説明

液体噴射制御装置、液体噴射制御方法及び液体噴射制御プログラム

【課題】ある特定の色(ノズル列)を主構成とする画像を印刷後、乾燥によるインクの増粘により、次画像を印刷したときに前画像からの切り替わり部において濃度ムラが発生する可能性がある。
【解決手段】印刷媒体に印刷する複数の画像を取得する画像取得部54と、取得した各画像について、ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する吐出量情報取得部57と、ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、各画像についてノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える制御を行う印刷順制御部58と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射制御装置、液体噴射制御方法及び液体噴射制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体を搬送方向へ送りながら液体噴射ヘッドから液体(インク)を吐出して画像の印刷を行う液体噴射装置が知られている。液体噴射ヘッドは、圧力発生室で加圧したインクをノズル開口から吐出する関係上、ノズル開口からの溶媒の蒸発に起因するインク粘度上昇やインク固化、ノズルへの塵埃付着や気泡混入等により、ノズルに目詰まりが生じる可能性がある。このため、例えば、特許文献1に記載の液体噴射装置は、ノズル開口におけるメニスカス近傍の液体に不均一な増粘が生じている状態と判断された場合、圧力発生素子を動作させて圧力発生室内の液体に微少な圧力変動を生じさせてメニスカス近傍の液体を微振動させ、微振動させた後に圧力発生素子を動作させてフラッシングを行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−42314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の画像を連続して印刷するときに、特許文献1に記載されているようなフラッシングを行う場合、印刷処理全体のスループットが低下し、更にインク消費量が増大してしまう懸念が生じる。一方、フラッシングの頻度を少なくした場合、例えば、ある特定の色(ノズル列)を主構成とする画像を印刷後、乾燥によるインクの増粘により、次画像を印刷したときに前画像からの切り替わり部において濃度ムラが発生する可能性がある。つまり、特定のノズル列を主構成とする画像では、その他のノズル列は非吐出の状態で外気に曝された状態のため、乾燥によりノズル近傍のインクが増粘(濃縮)する。その状態で、増粘したインクを使用する次画像を印刷した場合、最初は濃縮したインクが吐出され、その後、通常のインクが吐出されることから、画像の切り替わり部において濃度ムラが発生することになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]複数のノズル列を有する液体噴射ヘッドと、印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に交差する方向に相対移動させる動作と、前記液体噴射ヘッドと、前記印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に相対移動させる動作とを繰り返し行って画像を印刷する液体噴射装置、を制御する液体噴射制御装置であって、前記印刷媒体に印刷する複数の画像を取得する画像取得部と、前記取得した各画像について、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する吐出量情報取得部と、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、前記各画像について前記ノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える制御を行う印刷順制御部と、を有することを特徴とする液体噴射制御装置。
【0007】
上記した液体噴射制御装置によれば、吐出量情報取得部が、画像取得部において取得した各画像について、ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する。そして、印刷順制御部が、ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、各画像についてノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える。ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて印刷順を入れ替えることから、特定のノズル列を主構成とする画像については、その他のノズル列のインクの増粘のために次画像に濃度ムラ等の影響を与えない位置に印刷順を入れ替えることができる。
これにより、複数の画像を連続して印刷するときに、特定のノズル列を主構成とする画像の次画像における濃度ムラ等の発生を抑えることができる。また、フラッシングの頻度を少なくすることができ、印刷処理全体のスループットの低下、及びインク消費量の増大に対処することができる。
【0008】
[適用例2]前記印刷順制御部は、前記インク吐出量に関する情報が所定量以下を示す前記ノズル列の数について、第1の画像についての前記ノズル列の数が第2の画像についての前記ノズル列の数よりも多い場合に、前記ノズル列に沿った方向において、前記第1の画像を前記第2の画像よりも後に印刷するように印刷順を入れ替えることを特徴とする上記液体噴射制御装置。
【0009】
上記した液体噴射制御装置によれば、インク吐出量に関する情報が所定量以下を示すノズル列の数が第2の画像よりも多い第1の画像を、第2の画像よりも後に印刷するように印刷順を入れ替える。これにより、インク吐出量が少ない又は0のノズル列の数が多い画像については、印刷順を後にすることで次画像への濃度ムラ等の影響を低く抑えることができる。
【0010】
[適用例3]前記印刷順制御部は、前記第1の画像についての前記ノズル列の数が前記第2の画像についての前記ノズル列の数と等しい場合に、前記第1の画像の明度が前記第2の画像の明度よりも低いときに、前記ノズル列に沿った方向において、前記第1の画像を前記第2の画像よりも後に印刷するように印刷順を入れ替えることを特徴とする上記液体噴射制御装置。
【0011】
