。なお、ノズル板2及び枠部材3は1枚としている。
【0045】
これにより、シリコン基板から形成する流路板4の1枚のウエハからの取り数を多くすることができ、コストを更に低減できる。
【0046】
なお、本実施形態を第2、第3実施形態に適用することで、吐出できる液体の種類を2種類、4種類とすることもできる。また、吐出させる液体の種類は、上記に限られるものではなく、3種類、5種類以上とすることもできる。
【0047】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載する画像形成装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。なお、図10は同装置の機構部の側面説明図、図11は同じく機構部の要部平面説明図である。
【0048】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0049】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234a、234b(区別しないときは「記録ヘッド234」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0050】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としている(第2実施形態にものを使用)が、これに限るものではない。
【0051】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、図示しない供給ユニットによって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0052】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0053】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0054】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0055】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0056】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0057】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0058】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)288を配置し、このインク回収ユニット288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0059】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0060】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0061】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0062】
このように、この画像形成装置では本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を形成できる。
【0063】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0064】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0065】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0066】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0067】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0068】
2 ノズル板
3 枠部材
4 流路板
5 振動板部材
6 流路部材
7 フレーム部材(保持部材)
11 ノズル
12 個別液室
13 流体抵抗部
16 液溜り
20 圧電アクチュエータ
234…キャリッジ
235…記録ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置、例えばインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の個別液室と、複数の個別液室に液体を供給する共通液室とを形成した流路部材を有し、個別液室と共通液室をノズル配列方向に並べて配置したもの(特許文献1)、複数のノズルを形成したノズル板と、複数の個別液室を形成する流路部材と、共通液室を形成した共通液室部材とを積層接合し、共通液室部材は流路部材及びノズル板の周縁部に接合されているもの(特許文献2)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−290295号公報
【特許文献2】特許第4527466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成にあっては、複数の個別液室と共通液室とを流路部材に形成しているため、流路部材としてシリコン基板を使用した場合に、コストが高くなるという課題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示の構成にあっては、共通液室部材の共通液室から個別液室にいたる流路が直角に曲がった流路となり、加工が難しくなり、特に、複数のノズル列を有する多列型ヘッドを構成する場合に、流路部材が大型化するという課題がある。
【0007】
本願発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、流路部材の小型を図ることでコストの増加を抑えつつ、多列型ヘッドを得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、
前記ノズル板の周縁部に接合された枠部材と、
前記複数のノズルが連通する複数の液室が形成され、前記枠部材の内側で前記ノズル板に接合された流路部材と、
前記ノズル板と反対側で前記枠部材と前記流路部材とに跨って接合された壁面部材と、を備え、
前記枠部材の内周面と前記流路部材の外周面との間に前記複数の液室に通じる液溜りが形成されている
構成とした。
【0009】
ここで、前記複数のノズルが配列された複数のノズル列を有し、
前記液溜りは前記複数のノズル列のすべてのノズル列の前記液室に通じている
構成とした。
【0010】
また、前記複数のノズルが配列された複数のノズル列を有し、
前記液溜りは前記複数のノズル列の各ノズル列毎又は2以上のノズル列毎に区画されている
構成とできる。
【0011】
また、前記液溜りは、前記流路部材のノズル配列方向の端面と前記枠部材との間に充填されたシール材で区画されている構成とできる。
【0012】
また、前記枠部材と前記流路部材及び壁面部材の各接合面は滴吐出方向を高さ方向とするとき、同じ高さである構成とできる。
【0013】
また、前記流路部材には前記液室と前記液溜りを連通する液連通路が設けられ、
前記液連通路は前記流路部材のノズル配列方向端部で前記液溜りに通じている
構成とした。
【0014】
また、前記枠部材の内側には、複数の流路部材が配置されている構成とできる。
【0015】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、前記ノズル板の周縁部に接合された枠部材と、前記複数のノズルが連通する複数の液室が形成され、前記枠部材の内側で前記ノズル板に接合された流路部材と、前記ノズル板と反対側で前記枠部材と前記流路部材とに跨って接合された壁面部材と、を備え、前記枠部材の内周面と前記流路部材の外周面との間に前記複数の液室に通じる液溜りが形成されている構成としたので、流路部材の小型化を図れ、コストの増加を抑えつつ多列型ヘッドを得ることができる。
