液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
【課題】カバーヘッドの変形を防止してノズルプレートを確実に接地させることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクを吐出するノズル開口51が開口したノズルプレート50を備えるヘッド本体30と、ノズル開口51が露出する開口を有するカバー部71、及びカバー部71に連続して延設された脚部72から構成されたカバーヘッド70と、ヘッド本体30を保持するとともに、固定部92にカバーヘッド70の脚部72が固定される流路部材90とを具備し、カバー部71は、開口の縁部がノズルプレート50に接触し、脚部72は、基端部76から先端部77までの長さが、先端部77とヘッド本体30とを仮想的な直線で結んだ最短距離よりも長い。
【解決手段】インクを吐出するノズル開口51が開口したノズルプレート50を備えるヘッド本体30と、ノズル開口51が露出する開口を有するカバー部71、及びカバー部71に連続して延設された脚部72から構成されたカバーヘッド70と、ヘッド本体30を保持するとともに、固定部92にカバーヘッド70の脚部72が固定される流路部材90とを具備し、カバー部71は、開口の縁部がノズルプレート50に接触し、脚部72は、基端部76から先端部77までの長さが、先端部77とヘッド本体30とを仮想的な直線で結んだ最短距離よりも長い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドとしては、インクを吐出するノズル開口が開口する液体噴射面を有するノズルプレートと、該ノズルプレートを備えるヘッド本体と、ヘッド本体を保持する保持部材(流路部材など)と、ノズルプレートの液体噴射面側に固定されるカバーヘッドとを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなカバーヘッドは、開口を有する平板部と、平板部から延設された脚部を有している。平板部は、開口からノズルが露出するとともにノズルプレートに接触し、脚部は、保持部材に熱かしめなどにより固定されている。このような構成のカバーヘッドにより、ノズルプレートが保持部材に接地されるので、ノズルプレートに帯電することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−260338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カバーヘッドの脚部を保持部材に固定すると、脚部により平板部がノズルプレート側に引っ張られる力が作用する。このとき、平板部に生じる応力で平板部が変形する場合がある。平板部が変形するとノズルプレートに確実に接触させて接地させることができなくなり、ノズルプレートに帯電した静電気が影響して印刷品質が低下する虞がある。
【0006】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、カバーヘッドの変形を防止してノズルプレートを確実に接地させることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を吐出するノズル開口が開口した液体噴射面を有するノズルプレートを備えるヘッド本体と、前記ノズル開口が露出する開口を有するカバー部、及び前記カバー部に連続して延設された脚部から構成されたカバーヘッドと、前記ヘッド本体を保持するとともに、該ヘッド本体の前記液体噴射面よりも液体の吐出方向とは反対側に位置する固定部に前記カバーヘッドの脚部が固定される保持部材とを具備し、前記カバー部は、前記開口の縁部が前記ノズルプレートの前記液体噴射面に接触し、前記脚部は、前記カバー部との境界である基端部から前記固定部に固定された先端部までの長さが、前記先端部と前記ヘッド本体とを仮想的な直線で結んだ最短距離よりも長いことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、カバー部に係る応力を小さくすることができるので、カバー部の変形が抑制される。カバー部の変形が抑制されるので、カバー部をノズルプレートに良好に接触させることができる。
【0009】
ここで、前記脚部は、前記液体噴射面の平面視において屈曲していることが好ましい。これによれば、脚部を屈曲させて形成することで、液体噴射ヘッドを小さくすることができる。
【0010】
また、前記ノズルプレートは、矩形状に形成され、前記カバー部は、前記ノズルプレートの角部に接触し、前記脚部の基端部は、前記カバー部が前記ノズルプレートの角部に接触した接触部に連続して設けられていることが好ましい。これによれば、脚部がカバー部をノズルプレート側に引っ張る力が接触部に強く作用する。このように脚部を構成することで、ノズルプレートとカバー部との接触をより確実にすることができる。
【0011】
また、前記ノズル開口は、並設方向に複数並設され、前記脚部を、前記並設方向、又はこれに直交する交差方向の何れか一つの方向に射影させた幅が、前記カバー部の当該方向に射影した幅の範囲内となっていることが好ましい。これによれば、前記並設方向における脚部の幅は、カバー部を超えることがないので、液体噴射ヘッドをその分小型化することができる。
【0012】
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、カバーヘッドの変形を防止してノズルプレートを確実に接地させることができる液体噴射装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】液体噴射装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】記録ヘッドの概略構成を示す正面図である
【図3】記録ヘッドの概略構成を示す側面図である。
【図4】記録ヘッドの概略構成を示す底面図である。
【図5】図4のA−A’線断面図、B−B’線断面図、C−C’線断面図である。
【図6】ヘッド本体の分解斜視図である。
【図7】ヘッド本体の断面図である。
【図8】記録ヘッドの底面図である。
【図9】記録ヘッドの底面図である。
【図10】記録ヘッドの底面図である。
【図11】記録ヘッドの底面図である。
【図12】記録ヘッドモジュールの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈実施形態1〉
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。インクジェット式記録ヘッドは液体噴射ヘッドの一例であり、単に記録ヘッドとも言う。また、インクジェット式記録装置は液体噴射装置の一例である。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略斜視図である。インクジェット式記録装置10は、インク滴を吐出する記録ヘッド11がキャリッジ12に固定され、この記録ヘッド11には、インクが貯留された液体貯留手段の一例である2つのインクカートリッジ13がそれぞれ着脱可能に固定されている。
【0016】
記録ヘッド11が搭載されたキャリッジ12は、装置本体14に取り付けられたキャリッジ軸15に軸方向移動可能に設けられている。そして、駆動モーター16の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト17を介してキャリッジ12に伝達されることで、キャリッジ12はキャリッジ軸15に沿って移動される。一方、装置本体14にはキャリッジ軸15に沿ってプラテン18が設けられており、図示しない給紙装置等により給紙された紙等の被記録媒体である記録シートSがプラテン18上を搬送されるようになっている。
【0017】
