説明

液体圧送装置

【課題】 給気弁体が変位し難くなることを防止できる液体圧送装置を提供する。
【解決手段】 密閉容器2に作動流体導入口11と作動流体排出口13と液体流入口16及び液体排出口17が設けられ、密閉容器2内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口11の給気弁口24を開閉する給気弁体21と作動流体排出口13の排気弁口32を開閉する排気弁体30の開閉を切り換える液体圧送装置1において、給気弁体21に給気弁体21を開弁操作する下部昇降棒22を一体的に取り付けて、下部昇降棒22を下部案内部材20aで上下に案内すると共に、給気弁体21の周囲に給気弁体21の外面が摺接する複数のリブ26aを設けて給気弁体21の外面を複数のリブ26aの内面で上下に案内し、リブ26aの周囲に円筒形フィルタ23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に関するものである。本発明の液体圧送装置は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る装置として特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体圧送装置は、例えば特許文献1に開示されている。これは、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体と作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、給気弁体に給気弁体を開弁操作する下部昇降棒を一体的に取り付けて、下部昇降棒を下部案内部材で上下に案内すると共に、給気弁体に上部昇降棒を一体的に取り付けて、上部昇降棒を上部案内部材で上下に案内したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−309285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の液体圧送装置は、下部昇降棒と上部昇降棒がそれぞれ下部案内部材と上部案内部材で上下に案内されるので給気弁体と下部昇降棒及び上部昇降棒が傾き難くなるものである。しかしながら、下部昇降棒と下部案内部材との間や上部昇降棒と上部案内部材との間に流体中の異物を噛み込み易いために、給気弁体が変位し難くなる問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、給気弁体が変位し難くなることを防止できる液体圧送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の液体圧送装置は、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体と作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、給気弁体に給気弁体を開弁操作する下部昇降棒を一体的に取り付けて、下部昇降棒を下部案内部材で上下に案内すると共に、給気弁体の周囲に給気弁体の外面が摺接する複数のリブを設けて給気弁体の外面を複数のリブの内面で上下に案内し、リブの周囲に円筒形フィルタを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給気弁体に給気弁体を開弁操作する下部昇降棒を一体的に取り付けて、下部昇降棒を下部案内部材で上下に案内すると共に、給気弁体の周囲に給気弁体の外面が摺接する複数のリブを設けて給気弁体の外面を複数のリブの内面で上下に案内し、リブの周囲に円筒形フィルタを設けたことにより、下部昇降棒が下部案内部材で上下に案内されて傾き難くなると共に、給気弁体が複数のリブの内面で上下に案内されて傾き難くなり、流体中の異物が円筒形フィルタにより捕捉されて下部昇降棒と下部案内部材との間や給気弁体とリブとの間に流体中の異物を噛み込み難くなり給気弁体が変位し難くなることを防止できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる液体圧送装置の断面図である。
【図2】図1の給気弁の閉弁状態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図2を参照して説明する。本実施例の液体圧送装置1は密閉容器2内にフロート3と切替え弁4及びスナップ機構5が配されたものである。密閉容器2は本体部7と蓋部8が図示しないネジによって結合され、内部に液体溜空間10が形成されたものである。蓋部8には作動流体導入口11,作動流体排出口13,液体流入口16,液体排出口17が設けられている。作動流体導入口11の内側に給気弁18が取り付けられ、作動流体排出口13の内側に排気弁19が取り付けられている。給気弁18は弁ケース20と給気弁体21及び下部昇降棒22によって構成される。弁ケース20は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の上部に給気弁口24が形成されている。弁ケース20の中間部の周囲壁には給気弁口24と密閉容器2内方側とを連通する4つの開口25が設けられている。給気弁体21は球状で給気弁口24の作動流体導入口11側に位置し、下端に下部昇降棒22が溶接により一体的に取り付けられている。給気弁体21の上方のキャップ26の下端に給気弁体21の周囲に伸びる複数の例えば4本のリブ26aを形成する。リブ26aの内面は総て同心円上に位置し、その同心円の直径は給気弁体21の直径よりも少し大きくし、給気弁体21の外面が緩く摺接することにより給気弁体21を上下に案内する。キャップ26の下部外周と弁ケース20の上端との間のリブ26aの周囲に円筒形フィルタ23を設ける。円筒形フィルタ23は流体中の異物を捕捉する多数の濾し孔を有する。下部昇降棒22は弁ケース20の内面に形成した小径内周壁からなる下部案内部材20aにより上下に摺動自在に案内される。下部昇降棒22の下部は密閉容器2内方側に抜け、連設板27に当接するようになっている。連設板27は弁軸操作棒28に連結され、弁軸操作棒28はスナップ機構5と連結されている。排気弁19は弁ケース29と排気弁体30と昇降棒31によって構成される。弁ケース29は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の上部に排気弁口32があり、排気弁口32の下から昇降棒31の上端に保持固定された排気弁体30が当接して開閉を行うものである。昇降棒31の下端はピンで弁軸操作棒28に連結されている。給気弁18と排気弁19で切替え弁4が構成され、給気弁18が開くと排気弁19は閉じ、給気弁18が閉じると排気弁19は開く。
