説明

液体媒体内で摩擦を利用する装置に取り付けられる摩擦材料の製法

【課題】 大きくかつ安定した摩擦係数、高い作動圧力での加熱に対する高い抵抗性、及び良好な耐摩耗性を有する液体媒体用の摩擦材料の製法を提供する。
【解決手段】 ファイバーの混合物を調製し;混合物をカーディング加工して、カードウェブを形成し;カードウェブをラップ加工し;得られたラップをニードリング加工し;得られたマットに熱硬化性樹脂を含浸させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、液体媒体内で摩擦を利用する装置に取り付けられる摩擦材料、この摩擦材料を製造する方法、およびこの摩擦材料が取り付けられた装置である。
【0002】
より詳細には、この摩擦材料は、平らなリングまたは切頭円錐体のような形状を有し、この摩擦材料が取り付けられる装置は、オイル内で作動する自動ギアボックス用、またはこれに連動するクラッチまたはブレーキディスク、もしくはオイル内で作動する手動操作式ギアボックス用同期化リングまたはコーン(円錐体)であり、この装置は車両に設置される。
【背景技術】
【0003】
上記の用途のために従来使用されている摩擦材料には、3つのタイプ、すなわちペーパータイプ材料、焼結材料およびグラファイト含有成型材料がある。
【0004】
ペーパータイプの材料は、主として、樹脂が含浸されたセルロースファイバーからなっている。
【0005】
この材料は、通常の製紙方法を使用する湿式方法、すなわち、樹脂を含む水溶液内に、セルロースファイバー(繊維)を分散し、次にスピニングをし、乾燥するという方法によって得られる。
【0006】
この方法には、平均長さが1mmよりも短いファイバーを必ず使用する。
【0007】
このタイプの材料は、温度が150℃に達すると急激に劣化するという欠点を有する。この急速に劣化する温度150℃は、摩擦材料が設けられた装置が、高速度で大トルクを狭いスペース内で伝達または吸収しなければならない場合の温度であり、この場合の速度は、次第に高速になりつつある。
【0008】
次に、この条件は、一方では熱エンジンのパワーが増加することにより、また、他方ではエンジントルクを伝達するための装置の寸法が小さくなっていることによって生じており、これにより、摩擦装置のグリップ圧力を増加する必要が生じている。
【0009】
焼結材料は、このような欠点を有していないが、ペーパータイプの材料とは異なり、摩擦係数は低い。
【0010】
更に、この材料は、損傷を与えるような振動およびノイズを発生する。
【0011】
グラファイトを含有する成型タイプの材料は、価格が相当に高く、かつトルクを安定的に伝達することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、特に、摩擦係数が大きく、かつ安定であり、大作動圧力での加熱に対する抵抗力が大きく、耐摩耗性も良好である、液体媒体のための摩擦材料を提供することにより、上記欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の液体媒体用摩擦材料は、熱硬化性タイプの樹脂を含浸したファイバーのマットから成り、かつこのファイバーの長さは、少なくとも12mmであることを特徴としている。
【0014】
本発明のその他の特徴は、次のとおりである:
−ファイバーの平均長さは、最大で120mmである。
−ファイバーは、ガラス、ウール、綿、セラミック、ポリアクリロニトリル、予め酸化されたポリアクリロニトリルおよびアラミドのファイバーの群から選択される。
−マットには、粉体状の充填剤が混入される。この充填剤は、次の素成分または配合剤、すなわち、銅、ロックウール、炭素(コークスまたは還元された粉体状のカーボンファイバー、グラファイト)、珪酸ジルコニウム、硫化鉄、アルミナ、ゴムおよび珪藻のすべて、またはその一部を含む。
−マットには、パルプ状の充填剤が混入される。この充填剤は、次の配合剤、すなわち、ガラス、アラミド、アクリルおよびフェノールファイバーのパルプのすべて、または一部を含む。
−熱硬化性タイプの樹脂は、有極性溶剤、好ましくは水性溶剤を含む。
−熱硬化性樹脂には、ラテックスまたは粉体状の充填剤が添加されている。この充填剤は、次の素成分または配合剤、すなわち、銅、ロックウール、炭素(コークスまたは還元された粉体状のカーボンファイバー、グラファイト)、珪酸ジルコニウム、硫化鉄、アルミナ、ゴムおよび珪藻のすべて、またはその一部を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の摩擦材料を製造する方法は、次の工程、すなわち、
