液体噴射装置
【課題】ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクジェット式プリンターは、支持面19aに支持された記録用紙12に紫外線硬化性を有するインクを噴射する記録ヘッドと、該記録ヘッドから記録用紙12に噴射されたインクに紫外線を照射する高圧水銀ランプ32とを備える。そして、高圧水銀ランプ32は、記録用紙12の幅に対応した距離をおいて対向する電極間での放電により発光する。
【解決手段】インクジェット式プリンターは、支持面19aに支持された記録用紙12に紫外線硬化性を有するインクを噴射する記録ヘッドと、該記録ヘッドから記録用紙12に噴射されたインクに紫外線を照射する高圧水銀ランプ32とを備える。そして、高圧水銀ランプ32は、記録用紙12の幅に対応した距離をおいて対向する電極間での放電により発光する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紫外線硬化性のインクを用いたインクジェット式プリンターなどの液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体噴射ヘッドから液体を噴射させる液体噴射装置としてインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)が広く知られている。こうしたプリンターの中には、紫外線硬化性を有するインクを用いるものがある(例えば、特許文献1)。この特許文献1のプリンターでは、搬送ベルト(支持面)に支持されながら搬送される記録媒体(ターゲット)にヘッドユニット(液体噴射ヘッド)から紫外線硬化性を有するインク(液体)を吐出した後、該インクが付着した記録媒体に対し、光源としてメタルハライドランプ(紫外線ランプ)を使用した紫外線照射部から紫外線を照射することで印刷を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−83510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のプリンターでは、記録媒体の幅の大きさに拘わらず、紫外線照射部による紫外線の照射範囲が常に一定であるため、幅の小さい記録媒体の印刷を行う場合には、搬送ベルト上における記録媒体が存在しない領域にも紫外線が照射されることとなる。このため、この搬送ベルト上における記録媒体が存在しない領域が紫外線によって劣化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能な液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、支持面に支持されたターゲットに紫外線硬化性を有する液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドから前記ターゲットに噴射された前記液体に紫外線を照射する紫外線ランプとを備え、前記紫外線ランプは、前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する電極間での放電により発光する。
【0007】
この発明によれば、紫外線ランプがターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する電極間での放電により発光するため、ターゲットの幅が変化しても、紫外線ランプからの紫外線が直接支持面に照射されることが抑制される。したがって、ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能となる。
【0008】
本発明の液体噴射装置において、前記紫外線ランプを冷却するための冷却手段をさらに備え、前記冷却手段は前記紫外線ランプの前記対向する電極間の距離に合わせて冷却範囲が設定される。
【0009】
この発明によれば、紫外線ランプにおいて温度が高くなる発光部(対向する電極間)が主に冷却されることで、紫外線ランプの温度が安定するため、効率のよい紫外線照射を実現することが可能となる。
【0010】
本発明の液体噴射装置において、前記紫外線ランプは、前記ターゲットの幅方向における一方側に配置された少なくとも1つの第1電極と、該第1電極と対向する他方側に配置されるとともに該第1電極からの距離が互いに異なる複数の第2電極とを備えており、前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する前記第1電極と前記第2電極との間で放電する。
【0011】
この発明によれば、紫外線ランプにおける第1電極の数を第2電極の数よりも少なくすることで、第1電極の数と第2電極の数とを同じにする場合に比べて、電極の数を低減することが可能となる。
【0012】
本発明の液体噴射装置において、前記紫外線ランプは、電極間の距離が互いに異なる複数対の電極を備えており、前記各対の電極のうち前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する一対の電極間で放電する。
【0013】
この発明によれば、各対の電極のうちターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する一対の電極間で選択的に放電することで、ターゲットの幅が変化しても、紫外線ランプからの紫外線が直接支持面に照射されることが抑制される。したがって、ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能となる。
【0014】
本発明の液体噴射装置において、前記紫外線ランプの電極間の距離を前記ターゲットの幅に合わせて変更する電極間距離変更手段を備えた。
この発明によれば、電極間距離変更手段によって紫外線ランプの電極間の距離をターゲットの幅に合わせて変更することで、ターゲットの幅が変化しても、紫外線ランプからの紫外線が直接支持面に照射されることが抑制される。したがって、ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態のインクジェット式プリンターの構成を示す模式図。
【図2】同プリンターにおける紫外線照射ユニットの断面模式図。
【図3】同紫外線照射ユニットにおける高圧水銀ランプの平面模式図。
【図4】同プリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図5】第1実施形態の高圧水銀ランプにおいて、陽極と第1陰極との間で放電したときの状態を示す平面模式図。
【図6】第1実施形態の高圧水銀ランプにおいて、陽極と第2陰極との間で放電したときの状態を示す平面模式図。
【図7】第1実施形態の高圧水銀ランプにおいて、陽極と第3陰極との間で放電したときの状態を示す平面模式図。
【図8】第2実施形態における高圧水銀ランプの平面模式図。
【図9】第3実施形態における高圧水銀ランプの平面模式図。
【図10】第3実施形態における紫外線照射ユニットの断面模式図。
【図11】変更例の高圧水銀ランプの構成を示す平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1及び図3に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0017】
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター11は、いわゆるラインヘッドプリンターであり、ターゲットとしての記録用紙12(本実施形態では枚葉紙)を搬送するための搬送ユニット13と、該搬送ユニット13の上方に該搬送ユニット13と対向するように固定状態で配置された液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド14とを備えている。
【0018】
搬送ユニット13は左右方向に長い矩形板状のプラテン15を備えている。プラテン15の右側には前後方向に延びる駆動ローラー16が駆動モーター17によって回転駆動可能に配置される一方、プラテン15の左側には前後方向に延びる従動ローラー18が回転可能に配置されている。駆動ローラー16及び従動ローラー18には、プラテン15を囲むように、1つの無端状の搬送ベルト19が巻き回されている。
【0019】
そして、駆動モーター17により駆動ローラー16を前側から見て(図1において)時計方向に回転駆動することで、搬送ベルト19が駆動ローラー16及び従動ローラー18の外側を前側から見て時計方向に周回移動(駆動)されるようになっている。この場合、搬送ベルト19の内側の面はプラテン15の上面を左側から右側に向かって摺動するとともに、搬送ベルト19上の記録用紙12は上流側である左側から下流側である右側に向かって搬送されるようになっている。
【0020】
また、プラテン15の上面と対向する位置にある記録用紙12は、吸引手段(図示略)によって搬送ベルト19越しにプラテン15側に吸引されるようになっている。なお、搬送ベルト19の外側の面は記録用紙12を支持する支持面19aとされている。
【0021】
図1に示すように、記録ヘッド14は、前後方向における幅が最大サイズの記録用紙12の幅よりも若干長い直方体状をなしており、搬送ユニット13によって搬送される記録用紙12に液体としての紫外線硬化性を有するインクを噴射するための複数のノズル20を備えている。そして、記録ヘッド14にはインクカートリッジ(図示略)から紫外線硬化性を有するインクが供給されるようになっており、該インクを記録ヘッド14の各ノズル20から搬送ユニット13によって搬送される記録用紙12に対してそれぞれ噴射することで印刷が行われるようになっている。
【0022】
また、従動ローラー18の左斜め上側には、複数枚の未印刷の記録用紙12を1枚ずつ順次搬送ベルト19上に給紙するための上下一対の給紙ローラー21が設けられている。一方、駆動ローラー16の右斜め上側には、印刷後の記録用紙12を1枚ずつ搬送ベルト19上から排紙するための上下一対の排紙ローラー22が設けられている。さらに、記録用紙12の搬送経路における給紙ローラー21の上流側(左側)には記録用紙12の前後方向の幅(サイズ)を検出するための紙幅センサー23が配置されている。
【0023】
なお、記録ヘッド14の右側の位置であってプラテン15と対向する位置には、記録ヘッド14から噴射されて記録用紙12上に付着した紫外線硬化性を有するインクに紫外線を照射して硬化させるための紫外線照射ユニット24が配置されている。
【0024】
次に、紫外線照射ユニット24の構成について詳述する。