【0010】
フロート3はフロートアーム34と揺動軸35を介してブラケット36によって支持されている。ブラケット36は図示しないネジによって密閉容器2の蓋部8に一体的に取り付けられている。スナップ機構5はフロートアーム34と副アーム37及び圧縮状態のコイルバネ38によって構成される。フロートアーム34は平行に対向した2枚の板よりなり、左端にフロート3が固着され、右側部が揺動軸35によって回転可能に支持されている。従って、フロート3は揺動軸35を中心として上下に揺動する。フロートアーム34の中央部に揺動軸35と平行な第1の軸39が掛け渡されている。第1の軸39に第1バネ受け部材40が回転可能に支持されている。また、揺動軸35には副アーム37が回転可能に支持されている。副アーム37は平行に対向した2枚の板よりなり、左端部に揺動軸35と平行な第2の軸41が掛け渡されている。第2の軸41に第2バネ受け部材42が回転可能に支持されている。第1及び第2のバネ受け部材40,42の間に圧縮状態のコイルバネ38が配置されている。フロートアーム34には半円状に長孔43が設けられ、長孔43内に揺動軸35と平行なストッパー軸44がブラケット36によって支持されている。ストッパー軸44は副アーム37の回転範囲を規制する。副アーム37の右端部に揺動軸35と平行な連結軸45が貫通して取り付けられ、連結軸45に動力伝達軸28の下端が連結されている。揺動軸35と平行でフロートアーム34の揺動範囲を規制するストッパー軸51,52がブラケット36によって支持されている。
【0011】
次に本実施例の液体圧送装置1の作用について、作動流体として蒸気を用いた場合の一連の動作手順を追うことによって説明する。まず液体圧送装置1の外部配管は作動流体導入口11が高圧の蒸気源に接続され、作動流体排出口13は蒸気循環配管に接続される。液体流入口16は外部から液体溜空間10に向かって開く逆止弁(図示せず)を介して蒸気使用装置等の負荷に接続され、液体排出口17は液体溜空間10から外部に向かって開く逆止弁(図示せず)を介してボイラー等の液体圧送先へ接続される。本実施例の液体圧送装置1の液体溜空間10内に復水が無い場合は、図1に示すようにフロート3は底部に位置する。このとき、切替え弁4における給気弁18が閉じられ、排気弁19が開かれている。そして、蒸気使用装置等の負荷内で復水が発生すると、復水は圧送液体流入口16から液体圧送装置1に流下して、液体溜空間10内に溜る。液体溜空間10内に溜った復水によってフロート3が浮上すると、フロートアーム34が揺動軸35を中心に時計回り方向に回転し、コイルバネ38との連結部である第1の軸39が上方に移動して揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上に近付き、コイルバネ38が圧縮変形する。そしてフロート3が更に浮上して第1の軸39が揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上を越えると、コイルバネ38が急激に変形を回復し、副アーム37が反時計回り方向に回転して連結軸45が上方にスナップ移動する。その結果、連結軸45に連結された動力伝達軸28が上側にスナップ移動し、給気弁18が開かれると共に排気弁19が閉じられる。下部昇降棒22を下部案内部材20aで上下に案内すると共に、給気弁体21をリブ26aで上下に案内することにより、簡単な構造で給気弁体21と下部昇降棒22の傾きを防止できる。また、リブ26aの周囲に円筒形フィルタ23を設けたことにより、流体中の異物が円筒形フィルタ23により捕捉されて下部昇降棒22と下部案内部材20aとの間や給気弁体21とリブ26aとの間に流体中の異物を噛み込み難くなる。
【0012】
給気弁18が開かれて作動流体導入口11が開放されると、密閉容器2内に高圧蒸気が導入され、内部の圧力が上昇し、液体溜空間10に溜った復水は、蒸気圧に押されて圧送液体排出口17から図示しない逆止弁を介して外部のボイラーや廃熱利用装置へ排出される。復水の排出によって復水溜空間10内の水位が低下すると、フロート3が降下して、フロートアーム34が揺動軸35を中心に反時計回り方向に回転し、コイルバネ38との連結部である第1の軸39が下方に移動して揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上に近付き、コイルバネ38が圧縮変形する。そしてフロート3が更に降下して第1の軸39が揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上を越えると、コイルバネ38が急激に変形を回復し、副アーム37が時計回り方向に回転して連結軸45が下方にスナップ移動する。その結果、連結軸45に連結された動力伝達軸28が下側にスナップ移動し、給気弁18が閉じられると共に排気弁19が開かれる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る復水圧送装置に限らず、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 液体圧送装置
2 密閉容器
3 フロート
4 切替え弁
5 スナップ機構
10 液体溜空間
11 作動流体導入口
13 作動流体排出口
16 液体流入口
17 液体排出口
18 給気弁
19 排気弁
20a 下部案内部材
21 給気弁体
22 下部昇降棒
23 円筒形フィルタ
24 給気弁口
26 キャップ
26a リブ
30 排気弁体
32 排気弁口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体と作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、給気弁体に給気弁体を開弁操作する下部昇降棒を一体的に取り付けて、下部昇降棒を下部案内部材で上下に案内すると共に、給気弁体の周囲に給気弁体の外面が摺接する複数のリブを設けて給気弁体の外面を複数のリブの内面で上下に案内し、リブの周囲に円筒形フィルタを設けたことを特徴とする液体圧送装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−87832(P2012−87832A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233007(P2010−233007)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】