説明

液体吐出器

【課題】外気との接触が好ましくない液を使用する場合に好適であり、保管時はもとより使用開始後も充分な収納液の品質維持を図ることができ、開封時に蓋板の切断片による流路の閉鎖があってもチューブ容器内への円滑な液の汲み上げができる液体吐出器を提案する。
【解決手段】可撓性の胴部2を有し、口頸部4の開口を押圧破断可能な蓋板5で閉塞したチューブ容器Aと、開封時に螺動下降させて下端の連結管35により蓋板を押圧切断するポンプCとを備え、連結管の下面より切断刃36を垂設し、切断刃に透孔37a 等よりなる通液部37を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出器として、容器体の口頸部にポンプを装着し、上方付勢状態で押し込み可能に突出したポンプ上端の押下ヘッドを上下動することにより容器体内の液を吐出する如く構成した、所謂押し下げヘッド式の液体吐出器が種々知られている(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載されたポンプ容器は、シリンダ等のポンプ本体を容器本体内に垂下した状態で容器本体の開口部に取り付け、また、ポンプ本体にはポンプ本体に対して上下方向に往復動可能に、上記した押し下げヘッド等のポンプ操作部分を取り付けるとともに、ポンプ本体の下部には他端が容器体底部近傍に開口してポンプ本体内へ容器本体の内容液を連通可能とするディプチューブが取り付けられている。
【0004】
また、常時安定した液の噴出を行えるとともに、液きれが良く、吐出口の密閉性に優れ、しかもヘッドの押し下げを容易に行え、また、長期の使用にも安定した液の噴出を行える等の目的で押下ヘッドを改良したものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2に記載された押下ヘッドは、ステム内と連通する摺動筒を立設した装着筒部材と、摺動筒外周に嵌合させたシリンダ筒上方に、先端に吐出口を開口した弁室を備えるとともに、装着筒部材に対して押し下げ可能に設けた本体と、前方付勢状態で吐出口を閉塞し、シリンダ筒内より吐出口に至る流路を画成した弁部材と、弁部材と連繋させてヘッドの押し下げにより開弁させる特殊構成の梃部材とを備えている。
【特許文献1】特開2001−219954号公報
【特許文献2】特開2002−326044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のポンプ容器は、操作部分を上下動させることにより容器本体内の液を吐出口より吐出する如く構成しているが、液の減少により容器本体内には外気が導入される如く構成している。従って、外気との接触が好ましくない液の収納には適さない。また、特許文献2に記載された液体吐出器も同様に外気との接触が好ましくない液の収納には適さない。
【0007】
本発明はこの様な外気との接触が好ましくない液を使用する場合に好適であり、保管時はもとより、使用開始後も収納液の充分な品質維持を行うことができ、取り扱いも便利な液体吐出器を提案する。また、チューブ容器口頸部の上端開口を閉塞する蓋板を切断して開封するに当たり、その開封が容易でしかも切断した蓋板による流路の閉鎖等があっても円滑なチューブ容器内の液の汲み上げができる液体吐出器を提案する。更に、安定した液の吐出、液切れの良さ、吐出口の良好な密閉性、ヘッドの容易な押し下げ、良好な耐久性などの効果を併せて発揮することのできる液体吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体吐出器は、チューブ容器とポンプとを備えている。チューブ容器は合成樹脂により形成されたもので、収納液が吐出された際に液の減少に伴って容積が減少する如く変形する可撓性の胴部を有し、また、口頸部の開口を押圧切断可能な蓋板により閉塞している。
【0009】
蓋板は合成樹脂の単独シート或いはフィルム、合成樹脂と金属薄膜層との積層シート或いはフィルムを使用して口頸部に融着,接着等の適宜固着手段により固着する。
【0010】
ポンプは、金属製のコイルスプリング等を除いて基本的に合成樹脂により形成され、必要に応じてエラストマー等を使用して形成される。また、上端に押下ヘッドを備えた作動部材を上下動させることにより、内蔵ポンプ機構の作用でチューブ容器内の液を吸い上げて吐出する如く構成したものであり、そのポンプ機構は公知形態のものが使用できるが、シリンダを装着キャップ上に設けるのと、下端にシリンダ内と連通し、前記蓋板を押圧切断してチューブ容器内とシリンダ内とを連通する連結管を備えている必要がある。また、使用前には蓋板を切断する前の状態でポンプの装着キャップをチューブ容器口頸部に螺着している。尚、装着キャップの口頸部外周への螺着は直接であっても筒部材を介して間接的に螺着しても良い。
