説明

液体柔軟剤組成物

【課題】発生した衣類の黄ばみを白色化して改善でき、しかも組成物を長期保存しても変色せず良好な液外観を維持できる液体柔軟剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)水溶性蛍光増白剤と、(B)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていても良い炭素数12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、かつ3級アミノ基を有する化合物もしくはその酸塩又は4級アンモニウム基を有する化合物と、(C)金属イオン封鎖剤とを含有する液体柔軟剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等繊維製品用の液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の洗濯機の大型化やまとめ洗い習慣などに代表されるように洗濯環境は変化してきている。かかる洗濯環境の変化により被洗物の黄ばみやニオイのこり現象が起こる頻度が高くなってきている。酸化防止剤を柔軟剤に配合して、黄ばみやニオイの発生を抑制することは周知であるが、発生してしまった黄ばみに対して改善効果は得られない。被洗物の黄ばみの改善に対応した柔軟剤がなかったのが現状である。また、柔軟剤の外観は経時にしたがって、黄味がかってくる問題がある。乳化分散型の柔軟剤は澄んだ乳白色や薄い着色が好まれており、黄味がかることは審美的に好ましくない。外観が透明な柔軟剤に関しては特許文献1のような技術が出願されている。しかし、乳化分散型の乳白色や薄い着色の柔軟剤に関しては有効な手段がなかったのが実情である。
【0003】
【特許文献1】特開2001−192965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、発生した衣類の黄ばみを白色化して改善でき、しかも組成物を長期保存しても変色せず良好な液外観を維持できる液体柔軟剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが鋭意検討した結果、柔軟剤基剤に、水溶性蛍光増白剤と金属イオン封鎖剤とを配合することにより前記目的を達成できることを見出した。すなわち、本発明は、
(A)水溶性蛍光増白剤と、
(B)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていても良い炭素数12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、かつかつ3級アミノ基を有する化合物もしくはその酸塩又は4級アンモニウム基を有する化合物と、
(C)金属イオン封鎖剤と
を含有する液体柔軟剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発生した衣類の黄ばみを白色化して改善でき、しかも組成物を長期保存しても変色せず良好な液外観を維持できる組成物を提供することができる。本発明の組成物はまた、長期保存しても香気の劣化、基剤からの異臭の発生が少なく良好な香気を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(A)成分
本発明において用いることのできる蛍光増白剤は、280〜400nm、好ましくは300〜400nmの波長領域に吸光度の極大値を有するものであって水溶性のもの、即ち25℃のイオン交換水100mLに1.0gのサンプルが完全に溶解するものである。水溶性でないものは保存の際に組成物中で沈殿を生じる場合がある。(A)成分は単独で使用することもできるし2種以上を併用することもできる。このような化合物としては、下記式(1)で表される4,4'-ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、(2)で表されるビススチリルビフェニル誘導体、(3)で表されるクマリン誘導体を用いることが望ましい。
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、R1とR2は、互いに独立的に、OH、NH2、O−Ra(Raは炭素数1〜4のアルキル基、以下同様)、O−Ar(Arはアリール基、以下同様)、NH−Ra、N(Ra)2、N(Ra)(Rb)(Rbは炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、以下同様)、N(Rb)2、NH−Ar、モルホリノ、S−Ra、S−Ar、Cl又はOH、R3は水素原子、SO3M、ORa、CN、Cl、COO−Ra又はCON−(Ra)2、R4は水素原子又はRa、R5は水素原子、Ra、CN、Cl、COO−Ra、CON(Ra)2、Ar又はO−Ar、Mは水素原子、Na、K、Ca、Mg、アンモニウム、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ−アルキル(炭素数1〜4)アンモニウム、モノ−、ジ−又はトリ−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)アンモニウム又は炭素数1〜4のアルキル基と炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基との混合によってジ置換又はトリ置換されたアンモニウムであり、nは0又は1である。〕。
【0010】
式(1)の化合物の例としては、日本化薬製の商品名 Kayaphor FBがあげられる。式(2)の化合物の例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名 Tinopal CBS-X、Beijing PRINA Chemical社製の商品名 Optical Brightener CBS-Xがあげられる。式(3)の化合物の例としては、住化ケムテックス製の商品名 Whitex WSがあげられる。
黄ばみの改善効果が高く、長期保存により生じる組成物の変色を抑制する効果が高いことから、特に式(2)で表される化合物を用いることが望ましい。これらの中でもTinopal CBS-X、Optical Brightener CBS-Xが特に好ましい。
本発明の組成物中、上記の水溶性蛍光増白剤の配合量は好ましくは0.005〜5質量%であり、より好ましくは0.01〜3質量%である。水溶性蛍光増白剤の配合量をこのような範囲とすることにより、貯蔵中に組成物の色調が変化するのを抑制する効果を高め、かつ、経済的で粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0011】
(B)成分
カチオン性界面活性剤を配合することにより、繊維製品に柔軟性を付与すると共に、繊維製品への(A)成分の吸着を向上させることができる。本発明において使用できるカチオン性界面活性剤としては、以下に示すアミン化合物とその有機または無機酸による中和物、およびその4級化物を例示することができる。これらは、いずれも1種または2種以上の混合物として用いることができる。2種以上の混合物として使用する際、仕上げ処理した繊維製品の柔軟性を良好にするために、カチオン界面活性剤中の長鎖炭化水素基を2つ及び3つ有する化合物の質量比率は50%以上であることが好ましい。また、使用後自然環境中へ廃棄された後の生分解性を付与するためには、該長鎖炭化水素基の途中にエステル基を含有するカチオン性界面活性剤であることが好ましい。
【0012】
【化2】

