液体流量センサ、これを用いた清浄水供給システムおよび試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置
【課題】 純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサ、これを用いた清浄水供給システムおよび試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置を提供する。
【解決手段】 上部に液滴部1、中間部に測定部2を有し、測定部2に、発光部4aと受光部4bからなる透過型光検出器4を有する液体流量センサ10であって、光検出器4の検出光が液滴部1の先端部1aを通過し、液滴部1から離隔する直前の液滴Dを検出することができることを特徴とする。
【解決手段】 上部に液滴部1、中間部に測定部2を有し、測定部2に、発光部4aと受光部4bからなる透過型光検出器4を有する液体流量センサ10であって、光検出器4の検出光が液滴部1の先端部1aを通過し、液滴部1から離隔する直前の液滴Dを検出することができることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体流量センサ、これを用いた清浄液供給システムおよび試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体滴下装置を用いた液滴検知方式流量計は、簡単な光学式液体流量計として多くの製品や研究の報告がある。いずれも小流量の送液ポンプやヘッドタンクからの液体流量を監視又は流量を制御するために用いられている。具体的には、以下に例示するようないくつかの液滴検知方式流量計が提案されている。
【0003】
例えば、図12に示すように、液体の定速連続供給装置の一部として、送液ポンプに使用する液滴検知方式流量計が提案されている。具体的には、液体貯留タンク61、送液ポンプ64a、液体貯留容器55、液体の定速供給装置40、液体受器64b、圧力調整バルブ68,69、加圧装置67から構成されている。また、液体の定速供給装置40は、本体41と液滴センサ49から構成され、液滴センサ49の内部には、発光ダイオード50と受光ダイオード51が設置されている(例えば特許公報1参照)。
【0004】
こうした液滴検知方式流量計は、測定対象の物理的・化学的安定性が高い場合には、形成される液滴の均一性が高く、一定の液量の液滴を形成することができことから、非常に精度の高い液体流量計を構成することができる。従って、昨今のように非常に厳格な制御管理が求められる、医療分野や各種産業分野において有用な液体流量計として多用されている。
【0005】
【特許文献1】特開平01−209321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の液滴検知方式流量計を用いて、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の測定を行った場合には、正確な流量測定ができないことがあった。特に、液滴形成後所定時間経過し、液滴を形成し落下し始める部位(以下「液滴部」という)から所定距離離れた位置に検出光を照射した場合には、後述するように、1つの液滴に対する受光部からの出力が2以上をカウントすることがあり、正常なパルスが得られず正確な流量測定ができなかった。
【0007】
つまり、上記のような送液ポンプに使用する液滴検知方式流量計では、医薬品、栄養剤や塩類が多く含まれ屈折率が大きくなり、透過光による異常パルスの発生は起こりにくく、落下途中における液滴の透過信号の異常値が発生し難く、パルス信号の検知が比較的容易である。一方、純水や希薄塩類を含む液体の液滴の透過光信号の検出センサ信号は、異常パルスが発生し易いことから、従来の液滴検知機構では、各種液体の流量監視には問題があった。液滴の大きさによっては、異常パルスの発生形態が2個又はそれ以上の複数個に分割される場合がある。異常パルスが発生すると、パルスカウンタによる液滴数とカウント数が一致しなくなり正常な流量測定ができなくなる。病院や医学用途で用いる輸液ポンプの液体滴下センサは構造的にも、産業用途には適さない。
【0008】
さらに、純水や希薄塩類を含む液体などの流量を正確に測定できる液体流量計は、例えば、半導体製造設備の洗浄溶液や処理溶液あるいは化学反応用の純水供給装置など種々の用途において強い要請があった。こうした用途においては、溶液の流量の制御精度によって製品の特性が大きく影響されことから、液体流量計に対しても厳しい正確度が要求されるため、上記の課題は無視できない。
【0009】
一方、石炭燃焼排ガスを対象とした水銀などの連続測定装置においては、水銀測定などにおいて妨害となる排気ガス中に存在する酸化セレン(SeO2)からの元素セレン(Se)の生成を防ぐために、簡易な操作で、長期安定的にこれを除去する方法と装置が求められていた。昨今、本発明者の検証によって、純水や希薄塩類を含む液体を用いて、定量的に排気ガス中に存在するSeO2を除去することが可能であることが判り、これに用いる液体流量計が検討課題となっていた。
【0010】
そこで、この発明は、こうした要請に対応し、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液(ここで「無色の溶液」とは、照射する検出光の波長(波長域)を吸収しない溶液をいい、以下同様とする。)の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサ、およびこれを用いた清浄水供給システムを提供することを目的とする。また、こうした液体流量センサあるいは清浄水供給システムを、石炭燃焼排気ガス中の水銀測定などに適用することによって、簡易な操作で、長期安定的にこれを除去する試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用い、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す液体流量センサ、これを用いた清浄水供給システムおよび試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置によって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、該光検出器によって、前記液滴部から離隔する直前の液滴を検出することを特徴とする。
【0013】
液滴形成部を有し、形成された液滴をカウントして流量換算する液状体の流量測定においては、形成される各液滴の液量の均一性とともに、正確なカウントを行う必要がある。上記のように、測定対象が無色の溶液の場合には、光検出器の位置によって、正確なカウントが阻害されることが判った。本発明者がこうした現象を検証した結果、液滴が球体に近い形態において、微小域に絞られた検出光が、落下する液滴の中心近傍に照射されたとき、その検出光の大半が透過することによって、正確なカウントが阻害されるとの推定を得た。本発明は、かかる対策の1つとして、液滴が球体に近い形態になる前に液滴を検出する方法を適用するもので、液滴が形成される液滴部から離隔する直前の液滴を検出することを特徴とする。これによって、正確なカウントを行うことが可能となった。
【0014】
つまり、液滴部の先端部近傍の落下側に照射された検出光は、液滴の形状に関係なく、液滴が先端部から離隔する直前・直後において、その透過光量に大きな相違を生じる。具体的には、離隔する直前においては、液滴表面での液と空気の境界面での反射に加え、その屈折光の増加に伴う受光部に到達する透過光の減少を生じる一方、離隔後においては、透過光量の減少が所定光量以下に維持できるときの光量差を検出することによって、液滴の正確なカウントを行うことができると推定するものである。これによって、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサを提供することが可能となった。
【0015】
本発明は、上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、前記液滴部が、内径d1/外径d2の撥水性材からなるノズル部を有するとともに、前記光検出器の検出光が、前記液滴部の先端部からの距離L≦d1×1.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする。
【0016】
上記のように、液滴検知式流量測定における正確なカウントが阻害される要因が、本発明者によって推定された。本発明は、こうした対策の第2の手法として、上記同様、液滴が球体に近い形態になる前に液滴を検出する方法を適用するもので、ノズル部を撥水性材によって構成するとともに、光検出器を、液滴部の先端部から所定の距離となる位置に配設した点を特徴とする。これによって、正確なカウントを行うことが可能となった。
【0017】
つまり、ノズル部をPTFE(フッ素系樹脂)などの撥水性素材あるいは撥水処理して用いることによって、図1(A)に例示するように、液滴Dの形成において、比較的小さな液滴Dを形成するとともに、ノズル部1cとの離隔が円滑になり、飛沫の分割がない液滴を形成することができる。また、これによって、比較的早く液滴Dが球体に近い形態になり、その時間(落下距離)を略一定にすることができる。一方、ノズル部1cから離隔した直後の液滴Dは、瓢箪形状に似た形態あるいは引き伸ばされつつある飴状の形態を有しており、形状的に、鉛直方向と水平方向の両方に対する不均一性の有することから、液滴表面での液と空気の境界面での反射に加え、その屈折光の増加に伴う受光部(図示せず)に到達する透過光の減少を生じる。従って、上記のような正確なカウントが阻害される領域を外して、液滴の通過による透過光の減少を生じる領域を設定することが可能となり、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサを提供することが可能となった。具体的な透過光の設定領域は、実証の結果、液滴部の内径に対する所定範囲の比率に相当する領域が最適となる。なお、ここで「液滴部の先端部」とは、図1のようにノズル部1cが液滴の離隔部位に相当するときは、ノズル部1cの先端部が相当し、ノズル部1cが液滴部1全体の先端部位と同一面上にあり(例えば図4(B))、その面全体が液滴の離隔部位に相当するときは、液滴部1全体の先端部が相当する。
【0018】
本発明は、上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、前記液滴部が、内径d1/外径d2の親水性材からなるノズル部を有するとともに、前記光検出器の検出光が、前記液滴部の先端部からの距離L≦d2×2.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする。
【0019】
上記のように、液滴検知式流量測定における正確なカウントが阻害される要因が、本発明者によって推定された。本発明は、こうした対策の第3の手法として、上記同様、液滴が球体に近い形態になる前に液滴を検出する方法を適用するもので、ノズル部を親水性材によって構成するとともに、光検出器を、液滴部の先端部から所定の距離となる位置に配設した点を特徴とする。
【0020】
つまり、ノズル部をガラスなどの親水性素材あるいは親水処理して用いることによって、図1(B)に例示するように、液滴Dの形成において、溶液に対しより大きな液滴Dを形成するとともに、溶液がノズル部1cに残存する溶液と離隔するに際する生じる表面張力が大きくなる(つまり、接触角度θが小さい)。これによって、液滴Dが球体に近い形態になるまでの時間(落下距離)が長くなる。具体的な透過光の設定領域は、実証の結果、液滴部の外径に対する所定範囲の比率に相当する領域が最適となる。従って、上記のような液滴の通過による透過光の減少を生じる領域を広く設定することが可能となり、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサを提供することが可能となった。
【0021】
本発明は、上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、該光検出器の検出光の中心軸が、前記測定部の液滴の落下軌跡に対して20〜40°の傾斜を有することを特徴とする。
【0022】
上記のように、液滴検知式流量測定における正確なカウントが阻害される要因が、本発明者によって推定された。本発明は、こうした対策の第4の手法として、落下中の液滴が完全な球体にならないことを利用し、液滴を通過する透過光の減少を生じる条件下において液滴を検出する方法を用いるもので、検出光の中心軸が、前記測定部の液滴の落下軌跡に対して所定の傾斜角度を有する点を特徴とする。
【0023】
つまり、落下中の液滴Dは、無重力のような特殊な条件を除き、図1(C)に例示するように、重力方向に細長な楕円形状に近い形態になる。従って、検出光の中心軸Mが、前記測定部の液滴の落下軌跡Tに対して所定の傾斜角度αを有することによって、屈折光の増加に伴う受光部4bに到達する透過光の減少を生じる条件を確保することができる。実証の結果、傾斜角度αが所定範囲となるように設定することによって、測定部の略全領域において正確なカウントが阻害されることがないことが判った。従って、上記のような液滴Dの通過による透過光の減少を生じる領域を広く設定することが可能となり、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサを提供することが可能となった。
【0024】
本発明は、上記液体流量センサのいずれかを用いた清浄液供給システムであって、清浄液あるいは再生処理後の使用済み清浄液を供給する流路に、給送手段、流量制御手段および前記液体流量センサを直列的あるいは並列的に配設することを特徴とする。
【0025】
液滴検知式流量測定計は、その測定精度のよさから医療用を含む各種用途において多用されている一方、純水や希薄塩類を含む清浄液においては、上記のように正確なカウントが阻害される要因について対策することが不可欠であった。本発明は、上記のいずれかの液体流量センサを清浄液供給システムの構成要素の1つとして用いることによって、こうした清浄液であっても、その流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い清浄水供給システムを提供することが可能となる。
【0026】
本発明は、(1)試料を加温する加熱導入路と、
(2)該加熱試料の流れと冷却水の流れが対向する流路を有し、試料と冷却水を混合して急速に冷却する一次冷却部と、
