説明

液体容器着脱装置および欠陥修正装置

【課題】欠陥修正装置内の任意の位置にある塗布機構に対して液体容器を着脱することができる、液体容器着脱装置および当該液体容器着脱装置を備える欠陥修正装置を提供する。
【解決手段】取り付け用インク容器交換装置20Aは、基板上に形成されたパターンの欠陥部にインクを塗布して修正するインク塗布機構10を備えた欠陥修正装置1において、インク塗布機構10にインクを保持するインク容器18を着脱するための取り付け用インク容器交換装置であって、インク容器18を保持可能な取り付けホルダ22と、インク塗布機構10との位置関係が固定されるように取り付けホルダ22を支持可能なホルダ保持台81Bとを備え、インク塗布機構10の可動範囲に対応して移動可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体容器着脱装置および欠陥修正装置に関するものであり、より特定的には、基板上に形成されたパターンの欠陥部に液体材料を塗布して欠陥部を修正する欠陥修正装置に用いられる液体容器着脱装置および当該液体容器着脱装置を備えた欠陥修正装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(Liquid Crystal Display)の大型化および高精細化が進められており、これに伴いLCDの画素数も増大している。そのため、LCDの生産工程において欠陥が発生する確率も高くなっており、欠陥を発生させることなくLCDを生産することが困難になっている。したがって、歩留まりの向上を図るために、LCDの生産ラインに欠陥修正装置を導入することが不可欠となっている。
【0003】
以下、LCDの一部材であるカラーフィルタの生産工程において発生する欠陥の形態とその修正方法について説明する。カラーフィルタの生産工程においては、色が抜けた白欠陥、隣の画素と色が混色した黒欠陥および異物が付着した異物欠陥などが発生する。白欠陥が発生した場合は、色が抜けた部分に本来有するべき色のインクを塗布することにより、欠陥を修正することができる。黒欠陥および異物欠陥が発生した場合は、たとえばレーザを欠陥部分に照射することにより、欠陥を除去して当該欠陥を白欠陥に変換したうえで、色が抜けた部分に本来有するべき色のインクを塗布することにより、欠陥を修正することができる(たとえば特許文献1および2参照)。
【0004】
特許文献2において提案されている欠陥修正装置では、欠陥修正用のインクが注入されたインク容器は、インクを塗布するための塗布針の先端部が貫通可能な位置に配置されている。また、塗布針の先端部をインク容器の底部の孔より出し入れすることにより、塗布針の先端部にインクを補給することができる。
【0005】
しかし、この欠陥修正装置においては、複数の塗布針およびインク容器が並んで設置されているため、インク容器を着脱する作業を行なうためのスペースは極めて狭い。そのため、インク容器を着脱する作業の効率が低いという問題点がある。また、不慣れな作業者がインク容器を着脱する作業を行なう場合には、作業スペースが狭いために、塗布針を損傷させたりインク容器を落下させる可能性があるという問題点がある。これに対し、たとえば特許文献3においては、インク容器の欠陥修正装置への確実な着脱を容易にするインク容器着脱装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−236933号公報
【特許文献2】特開2007−268354号公報
【特許文献3】特開2008−107564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3において提案されているインク容器着脱装置は、欠陥修正装置の特定の場所に固定されるものである。そのため、当該インク容器着脱装置は以下に示すような問題点を有する。
【0008】
まず、欠陥修正装置の設計上の都合によりインク容器着脱装置を設置する場所が制約される。そのためメンテナンス位置を自由に選択することができないという問題点がある。また、欠陥修正装置を設置する環境により、メンテナンス用のスペースが制約されることも想定される。
【0009】