【0013】
カチオン性界面活性剤を構成するRは炭素数10〜24の炭化水素基である。不飽和基を有する場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。また、飽和と不飽和炭化水素基の比率は95/5〜50/50(wt/wt)であることが好ましい。
また、カチオン性界面活性剤を構成するR1は炭素数10〜24の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれから誘導される長鎖炭化水素基である。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。Rのもととなる脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素化10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素化10〜60)などが挙げられる。中でも好ましいのは、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜50/50(wt/wt)、シス/トランス体質量比が40/60〜80/20、ヨウ素価が10〜50、炭素数18の比率が80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸を2質量%以下、炭素数22の脂肪酸を1質量%以下となるように調整した脂肪酸組成を用いることが好ましい。ここで、式中に存在するRはすべて同一であっても、またはそれぞれ異なっていても構わない。
【0014】
上記3級アミンの中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸が挙げられる。本発明で用いる3級アミンは塩酸、硫酸、メチル硫酸によって中和されたアミン塩の形で用いることが好ましい。その中和工程は3級アミンを予め中和したものを水に分散してもよいし、酸水溶液中に3級アミン を液状又は固体状で投入してもよい。もちろん3級アミンと酸成分を同時に投入してもよい。また、上記3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては塩化メチルやジメチル硫酸が挙げられる。
一般式(III)、(IV)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、(III)と(IV)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、低分子量であり4級化に所要する4級化剤重量が少ない点で塩化メチルがより好ましい。その際、(III)と(IV)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(III)、(IV)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0015】
一般式(V)、(VI)、(VII)の化合物は上記脂肪酸組成物、または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、[(V)+(VI)]と(VII)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、反応性の観点からジメチル硫酸がより好ましい。その際、[(V)+(VI)]と(VII)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(V)、(VI)、(VII)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0016】
一般式(VIII)、(IX)の化合物は上記脂肪酸組成物とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、「J.Org.Chem.,26,3409(1960)」に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(VIII)と(IX)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(VIII)と(IX)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(VIII)、(IX)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0017】
一方、下記にて示される、炭素数が10〜22の高級脂肪酸由来の脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩を用いることも可能であり、該脂肪酸は飽和でも不飽和であってもよい。
該脂肪酸アミドアルキル3級アミンの具体例としては、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩などが挙げられる。中でも、それ自体の臭気が低く良好なことから、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミドが好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドがより好ましい。パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミドとステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドとの混合物が最も好ましい。
【0018】
長鎖アミンの具体的な商品としては、例えば、東邦化学(株)製のカチナールMPAS−R(商品名、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミドとステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドの質量比3/7混合物)、ライオンアクゾ(株)製のアーミンAPA168−65E(商品名、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミドとステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドの質量比30/70混合物の65質量%のエタノール溶液)等が好ましく用いられる。
なお、上記の「脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩」は、例えば、脂肪酸あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキルアミノアルキルアミンとを縮合反応させ、その後、未反応のジアルキルアミノアルキルアミンを、減圧または窒素ブローにて留去することにより得られる。
ここで、脂肪酸又は脂肪酸誘導体としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等、またはこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライド等が具体的に挙げられる。中でも、洗濯すすぎ行程における繊維製品への吸着性能に優れることから、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸が好ましい。これら脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中、上記のカチオン性界面活性剤の配合量は好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%である。カチオン界面活性剤の配合量をこのような範囲とすることにより、充分な柔軟性を付与でき、(A)成分の水溶性蛍光剤の吸着促進効果を高め、且つ粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0019】
(C)成分