【0011】
本発明では連結管は下面より切断刃を垂設している。切断刃は鋭角な下端縁を備えたもので、その形状は、環状形態のもの或いは板状形態のもの等種々の形態のものが採用でき、例えば、環状で且つ対向位置一方から他方に向かい順次下降する鋭角な下端縁を備えるもの、或いは連結管下面の一部から下方へ垂設した板状で鋭角な下端縁を備えるもの等が採用される。前者の具体例としては、傾斜下降するもの、或いは彎曲状に下降するもの等が挙げられる。連結管と切断刃と一体に設けた場合、実質的な境界は無いと考えるのが妥当であるが、通液部を切断刃に設けることを考慮して、便宜的に連結管の下端面を水平環状とし、切断刃をそれに一体に連設垂下したものと考えると良い。従って、板状の切断刃の場合にも上端部に環状部分が存在する場合も当然考えられる。
【0012】
切断刃には通液部を貫設している。通液部は開封時に押圧切断した蓋板が連結管の通液路を塞いでチューブ容器内からポンプ内への液の吸い上げを妨害する対策として設けたものであり、その形態は透孔や切溝,或いはそれらの組み合わせが採用できる。この通液部の存在で、仮に切断した蓋板が連結管の下端開口を閉塞することがあっても、通液路を介してチューブ容器内の液が通液管内に吸い上げられて通常のポンプ機能を発揮する。通液部の数は一つであっても複数あっても良く、ポンプの大きさ等により適宜選択する。また、その形状も特に限定はない。
【0013】
第1の手段として、可撓性の胴部2を有し且つ口頸部4の開口を押圧切断可能な蓋板5で閉塞したチューブ容器Aと、該チューブ容器に装着したポンプCとを備え、ポンプCは、チューブ容器口頸部4に螺着する装着キャップ30上に立設したシリンダ31と、シリンダ31を摺動するピストン44より上方にステム43を立設するとともに、ステム43上端に押下ヘッド45を装着して上方付勢状態で押し込み可能に設けた作動部材32とを備え、下端に垂設した連結管35が蓋板5を切断する前の状態で装着キャップ30を口頸部4外周に螺着し、開封時に装着キャップ30を螺動下降させて連結管35により蓋板5を押圧切断してチューブ容器A内とシリンダ31内とを連通する如く構成した液体吐出器であって、前記連結管35下面より切断刃36を垂設し、該切断刃36に通液部37を貫設した。
【0014】
第2の手段として、前記第1の手段に於いて、押下ヘッド45は、ステム43上に横設した頂板55よりステム43内と連通する摺動筒56を立設した装着筒部材50と、前記摺動筒外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ筒60上方に、先端に吐出口61を開口した弁室Rを備えるとともに、装着筒部材50に対して押し下げ可能に設けた本体51と、弁室R内において前方付勢状態で吐出口61を閉塞し、且つ、シリンダ筒60内より吐出口61に至る流路を画成してなる弁部材52と、弁部材52の後端部に上端を連繋させるとともに、下端部を頂板55上面に当接係止させ、且つ、装着筒部材50に対する本体51の押し下げ時に弁部材52を後方へ引き出す如く揺動可能に本体51に枢着した梃部材53とを備え、ステム43に対する本体51の押下抗力がステム43自体の押下抗力より小である如く構成した。
【0015】
第3の手段として、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、前記切断刃36が、環状で且つ対向位置の一方から他方へ順次下降する鋭角な下端縁36a を備え、前記通液部37が、切断刃36に貫設した透孔37a である如く構成した。
【0016】
第4の手段として、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、前記切断刃36が、前記連結管35の下面一部より垂設した板状で、且つ、鋭角な下端縁36a を備え、前記通液部37が、切断刃36に貫設した透孔37a である如く構成した。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した如く本発明の液体吐出器は、開封前にはチューブ容器内には殆ど空気の存在がなく、しかも口頸部4開口は閉塞されているため、流通,保管時に収納液が空気と接触することを防止でき、また、液を吐出するのに伴うチューブ容器内の液の減少に伴ってチューブ容器胴部は容積を減少する如く変形するため、チューブ容器内への空気の侵入はなく、従って、開封後も収納液の長期の品質維持を行える。また、開封に当たっては連結管の下面に切断刃を設けているため、蓋板の押圧切断が容易であり、また、通液部の存在で蓋板の切断片による流通妨害があっても、確実にチューブ容器内の液をポンプ内に汲み上げることができる。
