説明

液体注出栓

【課題】 大型容器の側面取付け用の基筒部材11と、該基筒部材内へ、上下方向へ垂下させて回動自在に嵌合されたノズル部材31とからなる液体注出栓において、開栓により基筒部材11内を通ってノズル筒33内へ入った液体が、特に少量注出の際にノズル筒内を螺降してノズル筒下方で飛散することを防止できるよう設けた。
【解決手段】 ノズル筒33内面へ流入液体螺行阻止手段としての板25をノズル筒方向へ縦設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体注出栓に関する。
【背景技術】
【0002】
容器体口頸部へ基端部を嵌合させたノズル付きの栓本体と、該栓本体へ嵌合させた把手付き部材とからなり、該把手付き部材の回動で上記栓本体のノズル孔基端が開閉できるよう設けた液体注出栓が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−282705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記公知の液体注出栓は、主として飲料、調味料等収納用の大型容器に取付け、小型容器への詰替え用に用いるものであり、通常大型容器を横向きとして、横方向へ突出する容器の口頸部へノズルが下向きとなるよう栓本体を取付け、該栓本体の筒内へ把手付き部材から突出された流出孔付き筒部を回動可能に嵌合させて、該筒先端へ付設した把手を回して垂直にするとノズル孔基端と流出孔とが連通し、又上下逆向きに垂直にするとそれ等両孔が位置ずれして液体流出が停止するよう設けている。
【0004】
本発明も同様に大型容器取付け用の液体注出栓で容器体口頸部取付け用の基筒部材と、該基筒部材の保持筒内へ回動自在に嵌合させたノズル部材とで形成し、該ノズル部材は垂直として、ノズル上端に形成した摘みを正逆両方向へ回動させることで、容器体内液体をノズルから注出し、又その注出を停止できるよう設けたものであり、主たる目的はその操作が容易であると共に特に、液体流出の始めに生じ易い、流出液飛散の防止を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として基端部12を、容器体口頸部へ水密に嵌合させて突出する基筒16先端へ両端面開口の保持筒17を横設して、それ等両筒を流通孔18で連通させた基筒部材11と、上記保持筒17内へ基端を閉塞して摘み39を付設し他端を注出口34とするノズル筒33を、水密にかつ回動自在に貫通させて、上部摘み39による回動で、ノズル筒が有する連通孔32が流通孔18と連通遮断自在に形成したノズル部材31とを有し、
上記ノズル筒33内面へ、流入液体螺行阻止手段を付設した。
【0006】
第2の手段として、上記第1の手段を有すると共に上記流通孔18と連通孔32とを、上記両筒方向を長径とするほぼ楕円形状とすると共に、それ等両孔を連通させる際に重なる両孔孔縁の一方を、他孔側へ張出す弧状縁40とした。
【0007】
第3の手段として、上記摘み39側の保持筒17端部を、断面弧状の係合板22を残してその他部分を切欠くと共に、上記ノズル部材31を、摘み39付き頂板36の内面中心部からノズル筒33を突出させて形成して該ノズル筒基端外面に沿って弧状溝42を周設しておき、
該弧状溝内へ係合板22を摺動可能に嵌合させて、
上記摘み39によるノズル部材31の正逆回動で係合板22の一方側面と弧状溝42一端とが、又係合板の他方側面と弧状溝他端とが接して、流通孔18と連通孔32とが連通し、又遮断可能に設け、それ等両孔遮断状態では、係合板22へ付設した係合突条43を弧状溝42形成壁に付設した係合突条44が強制乗越え可能に係合してそれ等両孔の遮断状態を保持可能に形成した。
【0008】
第4の手段として、上記第1、第2、又は第3の手段を有すると共に上記注出口34側の保持筒17部分から突出させた可撓性細帯片19先端へ注出口閉塞用口キャップ20を付設させ、又保持筒17一部から、口キャップ20着脱用の係合板21を突出させた。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載のように形成することで、流通孔18と連通孔32とを連通させ、又遮断させることでのノズル筒33の開閉操作はノズル筒基端に付設した摘み39の回動を、手首を回して正逆両方向へ回すことで行うことが出来、既述従来例のように把手一端を中心として、把手他端を回す場合に比べてその操作に要する空間を小さくすることが出来る。又ノズル筒33内面へ流入液体螺行阻止手段を設けたから、図11〜14が示すように、特に流通孔18と連通孔32とを僅かに開通させた場合に生じ易い流出液体螺行による飛散を阻止してほぼ垂直に流下させることが出来る。