また、当該インク容器着脱装置は欠陥修正装置の特定の場所に固定されるため、インク容器着脱装置へインク容器を着脱する作業は、欠陥修正装置内にて行なわれる。そのため、インク容器を着脱する作業の作業性が悪く、正確にインク容器を設置することが困難である場合も想定される。
【0010】
また、インク容器着脱装置を設置する際、各装置ごとに塗布針を含む塗布機構とインク容器着脱装置との位置関係を正確に調整する必要がある。また、その塗布機構とインク容器着脱装置との位置関係の情報を記憶させ、さらにその情報に基づいて塗布機構をインク容器着脱装置まで移動させるための手段が必要となる。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、欠陥修正装置内の任意の位置にある塗布機構に対して液体容器の着脱を可能にする液体容器着脱装置および当該液体容器着脱装置を備える欠陥修正装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に従った液体容器着脱装置は、基板上に形成されたパターンの欠陥部に液体材料を塗布して欠陥部を修正する塗布機構を備えた欠陥修正装置において、塗布機構に液体材料を保持する液体容器を着脱するための液体容器着脱装置である。この液体容器着脱装置は、液体容器を保持可能な容器保持部材と、塗布機構との位置関係が固定されるように容器保持部材を支持可能な支持部材とを備え、塗布機構の可動範囲に対応して移動可能となっている。
【0013】
本発明に従った液体容器着脱装置は、欠陥修正装置に備えられた塗布機構の可動範囲に対応して移動可能となっている。すなわち、当該液体容器着脱装置は、欠陥修正装置内において塗布機構が位置する任意の領域へ移動することができる。したがって、本発明に従った液体容器着脱装置によれば、欠陥修正装置内の任意の位置にある塗布機構に対して液体容器を着脱することができる。
【0014】
上記の液体容器着脱装置において、支持部材は、塗布機構に嵌合するための嵌合部を含んでいてもよい。これにより、塗布機構に対して液体容器着脱装置を嵌合により装着させることができる。
【0015】
上記の液体容器着脱装置において、支持部材は、塗布機構との間に磁力を発生させるための磁性部材を含んでいてもよい。これにより、塗布機構に対して液体容器着脱装置を磁力により装着させることができる。
【0016】
本発明に従った欠陥修正装置は、基板上に形成されたパターンの欠陥部に液体材料を塗布して欠陥部を修正する塗布機構と、塗布機構に液体容器を着脱するための液体容器着脱装置とを備えている。また、液体容器着脱装置は上記本発明の液体容器着脱装置である。
【0017】
本発明に従った欠陥修正装置は、塗布機構の可動範囲に対応して移動可能な液体容器着脱装置を備えている。すなわち、当該液体容器着脱装置は、欠陥修正装置内において塗布機構が位置する任意の領域へ移動することができる。したがって、本発明に従った欠陥修正装置によれば、欠陥修正装置内の任意の位置にある塗布機構に対して液体容器を着脱することができる。
【0018】
上記の欠陥修正装置は、液体容器着脱装置が装着されていることを感知する検出装置をさらに備えていてもよい。これにより、欠陥修正装置に液体容器着脱装置が装着されていることを容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明に従った液体容器着脱装置および当該液体容器着脱装置を備える欠陥修正装置によれば、欠陥修正装置内の任意の位置にある塗布機構に対して液体容器を着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態における欠陥修正装置の構成を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態における欠陥修正装置に含まれるインク塗布機構の構成を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態における取り付け用インク容器交換装置の構造を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態における取り外し用インク容器交換装置の構造を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態における欠陥修正装置に含まれるインク塗布機構に対してインク容器交換装置が装着される動作を示す概略斜視図である。