(3)前記混合ガスの冷却を行うスパイラル状の流路を有するとともに、該スパイラル状の流路の終端に気液分離を行う空間を有する二次冷却部と、
(4)該二次冷却部からの凝縮水を導入する再生器と、
(5)該再生器と一次冷却部との接続する冷却水供給路と、
を有する試料中の酸化セレン除去装置であって、
上記液体流量センサのいずれかを、前記一次冷却部への冷却水供給流路に設けたことを特徴とする。
【0027】
昨今排気ガス中の水銀測定において、測定精度を著しく低下させる大きな原因の1つとして、試料中に存在するSeO2が、還元反応時に水銀とアマルガムを作り易いことが判ったものの、従前の方法では、水銀の測定に影響を与えずにSeO2を除去することが困難であった。これに対する本発明者の検証において、排気ガスに清浄水を連続添加することで、急速冷却と洗浄を同時に行い、以降の試料配管や冷却除湿器内での水銀測定の妨害物質である元素Seの析出を防ぐことができることが判った。このとき、清浄水供給システムの清浄水流量が低下又は停止すると、試料ガスの温度上昇や水分量が減少して共存ガスの酸化セレンが還元されてSeが析出し、水銀測定の妨害となる。従って、安定した清浄水の連続添加のためには、清浄水流量の連続監視およびそれに基づく流量制御が必要になる。
【0028】
具体的には、一次冷却部において、SeO2を含む試料を、加熱温度100〜200℃の状態から急速に環境雰囲気温度(通常0〜30℃程度)まで冷却することによって、試料中の水分から生じる凝縮水への溶解を加速し、下式1の反応を促進することができる。ただし、このとき水滴状の凝縮水の存在は、SO2の溶解によって、Seの析出を誘引することとなることから、冷却水を供給することによって、流路からの洗い流しの効果が生じ、Seの析出を抑制することが可能となる。また、冷却水の供給は、SeO2の冷却水への溶解を促進するとともに、溶解したH2SeO3およびSO2の希釈効果も得ることができる。さらに、冷却水による低温化によって、水銀とのアマルガムの形成反応を一層低下させることが可能となる。さらに、こうした技術効果は、加熱試料の流れと冷却水の流れが対向する流路を有し、試料と冷却水を混合して急速に冷却することによって、実効を上げることができる。
SeO2+H2O→H2SeO3・・(式1)
【0029】
また、二次冷却部では、かかる混合ガスをさらにスパイラル状の流路において冷却しつつ気液分離処理を行うことによって、アマルガムの生成を排除しつつSeO2が除去された試料ガスを作製することを可能とした。つまり、スパイラル状の狭い流路を冷却することによって、混合ガスの移送および凝縮水の発生に伴う流路内での液滴や飛沫の発生を防止しつつ、スパイラル状の流路の終端に設けられた空間において気液分離処理を効果的に行うことができる。
【0030】
さらに、一次冷却処理用の冷却水を外部から連続的に供給せずに、気液分離処理によって得られた凝縮水を、一次冷却部に供給される冷却水として用いることは、省資源や省エネルギーあるいは排水処理の負担軽減の観点からも好ましい。つまり、試料中に含まれるSeO2などの水溶性の物質は微量であり、凝縮水をイオン交換樹脂などの再生手段を流通させることよって、亜セレン酸などを比較的容易に除去することができる。また、石炭燃焼排ガスを試料とする場合には、試料中に多量の水分を含んでおり、冷却水の補充を必要としないことから、かかる循環再生利用は、長期の仕様においても好適である。
【0031】
以上のような構成によって、簡易な操作で、長期安定的に試料中のSeO2を除去する装置を提供することが可能となった。
【0032】
本発明は、上記清浄液供給システムまたは上記試料中の酸化セレン除去装置を用いた水銀測定装置であって、
石炭燃焼排気ガスを測定対象試料とし、前記試料を採取する試料採取部と、該試料採取部から前記試料を加熱して導入する試料導入路と、前記除去装置と、水銀分析計と、を有することを特徴とする。
【0033】
排気ガス中の水銀測定においては、水銀化合物を還元し原子状水銀として吸光光度法を用いて測定することによって、非常に高感度の測定が可能になる一方、石炭燃焼排気ガス中の水銀測定においては、従前にはないいくつかの課題を克服する必要があることが判った。特に、排気ガス中に存在するSeO2については、還元反応時に、水銀とアマルガムを作り易いことから、測定精度を著しく低下させる大きな原因の1つであり、本発明は、清浄液供給システムまたは上記試料中の酸化セレン除去装置を用い、この影響を排除することによって、従前の方法ではできなかった測定精度の確保を可能としたものである。従って、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置を提供することが可能となった。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、従来正確な測定が困難であった純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサ、およびこれを用いた清浄水供給システムを提供することが可能となった。また、こうした液体流量センサあるいは清浄水供給システムを、石炭燃焼排気ガス中の水銀測定などに適用することによって、妨害となる排気ガス中に存在するSeO2からの元素Seの生成を防ぎ、簡易な操作で、長期安定的にこれを除去する試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用い、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
最初に、本発明に係る液体流量センサ(以下「本流量センサ」という。)について、その後これらを用いた清浄液供給システム、試料中の酸化セレン除去装置および石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置について説明する。
【0036】
<本流量センサの構成>
本流量センサの基本は、図2に例示するように、上部に液滴部1、中間部に測定部2、下部に液受部3を有し、測定部2に、発光部4aと受光部4bからなる透過型光検出器4を有する液体流量センサ10と、光検出器4の出力が接続される積算カウンタ5から構成される。光検出器4の出力は、積算カウンタ5によってカウントされ、液体流量センサ10固有に設定された、液滴D当たりの単位容積を乗じることによって、液体流量センサ10を通過する溶液の流量を算出することができる。本発明は、こうした基本構成に加え、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液を測定対象とすることに伴う液滴を透過する光の変化を正確に検出できる方法を、下記のいくつかの構成例によって実現するものである。また、本方式は、測定系が減圧又は加圧系においても測定に影響しないことから、応用範囲が広いという特徴がある。
【0037】
ここで、本流量センサ10の材質は、純水など腐蝕性のない溶液の場合には、後述する液滴部1を除き、特に制限はないが、液滴Dの落下状態の確認のために測定部2を透明なガラスやプラスチック製とすることが好ましい。
【0038】
液滴部1は、図2に示すように、液滴Dが落下する先端部1a、その内部に溶液の流路1bを有し、内径d1/外径d2を有するノズル部1cから構成される。ノズル部1cの大きさは、測定する溶液の流量によって異なり、例えば、1〜数10ml/min程度において、通常内径d1=4mm/外径d2=6mmのノズル部1cを使用する。また、先端部1aから落下する液滴Dの大きさや形状などは、液滴部1の素材あるいは液滴部1の表面処理によって変化し、異常な光検出器4の出力の発生は、ノズル部1cの材質および先端部1aからの光検出器4の位置(液滴Dの落下距離)により決まるものであり、光検出器4の配置と合せて、最適条件を設定することが。好ましい。詳細は、後述する。
【0039】
光検出部4は、液滴Dの測定が可能なセンサであれば、透過型や反射型など制限されないが、測定対象を無色の溶液とする本発明においては、液滴Dの存在の有無による検出光の差異の大きさ、落下軌跡Tの中心からの液滴Dのズレ、液滴Dの大きさあるいは形状の変化などの影響を小さくし、高い検出精度を確保するために、微小域の光スポット(例えば、スポット径1〜5mm)を有する透過型の光検出器4が好ましい。具体的には、可視〜赤外領域(400〜1000nm)のフォトダイオードやフォトトランジスタなどを用い、発光部4aと受光部4bを一体化した光検出器4を構成することが好ましい。市販の小型で検出感度の高いセンサを使用することが可能である(例えば、オムロン製、EE−SPXシリーズなど)。
【0040】
積算カウンタ5においては、図3(A)〜(C)に例示するように、形成された1つの液滴Dに対する透過光信号パターン(パルス信号)を1滴対1パルス信号で捉える条件を設定することで、時間当たりの正確な液滴数の検出を行うことができる。従って、広い流量範囲において直線性のよい出力を得ることができるため、広い範囲の流量制御が可能となる。また、光検出器4からの出力レベルに応じてパルスカウンタの検出感度を設定することが好ましく、ノズル部1cの内径d1/外径d2など液滴部1の構成や測定部2の光検出器4の設置が決まれば、それぞれ固定値tとして設定することができる(例えば、0.1msecや0.05msecなど)。つまり、図3(B)のように、液滴Dがないときの透過光量をIoとすると、図3(A)の位置aに液滴Dがあるとき透過光量はIaに減少し、同様に位置bおよび位置cにおいてそれぞれIb,Ic(≒Ia)となる。図3(C)のように、このときのIaをカウントレベルに設定し、略同レベルのIcまでの時間tを固定値とすることによって、安定かつ正確なカウントを行うことができる。
【0041】
また、測定部2をガラスなどの透明素材で形成した場合には、光検出信号を基にしたパルスカウンタによる流量監視に加え、目視による液滴流下状況を観察することによっても流量監視が容易に行うことができる。
【0042】
なお、流量測定においては溶液の温度影響を考慮する必要がある。ノズル部1cからの液滴Dの落下数および液滴量は、液体温度の粘性及び表面張力の温度変化に影響するので予め液体温度対流量の関係データを取得しておき、液体温度を同時に計測して補正係数を乗じて流量補正を行うことで温度による流量影響を補正することができる。
【0043】
〔本流量センサの第1構成例〕
本流量センサの第1構成例は、光検出器4によって、液滴部1から離隔する直前の液滴Dを検出することを特徴とする。つまり、従前の方法では、微小域に絞られた検出光が、その液滴Dが球体に近い形態において落下する液滴Dの中心近傍に照射された場合、その検出光の大半が透過するために正確なカウントが阻害されることがあった。本流量センサにおいては、図4(A)に例示するような位置に光検出器4を配設することによって、液滴部1から離隔する直前の液滴Dに検出光が照射され、球体に近い形態になることのない液滴Dを検出することができる。これによって、無色の溶液の測定においても、正確なカウントを行うことが可能となった。具体的には、液滴部1の先端部1aから落下奇跡Tに沿った距離Lに対して、発光部4aと受光部4bの各中心を結ぶ微小域sに絞られた検出光の中心軸Mが、0<L≦sとなるような測定部2の位置に光検出器4を配設することが好ましい。
【0044】
つまり、溶液の供給に伴い、先端部1aから徐々に液滴Dを形成するが、液滴Dの自重および液滴部1の先端部1aとの間における表面張力によって、図4(B)に例示するように、先端部1a近傍においては決して球体に近い形状を形成することはなく、形状的に鉛直方向に対する不均一性の有している。このため、液滴Dの離隔直前においては、発光部4aから照射された光は、液滴Dの表面での液と空気の境界面での反射に加え、境界面での屈折光の増加に伴い、液滴Dを透過して受光部4bに到達する検出光は大きな減少を生じる。一方、液滴の離隔後においては、受光部4bに到達する検出光は光路中に減少することはない。従って、液滴Dの有無によって生じる、こうした透過光量の変化を検出することによって、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。具体的には、液滴部1の先端部1aにおける液滴形成時の透過光信号パターン(パルス信号)を1滴対1パルス信号で捉える条件を設定することで、時間当たりの正確な液滴数の検出を可能にする。
【0045】
〔本流量センサの第2構成例〕
本流量センサの第2構成例は、液滴部1が、内径d1/外径d2の撥水性材からなるノズル部1cを有するとともに、光検出器4の検出光が、液滴部1の先端部1aからの距離L≦d1×1.5となる距離Lまでの測定部2を通過することを特徴とする。つまり、1つには、ノズル部1cをPTFE(フッ素系樹脂)などの撥水性素材あるいは撥水処理して用いることによって、図1(A)に示すように、比較的小さな液滴Dを形成するとともに、ノズル部1cとの離隔を円滑に図ることができる。これによって、飛沫の分割がない液滴Dを形成することができるとともに、液滴Dが球体に近い形態になるまでの時間(落下距離)を略一定にすることができる。従って、上記のような正確なカウントが阻害される領域を外して、液滴Dの通過による透過光の減少を生じる領域を設定することが可能となり、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。
【0046】
一方、先端部1aから離隔した直後の液滴Daは、液滴Daの自重および液滴部1の先端部1aとの間における表面張力によって、図5に例示するように、瓢箪形状に似た形態あるいは引き伸ばされつつある飴状の形態を有しており、形状的に、鉛直方向と水平方向の両方に対する不均一性の有することから、液滴表面での液と空気の境界面での反射に加え、その屈折光の増加に伴う受光部4bに到達する透過光の減少を生じる。従って、先端部1aから正確なカウントが阻害される状態の液滴Dcとなるまでの領域を、液滴DaまたはDbの通過による透過光の減少を生じる領域として設定することが可能となり、正確なカウントをすることが可能となった。具体的な透過光の設定領域は、実証の結果、液滴部1の先端部1aからの距離L≦d1×1.5となる距離Lに相当する領域が最適となることが判った。例えば、後述する〔実施例〕において述べるように、内径4mm/外径6mmのノズル部1cを用いた場合には、L≦4×1.5=6mmが好ましい。さらに好ましくは、L≦4mmの条件であり、L≦d1×1となる距離Lに相当する。
【0047】
ここで、ノズル部1cの撥水性素材あるいは撥水処理とは、ノズル部1cを、例えばPTFEなどの各種フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのプラスチック製とする場合、あるいは金属製ノズルの表面に上記樹脂のコーティング処理などを施す場合をいう。