【0010】
請求項2のようにすることで、図9が示すように流通孔18と連通孔32との連通部分の大小調整範囲を拡大でき、特に微少量の液体注出が容易となる。
【0011】
請求項3のようにすることで、流通孔18と連通孔32とを連通させたり又遮断すること、つまり注出口34の開閉操作を容易かつ確実に行うことが出来、又流通孔と連通孔とがそれぞれ遮断された状態で、係合板22の係合突条43と弧状溝形成壁の係合突条44とが強制乗越え可能に係合して、それ等両孔の遮断状態を保持するから、人為的にノズル部材を回さない限り、他物が触れる等して不用意にノズル部材が回されて液洩れすることもない。
【0012】
請求項4のようにすることで、液体注出の際は口キャップ20を図5のように係合板21へ嵌合させておけばよく、よって液体注出時にその口キャップが邪魔となることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面について説明すると、1は5〜20リットル程度の飲料又は調味料収納用の大型容器でその容器側面の下部からは口頸部2を前方へ突出させている。その口頸部はキャップ螺合筒としており、その先端部へは、基筒部材11を水密に嵌合させている。該基筒部材は、基端部12を大外径の内外二重筒とし、その内筒13を口頸部内へ、又外筒14を口頸部外面へそれぞれ嵌合させ、それ等内外筒前面を閉塞するフランジ状頂板15内周から、小外径の基筒16を前方突出し、かつ該基筒前端へ、上下両端面開口の保持筒17を基筒に対して上下方向へ横設している。基筒前端と保持筒17内とは保持筒筒方向を長径とする楕円形状の流通孔18で連通させておく。
【0014】
図2が示すように保持筒17下部の前面からは可撓性の細帯片19が突出させて該細帯片先端へは後述ノズル筒下端へ着脱させる口キャップ20を付設させ、又保持筒下部側面からは係合板21を突出させてノズル筒下端から外した口キャップをその係合板21へ嵌合可能としている。
【0015】
細帯片19基端の両側には、ねじれに対する強度を高めるための三角形状のリブ19a を付設し、これ等リブ基端面を保持筒17外面へ連結させるとよい。
【0016】
図1、図6が示すように保持筒の前左部分上端前左方縁部分からは外向き段部を介して半円筒状に係合板25を起立している。
【0017】
31はノズル部材で、図1、図3、図4が示すようにほぼ長方形状頂板36の短手方向中間から摘み39を起立すると共に頂板外周から周壁37を垂下し、又頂板中間部下面からノズル筒33を垂下する。又該ノズル筒は既述保持筒17内へ水密にかつ回動可能に嵌合可能であり、ノズル筒上部は下向き段部を介して大外径部33a とし、既述係合板22下端の上向き段部上面へ上記下向き段部が接して保持筒17がノズル部材31を保持し、又このときノズル筒の下部外面へ周設した係合突条45へ保持筒17下端面が接して該保持筒内からのノズル部材の上方抜出しを防止する。
【0018】
図6が示すようにノズル部材31はノズル筒33の上端部外周に、既述係合板25摺動用の弧状溝42を有し、図6が示すように係合板22一方側面が弧状溝一端へ接したとき、図1が示すように流通孔18がノズル筒筒壁で閉塞され、又ノズル部材回動により係合板他方側面が弧状溝他へ接したとき、ノズル筒33に穿設した連通孔32が上記流通孔18と重なって容器内液体が流出するよう設けている。係合板22一部と弧状溝42形成壁の一部とからは係合突条43,44 が突出させてあって、ノズル部材31を図6の流通孔18閉塞位置へ回動させたとき、上記両係合突部が乗越え位置で係合してその閉塞位置を保ち、該位置から図7のように流通孔18開孔位置へ回すことで弧状溝形成壁側の係合突条44が係合板側係合突条43を強制乗越えするよう設けている。
【0019】
上記連通孔32と対向する側のノズル筒33内面へは、流入液体螺行阻止手段としての板41をノズル筒方向へ縦設している。
該板41は液体流出の始めに生じ易い流出液体の飛散防止のためのもので、その板がない場合は図14、図15が示すように連通孔32を多少開いたとき、流通孔18の側方を通ってノズル筒33内へ入った液体は、その側方と対向する弯曲凹面へ当りその凹面に沿って螺動し乍ら下降し、ノズル筒下端から出るとその規制から解除されることで外方へ飛散するが、上記板41を設けたことで、ノズル筒内への流入液体は図12が示すように螺動を阻止され、そのため図13のように下方へ流下することとなり、上記飛散は防止される。図示例では板41を単数としたが複数でもよく、又板に代えて深溝を筒方向へ縦設させてもよい。