【図6】塗布部材、取り付けホルダおよびインク容器の構成を示す概略斜視図である。
【図7】インク容器が取り付けホルダに保持されている状態を示す概略斜視図である。
【図8】インク容器を塗布部材に取り付けるために、インク容器と塗布部材とを接触させた状態を示す概略斜視図である。
【図9】インク容器を塗布部材に取り付けるために、インク容器と塗布部材とを接触させた状態を示す概略部分断面図である。
【図10】インク容器の塗布部材への取り付けが完了した状態を示す概略斜視図である。
【図11】インク容器の塗布部材への取り付けが完了した状態を示す概略部分断面図である。
【図12】インク容器が塗布部材に保持されている状態を示す概略斜視図である。
【図13】インク容器を塗布部材から取り外すために、インク容器と取り外しホルダとが接触した状態を示す概略斜視図である。
【図14】インク容器を塗布部材から取り外すために、インク容器と取り外しホルダとが接触した状態を示す概略部分断面図である。
【図15】インク容器の取り外しが完了した状態を示す概略斜視図である。
【図16】インク容器の取り外しが完了した状態を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0022】
以下、本発明の一実施の形態における欠陥修正装置の構成について説明する。図1を参照して、本実施の形態における欠陥修正装置1は、ベース部材30と、塗布機構としてのインク塗布機構10と、レーザ照射部40と、観察光学系50と、移動装置60とを備えている。ベース部材30は、欠陥の修正対象であるカラーフィルタなどの基板を載置するためのステージ31を含んでいる。
【0023】
また、本実施の形態における欠陥修正装置1は、上記の構成の他に塗布機構としてのインク塗布機構10に液体容器としてのインク容器を着脱するための液体容器着脱装置であるインク容器交換装置(図3および図4参照)をさらに含んでいる。インク容器交換装置は、インク塗布機構10に対してインク容器を着脱する際に、インク塗布機構10に装着される。塗布機構としてのインク塗布機構10は、基板上に形成されたパターンの欠陥部に液体材料としてのインクを塗布することにより、基板の欠陥を修正する。インク塗布機構10は、インク容器交換装置を装着可能に構成されている。インク容器交換装置およびインク塗布機構10の構成および動作については後に説明する。
【0024】
レーザ照射部40は、基板にレーザ光を照射する。観察光学系50は、基板の表面を観察するために用いられる複数の対物レンズ51と、対物レンズ51を保持し、複数の対物レンズ51の中から所望の対物レンズ51を選択可能な電動レボルバ52と、CCD(Charge Coupled Device)カメラ53とを含んでいる。移動装置60は、Xテーブル62と、Yテーブル61と、Zテーブル63とを含んでいる。Zテーブル63は、インク塗布機構10、レーザ照射部40および観察光学系50をZ軸方向に移動可能に保持している。Xテーブル62は、Zテーブル63を、Z軸に直交するX軸方向に移動可能に保持している。さらに、Yテーブル61は、Xテーブル62を、Z軸およびX軸に直交するY軸方向に移動可能に保持している。
【0025】
以下、本実施の形態における欠陥修正装置1の動作について説明する。まず、電動レボルバ52により低倍率の対物レンズ51が選択された状態で、ステージ31上に載置された基板の欠陥がCCDカメラ53を通じて確認される。次に、電動レボルバ52により高倍率の対物レンズ51が選択され、欠陥の位置および状態が詳細に確認される。そして、必要に応じて当該欠陥にレーザ照射部40からレーザが照射されたうえで、インク塗布機構10によりインクが塗布され、欠陥が修正される。ここで、インクが消費され、インクの補充が必要になった場合、インク容器交換装置を用いて、インク塗布機構10からインク容器が取り外され、インクが補充されたインク容器が取り付けられる。このようにして、本実施の形態における欠陥修正装置1を用いた欠陥の修正が実施される。
【0026】
次に、インク塗布機構10の構成について、図2に基づいて説明する。インク塗布機構10は、基板の欠陥部にインクを塗布するための塗布針を含む塗布部材19を備えている。塗布部材19は、欠陥部に塗布されるインクを保持するインク容器18を取り付け可能に構成されている。
