説明

液体噴射ヘッドユニットの製造方法

【課題】各液体噴射ヘッドのノズル面を同一面に配置して液体吐出特性を向上することができる液体噴射ヘッドユニットの製造方法を提供する。
【解決手段】凹部71が設けられた治具70であって、載置面73から凹部71の底面75までの距離が所定長に形成されたものを用いて、凹部71の底面75にノズル面15を当接させると共に、載置面73にサブプレート30を載置し、ヘッド10とサブプレート30との間に配設した樹脂60の厚さを調整してノズル面15とサブプレート30の取付面33との距離を所定長に調整し、樹脂60を硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する複数の液体噴射ヘッドを備える液体噴射ヘッドユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式プリンターやプロッター等のインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置は、カートリッジやタンク等に貯留されたインクなどの液体を液滴として噴射可能な液体噴射ヘッドが複数設けられた液体噴射ヘッドユニット(以下、ヘッドユニットとも言う)を具備する。
【0003】
複数の液体噴射ヘッドは、共通の保持部材であるベースプレートに載置されており、複数の液体噴射ヘッドの配置は、各液体噴射ヘッドのノズル開口が並設されたノズル列が並設方向に連続するように行われる。
【0004】
各液体噴射ヘッドは、ノズル列同士の相対的な位置が高精度に位置決めされた上でベースプレートに取り付けられている。このような位置決めは、例えば、ベースプレートに、液体噴射ヘッドを所定の位置に配置するための基準を設け、ベースプレートの基準に液体噴射ヘッドを位置決めすることにより行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−030297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ノズル列が設けられたノズル面と、液体噴射ヘッドがベースプレートに載置される載置面との距離が液体噴射ヘッドごとに異なる場合や、ノズル面と載置面とが平行でない場合においては、ベースプレートに取り付けられた各液体噴射ヘッドのノズル面が同一面に配置されない虞がある。ノズル面が同一面に配置されていないと、各ノズル開口と被噴射媒体との距離にバラツキが生じ、印刷品質に影響を及ぼすという問題がある。
【0007】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドユニットだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドユニットにおいても同様に存在する。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、各液体噴射ヘッドのノズル面を同一面に配置して液体吐出特性を向上することができる液体噴射ヘッドユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を吐出するノズル開口を有する液体噴射ヘッドと、複数の前記液体噴射ヘッドがサブプレートを介して搭載されたベースプレートとを備える液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、前記液体噴射ヘッドと前記サブプレートとを樹脂で接合し、前記液体噴射ヘッドの前記ノズル開口が設けられたノズル面から、前記サブプレートの前記ベースプレートに取り付けられる取付面までの距離が所定長となるように前記樹脂の厚さを調整して当該樹脂を硬化させ、前記各液体噴射ヘッドを前記サブプレートを介して前記ベースプレートに固定することを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法にある。
【0010】
かかる態様では、各ヘッドのノズル面が同一面に配置されるので、ノズル面から被噴射媒体までの距離が均等になり、印刷品質が向上する。
【0011】
ここで、前記ベースプレートには、前記液体噴射ヘッド毎に当該液体噴射ヘッドが位置決めされる第1の基準が設けられ、前記サブプレートには、前記第1の基準に位置合わせされる第2の基準が設けられ、前記ノズル開口と前記第2の基準との相対位置が所定の配置となるように前記液体噴射ヘッドに前記サブプレートを前記樹脂で固定することが好ましい。これによれば、各ヘッドのノズル開口同士の相対的な位置を高精度に規定することができ、印刷品質を向上することができる。
【0012】
また、凹部が設けられた治具であって、当該治具の凹部以外の領域における前記サブプレートが載置される載置面から前記凹部の底面までの距離が所定長に形成されたものを用いて、前記凹部の底面に前記ノズル面を当接させると共に、前記載置面に前記サブプレートを載置し、前記ヘッドと前記サブプレートとの間に配設した樹脂の厚さを調整して前記ノズル面と前記取付面との距離を所定長に調整し、前記樹脂を硬化させることが好ましい。これによれば、治具を用いて、容易にノズル面と取付面との距離を所定長に調整することができる。