(a)ミキサー内で、上記のような同じ性質または異なる性質のファイバーの混合物を製造する工程と、
(b)カードウェブを形成するように、前記混合物をカーディング加工する工程と、
(c)カードウェブをラップ加工する工程と、
(d)上記のようにして形成されたラップをニードリング加工する工程と、
(e)ニードリング加工されたマットに熱硬化性樹脂を含浸する工程と、
(f)含浸されたマットを乾燥する工程と
を有することを特徴とする。
【0016】
その他の特徴は、次のとおりである:
−上記工程(b)と工程(c)との間で、上記のような粉体状の充填剤の液を、カードウェブ上に散布する。
−工程(e)の前に、熱硬化性樹脂に上記のような充填剤を添加する。
−工程(e)の前に、上記のような充填剤を含む希釈液または分散液を、ニードリング加工されたマットに、そのコアまで含浸させる。
−ウールタイプのカードにより、カーディング作業を実行する。
−ニードリング作業の前に、予備的ニードリング作業を行う。
−溶液状の樹脂または水に分散された樹脂を入れたタンク内でソーキングすることにより、樹脂の含浸を実行する。
−乾燥作業の前に、圧搾または脱水作業を行なう。
−乾燥後または乾燥中に、マットを巻き取る。
【0017】
この方法の変形例では、次の作業を含んでいる:
(a)ミキサー内で同じ性質または異なる性質のファイバーの混合物を製造する工程。
(b)カードウェブを形成するように、上記混合物をカーディング加工する工程。
(c')次の素成分、すなわち銅、ロックウール、炭素(コークスおよび/または還元された粉体状のカーボンファイバー、グラファイト)、珪酸ジルコニウム、硫化鉄、アルミナ、ゴムおよび珪藻のすべてまたはその一部を含む粉体状の充填剤および粉体状の樹脂をカードウェブ上に散布する工程。
(d')樹脂の流れを確実にするように、マットを適当な温度にしながら、マットをプレスする工程。
【0018】
摩擦材料がコーティングされた装置を製造するための本発明の方法は、次のとおりである:
(g)リングまたは1つのリングを形成する複数のセクタを、マットから切断または打ち抜きし、
(i)リングまたは1つのリングを形成する複数のセクタを、モールドの底部に置き、
(j)モールド内のリングまたは1つのリングを形成する複数のセクタ上に、金属サポートを置き、
(k)適当な場合、前記リングまたは1つのリングを形成する前記複数のセクタと反対側の金属サポート上に、第2リングまたは1つのリングを形成する複数のセクタを置き、
(l)モールドを閉じるピストンの運動を制御し、かつ規制するように、シムを配置した状態でモールドを閉じ、
(m)モールド内で圧力を加えながら加熱し、前記リングの付着力、また前記第2リングが設置されている場合には、金属サポートへの前記第2リングの付着をも確実とし、
(n)モールドを開けて、摩擦材料で被覆された装置を冷却する。
【0019】
変形例として、工程(g)を、この工程と同一ではあるが、上記工程(d)と工程(e)との間で実施される工程(h)と置換できる。
【0020】
本発明のその他の特徴または組み合わせは、次のとおりである:
−モールドおよびピストンは平らな底部を有する。
−モールドの底部に溝が設けられている。
−モールドおよびピストンは切頭円錐形状である。
−ピストンの運動を制限するシムは、摩擦材料の多孔性を20〜70%の間にするような大きさである。
−加熱温度は、130〜220℃の間である。
【0021】
添付図面を参照しながら、下記の本発明の実施例の説明を読めば、本発明の製品および本発明の方法の別の特徴および利点が明らかになると思う。
【0022】
次の重量組成のファイバーから、4つのファイバーマット(実施例A、B、C、D)を製造する。
【表1】

【0023】
使用する各ファイバーの平均長さは、次のとおりである。
−グラスファイバー:50mm
−綿ファイバー:18mm
−セラミックファイバー:12mm
−PANファイバー:42mm
【0024】
ミキサー内で製造された上記ファイバーまたはそれらのファイバーの混合物を、送りシュート(4)を有するウールタイプのカード(3)のための送り装置(2)のホッパー(1)(図1)内へ導入する。
【0025】