図2に示すように、紫外線照射ユニット24は下側が開口した四角箱状をなすケース30を備えており、ケース30内には略半円筒状をなす反射板31が配置されている。すなわち、反射板31は下側が開口するように配置されるとともに断面視で放物線状をなしている。反射板31内には紫外線照射ユニット24の光源となる紫外線ランプとしての高圧水銀ランプ32が前後方向に延びるように配置されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、高圧水銀ランプ32は前後方向に延びる石英ガラス製の発光管33を備えており、該発光管33の内部には高純度の水銀と少量の希ガス(例えばアルゴンなど)が封入されている。発光管33における前方側は水平方向において3つの分岐部に分岐しており、これら3つの分岐部は左側から順に第1分岐部33a、第2分岐部33b、第3分岐部33cとされている。
【0026】
第3分岐部33cは前方に向かって真っ直ぐに延びており、第2分岐部33bは第3分岐部33cの左側において左斜め前方に向かって真っ直ぐに延びており、第1分岐部33aは第2分岐部33bの左側において左斜め前方に向かって真っ直ぐに延びている。第3分岐部33cは第2分岐部33bよりも長さが長くなっているとともに、第2分岐部33bは第1分岐部33aよりも長さが長くなっている。
【0027】
各分岐部33a〜33cの先端部には第2電極としての陰極が絶縁性の支持部材34によって支持された状態でそれぞれ挿入されている。そして、これら3つの陰極のうち、第1分岐部33aと対応するものは第1陰極35とされ、第2分岐部33bと対応するものは第2陰極36とされ、第3分岐部33cと対応するものは第3陰極37とされている。一方、発光管33の後端部には第1電極としての陽極38が支持部材34によって支持された状態で挿入されている。
【0028】
したがって、図1及び図3に示すように、搬送ユニット13によって搬送される記録用紙12の幅方向である前後方向において、陽極38と第3陰極37との間の距離は陽極38と第2陰極36との間の距離よりも長くなっているとともに、陽極38と第2陰極36との間の距離は陽極38と第1陰極35との間の距離よりも長くなっている。
【0029】
そして、本実施形態では、前後方向において、陽極38と第3陰極37との間の距離がA3サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、陽極38と第2陰極36との間の距離がB4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、陽極38と第1陰極35との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定されている。なお、発光管33内は完全な密閉状態になっている。
【0030】
図3に示すように、陽極38及び各陰極35〜37は、陽極38と各陰極35〜37との間に電圧が印加されるように電線39を介してそれぞれ電源59に接続されている。この場合、電線39における各陰極35〜37側は3つの分岐電線39aに分岐して各陰極35〜37にそれぞれ電気的に接続されている。そして、各分岐電線39aのうち、第1陰極35に接続されるものには第1スイッチ回路40が設けられ、第2陰極36に接続されるものには第2スイッチ回路41が設けられ、第3陰極37に接続されるものには第3スイッチ回路42が設けられている。
【0031】
図2に示すように、紫外線照射ユニット24のケース30の上壁における高圧水銀ランプ32と対応する位置には、左右方向に隣接して並ぶように、高圧水銀ランプ32を冷却するための3つの冷却ファンが設けられている。これら3つの冷却ファンは、左から順に第1冷却ファン43、第2冷却ファン44、第3冷却ファン45とされている。なお、本実施形態では、各冷却ファン43〜45により冷却手段が構成されている。
【0032】
図2及び図3に示すように、反射板31の上壁には、高圧水銀ランプ32における陽極38と第1陰極35との間の領域である第1発光部Aと対応する矩形状の第1送風口46が貫通するように形成されている。さらに、反射板31の上壁には、高圧水銀ランプ32における陽極38と第2陰極36との間の領域である第2発光部Bと対応する矩形状の第2送風口47、及び陽極38と第3陰極37との間の領域である第3発光部Cと対応する矩形状の第3送風口48がそれぞれ貫通するように形成されている。各送風口46〜48は後方側で互いに連通しており、該各送風口46〜48は各送風路49〜51を介して各冷却ファン43〜45にそれぞれ接続されている。
【0033】
次に、インクジェット式プリンター11の電気的構成について説明する。
図4に示すように、インクジェット式プリンター11は、該インクジェット式プリンター11の稼働状態を制御する制御部52を備えている。制御部52は、記録ヘッド14、紙幅センサー23、各スイッチ回路40〜42、駆動モーター17、給紙ローラー21、排紙ローラー22、及び各冷却ファン43〜45とそれぞれ電気的に接続されている。そして、制御部52は、紙幅センサー23が検出した記録用紙12の幅(サイズ)に基づいて記録ヘッド14からのインクの噴射状態、各スイッチ回路40〜42のオンオフ状態、及び各冷却ファン43〜45の駆動状態を制御するとともに、駆動モーター17、給紙ローラー21、及び排紙ローラー22の駆動状態を制御する。
【0034】
次に、インクジェット式プリンター11の作用について説明する。
(A4サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA4サイズであった場合には、図5に示すように、第1スイッチ回路40がオン状態にされるとともに、第2スイッチ回路41及び第3スイッチ回路42がオフ状態にされる。すると、発光管33内における陽極38と第1陰極35との間に電圧が印加されて放電が起こることで第1発光部Aが発光する。これにより、第1発光部Aから放たれる紫外線は、A4サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0035】
続いて、第2冷却ファン44及び第3冷却ファン45が停止した状態で第1冷却ファン43が駆動されると、送風路49及び第1送風口46を介して発光管33における第1発光部Aと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第1発光部Aが選択的に冷却される。
【0036】
続いて、駆動モーター17、給紙ローラー21、及び排紙ローラー22が駆動されると、A4サイズの記録用紙12が搬送経路に沿って上流側から下流側へ向かって搬送される。そして、記録ヘッド14の各ノズル20から搬送ベルト19の支持面19aに支持された状態でプラテン15上を搬送される記録用紙12に向けてインクが噴射されると、該記録用紙12上に該インクが付着する。
【0037】
この記録用紙12に付着したインクは、該記録用紙12が高圧水銀ランプ32の下側を搬送される際に、該高圧水銀ランプ32の第1発光部Aから放たれる紫外線を受けて瞬時に硬化して該記録用紙12に定着し、該記録用紙12の印刷が完了する。このとき、前後方向(記録用紙12の幅方向)において、第1発光部Aの幅がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値になるように設定されているため、第1発光部Aから放たれる紫外線は、ほとんどが記録用紙12に照射される。
【0038】
すなわち、第1発光部Aから放たれる紫外線は、搬送ベルト19の支持面19a上における記録用紙12から前後方向に外れた領域に直接照射されることが効果的に抑制される。したがって、搬送ベルト19の支持面19aが高圧水銀ランプ32からの紫外線によって劣化することが抑制される。なお、印刷済みの記録用紙12は排紙ローラー22により搬送ベルト19の支持面19a上から排紙される。
【0039】
(B4サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがB4サイズであった場合には、図6に示すように、第2スイッチ回路41がオン状態にされるとともに、第1スイッチ回路40及び第3スイッチ回路42がオフ状態にされる。すると、発光管33内における陽極38と第2陰極36との間に電圧が印加されて放電が起こることで第2発光部Bが発光する。これにより、第2発光部Bから放たれる紫外線は、B4サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0040】
続いて、第1冷却ファン43及び第3冷却ファン45が停止した状態で第2冷却ファン44が駆動されると、送風路50及び第2送風口47を介して発光管33における第2発光部Bと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第2発光部Bが選択的に冷却される。
【0041】
続いて、駆動モーター17、給紙ローラー21、及び排紙ローラー22が駆動されると、B4サイズの記録用紙12が搬送経路に沿って上流側から下流側へ向かって搬送される。そして、記録ヘッド14の各ノズル20から搬送ベルト19の支持面19aに支持された状態でプラテン15上を搬送される記録用紙12に向けてインクが噴射されると、該記録用紙12上に該インクが付着する。
【0042】
この記録用紙12に付着したインクは、該記録用紙12が高圧水銀ランプ32の下側を搬送される際に、該高圧水銀ランプ32の第2発光部Bから放たれる紫外線を受けて瞬時に硬化して該記録用紙12に定着し、該記録用紙12の印刷が完了する。このとき、前後方向(記録用紙12の幅方向)において、第2発光部Bの幅がB4サイズの記録用紙12の幅と同じ値になるように設定されているため、第2発光部Bから放たれる紫外線は、ほとんどが記録用紙12に照射される。
【0043】
すなわち、第2発光部Bから放たれる紫外線は、搬送ベルト19の支持面19a上における記録用紙12から前後方向に外れた領域に直接照射されることが効果的に抑制される。したがって、搬送ベルト19の支持面19aが高圧水銀ランプ32からの紫外線によって劣化することが抑制される。なお、印刷済みの記録用紙12は排紙ローラー22により搬送ベルト19の支持面19a上から排紙される。
【0044】
(A3サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA3サイズであった場合には、図7に示すように、第3スイッチ回路42がオン状態にされるとともに、第1スイッチ回路40及び第2スイッチ回路41がオフ状態にされる。すると、発光管33内における陽極38と第3陰極37との間に電圧が印加されて放電が起こることで第3発光部Cが発光する。これにより、第3発光部Cから放たれる紫外線は、A3サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0045】
続いて、第1冷却ファン43及び第2冷却ファン44が停止した状態で第3冷却ファン45が駆動されると、送風路51及び第3送風口48を介して発光管33における第3発光部Cと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第3発光部Cが選択的に冷却される。
【0046】