上記した液体噴射制御装置によれば、インク吐出量に関する情報が所定量以下を示すノズル列の数が等しい第1の画像と第2の画像について、第2の画像よりも明度が低い第1の画像を、第2の画像よりも後に印刷するように印刷順を入れ替える。これにより、次画像への濃度ムラ等の影響が同程度の画像については、明度が高い画像に比べて濃度ムラが目立たない明度が低い画像を後に印刷することで、濃度ムラ等の影響を低く抑えることができる。
【0012】
[適用例4]前記所定量のインク吐出量に関する情報の設定を受け付ける設定受付部を更に有し、前記印刷順制御部は、前記設定を受け付けたインク吐出量に関する情報に基づいて、前記所定量以下を示す前記ノズル列の数を判断することを特徴とする上記液体噴射制御装置。
【0013】
上記した液体噴射制御装置によれば、設定受付部が受け付けたインク吐出量に関する情報に基づいて、所定量以下を示すノズル列の数を判断する。これにより、例えば液体噴射装置の装置状態や環境等に応じて濃度ムラ等の発生の有無を判断することができ、より木目細かく液体噴射装置を制御することができる。
【0014】
[適用例5]前記吐出量情報取得部は、前記取得した各画像について、前記ノズル列に沿った方向の上流側端部位置から、前記ノズル列に沿った方向の下流側に位置する所定の領域の画像についての前記インク吐出量に関する情報を取得することを特徴とする上記液体噴射制御装置。
【0015】
上記した液体噴射制御装置によれば、各画像について、ノズル列に沿った方向の上流側端部位置からノズル列に沿った方向の下流側に位置する所定の領域の画像についてのインク吐出量に関する情報を取得する。上流側端部位置から下流側に位置する所定の領域の画像におけるインク吐出量に関する情報では、特定のノズル列を主構成とする画像の次画像における濃度ムラ等の影響がより顕著に現れ易い。このため、次画像における濃度ムラ等の影響をより正確に判断して印刷順を入れ替えることができる。
【0016】
[適用例6]前記複数のノズル列は、ブラックインクを吐出するノズル列を含むことを特徴とする上記液体噴射制御装置。
【0017】
上記した液体噴射制御装置によれば、ブラックインクのノズル列のみを用いて、他のインクのノズル列を用いないモノクロ印刷の画像については、後に印刷することで、濃度ムラ等の影響を低く抑えることができる。
【0018】
[適用例7]前記液体噴射ヘッドと、上記液体噴射制御装置と、を備える印刷装置。
【0019】
上記した印刷装置によれば、複数の画像を連続して印刷するときに、特定のノズル列を主構成とする画像の次画像における濃度ムラ等の発生を抑えることができる。また、フラッシングの頻度を少なくすることができ、印刷処理全体のスループットの低下、及びインク消費量の増大に対処することができる。
【0020】
[適用例8]複数のノズル列を有する液体噴射ヘッドと、印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に交差する方向に相対移動させる動作と、前記液体噴射ヘッドと、前記印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に相対移動させる動作とを繰り返し行って画像を印刷する液体噴射装置、を制御する液体噴射制御方法であって、前記印刷媒体に印刷する複数の画像を取得する画像取得工程と、前記取得した各画像について、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する吐出量情報取得工程と、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、前記各画像について前記ノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える制御を行う印刷順制御工程と、を有することを特徴とする液体噴射制御方法。
【0021】
上記した液体噴射制御方法によれば、吐出量情報取得工程において、画像取得工程において取得した各画像について、ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する。そして、印刷順制御工程において、ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、各画像についてノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える。ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて印刷順を入れ替えることから、特定のノズル列を主構成とする画像については、その他のノズル列のインクの増粘のために次画像に濃度ムラ等の影響を与えない位置に印刷順を入れ替えることができる。
これにより、複数の画像を連続して印刷するときに、特定のノズル列を主構成とする画像の次画像における濃度ムラ等の発生を抑えることができる。また、フラッシングの頻度を少なくすることができ、印刷処理全体のスループットの低下、及びインク消費量の増大に対処することができる。
【0022】
[適用例9]複数のノズル列を有する液体噴射ヘッドと、印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に交差する方向に相対移動させる動作と、前記液体噴射ヘッドと、前記印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に相対移動させる動作とを繰り返し行って画像を印刷する液体噴射装置、を制御する液体噴射制御プログラムであって、前記印刷媒体に印刷する複数の画像を取得する画像取得機能と、前記取得した各画像について、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する吐出量情報取得機能と、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、前記各画像について前記ノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える制御を行う印刷順制御機能と、をコンピューターに実行させることを特徴とする液体噴射制御プログラム。
【0023】
