説明

液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置

【課題】液滴の飛翔曲がりを抑制して、被噴射媒体への着弾位置精度を向上した液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口56と、該ノズル開口56に連通する流路52内に圧力変化を生じさせて、前記ノズル開口56から液体を噴射させる圧力発生手段と、を具備し、前記ノズル開口56の中心から液体噴射面よりも突出した針部材100を有し、該針部材100の外周には螺旋状の凸部103が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド、インクジェット式記録ヘッドユニット及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドでは、印刷物の高品位・高精細化のために、インクジェット式記録ヘッドのノズル開口から吐出されるインク滴の被噴射媒体への着弾精度の向上が求められる。
【0003】
インク滴の着弾精度の向上には、インク滴の飛翔曲がりの抑制が課題となるが、飛翔曲がりの主要因の一つとして考えられるものが、インク滴がノズル開口から吐出されて液面から分離する際に、液面からインク滴の末端まで伸びる柱状の尾部の挙動である。
【0004】
具体的には、インク滴が液面から分離する際の尾部がノズル開口の壁面等に接触することにより、吐出方向に直交する方向の力が分離するインク滴に働き、インク滴の吐出方向に影響を与えると考えられる。
【0005】
ここで、ノズル開口に連通する流路内の中心に棒状のガイド部材を設け、ガイド部材によってインク滴が導かれることで、インク滴の飛翔曲がりを抑制するようにした記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0006】
また、ノズル開口の内壁面に螺旋状の凹凸を設け、吐出されるインクに螺旋流を発生させることで、インクに回転力を有する渦流を生じさせて飛翔曲がりを抑制するようにした記録ヘッドが提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−222970号公報
【特許文献2】特許第2650944号公報
【特許文献3】特開昭58−199160号公報
【特許文献4】特開2006−224508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2のように、ノズル開口に連通する流路内にガイド部材を設けただけでは、インク滴の高速度吐出や、インクの物性によっては、インク滴が液面から分離する位置が、インク滴の噴射方向にシフトし、ガイド部材が分離されるインク滴のガイドとして機能せずに、飛翔曲がりを抑制することができないという問題がある。
【0009】
また、特許文献3及び4のように、インクに渦流を形成させるノズル開口の内壁面の凹凸は、実際のインク流動においては、吐出方向への抵抗成分としての効果が主となり、インク滴を分離させるモーメントを与える効果は小さいことから、インク滴の飛翔曲がりを抑制することができないという問題がある。
【0010】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑み、液滴の飛翔曲がりを抑制して、被噴射媒体への着弾位置精度を向上した液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口と、該ノズル開口に連通する流路内に圧力変化を生じさせて、前記ノズル開口から液体を噴射させる圧力発生手段と、を具備し、前記ノズル開口の中心から液体噴射面よりも突出した針部材を有し、該針部材の外周には螺旋状の凸部が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
【0013】
かかる態様では、針部材の螺旋状の凸部によって、ノズル開口の液体のメニスカスに回転力を与えることができると共に、液滴が吐出しようとする回転と、メニスカスが引き込まれる際の回転とを反対方向にすることができるため、回転力によって液滴をメニスカスから分離することができる。また、ノズル開口の液滴の吐出方向に突出した位置で液滴を分離することができるため、ノズル開口の内壁面や縁部等の影響を抑制して、尾部の位置や大きさの制御を行うことができ、液滴の飛翔曲がりを抑制することができる。
【0014】
ここで、前記針部材は、前記流路の内壁の前記ノズル開口に相対向する領域に設けられた円錐形状の台座と、該台座の先端に固定された針部と、を具備し、該針部の外周に螺旋状の前記凸部が設けられていることが好ましい。これによれば、台座の先端に針部を容易に且つ確実に形成することができる。
【0015】
また、前記圧力発生手段が、前記流路の隔壁を画成する振動板を変位させるものであると共に、前記針部材が、前記振動板が延設されて当該振動板の変位しない領域に設けられていることが好ましい。これによれば、針部材が圧力発生手段の駆動によって移動されることがなく、飛翔曲がりを抑制することができる。
【0016】
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを複数具備することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットにある。
かかる態様では、飛翔曲がりを抑制して印刷品質を向上した液体噴射ヘッドユニットを実現できる。
【0017】
また、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、飛翔曲がりを抑制して印刷品質を向上した液体噴射装置を実現できる。
【0018】