また、キャリッジ12のホームポジションに対応する位置、すなわち、キャリッジ軸15の一方の端部近傍には、記録ヘッド11のノズル開口を封止するキャップ部材19を有するキャッピング装置20が設けられている。このキャップ部材19によってノズル開口を封止することにより、インクの乾燥を防止している。また、このキャップ部材19は、フラッシング動作時のインク受けとしても機能する。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る記録ヘッドの概略構成を示す正面図であり、図3は、本発明の実施形態に係る記録ヘッドの概略構成を示す側面図であり、図4は、本発明の実施形態に係る記録ヘッドの概略構成を示す底面図であり、図5は、図4のA−A′線断面図、B−B′線断面図、C−C′線断面図である。
【0019】
これらの図に示すように、記録ヘッド11は、ノズルプレート50を備えるヘッド本体30と、ヘッド本体30を保持する保持部材の一例である流路部材90と、カバーヘッド70とを具備している。
【0020】
流路部材90は、ヘッド本体30を保持する部材であり、例えば樹脂から形成されている。流路部材90の一方面には、インクカートリッジ13が接続されるインク供給針91が設けられている。また、特に図示しないが、流路部材90には、厚さ方向に貫通したインクの流路が設けられている。該流路の一端は、インク供給針91に連通し、他端は、ヘッド本体30のインク供給連通路に連通している。
【0021】
すなわち、流路部材90は、インクカートリッジ13のインクが、インク供給針91及びこれに連通した流路を介してヘッド本体30に供給されるように構成されている。
【0022】
ヘッド本体30は、インクを吐出するノズル開口51を有するノズルプレート50を備え、流路部材90から供給されたインクをノズル開口51から吐出させるものである。ヘッド本体30の詳細な構成は後述する。
【0023】
ノズルプレート50には、Y方向(図4参照。キャリッジ12の移動方向とは直行する方向)にノズル開口51が複数並設されている。Y方向に並設された一群のノズル開口51をノズル列51Aと称する。本実施形態では、X方向(キャリッジ12の移動方向)に、2列のノズル列51Aが設けられている。ノズルプレート50のノズル開口51が開口し、液滴が吐出される側の面を液体噴射面52と称する。
【0024】
このようなノズルプレート50としては、例えば、シリコン単結晶基板やステンレス鋼(SUS)等の金属基板などが挙げられる。
【0025】
カバーヘッド70は、ノズルプレート50に接触し、流路部材90に固定されたものであり、具体的には、カバー部71と脚部72とから構成されている。
【0026】
カバー部71はノズルプレート50よりも大きく、平板状に形成された部材であり、ノズル列51Aが露出する矩形状の開口部73を有している。開口部73の4つの隅には、内側に突出した接触部74が形成され、この接触部74がノズルプレート50の液体噴射面52の4つの角に接触している。また、カバー部71には、カバー部71に連続し、流路部材90側に屈曲した屈曲部75が設けられている。
【0027】
脚部72は、屈曲部75を介してカバー部21に連続して設けられている。脚部72と屈曲部75との境界部分を基端部76と称する。本実施形態では、脚部72は、4つ設けられている。各脚部72の基端部76は、ノズルプレート50の4つの角に対向するように、カバー部71の4つの角に連続して設けられている。なお、カバーヘッド70には屈曲部75を設けず、カバー部71に直接脚部72が連続して設けられていてもよい。
【0028】
各脚部72の基端部76との反対側の端部は、流路部材90の固定部92に固定されている。脚部72の固定部92に固定された部分を先端部77と称する。具体的には、脚部72は次のように固定部92に固定されている。
【0029】
まず、流路部材90のカバーヘッド70が取り付けられる側の面から突出した凸部92aに、脚部72の先端部77側に設けた挿通孔78を挿通させる。そして、その状態で、凸部92aの上部を熱かしめする。この熱かしめにより、凸部92aの上部が挿通孔78の径よりも大きく変形した変形部92bを形成することで、脚部72の先端部77が流路部材90に固定される。固定部92はこのような凸部92a及び変形部92bから構成されている。
【0030】
脚部72が固定される固定部92は、ノズルプレート50の液体噴射面52よりも、インクの吐出方向とは反対側に位置するように流路部材90に設けられている。したがって、脚部72の先端部77が流路部材90の固定部92で固定されると、カバー部71は、脚部72を介してノズルプレート50側に力が掛かった状態となる。これにより、カバー部71は、ノズルプレート50に接触した状態が維持されている。
【0031】
なお、特に図示しないが、カバーヘッド70は、ヘッド本体30自体がキャリッジ12に搭載された際に、装置本体14に導電部材等を介して導通するように構成されている。これにより、ノズルプレート50に帯電した静電気は、カバーヘッド70、ヘッド本体30を介して装置本体14に放電される。
【0032】
図4を用いて、脚部72の形状について詳細に説明する。記録ヘッド11に対する記録シートSの搬送方向(図1のキャリッジ12の移動方向)をX方向とし、X軸に直行する方向をY方向とする。図示するように、脚部72は、基端部76からX方向に向かって延設され、Y方向に屈曲して延設され、固定部92で先端部77が流路部材90に固定されている。
【0033】
この脚部72の基端部76から先端部77までに至る経路長を脚部72の長さL1とする。同図には、脚部72の長さL1を点線で示してある。一方、先端部77とヘッド本体30とを仮想的な直線で結んだ最短距離をL2とする。当該最短距離は、ノズルプレート50の平面視において、先端部77からヘッド本体30に向けた垂線である。
【0034】
脚部72は、上述したように、基端部76からX方向に延設され、そこからY方向に屈曲して延設されているため、脚部72の長さL1は、最短距離L2よりも長くなっている。
【0035】
ここで、カバー部71に屈曲部75を介して連続した脚部72が固定部92に固定されることで、カバー部71には、カバー部71を屈曲させる応力が作用する。この応力の大きさは、脚部72の長さに反比例する。すなわち、脚部72を長くすることで、カバー部71に掛かる応力を小さくすることができる。
【0036】
本発明では、脚部72の長さL1は、ヘッド本体30から直線的に最短距離L2よりも長く形成している。このため、本発明に係るカバー部71に係る応力は、ヘッド本体30から直線的に最短距離L2で脚部72を形成する場合においてカバー部71に作用する応力よりも小さくすることができる。
【0037】
このように、本発明では、カバー部71に係る応力を小さくすることができるので、カバー部71の変形が抑制され、平板状に維持される。カバー部71が平板状に維持されることで、カバー部71をノズルプレート50に良好に接触させることができる。
【0038】
さらに、脚部72を屈曲させて形成したことで、記録ヘッド11の大きさを極力小さく抑えることができる。ここでいう記録ヘッド11の大きさとは、図4に示すような平面視における記録ヘッド11の占める大きさである。
【0039】
仮に、脚部72を直線的に形成すると、一点鎖線で示した脚部72’のようになる。いずれの脚部72も脚部72’も長さはL1である。しかし、脚部72’を採用した記録ヘッド11のX方向の幅は、脚部72を採用した記録ヘッド11のX方向の幅よりも長くなってしまう。すなわち、本発明によれば、同じ長さL1の脚部72であっても、記録ヘッド11の大きさを小さくすることができる。
【0040】
さらに、各脚部72を屈曲させる態様として、次のように脚部72を構成している。すなわち、各脚部72をY方向(Y軸)に射影させた幅D1が、カバー部71をY方向に射影させた幅D2の範囲内となるように脚部72を屈曲させている。つまり、カバー部71のY方向の幅D2の範囲内に収まるように脚部72を屈曲して形成する。このように脚部72を構成することで、記録ヘッド11のX方向の幅は広がるものの、Y方向の幅が広がることはない。
【0041】