【0048】
〔本流量センサの第3構成例〕
本流量センサの第3構成例は、液滴部1が、内径d1/外径d2の親水性材からなるノズル部1cを有するとともに、光検出器4の検出光が、液滴部1の先端部1aからの距離L≦d2×2.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする。つまり、1つには、ノズル部1cをガラスなどの親水性素材あるいは親水処理して用いることによって、図1(B)に示すように、より大きな液滴Dを形成するとともに、溶液がノズル部に残存する溶液と離隔するに際する生じる表面張力が大きくなる。つまり、接触角度θが小さくなる。これによって、液滴が球体に近い形態になるまでの時間(落下距離)が長くなる。従って、上記のような液滴の通過による透過光の減少を生じる領域を広く設定することが可能となり、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。
【0049】
一方、先端部1aから離隔した直後の液滴Daは、上記第2構成例と同様、液滴Daの自重および液滴部1の先端部1aとの間における表面張力によって、図5に例示するように、瓢箪形状に似た形態あるいは引き伸ばされつつある飴状の形態を有しており、先端部1aから正確なカウントが阻害される状態の液滴Dcとなるまでの領域を、液滴DaまたはDbの通過による透過光の減少を生じる領域として設定することが可能となる。特に、液滴Dが大きいことおよび先端部1aとの強い親水性による離隔した直後の液滴Daの変形が大きいことから、より広い領域を設定することが可能となり、正確なカウントをすることが可能となった。具体的な透過光の設定領域は、実証の結果、液滴部1の先端部1aからの距離L≦d2×2.5となる距離Lに相当する領域が最適となることが判った。例えば、後述する〔実施例〕において述べるように、内径4mm/外径6mmのノズル部1cを用いた場合には、L≦6×2.5=15mmが好ましい。さらに好ましくは、L≦10mmの条件であり、L≦d2×1.6となる距離Lに相当する。
【0050】
ここで、ノズル部1cの親水性素材あるいは親水処理とは、ノズル部1cを、例えばガラス、ステンレス鋼等の金属、あるいはセラミックス製とする場合、あるいは樹脂製ノズルの表面にガラスや酸化チタンなどのコーティング処理などを施す場合をいう。また、図1(B)に示すように、ノズル部1cに形成した液滴Dは、重力(F↓)と動的角度θによる湿潤張力(F↑)の釣り合った状態を示す。つまり、mは液滴の質量、gは重力加速度、Pは液滴の接するノズル円周長さ、γは液滴の比重、θは接触角度を示すとすると、下式2が成立する。
F↓(mg)=F↑Pγcosθ・・(式2)
液滴Dの離隔時には、mが大きくなり、F↓>F↑が成立する。
【0051】
〔本流量センサの第4構成例〕
本流量センサの第4構成例は、光検出器4の検出光の中心軸Mが、測定部2の液滴落下軌跡Tに対して20〜40°の傾斜を有することを特徴とする。つまり、落下中の液滴Dは、無重力のような特殊な条件を除き、図1(C)に示すように、重力方向に細長な楕円形状に近い形態になり、完全な球体にならないことを利用し、検出光の中心軸Mが、測定部2の液滴の落下軌跡Tに対して所定の傾斜角度αを有することによって、屈折光の増加に伴い液滴を通過する透過光の減少を生じる条件を設定することが可能となり、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。
【0052】
具体的には、実証の結果、傾斜角度αを20〜40°となるように設定することによって、測定部2の略全領域において正確なカウントが阻害されることがないことが判った。従って、傾斜角度αを20〜40°となるように光検出器4を配設することによって、上記のような液滴Dの通過による透過光の減少を生じる領域を広く設定することが可能となり、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。
【0053】
〔実施例1〕
液滴部1のノズル部1cの材質を変更し、測定部2における、正確なカウントができる光検出器4の位置、あるいは最適範囲を実証した。
(1)実験条件
(1−1)図6(A)のように、配管10aから純水を供給し、光検出器4として2.2mmのビーム径を有し940nmの赤外発光ダイオードを光源とするマイクロフォトセンサ4を用いて、先端部1aからの距離Lを変化させたときの、光検出器4の出力を積算カウンタ5およびオシロスコープ6によって監視した。
(1−2)内径4mm/外径6mmのノズル部1cを用い、材質をガラスおよびPTFEとした。
【0054】
(2)実験結果
(2−1)図6(B)に示すように、オシロスコープ6によって観測された正常なパルス波形は、ノズル部1cの材質をガラスとしたときにL≦15mm、PTFEとしたときにL≦6mmの条件であった。より好ましくは、ガラスとしたときにL≦10mm、PTFEとしたときにL≦4mmの条件であった。
(2−2)図6(C)に示すように、オシロスコープ6によって観測された異常なパルス波形は、ノズル部1cの材質をガラスとしたときにL>15mm、PTFEとしたときにL>6mmの条件であった。
(2−3)まとめ
ガラス製ノズルを使用した場合、液滴下ノズル先端部とセンサ光軸間距離は4〜10mmにセットすることで、正常なパルス信号を得ることができる。このときの流量対パルス数の関係は、図6(D)に示すように、良い直線関係が得られた。計測流量範囲が広いガラス製ノズルにて0−1.5ml/min、0−10ml/minまでの範囲で直線性が得られた。
また、ノズル材質の違いについては、既述のように、PTFEでは先端部1aと液滴Dの接触が殆どなく液滴Dの球体への成長が早く透過光を測定した場合異常パルス波形を形成し易いが、ガラス製では接触角度が大きく液滴Dのサイズが大きくなり重力が勝ってノズルから離れて落下直後においてもパルス光の乱れは生じないと推定できる。
【0055】
〔実施例2〕
検出光の中心軸Mを測定部2の液滴の落下軌跡Tに対して角度αの傾斜を設けた場合の、正確なカウントができる光検出器4の傾斜角度、あるいは最適範囲を実証した。
(1)実験条件
(1−1)〔実施例1〕と同様、配管10aから純水を供給し、光検出器4として2.2mmのビーム径を有し940nmの赤外発光ダイオードを光源とするマイクロフォトセンサを用いて、先端部1aからの距離約15mmの位置にセットし、図7(A)に示すような傾斜角度αを変化させたときの、光検出器4の出力を積算カウンタ5およびオシロスコープ6によって監視した。
(1−2)内径4mm/外径6mmのノズル部1cを用い、材質をガラスとした。
【0056】
(2)実験結果
(2−1)図7(B)に示すように、オシロスコープ6によって観測された正常なパルス波形は、傾斜角度αが20〜40°の条件であった。
(2−2)図7(C)に示すように、オシロスコープ6によって観測された異常なパルス波形は、傾斜角度αが、α<20あるいはα>40°の条件であった。
(2−3)まとめ
以上のように、〔実施例1〕において、異常なパルスが発生した光検出器4の位置においても傾斜角度αが20〜40°において、正常なパルスとして検出することができた。
【0057】
<本流量センサを用いた清浄液供給システム>
本発明に係る清浄液供給システム(以下「本供給システム」という)は、上記液体流量センサのいずれかを用いたものであって、清浄液あるいは再生処理後の使用済み清浄液を供給する流路に、給送手段、流量制御手段および前記液体流量センサを直列的あるいは並列的に配設することを特徴とする。
【0058】
つまり、図8(A)に例示するように、清浄液貯留タンク11内の清浄液を給送ポンプ12によって圧送し(給送手段に相当)、バルブ13(流量制御手段に相当)によって所定の流量に調整し、上記のいずれかの液体流量センサ10によって確認されて、処理部14に供給される。純水や希薄塩類を含む清浄液においても正確な流量を監視することが可能となる。従って、清浄液専用の液体流量センサ10の採用で安定した清浄液供給システムが可能になる。ここで、清浄液とは、純水や希薄塩類を含む清浄な原液のみならず、図8(B)のように使用済の溶液を再生器15および吸引ポンプ16を介して再生して清浄化された溶液をも含む。こうした清浄水供給システムは、特に半導体プロセスにおける純水や薬液の添加あるいは後述する水銀測定装置における試料ガス処理系における清浄水供給システムなどのように、連続的に流量監視および流量制御を行うことを必要とする場合において有用である。また、乾燥ガスの加湿処理に対しても、その優れた定量性を有効に活かすことができる。
【0059】
<本流量センサを用いた試料中の酸化セレン除去装置>
本発明に係る酸化セレン除去装置(以下「本除去装置」という)は、
(1)試料を加温する加熱導入路と、
(2)該加熱試料の流れと冷却水の流れが対向する流路を有し、試料と冷却水を混合して急速に冷却する一次冷却部と、
(3)前記混合ガスの冷却を行うスパイラル状の流路を有するとともに、該スパイラル状の流路の終端に気液分離を行う空間を有する二次冷却部と、
(4)該二次冷却部からの凝縮水を導入する再生器と、
(5)該再生器と一次冷却部との接続する冷却水供給路と、
を有し、上記液体流量センサのいずれかを、前記一次冷却部への冷却水供給流路に設けたことを特徴とする。
【0060】
具体的な本除去装置の構成を、図9に例示する。加熱導管21(加熱導入路に相当)、一次冷却管22(一次冷却部に相当)、二次冷却管23およびこれを冷却する電子冷却器23a(二次冷却部に相当)、陰イオン交換樹脂が充填された再生器24、ドレン回収ポンプ25a、冷却水タンク25b、冷却水供給ポンプ25cおよび流量計25d(冷却水供給路を形成)とから構成される。流量計25dとして、上記液体流量センサ10のいずれかを用いる。
【0061】
水分やSeO2等を含む試料は、加熱導管1によって凝縮しないように加熱されながら移送され、一次冷却管22に導入されて冷却水と混合される。ここで急速に冷却されるとともに、試料中のSeO2を溶解しながら、次に二次冷却管23に導入される。ここでさらに冷却されるとともに、気液分離されて、二次冷却管23上部から試料供出路21aを介して処理済みのドライな試料として供出される。
【0062】
一方、冷却水タンク25bに貯留された冷却水は、冷却水供給ポンプ25cによって流量計25dを介して一次冷却管22に供給される。ここで試料の冷却を行う(冷却水は加温される)とともに、試料中のSeO2を溶解除去しながら、次に試料と一緒に二次冷却管23に導入される。ここで電子冷却器23aによって冷却されるとともに、気液分離されて、ドレン回収ポンプ25aによって吸引され、陰イオン交換樹脂が充填された再生器24を介して冷却水タンク25bに回収される。再生器24では、冷却水に溶解したSeO2や他の水溶性の物質が除去され、清浄な冷却水として再生される。
【0063】
〔SeO2の凝縮水への溶解と水銀とのアマルガム生成のメカニズム〕
ここで、SeO2の凝縮水への溶解と水銀とのアマルガム生成のメカニズムについて説明する。
(a)SeO2は水溶性で、下式1のように、H2SeO3となる。検証の結果、この反応は極めて速やかに進行することが分かった。
SeO2+H2O→H2SeO3・・(式1)
(b)生成したH2SeO3は、下式3あるいは3’のように、排気ガス中に多量に共存するSO2によって還元され、金属Seとなる。検証の結果、この反応は比較的緩やかに進行し、SeO2が水に溶解した直後には生成しないことが分かった。実験では、H2SeO3水溶液に所定濃度のSO2ガスを導入した場合、黄色〜橙色をなり、次第に濃橙色の沈殿(元素セレンSe)が生成することによって検証した。Seの生成は、高温度露点雰囲気で生成が速く、一度管壁等に析出付着すると、注水による洗浄効果は期待できない。
H2SeO3+SO2→Se+H2SO4・・(式3)
H2SeO3+2SO2+H2O→Se+2H2SO4・・(式3’)。
(c)発生した金属Seは水に不溶であり、下式4のように、配管内壁他に赤色の粉末状となって析出し水銀と容易にアマルガムを生成する。
Hg+Se→HgSe・・(式4)
【0064】
〔本除去装置の構成〕
(1)加熱導入路(加熱導管21)
試料を100〜200℃に加熱する。試料中の水分の凝縮を防止し、上式1の反応による亜セレン酸(H2SeO3)の生成を抑制することができる。また、溶液状の水(水滴や飛沫を含む)の存在下における、試料中のSO2と上式3の反応による元素セレンの発生を抑制し、上式4の反応を防止することによって、試料中の水銀とSeとの反応を抑制することができる。
【0065】
(2)一次冷却部(一次冷却管22)
100〜200℃に加熱された試料を一次冷却管22によって、急速に環境雰囲気の温度まで冷却すると同時に冷却水と混合させる。上式1によって、試料中のSeO2を冷却水に溶解させるとともに、冷却管などの流路に上式1によって発生した亜セレン酸の残留がないように、冷却水によって洗い出す。溶解し生成された亜セレン酸を含む冷却水と試料の混合ガスは、二次冷却管23に供給される。
【0066】
(3)二次冷却部(二次冷却管23およびこれを冷却する電子冷却器23a)
二次冷却管23は、冷却水および凝縮水(以下「冷却水等」という)と試料の気液混合流体の冷却を効率よく行うと同時に、流出速度を速めて冷却管内の洗浄効果に寄与することができて耐蝕性を有するものであれば、構造および材質に制限されるものではないが、例えば図10に示す構造が好ましい。電子冷却器23aや水冷式冷却装置内に設けられた二次冷却管23は、ガラス管を用いた2重管構造で、電子冷却器23aの熱交換部に接した外管23bと内管23cの間に設けられたスパイラル状の流路23d、およびその終端23eに設けられた空間23fから構成され、試料の冷却と冷却水等の流出を早くする。流路23dを通過した試料は、下部の空間23fで冷却水等を分離して、内管23cの内部流路23gを通過して供出される。この間、冷却された試料は、流路23dを通過する試料と熱交換を行う。交換熱量は多くは期待できないが、供出される低温の試料は、導入された温度の高い試料と熱交換を行なうことで再加熱され、結露を防ぐことができる。試料をこうした二次冷却管23を用いて処理することによって、妨害となる元素Seの生成を防ぐことができる。一方、冷却水等は、空間23fから、凝縮水排出用流路23hを通過して循環再使用され、一次冷却管2による試料の急速冷却と試料へ冷却水を添加することで、ドレン流量が増大し、試料処理系において常に流動した状態で、発生したドレン流量分が系外へ排出される。循環再利用せずに、自然に落下したドレンをポットで滞留させた場合には、ドレン流路だけではなくこれに繋がる試料流路においても元素Seの生成が起きるおそれがある。