【0018】
また、第2の手段の押下ヘッド45を設けた場合には、開封後チューブ容器A内と吐出口61はシリンダ31内等介して連通し、しかも吐出口61は吐出時以外常時閉塞されているため、開封後も空気との接触をより確実に防止できる。また、液切れの良さ、吐出口の良好な密閉性、ヘッドの容易な押し下げ、耐久性向上等の効果を併せて発揮するものである。
【0019】
また、前記切断刃36が、環状で且つ対向位置の一方から他方へ順次下降する鋭角な下端縁36a を備え、前記通液部37が、切断刃36に貫設した透孔37a である如く構成した場合には、切断刃36が蓋板5に最初接触する面積が小さいため切断し易く、切断した蓋板が切断刃36下端開口を閉塞する場合があっても、透孔37a を介してチューブ容器A内の液が連結管35内に吸い上げられ、円滑な液の吐出行える。
【0020】
また、前記切断刃36が、前記連結管35の下面一部より垂設した板状で、且つ、鋭角な下端縁36a を備え、前記通液部37が、切断刃36に貫設した透孔37a である如く構成した場合には、同様に切断し易く、また、円滑な液の吐出を行える。
【発明の実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図面は本発明液体吐出器の一例を示すもので、液体吐出器1は、チューブ容器Aと、ケースBと、ポンプCとを備えている。
【0023】
チューブ容器Aは、下端を扁平に閉塞した筒状の可撓性の胴部2から肩部3を介して口頸部4を起立しており、口頸部4の外周下端部には、縦突条を等間隔に多数縦設した第1係合突条群a1を設けており、その上方に第1螺条b1を周設している。また、口頸部4の上部には易切断性の蓋板5を張設して口頸部4開口を閉塞している。この蓋板5は、肩部3内面から口頸部4内面に溶着した下端を円錐台形状に拡げた筒状基部の上端を閉塞するシール部材6の頂板部として構成している。
【0024】
ケースBは、ケース蓋体B1とケース本体B2とから構成しており、ケース蓋体B1は、口頸部4外周に装着した筒部材10を介してチューブ容器Aに固定している。
【0025】
筒部材10は、筒壁11内周に周設した第2螺条b2を前記第1螺条b1に螺合しており、また、筒壁11内周下端部に設けた第2係合突条群a2を前記第1係合突条群a1に係合させて回転防止を図っており、筒壁11の上部外周には第3螺条b3を周設している。尚、前記第2係合突条群a2は、第1係合突条群a1と同様形態に構成している。また、筒壁11の上端から内方へ延設した上部フランジ12をパッキン13を介して口頸部4上に延設している。更に、筒壁11下端部から外方へ外周面下部が段部を介して大径に構成された下部フランジ14を突設し、該下部フランジ14外周下部の大径部分には前記第1係合突条群a1と同様形態の第3係合突条群a3を設けており、外周上部の小外径部分には環状の第1係合突条15を周設している。
【0026】
ケース蓋体B1は、前記第3係合突条群a3と係合して相互の回動を防止する第4係合突条群a4を内周下端部に設けた内筒16を備えており、第4係合突条群a4上に突設した環状突部17の内周面の第2係合突条18を前記第1係合突条15に乗り越え係合させて上方への抜け出しを防止し、内筒16を筒部材10に嵌着固定している。また、内筒16の上端より外方へ、周縁が楕円形状をなす頂板19を延設し、該頂板19周縁より外筒20を垂設している。外筒20は楕円筒状をなし、外周上下方向中央部に環状の係止突部21を突設し、その下方に第3係合突条22を、上方にカバーキャップ23を係止する第4係合突条24を周設している。
【0027】
ケース本体B2は、上端面を前記係止突部21に当接するとともに、内周上端部に周設した係合凹溝25に前記第3係合突条22を係合させて外筒20外周下部に上端部を嵌着させた楕円筒状をなし、下端部を扁平状に閉塞して内部にチューブ容器Aを収納している。
【0028】