【0027】
インク塗布機構10は、並列した複数の塗布部材19を備えていることが好ましい。これにより、たとえば基板の欠陥部の修正において一の塗布部材19が保持するインク容器18に充填されたインクの残量が少なくなった場合、あるいは一の塗布部材19に含まれる塗布針が損傷した場合には、他の塗布部材19を使用することにより欠陥部の修正を継続して実施することができる。すなわち、当該インク塗布機構10によれば、インク容器18および塗布針を交換するために修正が中断されることがなく、そのため効率的に欠陥部の修正を実施することができる。
【0028】
塗布部材19に取り付けられたインク容器18に充填されるインクには、欠陥部の修正の目的に応じた種類のインクを適宜選択することができる。たとえば、カラーフィルタの着色画素において発生した欠陥を修正する場合には、赤、緑、青、黄、マゼンダおよびシアンなどの顔料を含むインクがインク容器18に充填されてもよい。また、カラーフィルタのブラックマトリクスにおいて発生した欠陥を修正する場合には、黒色の顔料を含むインクがインク容器18に充填されてもよい。
【0029】
インク塗布機構10は、上記のようにインク容器交換装置を装着可能に構成されている。具体的には、インク塗布機構10は、位置きめ案内棒13、第1磁石12aおよび第2磁石12bを含んでいる。位置きめ案内棒13は、後に説明するインク容器交換装置に含まれる案内穴と互いに嵌合可能に構成されている。また、第1磁石12aおよび第2磁石12bは、後に説明するインク容器交換装置に含まれる第3磁石および第4磁石と互いに引き合う向きの磁力を発生するように構成されている。
【0030】
また、インク塗布機構10は、インク容器交換装置が装着されていることを感知する検出装置としての交換ユニット検出センサ14をさらに備えている。これにより、インク塗布機構10にインク容器交換装置が装着されているか否かを容易に認識することができる。さらに、交換ユニット検出センサ14によれば、インク容器18を着脱する作業が完了した後に、作業者がインク塗布機構10よりインク容器交換装置を取り外し忘れることを回避することもできる。具体的には、交換ユニット検出センサ14による検出信号を用いたシーケンス制御により、インク塗布機構10にインク容器交換装置が装着された状態では欠陥修正装置が稼動することができないようなインタロック機構を設けることもできる。また、交換ユニット検出センサ14としては、たとえば反射型の検出センサが用いられてもよいが、これに限られるものではない。
【0031】
以下、インク容器交換装置の構造について、図3および図4に基づいて説明する。本実施の形態に係る液体容器着脱装置としてのインク容器交換装置は、基板上に形成されたパターンの欠陥部に液体材料としてのインクを塗布して欠陥部を修正する塗布機構としてのインク塗布機構10を備えた欠陥修正装置1において、インク塗布機構10にインクを保持する液体容器としてのインク容器を着脱するためのインク容器交換装置である。本実施の形態に係る液体容器交換装置には、取り付け用インク容器交換装置20A(図3参照)、および取り外し用インク容器交換装置20B(図4参照)が含まれる。取り付け用インク容器交換装置20Aおよび取り外し用インク容器交換装置20Bは、インク塗布機構10に対してインク容器を取り付ける場合、およびインク塗布機構10からインク容器を取り外す場合にそれぞれ用いられる。
【0032】
まず、図3を参照して、取り付け用インク容器交換装置20Aの構造について説明する。取り付け用インク容器交換装置20Aは、液体容器としてのインク容器18を保持可能な容器保持部材としての取り付けホルダ22と、インク塗布機構10との位置関係が固定されるように取り付けホルダ22を支持可能な支持部材としてのホルダ保持台81Bとを備えている。
【0033】
