説明

液体吐出装置

【課題】 不使用時には、ノズルカバーによりノズル先端を閉じて内容液の固化を防ぐようにし、ノズルカバーの押圧操作にあたって、蓋板が吐出ノズル先端に摺接することなく、吐出口の開閉をスムーズにするとともに、残液をかき取ることがないようにした操作性の優れた液体吐出装置と、該装置に使用できる内容液を提供すること。
【解決手段】 液体吐出装置として、ポンプのステムに取着されたノズルヘッドと、ノズルカバーとを備えた液体吐出装置であって、ノズルヘッドは、ノズル基部と吐出ノズルとからなり、ノズルカバーは、カバー基部と、吐出ノズルの吐出口を開閉する蓋板を具えたノズル蓋部とからなり、ノズルヘッドとノズルカバーとの間に弾性体を配置し、ノズルヘッドとノズルカバーとの連結部に、軸体と長孔状の軸受けとから構成される係合部を配設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、とくにノズルヘッドに吐出口を開閉する蓋体を具えたノズルカバーを取着した液体吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、リンス、化粧料、液体皮膚洗浄剤、洗剤、洗濯仕上げ剤等の内容物が充填されたボトルに被着される液体吐出装置は、従来より知られている。
従来の液体吐出装置は、ノズル内面に内容物を付着させたまま長時間放置すると、内容物が固化し、吐出ノズル内面に固着し、ノズル孔が狭くなって吐出不良となったり、時には目詰まりを起すことがあった。
このような不都合をなくすため、吐出ノズルの吐出口を開閉する蓋板を具えたノズルカバーをノズルヘッドに取付けたものも従来より知られている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】実公平6−34854号公報
【特許文献2】特開平10−258866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の液吐出装置は、ノズルカバーの蓋板が、吐出ノズル先端に接触しながら上方に動くようになっているので、操作性がよくなかった。
【0004】
また、ノズルカバーを閉じるときに、ノズル先端の残液がかき取られ、その残液がノズルカバーの蓋板上部に溜められて付着し、固化することもあった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題として、不使用時には、ノズルカバーによりノズル先端を閉じて内容液の固化を防ぐようにし、ノズルカバーの押圧操作にあたって、蓋板が吐出ノズル先端に摺接することなく、吐出口の開閉をスムーズにするとともに、残液をかき取ることがないようにした操作性の優れた液体吐出装置と、該装置に使用できる内容液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、液体吐出装置として、ポンプのステムに取着されたノズルヘッドと、ノズルカバーとを備えた液体吐出装置であって、ノズルヘッドは、ノズル基部と吐出ノズルとからなり、ノズルカバーは、カバー基部と、吐出ノズルの吐出口を開閉する蓋板を具えたノズル蓋部とからなり、ノズルヘッドとノズルカバーとの間に弾性体を配置し、ノズルヘッドとノズルカバーとの連結部に、軸体と長孔状の軸受けとから構成される係合部を配設したことを特徴とする構成を採用する。
【0007】
連結部の実施例として、連結部が、ノズル基部に立設された支持片に設けられた軸体または長孔状の軸受けのいずれか一方の係合部と、ノズルカバーに垂設された支持体に設けられた他方の係合部によって連結されていることを特徴とする構成、または、連結部が、吐出ノズルの側面に設けられた軸体または長孔状の軸受けのいずれか一方の係合部と、ノズルカバーの内面に設けられた他方の係合部によって連結されていることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ノズルカバーの実施例として、ノズルカバーが、ノズルヘッド全体を覆うようにしたことを特徴とする構成、或いは、ノズルカバーのカバー基部とノズル蓋部とが、ヒンジによって連設されていることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