【0017】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えるので、高画質画像を形成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図3】同ヘッドの要部分解拡大斜視説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図5】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図7】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図8】同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う断面説明図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図10】本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載する画像形成装置の一例の説明に供する機構部の側面説明図である。
【図11】同じく機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1ないし図3を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図3は同ヘッドの要部分解拡大斜視説明図である。
る。
【0020】
この液体吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズル11を形成したノズル板2と、ノズル板2の周縁部に接合された枠部材(第1保持部材)3と、ノズル11が連通する個別液室(圧力発生室)12、個別液室12に通じる液連通路を兼ねる流体抵抗部13を形成した流路板4及び流路板4に接合され個別液室12及び流体抵抗部13の壁面を形成する振動板部材5で構成される流路部材6とを備えている。
【0021】
ここでは、ノズル板2には、4つのノズル列11A〜11Dを形成している。そして、1枚のノズル2に対して1つの枠部材3を接合し、この枠部材2の内側に2つの流路部材6、6をノズル板2に接合して配置している。つまり、2つの流路部材6、6の外周側を囲んで枠部材3が設けられている。
【0022】
このとき、枠部材3の内周面と流路部材6の外周面とを離間して配置することで、枠部材3の内周面と流路部材6の外周面との間には複数の個別液室12の通じる共通の液溜り16(共通液室)が形成される。そして、これらの枠部材3と流路部材6とに跨って液溜り16の壁面を形成する壁面部材を兼ねるフレーム部材(第2保持部材)7を接合している。これにより、個別液室12及び共通の液溜り16は同じ平面内に並んで配置される。
【0023】
この場合、個別液室12は、流路部材6のノズル配列方向と直交する方向の端面で液溜り16に臨む液連通路(流体抵抗部)13を介して液溜り16に通じる。
【0024】
フレーム部材7には液溜り16に外部から液体を供給する液体供給口部41が形成されている。液体供給口部41は流路部材6のノズル配列方向両端部側にそれぞれ各ノズル列4A〜4Dに対応して互い違いの位置に配置されている。これにより、供給された液体は液溜まり16から流体抵抗部13へと流れ、同時に気泡がノズル11から排出されやすくなる。
【0025】
なお、枠部材3及び流路部材6のそれぞれと壁面部材であるフレーム部材7との各接合面は滴吐出方向を高さ方向とするとき同じ高さとしている。これにより、接合面の平坦精度を確保して各部材を接合し易くなり、接合精度、接合信頼性を確保することができる。
【0026】
一方、流路部材6を構成する振動板部材5の個別液室12に対応する部分は可撓性領域17であり、この可撓性領域17の中央の個別液室12と反対側の面には凸部18が設けられている。そして、振動板部材5の凸部18には、可撓性領域18を変位させて個別液室12内の液体を加圧する圧力を発生する圧力発生手段としての柱状の積層型圧電部材21が接合されている。
【0027】
圧電部材21はベース部材22に接合固定され、圧電部材21に駆動波形を伝送するフレキシブル基板23が接続され、これらによって圧電型アクチュエータ20を構成している。この圧電型アクチュエータ20はフレーム部材7内に配置されている。
【0028】
ここで、ノズル板2は、例えば、薄板のステンレス材、薄板のポリイミド材等の樹脂材をプレス加工やレーザー加工で開口して形成することができる。あるいは、ニッケル電鋳で形成することができる。
【0029】
枠部材3は、機械加工、プレス加工、エッチング加工などによって薄板のステンレス材を積層して形成し、あるいは、耐液性の高い樹脂によるモールドにて成形することができる。
【0030】
流路板4は、シリコン基板をウエットエッチング或いはドライエッチングして形成している。振動板5は、ニッケル電鋳で形成し、あるいは、薄い樹脂膜に薄板のステンレス板を貼り付けて2層構造の薄板を用い形成している。
【0031】
このように、流路部材6の外周側に流路部材6とは別の枠部材3を配置して個別液室12と並んで共通の液溜り16を形成したので、流路部材6を小型化することができ、流路部材6としてシリコン基板を使用してもコストの増加を抑えることができ、低コストで複数のノズル列を有する多列型ヘッドを得ることができる。また、個別液室12と液溜り16が並んで配置されていることで、フレーム部材に複雑な流路を形成する必要がなくなり、加工も容易である。
【0032】
また、ノズル板2に枠部材3が接合されていることで、次工程となる圧力アクチュエータ20と流路部材6との接合時にノズル板2が補強され、また、持ち運びの時のノズル板2の周縁部の保護手段ともなる。
【0033】
さらに、枠部材3及び流路部材6とフレーム部材7との接合面を平面とすることで、接合精度が高くなる。また、ノズル板2と枠部材3との接合面を平面とすることで、同様に接合精度が高くなる。さらに、ノズル板2、枠部材3、流路部材6及びフレーム部材7をそれぞれ同一方向で接合することができ、組み立てが容易になる。
【0034】
なお、本実施形態では、流路板4に設けられた個別液室12は、例えば1列150dpiで千鳥状に2列配置され、300dpiピッチで形成されている。また、ノズル板2に形成されたノズル列11A〜11Dは、1列のノズルピッチを150dpiとし、各列が600dpiをシフトさせるように配置されている。
【0035】
したがって、各ノズル列11A〜11Dのノズル11が通じる個別液室12に連通する液溜り16には同じ色の液体が供給され、1パスで600dpi相当の解像度で画像を形成することができる。また、本実施形態の液体吐出ヘッドをライン状に配置することで、高密度の画像を高速で形成することができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は同ヘッドの分解斜視説明図、図5は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【0037】
本実施形態では、枠部材3には2つの流路部材6、6の間に架橋部31が設けられることで、流路部材6、6のそれぞれを囲む穴部32、32が形成されている。
【0038】
これにより、流路部材6、6と枠部材3との間に形成される液溜りは、ノズル列11A、11Bの個別液室12に液体を供給する液溜り16Aと、ノズル列11C、11Dの個別液室12に液体を供給する液溜り16Bの2つに区画される
【0039】
したがって、本実施形態では2種類の液体を吐出させることができる。
【0040】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図6ないし図8を参照して説明する。なお、図6は同ヘッドの分解斜視説明図、図7は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図8は同ヘッドのノズル配列方向(液室短手方向)に沿う断面説明図である。
【0041】
本実施形態では、上記第2実施形態において、2つの流路部材6、6のノズル配列方向両端部(図6の斜線領域Aの部分)と、これに対向する枠部材3の内周面の領域(図6の斜線領域Bの部分)との間をシール剤50にて封止することで、液溜り16を各ノズル列11A〜11D毎に区画している。シール剤50は耐液性を有する材料を使用している。
【0042】
したがって、本実施形態では4種類の液体を吐出させることができる。
【0043】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図9を参照して説明する。なお、図9は同ヘッドの分解斜視説明図である。
【0044】
本実施形態では、前記第1実施形態の2つの流路部材6を各ノズル列11A〜11D毎の流路部材6A〜6Dに分割している。なお、ノズル板2及び枠部材3は1枚としている。
【0045】
これにより、シリコン基板から形成する流路板4の1枚のウエハからの取り数を多くすることができ、コストを更に低減できる。