取り付けホルダ22は、取り付けホルダ本体22Aと、昇降棒93を有し取り付けホルダ本体22Aを保持するホルダ支持台82と、取り付けホルダ本体22Aとホルダ支持台82との間に配置され、インク容器(図示しない)が押付けられる向きの力を緩衝するばね91と、ホルダ支持台82に設置され、取り付けホルダ22Aに形成されたホルダレール88に嵌め込まれることにより、取り付けホルダ本体22Aをインク容器が押付けられる方向に移動可能に案内するガイド部材83と、ホルダ支持台82の端部に配置され、ホルダレール88がホルダ支持台82から突出しないように取り付けホルダ22Aの移動範囲を制限する板状のストッパ85とを備えている。ここで、ばね91のばね定数は、ホルダレール88をストッパ85に対して押付け、インク容器に作用する重力よりも大きい力が取り付けホルダ本体22Aに作用した場合、取り付けホルダ本体22Aがインク容器により押付けられる向きに退避する程度に設定されている。
【0034】
ホルダ保持台81Bは、ホルダ保持台本体81と、ホルダ保持台本体81に形成された保持台レール89と、ホルダ保持台81Bの端部に形成に配置された板状の第2ストッパ87とを備えている。また、取り付けホルダ22は、ホルダ支持台82に設置され、保持台レール89に嵌め込まれることにより、ホルダ支持台82をインク容器が押付けられる方向に移動可能に案内する第2ガイド部材84をさらに備えている。第2ガイド部材84は、第2ストッパ87により、ホルダ保持台81Bから突出しないように移動範囲が制限されている。
【0035】
支持部材としてのホルダ保持台81Bは、塗布機構としてのインク塗布機構10に嵌合するための嵌合部を含んでいる。具体的には、ホルダ保持台81Bに含まれるホルダ保持台本体81には、嵌合部としての案内穴86が形成されている。また、ホルダ保持台81Bは、塗布機構としてのインク塗布機構10との間に磁力を発生させるための磁性部材を含んでいる。具体的には、ホルダ保持台81Bに含まれるホルダ保持台本体81は、磁性部材としての第3磁石81aおよび第4磁石81bを含んでいる。
【0036】
上記のように、ホルダ保持台81Bに含まれる案内穴86は、インク塗布機構10に含まれる位置きめ案内棒13(図2を参照)と互いに嵌合可能に構成されている。また、ホルダ保持台81Bに含まれる第3磁石81aおよび第4磁石81bは、インク塗布機構10に含まれる第1磁石12aおよび第2磁石12b(図2を参照)と、互いに引き合う向きの磁力を発生するように構成されている。したがって、ホルダ保持台81Bに含まれる案内穴86、第3磁石81aおよび第4磁石81bと、インク塗布機構10に含まれる位置きめ案内棒13、第1磁石12aおよび第2磁石12bとにより、取り付け用インク容器交換装置20Aをインク塗布機構10へ容易にかつ正確に装着することができる。
【0037】
また、取り付けホルダ本体22Aには、インク塗布機構10に含まれる塗布部材19が有している第1磁性部材92aよりもインク容器を引き付ける磁力の小さい第2磁性部材92bが、インク容器が押付けられる面に露出するように配置されている。
【0038】
次に、図4を参照して、取り外し用インク容器交換装置20Bの構造について説明する。取り外し用インク容器交換装置20Bは、基本的には上記の取り付け用インク容器交換装置20Aと同様の構成を有している。しかし、取り外し用インク容器交換装置20Bは、取り付け用ホルダ本体22Aに配置されている第2磁性部材92bに代えて、第1磁性部材92aよりもインク容器を引き付ける磁力の大きい第3磁性部材92cが取り外しホルダ本体21Aに配置されている点で、取り付け用インク容器交換装置20Aとは異なっている。
【0039】
図1〜図4を参照して、取り付け用インク容器交換装置20Aおよび取り外し用インク容器交換装置20Bを含むインク容器交換装置は、塗布機構としてのインク塗布機構10の稼動範囲に対応して移動可能となっている。具体的には、インク容器交換装置は、欠陥修正装置1の特定の場所に移動不能に固定されていない。たとえば、取り付け用インク容器交換装置はハンディタイプのものであることが好ましい。すなわち、インク容器交換装置は、作業者の手によって、任意の位置に移動可能であることが好ましい。これにより、インク容器交換装置を、欠陥修正装置1の任意の位置にあるインク塗布機構10に装着することができる。たとえば、欠陥部の修正においてインクの残量が少なくなりインク容器の交換が必要となった場合には、インク塗布機構10を移動させることなく、インク容器交換装置を装着することができる。また、当該インク容器交換装置によれば、欠陥修正装置1の外にてインク容器交換装置にインク容器を脱着する作業を行うことが可能になる。これにより、インク容器を脱着する作業の作業性を大きく改善することができる。