【0013】
また、前記治具及び前記サブプレートは、ガラスからなり、前記樹脂は、UV硬化型樹脂であり、前記治具及び前記サブプレートを透過するUVで前記UV硬化型樹脂を硬化させることが好ましい。これによれば、サブプレート及びヘッドを治具で保持しながら樹脂を硬化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係るヘッドユニットの概略斜視図である。
【図2】実施形態1に係るヘッドの概略斜視図である。
【図3】実施形態1に係るヘッドユニットの要部を示す平面図である。
【図4】実施形態1に係るヘッドユニットの要部を示す断面図である。
【図5】実施形態1に係るヘッドユニットの要部を示す断面図である。
【図6】治具の平面図及び断面図である。
【図7】実施形態1に係るヘッドユニットの製法を示す平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
〈実施形態1〉
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドユニットの一例であるインクジェット式記録ヘッドユニットの概略斜視図であり、図2は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略斜視図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドユニット1(以下、ヘッドユニットとも言う)は、複数のインクジェット式記録ヘッド10(以下、ヘッドとも言う)が載置されたベースプレート20を具備する。
【0017】
図2に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド10(以下、ヘッドとも言う)は、一端面にノズル開口11が設けられたヘッド本体12と、ヘッド本体12のノズル開口11とは反対側の面に固定された流路部材13とを具備する。
【0018】
ヘッド本体12は、ノズル開口11が並設されたノズル列14を具備する。このノズル列14が設けられたヘッド10の一端面をノズル面15という。ノズル列14の数は、特に限定されず、例えば、1列であってもよく、2列以上の複数列であってもよい。本実施形態では、1つのヘッド本体12にノズル列14を2列設けるようにした。ここで、本実施形態では、ノズル列14においてノズル開口11が並設された方向を第1の方向とし、第1の方向に交差する方向を第2の方向としている。したがって、2列のノズル列14は、第2の方向に並設されている。
【0019】
なお、ヘッド本体12の内部には、図示していないが、ノズル開口11に連通する流路の一部を構成する圧力発生室と、圧力発生室に圧力変化を生じさせてノズル開口からインクを吐出させる圧力発生手段とが設けられている。
【0020】
圧力発生手段は、特に限定されないが、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を2つの電極で挟んだ圧電素子を用いたものや、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口11から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口11から液滴を吐出させるものなどを用いることができる。また、圧電素子としては、圧力発生室側から下電極、圧電材料及び上電極を積層して撓み変形させる撓み振動型の圧電素子や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子などを用いることができる。
【0021】
流路部材13は、ヘッド本体12のノズル開口11とは反対側の面に固定されて、外部からのインクをヘッド本体12に供給又はヘッド本体12から外部にインクを排出するものである。流路部材13のヘッド本体12に固定された面とは反対側の面には、内部の流路が開口して外部の流路が接続される液体流路口(図示せず)と、外部からの印刷信号等の電気信号が供給されるコネクタ(図示せず)とが設けられている。
【0022】
ヘッド10の第1の方向の両側面には、外側に突出するフランジ部17が設けられ、フランジ部17のノズル列14側の面には、サブプレート30が設けられている。
【0023】
サブプレート30は、平板状のガラスから形成され、一方面が樹脂60によりヘッド10のフランジ部17に接合され、他方面(ベースプレート20に取り付けられる面。以下、取付面33と称する。)がベースプレート20に載置される。
【0024】
