説明

液体含有フィルム構造体

本発明は、複数のマイクロカップを含んで成るフィルム構造体に関し、このマイクロカップは、液体組成物が充填されており、かつその場で硬化した封止層によって上方封止されている。液体組成物は、ディスプレイ流体または医薬組成物であってよい。本発明は、液晶ディスプレイ、ディスプレイデバイスおよび経皮デリバリーシステムを指向したものである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液体成分を含有し、周りを取り囲むプレートまたは壁を有する様々な構造体が従来知られている。例えば、液体成分が2つの平行または略平行な面の間に充填され得、この場合、液体成分は連続した形態で存在する。この2つのプレートは、まず、充填穴を有してエッジシール(またはその縁部にて封止)されており、この穴は液体成分を後で充填するためのものである。あるいは、液体成分は2つのプレートのうちの一方へ(エッジシール接着剤を適用する前または後に)滴下され、その後、これら2つのプレート間に液体成分を有するように第1プレートの上に第2プレートを配置してよい。場合によっては、2つのプレート間の距離を制御するために、連続液体相内にスペーサが存在していてもよい。しかしながら、そのような連続液体相構造体には不都合な点がある。例えば、とりわけプレートが可撓性基材である場合に、構造一体性および深さ制御に欠けることである。加えて、このタイプの構造体は、製造するのにフォーマットに対してフレキシブルでなく(または融通がきかず)、また、硬質面プレートを用いる場合はバッチ式で製造する必要があり、このため生産効率が低い。
【0002】
また、液体成分を、例えばマイクロカプセル化(またはマイクロカプセル封入)によって、小さい区画(またはコンパートメント)に分割することも可能である。個々の液滴が壁材料で包まれてディスクリートな(または個々に離れた)区画を形成し、そのような区画が2つの平行または略平行な面の間に配置される。種々異なるタイプの用途のために液体成分をマイクロカプセル化する例は多数存在する。例えばディスプレイ分野では、カプセル化電気泳動ディスプレイおよびカプセル化コレステリック(cholesterol)液晶ディスプレイがある。医薬分野では、制御放出のために薬物をカプセル化し得る。画像形成分野では、光/圧力誘起現像(または画像形成)のために染料およびUV硬化性モノマーをカプセル化し得る。この手法では、カプセル化した物質またはデバイスの性能は、しばしば、マイクロカプセルの寸法分布に依存する。マイクロカプセルの寸法を所望の範囲内に制御することは困難であった。加えて、カプセルの壁のせいで、通常、特に可撓性基材の場合に、構造的一体性に対する良好な機械的サポートが得られない。材料選択はマイクロカプセル化技術のもう1つの問題である。多くの場合、分散した相を安定化させるために余分な(または特別の)化学物質が必要であるが、かかる化学物質は最終製品に悪影響を及ぼし得る。
【0003】
米国特許第6,930,818号ならびに関連する特許および特許出願には、モノクロまたはマルチカラーの電気泳動ディスプレイのためのマイクロカップ構造体が記載されている。電気泳動ディスプレイデバイスは、誘電性の溶媒または溶媒混合物中に分散した帯電色素粒子を含んで成る電気泳動流体でマイクロカップを充填して形成される。米国特許第6,795,138号ならびに関連する特許および特許出願には、液晶ディスプレイが、マイクロカップ構造体の利用と併せて開示されている。マイクロカップに充填される液晶組成物は、1種以上のゲスト染料、特に二色性染料を更に含み得る。米国特許出願公開第2005−0012881A号には、3次元の像を表示することができるディスプレイデバイスが開示されており、かかるディスプレイデバイスは、光学的にアクティブ(または活性)な電気泳動分散物でマイクロカップを充填して形成される。米国特許出願公開第2006−0139724号には、電着またはエレクトロクロミックディスプレイデバイスが開示され、これは電解質流体またはエレクトロクロミック流体でマイクロカップを充填して形成される。以上で参照した特許および特許出願の全ての内容は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、1つまたはそれより多く(または2つ以上)のマイクロカップを含んで成るフィルム構造体を記述し、このマイクロカップは、液体組成物が充填されており、かつその場で硬化した封止層によって上方封止(またはトップシール)されている。
【0005】
本発明の第1の要旨は、フィルム構造体を利用した液晶ディスプレイを指向したものである。液晶ディスプレイは、(a)仕切壁および上方開口部を含んで成る1つまたはそれより多くのマイクロカップ、(b)マイクロカップに充填された液晶組成物であって、液晶およびポリマーマトリクスまたは三次元ポリマーネットワークを含んで成る液晶組成物、および(c)マイクロカップ内に液晶組成物を封入するための封止層であって、その場(イン・シトゥ)で硬化した(または硬化させた)封止層を含んで成る。液晶組成物は、液晶およびポリマー前駆体を含んで成る前駆体組成物を硬化させることによって形成される。前駆体組成物は、封止層の硬化の前または後に硬化させてよく、あるいは、封止層を硬化させているときに同時に硬化させてよい。
【0006】
あるいは、液晶ディスプレイにおける液晶組成物は、液晶、キラル物質および場合によりポリマーネットワークを含んでいてよい。
【0007】
本発明の別の態様において、ディスプレイデバイスは、(1)マイクロカップを含んで成るフィルム構造を基材上に形成すること、(2)仕切壁の上面ならびにマイクロカップの側面および底面を含むマイクロカップの内面に第1導電性層を形成すること、(3)マイクロカップにディスプレイ流体を充填し、および充填したマイクロカップを封止すること、および(4)充填および封止したマイクロカップに第2導電性層を、場合により接着剤層(または接着層)によって、ラミネートまたは堆積することにより製造することができる。第2導電性層が、例えば印刷、薄膜スパッタリングまたは蒸着によって堆積される場合、第2導電性層の上に第2基材層を、場合により接着剤層によって、ラミネートしてよい。この態様において、第1導電性層はマイクロカップ表面とディスプレイ流体との間に配置される。場合により、ディスプレイ流体の充填および封止の前に、第1導電性層に電極保護層、テクスチャ形成層(textured layer:または表面加工層)、配向層、アンカー層または他の性能強化層をコートしてよい。本願に開示されるディスプレイ流体のいずれも、本発明のこの態様に使用し得る。
【0008】
本発明の第2の要旨は、フィルム構造を利用した経皮デリバリーシステムを指向したものである。経皮デリバリーシステムは、(a)仕切壁および上方開口部を含んで成る1つまたはそれより多くのマイクロカップ、(b)マイクロカップに充填された液体組成物であって、医療用(medical)または美容用(cosmetic:または化粧用)の薬剤(agent:または物質)を含む液体組成物、および(c)マイクロカップ内に液体組成物を封入するための封止層であって、その場(イン・シトゥ)で硬化した(または硬化させた)封止層を含んで成る。経皮デリバリーシステムにおけるマイクロカップは、異なる医療用または美容用の薬剤を含む液体組成物で充填されていてよい。
【0009】
フィルム構造体を用いて、液体組成物が個々のマイクロカップに充填され、そして、充填したマイクロカップが上方封止される。マイクロカップの寸法は予め決めることおよび制御することが可能である。加えて、マイクロカップ壁は、事実上、ビルトインスペーサとなり、上部基材および底部基材を所定の距離で離間して保持する。フィルム構造体の機械的特性および構造的一体性が著しく改善される。更に、フィルム構造体を使用することにより、ディスプレイパネルの形成に必須であったエッジシール接着剤が不要となる。更に重要なことに、マイクロカップに基づくフィルム構造体により、フォーマットに対してフレキシブルな製造プロセスが実現され、このプロセスはフィルム構造体を大面積フォーマットで連続生産でき、これは後ほど所望の寸法に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のフィルム構造体を図示する。
【図2a】図2aは、マイクロエンボス加工プロセスを図示する。
【図2b】図2bは、マイクロエンボス加工プロセスを図示する。
【図3a】図3aは、マイクロカップを作製するための画像露光プロセスを図示する。
【図3b】図3bは、マイクロカップを作製するための画像露光プロセスを図示する。
【図3c】図3cは、マイクロカップを作製するための画像露光プロセスを図示する。
【図4a】図4aは、本発明のフィルム構造体から作製されるディスプレイデバイスの構造体を示す。
【図4b】図4bは、本発明のフィルム構造体から作製されるディスプレイデバイスの構造体を示す。
【図4c】図4cは、本発明のフィルム構造体から作製されるディスプレイデバイスの構造体を示す。
【図5】図5は、半製品(semi-finished)ディスプレイパネルを製品(finished)ディスプレイパネルにする方法を示す。
【図6】図6は、1種の単一の(one single)液体組成物を含んで成るフィルム構造体に関するプロセスを図示する。
【図7】図7は、2種以上(more than one)の液体組成物を含んで成るフィルム構造体に関するプロセスを図示する。
【図8】図8は、経皮デリバリーフィルムの例を図示する。
【図9】図9は、ディスプレイセル(例えばマイクロカップ)の内面が導電性層でコートされているディスプレイデバイスを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
I.フィルム構造体
図1は、1つまたはそれより多く(2つ以上)のマイクロカップ(11)を含んで成るフィルム構造体(10)を図示する。マイクロカップは、仕切壁(16)および上方開口部(17)を有する。フィルム構造体(10)は基材層(12)の上に形成されていてよく、基材層(12)は、場合により電極層(図示せず)を含んでいてよい。また、場合により、マイクロカップと基材層(12)との間にプライマー層(15)が存在していてもよい。マイクロカップは液体組成物(13)で充填され、そしてポリマー封止層(14)で上方封止される。
【0012】
1.マイクロカップの形成
(a)マイクロエンボス加工
この加工工程を図2aおよび2bに示す。雄型(20)はウェブ(24)の上にあってよく(図2a)、または下にあってもよい(図2b)。基材層(21)は場合により電極層(図示せず)を含んでいてよく、これはディスプレイ用途、または動作が電圧または電流の適用を伴うような他の用途に特に適する。電極層は、存在する場合には、通常、基材層上の透明導体フィルムである。あるいは、基材層は剛性であっても(または堅くても)よく、そのような場合、マイクロカップ層はバッチ式プロセスで作製してよい。
【0013】
