説明

液体柔軟剤組成物

【課題】繊維製品に滑り性、柔軟性を付与する効果、及び、繊維製品の退色を防止する効果のいずれにも優れた液体柔軟剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)シリコーン化合物と、
(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物と、
(C)アミン化合物と
を含有することを特徴とする液体柔軟剤組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体柔軟剤組成物に関し、より詳細には、繊維製品に滑り性、柔軟性を付与する効果、及び、繊維製品の退色を防止する効果のいずれにも優れた液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、衣料等の繊維製品の洗濯後のすすぎ時に添加し、繊維製品に柔軟性を付与することを目的として、様々な4級アンモニウム塩を主成分として含む柔軟剤が用いられている。4級アンモニウム塩としては、ジ長鎖型の4級アンモニウム塩が一般に使用されているが、このジ長鎖型の4級アンモニウム塩を主成分とする柔軟剤は、綿等の天然繊維製品に対しては良好な柔軟性を付与することができるものの、ポリエステル等の化学繊維製品への柔軟効果は小さい場合があり、また、各繊維製品に滑らかさ(滑り性)を付与する効果も小さいという特徴があった。
【0003】
一方で、シリコーン化合物は繊維製品、特に化学繊維製品に対して特有の柔軟性、滑らかさ(滑り性)を付与できることが知られている。しかしながら、シリコーン化合物は、水浴中での仕上げ処理では繊維への吸着性に乏しく、そのため、十分な効果を得るためには、高濃度浴中で処理しなければならないという欠点があった。
このような欠点を改善すべく、シリコーン化合物を水浴中から効率的に繊維へ吸着させる手段として、少量のカチオン性界面活性剤との組合せを用いた、オシャレ着用の仕上げ剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この仕上げ剤組成物は、オシャレ着用のノニオン系洗剤の後に使用すると優れた性能を発揮するが、通常の洗濯に使用されるアニオン系の洗剤の後に用いると、すすぎ浴中に残留するアニオン活性剤の影響を受けやすく、性能が低下するという問題があった。
そこで、このような問題を解決する方法として、シリコーン化合物と、カチオン性を有する高分子化合物とを、特定の割合で併用した液体柔軟剤組成物が提案されている(特許文献2〜5参照)。このような液体柔軟剤組成物によれば、通常の洗濯に使用されるアニオン系の洗剤の後に用いた場合であっても、また、綿等の天然繊維製品、ポリエステル等の化学繊維製品のいずれに対しても、優れた柔軟性や滑り性を付与することが可能となる。
【0004】
一方で、従来から、色柄ものの繊維製品を柔軟剤等で仕上げる際には、繊維製品が退色してしまうという問題が生じていた。しかしながら、前記したような液体柔軟剤組成物では、各繊維製品に柔軟性や滑り性を付与するといった効果には優れるものの、繊維製品の退色を防止できる充分な効果は得られていなかった。したがって、柔軟性や滑り性といった性能は維持しつつ、かつ、繊維製品の退色防止にも優れた効果を発揮する液体柔軟剤組成物が、求められているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開2000−154476号公報
【特許文献2】特開2004−131895号公報
【特許文献3】特開2005−187973号公報
【特許文献4】特開2006−077336号公報
【特許文献5】国際公開第2004/025017号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、繊維製品に滑り性、柔軟性を付与する効果、及び、繊維製品の退色を防止する効果のいずれにも優れた液体柔軟剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、(A)シリコーン化合物と、(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物と、(C)アミン化合物とを組み合わせることにより、繊維製品に滑り性、柔軟性を付与する効果、及び、繊維製品の退色を防止する効果の全てにおいて良好な、優れた液体柔軟剤組成物が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> (A)シリコーン化合物と、