また、サブプレート30には、固定ネジ51(図5参照)が挿通する挿通孔32と、第2の基準の一例である第2の基準孔31とが形成されている。第2の基準孔31は、ノズル列14を基準とする所定位置に設けられている。このノズル列14を基準とする所定位置とは、ヘッド10をノズル列14側から見た平面視において、ノズル列14から第1の方向及び第2の方向に所定距離だけ離れた位置をいう。
【0025】
第2の基準孔31は、詳細は後述するが、ベースプレート20に設けられた第1の基準孔21と共に位置決めピン50(図5参照)が挿通されることで、第1の基準孔21に位置決めされる。
【0026】
図3は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドユニットの流路部材側の平面図であり、図4は、図3のA−A′線断面図であり、図5は図3のB−B′線断面図である。
【0027】
図3及び図4を用いて、ベースプレート20について説明する。図示するようにベースプレート20には、一つのヘッド10につき一つの保持孔22が設けられている。ベースプレート20の保持孔22は、ヘッド10のノズル列14側の外周よりも若干大きく、且つフランジ部17よりも小さな開口で設けられている。このため、保持孔22にヘッド10を挿入すると、ヘッド10のフランジ部17に設けられたサブプレート30がベースプレート20に保持されるようになっている。また、ヘッド10と保持孔22との間には空隙が生ずるので、ヘッド10がベースプレート20に対して第1の方向及び第2の方向に若干移動可能になっている。
【0028】
また、ベースプレート20には、一つのヘッド10につき二つの第1の基準孔21(第1の基準)が所定位置に形成されている。第1の基準孔21は、第2の基準孔31と共に位置決めピン50が挿通される。
【0029】
ここで第1の基準孔21が所定位置に形成されているとは、第1の基準孔21に第2の基準孔31が位置決めされた際に、複数のヘッド10の相対位置が所定の配置となるように第1の基準孔21がベースプレート20に形成されていることをいう。すなわち、第1の基準孔21を所定位置に形成すれば、第2の基準孔31を第1の基準孔21に位置決めすると、ヘッド10がベースプレート20上に所定の配置で取り付けられることになる。このとき、前記したように第2の基準孔31はノズル列14を基準に形成されているから、ノズル列14もヘッド10の相対的な位置を保ったまま、配列されることとなる。
【0030】
本実施形態では、各ヘッド10の所定位置として、次のように配設した。すなわち、図1に示すように、ヘッド10のノズル列14(図2参照)におけるノズル開口11の並設方向である第1の方向に複数のヘッド10を配置することで、ヘッド群110を構成し、このヘッド群110を第2の方向に4つ並設するようにした。すなわち、ヘッド10は、第1の方向及び第2の方向に沿って複数配置されている。
【0031】
詳言すると、複数のヘッド10は、ノズル列14が第1の方向に連続するように第1の方向に沿って千鳥状に配置されている。そして、第1の方向にノズル列14が連続するように配置された複数のヘッド10からなるヘッド群110が、第2の方向に2つ並設されている。
【0032】
ここで、各ヘッド群110のノズル列14が、第1の方向に連続するとは、各ヘッド群110の第2の方向で互いに隣接するヘッド10において、一方のヘッド10のノズル列14の端部のノズル開口11と、他方のヘッド10のノズル列14の端部のノズル開口11とが、第1の方向で同一位置となるように配置されていることを言う。
【0033】
このように、各ヘッド群110において、複数のヘッド10のノズル列14が第1の方向で連続するように配置されることで、1つのヘッド10のノズル列14で印刷を行う場合に比べて、広範囲な印刷を高速で行わせることができる。
【0034】
図3及び図5を用いて、ベースプレート20に搭載されたヘッドについて説明する。図示するように、保持孔22には、ヘッド10のノズル面15側が挿入されており、フランジ部17に設けられたサブプレート30がベースプレート20に保持されている。
【0035】
また、第2の基準孔31及び第1の基準孔21には位置決めピン50が挿通されている。位置決めピン50は、第1の基準孔21・第2の基準孔31の内面に当接し、サブプレート30が第1の方向・第2の方向に移動することを規制している。これにより、各ヘッド10の相対位置が所定の配置となってベースプレート20に取り付けられている。また、固定ネジ51が挿通孔32を挿通し、雌ネジ29に螺合している。これにより、サブプレート30がベースプレート20に固定されている。なお、サブプレート30がベースプレート20に位置決めされた状態で固定ネジ51により固定されていれば位置決めピン50は取り外されていてもよい。
【0036】
さらに、各サブプレート30は、各ヘッド10のフランジ部17に樹脂60で接合されている。樹脂60は、特に限定されないが、本実施形態ではUV硬化型樹脂からなり、サブプレート30の取付面33とノズル面15との距離が所定長(長さL)になり、かつ取付面33とノズル面15とが平行となるように厚さが調整されている。取付面33とノズル面15との距離は、第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向における距離をいう。