例えば熱可塑性物または熱硬化物の前駆体などのエンボス加工可能な組成物の層(22)を基材層(21)にコート(または被覆)する。エンボス加工可能な組成物を、ローラ、プレートまたはベルトの形態を有する雄型(20)によって、エンボス加工可能な組成物のガラス転位温度(Tg)より高い温度でエンボス加工する。
【0014】
ハードエンボス加工も使用できる。常套の等温エンボス加工技術は、型および基材の双方を基材のガラス転移温度(Tg)より高い温度に加熱することを含んで成る。このプロセスでは、エンボス加工前に基材をオーブン、IRヒータおよび/またはホットローラに通して、基材の上面を加熱する。非等温エンボス加工プロセスを用いる場合、このプロセスは、型のみを、エンボス加工すべき上面のTgより高い温度に加熱することを含む。エンボス加工は、ウェブ(例えば熱可塑性ウェブ)の上面に対して直接実施でき、または、ウェブに適用される熱可塑性ポリマー層の上面に対して実施できる。いずれの場合も、良好なエンボス加工構造を維持するように、ウェブを型から外す前にこれを冷却する必要がある。
【0015】
エンボス加工可能な組成物は、多官能性のアクリレートまたはメタクリレート、ビニルエーテル、エポキシド、それらのオリゴマーまたはポリマーなどであってよい。多官能性のアクリレートおよびそのオリゴマーが最も好ましい。多官能性のエポキシドおよび多感応性のアクリレートも、所望の物理的−機械的特性を実現するのに極めて有用である。柔軟性を付与する架橋可能なオリゴマー、例えばウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートも、形成されるマイクロカップの耐屈曲性を改善するために添加され得る。エンボス加工可能な組成物は、オリゴマー、モノマー、添加剤および場合によりポリマーを更に含み得る。この種(またはクラス)の材料のガラス転位温度は通常、約−70℃〜約150℃、好ましくは約−20℃〜約50℃の範囲にある。マイクロエンボス加工プロセスは、典型的には、Tgより高い温度で実施される。加熱された雄型、または型によって押圧される加熱されたハウジング基材を、マイクロエンボス加工の温度および圧力を制御するために用い得る。
【0016】
図2aおよび2bに示すように、エンボス加工可能な組成物を硬化させる間またはその後に型を外して、マイクロカップ(23)を現わす。エンボス加工可能な組成物の硬化は、冷却により、放射線、熱、または湿気(または水分)による架橋により実施し得る。エンボス加工可能な組成物の硬化をUV放射により行う場合、これら2つの図に示すように、透明(または透過性)であることが必要な基材層(21)にウェブの底部または上部からUVを放射し得る。あるいは、UVランプを型の内部に設けてもよい。この場合、UV光を、型を通じてエンボス加工可能な組成物に放射し得るように、型は透明でなければならない。
【0017】
場合により、ディスプレイデバイスで最適性能を実現するために、マイクロエンボス加工プロセスの後またはその間に、マイクロカップ表面(即ち、液体組成物と直接接触するマイクロカップの内面)を更に改変(または修飾)してよい。例えば、LCDディスプレイデバイスの場合、配向層またはアンカー層をマイクロカップ表面に形成してよい。マイクロエンボス加工の後、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリアミド、二酸化ケイ素、ナイロン、レシチンまたは光配向性物質をマイクロカップ表面にコートしてよく、その後、ラビングまたは露光を実施してよい。別のシナリオでは、マイクロカップの表面にテクスチャ形成(またはテクスチャ化)してよく、これは規則的なマイクロ構造(例えば制御された傾斜角を有するマイクログルーブ構造)を雄型の表面に形成することによって実現できる。マイクロ構造は、型を製造するためのLIGA(即ち、リソグラフィー、電鋳および成形)プロセスの間にフォトレジスト層に初めに形成していてよく、または電鋳工程の後にダイアモンドターンによって雄型に彫り込んでおいてよい。エンボス加工を通じて、雄型上のマイクロ構造がマイクロカップ表面に転写されることになる。そのようなマイクロ構造は、アンカリング(またはアンカー効果)を強化し、または液晶の配向およびプレチルト角を制御するために用い得る。この結果、液晶ディスプレイデバイスの性能が増強される。
【0018】
マイクロカップの内部には、マイクロカップの底部から起立した鉛直突出サブレリーフ構造(スペーサとして機能する)が存在していてよい。このサブレリーフ構造は、例えば柱状物(カラム)、円筒状物(シリンダ)、くさび状物(ウェッジ)などのディスクリートな(または個々に離れた)構造、または例えば壁および格子状物(グリッド)などの連続する構造であってよい。連続するサブ構造の上面は任意の形状を有し得、好ましくは該構造の底部以下の大きさである。サブレリーフ構造の断面は、円形、正方形、長方形、楕円形および他の形状を含む任意の形状を有し得る。そのようなサブレリーフ構造は、マイクロエンボス加工またはフォトリソグラフィーによって作製し得る。この特徴の詳細な説明は米国特許第6,947,202号に記載されており、その内容は参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。サブレリーフ構造は、マイクロカップ壁と同じ高さであっても、それより低くてもよい。
【0019】
雄型を製造する例の1つが米国特許第6,930,818に示されている。
【0020】
(b)画像露光
あるいは、マイクロカップは、可撓性または剛性であってよい基材層(33)にコートされた放射線硬化性材料(31)を、フォトマスク(30)を介してUVまたは他の形態の放射線で、画像露光(図3a)することにより作製することができる。同様に、基材層(33)は、形成する最終デバイスの用途に応じて、電極層(32)を含んでいてよい。換言すれば、図示する電極層(32)は存在していても、存在していなくてもよい。意図している最終製品の動作が電圧または電流の適用を伴うものである場合、例えばディスプレイデバイスである場合に、電極層(32)が存在し得る。電極層は、存在する場合には、基材層上の導体フィルムである。
【0021】
ロール・トゥ・ロールプロセスでは、フォトマスクをウェブと同期させてこれと同じ速度で移動させる。図3aに示すフォトマスク(30)では、黒四角(34)が不透明領域を表わし、黒四角の間にあるスペース(35)が開口領域を表わしている。開口領域(35)から放射線硬化性材料(31)にUVを放射する。露光領域が硬化し、そして、非露光領域(マスクの不透明領域で保護されている)を適切な溶媒または現像液で除去してマイクロカップ(36)を形成する。溶媒または現像液は、放射線硬化性材料を溶解させ、またはその粘度を低下させるために一般的に使用されているもの、例えばメチルエチルケトン、トルエン、アセトンおよびイソプロパノールなどから選択される。
【0022】
図3bおよび3cは、画像露光によってマイクロカップを作製する2つの他のオプションを図示する。これら2つの図における特徴は、図3aに示すものと本質的に同じであり、対応する部材には同じ番号を付している。
【0023】
図3bにおいて、基材(33)は不透明で、かつ予めパターン形成されている。電極層(32)が場合により存在する。この場合、基材層(および存在する場合には電極層)はフォトマスクとして機能する。そして、マイクロカップ(36)は、UV放射後に非露光領域を除去することによって形成できる。
【0024】
図3cにおいて、基材層(33)は同じく不透明で、かつ予めパターン形成されている。第1フォトマスクとしても機能する基材層(33)(および存在する場合には電極層32)にあるラインパターンを通じて底部から放射線硬化性材料を露光する。この第1セットのラインに対して垂直なラインパターンを有する第2フォトマスク(30)を通じて別の側から第2の露光を行う。そして、非露光領域を溶媒または現像液で除去して、マイクロカップを現わす。
【0025】
(c)予めパンチ形成した穴
また、マイクロカップは、予めパンチ形成した(または穿孔した)穴のアレイを有するスペーサフィルムを基材層上にラミネートすることによって作製することもできる。予めパンチ形成した穴を有するのに適切なスペーサフィルム材料には、熱硬化性または熱可塑性の樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリシロキサン、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、硬化ビニルエステル、硬化不飽和ポリエステル、硬化多官能性ビニルエーテル、硬化多官能性アクリレート、硬化多官能性アリルおよびそれらのコポリマーが含まれ得る。スペーサフィルムは透明であっても、不透明であっても、または着色されていてよい。フィルムのラミネーションは接着剤、例えば感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱、湿気または放射線硬化性接着剤などを用いて実施してよい。あるいは、予めパンチ形成されたスペーサフィルムを基材上に、熱により、またはスペーサフィルムに対して適切な溶媒を用いて、その後、乾燥することにより、ラミネートしてよい。適切な溶媒の例には、THF、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアセテートおよびそれらの誘導体が含まれ、これら溶媒はPMMAおよびポリカーボネートに対して特に有用である。基材層は、場合により電極層を含んでいてよい。
【0026】
マイクロカップと基材層との間にプライマー層(15)が存在していてよく、このプライマー層は、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂またはそれらの組み合わせなどの材料から形成されていてよい。プライマー層の材料は、マイクロカップの形成に用いる材料と同じであってよい。
【0027】
一般的に、マイクロカップは任意の形状を有し得、その寸法および形状は様々であり得る。マイクロカップは、1つの系(またはシステム)において、実質的に均一な寸法および形状を有し得る。しかしながら、形状および寸法が混在したマイクロカップとすることも可能である。
【0028】
マイクロカップの開口部は、円形、正方形、長方形、六角形または任意の他の形状を有し得る。開口部の間の仕切領域の寸法も様々であり得る。
【0029】
サブレリーフ構造なしの個々のマイクロカップの寸法は、約1×10〜約1×10μm、好ましくは約1×10〜約1×10μm、およびより好ましくは約1×10〜約1×10μmの範囲にあり得る。
【0030】
サブレリーフ構造ありでは、マイクロカップは、約1×10〜約1×10μm、より好ましくは約1×10〜約1×10μmの範囲にあり得る。
【0031】
マイクロカップの深さは、約5〜約200ミクロン、好ましくは約10〜約100ミクロンの範囲にあり得る。全面積に対する開口部(開口部 対 全面積)の比は、約0.05〜約0.95、好ましくは約0.4〜約0.9の範囲である。
【0032】
2.液体組成物