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドユニットを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、飛翔曲がりを抑制して印刷品質を向上した液体噴射装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの動作を示す要部拡大断面図である。
【図4】一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1(a)は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの圧力発生室の長手方向の断面図であり、図1(b)は、インクジェット式記録ヘッドの圧力発生室の短手方向の要部断面図であり、図2は、図1(a)の要部を拡大した断面図である。
【0021】
図1に示すように、流路形成基板50はシリコン単結晶基板からなり、その一方面側の表層部分には、複数の隔壁51によって画成された圧力発生室52がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、各圧力発生室52の長手方向一端部側には、各圧力発生室52に液体の一例であるインクを供給するためのリザーバー53が液体供給路の一例であるインク供給路54を介して連通されている。また、流路形成基板50の圧力発生室52の開口面側は振動板55で封止され、他方面側にはノズル開口56が穿設されたノズル形成部材の一例であるノズルプレート57が接着剤や熱溶着フィルムを介して接着されている。
【0022】
流路形成基板50上に形成された振動板55は、例えば、樹脂フィルム等の弾性部材からなる弾性膜55aと、この弾性膜55aを支持する、例えば、金属材料等からなる支持板55bとの複合板で形成されており、弾性膜55a側が流路形成基板50に接合されている。例えば、本実施形態では、弾性膜55aは、厚さが数μm程度のPPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムからなり、支持板55bは、厚さが数十μm程度のステンレス鋼板(SUS)からなる。また、振動板55の各圧力発生室52に対向する領域内には、圧電素子11の先端部が当接するアイランド部59が設けられている。すなわち、振動板55の各圧力発生室52の周縁部に対向する領域に他の領域よりも厚さの薄い薄肉部60が形成されて、この薄肉部60の内側にそれぞれアイランド部59が設けられている。また、本実施形態では、振動板55のリザーバー53に対向する領域に、薄肉部60と同様に、支持板55bがエッチングにより除去されて実質的に弾性膜55aのみで構成されるコンプライアンス部61が設けられている。なお、このコンプライアンス部61は、リザーバー53内の圧力変化が生じた時に、このコンプライアンス部61の弾性膜55aが変形することによって圧力変化を吸収し、リザーバー53内の圧力を常に一定に保持する役割を果たす。また、本実施形態では、ノズル開口56に相対向する領域の振動板55は、薄肉部60となっておらず、支持板55bが設けられている。
【0023】
そして、振動板55のノズル開口56に相対向する領域には、針部材100が設けられている。
【0024】
図2に示すように、針部材100は、振動板55のノズル開口56に相対向する領域に固定された円錐状のベース部101と、ベース部101の先端に固定されてノズル開口56の中心から液体噴射面よりも突出して設けられた針部102と、を具備する。
【0025】
ベース部101は、例えば、金属や樹脂等の材料からなり、各ノズル開口56の中心にその先端が位置するように底面が振動板55の弾性膜55aに固定されている。このようなベース部101は、ノズル開口56の配置に対応して設ける必要があるため、ベース部101は、例えば、ノズルプレート57を用いて形成することができる。ベース部101のノズルプレート57を用いた形成方法としては、例えば、ノズルプレート57のノズル開口56内に光硬化樹脂を充填し、光硬化樹脂にノズル開口56の斜め方向から光を照射することで、円錐形状のベース部101を形成することができる。このように形成したベース部101をノズル開口56から取り出す前に、シート状の弾性膜55aに接着すれば、針部材100をノズル開口56と同じ間隔で弾性膜55a上に配置することができる。
【0026】
また、針部102は、ベース部101の先端に固定されて、ノズル開口56の略中心を通り、先端が液体噴射面(ノズル開口56が開口するノズルプレート57の表面)から液体噴射方向に突出して設けられている。このような針部102の外周には、螺旋状の凸部103が形成されることで、螺旋状の凹凸が設けられている。このような針部102としては、例えば繊維状の材料(例えば、炭素繊維)を複数本束ねることで形成してもよく、また、複数本の線状部材を寄り合わせることで形成してもよい。また、針部102は、光学活性基を持つ分子の自己集積体によって形成することもできる。本実施形態では、針部102を、特開平9−143193号公報に記載のねじれ構造をもつ極細繊維状構造体で形成するようにした。ちなみに、このようなねじれ構造をもつ極細繊維状構造体は、円錐形状を有するベース部101の先端に結晶成長により容易に形成することができる。
【0027】
このように、ベース部101と針部102とで構成された針部材100は、振動板55の支持板55bによって支持されるため、圧電素子11の駆動時に移動することがない。
【0028】
一方、振動板55上には、図示しない複数の液体貯留体の一例であるインクカートリッジに接続される液体供給路の一例であるインク供給路を有するヘッドケース58が固定されており、且つこのヘッドケース58には、圧電素子ユニット10が高精度に位置決めされて固定されている。すなわち、ヘッドケース58は、貫通した収容部58aが設けられており、この収容部58aの一方の内面に圧電素子ユニット10が、各圧電素子11の先端が振動板55上の各圧力発生室52に対応する領域に設けられた各アイランド部59に当接されて固定されている。