【0037】
距離Lは、全ヘッド10に共通の所定長としてあるので、各ヘッド10のノズル面15は、ベースプレート20のサブプレート30が配置された面に平行な同一平面に位置している。
【0038】
このように、ノズル面15が同一面に配置されるので、各ノズル開口11と被噴射媒体との距離が均等になり、印刷品質を向上することができる。
【0039】
ここで、上述したヘッドユニット1の製造方法について説明する。図6(a)は、各ヘッドを製造する際に用いる治具の平面図であり、図6(b)は、図6(a)のA−A線断面図である。
【0040】
同図に示すように、治具70は、ガラスからなり、ヘッド10のヘッド本体12が収納される凹部71が設けられている。凹部71に収納されるヘッド本体12が凹部71の側面に規制されることで第1の方向及び第2の方向に移動しないように、凹部71は形成されている。
【0041】
治具70は、凹部71以外の領域にサブプレート30が載置される載置面73を有しており、載置面73には、サブプレート30を所定位置に配置するための位置決め部74a、74bの一組が計二組設けられている。
【0042】
位置決め部74a、74bは、平面視において略L字型に形成され、載置面73に載置されるサブプレート30の位置を規定する。具体的には、位置決め部74a、74bに位置決めされたサブプレート30の第2の基準孔31が、凹部71に収納されたヘッド本体12のノズル開口11に対して所定の位置となるように位置決め部74a、74bが配置されている。
【0043】
さらに、載置面73は、凹部71の底面75との第3の方向における距離が所定長(長さL)となっており、かつ底面75と平行に形成されている。
【0044】
次に、治具70を用いてヘッド10を形成する方法を説明する。図7(a)及び(b)は、ヘッドユニットの製造方法を示す断面図であり、図7(c)は、ヘッドユニットの製造方法を示す平面図である。
【0045】
図7(a)に示すように、治具70の載置面73に、サブプレート30を載置し、位置決め部74a、74b(図6参照)により所定位置に配置する。具体的には、サブプレート30の角を各位置決め部74a、74bの角に合わせることにより行う。また、サブプレート30の取付面33とは反対側の面にUV硬化型の樹脂60を設ける。
【0046】
次に、図7(b)及び(c)に示すように、ヘッド10のヘッド本体12を治具70の凹部71に収納し、ノズル面15を底面75に当接させる。このとき、樹脂60は、フランジ部17により押圧されて厚さが調整されるので、ノズル面15と取付面33との距離は、載置面73と底面75との距離と等しくなり、ノズル面15と取付面33とは平行となる。
【0047】
このように、ヘッド10とサブプレート30との間に介在する樹脂60の厚さが調整されることで、サブプレート30やフランジ部17等の厚さのバラツキが吸収され、ノズル面15と取付面33との距離を所定長(長さL)にすることができ、また、ノズル面15と取付面33とを平行にすることができる。
【0048】
また、サブプレート30が治具70の位置決め部74a、74bに位置決めされるので、第2の基準孔31は、ノズル開口11に対して所定の位置に配置される。
【0049】
樹脂60の厚さの調整後は、治具70の凹部71とは反対側の面から樹脂60に向けてUVを照射し、樹脂60を硬化させる。本実施形態では、治具70及びサブプレート30は共にガラスから形成されているので、UVはこれらの治具70及びサブプレート30を透過することができる。これにより、治具70でヘッド10及びサブプレート30を保持しながら樹脂60を硬化させることができ、ヘッド10とサブプレート30とがずれて固定される虞を低減できる。
【0050】
その後、特に図示しないが、サブプレート30が樹脂60で取り付けられたヘッド10を、ベースプレート20に取り付ける。すなわち、各ヘッド10について、ベースプレート20の第1の基準孔21にサブプレート30の第2の基準孔31を合わせて位置決めピン50を挿通し、固定ネジ51でサブプレート30をベースプレート20に固定する。
【0051】
以上に説明したように、本実施形態に係るヘッドユニットの製造方法によれば、各ヘッド10は、ノズル面15と取付面33との距離が所定長となっているので、ベースプレート20に取り付けられた各ヘッド10のノズル面15は、ベースプレート20に平行な同一面に配置される。これにより、各ヘッド10のノズル面15と被噴射媒体との距離が均等になり、ノズル面15と被噴射媒体との距離にバラツキがあることによる印刷品質の低下を回避し、高品質な印刷を行うことができる。
【0052】
また、サブプレート30に第2の基準孔31を設けてベースプレート20の第1の基準孔21に位置決めを行うことができるようにしたため、これらの第1の基準孔21及び第2の基準孔31を介して、各ヘッド10のノズル列14同士の相対的な位置を高精度に規定することができ、印刷品質を向上することができる。