ポンプCは、装着キャップ30と、シリンダ31と、作動部材32とを備えている。
【0029】
装着キャップ30は、内周に周設した第4螺条b4を筒部材10外周の第3螺条b3に螺動下降可能に螺着させる周壁33の上端より頂壁34を延設するとともに、頂壁34中央部に上端を開口してシリンダ内と連通する連結管35を垂設している。連結管35は下面より切断刃36を垂設し、該切断刃36に通液部37を貫設している。切断刃36は環状で且つ対向位置の一方から他方へ順次傾斜下降する鋭角な下端縁36a を備えている。また、通液部37は円形の透孔37a として構成している。また、連結管35外方の頂壁34上面からはシリンダ31を立設し、頂壁34上面周縁部からは案内筒38を立設している。案内筒38の内周上部には作動部材32の抜け出し防止手段を構成する環状凹部39を周設している。また、シリンダ31の底部にはシリンダ31内に一方的に連通させる吸い込み弁40を設けている。
【0030】
尚、図9及び図10は、図1の例に於いて、通液部37を切断刃36の下端より上方に穿設した切溝37b として構成した例を示し、図11及び図12は、連結管35の下面一部より垂設した板状で、且つ、鋭角な下端縁36a を備えた切断刃36の例を示す。この場合の通液部37は透孔37a として構成している。
【0031】
また、装着キャップ30は連結管35が蓋板5を切断する前の状態で口頸部4外周に螺着しており、開封時に螺動下降させてその切断刃36により蓋板5を押圧切断し、チューブ容器A内とシリンダ31内とを連通する如く構成している。また、案内筒38の外周には下向き段部41を周設して、該下向き段部41とケース蓋体B1上面との間にスペーサー42を離脱可能に嵌合させて上記螺着途中の状態からの螺動下降を確実に防止する如く構成している。また、頂壁34裏面の連結管35周囲にパッキン48を嵌合させている。尚、図示例ではシリンダ31内周,頂壁34下面及び連結管35の部分をその他の部分と別部材で構成し、嵌着一体化している。
【0032】
作動部材32は、ステム43の下部に連携させたピストン44をシリンダ31に摺動可能に嵌合させるとともに、シリンダ31上方に上端を突出させたステム43の上端に押下ヘッド45を装着してコイルスプリング46による上方付勢状態で押し込み可能に設けている。ピストン44はステム43に対して所定幅の上下動が可能に嵌着し、作動部材32の押下時にはステム43の下部に穿設した透孔47を開き、作動部材32の上昇時には閉じる如く構成している。尚、前記コイルスプリング46はシリンダ31外部の装着キャップ頂壁34と後述する装着筒部材との間に介在させており、ステム43は二部材で構成している。
【0033】
押下ヘッド45は、装着筒部材50と、本体51と、弁部材52と、梃部材53とを備えている。
【0034】
装着筒部材50は、ステム43の外周上端部に嵌合させた装着筒54を頂板55裏面より垂設するとともに、頂板55中央にステム43内と連通する摺動筒56を立設し、更に、頂板55周縁部からは下方へ周壁部57を垂設している。
【0035】
本体51は、ステム43に装着筒部材50を介して押し下げ可能に連結したもので、摺動筒56外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ筒60上方に、先端に吐出口61を開口した弁室Rを備えている。さらには、周壁62上端縁より頂壁63を延設した下端開口の有頂筒状をなし、また、周壁62前部に前端を開口した横筒64を後方へ延設し、更に、横筒64下面よりシリンダ筒60を垂設しており、横筒64内に吐出口部材65を嵌着させて弁室Rを画成し、摺動筒56に摺動下降可能にシリンダ筒60を嵌合させて装着している。また、横筒64後部に梃部材53の上部が収納できるスペースをあけており、また、後壁中央に窓孔を穿設し、その周囲の後壁前面より前方へシール筒66を突設し、更に、下部にはシリンダ筒60内と連通する連絡口を設けている。また、周壁62外周所定位置には前記案内筒38の環状凹部39内を上下動し、環状凹部の上面に係止されて作動部材32の抜け出しを防止する突条68を周設している。
【0036】
横筒64に嵌着した吐出口部材65は先端に吐出口61を開口させて横筒とともに弁室Rを形成するもので、横筒64内前部に後部を液密に嵌着させるとともに、前部をテーパ状に縮径してその先端に吐出口61を開口している。また、外面より突設した環状突起を本体51前面に当接係止させ、内部には周方向複数のリブを突設している。
【0037】