(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物と、
(C)アミン化合物と
を含有することを特徴とする液体柔軟剤組成物である。
<2> (A)シリコーン化合物が、ポリエーテル変性シリコーンである前記<1>に記載の液体柔軟剤組成物である。
<3> (C)アミン化合物が、炭素数10〜24の飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される、アルキル又はアルケニルアミドプロピルジメチルアミン、及び、それらの中和塩から選ばれる1種以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体柔軟剤組成物である。
<4> (A)シリコーン化合物と、(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物との含有量比が、質量比で、(A):(B)=95:5〜60:40である前記<1>から<3>のいずれかに記載の液体柔軟剤組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、繊維製品に滑り性、柔軟性を付与する効果、及び、繊維製品の退色を防止する効果のいずれにも優れた液体柔軟剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(液体柔軟剤組成物)
本発明の液体柔軟剤組成物は、(A)シリコーン化合物と、(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物と、(C)アミン化合物とを含有し、必要に応じて更に、適宜その他の成分を含有してなる。
【0011】
<(A)シリコーン化合物>
前記シリコーン化合物は主に、繊維製品に良好な滑り性、柔軟性を付与する目的で配合される。
【0012】
前記シリコーン化合物としては、繊維製品に吸着した際に、該繊維製品に滑り性、柔軟性を付与することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよいし、また、架橋していてもよい。また、前記シリコーン化合物は変性シリコーン化合物であってもよく、前記変性シリコーン化合物は、1種の有機官能基により変性されたものであってもよいし、2種以上の有機官能基により変性されたものであってもよい。また、前記シリコーン化合物は、オイルの状態で使用することができ、また任意の乳化剤によって分散された乳化物の状態でも使用することができる。
【0013】
前記シリコーン化合物の具体例としては、例えば、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどが挙げられる。
これらの中でも、後述する(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物の作用により、前記シリコーン化合物の繊維製品への吸着効率を高め、該繊維製品の滑り性、柔軟性を向上させる点で、前記シリコーン化合物は非イオン性であることが好ましく、このような非イオン性のシリコーン化合物としては、例えば、ジメチルシリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどが挙げられる。
これらの中でも、前記シリコーン化合物としては、繊維製品に滑り性、柔軟性を付与する効果に優れる点、前記液体柔軟剤組成物を透明にし、商品価値を高めることができる点で、ポリエーテル変性シリコーンが特に好ましい。
【0014】
前記ポリエーテル変性シリコーンは、ポリエーテル基を有しないジメチルシリコーンに比べ、きしみ感が少なく、良好な滑り性を有するとともに、透明な液体柔軟剤組成物を得るのに好適である。
前記ポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体などが挙げられる。なお、前記アルキルシロキサンのアルキル基の炭素数としては、1〜3が好ましく、また、前記ポリオキシアルキレンのアルキレン基の炭素数としては、2〜5が好ましい。これらの中でも、前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体等)との共重合体が好ましい。このようなポリエーテル変性シリコーンの具体例としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(II)で表される化合物などが挙げられる。
【0015】
【化1】