【0020】
既述基筒部材11とノズル部材31は、それぞれ合成樹脂材で一体成形するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】容器取付け状態で示す、本発明栓の縦断面図である。
【図2】図1栓を図1前方からみた正面図である。
【図3】図1栓の平面図ある。
【図4】図1栓の斜視図である。
【図5】図4栓の口キャップをノズル筒下端から外し、係合板へ嵌合させた状態を示す、要部の斜視図である。
【図6】図1A−A線を矢示方向へみた拡大断面図である。
【図7】図6状態からノズル部材を回して注出孔を閉塞させた状態で示す拡大断面図である。
【図8】図1B−B線の端面拡大図である。
【図9】図8状態からノズル筒を回して流出孔と連通孔とを僅かに連通させた状態で示す断面図である。
【図10】図9状態で流出孔と連通孔との重なりを示す説明図である。
【図11】図9の状態から更にノズル筒を回して流出孔と連通孔とが全開状態に重ねた状態を示す説明図である。
【図12】流出孔と連通孔とを僅かに連通させたとき、ノズル筒内へ流入する液体の流れ方向を示す断面図である。
【図13】図12状態でノズル筒内へ入った液体が流下する方向を示す説明図である。
【図14】図12のように、ノズル筒内面へ流入液体螺行阻止手段を設けなかった場合における、ノズル筒内流入液体の流れを示す説明図である。
【図15】図14のようにノズル筒内へ入った液体がノズル筒下部において螺降し飛散することを示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 大型容器 11 基筒部材
17 保持筒 18 流通孔
23 折取り片 31 ノズル部材
32 連通孔 33 ノズル筒
38 凹部 39 ノズル筒
41 板 42 弧状溝
43 係合突条 44 係合突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部12を、容器体口頸部へ水密に嵌合させて突出する基筒16先端へ両端面開口の保持筒17を横設して、それ等両筒を流通孔18で連通させた基筒部材11と、上記保持筒17内へ、基端を閉塞して摘み39を付設し他端を注出口34とするノズル筒33を、水密にかつ回動自在に貫通させて、上部摘み39による回動で、ノズル筒が有する連通孔32が流通孔18と連通遮断自在に形成したノズル部材31とを有し、
上記ノズル筒33内面へ、流入液体螺行阻止手段を付設した
ことを特徴とする液体注出栓。
【請求項2】
上記流通孔18と連通孔32とを、上記両筒方向を長径とするほぼ楕円形状とすると共に、それ等両孔を連通させる際に重なる両孔孔縁の一方を、他孔側へ張出す弧状縁40とした
ことを特徴とする請求項1記載の液体注出栓。
【請求項3】
上記摘み39側の保持筒17端部を、断面弧状の係合板22を残してその他部分を切欠くと共に、上記ノズル部材31を、摘み39付き頂板36の内面中心部からノズル筒33を突出させて形成して該ノズル筒基端外面に沿って弧状溝42を周設しておき、
該弧状溝内へ係合板22を摺動可能に嵌合させて、
上記摘み39によるノズル部材31の正逆回動で係合板22の一方側面と弧状溝42一端とが、又係合板の他方側面と弧状溝他端とが接して、流通孔18と連通孔32とが連通し、又遮断可能に設け、それ等両孔遮断状態では、係合板22へ付設した係合突条43を弧状溝42形成壁に付設した係合突条44が強制乗越え可能に係合してそれ等両孔の遮断状態を保持可能に形成した
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の液体注出栓。
【請求項4】
上記注出口34側の保持筒17部分から突出させた可撓性細帯片19先端へ注出口閉塞用口キャップ20を付設させ、又保持筒17一部から、口キャップ20着脱用の係合板21を突出させた ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体注出栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−62705(P2006−62705A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247186(P2004−247186)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000006770)ヤマサ醤油株式会社 (56)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】