【0067】
(4)再生器24
二次冷却管23の凝縮水排出用流路26hから流下した冷却水等は、再生器24によって再生され、冷却水として循環再利用する。再生器4には、冷却水等中の妨害となる亜セレン酸を除去する試剤が充填される。具体的は、陰イオン交換樹脂や亜セレン酸の吸着剤例えば鉄酸化物(例えば酸化第一鉄(FeO)やオキシ水酸化鉄(FeO・OH)など)などを使用することができるが、試剤自体の再生が可能な陰イオン交換樹脂が好ましい。本装置においては、約250gの陰イオン交換樹脂が充填され、常時1〜10ml/minの冷却水等が通過する。冷却水の交換や補充などの保守頻度について検証した結果、従来は1ケ月ごとに補充が必要であったが、陰イオン交換樹脂の使用によって、3〜6ケ月間に延長することが判った。また、再生器24の設置は、図9のように二次冷却部23の下流ではなく、冷却水供給ポンプ25cの前あるいは後に設置してもよい。
【0068】
(5)冷却水供給路(ドレン回収ポンプ25a、冷却水タンク25b、冷却水供給ポンプ25cおよび流量計25d)
二次冷却管23の凝縮水排出用流路26hから流下した冷却水等は、再生器24、ドレン回収ポンプ25a、冷却水タンク25b、冷却水供給ポンプ25cおよび流量計25dを介して、冷却水として常時1〜10ml/min程度一次冷却管22に導入して、循環再利用する。ドレン回収ポンプ25aおよび冷却水供給ポンプ25cは、ほぼ一定量を回収・供給することから、一般にチュ―ビングポンプを用いるが、チューブの弾力性低下で流量低下を起こすので、図9に例示するように、冷却水供給ポンプ25c出口に流量計25dを設置して流量監視と定期的に流量補正を行なうことが好ましい。
【0069】
(6)流量計25d
このとき、流量計25dは、通常の流量監視だけではなく本除去装置において重要な役割を担っている。つまり、循環再利用される冷却水の流量低下や停止によって水滴が発生するとアマルガムが生成し、あるいは試料ガスの温度上昇や水分量が減少して共存ガスの酸化セレンが還元されてセシウム元素が析出することから、安定した冷却水の連続添加のためには、冷却水流量の連続監視が必要になり、循環冷却水の流量計25dの設置が好ましい。さらに、循環再利用される冷却水等の流量監視方法として、冷却水タンク25bの一定時間における水量の増大をフロートスイッチなどの液面検知器(図示せず)を用いて検出することが可能であり、その検出した流量から、冷却水の供給流量を補正することも可能である。また、冷却水の流量監視をリアルタイムに行うので、例えば流量低下信号によって試料ガスの吸引を同時に停止し、本除去装置の劣化を未然防止することができる。ここで、流量計25dは、初期的には純水あるいは清浄処理された水を測定し、連続使用に伴い再生され清浄化された水を測定する。従って、流量計25dとして、上記液体流量センサ10のいずれかを用い、液滴を正確にカウントすることによって、一次冷却管22に供給される清浄水の流量を精度よく監視し、精度の高い制御に供することができる。
【0070】
〔本除去装置の実施例〕
(1)実験条件
図9の例示する本除去装置の加熱導管1の上流から、SeO2を18ppm含むAirを流量1.1L/minで導入した。
(2)実験結果
冷却水タンク5bに回収した冷却水を誘導結合形高周波プラズマ法(ICP、堀場製作所製、形式:ULTIMA2)によって測定し、溶解したSe濃度5ppbを得た。循環系の冷却水の量300gから、溶解したSeO2の総量を算出し、除去効率を算出したところ、95%の結果を得た。
【0071】
<本除去装置を用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置の構成例>
本除去装置を用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置(以下「本測定装置」という)は、石炭燃焼排気ガスを測定対象試料とし、前記試料を採取する試料採取部と、該試料採取部から前記試料を加熱して導入する試料導入路と、前記除去装置と、水銀分析計と、を有することを特徴とする。石炭燃焼排気ガス中に存在するSeO2については、該排ガス中に多く含まれる水分、SO2やNO2などの共存条件下において、水銀とアマルガムを作り易いことから、測定精度を著しく低下させる大きな原因の1つであり、本測定装置は、上記本除去装置を用い、この影響を排除することによって、従前の方法ではできなかった測定精度の確保を可能とした。
【0072】
図11は、本測定装置の1つの構成を例示する。本構成においては、2価の水銀(Hg2+)と元素水銀(Hg0)などのように同一元素を含む相互に変換可能な複数の成分の全水銀(Hg2++Hg0)を測定対象とする場合に適している。つまり、試料ガス中のHg2+を最初に測定対象となるHg0全量に変換した後に、上記本除去装置を用いて処理したガスを分析することによって、SeO2等他の共存成分の影響を排除することが可能となる。以下、具体的な実施態様として、本除去装置としてウェット処理を用い、測定手段として紫外線吸光式分析計30を用いた石炭燃焼排気ガス中の全水銀測定装置に本発明を適用した場合を、その一例として説明する。
【0073】
試料は、試料入口31(試料採取部に相当)から紫外線吸光式分析計30の下流側に設けられた吸引ポンプ35によって吸引採取される。採取された試料は、ダストフィルタ32によって清浄にした後、還元触媒部33によって試料中の全水銀がHg0に変換され、加熱導管21、一次冷却部22、二次冷却部23およびフィルタ34を介して紫外線吸光式分析計30に導入される。このとき、接ガス材としては、安価なガラス、石英、セラミックスなどのほか金属としてTi、酸化処理SUSを使用することができる。
【0074】
還元触媒部33は、内部に還元触媒を充填したユニットで、還元触媒は、加熱手段(図示せず)によって中温度域250〜500℃に維持されることが好ましい。つまり、通常、石炭燃焼排気ガス中の水銀は、HgOやHgCl2あるいはHg0の状態で存在するが、Hg2+をHg0に還元するには、熱分解反応が不可欠であり、還元温度を250℃以上とすることで、排気ガス中に含まれるSeO2などの金属酸化物の反応によって生じる水銀とのアマルガムの発生を防止することができる。一方、還元温度を500℃以下にすることによって、試料流路での腐蝕あるいは反応物による閉塞等々トラブルを未然に防止することができる。
【0075】
還元触媒部33に充填される還元触媒は、酸性物質との反応性の低い、還元力を有する無機材質の触媒が好ましい。本発明においては、還元触媒に対して塩化水銀などの2価の水銀(Hg2+)の化合物を金属(Hg0)に還元する機能を有することが求められるとともに、他の共存成分に対して影響を受けにくいこと、および他の共存成分に対して影響を与えないこと、つまり2価の水銀に対する選択性を有することが求められる。還元触媒の具体例としては、ゼオライト系の触媒や、アルカリ金属の亜硫酸塩などのような、無機質の化合物が適用可能である。還元作用については、炭酸塩や水酸塩なども適用可能であるが、石炭燃焼排気ガス中に多量含まれるSO2、NO2などの酸性物質の共存によって、機能的には、こうした触媒に限定されることになる。還元触媒の形状は、特に限定されるものではないが、還元触媒部33への充填や交換が容易で圧力損失の少ない粒状体あるいはハニカム形状などが好ましい。このとき、触媒自身がこうした形状に成形されたものだけではなく、こうした形状を担体として表面に担持された触媒であっても適用可能である。
【0076】
紫外線吸光式分析計30は、図示しないが、紫外線光源部、試料セル部、紫外線検出器および光学フィルタからなる光学系を形成し、試料セル部に導入された試料中のHg0による紫外領域の光の吸収量を紫外線検出器によって検出することによって、試料中のHg0の濃度を測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上においては、本流量センサの適用を、主として石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置に適用する場合について述べたが、プロセスガス等において組成が類似する試料や各種プロセス研究用などについても、本水銀測定方法および測定装置を適用することが可能である。さらにSO2や金属酸化物などが共存する試料を測定する場合には、特に有用である。また、半導体製造プロセスはじめ各種プロセスにおいて清浄液を供給する場合にも、広く本流量センサの適用を図ることができる。
【0078】
具体的にいくつかの応用例を挙げる。
(1)ガス分析装置の前処理として、加湿用の水添加機構に応用することができる。
例えば、NDIR(非分散赤外線分析法)式窒素酸化物ガス分析装置においては、水分による干渉影響があることから、ドレンセパレータや電子冷却器を用いて、試料ガス中の水分濃度を一定に維持することによって、分析計の水分干渉値を補償する場合がある。このとき、寒冷地や冬期は、環境温度が下がり外気温度まで除湿されると、十分な水分濃度が得られなくなる。この場合に、試料ガス中に、ドレンセパレータや電子冷却器からの流出ドレンを流量監視を行いながら適量の水分量を滴下することで、必要分を供給して安定したし加湿状態を維持することができる。
【0079】
こうした方法は、特に、SO2(二酸化硫黄)のように水溶性の高い成分を測定対象とする分析装置において有効である。つまり、こうしたガスは、水洗装置による加湿法は、測定時には大きい溶解損失を招きSO2自体測定できなくなる。本水添加機構では、例えば凝縮水をチュービングポンプを用いてドレンポット前又は電子冷却器入口に注入することで、凝縮水の有する飽和溶解度及び凝縮水添加流量を制御することができることから、溶解損失を最小限に抑えることができる。その結果、水分干渉影響の低下とSO2など測定成分の溶解ロスを少なくできるので、精度の高い分析装置を提供することができる。
【0080】
(2)UV−TOC分析装置(紫外線吸収式全有機炭素分析装置)の液滴センサを用いた測定フローの例を挙げることができる。
流量影響を受け易いTOC分析装置の加圧ラインに本流量センサを配設し、流量計測データをリアルタイムにフィードバックをかけて、加圧用ポンプの流量制御を行うことによって、定流量化を行い安定したTOC計測定を実現する。清浄水の測定においても、圧力影響の少ない本流量センサの特性を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る液体流量センサの液滴の形成状態を概略的に示す説明図。
【図2】本発明に係る液体流量センサの基本構成に示す説明図。
【図3】本発明に係る液体流量センサにおけるパルス信号発生プロセスを概略的に示す説明図。
【図4】本発明に係る液体流量センサの第1構成例における液滴の検出状態を概略的に示す説明図。
【図5】本発明に係る液体流量センサの第2構成例における液滴の形成状態を概略的に示す説明図。
【図6】実施例1における実験条件および実験結果を示す説明図。
【図7】実施例2における実験条件および実験結果を示す説明図。
【図8】本発明に係る清浄液供給システムの構成を例示する説明図。
【図9】本発明に係る酸化セレン除去装置の構成を例示する説明図。
【図10】本発明に係る酸化セレン除去装置に用いる二次冷却管の構成を例示する説明図。
【図11】本発明に係る石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置の構成例を示す説明図。
【図12】従来技術に係る液滴検知方式流量計の構成を概略的に示す説明図
【符号の説明】
【0082】
1 液滴部
1a 先端部
1b 流路
1c ノズル部
2 測定部
3 液受部
4 光検出器
4a 発光部
4b 受光部
5 積算カウンタ
10 液体流量センサ
D 液滴
L 距離
M 検出光の中心軸
s 微小域
T 液滴の落下軌跡
θ 接触角度
α 傾斜角度
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体流量センサ、これを用いた清浄液供給システムおよび試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体滴下装置を用いた液滴検知方式流量計は、簡単な光学式液体流量計として多くの製品や研究の報告がある。いずれも小流量の送液ポンプやヘッドタンクからの液体流量を監視又は流量を制御するために用いられている。具体的には、以下に例示するようないくつかの液滴検知方式流量計が提案されている。
【0003】
例えば、図12に示すように、液体の定速連続供給装置の一部として、送液ポンプに使用する液滴検知方式流量計が提案されている。具体的には、液体貯留タンク61、送液ポンプ64a、液体貯留容器55、液体の定速供給装置40、液体受器64b、圧力調整バルブ68,69、加圧装置67から構成されている。また、液体の定速供給装置40は、本体41と液滴センサ49から構成され、液滴センサ49の内部には、発光ダイオード50と受光ダイオード51が設置されている(例えば特許公報1参照)。
【0004】
こうした液滴検知方式流量計は、測定対象の物理的・化学的安定性が高い場合には、形成される液滴の均一性が高く、一定の液量の液滴を形成することができことから、非常に精度の高い液体流量計を構成することができる。従って、昨今のように非常に厳格な制御管理が求められる、医療分野や各種産業分野において有用な液体流量計として多用されている。
【0005】
【特許文献1】特開平01−209321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の液滴検知方式流量計を用いて、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の測定を行った場合には、正確な流量測定ができないことがあった。特に、液滴形成後所定時間経過し、液滴を形成し落下し始める部位(以下「液滴部」という)から所定距離離れた位置に検出光を照射した場合には、後述するように、1つの液滴に対する受光部からの出力が2以上をカウントすることがあり、正常なパルスが得られず正確な流量測定ができなかった。
【0007】