続いて、駆動モーター17、給紙ローラー21、及び排紙ローラー22が駆動されると、A3サイズの記録用紙12が搬送経路に沿って上流側から下流側へ向かって搬送される。そして、記録ヘッド14の各ノズル20から搬送ベルト19の支持面19aに支持された状態でプラテン15上を搬送される記録用紙12に向けてインクが噴射されると、該記録用紙12上に該インクが付着する。
【0047】
この記録用紙12に付着したインクは、該記録用紙12が高圧水銀ランプ32の下側を搬送される際に、該高圧水銀ランプ32の第3発光部Cから放たれる紫外線を受けて瞬時に硬化して該記録用紙12に定着し、該記録用紙12の印刷が完了する。このとき、前後方向(記録用紙12の幅方向)において、第3発光部Cの幅がA3サイズの記録用紙12の幅と同じ値になるように設定されているため、第3発光部Cから放たれる紫外線は、ほとんどが記録用紙12に照射される。
【0048】
すなわち、第3発光部Cから放たれる紫外線は、搬送ベルト19の支持面19a上における記録用紙12から前後方向に外れた領域に直接照射されることが効果的に抑制される。したがって、搬送ベルト19の支持面19aが高圧水銀ランプ32からの紫外線によって劣化することが抑制される。なお、印刷済みの記録用紙12は排紙ローラー22により搬送ベルト19の支持面19a上から排紙される。
【0049】
このように、記録用紙12のサイズ(前後方向の幅)が変わっても、該記録用紙12のサイズに応じた電極間距離を持つ陽極38と各陰極35〜37との組み合わせを選択し、該選択した電極間で放電されるので、高圧水銀ランプ32の発光長(発光部の長さ)が記録用紙12の幅とほぼ一致するようになる。このため、記録用紙12のサイズに応じた高圧水銀ランプ32による紫外線照射が行われる。したがって、搬送ベルト19の支持面19aにおける記録用紙12が存在しない領域に紫外線照射が行われることが抑制され、無駄な紫外線照射や支持面19aの紫外線劣化が抑えられる。
【0050】
以上、詳述した第1実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)高圧水銀ランプ32が記録用紙12のサイズ(前後方向の幅)に対応した距離をおいて対向する電極間(陽極38と各陰極35〜37との間)での放電により発光するため、記録用紙12のサイズが変化しても、高圧水銀ランプ32からの紫外線が記録用紙12から外れて直接搬送ベルト19の支持面19aに照射されることを抑制することができる。したがって、記録用紙12を支持する搬送ベルト19の支持面19aが紫外線によって劣化することを抑制することができるとともに、搬送ベルト19の支持面19aにおける記録用紙12が存在しない領域に高圧水銀ランプ32によって無駄な紫外線照射が行われることを抑制することができる。
【0051】
(2)高圧水銀ランプ32における各発光部A〜Cのうち放電によって温度が高くなっている発光部のみが冷却されるように、各冷却ファン43〜45が記録用紙12のサイズ(前後方向の幅)に応じて選択的に駆動されるので、発光管33の温度を安定させることができる。したがって、記録用紙12に対し、高圧水銀ランプ32による効率のよい紫外線照射を実現することができる。
【0052】
因みに、各発光部A〜Cのいずれか1つにおいて放電が起こっている場合に、各冷却ファン43〜45を全て駆動して各発光部A〜Cの全てを冷却すると、各発光部A〜Cのうちの放電が起こっていない発光部の温度が下がり過ぎて発光管33内の水銀蒸気が凝結するおそれがある。このため、高圧水銀ランプ32による記録用紙12への紫外線照射効率が低下してしまうこととなる。
【0053】
(3)高圧水銀ランプ32は、1つの陽極38と3つの陰極35〜37との間で個別に放電させることができるので、陽極と陰極との数を同数にする場合に比べて、電極の数を低減することができる。すなわち、高圧水銀ランプ32を構成する部品点数を低減することができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
この第2実施形態は、図8に示すように、上記第1実施形態において、高圧水銀ランプ32の発光管33を直管状にするとともに、該発光管33に三対の電極を設けたものである。これら各対の電極は、水平面において左右方向に並んで配置されており、左側から順に、第1陽極60及び第1陰極35、第2陽極61及び第2陰極36、第3陽極62及び第3陰極37によってそれぞれ構成されている。
【0055】
電源59から延びる電線39における各陽極60〜62側は3つの分岐電線39bに分岐して各陽極60〜62にそれぞれ電気的に接続されている。各分岐電線39bのうち、第1陽極60に接続されるものには第4スイッチ回路63が設けられ、第2陽極61に接続されるものには第5スイッチ回路64が設けられ、第3陽極62に接続されるものには第6スイッチ回路65が設けられている。そして、制御部52は、各スイッチ回路63〜65と電気的に接続されており、該各スイッチ回路63〜65のオンオフ状態を制御するようになっている。
【0056】
本実施形態では、前後方向において、第3陽極62と第3陰極37との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、第2陽極61と第2陰極36との間の距離がA3サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、第1陽極60と第1陰極35との間の距離がB4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定されている。
【0057】
高圧水銀ランプ32において、第1陽極60と第1陰極35との間の領域は第4発光部Dとされ、第2陽極61と第2陰極36との間の領域は第5発光部Eとされ、第3陽極62と第3陰極37との間の領域は第6発光部Fとされている。また、第1送風口46は第4発光部Dと対応しており、第1冷却ファン43の駆動により第1送風口46から発光管33における第4発光部Dと対応する部分に空気が吹き付けられるようになっている。
【0058】
さらに、第2送風口47は第5発光部Eと対応しており、第2冷却ファン44の駆動により第2送風口47から発光管33における第5発光部Eと対応する部分に空気が吹き付けられるようになっている。またさらに、第3送風口48は第6発光部Fと対応しており、第3冷却ファン45の駆動により第3送風口48から発光管33における第6発光部Fと対応する部分に空気が吹き付けられるようになっている。
【0059】
次に、インクジェット式プリンター11の作用について説明する。
(A4サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA4サイズであった場合には、各スイッチ回路40〜42,63〜65のうち第3スイッチ回路42及び第6スイッチ回路65のみがオン状態にされる。すると、発光管33内における第3陽極62と第3陰極37との間に電圧が印加されて放電が起こることで第6発光部Fが発光する。これにより、第6発光部Fから放たれる紫外線は、A4サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0060】
続いて、第1冷却ファン43及び第2冷却ファン44が停止した状態で第3冷却ファン45が駆動されると、第3送風口48から発光管33における第6発光部Fと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第6発光部Fが選択的に冷却される。
【0061】
(A3サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA3サイズであった場合には、各スイッチ回路40〜42,63〜65のうち第2スイッチ回路41及び第5スイッチ回路64のみがオン状態にされる。すると、発光管33内における第2陽極61と第2陰極36との間に電圧が印加されて放電が起こることで第5発光部Eが発光する。これにより、第5発光部Eから放たれる紫外線は、A3サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0062】
続いて、第1冷却ファン43及び第3冷却ファン45が停止した状態で第2冷却ファン44が駆動されると、第2送風口47から発光管33における第5発光部Eと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第5発光部Eが選択的に冷却される。
【0063】
(B4サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがB4サイズであった場合には、各スイッチ回路40〜42,63〜65のうち第1スイッチ回路40及び第4スイッチ回路63のみがオン状態にされる。すると、発光管33内における第1陽極60と第1陰極35との間に電圧が印加されて放電が起こることで第4発光部Dが発光する。これにより、第4発光部Dから放たれる紫外線は、B4サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0064】
続いて、第2冷却ファン44及び第3冷却ファン45が停止した状態で第1冷却ファン43が駆動されると、第1送風口46から発光管33における第4発光部Dと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第4発光部Dが選択的に冷却される。
【0065】
以上、詳述した第2実施形態によれば、上記(1)及び(2)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)高圧水銀ランプ32の発光管33が直管状であるため、上記第1実施形態の場合に比べて高圧水銀ランプ32を小さくすることができ、ひいてはインクジェット式プリンター11の小型化に寄与できる。
【0066】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態を上記第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
この第3実施形態は、図9に示すように、上記第2実施形態において、高圧水銀ランプ32における発光管33に一対の電極を設け、該電極間の距離を変更可能に構成したものである。すなわち、この電極は陽極70と陰極71とで構成されており、陽極70及び陰極71の中間部には柔軟に湾曲可能な柔軟部70a及び柔軟部71aがそれぞれ形成されている。
【0067】
発光管33内の左側面上における陽極70及び陰極71の先端部と対応する位置には、ブロック状の磁性体72が前後方向に沿ってそれぞれ摺動可能に設けられている。各磁性体72は絶縁性の連結部材73を介して陽極70及び陰極71の先端部とそれぞれ連結されている。発光管33の左側であって各磁性体72と対向する位置にはブロック状の磁石74がそれぞれ配置されており、各磁石74はロッド75を介してそれぞれ発光管33の前後両側に配置されたアクチュエーター76に連結されている。