上記した液体噴射制御プログラムによれば、吐出量情報取得機能により、画像取得機能により取得した各画像について、ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する。そして、印刷順制御機能により、ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、各画像についてノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える。ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて印刷順を入れ替えることから、特定のノズル列を主構成とする画像については、その他のノズル列のインクの増粘のために次画像に濃度ムラ等の影響を与えない位置に印刷順を入れ替えることができる。
これにより、複数の画像を連続して印刷するときに、特定のノズル列を主構成とする画像の次画像における濃度ムラ等の発生を抑えることができる。また、フラッシングの頻度を少なくすることができ、印刷処理全体のスループットの低下、及びインク消費量の増大に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】印刷制御装置を有する印刷システムの構成を示すブロック図。
【図2】プリンターの内部構成の概略を示す概略構成図。
【図3】ヘッドの下面におけるノズル配列を示す説明図。
【図4】印刷システムのソフトウェア構成を示すブロック図。
【図5】コンピューターにおける印刷データ生成処理を示すフローチャート。
【図6】印刷順入替え処理の詳細を示すフローチャート。
【図7】各画像について印刷順を入れ替える例を示す説明図。
【図8】第2実施形態における印刷データ生成処理を示すフローチャート。
【図9】第2実施形態における印刷順入替え処理の詳細を示すフローチャート。
【図10】第2実施形態における各画像について印刷順を入れ替える例を示す説明図。
【図11】画像の一部に対してのインク吐出量を取得する例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る液体噴射制御装置としての印刷制御装置について、図面を参照して説明する。
【0026】
<システム構成>
本実施形態に係る印刷制御装置を有する印刷システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷制御装置を有する印刷システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、印刷システム10は、複数台のクライアントパーソナルコンピューター310,320(以下、「クライアントPC」と略称する。)と、印刷用のコンピューター50と、クライアントPC310,320とコンピューター50とを接続するローカルエリアネットワーク330(以下、「LAN」と略称する。)と、コンピューター50に接続されるカラープリンター100(以下、「プリンター」と略称する。)と、を備える。
【0027】
クライアントPC310,320は、例えば、プリントラボステーションと呼ばれる店舗等に設置され、写真印刷を希望する利用者により操作されて写真印刷の発注を行う端末装置である。なお、クライアントPC310,320は、一般的なパーソナルコンピューターであっても良いし、写真画像の入力を容易とした専用端末装置であっても良い。クライアントPC310,320から入力された写真印刷の発注は、LAN330を介して、コンピューター50に送信される。なお、クライアントPC310,320は、2台に換えて他の複数の台数とすることもでき、また、複数台に換えて1台とすることもできる。また、LAN330は有線であっても良いし、無線であっても良い。
【0028】
コンピューター50は、所定のプログラムがロードされ実行されることによりプリンター100を制御する印刷制御装置として機能する。このコンピューター50は、プログラムに従って各種演算処理を実行するCPU81、ROM82、RAM83を中心に、バス80により相互に接続された次の各部を備える。入力インターフェイス84は、キーボード14等からの信号の入力を司る。出力インターフェイス85は、プリンター100へのデータの出力を司る。CRTC86は、カラー表示可能なCRTディスプレイ21への信号出力を制御する。ディスクコントローラー(DDC)87は、ハードディスク16やCD−ROMドライブ15あるいは図示しないフレキシブルディスクドライブとの間のデータの授受を制御する。ハードディスク16には、RAM83にロードされて実行される各種プログラムやデバイスドライバーの形式で提供される各種プログラム等が記憶されている。
【0029】
このほか、バス80には、LANインターフェイス(LANI/F)88が接続されている。LANI/F88は、LAN330と接続するためのインターフェイスである。
【0030】
プリンター100は、長尺状の印刷媒体へ液体を噴射(吐出)して画像を印刷する液体噴射装置であり、本実施形態においてはロール紙専用のインクジェットプリンターである。プリンター100は、インクを吐出するための各ノズルを並べたノズル列を複数備えたヘッド(詳細は後述する)を、ロール紙の長尺方向(ノズル列に沿った方向であり、搬送方向となる)と交差する方向に往復動する主走査を行う。そして、プリンター100は、主走査と、搬送方向にヘッドとロール紙とを相対的に移動する副走査とを繰り返し行うことにより画像を印刷する。コンピューター50からプリンター100には、主走査中に各ノズルにおいていずれの画素にドットを形成するかを特定するラスターデータ等が印刷データとして出力される。プリンター100は、この印刷データに基づいて主走査及び副走査を実行することで、ロール紙に例えば写真画像等を順に印刷する。また、プリンター100は、カッター装置を備えており、ロール紙に印刷された写真画像等を個別に裁断することができる。
【0031】
<プリンターの内部構成>
次に、プリンター100の内部構成について説明する。
図2は、プリンター100の内部構成の概略を示す概略構成図である。同図に示すように、プリンター100は、プリンター本体110の後方側に給紙装置120を、プリンター本体110の前方側に排紙装置170を備え、ロール紙であるシートS1を、給紙装置120により後方側から給紙し、前方側の排紙装置170に向けて排出する構成を有している。
給紙装置120は、シートS1をロール状に巻き重ねたロール体R1を収容可能なロール体収容部122を備える。ロール体R1が軸芯を中心に回転することにより、シートS1が巻き解かれてロール体収容部122から搬送方向の下流側に向かつて搬送されるようになっている。
【0032】