【0016】
前記一般式(I)中、M、N、a、及びbは、平均重合度であり、Rは、水素又はアルキル基を表す。ここで、Mは、10〜10,000が好ましく、100〜300がより好ましい。Nは、1〜1,000が好ましく、1〜100がより好ましい。更に、M>Nであることが好ましい。aは、2〜100が好ましく、2〜50がより好ましい。bは、0〜50が好ましく、0〜10がより好ましい。Rは、水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0017】
前記一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えば、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等の炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを、白金触媒下、付加反応させることにより製造することができる。したがって、前記ポリエーテル変性シリコーン中には未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、前記ポリエーテル変性シリコーン中での存在量としては、30ppm以下(Si−Hの量として)であることが好ましい。
【0018】
【化2】

【0019】
前記一般式(II)中、A、B、h、及びiは、平均重合度であり、Rは、アルキル基を表し、R’は、水素又はアルキル基を表す。ここで、Aは、5〜10,000が好ましく、Bは、2〜10,000が好ましい。hは、2〜100が好ましく、iは、0〜50が好ましい。Rは、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R’は、水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0020】
前記一般式(II)で表される線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。このようなポリエーテル変性シリコーンは、側鎖のポリオキシアルキレン鎖が長く、ポリシロキサン鎖の重合度が大きいものほど粘度が高くなるので、製造時の作業性改善及び水性組成物への配合を容易にするために、水溶性有機溶剤とのプレミックスの形で配合に供することが好ましい。該水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
【0021】
前記ポリエーテル変性シリコーンとしては、より具体的には、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製の、SH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY16−850、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222等、信越化学工業(株)製の、KF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017等、GE東芝シリコーン(株)製の、TSF4450、TSF4452等が挙げられる。
【0022】
前記シリコーン化合物の動粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜100,000,000mm/sが好ましく、1,000〜10,000,000mm/sがより好ましく、7,000〜1,000,000mm/sが更に好ましい。前記動粘度が、100mm/s未満であると、滑り性や柔軟性が不充分になること等があり、100,000,000mm/sを超えると、組成物の製造が困難になること等がある。一方、前記動粘度が、前記更に好ましい範囲内であると、滑り性、柔軟性が良好となり、さらに洗濯浴中での平滑性も良好になることにより衣類の褪色を防止できる点で、有利である。
なお、前記動粘度は、JIS Z8803−1991記載のウベローデ粘度計を用い、25℃で測定した値である。
【0023】
前記シリコーン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン化合物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記液体柔軟剤組成物に対して、3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、6〜20質量%が更に好ましい。前記含有量が、3質量%未満であると、所望の程度の滑り性、柔軟性を付与することができないこと等があり、40質量%を超えると、粘度が上昇し、使用性に劣ること等がある。一方、前記含有量が、前記更に好ましい範囲内であると、滑り性、柔軟性を付与する効果に優れ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる点で、有利である。
【0024】
<(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物>
前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物は主に、前記シリコーン化合物の繊維製品への吸着を促進させる目的で配合される。前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物は、洗濯後のすすぎ工程で使用した場合に、前記シリコーン化合物を繊維製品へ高度に吸着させる効果を有するものである。
【0025】
前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、水に溶解した時にカチオン性を有する水溶性高分子化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、その分子内にアミノ基、アミン基、第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性高分子化合物であることが好ましい。なお、前記「水溶性高分子化合物」とは、25℃の水100gに対し、高分子化合物1.0gを加えたときに、その液が濁らず透明であるものをいう。
【0026】
前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物の、カチオン化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1%以上が好ましく、2.5%以上がより好ましい。前記カチオン化度が、0.1%未満であると、所望の程度の前記シリコーン化合物の繊維製品への吸着促進が図れないこと等がある。
ここで、前記カチオン化度とは、高分子化合物が、カチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロース等)の場合には下記数式(1)により、また、高分子化合物が、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体の場合には、下記数式(2)により算出される値と定義する。
カチオン化度(%)=X×Y×100 ・・・数式(1)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量、Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100 ・・・数式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量、Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数、Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数](ここで、Zのアニオン性基とは、高分子化合物鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸等である。ただし、カチオン性基の対イオンは含まない。)
前記カチオン化度の算出例として、後述するMERQUAT280(NALCO社)の場合を示す。
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10−3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10−3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
数式(2)より、カチオン化度(%)=14×(4.95×10−3−2.78×10−3)×100=3.0である。
【0027】
また、前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物は、ゲルパーメーションクロマトグラフィ(GPC)法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、3,000〜1,000,000であることがより好ましく、5,000〜500,000であることが更に好ましい。前記重量平均分子量が、1,000未満であると、臭気の点で好ましくないこと等があり、5,000,000を超えると、粘度が上昇し、使用性に劣ること等がある。一方、前記重量平均分子量が、前記更に好ましい範囲内であると、臭気の点でも優れ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる点で、有利である。
【0028】
前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物の具体例としては、例えば、カチオン性モノマーの単独重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの2元共重合体、ノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロース等)、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーの2元共重合体、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの3元共重合体などが挙げられる。ただし、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーの2元共重合体や、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの3元共重合体の場合は、カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとの共重合モル比において、前者が過剰でなければ高分子全体としてカチオン性高分子化合物にはなり得ず、そのため、後者が過剰のものは前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物として用いることはできない。
なお、ここで、アニオン性基としては、高分子化合物鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸等である。
【0029】
前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、より具体的には、例えば、MERQUAT100(NALCO社)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株))、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株))等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体;MERQUAT550 JL5(NALCO社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体;MERQUAT280(NALCO社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体;レオガードKGP(ライオン(株))等のカチオン化セルロース;LUVIQUAT−FC905(BASF社)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体;LUGALVAN−G15000(BASF社)等のポリエチレンイミン;ポバールCM318((株)クラレ)等のカチオン化ポリビニルアルコール;キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体;ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0030】
これらの中でも、前記シリコーン化合物の付与する滑り性や柔軟性等の風合いを妨げない観点から、前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物単独で吸着した時にも、繊維に対してあまり剛性を与えないものが好ましい。
中でも、前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、下記一般式(III)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子が特に好ましい。この高分子の構造単位は、通常、下記一般式(IV)又は下記一般式(V)で表わされる。また、一般式(IV)の構造単位と一般式(V)の構造単位が共に含まれていてもよい。
【0031】
【化3】