用語「液体組成物」は、本発明の解釈において、マイクロカップに充填され、かつ、流動する傾向を有する物質として広範に定義される組成物を言うものである。これは溶液、懸濁液/分散液(または懸濁物/分散物)、エマルション、またはゲルなどであり得る。液体組成物は、水ベース、有機物ベース、またはシリコーンもしくはフルオロカーボンベースのものであってよい。
【0033】
マイクロカップに充填される液体組成物は、1種の単独の液体組成物または2種以上の液体組成物の混合物であってよい。
【0034】
加えて、全てのマイクロカップが同じ液体組成物で充填されていなくてよい。例えば、ディスプレイ用途では、マイクロカップは色の異なるディスプレイ流体で充填されて、異なる領域で異なる色を発するようになっていてよい。よって、ディスプレイデバイスは、第1カラーの液体組成物が充填された所定の数のマイクロカップ、および第2カラーの液体組成物が充填された所定の数のマイクロカップなどを含んでいてよい。
【0035】
マイクロカップに液体組成物を充填することは、常套の印刷技術、例えば、インクジェット、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレー印刷またはストリップコーティングなどによって行い得る。
【0036】
医薬用途では、物理的に適合しない(または相容れない)異なる液体組成物を異なるマイクロカップに充填してよい。異なる液体組成物が充填されるマイクロカップの割合は予め決められ得る。例えば、医薬デバイス(即ち、経皮デリバリーシステム)においては、いくつかのマイクロカップは、第1の有効成分(active ingredient:または活性成分)を含むある液体組成物が充填され得、他のマイクロカップは、第2の有効成分を含む別の液体組成物が充填され得る。2つのグループのマイクロカップの比は、2種の有効成分の標的(または目標とする)投与量によって決められ得る。そのような特徴は本発明により可能となる。本発明によれば、各マイクロカップが、ディスクリートな(または個々に離れた)封止されたユニット(または構成単位)となっており、異なる液体組成物が相互に混ざることがほとんど起こらないからである。
【0037】
マイクロカップに充填した後、液体組成物の物理的状態が変化して(即ち、固体、半固体または弾性状態になって)よい。液晶およびポリマー前駆体の混合物を含んで成る液晶組成物は、マイクロカップへの充填後、ポリマー化または相分離してもよい。
【0038】
本発明に適する液体組成物は様々なものがある。
【0039】
逆エマルション電気泳動ディスプレイを本発明のフィルム構造体から作製し得る。逆エマルションは、極性溶媒(例えばDMSO、DMF、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホン、スルホラン(sulfonlane)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、高級アミド(higher amide)、メタノール、エタノール、グリコール、ニトロメタン、アセトニトリル、水、メトキシエタノール、メチルセロソルブ、またはモノエチルエーテルなど)および無極性溶媒(例えばC1−30アルカン、C2−30アルケン、C3−30アルキン、C3−30アルデヒド、C3−30ケトン、C2−30エーテル、C3−30エステル、C3−30チオエステル、C3−30チオエーテル、テルペン、C2−30オルガノシランまたはC2−30オルガノシロキサンなどであって、いずれも環式または非環式であってよく、場合によりハロゲン化物または他の非極性置換基で置換されていてよい)ならびに親水性染料を含んで成る。適切な親水性染料には、カチオン性またはアニオン性モノアゾ染料、カチオン性またはアニオン性ジアゾ染料、トリフェニルメタン染料、ピラゾロン染料、アクリジン、帯電ポルフィリン、オキサジン、ジホルマザン(diformzan)、有色(または着色)金属および遷移金属錯体、金属塩、酸性(acid)アントラキノン染料、両性アントラキノン染料、カチオン性ジフェニルメタン染料、帯電ポリメチン染料、チアジン、帯電フタロシアニン、ホルマザン、およびテトラゾリウム染料が含まれるが、これらに限定されない。溶媒混合物は界面活性剤で安定化されていてよく、また、染料は不連続極性相液滴中にのみ存在していてよい。この液滴は帯電していてよく、または他の方法により電界に応答するようになっていてよい。液滴のこの特性を用いて、液滴をピクセル内でアレンジ(または配置)することができる。興味深い主な挙動は、液滴がピクセルの領域に亘って分散し、これによりカラーのピクセルをもたらすこと、または液滴が集まり、これにより透明なピクセルをもたらすことである。
【0040】
ポリマー分散液晶(PDLC:polymer dispersed liquid crystal)、逆モードPDLC、ポリマーネットワーク液晶(PNLC:polymer network liquid crystal)、ポリマーカプセル化液晶(PELC:polymer encapsulated liquid crystal)、強誘電性液晶、コレステリック液晶またはポリマー安定化コレステリックテクスチャ(PSCT:polymer stabilized cholesteric texture)も液体組成物として使用し得る。
【0041】
ポリマー分散液晶(PDLC)ディスプレイデバイスは、通常、約20重量%〜約80重量%の高いポリマー濃度(ポリマーマトリクスの形態で)を有し、ポリマーマトリクスにランダムに分散した液晶はミクロンサイズの液滴の形態を有する。そのようなPDLCフィルムは、印加電圧が閾値を超えると、半透明状態から透明状態にスイッチさせることができる。
【0042】
ポリマーネットワーク液晶(PNLC)またはポリマー安定化コレステリックテクスチャの組成物については、ポリマー濃度は比較的低く(例えば30%未満であり)、組成物中のポリマーは3次元ネットワークを形成して液晶またはコレステリックテクスチャを安定化している。このような組成物は一般的に連続状態にある。マイクロカップに充填される組成物は、液晶とポリマー前駆体との均一混合物である。3次元ポリマーネットワークが(放射線により、または熱的に)形成されると、液晶およびポリマーは2つの分離した相を形成する。
【0043】
フィルム構造を利用してポリマー分散液晶ディスプレイデバイスまたはポリマーネットワーク液晶ディスプレイデバイスを作製する際、液晶およびポリマー前駆体を等方性液体の状態で含んで成る前駆体組成物をまずマイクロカップに充填し、そして液体組成物をマイクロカップ中に封止する。充填したマイクロカップを封止した後、充填および封止されたマイクロカップをUV光により照射して、ポリマー前駆体から形成されたポリマーを液晶から相分離させる。あるいは、前駆体組成物をまずマイクロカップに充填し、そして放射線硬化によりPDLCまたはPNLCモルホロジーを形成し、最後に封止工程を行ってもよい。後者の場合、酸素阻害の作用を最小限にするために、液晶組成物を放射線硬化する間、窒素ブランケットまたはアルゴン保護を用いることが好ましい。
【0044】
いずれの場合においても、ポリマー前駆体の重合(またはポリマー形成)は、放射線、熱、または例えば電子ビームなどの他の手段によって行い得る。
【0045】
これら方法のいずれかによって作製される最終製品において、ポリマーマトリクスまたは3次元ポリマーネットワークおよび液晶液滴を含んで成る液晶組成物は、マイクロカップの仕切壁で分離(または分断)され、かつ個々のマイクロカップ中に封入されたディスクリートなユニットを形成する。
【0046】
PDLCまたはPNLC液晶ディスプレイにおいて、マイクロカップの屈折率および封止層の屈折率は、液晶の屈折率と適合(または一致)していることが好ましい。
【0047】
前駆体組成物における適切なポリマー前駆体には、アクリレート、メタクリレート、チオール、アルケン、アリルエーテルが含まれ得るが、これらに限定されない。場合により、重合のトリガーを引くために約0.01〜約5%の光開始剤が存在していてよい。光開始剤は、ベンゾインエーテル開始剤、ベンゾフェノン型開始剤およびチオキサントン(thiozanthone)型開始剤からなる群より選択される。
【0048】
前駆体組成物において、ポリマー前駆体に対する液晶の重量比は、約1%〜約80%、好ましくは約2%〜約60%の範囲にあり得る。
【0049】
また、正の誘電異方性を有する液晶およびキラル物質をフォーカルコニック型(focal conic)およびツイステッドプレーナ型(twisted planar)のテクスチャを形成するのに効果的な量で含んで成るコレステリック液晶の組成物を液体組成物として使用し得る。キラル物質は可視スペクトルの光を反射するのに有効なピッチ長を有し、電界がないときにはフォーカルコニック型およびツイステッドプレーナ型のテクスチャは安定で、電界印加の際に液晶がテクスチャを変えることができるようになっている。この組成物に対して適切なキラル物質には、CB15、CE2およびTM74A(メルク製)が含まれ得るが、これらに限定されない。画像安定性を高めるために、ポリマー安定化コレステリックテクスチャにおけるように、ポリマー、例えばUV硬化性熱可塑性および熱硬化性ポリマーなどが更に添加され得る。最適な性能を得るためには、使用する液晶に応じてキラル物質を選択する必要がある。
【0050】
コレステリック液晶の組成物は、ポリマーネットワークを更に含み得る。加えて、マイクロカップの内面がテクスチャ化(またはテクスチャ形成)されていてよい。また、マイクロカップの内面に形成された配向またはアンカー層を有していてもよい。封止層は配向層またはアンカー層として機能し得る。
【0051】
キラル物質の濃度は、組成物中にポリマーが存在するときは約0.5%〜約30%の範囲にあり得、または組成物中にポリマーが存在しないときは約20%〜約70%の範囲にあり得る。
【0052】
液体組成物は、米国特許第4,126,854号、同第5,754,332号、同第6,497,942号および同第6,588,131号に記載されるようなディスプレイ流体であってもよく、これら全ての内容は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。簡単に説明すると、いわゆるツイスティングボールディスプレイデバイスの液体組成物は、誘電性流体にランダムに分散した数百万個の小さいビーズを含み得る。ビーズは、オイルが充填されたキャビティ内にそれぞれ収められており、キャビティ内で自在に回転できる。ビーズは、コントラストを成す二つの色(例えば黒と白、赤と白など)がそれぞれ半球に付された「バイクロマル(bichromal)」であり、電気双極子となるように帯電している。電圧印加されると、片方の着色側を観察者に見せるように(または表示側に向けるように)ビーズが回転する。
【0053】
液体組成物はネマチックコロイドであってよい。ネマチックコロイドは、ネマチック液晶、シリカおよび/またはクレイのナノ粒子を含み得る。標準的なネマチック液晶(正の誘電異方性)は、通常、初期の散乱状態から、電圧印加下にて一方向を向いてホメオトロピック透明状態へとスイッチし、この状態は、内部体積(internal volume)ナノ粒子ネットワークにより安定化され、印加電圧をオフにした後も保持される。