つまり、上記のような送液ポンプに使用する液滴検知方式流量計では、医薬品、栄養剤や塩類が多く含まれ屈折率が大きくなり、透過光による異常パルスの発生は起こりにくく、落下途中における液滴の透過信号の異常値が発生し難く、パルス信号の検知が比較的容易である。一方、純水や希薄塩類を含む液体の液滴の透過光信号の検出センサ信号は、異常パルスが発生し易いことから、従来の液滴検知機構では、各種液体の流量監視には問題があった。液滴の大きさによっては、異常パルスの発生形態が2個又はそれ以上の複数個に分割される場合がある。異常パルスが発生すると、パルスカウンタによる液滴数とカウント数が一致しなくなり正常な流量測定ができなくなる。病院や医学用途で用いる輸液ポンプの液体滴下センサは構造的にも、産業用途には適さない。
【0008】
さらに、純水や希薄塩類を含む液体などの流量を正確に測定できる液体流量計は、例えば、半導体製造設備の洗浄溶液や処理溶液あるいは化学反応用の純水供給装置など種々の用途において強い要請があった。こうした用途においては、溶液の流量の制御精度によって製品の特性が大きく影響されことから、液体流量計に対しても厳しい正確度が要求されるため、上記の課題は無視できない。
【0009】
一方、石炭燃焼排ガスを対象とした水銀などの連続測定装置においては、水銀測定などにおいて妨害となる排気ガス中に存在する酸化セレン(SeO2)からの元素セレン(Se)の生成を防ぐために、簡易な操作で、長期安定的にこれを除去する方法と装置が求められていた。昨今、本発明者の検証によって、純水や希薄塩類を含む液体を用いて、定量的に排気ガス中に存在するSeO2を除去することが可能であることが判り、これに用いる液体流量計が検討課題となっていた。
【0010】
そこで、この発明は、こうした要請に対応し、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液(ここで「無色の溶液」とは、照射する検出光の波長(波長域)を吸収しない溶液をいい、以下同様とする。)の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサ、およびこれを用いた清浄水供給システムを提供することを目的とする。また、こうした液体流量センサあるいは清浄水供給システムを、石炭燃焼排気ガス中の水銀測定などに適用することによって、簡易な操作で、長期安定的にこれを除去する試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用い、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す液体流量センサ、これを用いた清浄水供給システムおよび試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置によって、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、該光検出器によって、前記液滴部から離隔する直前の液滴を検出することを特徴とする。
【0013】
液滴形成部を有し、形成された液滴をカウントして流量換算する液状体の流量測定においては、形成される各液滴の液量の均一性とともに、正確なカウントを行う必要がある。上記のように、測定対象が無色の溶液の場合には、光検出器の位置によって、正確なカウントが阻害されることが判った。本発明者がこうした現象を検証した結果、液滴が球体に近い形態において、微小域に絞られた検出光が、落下する液滴の中心近傍に照射されたとき、その検出光の大半が透過することによって、正確なカウントが阻害されるとの推定を得た。本発明は、かかる対策の1つとして、液滴が球体に近い形態になる前に液滴を検出する方法を適用するもので、液滴が形成される液滴部から離隔する直前の液滴を検出することを特徴とする。これによって、正確なカウントを行うことが可能となった。
【0014】
つまり、液滴部の先端部近傍の落下側に照射された検出光は、液滴の形状に関係なく、液滴が先端部から離隔する直前・直後において、その透過光量に大きな相違を生じる。具体的には、離隔する直前においては、液滴表面での液と空気の境界面での反射に加え、その屈折光の増加に伴う受光部に到達する透過光の減少を生じる一方、離隔後においては、透過光量の減少が所定光量以下に維持できるときの光量差を検出することによって、液滴の正確なカウントを行うことができると推定するものである。これによって、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサを提供することが可能となった。
【0015】
本発明は、上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、前記液滴部が、内径d1/外径d2の撥水性材からなるノズル部を有するとともに、前記光検出器の検出光が、前記液滴部の先端部からの距離L≦d1×1.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする。
【0016】
上記のように、液滴検知式流量測定における正確なカウントが阻害される要因が、本発明者によって推定された。本発明は、こうした対策の第2の手法として、上記同様、液滴が球体に近い形態になる前に液滴を検出する方法を適用するもので、ノズル部を撥水性材によって構成するとともに、光検出器を、液滴部の先端部から所定の距離となる位置に配設した点を特徴とする。これによって、正確なカウントを行うことが可能となった。
【0017】
つまり、ノズル部をPTFE(フッ素系樹脂)などの撥水性素材あるいは撥水処理して用いることによって、図1(A)に例示するように、液滴Dの形成において、比較的小さな液滴Dを形成するとともに、ノズル部1cとの離隔が円滑になり、飛沫の分割がない液滴を形成することができる。また、これによって、比較的早く液滴Dが球体に近い形態になり、その時間(落下距離)を略一定にすることができる。一方、ノズル部1cから離隔した直後の液滴Dは、瓢箪形状に似た形態あるいは引き伸ばされつつある飴状の形態を有しており、形状的に、鉛直方向と水平方向の両方に対する不均一性の有することから、液滴表面での液と空気の境界面での反射に加え、その屈折光の増加に伴う受光部(図示せず)に到達する透過光の減少を生じる。従って、上記のような正確なカウントが阻害される領域を外して、液滴の通過による透過光の減少を生じる領域を設定することが可能となり、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサを提供することが可能となった。具体的な透過光の設定領域は、実証の結果、液滴部の内径に対する所定範囲の比率に相当する領域が最適となる。なお、ここで「液滴部の先端部」とは、図1のようにノズル部1cが液滴の離隔部位に相当するときは、ノズル部1cの先端部が相当し、ノズル部1cが液滴部1全体の先端部位と同一面上にあり(例えば図4(B))、その面全体が液滴の離隔部位に相当するときは、液滴部1全体の先端部が相当する。
【0018】
本発明は、上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、前記液滴部が、内径d1/外径d2の親水性材からなるノズル部を有するとともに、前記光検出器の検出光が、前記液滴部の先端部からの距離L≦d2×2.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする。
【0019】
上記のように、液滴検知式流量測定における正確なカウントが阻害される要因が、本発明者によって推定された。本発明は、こうした対策の第3の手法として、上記同様、液滴が球体に近い形態になる前に液滴を検出する方法を適用するもので、ノズル部を親水性材によって構成するとともに、光検出器を、液滴部の先端部から所定の距離となる位置に配設した点を特徴とする。
【0020】
つまり、ノズル部をガラスなどの親水性素材あるいは親水処理して用いることによって、図1(B)に例示するように、液滴Dの形成において、溶液に対しより大きな液滴Dを形成するとともに、溶液がノズル部1cに残存する溶液と離隔するに際する生じる表面張力が大きくなる(つまり、接触角度θが小さい)。これによって、液滴Dが球体に近い形態になるまでの時間(落下距離)が長くなる。具体的な透過光の設定領域は、実証の結果、液滴部の外径に対する所定範囲の比率に相当する領域が最適となる。従って、上記のような液滴の通過による透過光の減少を生じる領域を広く設定することが可能となり、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサを提供することが可能となった。
【0021】
本発明は、上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、該光検出器の検出光の中心軸が、前記測定部の液滴の落下軌跡に対して20〜40°の傾斜を有することを特徴とする。
【0022】
上記のように、液滴検知式流量測定における正確なカウントが阻害される要因が、本発明者によって推定された。本発明は、こうした対策の第4の手法として、落下中の液滴が完全な球体にならないことを利用し、液滴を通過する透過光の減少を生じる条件下において液滴を検出する方法を用いるもので、検出光の中心軸が、前記測定部の液滴の落下軌跡に対して所定の傾斜角度を有する点を特徴とする。
【0023】
つまり、落下中の液滴Dは、無重力のような特殊な条件を除き、図1(C)に例示するように、重力方向に細長な楕円形状に近い形態になる。従って、検出光の中心軸Mが、前記測定部の液滴の落下軌跡Tに対して所定の傾斜角度αを有することによって、屈折光の増加に伴う受光部4bに到達する透過光の減少を生じる条件を確保することができる。実証の結果、傾斜角度αが所定範囲となるように設定することによって、測定部の略全領域において正確なカウントが阻害されることがないことが判った。従って、上記のような液滴Dの通過による透過光の減少を生じる領域を広く設定することが可能となり、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサを提供することが可能となった。
【0024】
本発明は、上記液体流量センサのいずれかを用いた清浄液供給システムであって、清浄液あるいは再生処理後の使用済み清浄液を供給する流路に、給送手段、流量制御手段および前記液体流量センサを直列的あるいは並列的に配設することを特徴とする。
【0025】
液滴検知式流量測定計は、その測定精度のよさから医療用を含む各種用途において多用されている一方、純水や希薄塩類を含む清浄液においては、上記のように正確なカウントが阻害される要因について対策することが不可欠であった。本発明は、上記のいずれかの液体流量センサを清浄液供給システムの構成要素の1つとして用いることによって、こうした清浄液であっても、その流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い清浄水供給システムを提供することが可能となる。
【0026】
本発明は、(1)試料を加温する加熱導入路と、
(2)該加熱試料の流れと冷却水の流れが対向する流路を有し、試料と冷却水を混合して急速に冷却する一次冷却部と、
(3)前記混合ガスの冷却を行うスパイラル状の流路を有するとともに、該スパイラル状の流路の終端に気液分離を行う空間を有する二次冷却部と、
(4)該二次冷却部からの凝縮水を導入する再生器と、
(5)該再生器と一次冷却部との接続する冷却水供給路と、
を有する試料中の酸化セレン除去装置であって、
上記液体流量センサのいずれかを、前記一次冷却部への冷却水供給流路に設けたことを特徴とする。
【0027】
昨今排気ガス中の水銀測定において、測定精度を著しく低下させる大きな原因の1つとして、試料中に存在するSeO2が、還元反応時に水銀とアマルガムを作り易いことが判ったものの、従前の方法では、水銀の測定に影響を与えずにSeO2を除去することが困難であった。これに対する本発明者の検証において、排気ガスに清浄水を連続添加することで、急速冷却と洗浄を同時に行い、以降の試料配管や冷却除湿器内での水銀測定の妨害物質である元素Seの析出を防ぐことができることが判った。このとき、清浄水供給システムの清浄水流量が低下又は停止すると、試料ガスの温度上昇や水分量が減少して共存ガスの酸化セレンが還元されてSeが析出し、水銀測定の妨害となる。従って、安定した清浄水の連続添加のためには、清浄水流量の連続監視およびそれに基づく流量制御が必要になる。
【0028】
具体的には、一次冷却部において、SeO2を含む試料を、加熱温度100〜200℃の状態から急速に環境雰囲気温度(通常0〜30℃程度)まで冷却することによって、試料中の水分から生じる凝縮水への溶解を加速し、下式1の反応を促進することができる。ただし、このとき水滴状の凝縮水の存在は、SO2の溶解によって、Seの析出を誘引することとなることから、冷却水を供給することによって、流路からの洗い流しの効果が生じ、Seの析出を抑制することが可能となる。また、冷却水の供給は、SeO2の冷却水への溶解を促進するとともに、溶解したH2SeO3およびSO2の希釈効果も得ることができる。さらに、冷却水による低温化によって、水銀とのアマルガムの形成反応を一層低下させることが可能となる。さらに、こうした技術効果は、加熱試料の流れと冷却水の流れが対向する流路を有し、試料と冷却水を混合して急速に冷却することによって、実効を上げることができる。
SeO2+H2O→H2SeO3・・(式1)
【0029】
また、二次冷却部では、かかる混合ガスをさらにスパイラル状の流路において冷却しつつ気液分離処理を行うことによって、アマルガムの生成を排除しつつSeO2が除去された試料ガスを作製することを可能とした。つまり、スパイラル状の狭い流路を冷却することによって、混合ガスの移送および凝縮水の発生に伴う流路内での液滴や飛沫の発生を防止しつつ、スパイラル状の流路の終端に設けられた空間において気液分離処理を効果的に行うことができる。
【0030】
さらに、一次冷却処理用の冷却水を外部から連続的に供給せずに、気液分離処理によって得られた凝縮水を、一次冷却部に供給される冷却水として用いることは、省資源や省エネルギーあるいは排水処理の負担軽減の観点からも好ましい。つまり、試料中に含まれるSeO2などの水溶性の物質は微量であり、凝縮水をイオン交換樹脂などの再生手段を流通させることよって、亜セレン酸などを比較的容易に除去することができる。また、石炭燃焼排ガスを試料とする場合には、試料中に多量の水分を含んでおり、冷却水の補充を必要としないことから、かかる循環再生利用は、長期の仕様においても好適である。
【0031】
以上のような構成によって、簡易な操作で、長期安定的に試料中のSeO2を除去する装置を提供することが可能となった。
【0032】
本発明は、上記清浄液供給システムまたは上記試料中の酸化セレン除去装置を用いた水銀測定装置であって、