仮に、脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲内とならないように脚部72が屈曲していた場合、すなわち、同図の一点鎖線で示した脚部72’’のように構成した場合、記録ヘッド11は、Y方向にも幅が広がってしまう。
【0042】
上述したように、本発明に係る記録ヘッド11によれば、カバーヘッド70の脚部72を、ヘッド本体30から直線的に最短距離で設ける場合よりも長く形成することで、カバー部71の変形を抑えて平板状を維持すると共に、記録ヘッド11の大きさが大きくなることを抑制し、記録ヘッド11を小型化することができる。また、カバー部71の変形が抑えられるので、ノズルプレート50に確実に接触させることができる。これにより、ノズルプレート50に静電気が帯電することが防止され、静電気によるインクの吐出品質の低下を防止して高品質な印刷を行える記録ヘッド11が提供される。
【0043】
また、本実施形態では、各脚部72は、矩形状に形成されたノズルプレート50の角部に接触する接触部74に対応して設けられている。すなわち、脚部72がカバー部71をノズルプレート50側に引っ張る力が接触部74に強く作用するようになっている。このように脚部72を構成することで、ノズルプレート50とカバー部71との接触をより確実にすることができる。
【0044】
さらに、カバー部71を平板状に維持することができるので、図1に示したキャップ部材19をカバー部71に当接させ、カバー部71とキャップ部材19とで閉空間を形成することができるインクジェット式記録装置10が提供される。ノズル開口51は、この閉空間内に保持されるので、ノズル開口51に形成されたインクのメニスカスの乾燥が防止される。
【0045】
従来では、キャップ部材19はノズルプレート50に当接していたため、その当接領域の分だけ、ノズルプレート50を大きく形成する必要があった。しかし、本発明によれば、ノズルプレート50にそのための領域を設ける必要がないので、ノズルプレート50を小さく形成できる。このようにノズルプレート50を小さく形成することで記録ヘッド11の小型化が可能となる。また、一枚の板状のSUSから複数のノズルプレート50を形成する場合などでは、取り数が増えることになるので、コスト削減にも寄与する。
【0046】
上述した記録ヘッド11で用いられるヘッド本体30の一例を詳細に説明する。図6は、ヘッド本体の分解斜視図であり、図7は、ヘッド本体の断面図である。図示するように、ヘッド本体30を構成する流路形成基板31は、本実施形態では、シリコン単結晶基板からなり、その一方面には二酸化シリコンからなる弾性膜32が形成されている。
【0047】
流路形成基板31には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室33が形成されている。本実施形態では、その幅方向に複数並んだ圧力発生室33の列が2列形成されている。各列の圧力発生室33の長手方向外側には、連通部34が形成されている。連通部34は、後述するリザーバー形成基板40に設けられるリザーバー部41と連通し、各圧力発生室33の共通のインク室となるリザーバー42を構成する。また、連通部34は、供給路35を介して各圧力発生室33の長手方向一端部に連通されている。
【0048】
すなわち、本実施形態では、流路形成基板31に形成された液体流路として、圧力発生室33、連通部34及び供給路35が設けられている。
【0049】
流路形成基板31の開口面側には、ノズル開口51を有するノズルプレート50が接着剤36を介して固着されている。ノズルプレート50のノズル開口51は、各圧力発生室33の供給路35とは反対側で連通する位置に穿設されている。本実施形態では、流路形成基板31に圧力発生室33が並設された列を2列設けたため、1つのヘッド本体30にノズル開口51の並設されたノズル列51Aが2列設けられている。
【0050】
本実施形態では、このノズルプレート50のノズル開口51が開口し、液滴が吐出される側の面が液体噴射面となっている。このようなノズルプレート50としては、例えば、シリコン単結晶基板やステンレス鋼(SUS)等の金属基板などが挙げられる。
【0051】
一方、流路形成基板31の開口面とは反対側には、弾性膜32上に、金属からなる第1電極と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料からなる圧電体層と、金属からなる第2電極とを順次積層することで形成された圧電素子43が形成されている。
【0052】
このような圧電素子43が形成された流路形成基板31上には、リザーバー42の少なくとも一部を構成するリザーバー部41を有するリザーバー形成基板40が接合されている。このリザーバー部41は、本実施形態では、リザーバー形成基板40を厚さ方向に貫通して圧力発生室33の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板31の連通部34と連通されて各圧力発生室33の共通のインク室となるリザーバー42を構成している。
【0053】
リザーバー形成基板40の圧電素子43に対向する領域には、圧電素子43の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部44が設けられている。
【0054】
リザーバー形成基板40上には、各圧電素子43を駆動するための半導体集積回路(IC)等からなる駆動回路63が設けられている。この駆動回路63の各端子は、図示しないボンディングワイヤー等を介して各圧電素子43の個別電極から引き出された引き出し配線と接続されている。そして、駆動回路63の各端子には、フレキシブルプリント基板(FPC)等の外部配線64を介して外部と接続され、外部から外部配線64を介して印刷信号等の各種信号を受け取るようになっている。
【0055】
また、リザーバー形成基板40上には、コンプライアンス基板60が接合されている。コンプライアンス基板60のリザーバー42に対向する領域には、リザーバー42にインクを供給するためのインク導入口61が厚さ方向に貫通することで形成されている。また、コンプライアンス基板60のリザーバー42に対向する領域のインク導入口61以外の領域は、厚さ方向に薄く形成された可撓部62となっており、リザーバー42は、可撓部62により封止されている。この可撓部62により、リザーバー42内にコンプライアンスを与えている。
【0056】
コンプライアンス基板60上には、ヘッドケース65が固定されている。ヘッドケース65には、インク供給連通路66が設けられている。インク供給連通路66は、インク導入口61に連通すると共に、流路部材90の流路に連通しており、流路部材90からのインクをインク導入口61、リザーバー42に供給する。
【0057】
ヘッドケース65には、コンプライアンス基板60の可撓部62に対向する領域に溝部67が形成され、可撓部62の撓み変形が適宜行われるようになっている。また、ヘッドケース65には、リザーバー形成基板40上に設けられた駆動回路63に対向する領域に厚さ方向に貫通した駆動回路保持部68が設けられており、外部配線64は、駆動回路保持部68を挿通して駆動回路63と接続されている。
【0058】
ヘッド本体30を構成する各部材には、組立時に各部材を位置決めするためのピンが挿入されるピン挿入孔69が角部の2箇所に設けられている。そして、ピン挿入孔69にピンを挿入して各部材の相対的な位置決めを行いながら部材同士を接合することで、ヘッド本体30が一体的に組み合わせられる。
【0059】
このような記録ヘッド11では、インクカートリッジ13からのインクを流路部材90を介して取り込み、リザーバー42からノズル開口51に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路63からの記録信号に従い、各圧力発生室33に対応するそれぞれの圧電素子43に電圧を印加し、弾性膜32及び圧電素子43をたわみ変形させることにより、各圧力発生室33内の圧力が高まりノズル開口51からインク滴が吐出する。
【0060】
〈実施形態2〉