また、プリンター本体110の下方の外側には、開閉扉(図示略)が設けられており、この開閉扉の内側には、ロール体収容部122と同様に、長尺状の印刷媒体としてのシートS2をロール状に巻き重ねたロール体R2を収容可能なトレイ112が配置されている。このトレイ112に収容されたロール体R2が軸芯を中心に回転することにより、ロール紙であるシートS2が巻き解かれてトレイ112から搬送方向の下流側に向かつて搬送されるようになっている。
【0033】
ロール体R1,R2 (これらをまとめて「ロール体R」と略称する。)から巻き解かれて搬送されるシートS1,S2 (これらをまとめて「シートS」と略称する。)は、搬送機構140に送られる。
【0034】
搬送機構140は、ロール体収容部122のロール体R1から巻き解かれたシートS1をその搬送経路に沿って受ける第1受板141と、トレイ112のロール体R2から巻き解かれたシートS2をその搬送経路に沿って受ける第2受板142とを備えている。また、搬送機構140は、シートS1及びシートS2のそれぞれの搬送経路に沿って配設されると共に、シートS1及びシートS2を支持板143側へ搬送する複数の搬送ローラー145と搬送ローラー対146,147とを備えている。搬送機構140は、シートS1の搬送経路及びシートS2の搬送経路を切り替えて、どちらか一方のシートSを支持板143側に搬送するようになっている。
【0035】
支持板143は、搬送機構140により送られてきたシートSを支持可能な平板状のものである。支持板143の上方であって支持板143と対向する位置には、駆動手段(図示略)によりシートSの搬送方向と交差する方向(左右方向)に往復移動可能なキャリッジ150が設けられている。このキャリッジ150の下面には、ヘッド151が支持されている。
ヘッド151の下面は、インクを吐出する複数のノズルが開口する水平なノズル形成面になっている。ヘッド151は、支持板143との間を通って搬送されるシートSに対してインクを吐出することにより印刷するようになっている。
【0036】
ヘッド151により印刷されたシートSは、カッター装置160に送られる。カッター装置160は、ロータリーカッター161(以下「カッター刃」と略称する。)を備えたカッターキャリッジ162と、カッター刃161へシートSを案内するシート案内164と、カッター刃161との間でシートSを裁断するための裁断板165と、裁断時にシートSを押さえる紙押さえ166と、紙押さえ166に対向する受圧板167と、排出ローラー対168と、を有している。カッター刃161、紙押さえ166、及び排出ローラー対168は、シートSの搬送方向において下流側に向かってこの順に並んでいる。
【0037】
次に、ヘッド151の下面におけるノズル配列について説明する。
図3は、ヘッド151の下面におけるノズル配列を示す説明図である。同図に示すように、ヘッド151の下面には、各ノズルNzが副走査方向に並んで、ノズル列152K,152C,152LC,152M,152LM,152Yを形成している。ここで、ノズル列152Kは、ブラック(K)インクを吐出するためのブラックインクノズル群を形成している。ノズル列152Cは、シアン(C)インクを吐出するためのシアンインクノズル群を形成している。ノズル列152LCは、ライトシアン(LC)インクを吐出するためのライトシアンインクノズル群を形成している。ノズル列152Mは、マゼンタ(M)インクを吐出するためのマゼンタインクノズル群を形成している。ノズル列152LMは、ライトマゼンタ(LM)インクを吐出するためのライトマゼンタインクノズル群を形成している。ノズル列152Yは、イエロー(Y)インクを吐出するためのイエローインクノズル群を形成している。
【0038】
また、各ノズルNzには、各ノズルNzを駆動してインクを吐出させるための駆動素子としてのピエゾ素子(図示略)が設けられている。そして、吐出するインク滴の大きさを制御することにより、大ドット、中ドット、小ドットの3種類のインクドットを形成することが可能となっている。印刷時には、ヘッド151を主走査方向に移動させながら、各ノズルNzからシートSに対してインクを吐出して、これら3種類のインクドットを形成することで画像を形成する。
【0039】
<ソフトウェア構成>
次に、印刷システム10のソフトウェア構成について説明する。
図4は、印刷システム10のソフトウェア構成を示すブロック図である。コンピューター50では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム51が動作する。アプリケーションプログラム51は、クライアントPC310,320から送られてくる画像データを受信する。オペレーティングシステムには、ビデオドライバー52やプリンタードライバー53が組み込まれており、アプリケーションプログラム51から、これらのドライバーを介してプリンター100に転送するための画像データが出力される。アプリケーションプログラム51は、キーボード14(図1参照)等からの指示に従って、シートSに印刷するための画像を生成すると共に、ビデオドライバー52を介してCRTディスプレイ21に画像を表示する。アプリケーションプログラム51で生成される画像データは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなるデータにより構成される。
【0040】
プリンタードライバー53の内部には、画像取得部54、色変換部55、ハーフトーン処理部56、吐出量情報取得部57、印刷順制御部58、出力部59等が設けてある。アプリケーションプログラム51が印刷命令を発すると、画像取得部54がアプリケーションプログラム51から画像データを受け取る。なお、画像取得部54が受け取る各画像の単位は、アプリケーションプログラム51における画像単位の指定や、カッター装置160によるシートSの裁断位置に基づくものであっても良い。従って、複数種類の画像が1単位の画像を構成することもあり得る。色変換部55は、予め用意された色変換テーブルLUTに従って、受け取った画像データの色成分をR,G,Bからプリンター100が表現可能なC,M,Y,K,LC,LMの各色成分に補正する。
【0041】
ハーフトーン処理部56は、補正された画像データの階調値を表現できるように、例えばディザ法又や誤差拡散法のハーフトーン手法を用いて各画素のドットのオン・オフを設定する。本実施形態では、前述したように大ドット、中ドット、小ドットの3種類のドットを形成可能であることから、ハーフトーン処理部56では、これら3種類のドットについて、各画素のオン・オフを設定する。
【0042】