カバー基部の実施例として、カバー基部が、頂壁と側周壁とからなり、側周壁のノズル蓋部側に切欠部が設けられ、ノズル蓋部が、切欠部上端の頂壁端縁にヒンジによって連設され、切欠部下端部に側周壁下端を全周にわたって接続する連結部が配設されていることを特徴とする構成を採用する。
【0010】
内容液として、組成成分中に含まれる固形成分が、10質量%以上配合されている粘性液でも使用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体吐出装置は、ノズルヘッドとノズルカバーとの間に弾性体を配設し、連結部を、軸体と長孔状の軸受けとから構成される係合部で連結しているから、吐出ノズルの吐出口を開閉する蓋体を前方に移動しながら揺動し、ノズルカバーの開閉操作がスムースに行えるようになった。
そして、吐出口を開閉する蓋板を閉じることにより、ノズル内面に内容物が固着して発生する吐出不良や、ノズルの目詰まりをなくすことができる。
そのため、使用可能な内容液の範囲を広くすることができた。
【0012】
ノズルヘッド全体をノズルカバーで覆っているので、ノズルカバーの押圧面が広くなり、確実かつ軽快に作動させることができ、浴室等において使用しても、ノズルヘッド内に温水が入ることはなくなった。
また、ノズル基体の側周壁下端部を、連結部を介して全周にわたって接続した場合には、ノズルカバーの操作にあたって、側周壁下端が広がり変形することをなくすことができる。
【0013】
パーツ数が少なく組み立てが容易になるので、生産性が高くなり、製造コストも削減できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の液体吐出装置について実施例をあげ、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1〜2に示すように、本発明の液体吐出装置は、ポンプAとノズルヘッドBとノズルカバーCとから構成され、ポンプAは、取付キャップA1を介して、容器に取着されている。
容器には、内容物として、シャンプー、リンス、化粧料、液体皮膚洗浄剤、洗剤、洗濯仕上げ剤等の家庭用品が収納されている。
【0016】
ノズルヘッドBは、ポンプAのステム1に嵌着する嵌着筒2を設けたノズル基部3と、先端に吐出口4を開口した吐出ノズル5とからなっており、ノズル基部3の上面には、軸ピン6を突出形成した軸支持片7が突設され、上面の中央部には、凹溝8が刻設されている。
【0017】
ノズルカバーCは、ノズルヘッドB全体を覆う形状となっており、ノズル基部3を覆うカバー基部10と吐出ノズル5を覆うノズル蓋部11とからなっている。
カバー基部10は、ドーム状の頂壁12と側周壁13とを具えており、ノズル蓋部11は、頂壁12より低く位置する頂壁14と、側周壁13に連設された側壁15と、頂壁14先端から垂設され吐出口4を開閉する蓋板16とからなっている。
【0018】
カバー基部10の頂壁12下面中央には、頂壁12から垂下し、吐出ノズル5の軸線方向に延び、下端がノズルヘッドBの凹溝8底面に接合するばね板17が連設されている。 頂壁12のノズル蓋部11側には、ノズルヘッドBに設けられた軸ピン6に係合する斜め方向に延びる長円孔状の軸受部18を設けた支持体19が垂設されている。
【0019】
ノズルカバーCの取付けは、ノズルカバーCをノズルヘッドBに被せ、支持体19の長円孔状の軸受部18に、ノズルヘッドBの軸支持片7の軸ピン6が嵌挿されるようにすることによって簡単に結合できる。
【0020】
その際、ばね板17の弾撥力によりカバー基部10の頂壁12が後方に押上げられ、軸ピン6は、長円孔状の軸受部18の下端と係合し、ノズル蓋部11の蓋板16は、吐出ノズル5の吐出口4を力が加わった状態で閉鎖している。
そして、ばね板17の下面は、凹溝8の底面に接合し、ノズルカバーCを定位置に維持するようにしている。
【0021】
ポンプAは、ノズルヘッドBの押下げにより、吐出ノズル5の吐出口4より内容液を吐出し、ノズルヘッドBの上昇に応じて容器内の内容液をポンプA内に吸上げるものであればよく、図示したもの以外にも、公知の種々のタイプのものが使用できるので説明は省略する。
【0022】
液体吐出装置は、容器に取付けたポンプAのステム1に、ノズルカバーCを施したノズルヘッドBの嵌着筒2を嵌着することによって得ることができる。
【0023】
次に、本液体吐出装置の作用効果について説明する。