【0040】
以下、欠陥修正装置1に含まれるインク塗布機構10へのインク容器交換装置の装着および取り外し動作について、図5に基づいて説明する。まず、基板上に形成されたパターンの欠陥部の修正において、インク塗布機構10が保持しているインク容器18に充填されたインクの残量が少なくなると、修正作業が中断される。
【0041】
次に、インクの残量が少なくなったインク容器18をインク塗布機構10より取り外すために、取り外し用インク容器交換装置20Bをインク塗布機構10に装着させる。このとき、インク塗布機構10に含まれる位置きめ案内棒13と取り外し用インク容器交換装置20Bに含まれる案内穴86とが互いに嵌合する。また、インク塗布機構10に含まれる第1磁石12aおよび第2磁石12bと、取り外し用インク容器交換装置20Bに含まれる第3磁石81aおよび第4磁石81bとの間には互いに引き合う向きの磁力が発生する。これにより、取り外し用インク容器交換装置20Bを、インク塗布機構10に対して容易にかつ正確に装着することができる。
【0042】
次に、取り外し用インク容器交換装置20Bにより、インクの残量が少なくなったインク容器18が取り外される。インク容器18の取り外しについては後に説明する。インク容器18の取り外しが完了した後、取り外し用インク容器交換装置20Bはインク容器18を保持しつつインク塗布機構10より取り外される。
【0043】
次に、インクが充填されたインク容器18をインク塗布機構10に取り付けるために、取り付け用インク容器交換装置20Aがインク塗布機構10に装着される。取り付け用インク容器交換装置20Aには、あらかじめインクが充填されたインク容器18が取り付けられる。次に、取り付け用インク容器交換装置20Aが保持するインク容器18がインク塗布機構10へ取り付けられる。インク容器18の取り付けについては後に説明する。インク容器18の取り付けが完了した後に、取り付け用インク容器交換装置20Aはインク塗布機構10より取り外される。以上に示した動作により、インク塗布機構10へのインク容器交換装置の装着および取り外しが実施される。
【0044】
以下、インク塗布機構10へのインク容器18の取り付けおよび取り外しについて説明する。まず、取り付け用インク容器交換装置20Aによる、インク塗布機構10へのインク容器18の取り付けについて説明する。
【0045】
図6を参照して、塗布部材19は、インクを塗布するための塗布針11と、インク容器18を保持するための第1磁性部材92aとを備えている。インク容器18は、樹脂を素材として形成されており、内部に形成されたインクを保持するインクタンクを閉じる蓋17と、磁性体を含み、第1磁性部材92aおよび第2磁性部材92bに磁力により吸着する機能を有し、インク容器18の本体を貫通する吸着用磁性部材としての吸着ピン15とを備えている。さらに、インク容器18には、2つの切欠部としてのU字切欠16が長手方向の両端に形成されている。取り付けホルダ22は、第1磁性部材92aよりもインク容器18の吸着ピン15を引き付ける向きの磁力が小さい第2磁性部材92bを備えている。さらに、取り付けホルダ22には、インク容器18の2つのU字切欠16に嵌合する2つの位置決めピン29が形成されている。
【0046】
インク容器18を塗布部材19に取り付けるためには、まず、図7に示すように、2つのU字切欠16が2つの位置決めピン29に嵌合するように、取り付けホルダ本体22A上にインク容器18が載置される。このとき、吸着ピン15と第2磁性部材92bとの間にはたらく磁力により、インク容器18は取り付けホルダ22に安定して保持される。次に、上記のように取り付け用インク容器交換装置20Aがインク塗布機構10に装着される。その後、インク容器18を塗布部材19に取り付けるために、インク容器18が保持された取り付けホルダ22Aを塗布部材19に接近させる。このとき、図3を参照して、取り付けホルダ22Aの塗布部材19への接近は、昇降棒93を保持し、ホルダ支持台82を塗布部材19に接近させることにより行なうことができる。
【0047】