金属イオン封鎖剤を配合することにより、(a)成分と相乗して組成物の色調の安定性を向上させることができる。本発明において用いることのできる金属イオン封鎖剤としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(例えばライオン(株)フェリオックスCY-115)、アミノトリメチレンホスホン酸(例えばソルーシア・ジャパン Dequest2000)、エチレンジアミンテトラホスフォニックアシッド(例えばソルーシア・ジャパン Dequest2046)、Dequest -2010、Dequest-2066)ジエチレントリアミン−N,N,N’,N”,N”−ペンタキス(メタンホスホネート)などの有機フォスフォン酸化合物、エチレンジアミン四酢酸(例えば第一化学薬品 ゾノンDM-600)、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロトリ酢酸(例えばBASF Trilon A92R)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテート、エチレンジアミンテトラプロピオネート、エチレンジアミン−N,N’−ジグルタメート、2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジスクシネート、トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミンペンタアセテート、エチレンジアミンジコハク酸、メチルグリシンジ酢酸、イミノジコハク酸、ヒドロキシイミノジコハク酸、アスパラギン酸、ポリグリオキシ酸、ポリアスパラギン酸等のアミノカルボン酸化合物、クエン酸、カプトカテキュ酸、トリポリリン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸マレイン酸共重合体(ポリマーの分子量は任意)およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩のようなそれらの水溶性の塩などのキレート剤があげられる。長期保存により生じる組成物の変色を抑制する効果が高いことから、有機フォスフォン酸化合物、アミノカルボン酸化合物が好ましく、有機フォスフォン酸化合物がより好ましく、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸がさらに好ましい。
金属イオン封鎖剤の2種以上を併用して用いることができる。
本発明の組成物中、金属イオン封鎖剤の配合量は、好ましくは0.1ppm〜3%であり、より好ましくは1ppm〜2%である。このような量で配合することにより、長期保存後、組成物中に着色物質が生成して変色するのを抑制する効果を向上することができる。但し、配合量が少ないと効果が不充分であり、多すぎると安定な組成物を得ることができず、液性が悪くなる場合がある。
【0020】
[任意成分:ノニオン性界面活性剤]
さらに、本発明には液体柔軟剤組成物を、保存経日によっても安定なエマルジョンとして保持するため、上記成分に加えて、ノニオン性界面活性剤を併用することがより望ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、オキシアルキレン基が平均2〜100モル付加されたものがより好ましい。特に、下記一般式(II)で表されるノニオン性界面活性剤が好ましい。
R1−T−[(R2O)p−H]q (II)
(式中、R1は、炭素数10〜18、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。pは平均付加モル数であり、2〜100、好ましくは5〜70の数を示す。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C2H4OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C2H4OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C2H4OH)−、−CONH−、又は−CON(C2H4OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0021】
上記一般式(II)の化合物の具体例として、下記一般式(III)、(IV)で表される化合物を挙げることができる。
R1−O−(C2H4O)r−H (III)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり、2〜100、好ましくは5〜70の数である。)
R1−O−(C2H4O)s(C3H6O)t−H (IV)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、s及びtは平均付加モル数であり、sは2〜100、好ましくは5〜70の数であり、tは1〜20、好ましくは1〜10の数である。(C2H4O)と(C3H6O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。)
ノニオン性界面活性剤を含有することにより、液体柔軟剤組成物の保存安定性が一層向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量に対して、0.1〜15質量%とするのがよく、特に0.5〜10質量%、更に1〜5質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、保存安定性の向上効果を充分なものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに柔軟処理時の余分な泡立ちを抑制する点からも、好ましいものとすることができる。
本発明組成物はさらに、通常液体柔軟剤組成物に含まれるその他の成分を含有することができる。具体的には、水、水溶性溶剤、無機又は有機の水溶性塩類、香料、酸化防止剤、抗菌剤、染料、消泡剤、消臭剤、スキンケア成分などを含有することができる。
【0022】
[任意成分:水]
本発明組成物は、好ましくは水性組成物であり、使用水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができるが、水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、コストも考慮してイオン交換水が最も好ましい。
[任意成分:水溶性溶剤]
水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式(V)で表わされる化合物、から選ばれる水溶性溶剤が好ましい。
R3−O−(C2H4O)y−(C3H6O)z−H (V)
(式中、R3は、炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜50、好ましくは2〜30、zは0〜50、好ましくは0〜20の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C4H9(C3H6O)(C2H4O)2H]等が挙げられる。
これらの成分の配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜30質量%とするのがよく、好ましくは2〜20質量%とすることができる。
【0023】
[任意成分:香料組成物]
香料としては特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0024】
[任意成分:シリコーン化合物]
本発明で用いるシリコーン化合物としては、変性、未変性いずれのシリコーンも用いることができるが、未変性ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン、アミド変性シリコーン、アミド・ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルキル・ポリエーテル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、から選ばれるシリコーンが好ましく、ポリエーテル変性シリコーン及びジメチルシリコーンがより好ましい。特に好ましくはポリエーテル変性シリコーンである。
変性シリコーンの場合、シロキサン骨格に対する各種変性基の変性部位は、側鎖の部分でも、主鎖を部分的に分断しているものなどいずれでも良いが、側鎖に変性基を有するものがより好ましい。また、いずれの場合も主鎖の最末端はメチル基、ヒドロキシル基、水素原子であることが好ましい。
中でも下記一般式(I)で示されるポリエーテル変性シリコーンが最も好ましい。
【0025】
【化3】