【0068】
各アクチュエーター76は、制御部52と電気的に接続されており、該制御部52によって駆動制御されるようになっている。そして、各磁石74は、各磁性体72に磁力が及ぶ範囲で発光管33から離間しており、各アクチュエーター76の駆動により各ロッド75を介して前後方向に移動されるようになっている。
【0069】
また、電源59から延びる電線39にはスイッチ回路77が設けられている。スイッチ回路77は、制御部52と電気的に接続されており、該制御部52によってオンオフ状態が制御されるようになっている。なお、本実施形態では、各磁性体72、各連結部材73、各磁石74、各ロッド75、及び各アクチュエーター76によって電極間距離変更手段が構成されている。
【0070】
図9及び図10に示すように、紫外線照射ユニット24において、反射板31の上壁には、高圧水銀ランプ32と対応するように矩形状の送風口78が貫通するように形成されている。反射板31の上面上には、送風口78を覆うための矩形状をなす前後一対の遮風板79が摺動可能に配置されている。各遮風板79は、前後方向の長さが送風口78の前後方向の長さの半分よりも若干長く、左右方向の幅が送風口78の左右方向の幅よりも若干大きい。そして、前後方向における各遮風板79の内側の端縁は、上下方向において陽極70及び陰極71のそれぞれの先端とほぼ対応している。
【0071】
また、各磁石74の上面からは真上に向かって連結棒80が延びており、該各連結棒80は反射板31の上壁に貫通するように形成された貫通孔81に挿通された後、各遮風板79の左側壁にそれぞれ接続されている。したがって、各遮風板79は、各磁石74と一体に移動するようになっている。
【0072】
さらに、紫外線照射ユニット24のケース30の上壁における反射板31の送風口78と対応する位置には、送風口78を介して高圧水銀ランプ32に送風して冷却するための冷却手段としての1つの冷却ファン82が設けられている。冷却ファン82は制御部52と電気的に接続されており、該制御部52によって駆動制御されるようになっている。
【0073】
次に、インクジェット式プリンター11の作用について説明する。
さて、記録用紙12の印刷を行う場合には、まず、スイッチ回路77がオン状態にされる。すると、発光管33内における陽極70と陰極71との間に電圧が印加されて放電が起こることで、発光管33内における陽極70と陰極71との間の領域である発光部Gが発光する。これにより、発光部Gから放たれる紫外線は、記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0074】
続いて、冷却ファン82が駆動されると、該冷却ファン82から送風口78を介して高圧水銀ランプ32に空気が吹き付けられる。引き続き、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA4サイズであった場合には、陽極70と陰極71との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値になるように、各アクチュエーター76を駆動して各磁石74を前後方向に移動させる。
【0075】
すなわち、各磁石74を移動させると、該各磁石74による磁力によって各磁性体72がそれぞれ該各磁石74とともに前後方向に移動し、この各磁性体72の移動により、各連結部材73を介して陽極70と陰極71とが前後方向に移動される。これと同時に、各磁石74の移動に伴って、各遮風板79もそれぞれ前後方向に移動する。そして、陽極70と陰極71との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値になると、送風口78がほぼ発光部Gと対応する領域だけ開口した状態で各遮風板79によって覆われる。
【0076】
このため、冷却ファン82から高圧水銀ランプ32に向けて吹き付けられる空気のうち送風口78の開口部分を通るもの以外は、全て各遮風板79によって遮られる。したがって、冷却ファン82から送られる空気は、発光管33における発光部Gと対応する部分に対して主に吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている発光部Gが選択的に冷却される。
【0077】
なお、記録用紙12のサイズがA3サイズ、B4サイズ、あるいはこれら以外のサイズであった場合には、紙幅センサー23によって検出された記録用紙12の幅に合わせて陽極70と陰極71との間の距離(発光長)が調節される。
【0078】
以上、詳述した第3実施形態によれば、上記(1)、(2)及び(4)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)各磁石74の移動によって陽極70と陰極71とをそれぞれ移動させることができるので、陽極70と陰極71との間の距離(発光長)を無段階で調節することができる。
(変更例)
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
【0079】
・図11に示すように、第1実施形態において、発光管33を直管状にするとともに、各陰極35〜37を該発光管33の周壁に配置するようにしてもよい。なお、この場合においても、前後方向において、陽極38と第3陰極37との間の距離がA3サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、陽極38と第2陰極36との間の距離がB4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、陽極38と第1陰極35との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定される。
【0080】
・第1実施形態において、高圧水銀ランプ32における陽極38を各陰極35〜37の数に合わせて3つにしてもよい。このようにすれば、陽極38の寿命を延ばすことができる。
【0081】
・第1実施形態において、高圧水銀ランプ32を、その後端を回動中心として水平面に沿って回動可能に構成してもよい。このようにすれば、使用する各陰極35〜37と対応する各分岐部33a〜33cの延びる方向を記録用紙12の搬送方向に対して直交させることができる。
【0082】
・第1実施形態において、各陰極35〜37のうちいずれか1つを省略してもよい。
・第1及び第2実施形態において、高圧水銀ランプ32の各電極間距離を任意の幅を持つ記録用紙に合わせて適宜変更してもよい。
【0083】
・第1及び第2実施形態において、A4、B4、A3サイズ以外のサイズの記録用紙12の幅と対応する電極間距離を有する電極を適宜追加してもよい。
・各実施形態において、高圧水銀ランプ32の代わりにメタルハライドランプを紫外線ランプとして用いてもよい。すなわち、紫外線硬化性を有するインクを硬化することが可能であれば、紫外線ランプとしてどのようなランプを用いてもよい。
【0084】
・各実施形態において、記録用紙12は巻き取り紙(連続紙)であってもよい。この場合、搬送ベルト19は省略される。
・第3実施形態において、高圧水銀ランプ32における陽極70及び陰極71は、柔軟部70a及び柔軟部71aを省略するとともに、先端側と基端側とに分断し、該分断した先端側が基端側に摺接するようにそれぞれ構成してもよい。このようにすれば、陽極70及び陰極71の先端側を基端側に摺接させながら移動させることで、陽極70と陰極71との距離を調節することができる。
【0085】
・第3実施形態において、高圧水銀ランプ32における陽極70及び陰極71にうち、一方を固定し、他方を一方に対して近接及び離間する方向に移動可能に構成してもよい。
・インクジェット式プリンター11は、記録ヘッドを水平方向に移動させながら停止状態の記録用紙12にインクを噴射するシリアルヘッドプリンターであってもよい。
【0086】
・記録用紙12の代わりにプラスチックフィルムなどをターゲットとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0087】
11…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター、12…ターゲットとしての記録用紙、14…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、19a…支持面、32…紫外線ランプとしての高圧水銀ランプ、35…第2電極としての第1陰極、36…第2電極としての第2陰極、37…第2電極としての第3陰極、38…第1電極としての陽極、43…冷却手段としての第1冷却ファン、44…冷却手段としての第2冷却ファン、45…冷却手段としての第3冷却ファン、72…電極間距離変更手段を構成する磁性体、73…電極間距離変更手段を構成する連結部材、74…電極間距離変更手段を構成する磁石、75…電極間距離変更手段を構成するロッド、76…電極間距離変更手段を構成するアクチュエーター、82…冷却手段としての冷却ファン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、紫外線硬化性のインクを用いたインクジェット式プリンターなどの液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体噴射ヘッドから液体を噴射させる液体噴射装置としてインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)が広く知られている。こうしたプリンターの中には、紫外線硬化性を有するインクを用いるものがある(例えば、特許文献1)。この特許文献1のプリンターでは、搬送ベルト(支持面)に支持されながら搬送される記録媒体(ターゲット)にヘッドユニット(液体噴射ヘッド)から紫外線硬化性を有するインク(液体)を吐出した後、該インクが付着した記録媒体に対し、光源としてメタルハライドランプ(紫外線ランプ)を使用した紫外線照射部から紫外線を照射することで印刷を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−83510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のプリンターでは、記録媒体の幅の大きさに拘わらず、紫外線照射部による紫外線の照射範囲が常に一定であるため、幅の小さい記録媒体の印刷を行う場合には、搬送ベルト上における記録媒体が存在しない領域にも紫外線が照射されることとなる。このため、この搬送ベルト上における記録媒体が存在しない領域が紫外線によって劣化してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能な液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、支持面に支持されたターゲットに紫外線硬化性を有する液体を噴射する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドから前記ターゲットに噴射された前記液体に紫外線を照射する紫外線ランプとを備え、前記紫外線ランプは、前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する電極間での放電により発光する。