次に、図8および図9を参照して、インク容器18と塗布部材19とが接触した状態では、インク容器18は、取り付けホルダ22と塗布部材19との両方に保持された状態となる。具体的には、図9を参照して、インク容器18と塗布部材19とが接触した状態では、塗布部材19の塗布針11が蓋17に形成された穴を貫通し、その先端がインクタンク18A内に保持されたインク18aに浸漬された状態となるとともに、第1磁性部材92aと吸着ピン15の一方の端面とが接触した状態となる。これにより、インク容器18は、第1磁性部材92aと吸着ピン15との間にはたらく磁力により、塗布部材19に保持されている。一方、インク容器18と取り付けホルダ22とは、図7に基づいて説明した状態が維持されている。これにより、第2磁性部材92bと吸着ピン15の他方の端面とが接触し、インク容器18は、第2磁性部材92bと吸着ピン15との間にはたらく磁力により、取り付けホルダ22に保持されている。
【0048】
ここで、図3を参照して、インク容器18と塗布部材19とが接触する際、ばね91の緩衝作用により、インク容器18により押付けられる向きに取り付けホルダ本体22Aが退避するため、接触の衝撃が緩衝されるとともに、誤って塗布針11とインク容器18とが接触した場合でも、塗布針11の破損の発生を抑制することができる。
【0049】
その後、図8および図9を参照して、インク容器18と取り付けホルダ22とを分離するために、取り付けホルダ本体22Aを塗布部材19から離れる向きに移動させる。当該移動も、昇降棒93を保持し、ホルダ支持台82を塗布部材19から離れる向きに移動させることにより行なうことができる。
【0050】
このとき、上記のように、第2磁性部材92bがインク容器18の吸着ピン15を引き付ける向きの磁力は、第1磁性部材92aに比べて小さい。そのため、図10よび図11に示すように、インク容器18は、塗布部材19に保持された状態を維持しつつ、取り付けホルダ22から離脱する。以上の手順により、インク容器18の塗布部材19への取り付けを行なうことができる。
【0051】
次に、取り外し用インク容器交換装置20Bによる、インク塗布機構10からのインク容器18の取り外しについて説明する。インク容器18を塗布部材19から取り外すためには、まず、上記のように取り外し用インク容器交換装置20Bがインク塗布機構10に装着される。次に、図12を参照して、塗布部材19に保持されたインク容器18に、取り外しホルダ本体21Aを接近させる。このとき、取り外しホルダ本体21Aのインク容器18への接近は、上記の場合と同様に、昇降棒93を保持し、ホルダ支持台82をインク容器18に接近させることにより行なうことができる。
【0052】
次に、図13および図14を参照して、インクの残量が少なくなったインク容器18と取り外しホルダ本体21Aとが接触した状態では、インク容器18は、取り外しホルダ21と塗布部材19との両方に保持された状態となる。具体的には、インク容器18と塗布部材19とが接触した状態では、第1磁性部材92aと吸着ピン15の一方の端面とが接触した状態となるため、インク容器18は、第1磁性部材92aと吸着ピン15との間にはたらく磁力により、塗布部材19に保持されている。一方、取り外しホルダ21とインク容器18とは、第3磁性部材92cと吸着ピン15の他方の端面とが接触した状態となるため、インク容器18は、第3磁性部材92cと吸着ピン15との間にはたらく磁力により、取り外しホルダ21に保持されている。
【0053】
ここで、図4を参照して、インク容器18と塗布部材19とが接触する際、インク容器18の取り付けの場合と同様に、ばね91の緩衝作用により、接触の衝撃が緩衝される。
【0054】
その後、インク容器18と塗布部材19とを分離するために、取り外しホルダ本体21Aを塗布部材19から離れる向きに移動させる。当該移動も、昇降棒93を保持し、ホルダ支持台82を塗布部材19から離れる向きに移動させることにより行なうことができる。
【0055】
このとき、上記のように、第3磁性部材92cがインク容器18の吸着ピン15を引き付ける向きの磁力は、第1磁性部材92aに比べて大きい。そのため、図15および図16に示すように、インク容器18は、取り外しホルダ21に保持された状態を維持しつつ、塗布部材19から離脱する。以上の手順により、インク容器18の塗布部材19からの取り外しを行なうことができる。
【0056】