【0026】
式(I)中、−Zは、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hであり、Rは同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基である。−Zとしては、−R、−OHが好ましく、Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましく、中でもメチル基が好ましい。
Xはポリオキシアルキレン基である。具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン基等があげられ、これらのうちの1種が付加したものであってもよく、あるいはオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、またはオキシブチレン単位などの異なった種類のオキシアルキレン基がブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、いずれの場合であっても、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10〜50質量%が好ましく、さらに好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜35質量%である。
【0027】
−Yは、−R1−O−X−R2または−O−X−R2であり、R1は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、R2は水素原子または炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基である。ここで、R1は、炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、これらの中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などの飽和炭化水素基(アルキレン基)が好ましく、中でもプロピレン基が特に好ましい。R2は、水素原子又は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、これらの中でも水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和炭化水素基(アルキル基)が好ましい。特に好ましいR2は、水素原子又はメチル基である。
L、M、Nはいずれも各繰返し単位の数の平均値を表す。Lは0〜50、好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜3であり、Mは1〜1000、好ましくは1〜300、さらに好ましくは1〜50であり、Nは10〜10000、好ましくは20〜3000、更に好ましくは20〜500である。上記一般式(I)で表される変性シリコーンは、各繰返し単位がブロック状に配列しているブロックコポリマーの構造を有するものであってもよく、あるいは、各繰返し単位がランダムに配列しているランダムコポリマーの構造を有するものであってもよい。
【0028】
上記一般式(I)で表される変性シリコーンの製造方法は、特に限定されるものではない。ポリオキシアルキレン基を有するシリコーンは、Si−H基を有するシリコーンとポリオキシアルキレンまたは炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンとの付加反応により製造することができる。製造の際、ポリオキシアルキレンまたは炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレン、環状シリコーンなどの未反応原料、エタノール、イソプロピルアルコールなどの製造時に用いる溶剤、白金系などの触媒が微量残存するが、本発明の効果に影響を与えない。
本発明の任意成分として使用する変性シリコーンは、その分子量が特に制限されるものではないが、重量平均分子量は500〜1,000,000が好ましく、より好ましくは1,000〜100,000の範囲である。本発明組成物を製造する際のハンドリング性が良好であるので好ましい。
【0029】
本発明で用いることができるポリエーテル変性シリコーンとして商業的に入手可能な具体例としては、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0030】
本発明の組成物における上記成分の配合量は、特に制限されるものではなく、通常、組成物全量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.2〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%配合することができる。
[任意成分:酸化防止剤]
本発明では、組成物の香気安定性や色調安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒド
ロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、液体柔軟剤組成物の保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、0.01〜1質量%の範囲で使用されることが好ましい。
【0031】
[任意成分:防腐剤]
防腐剤は、主に長期保存中の防腐性を保つために使用し、具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香
酸ベンジル等を挙げることができ、防腐剤の配合量は、組成物全体に対して、0.0001〜1質量%である。
【0032】
[任意成分:染料]
染料の添加は任意であり、添加するとしても特に限定されない。染料を添加する場合は、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノート第2
2版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されている。染料の配合量は、組成物の全質量を基準として、好ましくは0.01〜50ppm、より好ましくは0.1〜30ppmとすることができる。このような配合量とすることにより、液体柔軟剤組成物に着色された色が非常に薄くなるのを防止でき、着色効果を充分なものとすることができる一方で、液体柔軟剤組成物に着色された色が濃くなりすぎるのを防止できる。
[任意成分:消泡剤、その他添加成分]
その他の添加剤として、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線吸収剤、後述するpH調整剤等が挙げられる。
【0033】
[pH、粘度]
本発明の液体柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(B)分の分子中に含まれ得るエステル基の加水分解を抑制する目的で、pHを1〜6の範囲に調整することが好ましく、2〜4の範囲であることがより好ましい。pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、フィチン酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
本発明の液体柔軟剤組成物の粘度は特に限定されないが、容器からの排出性、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の点から、1000mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)以下であることが好ましく、保存経日による粘度上昇を考慮すると、配合直後の粘度は5〜50mPa・sであるのがより好ましい。このような範囲にあると、前記の使用性が良好であるので好ましい。本発明の液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。これらの水溶性塩類は液体柔軟剤組成物中に0〜1%程度配合でき、液体柔軟剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
【0034】
[本発明の組成物の製造方法]
本発明の組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を、必要により任意成分と共に混合することにより製造することができる。(C)金属イオン封鎖剤は、液体柔軟剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。複数回に分けて添加しても良い。
【0035】
[繊維製品への使用方法]
本発明の液体柔軟剤組成物の使用方法は特に限定されないが、例えば洗濯のすすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行ったり、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法があるが、その場合は適度な濃度に希釈して使用される。その場合、浴比(繊維製品に対する処理液の重量比)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。具体的には、柔軟処理を行う際は、全使用水量に対し、(B)成分の濃度が5ppm〜1000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは10ppm〜300ppmとなるような量で使用される。
【実施例】
【0036】
[配合方法]
以下に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分及び任意成分を用い、表6に示す組成に従って液体柔軟剤組成物を調製した。
【0037】
【表1】