カバーヘッド70の脚部72の種々の態様について説明する。図8〜図11は、本実施形態に係る記録ヘッド11の底面図である。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0061】
図8に示すように、各脚部72は、基端部76からY方向に延設され、そして、X方向に屈曲していてもよい。また、各脚部72をX方向(X軸)に射影した幅D1は、カバー部71をX方向に射影した幅D2の範囲内としている。
【0062】
このような態様であっても、脚部72は、ヘッド本体30から直線的に最短距離で脚部を形成する場合よりも長くすることができる。これにより、実施形態1と同様に、カバー部71に作用する応力が低減され、カバー部71が平板状に維持され、ノズルプレート50にカバー部71をより確実に接触させることができる。また、実施形態1と同様に、各脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲内であるので、記録ヘッド11は、脚部72の分だけY方向に増大するものの、X方向には増大させないことができる。
【0063】
また、図9に示すように、各脚部72は、外側に広がるように屈曲させてもよい。すなわち、各脚部72をX方向又はY方向に射影した幅D1が、カバー部71をX方向又はY方向に射影した幅D2の範囲内になくてもよい。
【0064】
このような態様であっても、脚部72は、ヘッド本体30から直線的に最短距離で脚部を形成する場合よりも長くすることができる。これにより、実施形態1と同様に、カバー部71に作用する応力が低減され、カバー部71が平板状に維持され、ノズルプレート50にカバー部71をより確実に接触させることができる。また、各脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲外であるので、記録ヘッド11は、脚部72の分だけX方向及びY方向に増大する。しかし、脚部72は屈曲しているので、脚部72を直線的に形成するよりも、その増大幅は小さくすむので、記録ヘッド11の大型化を抑制できる。
【0065】
さらに、図10に示すように、脚部72は、必ずしも屈曲している必要はなく、直線的であってもよい。
【0066】
このような態様であっても、脚部72は、ヘッド本体30から直線的に最短距離で脚部を形成する場合よりも長くすることができる。これにより、実施形態1と同様に、カバー部71に作用する応力が低減され、カバー部71が平板状に維持され、ノズルプレート50にカバー部71をより確実に接触させることができる。また、実施形態1と同様に、各脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲内であるので、記録ヘッド11は、脚部72の分だけX方向に増大するものの、Y方向には増大させないことができる。
【0067】
また、脚部72を屈曲させる回数は1回に限定されず、複数回であってもよい。図11に示すように、脚部72の基端部76から先端部77に至る経路を螺旋状にしてもよい。
【0068】
このような態様であっても、脚部72は、ヘッド本体30から直線的に最短距離で脚部を形成する場合よりも長くすることができる。これにより、実施形態1と同様に、カバー部71に作用する応力が低減され、カバー部71が平板状に維持され、ノズルプレート50にカバー部71をより確実に接触させることができる。また、実施形態1と同様に、各脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲内であるので、記録ヘッド11は、脚部72の分だけY方向に増大するものの、X方向には増大させないことができる。
【0069】
〈実施形態3〉
実施形態1及び実施形態2では、一つの記録ヘッド11について説明したが、複数の記録ヘッド11を複数搭載した記録ヘッドモジュールIIとしてもよい。図12は、記録ヘッドモジュールIIの平面図である。
【0070】
図示するように、記録ヘッドモジュールIIは、ベースプレート95に4つの記録ヘッド11を取り付けたものである。本実施形態では、ノズル列51Aの並設方向(Y方向)に2つの記録ヘッド11を並べてヘッド列とし、該ヘッド列を被記録媒体の搬送方向(Y方向に直交するX方向)に2列並べた。すなわち、千鳥状に記録ヘッド11が配置されている。
【0071】
このように記録ヘッド11を配置する場合、各ヘッド列における記録ヘッド11同士の間には、間隔が空くことになる。したがって、この間隔に脚部72が配置されるようにカバーヘッド70を構成する。
【0072】
仮に、例えば、脚部72がX方向に延設されていれば、ベースプレート95もその分、X方向に大きくする必要が生じてしまう。しかし、本実施形態では、記録ヘッド11同士の間隔を、脚部72の配置領域として有効利用することができるので、脚部72の分だけ記録ヘッドモジュールIIが大きくなることを防止できる。
【0073】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0074】
実施形態1〜実施形態3では、記録ヘッド11に、脚部72が4つ設けられ、かつ、ノズルプレート50の4つの角の近傍に基端部76が位置していたが、このような態様に限定されない。すなわち、脚部72の数は限定されないし、脚部72がカバー部71に取り付けられる位置も限定されない。
【0075】
また、上述した実施形態1では、圧力発生室33に圧力変化を生じさせるアクチュエーター装置として、薄膜型の圧電素子43を有するアクチュエーター装置を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電素子を有するアクチュエーター装置や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子を有するアクチュエーター装置などを使用することができる。また、アクチュエーター装置として、圧力発生室33内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーター装置などを使用することができる。何れのアクチュエーター装置であっても、実装部が流路形成基板上に設けられていればよい。
【0076】
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 11 記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 30 ヘッド本体、 50 ノズルプレート、 51 ノズル開口、 52 液体噴射面、 70 カバーヘッド、 71 カバー部、 72 脚部、 73 開口部、 74 接触部、 75 屈曲部、 76 基端部、 77 先端部、 90 流路部材(保持部材)、 92 固定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドとしては、インクを吐出するノズル開口が開口する液体噴射面を有するノズルプレートと、該ノズルプレートを備えるヘッド本体と、ヘッド本体を保持する保持部材(流路部材など)と、ノズルプレートの液体噴射面側に固定されるカバーヘッドとを具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなカバーヘッドは、開口を有する平板部と、平板部から延設された脚部を有している。平板部は、開口からノズルが露出するとともにノズルプレートに接触し、脚部は、保持部材に熱かしめなどにより固定されている。このような構成のカバーヘッドにより、ノズルプレートが保持部材に接地されるので、ノズルプレートに帯電することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−260338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カバーヘッドの脚部を保持部材に固定すると、脚部により平板部がノズルプレート側に引っ張られる力が作用する。このとき、平板部に生じる応力で平板部が変形する場合がある。平板部が変形するとノズルプレートに確実に接触させて接地させることができなくなり、ノズルプレートに帯電した静電気が影響して印刷品質が低下する虞がある。