【0029】
ここで、圧電素子ユニット10は、複数の圧電素子11がその幅方向に一体的に形成された圧電素子形成部材13と、圧電素子形成部材13の先端部(一端部)側が自由端となるようにその基端部(他端部)側が固定端として接合される固定板14とを有する。
【0030】
圧電素子形成部材13は、圧電材料15と、圧電素子11の2つの極を構成する電極形成材料16、17とを縦に交互に挟んで積層することにより形成されている。
【0031】
この圧電素子形成部材13には、例えば、ワイヤソー等によって複数のスリット18が形成され、その先端部側が櫛歯状に切り分けられることで、複数の圧電素子11が並設されている。このような、圧電素子11は、固定板14に接合される領域が振動に寄与しない不活性領域となっており、圧電素子11を構成する電極形成材料16、17間に電圧を印加すると、固定板14に接合されていない先端部側の領域のみが振動する。
【0032】
このような圧電素子ユニット10は、図1に示すように、固定板14の圧電素子形成部材13が固定された面とは反対側の面がヘッドケース58の収容部58aに固定されて、圧電素子11の自由端である先端部が、振動板55のアイランド部59に固定される。
【0033】
また、ヘッドケース58上には、回路基板30の各配線31がそれぞれ接続される複数の導電パッド32が設けられた配線基板33が固定されており、ヘッドケース58の収容部58aは、この配線基板33によって実質的に塞がれている。配線基板33には、ヘッドケース58の収容部58aに対向する領域にスリット状の開口部34が形成されており、回路基板30はこの配線基板33の開口部34から収容部58aの外側に折り曲げられて引き出されている。
【0034】
ここで、圧電素子ユニット10を構成する回路基板30は、例えば、本実施形態では、圧電素子11を駆動するための駆動IC(図示なし)が搭載されたチップオンフィルム(COF)からなる。そして、回路基板30の各配線31は、その基端部側では、例えば、半田、異方性導電材等によって圧電素子11を構成する電極形成材料16,17に電気的に接続されている。一方、先端部側では、各配線31は配線基板33の各導電パッド32に接合されている。具体的には、配線基板33の開口部34から収容部58aの外側に引き出された回路基板30の先端部が配線基板33の表面に沿って折り曲げられた状態で、各配線31は配線基板33の各導電パッド32に接合されている。
【0035】
このようなインクジェット式記録ヘッドIでは、インク滴を吐出する際に、圧電素子11及び振動板55の変形によって各圧力発生室52の容積を変化させて所定のノズル開口56からインク滴を吐出させるようになっている。具体的には、図示しないインクカートリッジからリザーバー53にインクが供給されると、インク供給路54を介して各圧力発生室52にインクが分配される。実際には、圧電素子11に電圧を印加することにより圧電素子11を収縮させる。これにより、振動板55が圧電素子11と共に変形されて圧力発生室52の容積が広げられ、圧力発生室52内にインクが引き込まれる。そして、ノズル開口56に至るまで内部にインクを満たした後、配線基板33を介して供給される記録信号に従い、圧電素子11の電極形成材料16,17に印加していた電圧を解除する。これにより、圧電素子11が伸張されて元の状態に戻ると共に振動板55も変位して元の状態に戻る。結果として圧力発生室52の容積が収縮して圧力発生室52内の圧力が高まりノズル開口56からインク滴が吐出される。
【0036】
ここで、ノズル開口のメニスカスの動きについてさらに詳細に図3を参照して説明する。なお、図3は、インクジェット式記録ヘッドの動作を示す要部拡大断面図である。
【0037】
図3(a)に示すように、圧電素子11の駆動によって圧力発生室52の容積を減少させると、ノズル開口56のインクのメニスカスPが、針部材100にガイドされて柱状に盛り上がる。このとき、針部材100の外周面には、螺旋状の凸部103が設けられているため、インク(メニスカスP)は例えば、図中下から見て反時計回りの渦流が発生する。
【0038】
そして、図3(b)に示すように、圧力発生室52の容積を増大させることで、ノズル開口56のメニスカスPを圧力発生室52側に引き込む。このとき、柱状に成長したインクの先端Pは、その慣性力によって吐出する方向に移動し、図中下から見て反時計回りに回転する。これに対して、メニスカスPは、圧力発生室52側に引き込まれると、針部材100の螺旋状の凸部103によって図中下から見て時計回りの渦流が発生する。すなわち、柱状に成長したインクの先端Pと、インクのメニスカスP(液面)とには互いに反対回りの渦流が発生することになり、柱状に成長したインクの先端Pがせん断されて、インク滴として吐出される。
【0039】
このように、ノズル開口56に、外周に螺旋状の凸部103が形成された針部材100を液体噴射面から突出させて設けることで、インク滴を吐出した際の液面との分離をせん断応力によって確実に行うことができる。このように、インク滴のせん断を回転によって行うと共に、針部材100は、液体噴射面から突出して設けられているため、インク滴のせん断をノズル開口56から突出した位置で行うことで、ノズル開口56の内壁面や縁部による影響を低減することができる。したがって、インク滴の分離挙動や位置を効果的に制御することができる。
【0040】
また、ノズル開口56内において最もインクの変位が大きなノズル開口56の中心に、外周面に螺旋状の凸部103が設けられた針部材100を設けることで、インクに対して回転力をより効果的に付与することができる。