【0038】
[蛍光増白剤の水溶性判定]
25℃のイオン交換水100mLに1.0gのサンプルが完全に溶解したものを○とした。







【0039】
【化4】

【0040】
[A-4の化学名]
2,2'-Stilbenedisulfonic acid,4,4'-bis((4-amilino-6-bis(2-hydroxyethyl)amino-s-triazin-2-yl);amino)-,disodium salt
【0041】
【化5】
















【0042】
【表2】

【0043】
【表3】























【0044】
【表4】

【0045】
[任意成分:シリコーン化合物]
実施例及び比較例で用いたポリエーテル変性シリコーンは次の様に合成した。すなわち、攪拌装置、凝縮機、温度計および窒素挿入口を備えた1Lの4つ口フラスコに、下記のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを100g、イソプロピルアルコールを50g、ポリオキシアルキレン化合物を11g、付加反応用触媒を0.2g、2%酢酸ナトリウムのイソプロピルアルコール溶液を0.3g投入して、これらを窒素雰囲気下、90℃で3時間反応させた。反応終了後、溶媒を減圧留去することにより目的化合物を得た。
・用いたオルガノハイドロジェンポリシロキサン
【0046】
【化6】

【0047】
α=210、β=9
・用いたポリオキシアルキレン化合物
CH2=CHCH2O−(C2H4O)10−CH3

【0048】
【表5】

【0049】
液体柔軟剤組成物は、内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、(株)島津製作所製)を用い、次の手順により調製した。
まず、(B)成分、(C)成分、エタノール、ポリエーテル変性シリコーン及び香料を混合攪拌して、油相混合物を得た。
一方、(A)成分、ノニオン界面活性剤、塩化カルシウム、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、イソチアゾロン液、色素をバランス用精製水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、バランス用イオン交換水の質量は、990gから油相混合物とノニオン界面活性剤、塩化カルシウム、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、イソチアゾロン液、色素の合計質量を差し引いた残部に相当する。
次に、(B)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(B)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は35:65(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学(株)製)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学(株)製)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の液体柔軟剤組成物を得た。
【0050】
上で調製した液体柔軟剤組成物を用い、黄ばみ改善及び保存安定性を評価した。結果を表6に示す。
[黄ばみ改善評価]
<前処理条件>
綿タオル(東進(株)製)を、電気洗濯機(三菱電機(株)製CW-C30A1-H)の標準コースにて洗浄(「リキッドトップ」標準使用量、水温50℃、15分、浴比30倍)を2回行った後、流水すすぎを15分間×5回行った。(各洗浄、すすぎ間には全て5分間脱水した。)
<柔軟剤処理>