【0006】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、カバーヘッドの変形を防止してノズルプレートを確実に接地させることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を吐出するノズル開口が開口した液体噴射面を有するノズルプレートを備えるヘッド本体と、前記ノズル開口が露出する開口を有するカバー部、及び前記カバー部に連続して延設された脚部から構成されたカバーヘッドと、前記ヘッド本体を保持するとともに、該ヘッド本体の前記液体噴射面よりも液体の吐出方向とは反対側に位置する固定部に前記カバーヘッドの脚部が固定される保持部材とを具備し、前記カバー部は、前記開口の縁部が前記ノズルプレートの前記液体噴射面に接触し、前記脚部は、前記カバー部との境界である基端部から前記固定部に固定された先端部までの長さが、前記先端部と前記ヘッド本体とを仮想的な直線で結んだ最短距離よりも長いことを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、カバー部に係る応力を小さくすることができるので、カバー部の変形が抑制される。カバー部の変形が抑制されるので、カバー部をノズルプレートに良好に接触させることができる。
【0009】
ここで、前記脚部は、前記液体噴射面の平面視において屈曲していることが好ましい。これによれば、脚部を屈曲させて形成することで、液体噴射ヘッドを小さくすることができる。
【0010】
また、前記ノズルプレートは、矩形状に形成され、前記カバー部は、前記ノズルプレートの角部に接触し、前記脚部の基端部は、前記カバー部が前記ノズルプレートの角部に接触した接触部に連続して設けられていることが好ましい。これによれば、脚部がカバー部をノズルプレート側に引っ張る力が接触部に強く作用する。このように脚部を構成することで、ノズルプレートとカバー部との接触をより確実にすることができる。
【0011】
また、前記ノズル開口は、並設方向に複数並設され、前記脚部を、前記並設方向、又はこれに直交する交差方向の何れか一つの方向に射影させた幅が、前記カバー部の当該方向に射影した幅の範囲内となっていることが好ましい。これによれば、前記並設方向における脚部の幅は、カバー部を超えることがないので、液体噴射ヘッドをその分小型化することができる。
【0012】
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、カバーヘッドの変形を防止してノズルプレートを確実に接地させることができる液体噴射装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】液体噴射装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】記録ヘッドの概略構成を示す正面図である
【図3】記録ヘッドの概略構成を示す側面図である。
【図4】記録ヘッドの概略構成を示す底面図である。
【図5】図4のA−A’線断面図、B−B’線断面図、C−C’線断面図である。
【図6】ヘッド本体の分解斜視図である。
【図7】ヘッド本体の断面図である。
【図8】記録ヘッドの底面図である。
【図9】記録ヘッドの底面図である。
【図10】記録ヘッドの底面図である。
【図11】記録ヘッドの底面図である。
【図12】記録ヘッドモジュールの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈実施形態1〉
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。インクジェット式記録ヘッドは液体噴射ヘッドの一例であり、単に記録ヘッドとも言う。また、インクジェット式記録装置は液体噴射装置の一例である。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット式記録装置の概略斜視図である。インクジェット式記録装置10は、インク滴を吐出する記録ヘッド11がキャリッジ12に固定され、この記録ヘッド11には、インクが貯留された液体貯留手段の一例である2つのインクカートリッジ13がそれぞれ着脱可能に固定されている。
【0016】
記録ヘッド11が搭載されたキャリッジ12は、装置本体14に取り付けられたキャリッジ軸15に軸方向移動可能に設けられている。そして、駆動モーター16の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト17を介してキャリッジ12に伝達されることで、キャリッジ12はキャリッジ軸15に沿って移動される。一方、装置本体14にはキャリッジ軸15に沿ってプラテン18が設けられており、図示しない給紙装置等により給紙された紙等の被記録媒体である記録シートSがプラテン18上を搬送されるようになっている。
【0017】
また、キャリッジ12のホームポジションに対応する位置、すなわち、キャリッジ軸15の一方の端部近傍には、記録ヘッド11のノズル開口を封止するキャップ部材19を有するキャッピング装置20が設けられている。このキャップ部材19によってノズル開口を封止することにより、インクの乾燥を防止している。また、このキャップ部材19は、フラッシング動作時のインク受けとしても機能する。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る記録ヘッドの概略構成を示す正面図であり、図3は、本発明の実施形態に係る記録ヘッドの概略構成を示す側面図であり、図4は、本発明の実施形態に係る記録ヘッドの概略構成を示す底面図であり、図5は、図4のA−A′線断面図、B−B′線断面図、C−C′線断面図である。
【0019】
これらの図に示すように、記録ヘッド11は、ノズルプレート50を備えるヘッド本体30と、ヘッド本体30を保持する保持部材の一例である流路部材90と、カバーヘッド70とを具備している。
【0020】
流路部材90は、ヘッド本体30を保持する部材であり、例えば樹脂から形成されている。流路部材90の一方面には、インクカートリッジ13が接続されるインク供給針91が設けられている。また、特に図示しないが、流路部材90には、厚さ方向に貫通したインクの流路が設けられている。該流路の一端は、インク供給針91に連通し、他端は、ヘッド本体30のインク供給連通路に連通している。
【0021】
すなわち、流路部材90は、インクカートリッジ13のインクが、インク供給針91及びこれに連通した流路を介してヘッド本体30に供給されるように構成されている。
【0022】
ヘッド本体30は、インクを吐出するノズル開口51を有するノズルプレート50を備え、流路部材90から供給されたインクをノズル開口51から吐出させるものである。ヘッド本体30の詳細な構成は後述する。
【0023】
ノズルプレート50には、Y方向(図4参照。キャリッジ12の移動方向とは直行する方向)にノズル開口51が複数並設されている。Y方向に並設された一群のノズル開口51をノズル列51Aと称する。本実施形態では、X方向(キャリッジ12の移動方向)に、2列のノズル列51Aが設けられている。ノズルプレート50のノズル開口51が開口し、液滴が吐出される側の面を液体噴射面52と称する。
【0024】
このようなノズルプレート50としては、例えば、シリコン単結晶基板やステンレス鋼(SUS)等の金属基板などが挙げられる。
【0025】
カバーヘッド70は、ノズルプレート50に接触し、流路部材90に固定されたものであり、具体的には、カバー部71と脚部72とから構成されている。
【0026】
カバー部71はノズルプレート50よりも大きく、平板状に形成された部材であり、ノズル列51Aが露出する矩形状の開口部73を有している。開口部73の4つの隅には、内側に突出した接触部74が形成され、この接触部74がノズルプレート50の液体噴射面52の4つの角に接触している。また、カバー部71には、カバー部71に連続し、流路部材90側に屈曲した屈曲部75が設けられている。