【0007】
この発明によれば、紫外線ランプがターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する電極間での放電により発光するため、ターゲットの幅が変化しても、紫外線ランプからの紫外線が直接支持面に照射されることが抑制される。したがって、ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能となる。
【0008】
本発明の液体噴射装置において、前記紫外線ランプを冷却するための冷却手段をさらに備え、前記冷却手段は前記紫外線ランプの前記対向する電極間の距離に合わせて冷却範囲が設定される。
【0009】
この発明によれば、紫外線ランプにおいて温度が高くなる発光部(対向する電極間)が主に冷却されることで、紫外線ランプの温度が安定するため、効率のよい紫外線照射を実現することが可能となる。
【0010】
本発明の液体噴射装置において、前記紫外線ランプは、前記ターゲットの幅方向における一方側に配置された少なくとも1つの第1電極と、該第1電極と対向する他方側に配置されるとともに該第1電極からの距離が互いに異なる複数の第2電極とを備えており、前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する前記第1電極と前記第2電極との間で放電する。
【0011】
この発明によれば、紫外線ランプにおける第1電極の数を第2電極の数よりも少なくすることで、第1電極の数と第2電極の数とを同じにする場合に比べて、電極の数を低減することが可能となる。
【0012】
本発明の液体噴射装置において、前記紫外線ランプは、電極間の距離が互いに異なる複数対の電極を備えており、前記各対の電極のうち前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する一対の電極間で放電する。
【0013】
この発明によれば、各対の電極のうちターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する一対の電極間で選択的に放電することで、ターゲットの幅が変化しても、紫外線ランプからの紫外線が直接支持面に照射されることが抑制される。したがって、ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能となる。
【0014】
本発明の液体噴射装置において、前記紫外線ランプの電極間の距離を前記ターゲットの幅に合わせて変更する電極間距離変更手段を備えた。
この発明によれば、電極間距離変更手段によって紫外線ランプの電極間の距離をターゲットの幅に合わせて変更することで、ターゲットの幅が変化しても、紫外線ランプからの紫外線が直接支持面に照射されることが抑制される。したがって、ターゲットを支持する支持面が紫外線ランプからの紫外線によって劣化することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態のインクジェット式プリンターの構成を示す模式図。
【図2】同プリンターにおける紫外線照射ユニットの断面模式図。
【図3】同紫外線照射ユニットにおける高圧水銀ランプの平面模式図。
【図4】同プリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図5】第1実施形態の高圧水銀ランプにおいて、陽極と第1陰極との間で放電したときの状態を示す平面模式図。
【図6】第1実施形態の高圧水銀ランプにおいて、陽極と第2陰極との間で放電したときの状態を示す平面模式図。
【図7】第1実施形態の高圧水銀ランプにおいて、陽極と第3陰極との間で放電したときの状態を示す平面模式図。
【図8】第2実施形態における高圧水銀ランプの平面模式図。
【図9】第3実施形態における高圧水銀ランプの平面模式図。
【図10】第3実施形態における紫外線照射ユニットの断面模式図。
【図11】変更例の高圧水銀ランプの構成を示す平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1及び図3に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0017】
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター11は、いわゆるラインヘッドプリンターであり、ターゲットとしての記録用紙12(本実施形態では枚葉紙)を搬送するための搬送ユニット13と、該搬送ユニット13の上方に該搬送ユニット13と対向するように固定状態で配置された液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド14とを備えている。
【0018】
搬送ユニット13は左右方向に長い矩形板状のプラテン15を備えている。プラテン15の右側には前後方向に延びる駆動ローラー16が駆動モーター17によって回転駆動可能に配置される一方、プラテン15の左側には前後方向に延びる従動ローラー18が回転可能に配置されている。駆動ローラー16及び従動ローラー18には、プラテン15を囲むように、1つの無端状の搬送ベルト19が巻き回されている。
【0019】
そして、駆動モーター17により駆動ローラー16を前側から見て(図1において)時計方向に回転駆動することで、搬送ベルト19が駆動ローラー16及び従動ローラー18の外側を前側から見て時計方向に周回移動(駆動)されるようになっている。この場合、搬送ベルト19の内側の面はプラテン15の上面を左側から右側に向かって摺動するとともに、搬送ベルト19上の記録用紙12は上流側である左側から下流側である右側に向かって搬送されるようになっている。
【0020】
また、プラテン15の上面と対向する位置にある記録用紙12は、吸引手段(図示略)によって搬送ベルト19越しにプラテン15側に吸引されるようになっている。なお、搬送ベルト19の外側の面は記録用紙12を支持する支持面19aとされている。
【0021】
図1に示すように、記録ヘッド14は、前後方向における幅が最大サイズの記録用紙12の幅よりも若干長い直方体状をなしており、搬送ユニット13によって搬送される記録用紙12に液体としての紫外線硬化性を有するインクを噴射するための複数のノズル20を備えている。そして、記録ヘッド14にはインクカートリッジ(図示略)から紫外線硬化性を有するインクが供給されるようになっており、該インクを記録ヘッド14の各ノズル20から搬送ユニット13によって搬送される記録用紙12に対してそれぞれ噴射することで印刷が行われるようになっている。
【0022】
また、従動ローラー18の左斜め上側には、複数枚の未印刷の記録用紙12を1枚ずつ順次搬送ベルト19上に給紙するための上下一対の給紙ローラー21が設けられている。一方、駆動ローラー16の右斜め上側には、印刷後の記録用紙12を1枚ずつ搬送ベルト19上から排紙するための上下一対の排紙ローラー22が設けられている。さらに、記録用紙12の搬送経路における給紙ローラー21の上流側(左側)には記録用紙12の前後方向の幅(サイズ)を検出するための紙幅センサー23が配置されている。
【0023】
なお、記録ヘッド14の右側の位置であってプラテン15と対向する位置には、記録ヘッド14から噴射されて記録用紙12上に付着した紫外線硬化性を有するインクに紫外線を照射して硬化させるための紫外線照射ユニット24が配置されている。
【0024】
次に、紫外線照射ユニット24の構成について詳述する。
図2に示すように、紫外線照射ユニット24は下側が開口した四角箱状をなすケース30を備えており、ケース30内には略半円筒状をなす反射板31が配置されている。すなわち、反射板31は下側が開口するように配置されるとともに断面視で放物線状をなしている。反射板31内には紫外線照射ユニット24の光源となる紫外線ランプとしての高圧水銀ランプ32が前後方向に延びるように配置されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、高圧水銀ランプ32は前後方向に延びる石英ガラス製の発光管33を備えており、該発光管33の内部には高純度の水銀と少量の希ガス(例えばアルゴンなど)が封入されている。発光管33における前方側は水平方向において3つの分岐部に分岐しており、これら3つの分岐部は左側から順に第1分岐部33a、第2分岐部33b、第3分岐部33cとされている。
【0026】
第3分岐部33cは前方に向かって真っ直ぐに延びており、第2分岐部33bは第3分岐部33cの左側において左斜め前方に向かって真っ直ぐに延びており、第1分岐部33aは第2分岐部33bの左側において左斜め前方に向かって真っ直ぐに延びている。第3分岐部33cは第2分岐部33bよりも長さが長くなっているとともに、第2分岐部33bは第1分岐部33aよりも長さが長くなっている。
【0027】
各分岐部33a〜33cの先端部には第2電極としての陰極が絶縁性の支持部材34によって支持された状態でそれぞれ挿入されている。そして、これら3つの陰極のうち、第1分岐部33aと対応するものは第1陰極35とされ、第2分岐部33bと対応するものは第2陰極36とされ、第3分岐部33cと対応するものは第3陰極37とされている。一方、発光管33の後端部には第1電極としての陽極38が支持部材34によって支持された状態で挿入されている。
【0028】
したがって、図1及び図3に示すように、搬送ユニット13によって搬送される記録用紙12の幅方向である前後方向において、陽極38と第3陰極37との間の距離は陽極38と第2陰極36との間の距離よりも長くなっているとともに、陽極38と第2陰極36との間の距離は陽極38と第1陰極35との間の距離よりも長くなっている。
【0029】
そして、本実施形態では、前後方向において、陽極38と第3陰極37との間の距離がA3サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、陽極38と第2陰極36との間の距離がB4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、陽極38と第1陰極35との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定されている。なお、発光管33内は完全な密閉状態になっている。
【0030】