【0054】
液体組成物は、電気泳動により制御されるネマチック液晶組成物であってもよい。この場合、極性により制御されるナノ粒子のエレクトロマイグレーションによって、分子配向性が安定化され、また、常套的に構成された液晶構造体において双安定性または多安定性のスイッチングが得られる。
【0055】
また、液体組成物はゲスト−ホスト液晶組成物であってもよい。そのような組成物は、ネマチック液晶および二色性染料を含んで成る。二色性染料は、二色性染料の主軸と平行な振動面を有する光成分を吸収する。加えて、二色性染料の主軸に垂直な振動面を有する光成分は、ゲスト−ホスト液晶を透過する。ネマチック液晶(ホスト)および二色性染料(ゲスト)は電圧非印加下にてホモジニアスに配向する。電圧印加下では、ネマチック液晶分子ならびに二色性染料は電界の方向に垂直に配向する。光は吸収されるか、ゲスト−ホスト液晶を透過するように調整され得、これにより吸収コントラストを得ることができる。
【0056】
フィルム構造体は医薬用途、特に経皮デリバリーデバイス(例えばプラスターまたはパッチなど)にも使用できる。そのようなデリバリーデバイスは局所または全身に薬物を送達(デリバリー)するために使用し得る。この場合、液体組成物は医療用または美容用の薬剤(または物質)であり得る有効成分を含んで成る。医療用薬剤には、病気の診断、治療、緩和、処置または予防に使用することを意図した、または体の構造もしくは機能に作用するための物質が含まれ得る。医療用薬剤は、単一の化学物質またはその医薬上許容可能な塩であってよく、その存在量は、処置を施すべき適応症を治療するのに有効な量がデバイスによって送達されるような量とされ得る。治療に有効な量を構成する量は、使用する医療用薬剤のタイプ、処置が施される状態、同時投与される医療用薬剤、組成物が患者の皮膚に接触したままで許容し得る時間の長さ、および当業者に知られている他の因子によって様々であり得る。
【0057】
液体組成物中に存在する有効成分は、組成物の総重量基準で、一般的に約0.01〜約40重量%であり、好ましくは約1.0〜約20重量%である。
【0058】
経皮デリバリーに適切な任意の薬物を本発明のフィルム構造体に使用し得る。有用な薬物の例には、抗炎症剤、抗菌剤、抗原虫剤、抗真菌剤、冠拡張剤、カルシウムチャネル遮断剤、気管支拡張剤、酵素阻害剤、降圧剤、抗潰瘍剤、ステロイドホルモン、抗ウィルス剤、免疫調節剤、局所麻酔薬、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、麻薬性鎮痛剤、ペプチドホルモン、性ホルモン、酵素、制嘔吐剤、鎮痙剤、免疫抑制剤、精神治療剤、鎮静剤、抗凝固(または抗凝血)剤、鎮痛剤、抗不整脈剤、鎮吐剤、避妊薬、抗癌剤、神経薬、止血剤、抗肥満薬、禁煙処方物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
医薬用途の液体組成物は補形剤(excipient:または賦形剤)、例えば溶媒、共溶媒、可溶化剤、溶媒改質剤、透過促進剤、防腐剤、緩衝剤なども含み得る。溶媒は液体組成物の主成分であり、好ましくは、有効成分が可溶であるか、少なくとも実質的に可溶であり、あるいは共溶媒または溶媒改質剤を添加することによって可溶とするか、可溶になり得るものである。適切な溶媒は、薬剤(medicament)、美容剤、栄養剤または経皮的に送達される他の有効薬剤(active agent)に対して通常使用される任意の溶媒から選択され得る。好ましい溶媒には、炭素数2〜6、好ましい炭素数2〜4の低級アルコールが含まれ、例えばエタノール、イソプロパノールまたはsec−ブタノールなどのモノアルコール、または例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールまたはグリセロールなどのポリオールであり得る。溶媒の混合物も使用され得る。他の溶媒、例えばケトン(例えばアセトンまたはメチルエチルケトン)、エーテル(例えばエチルエーテル)なども、安全かつ無毒であろう量で使用され得る。溶媒系は一般的に水性でないが、水溶性有効成分に対して、および水の存在下で安定かつ水の存在によって(その作用が)損なわれない有効成分に対しては、水を使用してよい。溶媒中に水が存在する場合、水は溶媒の総量の通常約50重量%未満、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約2重量%未満を占めるが、有効成分に応じて、また、本発明の目的にかない得る限り、より多量または少量を使用してよい。
【0060】
一般的に、溶媒の総量は、有効成分および補形剤を確実に溶解させ、かつ適切な物質粘度が得られるように選択され得る。組成物全体基準で約5〜約90%、好ましくは約25〜約75%の範囲内の溶媒量が使用され得る。
【0061】
液体組成物は好ましくは溶液の形態を有する。しかしながら、懸濁液/分散液(または懸濁物/分散物)、エマルション、またはゲルなどの形態も有する。
【0062】
3.充填したマイクロカップの封止
充填したマイクロカップの封止は幾つかの方法で実施できる。充填したマイクロカップの上方開口部が封止されるので、この封止を「上方封止(トップシール)」とも言うものとする。
【0063】
1つの方法は、封止組成物を液体組成物中に分散させることである。封止組成物は液体組成物と非混和性であり、好ましくは液体組成物より小さい比重を有する。これら2種の組成物(即ち、封止組成物および液体組成物)を十分に混合し、精密なコーティング機構、例えばマイラド・バー(Myrad bar)、グラビア印刷、ドクター・ブレード、スロット・コーティングまたはスリット・コーティングによってマイクロカップ上に直ちにコート(被覆)する。過剰の流体はワイパーブレードまたは同様のデバイスにより掻き取り除去する。少量の弱い溶媒または溶媒混合物、例えばイソプロパノール、メタノールまたはそれらの水溶液を使用してマイクロカップの仕切壁の上面に残留する流体を除去してよい。封止組成物は、次いで、液体組成物から分離し、液体組成物の上部に浮かぶ。
【0064】
あるいは、液体組成物および封止組成物の混合物をマイクロカップに充填した後、これら組成物の混合物の計量(metering)を制御し、および液体組成物からの封止組成物の相分離を容易にして均一な封止層を形成するように、基材をその上にラミネートしてよい。使用する基材は、最終構造体において機能する基材であっても、後ほど除去できる犠牲基材、例えばリリース基材などであってもよい。
【0065】
そして、封止組成物をその場(イン・シトゥ、即ち、液体組成物と接触した状態)で硬化させることによって、封止層を形成する。封止組成物の硬化は、UVまたは他の形態の放射線、例えば可視光、IRおよび電子ビームによって実施できる。あるいは、熱または湿気硬化性の封止組成物を用いるのであれば、封止組成物を硬化させるのに熱または湿気を用いてもよい。
【0066】
別法では、まず液体組成物をマイクロカップに充填し、その後、充填したマイクロカップの上に封止組成物をオーバーコートしてよい。オーバーコートは、常套のコーティングおよび印刷方法、例えばブランケットコーティング、インクジェット印刷または他の印刷方法によって実施できる。この手法では、封止組成物を溶媒蒸発、放射線、熱、湿気または界面反応によって硬化させることにより、封止層がその場で形成される。液体組成物と封止オーバーコートとの間の混合は、界面重合によって界面に薄いバリア層が形成されることによって著しく抑制され、その後、後硬化工程(好ましくはUV照射による)によってシーリングが完了する。混合の程度を更に小さくするため、封止組成物の比重が液体組成物の比重より小さいことが好ましい。揮発性有機溶媒を使用して封止オーバーコートの粘度および厚さを調節することができる。封止組成物のレオロジーは、最適な封止性およびコート性を得るように調節し得る。揮発性溶媒をオーバーコートに使用する場合、揮発性溶媒は液体組成物と非混和性であるのが好ましい。
【0067】
封止組成物中の成分は、液体組成物の化学的および物理的性質に極めて大きく依存する。好ましくは、封止組成物およびその溶媒は、液体組成物中で、あるいはその逆で、約10%未満、好ましくは約5%未満、およびより好ましくは約3%未満の溶解度を有する。しかしながら、溶解度が10%より高くても、混合を避けるためにレオロジー、例えば粘度および弾性、表面張力または界面張力を調節するという手法がある。
【0068】
一般的に、封止組成物中の封止材料は熱可塑性物、熱硬化物またはそれらの前駆体であり得る。そのような材料の例には、多価アクリレートまたはメタクリレート、シアノアクリレート、多価ビニル(ビニルベンゼン、ビニルシラン、ビニルエーテルを含む)、多価エポキシド、多価イソシアネート、多価アリル、および架橋可能な官能基を含むオリゴマーまたはポリマーなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
また、封止組成物に界面活性剤を添加して、液体組成物と封止層との間の界面における付着性(または接着性)および濡れを改善することができる。有用な界面活性剤には、イオン性および非イオン性の両方の界面活性剤が含まれ、これら界面活性剤には、FC界面活性剤(3M社(3M Company)製)、ゾニル(Zonyl)フルオロ界面活性剤(デュポン(DuPont)製)およびBYK界面活性剤(BYKケミエUSA社(BYK Chemie USA, Inc.)製)、ポリシロキサン系界面活性剤(例えばOSIスペシャルティズ社(OSI Specialties, Inc.)製のシルウェット(Silwet)およびシルクエスト(Silquest)界面活性剤)、エチレンおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー、アルキルアリールポリエーテル(例えばラウリル、オレイル、ステアリルアルコールのエトキシル化物およびエトキシル化ノニルベンゼン)、脂肪酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;アルキル、アリールまたはアルキルアリールのスルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩およびそれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0070】
また、他の添加剤を封止組成物に添加して、フィルム形成を助け、封止安定性を向上させ、または最終製品の加工(または処理)に必要な他の機能を提供することができる。適切な添加剤の例には、ポリマー性バインダーまたはシックナー(または増粘剤)、光開始剤、触媒、フィラー、着色剤、界面活性剤、可塑剤、酸化防止剤または有機溶媒などが含まれ得る。添加剤はレオロジー改質剤、例えば会合型シックナーACRYSOL(ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Co.)製)、CAB−O−SILヒュームドシリカ(カボット社(Cabot Corp.)製)など、または光安定剤、例えばチバ(Ciba)から取引表示TINUVINとして市販で入手可能な紫外光安定剤などであってよい。封止物前駆体または添加剤は、封止組成物中でエマルションまたは分散物として存在し得る。