【0027】
脚部72は、屈曲部75を介してカバー部21に連続して設けられている。脚部72と屈曲部75との境界部分を基端部76と称する。本実施形態では、脚部72は、4つ設けられている。各脚部72の基端部76は、ノズルプレート50の4つの角に対向するように、カバー部71の4つの角に連続して設けられている。なお、カバーヘッド70には屈曲部75を設けず、カバー部71に直接脚部72が連続して設けられていてもよい。
【0028】
各脚部72の基端部76との反対側の端部は、流路部材90の固定部92に固定されている。脚部72の固定部92に固定された部分を先端部77と称する。具体的には、脚部72は次のように固定部92に固定されている。
【0029】
まず、流路部材90のカバーヘッド70が取り付けられる側の面から突出した凸部92aに、脚部72の先端部77側に設けた挿通孔78を挿通させる。そして、その状態で、凸部92aの上部を熱かしめする。この熱かしめにより、凸部92aの上部が挿通孔78の径よりも大きく変形した変形部92bを形成することで、脚部72の先端部77が流路部材90に固定される。固定部92はこのような凸部92a及び変形部92bから構成されている。
【0030】
脚部72が固定される固定部92は、ノズルプレート50の液体噴射面52よりも、インクの吐出方向とは反対側に位置するように流路部材90に設けられている。したがって、脚部72の先端部77が流路部材90の固定部92で固定されると、カバー部71は、脚部72を介してノズルプレート50側に力が掛かった状態となる。これにより、カバー部71は、ノズルプレート50に接触した状態が維持されている。
【0031】
なお、特に図示しないが、カバーヘッド70は、ヘッド本体30自体がキャリッジ12に搭載された際に、装置本体14に導電部材等を介して導通するように構成されている。これにより、ノズルプレート50に帯電した静電気は、カバーヘッド70、ヘッド本体30を介して装置本体14に放電される。
【0032】
図4を用いて、脚部72の形状について詳細に説明する。記録ヘッド11に対する記録シートSの搬送方向(図1のキャリッジ12の移動方向)をX方向とし、X軸に直行する方向をY方向とする。図示するように、脚部72は、基端部76からX方向に向かって延設され、Y方向に屈曲して延設され、固定部92で先端部77が流路部材90に固定されている。
【0033】
この脚部72の基端部76から先端部77までに至る経路長を脚部72の長さL1とする。同図には、脚部72の長さL1を点線で示してある。一方、先端部77とヘッド本体30とを仮想的な直線で結んだ最短距離をL2とする。当該最短距離は、ノズルプレート50の平面視において、先端部77からヘッド本体30に向けた垂線である。
【0034】
脚部72は、上述したように、基端部76からX方向に延設され、そこからY方向に屈曲して延設されているため、脚部72の長さL1は、最短距離L2よりも長くなっている。
【0035】
ここで、カバー部71に屈曲部75を介して連続した脚部72が固定部92に固定されることで、カバー部71には、カバー部71を屈曲させる応力が作用する。この応力の大きさは、脚部72の長さに反比例する。すなわち、脚部72を長くすることで、カバー部71に掛かる応力を小さくすることができる。
【0036】
本発明では、脚部72の長さL1は、ヘッド本体30から直線的に最短距離L2よりも長く形成している。このため、本発明に係るカバー部71に係る応力は、ヘッド本体30から直線的に最短距離L2で脚部72を形成する場合においてカバー部71に作用する応力よりも小さくすることができる。
【0037】
このように、本発明では、カバー部71に係る応力を小さくすることができるので、カバー部71の変形が抑制され、平板状に維持される。カバー部71が平板状に維持されることで、カバー部71をノズルプレート50に良好に接触させることができる。
【0038】
さらに、脚部72を屈曲させて形成したことで、記録ヘッド11の大きさを極力小さく抑えることができる。ここでいう記録ヘッド11の大きさとは、図4に示すような平面視における記録ヘッド11の占める大きさである。
【0039】
仮に、脚部72を直線的に形成すると、一点鎖線で示した脚部72’のようになる。いずれの脚部72も脚部72’も長さはL1である。しかし、脚部72’を採用した記録ヘッド11のX方向の幅は、脚部72を採用した記録ヘッド11のX方向の幅よりも長くなってしまう。すなわち、本発明によれば、同じ長さL1の脚部72であっても、記録ヘッド11の大きさを小さくすることができる。
【0040】
さらに、各脚部72を屈曲させる態様として、次のように脚部72を構成している。すなわち、各脚部72をY方向(Y軸)に射影させた幅D1が、カバー部71をY方向に射影させた幅D2の範囲内となるように脚部72を屈曲させている。つまり、カバー部71のY方向の幅D2の範囲内に収まるように脚部72を屈曲して形成する。このように脚部72を構成することで、記録ヘッド11のX方向の幅は広がるものの、Y方向の幅が広がることはない。
【0041】
仮に、脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲内とならないように脚部72が屈曲していた場合、すなわち、同図の一点鎖線で示した脚部72’’のように構成した場合、記録ヘッド11は、Y方向にも幅が広がってしまう。
【0042】
上述したように、本発明に係る記録ヘッド11によれば、カバーヘッド70の脚部72を、ヘッド本体30から直線的に最短距離で設ける場合よりも長く形成することで、カバー部71の変形を抑えて平板状を維持すると共に、記録ヘッド11の大きさが大きくなることを抑制し、記録ヘッド11を小型化することができる。また、カバー部71の変形が抑えられるので、ノズルプレート50に確実に接触させることができる。これにより、ノズルプレート50に静電気が帯電することが防止され、静電気によるインクの吐出品質の低下を防止して高品質な印刷を行える記録ヘッド11が提供される。
【0043】
また、本実施形態では、各脚部72は、矩形状に形成されたノズルプレート50の角部に接触する接触部74に対応して設けられている。すなわち、脚部72がカバー部71をノズルプレート50側に引っ張る力が接触部74に強く作用するようになっている。このように脚部72を構成することで、ノズルプレート50とカバー部71との接触をより確実にすることができる。
【0044】
さらに、カバー部71を平板状に維持することができるので、図1に示したキャップ部材19をカバー部71に当接させ、カバー部71とキャップ部材19とで閉空間を形成することができるインクジェット式記録装置10が提供される。ノズル開口51は、この閉空間内に保持されるので、ノズル開口51に形成されたインクのメニスカスの乾燥が防止される。
【0045】
従来では、キャップ部材19はノズルプレート50に当接していたため、その当接領域の分だけ、ノズルプレート50を大きく形成する必要があった。しかし、本発明によれば、ノズルプレート50にそのための領域を設ける必要がないので、ノズルプレート50を小さく形成できる。このようにノズルプレート50を小さく形成することで記録ヘッド11の小型化が可能となる。また、一枚の板状のSUSから複数のノズルプレート50を形成する場合などでは、取り数が増えることになるので、コスト削減にも寄与する。
【0046】
上述した記録ヘッド11で用いられるヘッド本体30の一例を詳細に説明する。図6は、ヘッド本体の分解斜視図であり、図7は、ヘッド本体の断面図である。図示するように、ヘッド本体30を構成する流路形成基板31は、本実施形態では、シリコン単結晶基板からなり、その一方面には二酸化シリコンからなる弾性膜32が形成されている。
【0047】