図3に示すように、陽極38及び各陰極35〜37は、陽極38と各陰極35〜37との間に電圧が印加されるように電線39を介してそれぞれ電源59に接続されている。この場合、電線39における各陰極35〜37側は3つの分岐電線39aに分岐して各陰極35〜37にそれぞれ電気的に接続されている。そして、各分岐電線39aのうち、第1陰極35に接続されるものには第1スイッチ回路40が設けられ、第2陰極36に接続されるものには第2スイッチ回路41が設けられ、第3陰極37に接続されるものには第3スイッチ回路42が設けられている。
【0031】
図2に示すように、紫外線照射ユニット24のケース30の上壁における高圧水銀ランプ32と対応する位置には、左右方向に隣接して並ぶように、高圧水銀ランプ32を冷却するための3つの冷却ファンが設けられている。これら3つの冷却ファンは、左から順に第1冷却ファン43、第2冷却ファン44、第3冷却ファン45とされている。なお、本実施形態では、各冷却ファン43〜45により冷却手段が構成されている。
【0032】
図2及び図3に示すように、反射板31の上壁には、高圧水銀ランプ32における陽極38と第1陰極35との間の領域である第1発光部Aと対応する矩形状の第1送風口46が貫通するように形成されている。さらに、反射板31の上壁には、高圧水銀ランプ32における陽極38と第2陰極36との間の領域である第2発光部Bと対応する矩形状の第2送風口47、及び陽極38と第3陰極37との間の領域である第3発光部Cと対応する矩形状の第3送風口48がそれぞれ貫通するように形成されている。各送風口46〜48は後方側で互いに連通しており、該各送風口46〜48は各送風路49〜51を介して各冷却ファン43〜45にそれぞれ接続されている。
【0033】
次に、インクジェット式プリンター11の電気的構成について説明する。
図4に示すように、インクジェット式プリンター11は、該インクジェット式プリンター11の稼働状態を制御する制御部52を備えている。制御部52は、記録ヘッド14、紙幅センサー23、各スイッチ回路40〜42、駆動モーター17、給紙ローラー21、排紙ローラー22、及び各冷却ファン43〜45とそれぞれ電気的に接続されている。そして、制御部52は、紙幅センサー23が検出した記録用紙12の幅(サイズ)に基づいて記録ヘッド14からのインクの噴射状態、各スイッチ回路40〜42のオンオフ状態、及び各冷却ファン43〜45の駆動状態を制御するとともに、駆動モーター17、給紙ローラー21、及び排紙ローラー22の駆動状態を制御する。
【0034】
次に、インクジェット式プリンター11の作用について説明する。
(A4サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA4サイズであった場合には、図5に示すように、第1スイッチ回路40がオン状態にされるとともに、第2スイッチ回路41及び第3スイッチ回路42がオフ状態にされる。すると、発光管33内における陽極38と第1陰極35との間に電圧が印加されて放電が起こることで第1発光部Aが発光する。これにより、第1発光部Aから放たれる紫外線は、A4サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0035】
続いて、第2冷却ファン44及び第3冷却ファン45が停止した状態で第1冷却ファン43が駆動されると、送風路49及び第1送風口46を介して発光管33における第1発光部Aと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第1発光部Aが選択的に冷却される。
【0036】
続いて、駆動モーター17、給紙ローラー21、及び排紙ローラー22が駆動されると、A4サイズの記録用紙12が搬送経路に沿って上流側から下流側へ向かって搬送される。そして、記録ヘッド14の各ノズル20から搬送ベルト19の支持面19aに支持された状態でプラテン15上を搬送される記録用紙12に向けてインクが噴射されると、該記録用紙12上に該インクが付着する。
【0037】
この記録用紙12に付着したインクは、該記録用紙12が高圧水銀ランプ32の下側を搬送される際に、該高圧水銀ランプ32の第1発光部Aから放たれる紫外線を受けて瞬時に硬化して該記録用紙12に定着し、該記録用紙12の印刷が完了する。このとき、前後方向(記録用紙12の幅方向)において、第1発光部Aの幅がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値になるように設定されているため、第1発光部Aから放たれる紫外線は、ほとんどが記録用紙12に照射される。
【0038】
すなわち、第1発光部Aから放たれる紫外線は、搬送ベルト19の支持面19a上における記録用紙12から前後方向に外れた領域に直接照射されることが効果的に抑制される。したがって、搬送ベルト19の支持面19aが高圧水銀ランプ32からの紫外線によって劣化することが抑制される。なお、印刷済みの記録用紙12は排紙ローラー22により搬送ベルト19の支持面19a上から排紙される。
【0039】
(B4サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがB4サイズであった場合には、図6に示すように、第2スイッチ回路41がオン状態にされるとともに、第1スイッチ回路40及び第3スイッチ回路42がオフ状態にされる。すると、発光管33内における陽極38と第2陰極36との間に電圧が印加されて放電が起こることで第2発光部Bが発光する。これにより、第2発光部Bから放たれる紫外線は、B4サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0040】
続いて、第1冷却ファン43及び第3冷却ファン45が停止した状態で第2冷却ファン44が駆動されると、送風路50及び第2送風口47を介して発光管33における第2発光部Bと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第2発光部Bが選択的に冷却される。
【0041】
続いて、駆動モーター17、給紙ローラー21、及び排紙ローラー22が駆動されると、B4サイズの記録用紙12が搬送経路に沿って上流側から下流側へ向かって搬送される。そして、記録ヘッド14の各ノズル20から搬送ベルト19の支持面19aに支持された状態でプラテン15上を搬送される記録用紙12に向けてインクが噴射されると、該記録用紙12上に該インクが付着する。
【0042】
この記録用紙12に付着したインクは、該記録用紙12が高圧水銀ランプ32の下側を搬送される際に、該高圧水銀ランプ32の第2発光部Bから放たれる紫外線を受けて瞬時に硬化して該記録用紙12に定着し、該記録用紙12の印刷が完了する。このとき、前後方向(記録用紙12の幅方向)において、第2発光部Bの幅がB4サイズの記録用紙12の幅と同じ値になるように設定されているため、第2発光部Bから放たれる紫外線は、ほとんどが記録用紙12に照射される。
【0043】
すなわち、第2発光部Bから放たれる紫外線は、搬送ベルト19の支持面19a上における記録用紙12から前後方向に外れた領域に直接照射されることが効果的に抑制される。したがって、搬送ベルト19の支持面19aが高圧水銀ランプ32からの紫外線によって劣化することが抑制される。なお、印刷済みの記録用紙12は排紙ローラー22により搬送ベルト19の支持面19a上から排紙される。
【0044】
(A3サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA3サイズであった場合には、図7に示すように、第3スイッチ回路42がオン状態にされるとともに、第1スイッチ回路40及び第2スイッチ回路41がオフ状態にされる。すると、発光管33内における陽極38と第3陰極37との間に電圧が印加されて放電が起こることで第3発光部Cが発光する。これにより、第3発光部Cから放たれる紫外線は、A3サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0045】
続いて、第1冷却ファン43及び第2冷却ファン44が停止した状態で第3冷却ファン45が駆動されると、送風路51及び第3送風口48を介して発光管33における第3発光部Cと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第3発光部Cが選択的に冷却される。
【0046】
続いて、駆動モーター17、給紙ローラー21、及び排紙ローラー22が駆動されると、A3サイズの記録用紙12が搬送経路に沿って上流側から下流側へ向かって搬送される。そして、記録ヘッド14の各ノズル20から搬送ベルト19の支持面19aに支持された状態でプラテン15上を搬送される記録用紙12に向けてインクが噴射されると、該記録用紙12上に該インクが付着する。
【0047】
この記録用紙12に付着したインクは、該記録用紙12が高圧水銀ランプ32の下側を搬送される際に、該高圧水銀ランプ32の第3発光部Cから放たれる紫外線を受けて瞬時に硬化して該記録用紙12に定着し、該記録用紙12の印刷が完了する。このとき、前後方向(記録用紙12の幅方向)において、第3発光部Cの幅がA3サイズの記録用紙12の幅と同じ値になるように設定されているため、第3発光部Cから放たれる紫外線は、ほとんどが記録用紙12に照射される。
【0048】
すなわち、第3発光部Cから放たれる紫外線は、搬送ベルト19の支持面19a上における記録用紙12から前後方向に外れた領域に直接照射されることが効果的に抑制される。したがって、搬送ベルト19の支持面19aが高圧水銀ランプ32からの紫外線によって劣化することが抑制される。なお、印刷済みの記録用紙12は排紙ローラー22により搬送ベルト19の支持面19a上から排紙される。
【0049】
このように、記録用紙12のサイズ(前後方向の幅)が変わっても、該記録用紙12のサイズに応じた電極間距離を持つ陽極38と各陰極35〜37との組み合わせを選択し、該選択した電極間で放電されるので、高圧水銀ランプ32の発光長(発光部の長さ)が記録用紙12の幅とほぼ一致するようになる。このため、記録用紙12のサイズに応じた高圧水銀ランプ32による紫外線照射が行われる。したがって、搬送ベルト19の支持面19aにおける記録用紙12が存在しない領域に紫外線照射が行われることが抑制され、無駄な紫外線照射や支持面19aの紫外線劣化が抑えられる。
【0050】
以上、詳述した第1実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)高圧水銀ランプ32が記録用紙12のサイズ(前後方向の幅)に対応した距離をおいて対向する電極間(陽極38と各陰極35〜37との間)での放電により発光するため、記録用紙12のサイズが変化しても、高圧水銀ランプ32からの紫外線が記録用紙12から外れて直接搬送ベルト19の支持面19aに照射されることを抑制することができる。したがって、記録用紙12を支持する搬送ベルト19の支持面19aが紫外線によって劣化することを抑制することができるとともに、搬送ベルト19の支持面19aにおける記録用紙12が存在しない領域に高圧水銀ランプ32によって無駄な紫外線照射が行われることを抑制することができる。