【0071】
他の適切な封止組成物は米国特許第7,005,468号および米国特許出願第10/665,898号(公開第2004−0120024A号)、同第10/651,540号(公開第2004−0112525A号)および同第10/762,196号(公開第2004−0219306A号)に開示されており、これら全ての内容は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
液体組成物としては、水ベースの、有機物ベースの、シリコーンまたはフルオロカーボンベースのものであってよい。これに応じて封止組成物中の成分が選択され得る。
【0073】
水ベースの液体組成物の場合、封止組成物中の封止材料は疎水性有機ポリマー、例えばポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(イソプレン)、ポリブタジエン、植物、ミネラルワックス、ポリカプロラクトン(polycarprolactone)、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物(polyanhydride)、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルクロリド、セルロース誘導体、またはそれらのコポリマーであってよい。また、シリコーンポリマーまたはフッ素化ポリマー、例えばPDMS(ポリジメチルシラン)サブユニットを有するポリマー、パーフルオロカーボンサブユニットを有するポリマー、パーフルオロエーテルサブユニットを有するポリマー、またはそれらのコポリマーを使用してもよい。同様の化学的特性を有するモノマーまたはオリゴマーが封止組成物中に存在して、封止組成物を更に硬化させるようにしてもよい。そのようなタイプの封止組成物に用いる溶媒は有機溶媒、例えばアルカン、ケトン、エーテル、アルコールなど、またはハロゲン化溶媒、例えばFC−43(主にC12パーフルオロ化化合物、3M製)、ハロカーボンオイル(ハロカーボン・プロダクツ社(Halocarbon Products Corporation)製)、ガーデン(Garden)流体(低分子量パーフルオロポリエーテル、ソルベイ(Solvay)製)、低分子量クライトックス(Krytox)流体(パーフルオロアルキルエーテル、デュポン製)、またはPDMS含有溶媒であってよく、いずれを用いるかは組成物に用いる封止材料の溶解度による。
【0074】
有機物ベースの液体組成物の場合、封止材料は封止溶媒として水を一緒に有する水溶性ポリマーであってよい。適切な水溶性ポリマーまたはポリマー前駆体の例には、セルロースポリマー、ラテックス、疑似ラテックス(pseudolatex)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、PEG−PPG−PEG、PPG−PEG、PPG−PEG−PPG、ポリビニルピロリドン、PVP/VA多糖類、スターチ(またはデンプン)、メラミンホルムアルデヒド、リン脂質などが含まれるが、これらに限定されない。また、封止材料は調製溶媒として水を一緒に有する水分散性ポリマーであってもよい。適切なポリマー−水分散物の例には、水性(water borne)ポリウレタン、ポリアクリレートラテックス分散物などが含まれ得る。また、封止材料としてシリコーンポリマーまたはフッ素化ポリマーを使用することもできる。そのようなポリマーは、PDMSサブユニットからなるポリマー、またはパーフルオロカーボンサブユニットを有するポリマー、パーフルオロエーテルサブユニットを有するポリマー、またはそれらのコポリマーから選択され得る。同様の化学的性質を有するモノマーまたはオリゴマーが封止組成物中に存在して、封止組成物を更に硬化させるようにしてもよい。適切な溶媒には、例えばFC−43、ハロカーボンオイル、ガーデン流体、低分子量クライトックス流体、またはPDMS含有溶媒が含まれ得る。
【0075】
ある有機物ベースの液体組成物については、封止材料として、非適合性(または非相溶性)の有機物ポリマーを見出すこともできる。有機溶媒ベースの液体組成物が親水性である場合、これはポリマーグループ、例えばポリエチレンオキシド、アルコールまたはニトリルなどをかなりの量で含有できる。この場合、封止材料は疎水性ポリマー、例えばポリイソプレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、それらのコポリマーなどであってよく、封止組成物中の溶媒は疎水性溶媒、例えばアルカンであってよい。
【0076】
シリコーンおよびフルオロカーボンベースの液体組成物の場合、封止材料は封止組成物中で封止溶媒として水を一緒に有する水溶性ポリマーであってよい。適切な水溶性ポリマーの例には、セルロースポリマー、ラテックス、疑似ラテックス、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、PEG−PPG−PEG、PPG−PEG、PPG−PEG−PPG、ポリビニルピロリドン、PVP/VA多糖類、スターチ(またはデンプン)、メラミンホルムアルデヒド、およびリン脂質などが含まれるが、これらに限定されない。また、封止材料は疎水性有機ポリマー、例えばポリ(アクリレート)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(イソプレン)、ポリブタジエン、植物、ミネラルワックス、ポリカプロラクトン、ポリオルトエステル、ポリ酸無水物、エポキシ、またはそれらのコポリマーであってもよい。同様の化学的性質を有するモノマーまたはオリゴマーが封止組成物中に存在して、封止組成物を更に硬化させるようにしてもよい。封止組成物に用いる溶媒は有機溶媒、例えばアルカン、ケトン、エーテル、アルコールなどであってもよい。
【0077】
封止層は本発明のフィルム構造体の重要な特徴の1つである。封止組成物は、最終製品に所望される化学的および物理的特性が得られるように調製できる。例えば、ディスプレイの用途では、ディスプレイパネルに印加される実効電圧を大きくするため、封止層を適切に調製すれば、封止層は電圧降下を低減することができる。
【0078】
また、封止層は、充填したマイクロカップのコート性(または被覆性)および封止性の要件に適合することを越えて、改変することも可能である。例えば、封止層は光配向性組成物を含んでいてよく、これは放射の際にマイクロカップに充填された組成物と接触する配向面を形成する。
【0079】
経皮デリバリーの用途では、有効成分が所望の速度で封止層を通って浸透する。封止層を通る有効成分の拡散は、有効成分、有効成分が存在している(または有効成分を取り巻く)溶媒、封止層/接着剤層または有効成分と皮膚との間にあるその他の層の化学的性質の特性に依存する。他方、皮膚浸透速度は、拡散係数、バリア仕切り性(barrier partitioning tendency)、結合親和性(binding affinity)、皮膚による有効成分の代謝率(または代謝速度)に関連している(またはこれらの関数である)。本発明のこの要旨において、封止層は好ましくは連続または微孔性(microporous:ミクロ多孔性)のフィルムである。連続フィルムは、例えばエチレン−ビニルアセテートコポリマー(これはビニルアセテートを適切な量、例えば約0.5〜約40重量%で含み得る)から作製し得る。
【0080】
II.ディスプレイデバイス
図1のフィルム構造体(10)はディスプレイデバイスに使用できる。ディスプレイデバイに対して適切な液体組成物の例は、セクションI.2にて述べている。図4a〜4cは、想定される様々なディスプレイデバイスの構成を図示する。
【0081】
図4aにおいて、フィルム構造体(40)は2つの電極層(41aおよび41b)に挟持されている。説明のために、40aとして示した側が封止層側である。フィルム構造体体(40)と一方の電極(41a)との間にプライマー層(42)が存在していてよい。プライマー層は、例えばポリアクリレート、ポリウレタン、ポリウレア、ポリスチレン(polysturene)、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリエーテル、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂またはそれらの組み合わせなどの材料から形成されていてよい。プライマー層の材料は、マイクロカップの形成に用いる材料と同じであってよい。マイクロカップ(44)は、ディスプレイ流体(即ち、液体組成物45)が充填され、封止層(46)で封止されている。また、フィルム構造体の封止側と一方の電極層41bとの間には接着剤層(43)が存在していてもよい。図示したようなディスプレイデバイスは、(封止層、存在する場合には接着剤層、および電極層41bが透明であれば)封止側から、または(存在する場合にはプライマー層、および電極層41aが透明であれば)非表示側から見ることができる。
【0082】
インプレーンスイッチングモードのディスプレイデバイス、例えば米国特許第6,885,495号(この内容は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているものでは、フィルム構造体は1つの基材層と1つの電極層との間に挟持される。
【0083】
ディスプレイデバイスでは、フィルム構造体の一方側はコモン電極層であってよく、フィルム構造体のもう一方側には、画像を更新するように、書込ペンまたはスキャンデバイスによりその露出面に電圧が印加されるものであってよい。
【0084】
図4bおよび4cは、半製品(semi-finished)ディスプレイパネルと呼ばれるディスプレイパネルを図示する。
【0085】
図4bにおいては、半製品ディスプレイパネルは、仮(または一時的な)基材(47a)と電極層または永久基材層(47b)との間に挟持されたフィルム構造体(40)を含んで成る。仮基材(47a)および電極または永久基材層(47b)の位置は入れ換えてよい。
【0086】
図4cにおいては、フィルム構造体(40)は2つの仮基材層(48aおよび48b)の間に挟持されている。
【0087】
ディスプレイパネルまたは半製品ディスプレイパネルは保護層でコートされていてよい。保護層はシリコーン、フルオロカーボン化合物、ポリエチレンまたはポリプロピレンから形成され得、容易に剥がされる。
【0088】
プライマー(42)および接着剤(43)の層が、オプションとして、例示したような半製品ディスプレイパネルのいずれにも存在していてよい。
【0089】
半製品ディスプレイパネルは、本願および米国特許出願第10/351,460号(公開第2003−0179436A号)(この内容は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される方法のいずれで形成してもよい。