A-1綿金巾3号未さらし布(21cm×21cm、谷頭商店(株)製)1枚と前処理洗浄した綿タオル(東進(株)製)とをあわせて1.0kgを市販洗剤「リキッドトップ」(ライオン(株)製)の標準量を使用し、電気洗濯機(三菱電機(株)製CW-C30A1-H)の標準コース、25℃の水道水30L(浴比30倍)にて、10分間洗浄した。3分間のすすぎに続いて、すすぎ2回目に水道水20L(浴比20倍)で、柔軟剤組成物を7mL添加して、3分間衣料の柔軟仕上げ処理を行った。洗浄、すすぎの各工程間で脱水を1分間行った。その後、20℃、45%RHの恒温調湿室で乾燥させた。この工程を3回繰り返した。また、市販柔軟剤「ふんわりソフラン」(ライオン(株)製)7mLを水道水20L中に溶解して同様に処理したA-1綿金巾3号未さらし布を標準品として作成した。A-1綿金巾3号未さらし布を標準品として、パネラー5人の官能による一対比較評価を行い、供試柔軟剤組成物の黄ばみ改善効果を評価した。
下記評価基準に従って評価したパネラー5人の評価点数を平均し、1未満を×、1以上1.5未満を○、1.5以上を◎とした。商品価値上、○以上が合格である。
[評価基準]
標準品と同等である……0(点)
標準品よりやや白い……1(点)
標準品より白い……2(点)
標準品よりかなり白い……3(点)
【0051】
[柔軟性評価]
上記の方法で柔軟仕上げ処理を施した綿タオル(1枚)について、市販柔軟剤「ふんわりソフラン」(ライオン(株)製)を7mLを水道水20L中に溶解して同様に処理した綿タオル(1枚)を比較対照品として、パネラー5人の官能による一対比較評価を行い、供試柔軟剤組成物の柔軟性を評価した。下記評価基準に従って評価したパネラー5人の評価点数を平均し、2.0点未満を×、2.0点以上3.0点未満を△、3.0点以上4.0点未満を○、4.0点以上を◎、とした。商品価値上、○以上が合格である。
[評価基準]
5点:比較対照品より明らかに柔らかい。
4点:比較対照品よりやや柔らかい。
3点:比較対照品と同等。
2点:比較対照品よりやや柔らかくない。
1点:比較対照品より明らかに柔らかくない。
【0052】
[保存安定性の評価]
組成物を軽量PSガラスビン(PS−No.11、田沼硝子工業所製)に100mL入れて密閉し、50℃の恒温室に入れ、8週間保存した。保存後、25℃に冷却して、以下の項目について評価を行った。
<色調安定性評価>
組成物の色を5人の訓練したパネラーにより下記に示す基準に基づき、目視評価し平均点を求めた。平均点が1未満を◎、1以上1.5未満を○、1.5以上を×とした。商品価値上、○以上を合格とした。
[評価基準]
保存前の試料と同等……0(点)
やや黄色に変色している……1(点)
黄色に変色している……2(点)
著しい変色が認められる……3(点)
【0053】
<液性評価>
組成物の液性についての評価を以下の基準に従って目視で行った。商品価値上、○以上を合格とした。
[評価基準]
◎:保存前と比較して変化が認められない。
○:保存前と比較して粘度の上昇が認められるが、容器を倒立させて排出させた際に3秒以内に内容物の95%以上が排出される。
×:容器を倒立させて排出させた際に3秒以内に内容物の95%以上が排出されない、又は組成物に相分離が認められる。


















【0054】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水溶性蛍光増白剤と、
(B)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていても良い炭素数12〜36の炭化水素基を分子内に1つ以上有し、かつ3級アミノ基を有する化合物もしくはその酸塩又は4級アンモニウム基を有する化合物と、
(C)金属イオン封鎖剤と
を含有する液体柔軟剤組成物。
【請求項2】
(A)成分の水溶性蛍光増白剤がビススチリルビフェニル誘導体である請求項1記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項3】
(C)成分の金属イオン封鎖剤が有機ホスホン酸化合物である液体柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2009−41123(P2009−41123A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205576(P2007−205576)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】