流路形成基板31には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室33が形成されている。本実施形態では、その幅方向に複数並んだ圧力発生室33の列が2列形成されている。各列の圧力発生室33の長手方向外側には、連通部34が形成されている。連通部34は、後述するリザーバー形成基板40に設けられるリザーバー部41と連通し、各圧力発生室33の共通のインク室となるリザーバー42を構成する。また、連通部34は、供給路35を介して各圧力発生室33の長手方向一端部に連通されている。
【0048】
すなわち、本実施形態では、流路形成基板31に形成された液体流路として、圧力発生室33、連通部34及び供給路35が設けられている。
【0049】
流路形成基板31の開口面側には、ノズル開口51を有するノズルプレート50が接着剤36を介して固着されている。ノズルプレート50のノズル開口51は、各圧力発生室33の供給路35とは反対側で連通する位置に穿設されている。本実施形態では、流路形成基板31に圧力発生室33が並設された列を2列設けたため、1つのヘッド本体30にノズル開口51の並設されたノズル列51Aが2列設けられている。
【0050】
本実施形態では、このノズルプレート50のノズル開口51が開口し、液滴が吐出される側の面が液体噴射面となっている。このようなノズルプレート50としては、例えば、シリコン単結晶基板やステンレス鋼(SUS)等の金属基板などが挙げられる。
【0051】
一方、流路形成基板31の開口面とは反対側には、弾性膜32上に、金属からなる第1電極と、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料からなる圧電体層と、金属からなる第2電極とを順次積層することで形成された圧電素子43が形成されている。
【0052】
このような圧電素子43が形成された流路形成基板31上には、リザーバー42の少なくとも一部を構成するリザーバー部41を有するリザーバー形成基板40が接合されている。このリザーバー部41は、本実施形態では、リザーバー形成基板40を厚さ方向に貫通して圧力発生室33の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板31の連通部34と連通されて各圧力発生室33の共通のインク室となるリザーバー42を構成している。
【0053】
リザーバー形成基板40の圧電素子43に対向する領域には、圧電素子43の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部44が設けられている。
【0054】
リザーバー形成基板40上には、各圧電素子43を駆動するための半導体集積回路(IC)等からなる駆動回路63が設けられている。この駆動回路63の各端子は、図示しないボンディングワイヤー等を介して各圧電素子43の個別電極から引き出された引き出し配線と接続されている。そして、駆動回路63の各端子には、フレキシブルプリント基板(FPC)等の外部配線64を介して外部と接続され、外部から外部配線64を介して印刷信号等の各種信号を受け取るようになっている。
【0055】
また、リザーバー形成基板40上には、コンプライアンス基板60が接合されている。コンプライアンス基板60のリザーバー42に対向する領域には、リザーバー42にインクを供給するためのインク導入口61が厚さ方向に貫通することで形成されている。また、コンプライアンス基板60のリザーバー42に対向する領域のインク導入口61以外の領域は、厚さ方向に薄く形成された可撓部62となっており、リザーバー42は、可撓部62により封止されている。この可撓部62により、リザーバー42内にコンプライアンスを与えている。
【0056】
コンプライアンス基板60上には、ヘッドケース65が固定されている。ヘッドケース65には、インク供給連通路66が設けられている。インク供給連通路66は、インク導入口61に連通すると共に、流路部材90の流路に連通しており、流路部材90からのインクをインク導入口61、リザーバー42に供給する。
【0057】
ヘッドケース65には、コンプライアンス基板60の可撓部62に対向する領域に溝部67が形成され、可撓部62の撓み変形が適宜行われるようになっている。また、ヘッドケース65には、リザーバー形成基板40上に設けられた駆動回路63に対向する領域に厚さ方向に貫通した駆動回路保持部68が設けられており、外部配線64は、駆動回路保持部68を挿通して駆動回路63と接続されている。
【0058】
ヘッド本体30を構成する各部材には、組立時に各部材を位置決めするためのピンが挿入されるピン挿入孔69が角部の2箇所に設けられている。そして、ピン挿入孔69にピンを挿入して各部材の相対的な位置決めを行いながら部材同士を接合することで、ヘッド本体30が一体的に組み合わせられる。
【0059】
このような記録ヘッド11では、インクカートリッジ13からのインクを流路部材90を介して取り込み、リザーバー42からノズル開口51に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路63からの記録信号に従い、各圧力発生室33に対応するそれぞれの圧電素子43に電圧を印加し、弾性膜32及び圧電素子43をたわみ変形させることにより、各圧力発生室33内の圧力が高まりノズル開口51からインク滴が吐出する。
【0060】
〈実施形態2〉
カバーヘッド70の脚部72の種々の態様について説明する。図8〜図11は、本実施形態に係る記録ヘッド11の底面図である。なお、実施形態1と同一のものには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0061】
図8に示すように、各脚部72は、基端部76からY方向に延設され、そして、X方向に屈曲していてもよい。また、各脚部72をX方向(X軸)に射影した幅D1は、カバー部71をX方向に射影した幅D2の範囲内としている。
【0062】
このような態様であっても、脚部72は、ヘッド本体30から直線的に最短距離で脚部を形成する場合よりも長くすることができる。これにより、実施形態1と同様に、カバー部71に作用する応力が低減され、カバー部71が平板状に維持され、ノズルプレート50にカバー部71をより確実に接触させることができる。また、実施形態1と同様に、各脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲内であるので、記録ヘッド11は、脚部72の分だけY方向に増大するものの、X方向には増大させないことができる。
【0063】
また、図9に示すように、各脚部72は、外側に広がるように屈曲させてもよい。すなわち、各脚部72をX方向又はY方向に射影した幅D1が、カバー部71をX方向又はY方向に射影した幅D2の範囲内になくてもよい。
【0064】
このような態様であっても、脚部72は、ヘッド本体30から直線的に最短距離で脚部を形成する場合よりも長くすることができる。これにより、実施形態1と同様に、カバー部71に作用する応力が低減され、カバー部71が平板状に維持され、ノズルプレート50にカバー部71をより確実に接触させることができる。また、各脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲外であるので、記録ヘッド11は、脚部72の分だけX方向及びY方向に増大する。しかし、脚部72は屈曲しているので、脚部72を直線的に形成するよりも、その増大幅は小さくすむので、記録ヘッド11の大型化を抑制できる。
【0065】
さらに、図10に示すように、脚部72は、必ずしも屈曲している必要はなく、直線的であってもよい。
【0066】
このような態様であっても、脚部72は、ヘッド本体30から直線的に最短距離で脚部を形成する場合よりも長くすることができる。これにより、実施形態1と同様に、カバー部71に作用する応力が低減され、カバー部71が平板状に維持され、ノズルプレート50にカバー部71をより確実に接触させることができる。また、実施形態1と同様に、各脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲内であるので、記録ヘッド11は、脚部72の分だけX方向に増大するものの、Y方向には増大させないことができる。