弁部材52は横棒状をなし、外周前後方向中間部より後方へスカート状部を延設するとともに、スカート状部後端縁より折り返した逆スカート状部の外周縁をシール筒66内周に摺動可能に嵌合させている。また、横筒64の後壁前面とスカート状部の分岐部分とに介在させたコイルスプリング67により前方へ付勢して先端を吐出口61に圧接して閉塞している。また、後端を上記窓孔より突出させ、突出部分に梃部材係合用の環状凹部を凹設している。これにより、シリンダ筒60内から連絡口を介して横筒64内を通り吐出口61に至る流路を画成している。
【0038】
梃部材53は、装着筒部材50に対する本体51の押し下げ時に弁部材52を後方へ引き出す如く揺動可能に枢着したもので、横筒64後壁の窓孔を介してその後方へ突出した弁部材52後端部に上端を連係させるとともに、下端部を頂板55上面に当接係止させている。梃部材53は、図8に示す如き形態をなし、上端部を弁部材52の後端部に連係した垂直板部70下端部より前方へ下る二股の傾斜板部71を延設するとともに、各傾斜板部71の下端部を摺動筒56両側の頂板55上面に当接係止させている。本実施例に於ける梃部材53と弁部材52との連係は、垂直板部70の上端部中央に設けた切欠部に弁部材52の上記環状凹部を嵌合させている。また、屈折部分両側に突設した枢着軸72を、それぞれ両側の軸受に回動可能に嵌合させている。
【0039】
そして、コイルスプリング67により前方付勢された弁部材52により垂直板部70上部の連係部分を常時前方へ付勢させており、本体51の押し下げにより、装着筒部材50の頂板55が傾斜板部71を押し上げて梃部材53を回動させ、コイルスプリング67の前方付勢力に抗して弁部材52を後方へ引き出す如く構成している。
【0040】
また、ステム43に対する本体51の押下抗力がステム自体の押下抗力より小になる様に構成している。この様に構成するために、基本的にはステム43を上方付勢させるためのコイルスプリング43よりも、弁部材52を前方付勢させるためのコイルスプリング67の弾発力を小さく選択すれば良く、その他摺動筒とシリンダ筒との摩擦力,梃部材の揺動時の摩擦力等を考慮してこれらを選択すれば良い。
【0041】
上記の如く構成した液体噴出ポンプCは、図1の状態からカバーキャップ23及びスペーサー42を外して装着キャップ30を螺動下降させると、図7に示す如く、連結管35の切断刃36が蓋板5を押圧切断し、チューブ容器A内とシリンダ31内とが連通する。この際、装着キャップ頂壁34と筒部材10の上部フランジ12でパッキン48を挟持してこの部分の液密性を付与する。次いで、押下ヘッド45を押し下げると、ステム43自体の押下抗力の方が本体51のステム43に対する押下抗力より大きいため、最初ステム43は下がらず、装着筒部材50に対して本体51が下降する。この際、梃部材53の下端部が装着筒部材50の頂板55上面に押し上げられて枢着軸72を中心に回動し、その上端部が後方へ回動して弁部材52をコイルスプリング67の弾発力に抗して後方へ移行させ、吐出口61が開く。次いでステム43が下降し、該ステムの下降によりシリンダ31内が加圧されるとともにピストン44がステム43と相対的に上昇して透孔47が開き、加圧液がステム43よりシリンダ筒60を通り、連絡口から流路を介して吐出口61より外部へ噴出する。
【0042】
次に押下ヘッド45の押圧を解除すると、最初ステムの上方付勢力によりヘッドが上昇する。この際、例えば押下ヘッド45上面を押圧した手が離れないうちにステムの上昇が行われ、吐出口61は開いたままの状態で行われる。従って、この時点で横筒64内は負圧状態となる。次いで、手を離す余地ができ、コイルスプリング67の弾発力により弁部材52が前方へ移行して吐出口61を閉塞し、それに伴い梃部材53により本体51を装着筒部材50に対して上方へ押上げ、元の状態に戻る。また、ステム43の上昇に伴いピストン44が相対的に下降して透孔47を閉塞し、シリンダ31内が負圧化するため、吸い込み弁40が開いてチューブ容器A内の液がシリンダ31内に導入される。チューブ容器Aの胴部2はシリンダ31内への液の導入に伴いその容積を減少する如く変形する。尚、この際図7に二点鎖線で示す如く、蓋板の切断片5aが切断刃36下端開口を閉塞しても、透孔37から下記がシリンダ31内に導入される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明液体吐出器の縦断面図である。(実施例1)