【0051】
(2)高圧水銀ランプ32における各発光部A〜Cのうち放電によって温度が高くなっている発光部のみが冷却されるように、各冷却ファン43〜45が記録用紙12のサイズ(前後方向の幅)に応じて選択的に駆動されるので、発光管33の温度を安定させることができる。したがって、記録用紙12に対し、高圧水銀ランプ32による効率のよい紫外線照射を実現することができる。
【0052】
因みに、各発光部A〜Cのいずれか1つにおいて放電が起こっている場合に、各冷却ファン43〜45を全て駆動して各発光部A〜Cの全てを冷却すると、各発光部A〜Cのうちの放電が起こっていない発光部の温度が下がり過ぎて発光管33内の水銀蒸気が凝結するおそれがある。このため、高圧水銀ランプ32による記録用紙12への紫外線照射効率が低下してしまうこととなる。
【0053】
(3)高圧水銀ランプ32は、1つの陽極38と3つの陰極35〜37との間で個別に放電させることができるので、陽極と陰極との数を同数にする場合に比べて、電極の数を低減することができる。すなわち、高圧水銀ランプ32を構成する部品点数を低減することができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
この第2実施形態は、図8に示すように、上記第1実施形態において、高圧水銀ランプ32の発光管33を直管状にするとともに、該発光管33に三対の電極を設けたものである。これら各対の電極は、水平面において左右方向に並んで配置されており、左側から順に、第1陽極60及び第1陰極35、第2陽極61及び第2陰極36、第3陽極62及び第3陰極37によってそれぞれ構成されている。
【0055】
電源59から延びる電線39における各陽極60〜62側は3つの分岐電線39bに分岐して各陽極60〜62にそれぞれ電気的に接続されている。各分岐電線39bのうち、第1陽極60に接続されるものには第4スイッチ回路63が設けられ、第2陽極61に接続されるものには第5スイッチ回路64が設けられ、第3陽極62に接続されるものには第6スイッチ回路65が設けられている。そして、制御部52は、各スイッチ回路63〜65と電気的に接続されており、該各スイッチ回路63〜65のオンオフ状態を制御するようになっている。
【0056】
本実施形態では、前後方向において、第3陽極62と第3陰極37との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、第2陽極61と第2陰極36との間の距離がA3サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、第1陽極60と第1陰極35との間の距離がB4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定されている。
【0057】
高圧水銀ランプ32において、第1陽極60と第1陰極35との間の領域は第4発光部Dとされ、第2陽極61と第2陰極36との間の領域は第5発光部Eとされ、第3陽極62と第3陰極37との間の領域は第6発光部Fとされている。また、第1送風口46は第4発光部Dと対応しており、第1冷却ファン43の駆動により第1送風口46から発光管33における第4発光部Dと対応する部分に空気が吹き付けられるようになっている。
【0058】
さらに、第2送風口47は第5発光部Eと対応しており、第2冷却ファン44の駆動により第2送風口47から発光管33における第5発光部Eと対応する部分に空気が吹き付けられるようになっている。またさらに、第3送風口48は第6発光部Fと対応しており、第3冷却ファン45の駆動により第3送風口48から発光管33における第6発光部Fと対応する部分に空気が吹き付けられるようになっている。
【0059】
次に、インクジェット式プリンター11の作用について説明する。
(A4サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA4サイズであった場合には、各スイッチ回路40〜42,63〜65のうち第3スイッチ回路42及び第6スイッチ回路65のみがオン状態にされる。すると、発光管33内における第3陽極62と第3陰極37との間に電圧が印加されて放電が起こることで第6発光部Fが発光する。これにより、第6発光部Fから放たれる紫外線は、A4サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0060】
続いて、第1冷却ファン43及び第2冷却ファン44が停止した状態で第3冷却ファン45が駆動されると、第3送風口48から発光管33における第6発光部Fと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第6発光部Fが選択的に冷却される。
【0061】
(A3サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA3サイズであった場合には、各スイッチ回路40〜42,63〜65のうち第2スイッチ回路41及び第5スイッチ回路64のみがオン状態にされる。すると、発光管33内における第2陽極61と第2陰極36との間に電圧が印加されて放電が起こることで第5発光部Eが発光する。これにより、第5発光部Eから放たれる紫外線は、A3サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0062】
続いて、第1冷却ファン43及び第3冷却ファン45が停止した状態で第2冷却ファン44が駆動されると、第2送風口47から発光管33における第5発光部Eと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第5発光部Eが選択的に冷却される。
【0063】
(B4サイズの記録用紙12の印刷)
さて、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがB4サイズであった場合には、各スイッチ回路40〜42,63〜65のうち第1スイッチ回路40及び第4スイッチ回路63のみがオン状態にされる。すると、発光管33内における第1陽極60と第1陰極35との間に電圧が印加されて放電が起こることで第4発光部Dが発光する。これにより、第4発光部Dから放たれる紫外線は、B4サイズの記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0064】
続いて、第2冷却ファン44及び第3冷却ファン45が停止した状態で第1冷却ファン43が駆動されると、第1送風口46から発光管33における第4発光部Dと対応する部分に空気が吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている第4発光部Dが選択的に冷却される。
【0065】
以上、詳述した第2実施形態によれば、上記(1)及び(2)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(4)高圧水銀ランプ32の発光管33が直管状であるため、上記第1実施形態の場合に比べて高圧水銀ランプ32を小さくすることができ、ひいてはインクジェット式プリンター11の小型化に寄与できる。
【0066】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態を上記第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
この第3実施形態は、図9に示すように、上記第2実施形態において、高圧水銀ランプ32における発光管33に一対の電極を設け、該電極間の距離を変更可能に構成したものである。すなわち、この電極は陽極70と陰極71とで構成されており、陽極70及び陰極71の中間部には柔軟に湾曲可能な柔軟部70a及び柔軟部71aがそれぞれ形成されている。
【0067】
発光管33内の左側面上における陽極70及び陰極71の先端部と対応する位置には、ブロック状の磁性体72が前後方向に沿ってそれぞれ摺動可能に設けられている。各磁性体72は絶縁性の連結部材73を介して陽極70及び陰極71の先端部とそれぞれ連結されている。発光管33の左側であって各磁性体72と対向する位置にはブロック状の磁石74がそれぞれ配置されており、各磁石74はロッド75を介してそれぞれ発光管33の前後両側に配置されたアクチュエーター76に連結されている。
【0068】
各アクチュエーター76は、制御部52と電気的に接続されており、該制御部52によって駆動制御されるようになっている。そして、各磁石74は、各磁性体72に磁力が及ぶ範囲で発光管33から離間しており、各アクチュエーター76の駆動により各ロッド75を介して前後方向に移動されるようになっている。
【0069】
また、電源59から延びる電線39にはスイッチ回路77が設けられている。スイッチ回路77は、制御部52と電気的に接続されており、該制御部52によってオンオフ状態が制御されるようになっている。なお、本実施形態では、各磁性体72、各連結部材73、各磁石74、各ロッド75、及び各アクチュエーター76によって電極間距離変更手段が構成されている。
【0070】
図9及び図10に示すように、紫外線照射ユニット24において、反射板31の上壁には、高圧水銀ランプ32と対応するように矩形状の送風口78が貫通するように形成されている。反射板31の上面上には、送風口78を覆うための矩形状をなす前後一対の遮風板79が摺動可能に配置されている。各遮風板79は、前後方向の長さが送風口78の前後方向の長さの半分よりも若干長く、左右方向の幅が送風口78の左右方向の幅よりも若干大きい。そして、前後方向における各遮風板79の内側の端縁は、上下方向において陽極70及び陰極71のそれぞれの先端とほぼ対応している。
【0071】
また、各磁石74の上面からは真上に向かって連結棒80が延びており、該各連結棒80は反射板31の上壁に貫通するように形成された貫通孔81に挿通された後、各遮風板79の左側壁にそれぞれ接続されている。したがって、各遮風板79は、各磁石74と一体に移動するようになっている。
【0072】
さらに、紫外線照射ユニット24のケース30の上壁における反射板31の送風口78と対応する位置には、送風口78を介して高圧水銀ランプ32に送風して冷却するための冷却手段としての1つの冷却ファン82が設けられている。冷却ファン82は制御部52と電気的に接続されており、該制御部52によって駆動制御されるようになっている。
【0073】
次に、インクジェット式プリンター11の作用について説明する。