使用にあたって、ノズルカバーCの頂壁12を押圧していくと、図2に示すように、まず、長円孔状の軸受部18と軸ピン6とが滑動して、軸受部18の上端が軸ピン6に係合され、ノズルカバーCを軸ピン6を中心に廻動させ、ノズル蓋部11の蓋板16を吐出ノズル5の吐出口4より前方に離間するとともに上方に移動させ、ノズルカバーCの押下げに応じてばね板17がさらに湾曲されて、ノズルヘッドBを押下げる。
【0024】
ノズルヘッドBの押下げにより、吐出ノズル5より内容物が吐出され、押下げを解くと吐出が止まり、ポンプA内のばねによりノズルヘッドBが上昇する。
ノズルカバーCから手を離すと、ノズルカバーCがばね板17の弾撥力により上方に押上げられ、軸ピン6が軸受部18の下端に係合してノズルカバーCが廻動し、ノズル蓋部11が後方に移動するとともに、蓋板16によって吐出口4が閉鎖される。
【0025】
したがって、吐出後に、吐出ノズル5内の内容液によって液だれを起こすことはなく、また、蓋板16によって大気の侵入を阻止することができるので、大気中の塵埃がノズルヘッドBに入ったり、内容物が固化し、吐出ノズル5内面に付着して目詰まりを起こすようなことはない。
そして、ノズルカバーCは、ノズルヘッドBの全体を覆うので、外観の見栄えもよく、シャワー等のある浴室等での使用にも適する。
【実施例2】
【0026】
次に、第2実施例について説明する。
図3〜5に示すように、ポンプ(図示せず)とノズルヘッドBaとノズルカバーCaとから構成されている。
【0027】
ノズルヘッドBaは、ポンプのステム1aに嵌着する嵌着筒2aを設けたノズル基部25と、先端に吐出口4aを開口した吐出ノズル26とからなっている。
ノズル基部25は、平坦な頂壁27と側周壁28とを具え、頂壁27下面には、嵌着筒2aに連通する流路29が設けられている。
【0028】
吐出ノズル26は、上面を頂壁27と面一として側周壁28から突出されており、その内周は、流路29に連続した流出路30となっており、吐出ノズル26外周の根本部側部には、軸ピン31が突設されている。
【0029】
ノズルカバーCaは、ノズル基部25を覆うカバー基部35と、該カバー基部35に連設され、吐出ノズル26を覆うノズル蓋部36とからなっている。
カバー基部35は、平坦な頂壁37と、ノズル基部25の側周壁28の高さより高い側周壁38とを具えており、頂壁37と側周壁38のノズル蓋部36を連設する側には、ノズル蓋部36が揺動できるだけの巾を有する切欠部39が形成されている。
【0030】
頂壁37の下面には、周方向に等間隔をおいて複数のばね板40が垂設されており、その下端は、ノズル基部25の頂壁27に係合している。
側周壁38の下端には、ノズル基部25の側周壁28の下端に係合する膨出部41が設けられている。
【0031】
ノズル蓋部36は、カバー基部35の切欠部上端の頂壁37端縁にヒンジ42によって接続され、傾斜する頂壁43と、側壁44と、頂壁43の先端に垂下され、吐出ノズル26の吐出口4aを開閉する蓋板45とからなっており、側壁44の根本部分には、吐出ノズル26の軸ピン31が嵌挿される長円孔状の軸受部46が水平方向に延びるように穿孔されている。
【0032】
ノズルカバーCaの取付けにあたっては、カバー基部35をノズル基部25に嵌挿すると、ばね板40によってカバー基部35は上方に付勢されるが、カバー基部35下端の膨出部41は、ノズル基部25の側周壁28下端に係合して、カバー基部35の上昇を阻止する。
【0033】
次いで、ノズル蓋部36の頂壁43を、ヒンジ42を軸に廻動させて、頂壁43を吐出ノズル26と接合させると、長円孔状の軸受部46はほぼ水平状態となり軸ピン31が軸受部46の先端側に係合し、ノズル蓋部36の蓋板45が吐出ノズル26の吐出口4aを力が加わった状態で閉鎖する。
【0034】
吐出装置の使用にあたって、カバー基部35を押圧すると、図5に示すように、ばね板40を圧縮してノズル基部25に向かって押下げられ、ノズル蓋部36はヒンジ42を中心に廻動し、長円孔状の軸受部46と軸ピン31は滑動して、軸ピン31は軸受部46の後端に係合し、蓋板45は前方に移動しつつ上方に廻動する。
【0035】
そのことによって、吐出口4aの開閉は、ノズル先端をこすらず、スムーズに行われ、その他は前記第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明の液体吐出装置の第3実施例について説明する。
本実施例は、第2実施例において、ノズルカバーの構成を変更したものである。