吐出量情報取得部57は、画像取得部54において取得した各画像について、ノズル列152K,152C,152LC,152M,152LM,152Y毎(図3参照)の各インク吐出量に関する情報(吐出量情報)を取得する。ここでは、各画像を印刷する際において各ノズル列から吐出されると予想される各インク吐出量を画像毎に取得する。
【0043】
ここで、各ノズル列から吐出される各インク吐出量を取得する方法として、例えば特開2006−243869号公報に記載されている方法を用いても良い。特開2006−243869号公報においては、ハーフトーン処理の結果に基づいて、各インクについて、大ドット、中ドット、小ドット毎にドットの個数を計数する。そして、各ドットにおけるインク量をドットの個数に乗算して、乗算値をインクの種類毎に合計することにより各インク吐出量を求めている。
【0044】
なお、本実施形態では、ハーフトーン処理の結果に基づいて各インク吐出量を求めている。しかし、これに限られず、上記した色変換部55においてプリンター100が表現可能なC,M,Y,K,LC,LMに補正した各色成分に基づいて、各インク吐出量を求めるようにしても良い。
【0045】
印刷順制御部58は、吐出量情報取得部57において取得した画像毎及びノズル列毎の各インク吐出量に基づいて、各画像について、搬送方向における印刷順を入れ替える。具体的には、インク吐出量が所定量以下を示すノズル列の数が多い画像ほど、後に印刷するように印刷順を入れ替える。本実施形態では、所定量を0として、インク吐出量が0のノズル列の数が多い画像ほど、後に印刷するように印刷順を入れ替える。つまり、各ノズル列から満遍なくインクを吐出して形成する画像よりも、各ノズル列の一部からインクを吐出して形成する画像の方が後に印刷されることになる。なお、インク吐出量が0であるか否かで判断するのではなく、インク吐出量が所定量(>0)以下であるか否かで判断するようにしても良い。
【0046】
出力部59は、印刷順制御部58において印刷順を入れ替えた各画像に対して、プリンター100のヘッド151の主走査方向に合わせて、各ラスターの印刷データをヘッド151に出力させる順序に変更する。そして、出力部59は、印刷の際の副走査量のデータ、シートSの裁断を指定するコマンド等を含む印刷データをプリンター100に出力する。
【0047】
一方、プリンター100には、入力部101、バッファー102、主走査部103、副走査部104等が備えられている。入力部101は、コンピューター50から出力された印刷データを受け取り、バッファー102に一時的に蓄える。そして、バッファー102のデータは、主走査部103に出力される。
【0048】
主走査部103は、ヘッド151の主走査を行いながら、印刷データに基づいてインクを吐出する。副走査部104は、主走査部103によってラスターが形成された後、印刷データに含まれる副走査量のデータに基づいてシートSを搬送する。そして、シートSは、搬送後にオートカッター(図示略)により、印刷された画像の境界部分で自動的に裁断される。
【0049】
<印刷データ生成処理>
次に、コンピューター50における印刷データ生成処理について説明する。
【0050】
図5は、コンピューター50における印刷データ生成処理を示すフローチャートである。同図に示す各処理は、コンピューター50に備えたCPU81により実行される。
【0051】
最初に、CPU81は、画像取得部54により、アプリケーションプログラム51から出力された画像データを取得する(ステップS10)。この画像データは、シートSに印刷する対象となる1つの画像を表しており、R,G,Bの各階調値により表現されたデータである。
【0052】
次に、CPU81は、色変換部55により、ステップS10において取得した画像データに対して、色変換処理を行う(ステップS20)。色変換処理では、画像データを特定するR,G,Bの色成分について、画素毎に、プリンター100で使用可能なC,M,Y,K,LC,LMの各色成分に補正する。この処理は、R,G,Bの色系で表された色相に対して、C,M,Y,K,LC,LMの各色成分を与えるための色変換テーブルLUTを用いて行われる。
【0053】
次に、CPU81は、ハーフトーン処理部56により、ステップS20において色変換を行った画像データに対して、ディザ法や誤差拡散法等の手法を用いてハーフトーン処理を行う(ステップS30)。
【0054】
次に、CPU81は、吐出量情報取得部57により、ステップS30においてハーフトーン処理を行った画像について、各ノズル列152K,152C,152LC,152M,152LM,152Yから吐出されるインク吐出量をインク吐出量情報として取得する(ステップS40)。
【0055】
次に、CPU81は、ステップS10〜S40の各処理を全画像について終了したか否かを判定する(ステップS50)。全画像について終了した場合(ステップS50:YES)は、次のステップS60へ進む。他方、未処理の画像が残っている場合(ステップS50:NO)は、ステップS10以降の処理を繰り返す。
【0056】
ステップS60では、CPU81は、印刷順制御部58により、ステップS40において取得した画像毎及びノズル列毎の各インク吐出量に基づいて、各画像について搬送方向における印刷順を入れ替える処理を行う。
【0057】
図6は、印刷順入替え処理の詳細を示すフローチャートである。CPU81は、対象画像について、ステップS40(図5参照)において取得した各ノズル列152K,152C,152LC,152M,152LM,152Yのインク吐出量に基づいて、インク吐出量が所定量以下となるノズル列の個数Nを求める(ステップS110)。本実施形態では、インク吐出量が0、即ちインクを全く吐出しないノズル列の個数Nを求める。
【0058】
次に、CPU81は、ステップS110の処理を全画像について終了したか否かを判定する(ステップS120)。全画像について終了した場合(ステップS120:YES)は、次のステップS130へ進む。他方、未処理の画像が残っている場合(ステップS120:NO)は、ステップS110の処理を繰り返す。
【0059】
ステップS130では、CPU81は、ステップS110において求めたノズル列の個数Nに基づいて、個数Nが多い画像、即ちインクを全く吐出しないノズル列の数が多い画像ほど、印刷順が後になるように各画像の順番を入れ替える。つまり、各画像における第1の画像と第2の画像とを比較して、第1の画像についてのノズル列の個数Nが第2の画像よりも多い場合、搬送方向において、第1の画像を第2の画像よりも後に印刷するように印刷順を入れ替える。これらの比較及び入れ替え処理を各画像に対して繰り返して行う。