石炭燃焼排気ガスを測定対象試料とし、前記試料を採取する試料採取部と、該試料採取部から前記試料を加熱して導入する試料導入路と、前記除去装置と、水銀分析計と、を有することを特徴とする。
【0033】
排気ガス中の水銀測定においては、水銀化合物を還元し原子状水銀として吸光光度法を用いて測定することによって、非常に高感度の測定が可能になる一方、石炭燃焼排気ガス中の水銀測定においては、従前にはないいくつかの課題を克服する必要があることが判った。特に、排気ガス中に存在するSeO2については、還元反応時に、水銀とアマルガムを作り易いことから、測定精度を著しく低下させる大きな原因の1つであり、本発明は、清浄液供給システムまたは上記試料中の酸化セレン除去装置を用い、この影響を排除することによって、従前の方法ではできなかった測定精度の確保を可能としたものである。従って、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置を提供することが可能となった。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、従来正確な測定が困難であった純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液の流量を正確に測定でき、かつ簡便な構造で操作性の高い液体流量センサ、およびこれを用いた清浄水供給システムを提供することが可能となった。また、こうした液体流量センサあるいは清浄水供給システムを、石炭燃焼排気ガス中の水銀測定などに適用することによって、妨害となる排気ガス中に存在するSeO2からの元素Seの生成を防ぎ、簡易な操作で、長期安定的にこれを除去する試料中の酸化セレン除去装置、およびこれらを用い、共存成分の影響を受けない、高精度で、かつ長期安定性の高い、連続測定が可能な石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置を提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
最初に、本発明に係る液体流量センサ(以下「本流量センサ」という。)について、その後これらを用いた清浄液供給システム、試料中の酸化セレン除去装置および石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置について説明する。
【0036】
<本流量センサの構成>
本流量センサの基本は、図2に例示するように、上部に液滴部1、中間部に測定部2、下部に液受部3を有し、測定部2に、発光部4aと受光部4bからなる透過型光検出器4を有する液体流量センサ10と、光検出器4の出力が接続される積算カウンタ5から構成される。光検出器4の出力は、積算カウンタ5によってカウントされ、液体流量センサ10固有に設定された、液滴D当たりの単位容積を乗じることによって、液体流量センサ10を通過する溶液の流量を算出することができる。本発明は、こうした基本構成に加え、純水や希薄塩類を含む液体など無色の溶液を測定対象とすることに伴う液滴を透過する光の変化を正確に検出できる方法を、下記のいくつかの構成例によって実現するものである。また、本方式は、測定系が減圧又は加圧系においても測定に影響しないことから、応用範囲が広いという特徴がある。
【0037】
ここで、本流量センサ10の材質は、純水など腐蝕性のない溶液の場合には、後述する液滴部1を除き、特に制限はないが、液滴Dの落下状態の確認のために測定部2を透明なガラスやプラスチック製とすることが好ましい。
【0038】
液滴部1は、図2に示すように、液滴Dが落下する先端部1a、その内部に溶液の流路1bを有し、内径d1/外径d2を有するノズル部1cから構成される。ノズル部1cの大きさは、測定する溶液の流量によって異なり、例えば、1〜数10ml/min程度において、通常内径d1=4mm/外径d2=6mmのノズル部1cを使用する。また、先端部1aから落下する液滴Dの大きさや形状などは、液滴部1の素材あるいは液滴部1の表面処理によって変化し、異常な光検出器4の出力の発生は、ノズル部1cの材質および先端部1aからの光検出器4の位置(液滴Dの落下距離)により決まるものであり、光検出器4の配置と合せて、最適条件を設定することが。好ましい。詳細は、後述する。
【0039】
光検出部4は、液滴Dの測定が可能なセンサであれば、透過型や反射型など制限されないが、測定対象を無色の溶液とする本発明においては、液滴Dの存在の有無による検出光の差異の大きさ、落下軌跡Tの中心からの液滴Dのズレ、液滴Dの大きさあるいは形状の変化などの影響を小さくし、高い検出精度を確保するために、微小域の光スポット(例えば、スポット径1〜5mm)を有する透過型の光検出器4が好ましい。具体的には、可視〜赤外領域(400〜1000nm)のフォトダイオードやフォトトランジスタなどを用い、発光部4aと受光部4bを一体化した光検出器4を構成することが好ましい。市販の小型で検出感度の高いセンサを使用することが可能である(例えば、オムロン製、EE−SPXシリーズなど)。
【0040】
積算カウンタ5においては、図3(A)〜(C)に例示するように、形成された1つの液滴Dに対する透過光信号パターン(パルス信号)を1滴対1パルス信号で捉える条件を設定することで、時間当たりの正確な液滴数の検出を行うことができる。従って、広い流量範囲において直線性のよい出力を得ることができるため、広い範囲の流量制御が可能となる。また、光検出器4からの出力レベルに応じてパルスカウンタの検出感度を設定することが好ましく、ノズル部1cの内径d1/外径d2など液滴部1の構成や測定部2の光検出器4の設置が決まれば、それぞれ固定値tとして設定することができる(例えば、0.1msecや0.05msecなど)。つまり、図3(B)のように、液滴Dがないときの透過光量をIoとすると、図3(A)の位置aに液滴Dがあるとき透過光量はIaに減少し、同様に位置bおよび位置cにおいてそれぞれIb,Ic(≒Ia)となる。図3(C)のように、このときのIaをカウントレベルに設定し、略同レベルのIcまでの時間tを固定値とすることによって、安定かつ正確なカウントを行うことができる。
【0041】
また、測定部2をガラスなどの透明素材で形成した場合には、光検出信号を基にしたパルスカウンタによる流量監視に加え、目視による液滴流下状況を観察することによっても流量監視が容易に行うことができる。
【0042】
なお、流量測定においては溶液の温度影響を考慮する必要がある。ノズル部1cからの液滴Dの落下数および液滴量は、液体温度の粘性及び表面張力の温度変化に影響するので予め液体温度対流量の関係データを取得しておき、液体温度を同時に計測して補正係数を乗じて流量補正を行うことで温度による流量影響を補正することができる。
【0043】
〔本流量センサの第1構成例〕
本流量センサの第1構成例は、光検出器4によって、液滴部1から離隔する直前の液滴Dを検出することを特徴とする。つまり、従前の方法では、微小域に絞られた検出光が、その液滴Dが球体に近い形態において落下する液滴Dの中心近傍に照射された場合、その検出光の大半が透過するために正確なカウントが阻害されることがあった。本流量センサにおいては、図4(A)に例示するような位置に光検出器4を配設することによって、液滴部1から離隔する直前の液滴Dに検出光が照射され、球体に近い形態になることのない液滴Dを検出することができる。これによって、無色の溶液の測定においても、正確なカウントを行うことが可能となった。具体的には、液滴部1の先端部1aから落下奇跡Tに沿った距離Lに対して、発光部4aと受光部4bの各中心を結ぶ微小域sに絞られた検出光の中心軸Mが、0<L≦sとなるような測定部2の位置に光検出器4を配設することが好ましい。
【0044】
つまり、溶液の供給に伴い、先端部1aから徐々に液滴Dを形成するが、液滴Dの自重および液滴部1の先端部1aとの間における表面張力によって、図4(B)に例示するように、先端部1a近傍においては決して球体に近い形状を形成することはなく、形状的に鉛直方向に対する不均一性の有している。このため、液滴Dの離隔直前においては、発光部4aから照射された光は、液滴Dの表面での液と空気の境界面での反射に加え、境界面での屈折光の増加に伴い、液滴Dを透過して受光部4bに到達する検出光は大きな減少を生じる。一方、液滴の離隔後においては、受光部4bに到達する検出光は光路中に減少することはない。従って、液滴Dの有無によって生じる、こうした透過光量の変化を検出することによって、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。具体的には、液滴部1の先端部1aにおける液滴形成時の透過光信号パターン(パルス信号)を1滴対1パルス信号で捉える条件を設定することで、時間当たりの正確な液滴数の検出を可能にする。
【0045】
〔本流量センサの第2構成例〕
本流量センサの第2構成例は、液滴部1が、内径d1/外径d2の撥水性材からなるノズル部1cを有するとともに、光検出器4の検出光が、液滴部1の先端部1aからの距離L≦d1×1.5となる距離Lまでの測定部2を通過することを特徴とする。つまり、1つには、ノズル部1cをPTFE(フッ素系樹脂)などの撥水性素材あるいは撥水処理して用いることによって、図1(A)に示すように、比較的小さな液滴Dを形成するとともに、ノズル部1cとの離隔を円滑に図ることができる。これによって、飛沫の分割がない液滴Dを形成することができるとともに、液滴Dが球体に近い形態になるまでの時間(落下距離)を略一定にすることができる。従って、上記のような正確なカウントが阻害される領域を外して、液滴Dの通過による透過光の減少を生じる領域を設定することが可能となり、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。
【0046】
一方、先端部1aから離隔した直後の液滴Daは、液滴Daの自重および液滴部1の先端部1aとの間における表面張力によって、図5に例示するように、瓢箪形状に似た形態あるいは引き伸ばされつつある飴状の形態を有しており、形状的に、鉛直方向と水平方向の両方に対する不均一性の有することから、液滴表面での液と空気の境界面での反射に加え、その屈折光の増加に伴う受光部4bに到達する透過光の減少を生じる。従って、先端部1aから正確なカウントが阻害される状態の液滴Dcとなるまでの領域を、液滴DaまたはDbの通過による透過光の減少を生じる領域として設定することが可能となり、正確なカウントをすることが可能となった。具体的な透過光の設定領域は、実証の結果、液滴部1の先端部1aからの距離L≦d1×1.5となる距離Lに相当する領域が最適となることが判った。例えば、後述する〔実施例〕において述べるように、内径4mm/外径6mmのノズル部1cを用いた場合には、L≦4×1.5=6mmが好ましい。さらに好ましくは、L≦4mmの条件であり、L≦d1×1となる距離Lに相当する。
【0047】
ここで、ノズル部1cの撥水性素材あるいは撥水処理とは、ノズル部1cを、例えばPTFEなどの各種フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのプラスチック製とする場合、あるいは金属製ノズルの表面に上記樹脂のコーティング処理などを施す場合をいう。
【0048】
〔本流量センサの第3構成例〕
本流量センサの第3構成例は、液滴部1が、内径d1/外径d2の親水性材からなるノズル部1cを有するとともに、光検出器4の検出光が、液滴部1の先端部1aからの距離L≦d2×2.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする。つまり、1つには、ノズル部1cをガラスなどの親水性素材あるいは親水処理して用いることによって、図1(B)に示すように、より大きな液滴Dを形成するとともに、溶液がノズル部に残存する溶液と離隔するに際する生じる表面張力が大きくなる。つまり、接触角度θが小さくなる。これによって、液滴が球体に近い形態になるまでの時間(落下距離)が長くなる。従って、上記のような液滴の通過による透過光の減少を生じる領域を広く設定することが可能となり、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。
【0049】
一方、先端部1aから離隔した直後の液滴Daは、上記第2構成例と同様、液滴Daの自重および液滴部1の先端部1aとの間における表面張力によって、図5に例示するように、瓢箪形状に似た形態あるいは引き伸ばされつつある飴状の形態を有しており、先端部1aから正確なカウントが阻害される状態の液滴Dcとなるまでの領域を、液滴DaまたはDbの通過による透過光の減少を生じる領域として設定することが可能となる。特に、液滴Dが大きいことおよび先端部1aとの強い親水性による離隔した直後の液滴Daの変形が大きいことから、より広い領域を設定することが可能となり、正確なカウントをすることが可能となった。具体的な透過光の設定領域は、実証の結果、液滴部1の先端部1aからの距離L≦d2×2.5となる距離Lに相当する領域が最適となることが判った。例えば、後述する〔実施例〕において述べるように、内径4mm/外径6mmのノズル部1cを用いた場合には、L≦6×2.5=15mmが好ましい。さらに好ましくは、L≦10mmの条件であり、L≦d2×1.6となる距離Lに相当する。
【0050】
ここで、ノズル部1cの親水性素材あるいは親水処理とは、ノズル部1cを、例えばガラス、ステンレス鋼等の金属、あるいはセラミックス製とする場合、あるいは樹脂製ノズルの表面にガラスや酸化チタンなどのコーティング処理などを施す場合をいう。また、図1(B)に示すように、ノズル部1cに形成した液滴Dは、重力(F↓)と動的角度θによる湿潤張力(F↑)の釣り合った状態を示す。つまり、mは液滴の質量、gは重力加速度、Pは液滴の接するノズル円周長さ、γは液滴の比重、θは接触角度を示すとすると、下式2が成立する。
F↓(mg)=F↑Pγcosθ・・(式2)
液滴Dの離隔時には、mが大きくなり、F↓>F↑が成立する。
【0051】
〔本流量センサの第4構成例〕
本流量センサの第4構成例は、光検出器4の検出光の中心軸Mが、測定部2の液滴落下軌跡Tに対して20〜40°の傾斜を有することを特徴とする。つまり、落下中の液滴Dは、無重力のような特殊な条件を除き、図1(C)に示すように、重力方向に細長な楕円形状に近い形態になり、完全な球体にならないことを利用し、検出光の中心軸Mが、測定部2の液滴の落下軌跡Tに対して所定の傾斜角度αを有することによって、屈折光の増加に伴い液滴を通過する透過光の減少を生じる条件を設定することが可能となり、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。