【図2】本発明液体吐出器のチューブ容器及び筒部材の要部拡大半断面図である。(実施例1)
【図3】本発明液体吐出器のケースの要部拡大半断面図である。(実施例1)
【図4】本発明液体吐出器のポンプの拡大断面図である。(実施例1)
【図5】本発明液体吐出器の連結管部分の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図6】本発明液体吐出器の連結管部分の要部拡大底面図である。(実施例1)
【図7】本発明液体吐出器の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図8】本発明液体吐出器の梃部材の拡大斜視図である。(実施例1)
【図9】本発明液体吐出器の連結管部分の要部拡大断面図である。(実施例2)
【図10】本発明液体吐出器の連結管部分の要部拡大底面図である。(実施例2)
【図11】本発明液体吐出器の連結管部分の要部拡大断面図である。(実施例3)
【図12】本発明液体吐出器の連結管部分の要部拡大底面図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0044】
2…胴部,4…口頸部,5…頂板,10…筒部材,30…装着キャップ,31…シリンダ,
32…作動部材,35…連結筒,36…切断刃,36a …切断刃下端縁,37…通液部,
37a …透孔,37b …切溝,38…案内筒,43…ステム,44…ピストン,
45…押下ヘッド,50…装着筒部材,51…本体,52…弁部材,53…梃部材,55…頂板,
56…摺動筒,60…シリンダ筒,61…吐出口,A…チューブ容器,C…ポンプ,R…弁室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の胴部2を有し且つ口頸部4の開口を押圧切断可能な蓋板5で閉塞したチューブ容器Aと、該チューブ容器に装着したポンプCとを備え、ポンプCは、チューブ容器口頸部4に螺着する装着キャップ30上に立設したシリンダ31と、シリンダ31を摺動するピストン44より上方にステム43を立設するとともに、ステム43上端に押下ヘッド45を装着して上方付勢状態で押し込み可能に設けた作動部材32とを備え、下端に垂設した連結管35が蓋板5を切断する前の状態で装着キャップ30を口頸部4外周に螺着し、開封時に装着キャップ30を螺動下降させて連結管35により蓋板5を押圧切断してチューブ容器A内とシリンダ31内とを連通する如く構成した液体吐出器であって、前記連結管35下面より切断刃36を垂設し、該切断刃36に通液部37を貫設したことを特徴とする液体吐出器。
【請求項2】
押下ヘッド45は、ステム43上に横設した頂板55よりステム43内と連通する摺動筒56を立設した装着筒部材50と、前記摺動筒外周に摺動下降可能に嵌合させたシリンダ筒60上方に、先端に吐出口61を開口した弁室Rを備えるとともに、装着筒部材50に対して押し下げ可能に設けた本体51と、弁室R内において前方付勢状態で吐出口61を閉塞し、且つ、シリンダ筒60内より吐出口61に至る流路を画成してなる弁部材52と、弁部材52の後端部に上端を連繋させるとともに、下端部を頂板55上面に当接係止させ、且つ、装着筒部材50に対する本体51の押し下げ時に弁部材52を後方へ引き出す如く揺動可能に本体51に枢着した梃部材53とを備え、ステム43に対する本体51の押下抗力がステム43自体の押下抗力より小である如く構成してなる請求項1に記載の液体吐出器。
【請求項3】
前記切断刃36が、環状で且つ対向位置の一方から他方へ順次下降する鋭角な下端縁36a を備え、前記通液部37が、切断刃36に貫設した透孔37a である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の液体吐出器。
【請求項4】
前記切断刃36が、前記連結管35の下面一部より垂設した板状で、且つ、鋭角な下端縁36a を備え、前記通液部37が、切断刃36に貫設した透孔37a である請求項1又は請求項2のいずれかに記載の液体吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−217025(P2007−217025A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40300(P2006−40300)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】