【0032】
前記一般式(III)中、Xは、塩化物イオン、臭化物イオン等の任意のマイナスイオンを示す。
【0033】
【化4】

【0034】
【化5】

【0035】
前記一般式(IV)及び一般式(V)中、c及びdは、それぞれ平均重合度であり、それぞれ6〜30,000が好ましく、20〜6,000がより好ましく、30〜3,000が更に好ましい。
【0036】
このような前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、例えば、MERQUAT100(NALCO社)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株))、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株))、MERQUAT550(NALCO社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリルアミド共重合体;MERQUAT280(NALCO社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム−アクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0037】
前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カチオン性を有する水溶性高分子化合物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記液体柔軟剤組成物に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
前記含有量が、0.1質量%未満であると、所望の程度の前記シリコーン化合物の繊維製品への吸着促進が図れないこと等があり、30質量%を超えると、粘度が上昇し、使用性に劣ることや、繊維製品に剛性を付与してしまうこと等がある。一方、前記含有量が、前記更に好ましい範囲内であると、前記シリコーン化合物の繊維への吸着促進効果に優れ、そのため、滑り性、柔軟性を十分に付与することが可能となる点で、有利である。また、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる点でも、有利である。
【0038】
<(A)/(B)>
前記液体柔軟剤組成物中、前記(A)シリコーン化合物と、前記(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物との含有量比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、質量比で、(A):(B)=99:1〜1:99が好ましく、99:1〜50:50がより好ましく、95:5〜60:40が更に好ましく、90:10〜70:30がより更に好ましい。前記(A)シリコーン化合物の含有量が、前記(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物の含有量に対して、質量比で、99倍を超えると、所望の程度の前記シリコーン化合物の繊維製品への吸着促進が図れないこと等があり、また、前記(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物の含有量が、前記(A)シリコーン化合物の含有量に対して、質量比で、99倍を超えると、所望の程度の滑り性、柔軟性を付与することができないこと等がある。一方、前記含有量比が、前記より更に好ましい範囲内であると、前記シリコーン化合物の繊維製品への吸着促進効果に優れ、そのため、滑り性、柔軟性を十分に付与することが可能となる点で、有利である。
【0039】
<(C)アミン化合物>
前記アミン化合物は主に、繊維製品の退色を防止する目的で配合される。前記アミン化合物は主に、水中の塩素を捕捉することにより、退色防止効果を発揮しているものと考えられる。
【0040】
前記アミン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中でも、炭素数2以上のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を1つ以上有するアミン化合物が好ましい。なお、前記アミン化合物は、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれでもよいが、これらの中でも、下記一般式(VI)で表されるアミン化合物が特に好ましい。
【0041】
N (VI)
ただし、前記一般式(VI)中、Rは、炭素数2〜24の炭化水素基であることが好ましく、炭素数12〜24の炭化水素基であることがより好ましい。Rは、炭素数2〜24の炭化水素基又は水素原子であることが好ましい。R、Rは、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、また、飽和であっても不飽和であってもよく、更に、ヒドロキシル基のような置換基を任意に含んでいてもよい。また、R、Rは、アミド基、エステル基、エーテル基等の連結基を、その鎖中に有していてもよい。Rは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、又は、EO付加モル数1〜24のポリオキシエチレン基であることが好ましい。また、前記一般式(VI)で表されるアミン化合物は、有機酸や無機酸で中和した中和塩の形であってもよい。