【0052】
具体的には、実証の結果、傾斜角度αを20〜40°となるように設定することによって、測定部2の略全領域において正確なカウントが阻害されることがないことが判った。従って、傾斜角度αを20〜40°となるように光検出器4を配設することによって、上記のような液滴Dの通過による透過光の減少を生じる領域を広く設定することが可能となり、液滴Dの正確なカウントを行うことができる。
【0053】
〔実施例1〕
液滴部1のノズル部1cの材質を変更し、測定部2における、正確なカウントができる光検出器4の位置、あるいは最適範囲を実証した。
(1)実験条件
(1−1)図6(A)のように、配管10aから純水を供給し、光検出器4として2.2mmのビーム径を有し940nmの赤外発光ダイオードを光源とするマイクロフォトセンサ4を用いて、先端部1aからの距離Lを変化させたときの、光検出器4の出力を積算カウンタ5およびオシロスコープ6によって監視した。
(1−2)内径4mm/外径6mmのノズル部1cを用い、材質をガラスおよびPTFEとした。
【0054】
(2)実験結果
(2−1)図6(B)に示すように、オシロスコープ6によって観測された正常なパルス波形は、ノズル部1cの材質をガラスとしたときにL≦15mm、PTFEとしたときにL≦6mmの条件であった。より好ましくは、ガラスとしたときにL≦10mm、PTFEとしたときにL≦4mmの条件であった。
(2−2)図6(C)に示すように、オシロスコープ6によって観測された異常なパルス波形は、ノズル部1cの材質をガラスとしたときにL>15mm、PTFEとしたときにL>6mmの条件であった。
(2−3)まとめ
ガラス製ノズルを使用した場合、液滴下ノズル先端部とセンサ光軸間距離は4〜10mmにセットすることで、正常なパルス信号を得ることができる。このときの流量対パルス数の関係は、図6(D)に示すように、良い直線関係が得られた。計測流量範囲が広いガラス製ノズルにて0−1.5ml/min、0−10ml/minまでの範囲で直線性が得られた。
また、ノズル材質の違いについては、既述のように、PTFEでは先端部1aと液滴Dの接触が殆どなく液滴Dの球体への成長が早く透過光を測定した場合異常パルス波形を形成し易いが、ガラス製では接触角度が大きく液滴Dのサイズが大きくなり重力が勝ってノズルから離れて落下直後においてもパルス光の乱れは生じないと推定できる。
【0055】
〔実施例2〕
検出光の中心軸Mを測定部2の液滴の落下軌跡Tに対して角度αの傾斜を設けた場合の、正確なカウントができる光検出器4の傾斜角度、あるいは最適範囲を実証した。
(1)実験条件
(1−1)〔実施例1〕と同様、配管10aから純水を供給し、光検出器4として2.2mmのビーム径を有し940nmの赤外発光ダイオードを光源とするマイクロフォトセンサを用いて、先端部1aからの距離約15mmの位置にセットし、図7(A)に示すような傾斜角度αを変化させたときの、光検出器4の出力を積算カウンタ5およびオシロスコープ6によって監視した。
(1−2)内径4mm/外径6mmのノズル部1cを用い、材質をガラスとした。
【0056】
(2)実験結果
(2−1)図7(B)に示すように、オシロスコープ6によって観測された正常なパルス波形は、傾斜角度αが20〜40°の条件であった。
(2−2)図7(C)に示すように、オシロスコープ6によって観測された異常なパルス波形は、傾斜角度αが、α<20あるいはα>40°の条件であった。
(2−3)まとめ
以上のように、〔実施例1〕において、異常なパルスが発生した光検出器4の位置においても傾斜角度αが20〜40°において、正常なパルスとして検出することができた。
【0057】
<本流量センサを用いた清浄液供給システム>
本発明に係る清浄液供給システム(以下「本供給システム」という)は、上記液体流量センサのいずれかを用いたものであって、清浄液あるいは再生処理後の使用済み清浄液を供給する流路に、給送手段、流量制御手段および前記液体流量センサを直列的あるいは並列的に配設することを特徴とする。
【0058】
つまり、図8(A)に例示するように、清浄液貯留タンク11内の清浄液を給送ポンプ12によって圧送し(給送手段に相当)、バルブ13(流量制御手段に相当)によって所定の流量に調整し、上記のいずれかの液体流量センサ10によって確認されて、処理部14に供給される。純水や希薄塩類を含む清浄液においても正確な流量を監視することが可能となる。従って、清浄液専用の液体流量センサ10の採用で安定した清浄液供給システムが可能になる。ここで、清浄液とは、純水や希薄塩類を含む清浄な原液のみならず、図8(B)のように使用済の溶液を再生器15および吸引ポンプ16を介して再生して清浄化された溶液をも含む。こうした清浄水供給システムは、特に半導体プロセスにおける純水や薬液の添加あるいは後述する水銀測定装置における試料ガス処理系における清浄水供給システムなどのように、連続的に流量監視および流量制御を行うことを必要とする場合において有用である。また、乾燥ガスの加湿処理に対しても、その優れた定量性を有効に活かすことができる。
【0059】
<本流量センサを用いた試料中の酸化セレン除去装置>
本発明に係る酸化セレン除去装置(以下「本除去装置」という)は、
(1)試料を加温する加熱導入路と、
(2)該加熱試料の流れと冷却水の流れが対向する流路を有し、試料と冷却水を混合して急速に冷却する一次冷却部と、
(3)前記混合ガスの冷却を行うスパイラル状の流路を有するとともに、該スパイラル状の流路の終端に気液分離を行う空間を有する二次冷却部と、
(4)該二次冷却部からの凝縮水を導入する再生器と、
(5)該再生器と一次冷却部との接続する冷却水供給路と、
を有し、上記液体流量センサのいずれかを、前記一次冷却部への冷却水供給流路に設けたことを特徴とする。
【0060】
具体的な本除去装置の構成を、図9に例示する。加熱導管21(加熱導入路に相当)、一次冷却管22(一次冷却部に相当)、二次冷却管23およびこれを冷却する電子冷却器23a(二次冷却部に相当)、陰イオン交換樹脂が充填された再生器24、ドレン回収ポンプ25a、冷却水タンク25b、冷却水供給ポンプ25cおよび流量計25d(冷却水供給路を形成)とから構成される。流量計25dとして、上記液体流量センサ10のいずれかを用いる。
【0061】
水分やSeO2等を含む試料は、加熱導管1によって凝縮しないように加熱されながら移送され、一次冷却管22に導入されて冷却水と混合される。ここで急速に冷却されるとともに、試料中のSeO2を溶解しながら、次に二次冷却管23に導入される。ここでさらに冷却されるとともに、気液分離されて、二次冷却管23上部から試料供出路21aを介して処理済みのドライな試料として供出される。
【0062】
一方、冷却水タンク25bに貯留された冷却水は、冷却水供給ポンプ25cによって流量計25dを介して一次冷却管22に供給される。ここで試料の冷却を行う(冷却水は加温される)とともに、試料中のSeO2を溶解除去しながら、次に試料と一緒に二次冷却管23に導入される。ここで電子冷却器23aによって冷却されるとともに、気液分離されて、ドレン回収ポンプ25aによって吸引され、陰イオン交換樹脂が充填された再生器24を介して冷却水タンク25bに回収される。再生器24では、冷却水に溶解したSeO2や他の水溶性の物質が除去され、清浄な冷却水として再生される。
【0063】
〔SeO2の凝縮水への溶解と水銀とのアマルガム生成のメカニズム〕
ここで、SeO2の凝縮水への溶解と水銀とのアマルガム生成のメカニズムについて説明する。
(a)SeO2は水溶性で、下式1のように、H2SeO3となる。検証の結果、この反応は極めて速やかに進行することが分かった。
SeO2+H2O→H2SeO3・・(式1)
(b)生成したH2SeO3は、下式3あるいは3’のように、排気ガス中に多量に共存するSO2によって還元され、金属Seとなる。検証の結果、この反応は比較的緩やかに進行し、SeO2が水に溶解した直後には生成しないことが分かった。実験では、H2SeO3水溶液に所定濃度のSO2ガスを導入した場合、黄色〜橙色をなり、次第に濃橙色の沈殿(元素セレンSe)が生成することによって検証した。Seの生成は、高温度露点雰囲気で生成が速く、一度管壁等に析出付着すると、注水による洗浄効果は期待できない。
H2SeO3+SO2→Se+H2SO4・・(式3)
H2SeO3+2SO2+H2O→Se+2H2SO4・・(式3’)。
(c)発生した金属Seは水に不溶であり、下式4のように、配管内壁他に赤色の粉末状となって析出し水銀と容易にアマルガムを生成する。
Hg+Se→HgSe・・(式4)
【0064】
〔本除去装置の構成〕
(1)加熱導入路(加熱導管21)
試料を100〜200℃に加熱する。試料中の水分の凝縮を防止し、上式1の反応による亜セレン酸(H2SeO3)の生成を抑制することができる。また、溶液状の水(水滴や飛沫を含む)の存在下における、試料中のSO2と上式3の反応による元素セレンの発生を抑制し、上式4の反応を防止することによって、試料中の水銀とSeとの反応を抑制することができる。
【0065】
(2)一次冷却部(一次冷却管22)
100〜200℃に加熱された試料を一次冷却管22によって、急速に環境雰囲気の温度まで冷却すると同時に冷却水と混合させる。上式1によって、試料中のSeO2を冷却水に溶解させるとともに、冷却管などの流路に上式1によって発生した亜セレン酸の残留がないように、冷却水によって洗い出す。溶解し生成された亜セレン酸を含む冷却水と試料の混合ガスは、二次冷却管23に供給される。
【0066】
(3)二次冷却部(二次冷却管23およびこれを冷却する電子冷却器23a)
二次冷却管23は、冷却水および凝縮水(以下「冷却水等」という)と試料の気液混合流体の冷却を効率よく行うと同時に、流出速度を速めて冷却管内の洗浄効果に寄与することができて耐蝕性を有するものであれば、構造および材質に制限されるものではないが、例えば図10に示す構造が好ましい。電子冷却器23aや水冷式冷却装置内に設けられた二次冷却管23は、ガラス管を用いた2重管構造で、電子冷却器23aの熱交換部に接した外管23bと内管23cの間に設けられたスパイラル状の流路23d、およびその終端23eに設けられた空間23fから構成され、試料の冷却と冷却水等の流出を早くする。流路23dを通過した試料は、下部の空間23fで冷却水等を分離して、内管23cの内部流路23gを通過して供出される。この間、冷却された試料は、流路23dを通過する試料と熱交換を行う。交換熱量は多くは期待できないが、供出される低温の試料は、導入された温度の高い試料と熱交換を行なうことで再加熱され、結露を防ぐことができる。試料をこうした二次冷却管23を用いて処理することによって、妨害となる元素Seの生成を防ぐことができる。一方、冷却水等は、空間23fから、凝縮水排出用流路23hを通過して循環再使用され、一次冷却管2による試料の急速冷却と試料へ冷却水を添加することで、ドレン流量が増大し、試料処理系において常に流動した状態で、発生したドレン流量分が系外へ排出される。循環再利用せずに、自然に落下したドレンをポットで滞留させた場合には、ドレン流路だけではなくこれに繋がる試料流路においても元素Seの生成が起きるおそれがある。
【0067】
(4)再生器24
二次冷却管23の凝縮水排出用流路26hから流下した冷却水等は、再生器24によって再生され、冷却水として循環再利用する。再生器4には、冷却水等中の妨害となる亜セレン酸を除去する試剤が充填される。具体的は、陰イオン交換樹脂や亜セレン酸の吸着剤例えば鉄酸化物(例えば酸化第一鉄(FeO)やオキシ水酸化鉄(FeO・OH)など)などを使用することができるが、試剤自体の再生が可能な陰イオン交換樹脂が好ましい。本装置においては、約250gの陰イオン交換樹脂が充填され、常時1〜10ml/minの冷却水等が通過する。冷却水の交換や補充などの保守頻度について検証した結果、従来は1ケ月ごとに補充が必要であったが、陰イオン交換樹脂の使用によって、3〜6ケ月間に延長することが判った。また、再生器24の設置は、図9のように二次冷却部23の下流ではなく、冷却水供給ポンプ25cの前あるいは後に設置してもよい。
【0068】
(5)冷却水供給路(ドレン回収ポンプ25a、冷却水タンク25b、冷却水供給ポンプ25cおよび流量計25d)
二次冷却管23の凝縮水排出用流路26hから流下した冷却水等は、再生器24、ドレン回収ポンプ25a、冷却水タンク25b、冷却水供給ポンプ25cおよび流量計25dを介して、冷却水として常時1〜10ml/min程度一次冷却管22に導入して、循環再利用する。ドレン回収ポンプ25aおよび冷却水供給ポンプ25cは、ほぼ一定量を回収・供給することから、一般にチュ―ビングポンプを用いるが、チューブの弾力性低下で流量低下を起こすので、図9に例示するように、冷却水供給ポンプ25c出口に流量計25dを設置して流量監視と定期的に流量補正を行なうことが好ましい。
【0069】
(6)流量計25d
このとき、流量計25dは、通常の流量監視だけではなく本除去装置において重要な役割を担っている。つまり、循環再利用される冷却水の流量低下や停止によって水滴が発生するとアマルガムが生成し、あるいは試料ガスの温度上昇や水分量が減少して共存ガスの酸化セレンが還元されてセシウム元素が析出することから、安定した冷却水の連続添加のためには、冷却水流量の連続監視が必要になり、循環冷却水の流量計25dの設置が好ましい。さらに、循環再利用される冷却水等の流量監視方法として、冷却水タンク25bの一定時間における水量の増大をフロートスイッチなどの液面検知器(図示せず)を用いて検出することが可能であり、その検出した流量から、冷却水の供給流量を補正することも可能である。また、冷却水の流量監視をリアルタイムに行うので、例えば流量低下信号によって試料ガスの吸引を同時に停止し、本除去装置の劣化を未然防止することができる。ここで、流量計25dは、初期的には純水あるいは清浄処理された水を測定し、連続使用に伴い再生され清浄化された水を測定する。従って、流量計25dとして、上記液体流量センサ10のいずれかを用い、液滴を正確にカウントすることによって、一次冷却管22に供給される清浄水の流量を精度よく監視し、精度の高い制御に供することができる。
【0070】
〔本除去装置の実施例〕
(1)実験条件
図9の例示する本除去装置の加熱導管1の上流から、SeO2を18ppm含むAirを流量1.1L/minで導入した。
(2)実験結果
冷却水タンク5bに回収した冷却水を誘導結合形高周波プラズマ法(ICP、堀場製作所製、形式:ULTIMA2)によって測定し、溶解したSe濃度5ppbを得た。循環系の冷却水の量300gから、溶解したSeO2の総量を算出し、除去効率を算出したところ、95%の結果を得た。