【0046】
なお、本実施形態を第2、第3実施形態に適用することで、吐出できる液体の種類を2種類、4種類とすることもできる。また、吐出させる液体の種類は、上記に限られるものではなく、3種類、5種類以上とすることもできる。
【0047】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載する画像形成装置の一例について図10及び図11を参照して説明する。なお、図10は同装置の機構部の側面説明図、図11は同じく機構部の要部平面説明図である。
【0048】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0049】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234a、234b(区別しないときは「記録ヘッド234」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0050】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としている(第2実施形態にものを使用)が、これに限るものではない。
【0051】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、図示しない供給ユニットによって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0052】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0053】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0054】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0055】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0056】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0057】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0058】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)288を配置し、このインク回収ユニット288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0059】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0060】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0061】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0062】
このように、この画像形成装置では本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているので、高画質画像を形成できる。
【0063】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0064】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0065】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0066】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0067】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0068】
2 ノズル板
3 枠部材
4 流路板
5 振動板部材
6 流路部材
7 フレーム部材(保持部材)
11 ノズル
12 個別液室
13 流体抵抗部
16 液溜り
20 圧電アクチュエータ
234…キャリッジ
235…記録ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、
前記ノズル板の周縁部に接合された枠部材と、
前記複数のノズルが連通する複数の液室が形成され、前記枠部材の内側で前記ノズル板に接合された流路部材と、
前記ノズル板と反対側で前記枠部材と前記流路部材とに跨って接合された壁面部材と、を備え、
前記枠部材の内周面と前記流路部材の外周面との間に前記複数の液室に通じる液溜りが形成されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記複数のノズルが配列された複数のノズル列を有し、
前記液溜りは前記複数のノズル列のすべてのノズル列の前記液室に通じている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記複数のノズルが配列された複数のノズル列を有し、
前記液溜りは前記複数のノズル列の各ノズル列毎又は2以上のノズル列毎に区画されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記液溜りは、前記流路部材のノズル配列方向の端面と前記枠部材との間に充填されたシール材で区画されていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記枠部材及び前記流路部材のそれぞれの前記壁面部材との各接合面は滴吐出方向を高さ方向とするとき、同じ高さであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記流路部材には前記液室と前記液溜りを連通する液連通路が設けられ、
前記液連通路は前記流路部材のノズル配列方向と直交する方向の端部で前記液溜りに通じている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記枠部材の内側には、複数の流路部材が配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが形成されたノズル板と、
前記ノズル板の周縁部に接合された枠部材と、
前記複数のノズルが連通する複数の液室が形成され、前記枠部材の内側で前記ノズル板に接合された流路部材と、
前記ノズル板と反対側で前記枠部材と前記流路部材とに跨って接合された壁面部材と、を備え、
前記枠部材の内周面と前記流路部材の外周面との間に前記複数の液室に通じる液溜りが形成されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記複数のノズルが配列された複数のノズル列を有し、
前記液溜りは前記複数のノズル列のすべてのノズル列の前記液室に通じている
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記複数のノズルが配列された複数のノズル列を有し、
前記液溜りは前記複数のノズル列の各ノズル列毎又は2以上のノズル列毎に区画されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記液溜りは、前記流路部材のノズル配列方向の端面と前記枠部材との間に充填されたシール材で区画されていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記枠部材及び前記流路部材のそれぞれの前記壁面部材との各接合面は滴吐出方向を高さ方向とするとき、同じ高さであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記流路部材には前記液室と前記液溜りを連通する液連通路が設けられ、
前記液連通路は前記流路部材のノズル配列方向と直交する方向の端部で前記液溜りに通じている
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記枠部材の内側には、複数の流路部材が配置されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−59929(P2013−59929A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200227(P2011−200227)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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