【0042】
前記アミン化合物の具体例としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ブタノールアミン、ラウリルアミドプロピルジメチルアミン、ミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミン等の脂肪族アミドアルキル三級アミン;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル三級アミンなどが挙げられる。これらの中でも、前記液体柔軟剤組成物を用いて仕上げ処理した後の、次の洗濯時においても、高い塩素捕捉効果を発現させ、繰り返し洗濯時の退色防止効果を向上させる観点から、炭素数10〜24の飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される、アルキル又はアルケニルアミドプロピルジメチルアミン、及びその中和塩から選ばれる1種以上であることが好ましく、中でも、ラウリルアミドプロピルジメチルアミン、ミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、及び、オレイルアミドプロピルジメチルアミンから選ばれる1種以上であることが特に好ましい。
【0043】
前記アミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミン化合物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記液体柔軟剤組成物に対して、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。前記含有量が、0.05質量%未満であると、所望の程度の退色防止効果が得られないこと等があり、10質量%を超えると、保存安定性が悪化すること等がある。一方、前記含有量が、より好ましい範囲内であると、退色防止効果、及び、保存安定性に優れる点で、有利である。
【0044】
<その他の成分>
前記液体柔軟剤組成物は、前記(A)〜(C)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲内で、その他の成分を含有することができる。前記その他の成分としては、液体柔軟剤組成物に通常用いられるものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低級アルコール、グリコールエーテル系溶剤、多価アルコール等の水溶性溶剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ヘキサン酸とグリセリン又はペンタエリスリトールとの部分エステル化物や、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコール等の油剤、尿素、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、染料、顔料、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、香料組成物、pH調整剤、消泡剤、コロイダルシリカなどが挙げられる。
前記その他の成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができる。
【0045】
<製造>
前記液体柔軟剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)〜(C)成分、前記その他の成分、及び、水(通常、前記液体柔軟剤組成物の全体が100質量%となるように残部配合)を攪拌混合することにより、前記液体柔軟剤組成物を調製することができる。また、前記液体柔軟剤組成物を調製するための装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マグネチックスターラー等の任意の攪拌装置を用いることができる。なお、前記(A)〜(C)成分、及び、前記その他の成分は、前記液体柔軟剤組成物を調製するにあたり、それぞれ単独で使用してもよいし、また、2種以上の成分を含む混合物の状態で使用してもよい。
【0046】
<pH、粘度>
前記液体柔軟剤組成物のpHは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜10が好ましく、5〜8がより好ましい。なお、前記pHは、METTLER TOLEDO製 MP230 pHメーターを用い、25℃で測定した値である。前記pHは、任意のpH調整剤を用いて調整することができる。
前記液体柔軟剤組成物の粘度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜1,000が好ましく、10〜100がより好ましい。なお、前記粘度は、東京計器製B型粘度計でNo.2ローターを用い、30rpmで10回転後の粘度を25℃で測定した値である。
【0047】
<用途・使用方法>
前記液体柔軟剤組成物は、綿等の天然繊維製品や、ポリエステル等の化学繊維製品のいずれに対しても、望ましい滑り性、柔軟性を付与することができ、更には、退色防止効果にも優れるため、色柄ものの繊維製品であっても、退色を防止しつつ、望ましい滑り性、柔軟性を付与することが可能である。