【0090】
仮基材、例えばリリースライナーなどは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、紙およびそれらをラミネートまたはクラッドしたフィルムからなる群より選択される材料から形成され得る。また、リリース性を向上させるために、シリコーンリリースコーティングを仮基材に適用(または塗布)してもよい。
【0091】
仮基材層は仮基材層の片側にコートされた導電性層を含んで成っていてよく、あるいは、仮基材層はそれ自体が導電性であってよい。
【0092】
半製品ディスプレイパネルは、ロールの形態で顧客に供給されてよく、そして顧客は、各自の具体的な要求に適合するように、半製品パネルのロールを所望のフォーマットおよびサイズに切断できる。
【0093】
半製品パネルを製品(finished)パネルとすることを図5に例示する。
【0094】
図5aは半製品ディスプレイパネルのロールを図示する。図5bは、仮基材(51)と第1電極層または永久基材層(52)との間に挟持されたフィルム構造体(50)を含んで成る半製品ディスプレイパネルの断面を図示する。50aとして示した側が封止層側である。仮基材(51)がフィルム構造体に(場合により、フィルム(50)と仮基材(51)との間の接着剤層(53a)により)ラミネートされる。層53が封止層である。図5cは仮基材(51)が剥がされているところを図示する。図5dにおいて、第2電極層(54)がフィルム構造体にラミネートされる。あるいは、電極層は、例えばコーティング、印刷、蒸着、スパッタリング、またはそれの組み合わせなどの方法によってフィルム構造体上に配置されてよい。
【0095】
図5dに示す半製品ディスプレイパネルにおいて、封止側5aまたは非封止側のいずれが表示側であってもよい。
【0096】
半製品パネルが2つの仮基材層の間に挟持されるフィルム構造体を含んで成る場合、半製品ディスプレイパネルは、2つの仮基材層を除去し、そして、2つの永久基材層(少なくとも一方は電極層を含む)をフィルム構造体にラミネートすることによって、製品ディスプレイパネルとすることができる。あるいは、永久基材層は、例えばコーティング、印刷、蒸着、スパッタリング、またはそれの組み合わせなどの方法によってフィルム構造体上に配置されてよい。
【0097】
ディスプレイ用途では、ディスプレイ媒体への実効駆動電圧を最大限にするために、電界経路上にある層(layer in the path of the electrical field)を駆動方法に応じて更に最適化してよい。例えば、DC駆動ディスプレイでは、電界経路上にある層は、アクティブなディスプレイ媒体におけるものに比べて、比較的低い電気抵抗を有することが好ましい。低い電気抵抗は、層のポリマーマトリクスの架橋密度、Tgおよび極性を制御することによって、または導電性フィラーまたは低抵抗フィラーを層に添加することによって得ることができる。AC駆動ディスプレイでは、高誘電率を有することが好ましい。高誘電率は、高誘電率を有するフィラー、例えばペロブスカイト、チタン酸バリウム(BaTiO)またはチタン酸鉛(PbTiO)などを添加することによって得ることができる。電流駆動ディスプレイでは、これらの層は導電性であることが好ましい。導電性は、導電性ポリマーを使用するか、導電性フィラーを添加することによって得ることができる。
【0098】
図9は、別のプロセスによって製造されたディスプレイデバイスを図示する。このプロセスにおいて、マイクロカップ(90)を含んで成るフィルム構造体が第1基材(91)上に直接形成される。有用な非導電性基材には、ガラス、非導電性または誘電性層にオーバーコートまたはラミネートされた金属シートまたはフィルム、およびプラスチックフィルム、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリアリルエーテル、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリ(環式オレフィン)およびそれらの複合体(またはコンポジット)が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0099】
マイクロカップは本願に記載されるような方法のいずれで形成してもよい。マイクロカップの形成後、第1導電性層(92)が、側面(93a)、底面(93b)および仕切壁(95)の上面(93c)を含むマイクロカップの表面(93)に形成される。1つの実施形態では、第1導電性層は側面(93a)および底面(93b)のみに形成され得る。別の実施形態では、第1導電性層は側面(93a)、底面(93b)および仕切壁の上面(93c)に形成され得、この場合、仕切壁の上面(93c)にある第1導電性層は後ほど完全に、または部分的に除去され得る。仕切壁の上面にある導電性層が完全に除去される場合、第1導電性層はディスクリートな(または個々に離れた)パターンを有する。この場合、ディスクリートな第1導電性層は、ビアホールを通じて駆動部材(または要素)に接続され得る。
【0100】
第1導電性層はマイクロカップの表面上に、無電界めっき、スパッタリング、真空蒸着、印刷、またはそれらの組み合わせによって形成できる。有用な導電性層には、金属導体、例えばアルミニウム、銅、亜鉛、スズ、モリブデン、ニッケル、クロム、銀、金、鉄、インジウム、タリウム、チタン、タンタル、タングステン、ロジウム、パラジウム、白金、またはコバルトなど、および金属酸化物導体、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)など、ならびに上述の金属および/または金属酸化物に由来する合金または多層複合体フィルム、または導電性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。更に、本明細書に記載の導電性層は、単層薄膜または多層薄膜のいずれをも含み得る。ITOフィルムは、可視光領域において高い透過性を有するので、多くの用途において特に関心が持たれる。
【0101】
第1導電性層のパターン形成は、例えばフォトリソグラフィプロセスによって実施でき、このプロセスは、(i)導体フィルムをフォトレジストでコートする工程、(ii)フォトレジストを、例えば紫外光にフォトマスクを通じて画像露光することによって、フォトレジストをパターン形成する工程、(iii)フォトレジストを除去すべき領域(即ち、電極ラインが位置しない領域)において導電性層を露出させるように、使用したフォトレジストのタイプに応じて露光領域または非露光領域のいずれかからフォトレジストを除去することによって、パターン形成された画像を「現像」する工程、(iv)フォトレジストが除去された領域から導電性層を除去するために、化学エッチングプロセスを用いる工程、および(v)電極ラインを露出させるために、残っているフォトレジストをストリッピングする工程を含んで成る。
【0102】
あるいは、フォトレジストを第1導電性層上に印刷し、その後、エッチングまたはストリッピング(または剥ぎ取り)により、導電性パターンを現わすことができる。
【0103】
またあるいは、レーザを用いたドライエッチングにより、または接着剤テープをマイクロカップ表面にラミネートし、この表面の所定の領域において導電性層を剥がすことにより、導電性層がパターン形成され得る。
【0104】
またあるいは、マイクロカップ表面にマスキング層を印刷し、そして、例えば蒸着またはスパッタリングにより導電性層を堆積することによって、第1導電性層がパターン形成され得る。より具体的には、第1導電性フィルムをマイクロカップ表面に形成することは、まずこの表面にストリッピング可能な印刷材料を印刷することにより実施できる。印刷したストリッピング可能な材料により、導電性フィルム構造体が形成されない表面領域が規定される。換言すれば、印刷されたストリッピング可能な材料は、導電性フィルム構造体が形成されない表面領域には実質的に存在しない。次に、パターン形成した表面に導電性材料の薄層を堆積し、そして、ストリップ可能な材料を表面からストリッピングし、これにより、ストリップ可能な材料およびその上に形成された導電性材料が除去されて、パターン形成された導電性フィルム構造体が残される。
【0105】
あるいは、パターン形成された導電性フィルム構造体をマイクロカップ表面に形成することは、導電性フィルム構造体を形成しない領域を規定する表面に、印刷可能な材料を印刷することによって実施できる。次いで、導電性の薄いフィルムをマイクロカップ表面に堆積する。この場合、導電性フィルムは印刷可能な材料に対して付着し、これは印刷可能な材料がなく表面に対して付着するよりも強い。表面に直接形成された導電性フィルムを、印刷可能な材料から導電性フィルムをストリッピングしないストリッピングプロセスを用いてストリッピング除去した後、導電性フィルム構造体が形成されるべき領域を規定するために用いた印刷可能な材料上に導電性フィルム構造体が形成されたまま残る。これら方法は、同時係属出願である2003年4月23日出願の米国特許出願第10/422,557号(国際公開第03/091788号に対応する)に開示されており、この内容は参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0106】
堆積した第1導電性層、特に仕切壁の上面に在るものは、例えば(1)フォトリソグラフィー露光、およびこれに続くエッチングおよびストリッピング、(2)レーザドライエッチング、または(3)接着剤による導電性層/マイクロカップ/基材構造体のラミネーション(または重ね合せ)、およびこれに続く仕切壁の上面に在る導電性層の機械的掻き取り除去によって、選択的に除去またはパターン形成され得る。
【0107】
第1導電性層をマイクロカップの表面に形成した後、次いで、マイクロカップは、上記セクションで述べたように、ディスプレイ流体(96)が充填され、そして封止層(97)で封止され得る。オプションとして、ディスプレイ流体の充填および封止の前に、第1導電性層上に電極保護層がコートされ得る。
【0108】
必要であれば、充填および封止されたマイクロカップを含んで成るフィルム構造体は、次に、第2導電性層(98)が、オプションとして接着剤層(99)によりラミネートされる。第2導電性層は、例えば薄膜スパッタリングまたは蒸着などにより堆積され、第2導電性層上に第2非導電性基材層が、オプションとして接着剤層によりラミネートされてよい。
【0109】
第1導電性層(92)は、1nm〜3000nmの範囲、好ましくは20nm〜500nmの範囲、より好ましくは50nm〜150nmの範囲にある厚さを有する。
【0110】
第3導電性層(図示せず)がマイクロカップ(90)を含んで成るフィルム構造体と第1基材(91)との間に、特にディスクリートな導電性パターンをフィルム構造体に形成する場合に存在していてよい。第1導電性層はディスクリートなパターン(即ち、接続していないもの)、例えば仕切壁の上面に在る導電性層を除去することによるものを有し得る。