以上のように、本実施の形態におけるインク容器交換装置は、欠陥修正装置1に備えられたインク塗布機構10の可動範囲に対応して移動可能となっている。すなわち、インク容器交換装置は、欠陥修正装置1内においてインク塗布機構10がある任意の位置へ移動することができる。これにより、欠陥修正装置1の任意の位置にあるインク塗布機構10に対してインク容器を着脱することができる。さらに、当該インク容器交換装置によれば、欠陥修正装置1の外においてインク容器交換装置にインク容器を脱着する作業を行うことが可能になり、そのため作業性を大きく改善することができる。なお、上記実施の形態においては、インク容器交換装置が、作業者の手に保持されて移動する場合について説明したが、欠陥修正装置1がインク容器交換装置を任意の位置に移動させる移動装置をさらに備え、当該移動装置によりインク容器交換装置が移動する構造を採用してもよい。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の液体容器着脱装置および当該液体容器着脱装置を備える欠陥修正装置は、欠陥修正装置内の任意の位置にある塗布機構に対して液体容器を着脱することが要求される、液体容器着脱装置および欠陥修正装置において、特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0059】
1 欠陥修正装置、10 インク塗布機構、11 塗布針、12a 第1磁石、12b 第2磁石、13 位置きめ案内棒、14 交換ユニット検出センサ、15 吸着ピン、16 U字切欠、17 蓋、18 インク容器、18a インク、18A インクタンク、19 塗布部材、20A 取り付け用インク容器交換装置、20B 取り外し用インク容器交換装置、21 取り外しホルダ、21A 取り外しホルダ本体、22 取り付けホルダ、22A 取り付けホルダ本体、29 位置決めピン、30 ベース部材、31 ステージ、40 レーザ照射部、50 観察光学系、51 対物レンズ、52 電動レボルバ、53 CCDカメラ、60 移動装置、61 Yテーブル、62 Xテーブル、63 Zテーブル、81 ホルダ保持台本体、81B ホルダ保持台、81a 第3磁石、81b 第4磁石、82 ホルダ支持台、83 ガイド部材、84 第2ガイド部材、85 ストッパ、86 案内穴、87 第2ストッパ、91 ばね、92a 第1磁性部材、92b 第2磁性部材、92c 第3磁性部材、93 昇降棒、98a ホルダレール、98b 保持台レール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたパターンの欠陥部に液体材料を塗布して前記欠陥部を修正する塗布機構を備えた欠陥修正装置において、前記塗布機構に前記液体材料を保持する液体容器を着脱するための液体容器着脱装置であって、
前記液体容器を保持可能な容器保持部材と、
前記塗布機構との位置関係が固定されるように前記容器保持部材を支持可能な支持部材とを備え、
前記塗布機構の可動範囲に対応して移動可能となっている、液体容器着脱装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記塗布機構に嵌合するための嵌合部を含んでいる、請求項1に記載の液体容器着脱装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記塗布機構との間に磁力を発生させるための磁性部材を含んでいる、請求項1または2に記載の液体容器着脱装置。
【請求項4】
基板上に形成されたパターンの欠陥部に液体材料を塗布して前記欠陥部を修正する塗布機構と、
前記塗布機構に液体容器を着脱するための液体容器着脱装置とを備え、
前記液体容器着脱装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体容器着脱装置である、欠陥修正装置。
【請求項5】
前記液体容器着脱装置が装着されていることを感知する検出装置をさらに備える、請求項4に記載の欠陥修正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−252029(P2012−252029A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122062(P2011−122062)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】