【0067】
また、脚部72を屈曲させる回数は1回に限定されず、複数回であってもよい。図11に示すように、脚部72の基端部76から先端部77に至る経路を螺旋状にしてもよい。
【0068】
このような態様であっても、脚部72は、ヘッド本体30から直線的に最短距離で脚部を形成する場合よりも長くすることができる。これにより、実施形態1と同様に、カバー部71に作用する応力が低減され、カバー部71が平板状に維持され、ノズルプレート50にカバー部71をより確実に接触させることができる。また、実施形態1と同様に、各脚部72の幅D1が、カバー部71の幅D2の範囲内であるので、記録ヘッド11は、脚部72の分だけY方向に増大するものの、X方向には増大させないことができる。
【0069】
〈実施形態3〉
実施形態1及び実施形態2では、一つの記録ヘッド11について説明したが、複数の記録ヘッド11を複数搭載した記録ヘッドモジュールIIとしてもよい。図12は、記録ヘッドモジュールIIの平面図である。
【0070】
図示するように、記録ヘッドモジュールIIは、ベースプレート95に4つの記録ヘッド11を取り付けたものである。本実施形態では、ノズル列51Aの並設方向(Y方向)に2つの記録ヘッド11を並べてヘッド列とし、該ヘッド列を被記録媒体の搬送方向(Y方向に直交するX方向)に2列並べた。すなわち、千鳥状に記録ヘッド11が配置されている。
【0071】
このように記録ヘッド11を配置する場合、各ヘッド列における記録ヘッド11同士の間には、間隔が空くことになる。したがって、この間隔に脚部72が配置されるようにカバーヘッド70を構成する。
【0072】
仮に、例えば、脚部72がX方向に延設されていれば、ベースプレート95もその分、X方向に大きくする必要が生じてしまう。しかし、本実施形態では、記録ヘッド11同士の間隔を、脚部72の配置領域として有効利用することができるので、脚部72の分だけ記録ヘッドモジュールIIが大きくなることを防止できる。
【0073】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0074】
実施形態1〜実施形態3では、記録ヘッド11に、脚部72が4つ設けられ、かつ、ノズルプレート50の4つの角の近傍に基端部76が位置していたが、このような態様に限定されない。すなわち、脚部72の数は限定されないし、脚部72がカバー部71に取り付けられる位置も限定されない。
【0075】
また、上述した実施形態1では、圧力発生室33に圧力変化を生じさせるアクチュエーター装置として、薄膜型の圧電素子43を有するアクチュエーター装置を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電素子を有するアクチュエーター装置や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子を有するアクチュエーター装置などを使用することができる。また、アクチュエーター装置として、圧力発生室33内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーター装置などを使用することができる。何れのアクチュエーター装置であっても、実装部が流路形成基板上に設けられていればよい。
【0076】
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 11 記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 30 ヘッド本体、 50 ノズルプレート、 51 ノズル開口、 52 液体噴射面、 70 カバーヘッド、 71 カバー部、 72 脚部、 73 開口部、 74 接触部、 75 屈曲部、 76 基端部、 77 先端部、 90 流路部材(保持部材)、 92 固定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズル開口が開口した液体噴射面を有するノズルプレートを備えるヘッド本体と、
前記ノズル開口が露出する開口を有するカバー部、及び前記カバー部に連続して延設された脚部から構成されたカバーヘッドと、
前記ヘッド本体を保持するとともに、該ヘッド本体の前記液体噴射面よりも液体の吐出方向とは反対側に位置する固定部に前記カバーヘッドの脚部が固定される保持部材とを具備し、
前記カバー部は、前記開口の縁部が前記ノズルプレートの前記液体噴射面に接触し、
前記脚部は、前記カバー部との境界である基端部から前記固定部に固定された先端部までの長さが、前記先端部と前記ヘッド本体とを仮想的な直線で結んだ最短距離よりも長い
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記脚部は、前記液体噴射面の平面視において屈曲している
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記ノズルプレートは、矩形状に形成され、
前記カバー部は、前記ノズルプレートの角部に接触し、
前記脚部の基端部は、前記カバー部が前記ノズルプレートの角部に接触した接触部に連続して設けられている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記ノズル開口は、並設方向に複数並設され、
前記脚部を、前記並設方向、又はこれに直交する交差方向の何れか一つの方向に射影させた幅が、前記カバー部の当該方向に射影した幅の範囲内となっている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載する液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
液体を吐出するノズル開口が開口した液体噴射面を有するノズルプレートを備えるヘッド本体と、
前記ノズル開口が露出する開口を有するカバー部、及び前記カバー部に連続して延設された脚部から構成されたカバーヘッドと、
前記ヘッド本体を保持するとともに、該ヘッド本体の前記液体噴射面よりも液体の吐出方向とは反対側に位置する固定部に前記カバーヘッドの脚部が固定される保持部材とを具備し、
前記カバー部は、前記開口の縁部が前記ノズルプレートの前記液体噴射面に接触し、
前記脚部は、前記カバー部との境界である基端部から前記固定部に固定された先端部までの長さが、前記先端部と前記ヘッド本体とを仮想的な直線で結んだ最短距離よりも長い
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記脚部は、前記液体噴射面の平面視において屈曲している
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記ノズルプレートは、矩形状に形成され、
前記カバー部は、前記ノズルプレートの角部に接触し、
前記脚部の基端部は、前記カバー部が前記ノズルプレートの角部に接触した接触部に連続して設けられている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記ノズル開口は、並設方向に複数並設され、
前記脚部を、前記並設方向、又はこれに直交する交差方向の何れか一つの方向に射影させた幅が、前記カバー部の当該方向に射影した幅の範囲内となっている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載する液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−75434(P2013−75434A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216713(P2011−216713)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]