散布装置(5)によって、形成されたカードウェブ上に、カード(3)からの排出部で粉体状の充填剤を散布する(実施例CおよびD)。
【0026】
粉体状の充填剤は、次のような組成を有する(重量組成は上記ファイバーの重量部を意味する)。
【表2】

【0027】
次に、このカードウェブを、ラッパー(6)によりラップ加工し、こうして形成されたラップを2つの段階でニードリング加工する。すなわち、ローラー(7)を備えたプリニードラーによる予備ニードリング加工と、ニードラー(8)によるニードリング加工の2つの加工をする。
【0028】
こうして製造されたニードリング加工された不織材料のマットを、図示した実施例では、製造設備の第1部分からの排出部においてロール(9)に巻く。ロール(9)を、製造設備の第2部分まで搬送し、摩擦材料の製造方法の残りの部分のために配分する(図2)。
【0029】
変形例(図示せず)として、製造設備の第1部分のすぐ後に第2部分を設け、ニードリング加工した不織マットを巻き付けないようにする方法がある。
【0030】
ニードリング加工されたマットを、カット(切断)ステーション(10)へ送り、ここで、図3に示すようなリング(11)またはセクタ(12)、または摩擦材料がとるべき他の任意の形状にカットアウト(打抜き)する。
【0031】
カットアウトされないマット部分、すなわちスケルトンは、後にリサイクルするためにワインダー(13)へ向けられる。
【0032】
カットアウトされた成形品(11)または(12)を、溶液内または水に分散された熱硬化性の1つ以上の樹脂を含む含浸浴(14)内へ搬送する。含浸浴は、ファイバーおよび充填剤に対して、先に示した比率と一致するように、重量部で表示された次の重量組成となっている。
【表3】

【0033】
一般的には、次のタイプの樹脂を使用できる。
−フェノールプラスチック樹脂(レゾルまたはノボラック);
−アミノアルデヒド樹脂(ユリアホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドまたはそれらの組み合わせ);
−エポキシ(エポキサイド)樹脂;
−ポリイミド樹脂
【0034】
含浸の終了時に、まず浴内(コンベア(16))で圧搾を行い、次に、浴外(ローラー(17))で圧搾を行う。
【0035】
図示していない変形例として、カットアウトされた成形品(11)、(12)を、含浸浴内でのソーキングの後に水切りする。
【0036】
次に、カットアウトされた成形品(11)、(12)を、赤外線乾燥トンネル(18)へ導入して包装する。
【0037】
変形例として、成形品をカットアウトする作業を、含浸、圧搾または脱水および乾燥の後で実施してもよい。
【0038】
この場合、図3に示すように、カットステーションへ運搬するように、含浸されたマットを巻くことができる。
【0039】
カットアウトされた成形品、すなわち、リングまたは1つのリングを形成する複数のセクタをモールドに入れる。このモールドの底部は、摩擦材料を使用する機器に応じて平坦であるか、切頭円錐形または他の形状、あるいは溝状等である。
【0040】
モールド内のリングまたは複数のセクタ上に、金属サポートを置く。
【0041】
適当であれば、リングまたはリングを形成する複数のセクタと反対側の金属サポート上に、第2リングを置く。
【0042】
モールド内のリングまたはリングを形成する複数のセクタ上に、金属サポートを置く。
【0043】
適当であれば、リングまたはリングを形成する複数のセクタと反対側の金属サポート上に、第m2リングを置く。
【0044】
モールドを閉じる。この場合、モールドを閉じるピストンの運動を制御し、かつ制限するように、シムが配置されている。
【0045】
モールド内に圧力を加えながら加熱すると、更に前記リングの付着力は強化され、また前記第2リングを置いてある場合には、金属サポートへの第2リングの付着力が強化される。
【0046】
モールドを開け、摩擦材料でコーティングされた装置を冷却する。
【0047】
ピストンの運動を制限するシムは、摩擦材料の多孔性が20〜70%の間であり、加熱温度が130℃〜220℃の間になるような大きさにすると有利である。
【0048】
ペーパータイプの公知の摩擦材料との比較テストを実施するため、次の重量組成で、摩擦材料(クラッチディスク)の2つのサンプルを製造した。
−セルロースファイバー:30%(長さ:2〜20mm)
−フェノール樹脂:31%
−珪藻:23%
−アラミドファイバー:10%(長さ:6〜20mm)