【0041】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態1について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0042】
例えば、上述した実施形態1では、針部材100に螺旋状の凹凸を凸部103によって設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、溝状の凹部によって螺旋状の凹凸を形成してもよい。
【0043】
また、上述した実施形態1では、流路(圧力発生室)に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、圧電材料15と電極形成材料16,17とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子11を例示したが、圧力発生手段は、特にこれに限定されるものではなく、圧電材料15と電極形成材料16、17とを交互に積層させて積層方向の一端部をアイランド部59に当接させる横振動型の圧電素子を用いるようにしてもよい。
【0044】
また、圧力発生手段としては、例えば、下電極、圧電材料からなる圧電体層及び上電極を成膜及びリソグラフィー法によって形成した薄膜型の圧電素子を用いてもよく、また、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電素子を使用することもできる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるものなども使用することができる。
【0045】
なお、上述した実施形態1のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図4は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0046】
図4に示すように、インクジェット式記録装置IIは、それぞれインクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bを具備する。記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0047】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0048】
また、上述したインクジェット式記録装置IIでは、インクジェット式記録ヘッドI(ヘッドユニット1A、1B)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッドIが固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
【0049】
また、上述した例では、インクジェット式記録ヘッドIをそれぞれ有するヘッドユニット1A、1Bをインクジェット式記録装置に搭載するようにしたが、各ヘッドユニット1A、1Bには、それぞれ複数のインクジェット式記録ヘッドIが搭載されていてもよく、また、単数又は複数のインクジェット式記録ヘッドIが直接インクジェット式記録装置IIに搭載されていてもよい。
【0050】
なお、上述した実施形態1においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
【符号の説明】
【0051】
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 圧電素子ユニット、 11 圧電素子、 13 圧電素子形成部材、 14 固定板、 16、17 電極形成材料、 18 スリット、 30 回路基板、 31 配線、 32 導電パッド、 33 配線基板、 50 流路形成基板、 52 圧力発生室、 55 振動板、 56 ノズル開口、 58 ヘッドケース、 59 アイランド部、 60 薄肉部、 61 コンプライアンス部、 100 針部材、 101 ベース部、 102 針部、 103 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズル開口と、該ノズル開口に連通する流路内に圧力変化を生じさせて、前記ノズル開口から液体を噴射させる圧力発生手段と、を具備し、
前記ノズル開口の中心から液体噴射面よりも突出した針部材を有し、該針部材の外周には螺旋状の凸部が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記針部材は、前記流路の内壁の前記ノズル開口に相対向する領域に設けられた円錐形状の台座と、該台座の先端に固定された針部と、を具備し、該針部の外周に螺旋状の前記凸部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記圧力発生手段が、前記流路の隔壁を画成する振動板を変位させるものであると共に、前記針部材が、前記振動板が延設されて当該振動板の変位しない領域に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを複数具備することを特徴とする液体噴射ヘッドユニット。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項4記載の液体噴射ヘッドユニットを具備することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−178133(P2011−178133A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47074(P2010−47074)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】