【0111】
第2導電性層および第3導電性層も、上述のいずれでもよい方法によって、パターン形成されていてよい。
【0112】
1つの実施形態において、第1導電性層は、薄膜堆積(例えばスパッタリングまたは蒸着)によりマイクロカップの表面に堆積され得る。別の実施形態において、第2導電性層は、薄膜堆積、印刷、またはラミネーションによってフィルム構造体上に形成され得る。更なる実施形態において、第3導電性層は、存在する場合には、薄膜堆積、印刷、またはラミネーションによって第1基材上に形成され得、マイクロカップは第3導電性層上に形成される。
【0113】
本明細書のこの要旨において言及したディスプレイ流体(96)は、上述の液体組成物/ディスプレイ流体のいずれであってもよい。例えば、ディスプレイ流体は、液晶およびポリマーマトリクスまたは3次元ポリマーネットワークを含んで成る液晶組成物;または液晶およびキラル物質を含んで成る液晶組成物であってよい。
【0114】
III.経皮デリバリーシステム
図1のフィルム構造体(10)は経皮デリバリーフィルムに使用できる。経皮デリバリーデバイスに対して適切な液体組成物の例は、セクションI.2にて述べている。デリバリーシステムの拡散膜(またはメンブラン)として機能し得る封止層の形成は、セクション1.3にて述べている。
【0115】
図8は本発明の経皮デリバリーシステムの例を図示する。フィルム構造体(80)は、有効成分を含む液体組成物(80)が充填された1つまたは2つ以上のマイクロカップを含んで成る。各マイクロカップは封止層/拡散膜(82)により封止されている。フィルム構造体を患者の皮膚に付着させ得るのに適切に接着剤を有する皮膚接触層(83)が存在する。皮膚接触層としては感圧接着剤層が適切である。皮膚接触層は、水蒸気(即ち、発汗)および空気に対する透過性が良好であることが好ましい。適切な皮膚接触感圧接着剤には、アクリレートコポリマー、合成ゴム、例えばポリイソブチレン、ポリイソプレン、スチレンブロックコポリマー、ポリビニルエーテル、シリコーンポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0116】
皮膚接触層(83)の上にはリリースライナー(84)が配置される。薬物含有フィルム構造体を露出させ得るように、使用前にリリースライナーを剥がし去ることができる。リリース層は、本来的に剥離可能であると知られているポリマーから、または、容易にストリッピング除去できるシリコーンまたはフルオロカーボン化合物で表面処理することにより有効成分に対して不透過性とされたポリマーから形成され得る。マイクロカップは基材層(86)上に形成される。また、オプションとしてプライマー層(85)が存在してもよい。
【0117】
経皮デリバリーフィルムの厚さ(基材厚さを除く)は、一般的に約5μm〜約500μmの範囲、好ましくは約10μm〜約200μmの範囲にある。
【0118】
IV.1種の単一の液体組成物を含んで成るフィルム構造体の製造
このプロセスは図6に示すようなフローダイアグラムにより説明される。全てのマイクロカップが同じ液体組成物で充填されている。このプロセスは、以下の工程を含んで成る連続ロール・トゥ・ロールプロセスで行うことができる。
1.エンボス加工可能な組成物の層(60)を基材層(61)にコートする。基材層は、目的とする最終製品に応じて電極層を含んでいてよい。
2.エンボス加工可能な組成物を、予めパターン形成した雄型(62)によって、エンボス加工可能な組成物のガラス転位温度より高い温度にてエンボス加工する。
3.好ましくは(エンボス加工可能な組成物の)層を硬化させる間またはその後に、エンボス加工可能な組成物から型をリリースする(または離す)。
4.これにより形成されたマイクロカップ(63)に液体組成物(64)を充填する。
5.充填したマイクロカップを、セクションI.3にて述べた封止方法のいずれか(例えば、UV硬化65)により封止する。
6.充填および封止したマイクロカップに、必要に応じて他の層(例えば66)をラミネートする。ラミネーション工程に接着剤層(67)を使用してよい。接着剤は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱、湿気または放射線硬化性接着剤などであってよい。ラミネート接着剤は、例えばUV(68)などの放射線によって後硬化させてよい。そして、ラミネーション工程の後、フィルム構造体を含む製品フィルムを所望の寸法へと切断できる。
【0119】
工程6において、電極層は、フィルム構造体にラミネートする代わりに、フィルム構造体上に直接、例えばコーティング、印刷、蒸着、スパッタリング、またはそれらの組み合わせなどの方法により形成してよい。また、アクティブマトリクス駆動構造をフィルム構造体に直接組み込むこともできる。
【0120】
上述したマイクロカップの作製は、セクションI.1に開示した他の方法により簡便に置換できる。
【0121】
V.2種以上の液体組成物を含んで成るフィルム構造体の製造
2種以上の液体組成物を含むフィルム構造体を製造するには追加の工程を要する。これら追加工程には次のものが含まれる:(1)既に形成したマイクロカップにポジ型ドライフィルムフォトレジストをラミネートする工程;(2)フォトレジストを画像露光することによって所定の量のマイクロカップを選択的に開口させる工程;(3)開口させたマイクロカップに液体組成物を充填する工程;および(4)充填したマイクロカップを、セクションI.3にて述べた方法のいずれかにより封止する工程。これら追加工程は、種類の異なる液体組成物が充填されたマイクロカップを形成するために繰り返して実施され得る。
【0122】
ディスプレイ用途では、異なる液体組成物により、異なる色または他のスイッチング特性を得ることができる。経皮デリバリーシステムでは、異なる液体組成物により、異なる有効成分、または同じ有効成分を含む異なる組成物を有することが可能となる。これらはごくわずかな例である。
【0123】
より具体的には、タイプの異なる液体組成物を含んで成るフィルム構造体は、図7に示すような工程に従って作製できる。
1.エンボス加工可能な組成物の層(70)を基材層(71)にコートする。基材層は、目的とする最終製品に応じて電極層を含んでいてよい。
2.エンボス加工可能な組成物層を、予めパターン形成した雄型によって、エンボス加工可能な組成物のガラス転位温度より高い温度にてエンボス加工する。
3.好ましくはエンボス加工可能な組成物を硬化させる間またはその後に、エンボス加工可能な組成物から型をリリースする(または離す)。
4.これにより形成されたマイクロカップ(72)にポジ型ドライフィルムフォトレジスト(74)および接着剤層(73)をラミネートする。
5.ポジ型フォトレジストをUV、可視光、または他の放射線手段によって画像露光し(図7c)、露光領域にてマイクロカップを開口させる。工程4および5の目的は、マイクロカップを所定領域にて選択的に開口させることである(図7d)。
6.開口したマイクロカップに第1液体組成物(75)を充填する。
7.充填したマイクロカップ(76)を、セクションI.3にて述べた封止方法のいずれかにより封止する。
8.上記の工程5〜7を繰り返して、異なる液体組成物が異なる領域にて充填されたマイクロカップを形成する(図7e、7fおよび7g)
9.充填および封止したマイクロカップに、必要であれば他の層(77)をラミネートする。ラミネーションは、場合により接着剤(78)、例えば感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱、湿気または放射線硬化性接着剤などを使用して実施してよい。
10.必要であれば接着剤を硬化させる。
【0124】
工程9において、ラミネートの代わりに、電極層をフィルム構造体上に直接、例えばコーティング、印刷、蒸着、スパッタリング、またはそれらの組み合わせなどの方法により配置してよい。また、アクティブマトリクス駆動構造をフィルム構造体に直接組み込むこともできる。
【0125】
マイクロカップの充填は、インクジェット印刷により、異なる液体組成物を所定の場所で計量(または定量)することによって実施できる。あるいは、液体組成物中の異なる成分を揮発性溶媒に溶解させ、まずインクジェット印刷することができる。乾燥後、共通の液体組成物をブランケットコートし、その後封止できる。
【0126】
上記のプロセスにおいて記載したマイクロカップの作製は、セクションI.1にて述べた別の方法により簡便に置換できる。
【0127】
本発明のフィルム構造体の厚さは紙1枚程度に薄くすることができる。フィルム構造体の幅は、コーティングウェブの幅(典型的には3〜90インチ)である。フィルム構造体の長さは、ロールのサイズに応じて、数インチから何千フィートのいずれにもすることができる。
【0128】
フィルム構造体はデバイスに組み込むことができる。デバイスは、フィルム構造体を1つまたは2つ以上の層で有し得ることが理解される。
【0129】
本発明の重要な利点の1つは、フィルム構造体をウェブ上にロール・トゥ・ロールで連続的または半連続的に製造できることである。
【0130】
連続プロセスは図6に示されており、エンボス加工および充填/封止が中断なしに連続的に実施されている。半連続プロセスは、プロセス全体ではなく、工程のいくつかが連続的に実施され得るプロセスである。例えば、マイクロカップの形成と充填/封止工程との間に中断があってよく、あるいは、充填/封止工程とラミネーション工程との間に中断があってよい。
【0131】
また、図7に示される方法も連続的または半連続的に実施することができる。換言すれば、複数の工程を中断なしに連続的に実施してよく、またはプロセス全体ではなく、工程のいくつかを連続的に実施してよい。
【0132】
更に、連続プロセスまたは半連続プロセスのいずれにおいても、1つまたは2つ以上の工程をストップ・アンド・ゴー(stop-n-go:度々停止しながら進行する)式で実施することができる。ストップ・アンド・ゴー・モードは、規則的または不規則な間隔(または停止期間)で実施され得る。
【0133】
本発明のフィルム構造体により、上記のようなフォーマットに対してフレキシブルで、効率的なロール・トゥ・ロール連続または半連続製造が可能となる。これらプロセスは容易に拡張(scalable:または拡大縮小)可能であり、低コストで効率的に実施することができる。
【0134】
本発明をその特定の態様を参照しつつ説明して来たが、本発明の真の概念および範囲を逸脱することなく種々の変更が成され得、また均等物で置換され得ることが当業者に理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、処理工程(1つまたはそれ以上)に適応するため、本発明の目的、概念および範囲に対して多くの改変が成され得る。そのような全ての改変は添付の特許請求の範囲に属することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)仕切壁および上方開口部を含んで成る1つまたはそれより多くのマイクロカップ;