図6〜8において、Bbはポンプ(図示せず)の上端に取着されたノズルヘッド、Cbはノズルカバーである。
【0037】
ノズルヘッドBbは、第2実施例と同様に、ポンプのステム1bに嵌着する嵌着筒2bを設けたノズル基部50と、先端に吐出口を設けた吐出ノズル51とからなっている。
ノズル基部50は、平坦な頂壁52と側周壁53とを具え、頂壁52下面には、嵌着筒2bに連通する流路が設けられている。
吐出ノズル51は、上面を頂壁52と面一として側周壁53から突出されており、その内部は、ノズル基部50内の流路に連続した流出路54となっており、吐出ノズル51外周の根本部側部には、軸ピン55が突設されている。
【0038】
ノズルカバーCbは、ノズル基部50を覆うカバー基部56と、該カバー基部56に連設された吐出ノズル51を覆うノズル蓋部57とからなっている。
カバー基部56は、頂壁58と側周壁59とからなっており、ノズル蓋部57を連設する側の頂壁58と側周壁59には、ノズル蓋部57が揺動できるだけの巾を有する切欠部60が形成されている。
【0039】
切欠部60の下端部には、側周壁59の下端を全周にわたって接続する連結部61が架設されており、側周壁59の下端には、ノズル基部50の側周壁53の下端に係合する膨出突条62が設けられている。
頂壁58の下面には、ノズル基部50の頂壁52を弾接する複数のばね板63が設けられている。
【0040】
ノズル蓋部57は、カバー基部56の頂壁58にヒンジ64を介して連設されており、頂壁58に対して傾斜する頂壁65と側壁66と、頂壁65の先端から垂下され、吐出ノズル51の吐出口を開閉する蓋板67とからなっている。
側壁66の根本部には、吐出ノズル51の軸ピン55が嵌挿される長孔状の軸受部68が穿設されている。
【0041】
ノズルカバーCbの取付にあたっては、ノズル蓋部57を上方に廻動させた状態で、吐出ノズル51が、カバー基部56の側周壁59の下側から切欠部60を通るようにして,カバー基部56をノズル基部50に重ね合わせ、ノズルカバーCbをノズルヘッドBbに被せる。
次いで、カバー基部56から手を離すと、ばね板63によってカバー基部56は上方に付勢されるが、カバー基部56下端の膨出突条62が、ノズル基部50の側周壁53下端に係合してカバー基部56の上昇が阻止される。
【0042】
次いで、ノズル蓋部57の頂壁65を、ヒンジ64を軸に廻動させて、頂壁65を吐出ノズル51と接合させると、長円孔状の軸受部68はほぼ水平状態となり軸ピン55が軸受部68の先端側に係合し、ノズル蓋部57の蓋板67が吐出ノズル51の吐出口を力が加わった状態で閉鎖する。
【0043】
吐出装置の使用にあたって、カバー基部56を押圧すると、図8に示すように、前記第2実施例と同様に、ノズル蓋部57が廻動し、吐出ノズル51から内容液を吐出することができる。
その際、カバー基部56の側周壁59下端は、切欠部60下端の連結部61によって全周にわたって接続されているので、ノズルカバーCbの押圧を繰り返しても、側周壁59下端が広げられることはなく、側周壁59の変形を防ぐことができる。
その他の作用効果については、前記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
上記各実施例において、ばね板17、40、63は、いずれもノズルカバーC、Ca、Cbと一体に成形された弾性力を具えた樹脂ばねであるが、ノズルカバーとノズルヘッドとの間に配設されたゴム、エラストマー等の弾性部材、或いは金属製の板ばね、コイルばね等であってもよく、弾性体であれば、実施例に限定されない。
その配設個所、配設数についても、ノズルカバーをノズルヘッド上方に付勢するものであればよく、実施例に限定されない。
【0045】
ノズルヘッドとノズルカバーの連結部について、それぞれの係合部として、ノズルヘッドの側には軸ピン6、31、55、ノズルカバーの側には長円孔状の軸受部18、46、68を設けているが、ノズルヘッドの側に軸受部を設け、ノズルカバーの側に軸ピンを設けてもよい。
【0046】
その際、ノズルカバーが最上昇位置にある時に、第1実施例においては軸ピンが軸受部の上端に係合するように位置させ、第2、第3実施例においては、軸ピンが軸受部のノズルヘッド基部側に係合するように位置させる。
また、第2、第3実施例において、軸受部を、吐出ノズルの先端を上側として傾斜させるようにしてもよい。
【0047】