【0060】
以下の表1は、各画像についてノズル列毎のインク吐出量の例を示す表である。表1では、縦軸に画像A〜Cの画像種類を示し、横軸にノズル列152K,152C,152LC,152M,152LM,152Yを示している。更に横軸には、吐出量0のノズル列の個数Nを網掛けで示している。表1において、「>0」はインク吐出が有ることを示し、「0」はインク吐出が全く無いことを示している。
表1に示すように、画像Aでは、ノズル列152Kのみインク吐出が有り、他の5つのノズル列ではインク吐出が全く無いため、吐出量0の個数Nは5になっている。画像Bでは、全てのノズル列においてインク吐出が有るため、吐出量0の個数Nは0になっている。また、画像Cでは、ノズル列152C,152LCにおいてインク吐出が全く無いため、吐出量0の個数Nは2になっている。
【0061】
【表1】

【0062】
図7は、表1における各画像について印刷順を入れ替える例を示す説明図である。(a)は、印刷順を入れ替える前の各画像の並びを示し、(b)は、印刷順を入れ替えた後の各画像の並びを示している。また、各画像において括弧内に吐出量0の個数Nを示している。図7(b)に示すように、吐出量0の個数Nが一番多い(N=5)画像Aが、最後の印刷順となり、次に個数Nが多い(N=2)画像Cが、最後から2番目の印刷順に入れ替わっている。結果として、図7(a)では画像A→画像B→画像Cの印刷順が、図7(b)では画像B→画像C→画像Aの印刷順に入れ替わっている。
【0063】
図5に戻って、CPU81は、出力部59により、ステップS60において印刷順を入れ替える処理を行った各画像について、印刷データのラスタライズ処理を行う(ステップS70)。そして、CPU81は、出力部59により、ラスタライズした印刷データをプリンター100に出力する(ステップS80)。
【0064】
なお、画像取得工程及び画像取得機能は、図5におけるステップS10に相当する。また、吐出量情報取得工程及び吐出量情報取得機能は、ステップS40に相当する。また、印刷順制御工程及び印刷順制御機能は、ステップS60に相当する。
【0065】
上述したように、本実施形態では、画像毎に、インクを全く吐出しないノズル列の個数Nを求める。そして、インクを全く吐出しないノズル列の数が多い画像ほど、印刷順が後になるように各画像の順番を入れ替える。
【0066】
例えば、表1に示す各画像を、図7(a)に示す画像A→画像B→画像Cの印刷順で印刷した場合について説明する。この場合、最初に印刷する画像Aでは、ノズル列152C,152LC,152M,152LM,152Yにおいてインク吐出が全く無いことから、これらのノズル列において乾燥によるインクの増粘が起き易くなる。このため、次に画像Bを印刷したときに、ノズル列152C,152LC,152M,152LM,152Yのインクの増粘のために、全てのノズル列を用いて印刷する画像Bにおいて濃度ムラ等が発生してしまう可能性がある。特に、画像Aからの切り替わり部において濃度ムラ等が発生し易くなる。
【0067】
これに対して、インクを全く吐出しないノズル列の数が多い画像ほど、印刷順が後になるように各画像の順番を入れ替えて、図7(b)に示す画像B→画像C→画像Aの印刷順で印刷した場合について説明する。最初に印刷する画像Bでは、全てのノズル列においてインク吐出が有るため、各ノズル列ではインクの増粘が起きにくくなる。このため、次に画像Cを印刷したときに、画像Cにおいて濃度ムラ等の発生を抑えることができる。また、画像Cでは、ノズル列152C,152LCにおいてインク吐出が全く無いため、これらのノズル列についてインクの増粘が起き易くなるが、最後に印刷する画像Aでは、ノズル列152Kのみを用いて印刷することから、画像Aにおいて濃度ムラ等の発生を抑えることができる。
このように、インクを全く吐出しないノズル列の数が多い画像ほど、印刷順が後になるように各画像の順番を入れ替えることにより、次画像における濃度ムラ等の発生を抑えることができる。
【0068】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る印刷制御装置について、図面を参照して説明する。
【0069】
第2実施形態に係る印刷制御装置を有する印刷システム及びプリンターの構成は、図1〜図3に示す第1実施形態に係る印刷システム及びプリンターの構成と同様である。
また、第2実施形態に係る印刷システムのソフトウェア構成は、図4に示す第1実施形態に係る印刷システムのソフトウェア構成と同様であるが、色変換部55及び印刷順制御部58における処理内容が第1実施形態とは異なる。
【0070】
第2実施形態における色変換部55では、受け取った画像データの色成分をR,G,BからC,M,Y,K,LC,LMの各色成分に補正すると共に、画像データを構成する各画素データについて明度を求め、その平均値を算出することにより当該画像の明度を取得する。また、印刷順制御部58では、各画像の印刷順を入れ替える際に、色変換部55において取得した各画像の明度も参照するようにしている。
【0071】
図8は、第2実施形態における印刷データ生成処理を示すフローチャートである。同図に示す各処理は、コンピューター50に備えたCPU81により実行される。
【0072】
第2実施形態における印刷データ生成処理では、図5に示す第1実施形態における印刷データ生成処理に対して、明度を取得する処理(ステップS15)が追加となっている。この明度を取得する処理では、ステップS10において取得した画像データに基づいて当該画像の明度を取得する。
また、ステップS60の印刷順入替え処理では、第1実施形態とは異なり、ステップS40において取得した画像毎及びノズル列毎の各インク吐出量に加えて、ステップS15において取得した画像毎の明度に基づいて、各画像について印刷順を入れ替える。
【0073】
図9は、第2実施形態における印刷順入替え処理の詳細を示すフローチャートである。第2実施形態における印刷順入替え処理では、図6に示す第1実施形態における印刷順入替え処理に対して、明度に基づいて画像を入れ替える処理(ステップS140)が追加となっている。この入れ替え処理では、ステップS130において、印刷順を入れ替えた画像に対して、吐出しないノズル列の数が同じ画像については、画像毎の明度に基づいて明度が低い画像ほど印刷順が後になるように入れ替える。
【0074】