【0071】
<本除去装置を用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置の構成例>
本除去装置を用いた石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置(以下「本測定装置」という)は、石炭燃焼排気ガスを測定対象試料とし、前記試料を採取する試料採取部と、該試料採取部から前記試料を加熱して導入する試料導入路と、前記除去装置と、水銀分析計と、を有することを特徴とする。石炭燃焼排気ガス中に存在するSeO2については、該排ガス中に多く含まれる水分、SO2やNO2などの共存条件下において、水銀とアマルガムを作り易いことから、測定精度を著しく低下させる大きな原因の1つであり、本測定装置は、上記本除去装置を用い、この影響を排除することによって、従前の方法ではできなかった測定精度の確保を可能とした。
【0072】
図11は、本測定装置の1つの構成を例示する。本構成においては、2価の水銀(Hg2+)と元素水銀(Hg0)などのように同一元素を含む相互に変換可能な複数の成分の全水銀(Hg2++Hg0)を測定対象とする場合に適している。つまり、試料ガス中のHg2+を最初に測定対象となるHg0全量に変換した後に、上記本除去装置を用いて処理したガスを分析することによって、SeO2等他の共存成分の影響を排除することが可能となる。以下、具体的な実施態様として、本除去装置としてウェット処理を用い、測定手段として紫外線吸光式分析計30を用いた石炭燃焼排気ガス中の全水銀測定装置に本発明を適用した場合を、その一例として説明する。
【0073】
試料は、試料入口31(試料採取部に相当)から紫外線吸光式分析計30の下流側に設けられた吸引ポンプ35によって吸引採取される。採取された試料は、ダストフィルタ32によって清浄にした後、還元触媒部33によって試料中の全水銀がHg0に変換され、加熱導管21、一次冷却部22、二次冷却部23およびフィルタ34を介して紫外線吸光式分析計30に導入される。このとき、接ガス材としては、安価なガラス、石英、セラミックスなどのほか金属としてTi、酸化処理SUSを使用することができる。
【0074】
還元触媒部33は、内部に還元触媒を充填したユニットで、還元触媒は、加熱手段(図示せず)によって中温度域250〜500℃に維持されることが好ましい。つまり、通常、石炭燃焼排気ガス中の水銀は、HgOやHgCl2あるいはHg0の状態で存在するが、Hg2+をHg0に還元するには、熱分解反応が不可欠であり、還元温度を250℃以上とすることで、排気ガス中に含まれるSeO2などの金属酸化物の反応によって生じる水銀とのアマルガムの発生を防止することができる。一方、還元温度を500℃以下にすることによって、試料流路での腐蝕あるいは反応物による閉塞等々トラブルを未然に防止することができる。
【0075】
還元触媒部33に充填される還元触媒は、酸性物質との反応性の低い、還元力を有する無機材質の触媒が好ましい。本発明においては、還元触媒に対して塩化水銀などの2価の水銀(Hg2+)の化合物を金属(Hg0)に還元する機能を有することが求められるとともに、他の共存成分に対して影響を受けにくいこと、および他の共存成分に対して影響を与えないこと、つまり2価の水銀に対する選択性を有することが求められる。還元触媒の具体例としては、ゼオライト系の触媒や、アルカリ金属の亜硫酸塩などのような、無機質の化合物が適用可能である。還元作用については、炭酸塩や水酸塩なども適用可能であるが、石炭燃焼排気ガス中に多量含まれるSO2、NO2などの酸性物質の共存によって、機能的には、こうした触媒に限定されることになる。還元触媒の形状は、特に限定されるものではないが、還元触媒部33への充填や交換が容易で圧力損失の少ない粒状体あるいはハニカム形状などが好ましい。このとき、触媒自身がこうした形状に成形されたものだけではなく、こうした形状を担体として表面に担持された触媒であっても適用可能である。
【0076】
紫外線吸光式分析計30は、図示しないが、紫外線光源部、試料セル部、紫外線検出器および光学フィルタからなる光学系を形成し、試料セル部に導入された試料中のHg0による紫外領域の光の吸収量を紫外線検出器によって検出することによって、試料中のHg0の濃度を測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上においては、本流量センサの適用を、主として石炭燃焼排気ガス中の水銀測定方法および測定装置に適用する場合について述べたが、プロセスガス等において組成が類似する試料や各種プロセス研究用などについても、本水銀測定方法および測定装置を適用することが可能である。さらにSO2や金属酸化物などが共存する試料を測定する場合には、特に有用である。また、半導体製造プロセスはじめ各種プロセスにおいて清浄液を供給する場合にも、広く本流量センサの適用を図ることができる。
【0078】
具体的にいくつかの応用例を挙げる。
(1)ガス分析装置の前処理として、加湿用の水添加機構に応用することができる。
例えば、NDIR(非分散赤外線分析法)式窒素酸化物ガス分析装置においては、水分による干渉影響があることから、ドレンセパレータや電子冷却器を用いて、試料ガス中の水分濃度を一定に維持することによって、分析計の水分干渉値を補償する場合がある。このとき、寒冷地や冬期は、環境温度が下がり外気温度まで除湿されると、十分な水分濃度が得られなくなる。この場合に、試料ガス中に、ドレンセパレータや電子冷却器からの流出ドレンを流量監視を行いながら適量の水分量を滴下することで、必要分を供給して安定したし加湿状態を維持することができる。
【0079】
こうした方法は、特に、SO2(二酸化硫黄)のように水溶性の高い成分を測定対象とする分析装置において有効である。つまり、こうしたガスは、水洗装置による加湿法は、測定時には大きい溶解損失を招きSO2自体測定できなくなる。本水添加機構では、例えば凝縮水をチュービングポンプを用いてドレンポット前又は電子冷却器入口に注入することで、凝縮水の有する飽和溶解度及び凝縮水添加流量を制御することができることから、溶解損失を最小限に抑えることができる。その結果、水分干渉影響の低下とSO2など測定成分の溶解ロスを少なくできるので、精度の高い分析装置を提供することができる。
【0080】
(2)UV−TOC分析装置(紫外線吸収式全有機炭素分析装置)の液滴センサを用いた測定フローの例を挙げることができる。
流量影響を受け易いTOC分析装置の加圧ラインに本流量センサを配設し、流量計測データをリアルタイムにフィードバックをかけて、加圧用ポンプの流量制御を行うことによって、定流量化を行い安定したTOC計測定を実現する。清浄水の測定においても、圧力影響の少ない本流量センサの特性を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る液体流量センサの液滴の形成状態を概略的に示す説明図。
【図2】本発明に係る液体流量センサの基本構成に示す説明図。
【図3】本発明に係る液体流量センサにおけるパルス信号発生プロセスを概略的に示す説明図。
【図4】本発明に係る液体流量センサの第1構成例における液滴の検出状態を概略的に示す説明図。
【図5】本発明に係る液体流量センサの第2構成例における液滴の形成状態を概略的に示す説明図。
【図6】実施例1における実験条件および実験結果を示す説明図。
【図7】実施例2における実験条件および実験結果を示す説明図。
【図8】本発明に係る清浄液供給システムの構成を例示する説明図。
【図9】本発明に係る酸化セレン除去装置の構成を例示する説明図。
【図10】本発明に係る酸化セレン除去装置に用いる二次冷却管の構成を例示する説明図。
【図11】本発明に係る石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置の構成例を示す説明図。
【図12】従来技術に係る液滴検知方式流量計の構成を概略的に示す説明図
【符号の説明】
【0082】
1 液滴部
1a 先端部
1b 流路
1c ノズル部
2 測定部
3 液受部
4 光検出器
4a 発光部
4b 受光部
5 積算カウンタ
10 液体流量センサ
D 液滴
L 距離
M 検出光の中心軸
s 微小域
T 液滴の落下軌跡
θ 接触角度
α 傾斜角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、該光検出器の検出光が前記液滴部の先端部を通過し、前記液滴部から離隔する直前の液滴を検出することができることを特徴とする液体流量センサ。
【請求項2】
上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、前記液滴部が、内径d1/外径d2の撥水性材からなるノズル部を有するとともに、前記光検出器の検出光が、前記液滴部の先端部からの距離L≦d1×1.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする液体流量センサ。
【請求項3】
上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、前記液滴部が、内径d1/外径d2の親水性材からなるノズル部を有するとともに、前記光検出器の検出光が、前記液滴部の先端部からの距離L≦d2×2.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする液体流量センサ。
【請求項4】
上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、該光検出器の検出光の中心軸が、前記測定部の液滴の落下軌跡に対して20〜40°の傾斜を有することを特徴とする液体流量センサ。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の液体流量センサを用いた清浄液供給システムであって、清浄液あるいは再生処理後の使用済み清浄液を供給する流路に、給送手段、流量制御手段および前記液体流量センサを直列的あるいは並列的に配設することを特徴とする清浄液供給システム。
【請求項6】
(1)試料を加温する加熱導入路と、
(2)該加熱試料の流れと冷却水の流れが対向する流路を有し、該加熱試料と冷却水を混合して冷却する一次冷却部と、
(3)前記混合ガスの冷却を行うスパイラル状の流路を有するとともに、該スパイラル状の流路の終端に気液分離を行う空間を有する二次冷却部と、
(4)該二次冷却部からの凝縮水を導入する再生器と、
(5)該再生器と一次冷却部との接続する冷却水供給路と、
を有する試料中の酸化セレン除去装置であって、
請求項1〜4いずれかに記載の液体流量センサを、前記一次冷却部への冷却水供給流路に設けたことを特徴とする試料中の酸化セレン除去装置。
【請求項7】
請求項5記載の清浄液供給システムまたは請求項6記載の試料中の酸化セレン除去装置を用いた水銀測定装置であって、
石炭燃焼排気ガスを測定対象試料とし、前記試料を採取する試料採取部と、該試料採取部から前記試料を加熱して導入する試料導入路と、前記除去装置と、水銀分析計と、を有することを特徴とする石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置。
【請求項1】
上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、該光検出器の検出光が前記液滴部の先端部を通過し、前記液滴部から離隔する直前の液滴を検出することができることを特徴とする液体流量センサ。
【請求項2】
上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、前記液滴部が、内径d1/外径d2の撥水性材からなるノズル部を有するとともに、前記光検出器の検出光が、前記液滴部の先端部からの距離L≦d1×1.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする液体流量センサ。
【請求項3】
上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、前記液滴部が、内径d1/外径d2の親水性材からなるノズル部を有するとともに、前記光検出器の検出光が、前記液滴部の先端部からの距離L≦d2×2.5となる距離Lまでの測定部を通過することを特徴とする液体流量センサ。
【請求項4】
上部に液滴部、中間部に測定部を有し、該測定部に、発光部と受光部からなる透過型光検出器を有する液体流量センサであって、該光検出器の検出光の中心軸が、前記測定部の液滴の落下軌跡に対して20〜40°の傾斜を有することを特徴とする液体流量センサ。
【請求項5】
請求項1〜4いずれかに記載の液体流量センサを用いた清浄液供給システムであって、清浄液あるいは再生処理後の使用済み清浄液を供給する流路に、給送手段、流量制御手段および前記液体流量センサを直列的あるいは並列的に配設することを特徴とする清浄液供給システム。
【請求項6】
(1)試料を加温する加熱導入路と、
(2)該加熱試料の流れと冷却水の流れが対向する流路を有し、該加熱試料と冷却水を混合して冷却する一次冷却部と、
(3)前記混合ガスの冷却を行うスパイラル状の流路を有するとともに、該スパイラル状の流路の終端に気液分離を行う空間を有する二次冷却部と、
(4)該二次冷却部からの凝縮水を導入する再生器と、
(5)該再生器と一次冷却部との接続する冷却水供給路と、
を有する試料中の酸化セレン除去装置であって、
請求項1〜4いずれかに記載の液体流量センサを、前記一次冷却部への冷却水供給流路に設けたことを特徴とする試料中の酸化セレン除去装置。
【請求項7】
請求項5記載の清浄液供給システムまたは請求項6記載の試料中の酸化セレン除去装置を用いた水銀測定装置であって、
石炭燃焼排気ガスを測定対象試料とし、前記試料を採取する試料採取部と、該試料採取部から前記試料を加熱して導入する試料導入路と、前記除去装置と、水銀分析計と、を有することを特徴とする石炭燃焼排気ガス中の水銀測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−232741(P2008−232741A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71009(P2007−71009)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
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