長円孔状の軸受部については、図に示すような長溝形状、または楕円形状、或いは円弧状溝でもよく、また、軸受部がノズルカバーの側にある場合には貫通孔としてもよく、軸受部の形状は、図示された実施例に限定されない。
【0048】
次に、本発明の液体吐出装置に使用する内容液について説明する。
前記各実施例の液体吐出装置には、内容液として、シャンプー、リンス、各種化粧料、液体皮膚洗浄剤、洗剤、洗濯仕上げ剤等が使用される。
【0049】
内容液の成分として、室温において、液状を呈する成分は、ノズル中における固化の原因とはならない。
しかし、室温において、本質的に固体、粘調液、ペースト状を呈する成分は、全て固化し、目詰まりの原因となる。
例えば、界面活性剤、高分子、有機系或いは無機系不溶性粉体,高級アルコール、無機および有機塩類、有機系或いは無機系のパール化剤および白濁化剤等がこれらの成分にあたる。
【0050】
また、各々の成分は、室温では液状であるが、製品中などで互いに化学反応、イオン的或いは疎水結合的に相互作用を起こした結果、固体、粘調液、ペースト状を呈する場合も固化の原因となる。
組成より水を除いた量を固形成分と呼ぶとき、固形成分が全組成の10%を超えると、ノズル内等では固化が発生し易く、とくに細いノズル内等では固化が発生しやすくなる。
【0051】
また、高分子は固化の発生を促進し、この傾向は、とくに固形分が全組成の10%を超え、かつ高分子が配合されている組成の場合に顕著である。
【0052】
次に、内容液の例として、よく用いられる整髪料、液体石鹸等について、実施例をあげ、その成分を表記する。
整髪料として、表1〜表3に示すヘアジェル(表1)、ヘアワックス(表2)、ヘアクリーム(表3)が用いられる。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
次に、各種液体石鹸として、薬用ハンドソープとして、二つの実施例をあげ、その成分を表4に示す。
【表4】

【0057】
次に、ボディソープとして、二つの実施例をあげ、その成分を表5に示す。
【表5】

【0058】
次に、シャンプーについて、11の実施例をあげて、その成分を、実施例1〜5を表6−1、実施例6〜11を表6−2に示す。
【表6−1a】

【表6−1b】

【0059】
【表6−2a】

【表6−2b】

【0060】
ただし、上記各表の成分中の香料は、普通に用いられている一般的な香料組成物である。
なお、上記本発明の液体吐出装置に使用する内容液は、上記化粧料と液体石鹸に限定されない。
【0061】
次に、本発明のノズルカバーを取着した液体吐出装置と、種々の液体吐出装置との比較試験を行った。
液体吐出装置のノズル機構を、蓋式、内蔵バルブ式、自閉式、および蓋なしの四つの型式に分類して、本発明のノズル機構と比較し、その結果を表7に示す。
【0062】
表中において、型式Aは、蓋式と呼ばれるもので、そのノズル機構は、実公昭63−35813号公報に記載されているように、ノズルの吐出口を閉鎖する蓋を設けたものである。
型式Bは、内蔵バルブ式と呼ばれるもので、そのノズル機構は、特開2003−81311号公報に記載されているように、ノズルヘッド(スパーウトカバー)の押圧に応じて、吐出ノズルの吐出口を開くバルブを、ノズル内に内蔵したものである。
型式Cは、自閉式と呼ばれるもので、そのノズル機構は、実用新案登録第2574626号公報に記載されているように、吐出口にスリットバルブを配設したもの、或いは、実開平6−6251号公報に記載されているようなノズル先端部に、ノズル周壁に環状に開いたプラグの円板部外周との間に注出口を形成するようにしたものである。
型式Dは、蓋をしていない従来より周知のノズルである。
【0063】
試験方法は、内容液として、表3の実施例1に記載したハンドソープを用いて、1回吐出後、40℃、湿度20%の雰囲気中に放置し、1日、3日、1週間、2週間、1ヶ月経過したとき、ノズルの目詰まりをチェックし、目詰まりなし○ 目詰まり始め△ 完全な目詰まり× として表記した。
【表7】

【0064】
試験を結果からみると、本発明の場合は、1ヶ月後で目詰まりが始まったが、使用性、価格など総合して評価すると、本発明が優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の液体吐出装置は、ノズルヘッドとノズルカバーとの間に弾性体を配設し、連結部を、軸体と長孔状の軸受けとからなる係合部で連結し、吐出口を開閉する蓋体を前方に移動しながら揺動するようにしているので、ノズルカバーの開閉がノズル先端をこすらず、スムーズに行えるようになった。