以下の表2は、各画像についてノズル列毎のインク吐出量の例を示す表である。表2では、表1における横軸の項目に加えて更に画像の明度を網掛けで示している。この明度は、0%〜100%の範囲で示され、数値が大きくなるほど明度が高く(明るく)なる。
表2に示すように、画像Hでは、ノズル列152Kのみインク吐出が有り、他の5つのノズル列ではインク吐出が全く無いため、吐出量0の個数Nは5になっている。また、画像Hの明度は20%になっている。画像Iでは、ノズル列152M,152LMにおいてインク吐出が全く無いため、吐出量0の個数Nは2になっている。また、画像Iの明度は10%になっている。画像Jでは、ノズル列152C,152LCにおいてインク吐出が全く無いため、吐出量0の個数Nは画像Iと同様に2になっている。また、画像Jの明度は50%になっている。
【0075】
【表2】

【0076】
図10は、表2における各画像について印刷順を入れ替える例を示す説明図である。(a)は、印刷順を入れ替える前の各画像の並びを示し、(b)は、印刷順を入れ替えた後の各画像の並びを示している。また、各画像において括弧内に吐出量0の個数N及び明度を示している。図10(b)に示すように、吐出量0の個数Nが一番多い(N=5)画像Hが、最後の印刷順に入れ替わっている。画像Iと画像Jについては、個数Nが等しい(N=2)ことから、各画像の明度に基づいて、明度の低い画像I(明度10%)が明度の高い画像J(明度50%)の後に印刷されるように印刷順を入れ替えている。結果として、図10(a)では画像H→画像I→画像Jの印刷順が、図10(b)では画像J→画像I→画像Hの印刷順に入れ替わっている。
【0077】
なお、本実施形態では、画像毎及びノズル列毎の各インク吐出量に加えて画像毎の明度に基づいて、各画像について印刷順を入れ替えている。しかし、各画像の明度に限られず、各画像の例えば輝度に基づいて、各画像について印刷順を入れ替えても良い。
【0078】
上述したように、本実施形態では、インクを全く吐出しないノズル列の数が多い画像ほど、印刷順が後になるように各画像の順番を入れ替えて、更に、吐出しないノズル列の数が同じ場合は、明度が低い画像ほど印刷順が後になるように各画像の順番を入れ替えている。
【0079】
例えば、表2に示す各画像については、図10(b)に示すように、ノズル列152Kのみを用いて印刷する画像Hを最後に印刷することにより、他の画像に対しての濃度ムラ等の発生を抑えるようにしている。更に、画像Iと画像Jについては、吐出しないノズル列の数が同じであることから、明度の低い画像Iを明度の高い画像Jよりも後に印刷するようにしている。これにより、画像Jでは、ノズル列152C,152LCにおいてインク吐出が全く無いため、インクの増粘が起き易くなるが、次に印刷する画像Iにおいてノズル列152C,152LCを用いて印刷しても、明度が低い画像であることから、画像Iおいて濃度ムラ等の発生が目立たないように抑えることができる。
【0080】
(変形例1)
上述した実施形態では、吐出量情報取得部57により、ハーフトーン処理を行った画像について、各ノズル列から吐出されるインク吐出量を取得している。しかし、各画像について、画像全体に対してのインク吐出量を取得するのではなく、画像の一部に対してのインク吐出量を取得するようにしても良い。
【0081】
図11は、画像の一部に対してのインク吐出量を取得する例を示す図である。同図は、印刷順を入れ替える前の各画像の並びを示している。画像Aには、画像Aにおいて搬送方向の上流側端部位置から搬送方向の下流側に位置する画像領域TAが示されている。同様に、画像Bには画像領域TB、画像Cには画像領域TCが示されている。
本変形例では、各画像A〜Cについて画像全体からではなく、画像の一部である画像領域TA〜TCに対してのインク吐出量を取得する。そして、取得した画像領域毎の各インク吐出量に基づいて、各画像について搬送方向における印刷順を入れ替える処理を行う。
次画像への濃度ムラ等の影響がより顕著である各画像領域TA〜TCのインク吐出量を取得することにより、次画像における濃度ムラ等の影響をより正確に判断して印刷順を入れ替えることができる。
【0082】
(変形例2)
上述した実施形態では、印刷順制御部58において、インク吐出量が所定量以下を示すノズル列の数を判断しているが、この所定量以下となるインク吐出量をユーザーが設定できるようにしても良い。例えば、所定量のインク吐出量の設定をユーザーから受け付ける設定受付部をキーボード14(図1参照)として、このキーボード14から受け付けたインク吐出量の設定に基づいて、所定量以下となるインク吐出量の判断を行う。
ユーザーが設定したインク吐出量に基づいてノズル列の数を判断することにより、ユーザーの好みや実情、また、プリンター100の装置状態や環境等に応じて、濃度ムラ等の発生の有無の条件を制御することができる。
【0083】
(変形例3)
上述した実施形態では、コンピューター50にプリンタードライバー53を備え、このプリンタードライバー53は、プリンター100を制御する印刷制御装置として機能している。しかし、これに限られず、プリンタードライバー53の機能をプリンター100に備える構成としても良い。
【0084】
(変形例4)
上述した実施形態では、長尺状の印刷媒体としてのシートSを、ロール状に巻き重ねたロール紙としている。しかし、これに限られず、長尺状の他の紙としても良い。また、紙に限られず、フィルム等の他の印刷媒体にも適用することもできる。
【0085】
(変形例5)
上述した実施形態では、プリンター100は、搬送方向に沿ったノズル列を備えるヘッドによる主走査と、搬送方向にヘッドとロール紙とを相対的に移動する副走査とを繰り返し行うことにより画像を印刷している。しかし、これに限られず、搬送方向に沿ったノズル列を備えるヘッドが、搬送方向と交差する方向への往復動と、搬送方向への移動とを繰り返し行うことにより画像を印刷する方式であっても良い。また、搬送方向と交差する方向に沿ったノズル列を備えるヘッドが、搬送方向への往復動と、搬送方向と交差する方向への移動とを繰り返し行う方式であっても良い。
【符号の説明】
【0086】