前記液体柔軟剤組成物を用いた繊維製品の処理方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、衣料等の繊維製品を通常通りに洗濯した後、すすぎの段階で、すすぎ水に前記液体柔軟剤組成物を添加して仕上げ処理を行う方法や、また、たらいのような容器に、前記液体柔軟剤組成物を適度な濃度に希釈して添加し、更に衣料等の繊維製品を入れて浸漬処理する方法などが挙げられる。また、前記繊維製品1kgに対する、前記液体柔軟剤組成物の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜100gが好ましく、3〜30gがより好ましい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に明記のない場合、「%」はいずれも「質量%」を表し、比率はいずれも質量比を表す。また、成分量は全て純分換算した量である。
【0049】
(実施例1〜10、比較例1〜3)
下記表1〜3に示す組成に従い、実施例1〜10、及び、比較例1〜3の液体柔軟剤組成物を常法により調製した。具体的には、500mLビーカーに、所定量の(A)成分と、必要に応じて油溶性任意成分とを加え、常温(25℃)で撹拌混合した。次に、得られた混合物を撹拌しながら、イオン交換水と水溶性任意成分とを順次添加した。次に、得られた混合物を撹拌しながら、(B)成分、及び、(C)成分を順次添加した後、均一になるまで充分に撹拌混合することにより、400gの液体柔軟剤組成物を調製した。なお、撹拌にはマグネチックスターラーを用いた。
得られた各液体柔軟剤組成物について、以下のようにして、滑り性、柔軟性、及び、退色防止効果を評価した。結果を表1〜3に併せて示す。
【0050】
(1)滑り性/柔軟性の評価
(1−1)前処理
市販の、ポリエステルサテン(ポリエステル100%)、及び、綿タオル(綿100%)を、市販衣料用洗剤「トップ」[ライオン株式会社製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)]により、家庭用二槽式洗濯機を用いて下記の条件で前処理を行った後、室内で自然乾燥したものを試験布とした。
前処理条件:洗浄15分(洗剤標準使用量:20g/30L、浴比30倍、45℃の水道水使用)→脱水5分の工程を2回繰り返した後、注水すすぎ15分→脱水5分の工程を5回繰り返した。
(1−2)試験処理
前記(1−1)の前処理を施した試験布(ポリエステルサテン及び綿タオル)それぞれ1kgを、市販衣料用洗剤「トップ」[ライオン株式会社製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤]により、家庭用二槽式洗濯機を用いて15分洗浄(洗剤は標準使用量:20g/30L、浴比30倍、25℃の水道水使用)した後、3分のためすすぎ(浴比30倍、25℃の水道水使用)を2回行い、その2回目に、前記実施例及び比較例で得られた各液体柔軟剤組成物を水量30Lに対して20g加えて、各試験布の仕上げ処理を行った。その後、20℃、40%RHの条件で自然乾燥し、下記(1−3)の評価を行った。
(1−3)評価
前記(1−2)の試験処理において、各液体柔軟剤組成物を用いずに、同条件で処理した試験布(ポリエステルサテン及び綿タオル)をそれぞれ対照として用い、専門パネラー10人により、滑り性と柔軟性の官能一対比較を行った。なお、ポリエステルサテンについては滑り性を、綿タオルについては柔軟性を評価した。以下に示す評価基準により評価を行い、専門パネラー10人の平均点により、下記判定基準で滑り性/柔軟性を判定した。
<評価基準>
+2:滑り性/柔軟性が、対照よりもはっきりと良好である。
+1:滑り性/柔軟性が、対照よりもやや良好である。
0 :滑り性/柔軟性のよさは、対照とほぼ同じである。
−1:滑り性/柔軟性は、対照の方がやや良好である。
−2:滑り性/柔軟性は、対照の方がはっきりと良好である。
<判定基準>
◎:1.5〜2.0点
○:1.0〜1.4点
△:0.5〜0.9点
×:0.4点以下
【0051】
(2)退色防止効果の評価
試験布としては、ベネトン社製の緑色ポロシャツ地(ポリエステル/綿の混紡)を6×6cmに裁断し、これを市販の白肌シャツ(綿製)に縫い付け、未縫い付けの白肌シャツとして総量で1.5kgとなるように調節したものを準備した。この試験布を、市販衣料用洗剤「トップ」[ライオン株式会社製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤]により、家庭用電気洗濯機を用い、25℃で10回繰り返し洗濯を行った。なお、前記実施例及び比較例で得られた各液体柔軟剤組成物は、各洗浄サイクルのすすぎ2回目に、水量30Lに対して20gとなるように投入した。終了後、試験布を20℃、45%RHで24時間乾燥させ、評価に供した。比較例3の液体柔軟剤組成物を用い、同条件で処理した試験布を対照として、退色防止効果を以下の基準に従い、目視により評価した。
<評価基準>
◎:対照よりも色あせが少ない。
○:対照よりもやや色あせが少ない。
△:色あせの程度は対照と同等。
×:対照よりも色あせした。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】
なお、前記各実施例及び比較例で用いた(A)〜(C)成分、及び、任意成分の詳細は下記表4〜12に示す通りである。また、任意成分に含まれる香料組成物の組成は表13に示す通りである。
【0056】
【表4】