−石英:5%
−硫酸ナトリウム:1%
【0049】
上記実施例A、B、CおよびDの組成物から、本発明に従って製造した4つのシリーズの3種類のクラッチ摩擦ディスクおよび上記組成を有するペーパータイプの2つのシリーズの3種類のクラッチ摩擦ディスクに対し、下記の条件で耐久試験を行った。
【0050】
同じ実施例と対応する同一シリーズからの3つのディスクを、SAE II規格(米国規格)によって定められたタイプの試験装置に入れる。
【0051】
114℃としたオイル浴内で試験を実施する。循環しているオイルの流量を、毎秒2〜3リットルとする。
【0052】
このテストでは、3つのシリーズのサイクルを実行する。各サイクルは、遠心質量部材を毎分3600回転の回転速度で回転させ、これが停止するまで制動する作業から成っている。
【0053】
各サイクルが終了した後、遠心質量部材を再び上記速度で回転させる。
【0054】
各サイクルをスタートさせる間に、30秒のインターバルを設ける。
【0055】
第1のテストシリーズは、50サイクルから成り、ディスクをグリップする単位面積圧力は0.5Mpaであり、慣性力は0.213m2・kgである。
【0056】
第2のシリーズは、2400サイクルから成り、ディスクをグリップする単位面積圧力は1.5Mpaであり、慣性力は0.501m2・kgである。
【0057】
第3シリーズは、第1シリーズと同じである。
【0058】
図4のグラフは上記耐久試験中の6つのサンプルのダイナミック摩擦係数の変化を示す。
【0059】
500〜800サイクルの間で、ペーパーライニングは破壊されるが、本発明による摩擦材料は、2500サイクル(テスト終了時)経過後も無傷のままであることが分かる。
【0060】
更に、試験中、本発明の材料の摩擦係数は、ペーパータイプの材料と極めて近似したレベルで極めて安定であることが分かる。
【0061】
変形実施例も適用できる。
【0062】
特に、ガラス、アラミド、アクリルおよびフェノールファイバーのパルプのグループから選択したパルプ状の充填剤を、マットに混入することができる。
【0063】
更に、マット上に充填剤を散布する代わりに、またはマットに充填剤を散布した上で、液状樹脂内に充填剤を混入することも、問題なく可能である。
【0064】
マット用の第1含浸浴を構成する適当な液体内で、充填剤を希釈または分散させてもよく、次に樹脂の添加を確実にするよう、第2含浸を実行する。
【0065】
更に、充填剤と同時に、マットに散布する粉体状の固体樹脂を使用することも可能である。この場合、このマットを、2秒間60℃で正しい厚さとなるようにプレスする。この変形例では、ニードリングまたは含浸を行わない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の方法を実行するための設備の第1部分の機能図である。
【図2】図1に示す設備の第2部分の機能図である。
【図3】摩擦リングおよびセクタからの打抜き要領を示す図である。
【図4】比較テストをまとめた一連のグラフを示す図である。
【符号の説明】
【0067】
(1)ホッパー
(2)送り装置
(3)カード
(4)送りシュート
(5)散布装置
(6)ラッパー
(7)プリニードラー
(8)ニードラー
(9)ロール
(10)カットステーション
(11)リング
(12)セクタ
(13)ワインダー
(14)含浸浴
(16)コンベア
(17)ローラー
(18)赤外線乾燥トンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体媒体内で摩擦を利用する装置、例えば、自動ギアボックス用又はこの自動ギアボックスと連動するクラッチ又はブレーキディスク、もしくは手動操作式ギアボックス用同期化リング、又はコーンに取り付けられる摩擦材料を製造する方法であって、
(a)ミキサーにおいて、同じ性質又は異なる性質のファイバーであって、長さ少なくとも12mmを有するファイバーの混合物を製造する工程;
(b)前記混合物をカーディング加工して、カードウェブを形成する工程;
(c)カードウェブをラップ加工する工程;
(d)形成されたラップをニードリング加工する工程;
(e)ニードリング加工して得られたマットに熱硬化性樹脂を含浸させる工程;
(f)含浸したマットを乾燥する工程;
を包含すること特徴とする、摩擦材料の製法。
【請求項2】