b)マイクロカップに充填された液晶組成物であって、液晶およびポリマーマトリクスまたは3次元ポリマーネットワークを含んで成る液晶組成物;および
c)マイクロカップ内に液晶組成物を封入するための封止層であって、その場で硬化した封止層
を含んで成る液晶ディスプレイ。
【請求項2】
マイクロカップの屈折率および封止層の屈折率が、液晶の屈折率と厳密に適合している、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項3】
マイクロカップの内面に形成された配向またはアンカー層を更に含んで成る、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項4】
液晶組成物が、液晶およびポリマー前駆体を含んで成る前駆体組成物を硬化させることによって形成される、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項5】
封止層が、液晶組成物または前駆体組成物中で5%未満の溶解度を有する封止組成物から形成される、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項6】
前記ポリマー前駆体が、アクリレート、メタクリレート、チオール、アルケンおよびエポキシドからなる群より選択される、請求項4に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項7】
前記封止層が、熱可塑性物または熱硬化物の前駆体を含んで成る封止組成物から形成される、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項8】
前記封止層が、多価アクリレートまたはメタクリレート、シアノアクリレート、多価ビニル、多価エポキシド、多価イソシアネート、多価アリル、および架橋可能な官能基を含むオリゴマーまたはポリマーからなる群より選択される材料を含んで成る封止組成物から形成される、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項9】
前駆体組成物の硬化が、放射線または熱硬化により実施される、請求項4に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項10】
2つの電極層を更に含んで成り、充填および封止されたマイクロカップは2つの電極層間に挟持される、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項11】
1つの電極層および1つの仮基材層を更に含んで成り、充填および封止されたマイクロカップは電極層と仮基材層との間に挟持される、請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項12】
前記仮基材層が導電性層を更に含んで成り、または前記仮基材層はそれ自体が導電性である、請求項10に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項13】
a)仕切壁および上方開口部を含んで成る1つまたはそれより多くのマイクロカップ;
b)マイクロカップに充填された液晶組成物であって、液晶およびキラル物質を含んで成る液晶組成物;および
c)マイクロカップ内に液晶組成物を封入するための封止層であって、その場で硬化した封止層
を含んで成る液晶ディスプレイ。
【請求項14】
マイクロカップの内面がテクスチャ形成されている、請求項13に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項15】
マイクロカップの内面に形成された配向またはアンカー層を更に含んで成る、請求項13に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項16】
前記液晶組成物が、ポリマーネットワークを更に含んで成る、請求項13に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項17】
前記封止層が配向またはアンカー層として機能する、請求項13に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項18】
封止層が、液晶組成物または前駆体組成物中で5%未満の溶解度を有する封止組成物から形成される、請求項13に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項19】
a)仕切壁および上方開口部を含んで成るマイクロカップを形成すること;
b)液晶およびポリマー前駆体を含んで成る前駆体組成物をマイクロカップに充填すること;
c)充填したマイクロカップを封止するように封止層をその場で硬化させること
を含んで成る液晶ディスプレイの製造方法。
【請求項20】
封止層の硬化前に、前駆体組成物を硬化させる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
封止層の硬化後に、前駆体組成物を硬化させる、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
封止層を硬化させているときに、前駆体組成物を硬化させる、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
a)仕切壁および上方開口部を含んで成るマイクロカップを形成すること;
b)液晶およびキラル物質を含んで成る前駆体組成物をマイクロカップに充填すること;
c)充填したマイクロカップを封止するように封止層をその場で硬化させること
を含んで成る液晶ディスプレイの製造方法。
【請求項24】
a)マイクロカップのアレイであって、該マイクロカップの各々が、
(i)仕切壁;
(ii)該マイクロカップ内にてマイクロカップの側面および底面にコートされた第1導電性層;
(iii)マイクロカップ内に充填された液晶組成物;および
(iv)液晶組成物の比重より小さい比重を有する封止組成物から形成されたポリマー封止層
を含んで成るアレイ、および
b)充填および封止されたマイクロカップのアレイ上に配置された第2導電性層
を含んで成るディスプレイデバイス。
【請求項25】
前記液晶組成物が、液晶およびポリマーマトリクスまたは3次元ポリマーネットワークを含んで成る、請求項24に記載のディスプレイデバイス。
【請求項26】
前記液晶組成物が、液晶およびキラル物質を含んで成る、請求項24に記載のディスプレイデバイス。
【請求項27】
医療用または美容用の薬剤を、対象の皮膚を通じて送達する経皮デリバリーシステムであって、
a)仕切壁および上方開口部を含んで成る1つまたはそれより多くのマイクロカップ;
b)マイクロカップに充填された液体組成物であって、医療用または美容用の薬剤を含んで成る液体組成物;および
c)マイクロカップ内に液体組成物を封入するための封止層であって、その場で硬化した封止層
を含んで成る経皮デリバリーシステム。
【請求項28】
液体組成物中の前記医療用または美容用の薬剤が、封止層および皮膚接触接着剤層を通って拡散可能である、請求項27に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項29】
リリース層を更に含んで成る、請求項28に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項30】
前記マイクロカップが、異なる医療用または美容用の薬剤を含んで成る液体組成物で充填されている、請求項27に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項31】
前記医療用または美容用の薬剤は、液体組成物の総重量基準で、約0.01〜約40重量%の量である、請求項27に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項32】
前記医療用または美容用の薬剤は、液体組成物の総重量基準で、約1.0〜約20重量%の量である、請求項31に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項33】
前記液体組成物が補形剤を更に含んで成る、請求項27に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項34】
前記補形剤が、溶媒、共溶媒、可溶化剤、溶媒改質剤、透過促進剤、防腐剤、または緩衝剤である、請求項33に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項35】
前記溶媒が、炭素数2〜6のアルコールである、請求項34に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項36】
前記封止層が連続または微孔性のフィルムである、請求項27に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項37】
前記連続フィルムがエチレン−ビニルアセテートコポリマーを含んで成る組成物から形成される、請求項36に記載の経皮デリバリーシステム。
【請求項38】
前記封止層が、液体組成物中で10%未満の溶解度を有する封止組成物から形成される、請求項35に記載の経皮デリバリーシステム。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a1−3a2】
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【図3b1−3b2】
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【図3c1−3c2】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図7g】
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【図7h】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−544060(P2009−544060A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520900(P2009−520900)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/073269
【国際公開番号】WO2008/011313
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(500327016)シピックス・イメージング・インコーポレーテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】SiPix Imaging,Inc
【住所又は居所原語表記】1075 Montague Expressway,Milpitas,California95035,United States of America
【Fターム(参考)】