さて、記録用紙12の印刷を行う場合には、まず、スイッチ回路77がオン状態にされる。すると、発光管33内における陽極70と陰極71との間に電圧が印加されて放電が起こることで、発光管33内における陽極70と陰極71との間の領域である発光部Gが発光する。これにより、発光部Gから放たれる紫外線は、記録用紙12の搬送経路に向かって、直接照射されるとともに反射板31を介しても照射される。
【0074】
続いて、冷却ファン82が駆動されると、該冷却ファン82から送風口78を介して高圧水銀ランプ32に空気が吹き付けられる。引き続き、紙幅センサー23により未印刷の記録用紙12のサイズを検出した結果、該記録用紙12のサイズがA4サイズであった場合には、陽極70と陰極71との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値になるように、各アクチュエーター76を駆動して各磁石74を前後方向に移動させる。
【0075】
すなわち、各磁石74を移動させると、該各磁石74による磁力によって各磁性体72がそれぞれ該各磁石74とともに前後方向に移動し、この各磁性体72の移動により、各連結部材73を介して陽極70と陰極71とが前後方向に移動される。これと同時に、各磁石74の移動に伴って、各遮風板79もそれぞれ前後方向に移動する。そして、陽極70と陰極71との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値になると、送風口78がほぼ発光部Gと対応する領域だけ開口した状態で各遮風板79によって覆われる。
【0076】
このため、冷却ファン82から高圧水銀ランプ32に向けて吹き付けられる空気のうち送風口78の開口部分を通るもの以外は、全て各遮風板79によって遮られる。したがって、冷却ファン82から送られる空気は、発光管33における発光部Gと対応する部分に対して主に吹き付けられる。これにより、放電によって温度が高くなっている発光部Gが選択的に冷却される。
【0077】
なお、記録用紙12のサイズがA3サイズ、B4サイズ、あるいはこれら以外のサイズであった場合には、紙幅センサー23によって検出された記録用紙12の幅に合わせて陽極70と陰極71との間の距離(発光長)が調節される。
【0078】
以上、詳述した第3実施形態によれば、上記(1)、(2)及び(4)に記載の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
(5)各磁石74の移動によって陽極70と陰極71とをそれぞれ移動させることができるので、陽極70と陰極71との間の距離(発光長)を無段階で調節することができる。
(変更例)
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
【0079】
・図11に示すように、第1実施形態において、発光管33を直管状にするとともに、各陰極35〜37を該発光管33の周壁に配置するようにしてもよい。なお、この場合においても、前後方向において、陽極38と第3陰極37との間の距離がA3サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、陽極38と第2陰極36との間の距離がB4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定され、陽極38と第1陰極35との間の距離がA4サイズの記録用紙12の幅と同じ値に設定される。
【0080】
・第1実施形態において、高圧水銀ランプ32における陽極38を各陰極35〜37の数に合わせて3つにしてもよい。このようにすれば、陽極38の寿命を延ばすことができる。
【0081】
・第1実施形態において、高圧水銀ランプ32を、その後端を回動中心として水平面に沿って回動可能に構成してもよい。このようにすれば、使用する各陰極35〜37と対応する各分岐部33a〜33cの延びる方向を記録用紙12の搬送方向に対して直交させることができる。
【0082】
・第1実施形態において、各陰極35〜37のうちいずれか1つを省略してもよい。
・第1及び第2実施形態において、高圧水銀ランプ32の各電極間距離を任意の幅を持つ記録用紙に合わせて適宜変更してもよい。
【0083】
・第1及び第2実施形態において、A4、B4、A3サイズ以外のサイズの記録用紙12の幅と対応する電極間距離を有する電極を適宜追加してもよい。
・各実施形態において、高圧水銀ランプ32の代わりにメタルハライドランプを紫外線ランプとして用いてもよい。すなわち、紫外線硬化性を有するインクを硬化することが可能であれば、紫外線ランプとしてどのようなランプを用いてもよい。
【0084】
・各実施形態において、記録用紙12は巻き取り紙(連続紙)であってもよい。この場合、搬送ベルト19は省略される。
・第3実施形態において、高圧水銀ランプ32における陽極70及び陰極71は、柔軟部70a及び柔軟部71aを省略するとともに、先端側と基端側とに分断し、該分断した先端側が基端側に摺接するようにそれぞれ構成してもよい。このようにすれば、陽極70及び陰極71の先端側を基端側に摺接させながら移動させることで、陽極70と陰極71との距離を調節することができる。
【0085】
・第3実施形態において、高圧水銀ランプ32における陽極70及び陰極71にうち、一方を固定し、他方を一方に対して近接及び離間する方向に移動可能に構成してもよい。
・インクジェット式プリンター11は、記録ヘッドを水平方向に移動させながら停止状態の記録用紙12にインクを噴射するシリアルヘッドプリンターであってもよい。
【0086】
・記録用紙12の代わりにプラスチックフィルムなどをターゲットとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0087】
11…液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター、12…ターゲットとしての記録用紙、14…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、19a…支持面、32…紫外線ランプとしての高圧水銀ランプ、35…第2電極としての第1陰極、36…第2電極としての第2陰極、37…第2電極としての第3陰極、38…第1電極としての陽極、43…冷却手段としての第1冷却ファン、44…冷却手段としての第2冷却ファン、45…冷却手段としての第3冷却ファン、72…電極間距離変更手段を構成する磁性体、73…電極間距離変更手段を構成する連結部材、74…電極間距離変更手段を構成する磁石、75…電極間距離変更手段を構成するロッド、76…電極間距離変更手段を構成するアクチュエーター、82…冷却手段としての冷却ファン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持面に支持されたターゲットに紫外線硬化性を有する液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
該液体噴射ヘッドから前記ターゲットに噴射された前記液体に紫外線を照射する紫外線ランプとを備え、
前記紫外線ランプは、前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する電極間での放電により発光することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記紫外線ランプを冷却するための冷却手段をさらに備え、
前記冷却手段は前記紫外線ランプの前記対向する電極間の距離に合わせて冷却範囲が設定されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記紫外線ランプは、前記ターゲットの幅方向における一方側に配置された少なくとも1つの第1電極と、該第1電極と対向する他方側に配置されるとともに該第1電極からの距離が互いに異なる複数の第2電極とを備えており、前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する前記第1電極と前記第2電極との間で放電することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記紫外線ランプは、電極間の距離が互いに異なる複数対の電極を備えており、前記各対の電極のうち前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する一対の電極間で放電することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記紫外線ランプの電極間の距離を前記ターゲットの幅に合わせて変更する電極間距離変更手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項1】
支持面に支持されたターゲットに紫外線硬化性を有する液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
該液体噴射ヘッドから前記ターゲットに噴射された前記液体に紫外線を照射する紫外線ランプとを備え、
前記紫外線ランプは、前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する電極間での放電により発光することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記紫外線ランプを冷却するための冷却手段をさらに備え、
前記冷却手段は前記紫外線ランプの前記対向する電極間の距離に合わせて冷却範囲が設定されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記紫外線ランプは、前記ターゲットの幅方向における一方側に配置された少なくとも1つの第1電極と、該第1電極と対向する他方側に配置されるとともに該第1電極からの距離が互いに異なる複数の第2電極とを備えており、前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する前記第1電極と前記第2電極との間で放電することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記紫外線ランプは、電極間の距離が互いに異なる複数対の電極を備えており、前記各対の電極のうち前記ターゲットの幅に対応した距離をおいて対向する一対の電極間で放電することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記紫外線ランプの電極間の距離を前記ターゲットの幅に合わせて変更する電極間距離変更手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−136522(P2011−136522A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299064(P2009−299064)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]