【0066】
また、ノズルヘッド全体をノズルカバーで覆っているので、ノズルカバーの押圧面が広くなり、確実かつ軽快に作動させることができ、浴室等において使用しても、ノズルヘッド内に温水が入ることはなくなった。
そのため、本発明の液体吐出装置は、シャンプー、リンス、化粧料、液体石鹸、洗剤等の家庭用に用いる液体、粘性液等の吐出装置として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明第1実施例の液体吐出装置の一部断面立面図である。
【図2】ノズルヘッド押し下げ時の一部断面立面図である。
【図3】第2実施例の液体吐出装置の平面図である。
【図4】液体吐出装置の縦断立面図である。
【図5】ノズルカバー押圧時の一部破断立面図である。
【図6】第3実施例の液体吐出装置の縦断立面図である。
【図7】ノズルカバーの斜視図である。
【図8】ノズルカバー押圧時の一部破断立面図である。
【符号の説明】
【0068】
A ポンプ
A1 取付キャップ
B、Ba、Bb ノズルヘッド
C、Ca、Cb ノズルカバー
1、1a、1b ステム
2、2a、2b 嵌着筒
3、25、50 ノズル基部
4、4a 吐出口
5、26、51 吐出ノズル
6、31、55 軸ピン
7 軸支持片
8 凹溝
10、35、56 カバー基部
11、36、57 ノズル蓋部
12、37、58 頂壁
13,38、59 側周壁
14,43、65 頂壁
15 側壁
16、45、67 蓋板
17、40、63 ばね板
18、46、68 軸受部
19 支持体
27、52 頂壁
28、53 側周壁
30、54 流通路
39、60 切欠部
41 膨出部
42、64 ヒンジ
44、66 側壁
61 連結部
62 膨出突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプのステムに取着されたノズルヘッドと、ノズルカバーとを備えた液体吐出装置であって、
ノズルヘッドは、ノズル基部と吐出ノズルとからなり、
ノズルカバーは、カバー基部と、吐出ノズルの吐出口を開閉する蓋板を具えたノズル蓋部とからなり、
ノズルヘッドとノズルカバーとの間に弾性体を配置し、
ノズルヘッドとノズルカバーとの連結部に、軸体と長孔状の軸受けとから構成される係合部を配設したことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記連結部が、ノズル基部に立設された支持片に設けられた軸体または長孔状の軸受けのいずれか一方の係合部と、ノズルカバーに垂設された支持体に設けられた他方の係合部によって連結されていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記連結部が、吐出ノズルの側面に設けられた軸体または長孔状の軸受けのいずれか一方の係合部と、ノズルカバーの内面に設けられた他方の係合部によって連結されていることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項4】
ノズルカバーが、ノズルヘッド全体を覆うようにしたことを特徴とする請求項1〜3記載の液体吐出装置。
【請求項5】
ノズルカバーのカバー基部とノズル蓋部とが、ヒンジによって連設されていることを特徴とする請求項1、または3、または4記載の液体吐出装置。
【請求項6】
カバー基部が、頂壁と側周壁とからなり、
側周壁のノズル蓋部側に切欠部が設けられ、ノズル蓋部が、切欠部上端の頂壁端縁にヒンジによって連設され、切欠部下端部に側周壁下端を全周にわたって接続する連結部が配設されていることを特徴とする請求項5記載の液吐出装置。
【請求項7】
組成成分中に含まれる固形成分が、10質量%以上配合されていることを特徴とする請求項1〜6記載の液体吐出装置に充填される粘性液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−16077(P2006−16077A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−113942(P2005−113942)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】