【0053】
さらに、各ヘッド10をベースプレート20の所定の位置に配置し、且つ各ヘッド10のノズル面15を同一面に配置することは、各ヘッド10を保持孔22に挿入したのち、第1の基準孔21と第2の基準孔31とに位置決めピン50を挿通するという簡易な作業で行える。このため、ヘッドユニット1を具備する液体噴射装置が実際に使用されている現場においては、特別な治具や装置を用いてノズル列14同士の相対位置やノズル面15の位置を微調整することなく、ヘッド10を個別に交換し、かつ印刷品質を維持することができる。
【0054】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0055】
上述した実施形態では、サブプレート30を治具70の位置決め部74a、74bに位置決めしたが、各ヘッド10のノズル面15を同一面に配置するためには必須の工程ではない。また、サブプレート30及び治具70は、ガラスから形成されていたが、これに限られない。例えば、金属や樹脂を成形したものであってもよい。
【0056】
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッドユニット全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッドユニット等の記録ヘッドユニット、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッドユニット、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッドユニット、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドユニット等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 インクジェット式記録ヘッドユニット(液体噴射ヘッドユニット)、 10 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 11 ノズル開口、 12 ヘッド本体、 13 流路部材、 14 ノズル列、 20 ベースプレート、 21 第1の基準孔、 30 サブプレート、 31 第2の基準孔、 50 位置決めピン、 60 樹脂、 70 治具、 71 凹部、 73 載置面、 75 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズル開口を有する液体噴射ヘッドと、複数の前記液体噴射ヘッドがサブプレートを介して搭載されたベースプレートとを備える液体噴射ヘッドユニットの製造方法であって、
前記液体噴射ヘッドと前記サブプレートとを樹脂で接合し、
前記液体噴射ヘッドの前記ノズル開口が設けられたノズル面から、前記サブプレートの前記ベースプレートに取り付けられる取付面までの距離が所定長となるように前記樹脂の厚さを調整して当該樹脂を硬化させ、
前記各液体噴射ヘッドを前記サブプレートを介して前記ベースプレートに固定する
ことを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載する液体噴射ヘッドユニットの製造方法において、
前記ベースプレートには、前記液体噴射ヘッド毎に当該液体噴射ヘッドが位置決めされる第1の基準が設けられ、
前記サブプレートには、前記第1の基準に位置合わせされる第2の基準が設けられ、
前記ノズル開口と前記第2の基準との相対位置が所定の配置となるように前記液体噴射ヘッドに前記サブプレートを前記樹脂で固定する
ことを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する液体噴射ヘッドユニットの製造方法において、
凹部が設けられた治具であって、当該治具の凹部以外の領域における前記サブプレートが載置される載置面から前記凹部の底面までの距離が所定長に形成されたものを用いて、
前記凹部の底面に前記ノズル面を当接させると共に、前記載置面に前記サブプレートを載置し、前記ヘッドと前記サブプレートとの間に配設した前記樹脂の厚さを調整して前記ノズル面と前記取付面との距離を所定長に調整し、前記樹脂を硬化させる
ことを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載する液体噴射ヘッドユニットの製造方法において、
前記治具及び前記サブプレートは、ガラスからなり、
前記樹脂は、UV硬化型樹脂であり、
前記治具及び前記サブプレートを透過するUVで前記UV硬化型樹脂を硬化させる
ことを特徴とする液体噴射ヘッドユニットの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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