10…印刷システム、14…キーボード、15…CD−ROMドライブ、16…ハードディスク、21…CRTディスプレイ、50…コンピューター、51…アプリケーションプログラム、52…ビデオドライバー、53…プリンタードライバー、54…画像取得部、55…色変換部、56…ハーフトーン処理部、57…吐出量情報取得部、58…印刷順制御部、59…出力部、80…バス、81…CPU、82…ROM、83…RAM、84…入力インターフェイス、85…出力インターフェイス、86…CRTC、87…DDC、88…LANI/F、100…プリンター、101…入力部、102…バッファー、103…主走査部、104…副走査部、110…プリンター本体、112…トレイ、120…給紙装置、122…ロール体収容部、140…搬送機構、141…第1受板、142…第2受板、143…支持板、145,146,147…搬送ローラー、150…キャリッジ、151…ヘッド、152C,152K,152LC,152LM,152M,152Y…ノズル列、160…カッター装置、161…ロータリーカッター,カッター刃、162…カッターキャリッジ、164…シート案内、165…裁断板、166…紙押さえ、167…受圧板、168…排出ローラー、170…排紙装置、310,320…クライアントPC、330…LAN、Nz…ノズル、R,R1,R2…ロール体、S,S1,S2…シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズル列を有する液体噴射ヘッドと、印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に交差する方向に相対移動させる動作と、前記液体噴射ヘッドと、前記印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に相対移動させる動作とを繰り返し行って画像を印刷する液体噴射装置、を制御する液体噴射制御装置であって、
前記印刷媒体に印刷する複数の画像を取得する画像取得部と、
前記取得した各画像について、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する吐出量情報取得部と、
前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、前記各画像について前記ノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える制御を行う印刷順制御部と、を有することを特徴とする液体噴射制御装置。
【請求項2】
前記印刷順制御部は、前記インク吐出量に関する情報が所定量以下を示す前記ノズル列の数について、第1の画像についての前記ノズル列の数が第2の画像についての前記ノズル列の数よりも多い場合に、前記ノズル列に沿った方向において、前記第1の画像を前記第2の画像よりも後に印刷するように印刷順を入れ替えることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射制御装置。
【請求項3】
前記印刷順制御部は、前記第1の画像についての前記ノズル列の数が前記第2の画像についての前記ノズル列の数と等しい場合に、前記第1の画像の明度が前記第2の画像の明度よりも低いときに、前記ノズル列に沿った方向において、前記第1の画像を前記第2の画像よりも後に印刷するように印刷順を入れ替えることを特徴とする請求項2に記載の液体噴射制御装置。
【請求項4】
前記所定量のインク吐出量に関する情報の設定を受け付ける設定受付部を更に有し、
前記印刷順制御部は、前記設定を受け付けたインク吐出量に関する情報に基づいて、前記所定量以下を示す前記ノズル列の数を判断することを特徴とする請求項2又は3に記載の液体噴射制御装置。
【請求項5】
前記吐出量情報取得部は、前記取得した各画像について、前記ノズル列に沿った方向の上流側端部位置から、前記ノズル列に沿った方向の下流側に位置する所定の領域の画像についての前記インク吐出量に関する情報を取得することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の液体噴射制御装置。
【請求項6】
前記複数のノズル列は、ブラックインクを吐出するノズル列を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液体噴射制御装置。
【請求項7】
前記液体噴射ヘッドと、
請求項1から6のいずれか一項に記載の液体噴射制御装置と、
を備える印刷装置。
【請求項8】
複数のノズル列を有する液体噴射ヘッドと、印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に交差する方向に相対移動させる動作と、前記液体噴射ヘッドと、前記印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に相対移動させる動作とを繰り返し行って画像を印刷する液体噴射装置、を制御する液体噴射制御方法であって、
前記印刷媒体に印刷する複数の画像を取得する画像取得工程と、
前記取得した各画像について、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する吐出量情報取得工程と、
前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、前記各画像について前記ノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える制御を行う印刷順制御工程と、を有することを特徴とする液体噴射制御方法。
【請求項9】
複数のノズル列を有する液体噴射ヘッドと、印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に交差する方向に相対移動させる動作と、前記液体噴射ヘッドと、前記印刷媒体とを、前記ノズル列に沿った方向に相対移動させる動作とを繰り返し行って画像を印刷する液体噴射装置、を制御する液体噴射制御プログラムであって、
前記印刷媒体に印刷する複数の画像を取得する画像取得機能と、
前記取得した各画像について、前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報を取得する吐出量情報取得機能と、
前記ノズル列毎のインク吐出量に関する情報に基づいて、前記各画像について前記ノズル列に沿った方向における印刷順を入れ替える制御を行う印刷順制御機能と、をコンピューターに実行させることを特徴とする液体噴射制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−250390(P2012−250390A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123483(P2011−123483)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】