工程(b)と工程(c)との間で、銅、ロックウール、炭素(コークス又は還元された粉体状のカーボンファイバー、グラファイト)、珪酸ジルコニウム、硫化鉄、アルミナ、ゴム及び珪藻のすべて又は一部を含有する粉体状の充填剤をカードウェブ上に散布することを特徴とする、請求項1記載の製法。
【請求項3】
工程(e)以前に、銅、ロックウール、炭素(コークス又は還元された粉体状のカーボンファイバー、グラファイト)、珪酸ジルコニウム、硫化鉄、アルミナ、ゴム及び珪藻のすべて又は一部を含有する粉体状の充填剤を、熱硬化性樹脂に添加することを特徴とする、請求項1又は2記載の製法。
【請求項4】
銅、ロックウール、炭素(コークス又は還元された粉体状のカーボンファイバー、グラファイト)、珪酸ジルコニウム、硫化鉄、アルミナ、ゴム及び珪藻のすべて又は一部を含有する粉体状の充填剤を含む希釈液又は分散液体による、ニードリング加工して得られたマットの含浸作業を、工程(e)の前に行なうことを特徴とする、請求項1記載の製法。
【請求項5】
ウールタイプのカードによりカーディング加工を実行することを特徴とする、請求項1記載の製法。
【請求項6】
ニードリング加工前に、予備的ニードリング加工を行うことを特徴とする、請求項1記載の製法。
【請求項7】
樹脂の含浸を、溶液内に含まれた又は水中に分散された樹脂を収容するタンク内におけるソーキングによって実行することを特徴とする、請求項1記載の製法。
【請求項8】
乾燥前に、圧搾又は脱水を行うことを特徴とする、請求項1記載の製法。
【請求項9】
乾燥後又は乾燥中に、マットを巻き取ることを特徴とする、請求項1記載の製法。
【請求項10】
液体媒体内で摩擦を利用する装置、例えば、自動ギアボックス用又はこの自動ギアボックスと連動するクラッチ又はブレーキディスク、もしくは手動操作式ギアボックス用同期化リング、又はコーンに取り付けられる摩擦材料を製造する方法であって、
(a)ミキサーにおいて、同じ性質又は異なる性質のファイバーであって、長さ少なくとも12mmを有するファイバーの混合物を製造する工程;
(b)上記混合物をカーディング加工して、カードウェブを形成する工程;
(c')銅、ロックウール、炭素(コークス又は還元された粉体状のカーボンファイバー、グラファイト)、珪酸ジルコニウム、硫化鉄、アルミナ、ゴム及び珪藻のすべて又は一部を含有する粉体状の充填剤及び粉体状の樹脂をカードウェブ上に散布する工程;
(d')樹脂の流れを確実にするようにマットを適当な温度にしながら、マットをプレスする工程;
を包含することを特徴とする、摩擦材料の製法。
【請求項11】
(h)リング又は1つのリングを形成する複数のセクタを、マットからカットアウトする工程を包含することを特徴とする、請求項1又は10記載の製法。
【請求項12】
請求項11に記載の製法によって得られた摩擦材料にて被覆された装置を製造する方法であって、
(i)リング又は1つのリングを形成する複数のセクタを、モールドの底部に置く工程;
(j)モールド内において、リング又は1つのリングを形成する複数のセクタの上に金属サポートを置く工程;
(k)適当な場合、前記リング又は1つのリングを形成する前記複数のセクタと反対側の金属サポート上に、第2のリング又は1つのリングを形成する複数のセクタを置く工程;
(l)モールドを閉じるピストンの運動を制御及び規制するように配置されたシムを介して、モールドを閉じる工程;
(m)モールド内において、圧力下で加熱を行い、これにより、金属サポートへの、前記リング及び存在する場合には前記第2リングの付着を確実なものとする工程;
(n)モールドを開放し、摩擦材料にて被覆された装置を冷却する工程、
を包含すること特徴とする、摩擦材料にて被覆された装置の製法。
【請求項13】
ピストンの運動を制限するシムが、摩擦材料の多孔性を20〜70%とするような寸法であることを特徴とする、請求項12記載の製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−46652(P2006−46652A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215255(P2005−215255)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【分割の表示】特願平7−524991の分割
【原出願日】平成7年3月16日(1995.3.16)
【出願人】(391011618)
【氏名又は名称原語表記】VALEO
【Fターム(参考)】