【0057】
<A−1の実験室合成方法>
表4中、A−1は以下のようにして合成した。
(CHSiO(CHCHSiO)210(CHHSiO)Si(CHで表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH=CHCHO(CHCHO)Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g、及び、塩化白金酸のClを中和したものを、白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し、5時間反応させた。反応終了後、減圧留去することにより、ポリエーテル変性シリコーン(A−1)を得た。このポリエーテル変性シリコーン90gに対して、10gのジエチレングリコールモノブチルエーテルを添加して使用した。
【0058】
【化6】

【0059】
【表5】

【0060】
【表6】

【0061】
<C−1、C−2の実験室合成方法>
表6中、C−1、C−2は以下のようにして合成した。
1Lの四つ口フラスコに、ラウリン酸261gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2時間で滴下した。滴下終了後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したラウリン酸の転化率は98%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、(C−1)を得た。
1Lの四つ口フラスコに、ベヘニン酸444gを仕込み、80℃で窒素置換を2回行った。170℃に昇温し、副生する水を留去させながら、ジメチルアミノプロピルアミン173gを2時間で滴下した。滴下終了後、170〜180℃に保持し、7時間熟成した。酸価から算出したベヘニン酸の転化率は98%であった。熟成後、減圧して未反応アミンと水を除去し、(C−2)を得た。
【0062】
【表7】

【0063】
【表8】

【0064】
【表9】

【0065】
【表10】

【0066】
【表11】

【0067】
【表12】

【0068】
【表13】

【0069】
表1〜3の結果から、(A)シリコーン化合物、(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物、及び、(C)アミン化合物の全てを含む本発明の液体柔軟剤組成物(実施例1〜10)は、前記(A)〜(C)成分の少なくともいずれかを含まない液体柔軟剤組成物(比較例1〜3)に比べ、滑り性、柔軟性、及び、退色防止効果のいずれにも優れた液体柔軟剤組成物であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の液体柔軟剤組成物は、綿等の天然繊維製品や、ポリエステル等の化学繊維製品のいずれに対しても、望ましい滑り性、柔軟性を付与することができ、更には、退色防止効果にも優れるため、色柄ものの繊維製品であっても、退色を防止しつつ、望ましい滑り性、柔軟性を付与することが可能である。したがって、前記液体柔軟剤組成物は、様々な繊維製品の仕上げ処理への利用が好適であるが、中でも、色柄ものの繊維製品の仕上げ処理に、特に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シリコーン化合物と、
(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物と、
(C)アミン化合物と
を含有することを特徴とする液体柔軟剤組成物。
【請求項2】
(A)シリコーン化合物が、ポリエーテル変性シリコーンである請求項1に記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項3】
(C)アミン化合物が、炭素数10〜24の飽和又は不飽和脂肪酸から誘導される、アルキル又はアルケニルアミドプロピルジメチルアミン、及び、それらの中和塩から選ばれる1種以上である請求項1から2のいずれかに記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項4】
(A)シリコーン化合物と、(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物との含有量比が、質量比で、(A):(B)=95:5〜60:40である請求項1から3のいずれかに記載の液体柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2009−155739(P2009−155739A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332214(P2007−332214)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】