説明

液体混合物中の乳化液体、及び、液体と気体の混合物中に溶解した気体を局所減圧によって分離する方法及び装置

本発明は、乳濁液内及び/又は溶液中の流体の分離方法及び装置、特に原油中に溶解した水及び/又は気体炭化水素の低圧蒸留方法及び装置、地下帯水層の汚染のない注入に必要な特性を有する水及び/又は混合物が原油中の主なものである時に混合物の下側部分の水の沈殿の加速を得るための水中に乳化された原油小滴の分離方法及び装置、原油の低圧蒸留のための方法及び装置に関する。本発明による方法は、閉じた処理タンク(1)の内側の全体圧力に影響を及ぼすこと無しに、閉じた処理タンク(1)内の処理すべき液体、即ち、原油(2)の自由表面の一部に局所的な減圧区域(5)を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳濁液(エマルジョン)及び/又は溶液中の流体を分離し且つ/又はその一部分を低圧蒸留する方法、及び、かかる方法を実施するための装置に関する。本発明の方法によれば、流体の分離は、液体の自由表面の特定の部分における相対圧力を局所的に低減させることによって行われ、この方法により、閉鎖した処理タンクの内側を支配する供給圧力に影響を与えることなしに、処理タンク中に収容された液体のガス抜き及び分離を可能にする。
【背景技術】
【0002】
背景技術によれば、乳濁液及び/又は溶液中の流体の分離は、処理設備の内部の一部だけでなく、処理設備全体に部分真空を印加することによって行われている。
【0003】
また、背景技術によれば、大きい処理タンクの場合、負圧に耐えるような大きい処理タンクの構造及び設置の費用は高く、その上、真空に起因する崩壊及び取り込む燃料による爆発の危険が常にある。
【0004】
更に、背景技術によれば、炭化水素処理産業は、ストークスの法則に基づいて作動する2相分離機又は3相分離機にかなり精通しており、これらは、乳濁液内の液体及び溶液中の気体の分離に用いられ、かかる分離は比較的ゆっくりである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、表面の上を移動中の流体がその表面に減圧をもたらすベルヌーイの法則に基づく方法を提供することによって、上記欠点を排除することにある、この法則の応用の1つの顕著な例は、翼の上面、即ち、外側輪郭における減圧が、翼の下面、即ち、内側輪郭の減圧よりも大きく、上面のより凸形の輪郭(外側の輪郭)が、その上の空気を内側輪郭の上の空気よりもよりすばやく移動させ、それにより、2つの表面における圧力差の結果として翼の揚力特性をもたらす上向きの力を生じさせるという点で、飛行機の翼上の揚力の生成である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明は、この局所減圧が発生じる処理装置において乳濁液内及び/又は溶液中の流体の分離及び/又は流体の成分の低圧蒸留が促進されるように、表面の上及びそれに対して接線方向に移動する気体の速度の増大に伴って減圧の原理を適用するものであり、蒸発した成分は、後で処理されて回収される。
【0007】
液体の自由表面の上に且つその接線方向に放射された気体の流れは、上述のように、気体と液体の間の接触領域で減圧をもたらし、それにより、比較的小さい蒸気圧を有する成分が液体から徐々に分離するための条件、並びに、溶解した気体及び比較的小さな比重を有する乳濁液内の液体の表面により速く移動する条件を生じさせる。
【0008】
本発明によれば、液体の自由表面の特定の部分における局所減圧は、自由表面の特定の部分に対して及び自由表面の接線方向に気体の流れを放射することによって達成され、処理気体の流れは、自由表面と0度〜30度の間で変化する可能性がある角度をなして、自由表面に接触する。好ましくは、この角度は5度である。表面上に放射される処理気体は、火災、汚染、爆発などのような液体の性質に固有のあらゆる危険を回避するように、処理タンク中に含まれる液体と互換可能な気体又は不活性気体である。
【0009】
気体の流れは、閉じた処理タンク中に含まれる液体の自由表面の特定の部分に付加されるのがよく、又はそれは、面積/容積比、及び従って処理されている液体の分離収率及び容積を増大させるように、液体が流れる。特定表面上に付加することができる。その場合、この表面は、平面であってもよいし、意図した目的に適する任意その他の形状、好ましくは飛行機の翼の外側輪郭の形状を有していてもよい。
【0010】
従って、本発明の方法を改良する1つの方法は、処理される液体が流れる表面を有するプラットホームを用いることであり、それによってプラットホームの自由表面上の液体の面積/容積比が増大し、かつ表面上に接線方向に気体の流れを放射することであり、処理気体の流れは、一定の角度をなして自由表面と接触し、かかる角度は、0度〜30度の間で変化する可能性があり、好ましくは5度である。上述したことに従って、このようなプラットホームは、好ましくは、飛行機の翼の外側輪郭の形状を有する。
【0011】
本発明により、閉じた処理タンクの内側で、処理気体の流れを、液体の自由表面の特定部分の上に且つその接線方向に放射し、自由表面と特定の角度をなして接触させることによって局所減圧を発生させることは、背景技術に関して新規である。本発明は、処理タンク又は容器の内部環境において部分真空又は過剰圧力を発生じることなく、従って、同じ目的の背景方法よりも処理速度、エネルギ消費、廉価性、及び安全性の観点でより効率的である原油又はその副生成物の表面の特定の部分に対する減圧により、用途を他の流体に対して限定することなく石油製品に、及び特に原油中又はその副生成物中の乳濁液内の水及び溶液中の気体の分離に、及び/又は原油又はその副生成物の一部分の蒸留に特に適用することができる。
【0012】
本発明を示す一例は、閉じた処理タンクであり、その内側で圧力は、液体の自由表面の1つの特定の部分だけにおいて、液体の自由表面のその部分に対する処理気体の流れの放射によって低減され、それによって、減圧の影響の範囲がいかなる低減も受けない処理タンクの内側の全般的な圧力に影響を与えず、従って、外側の気体が可燃性混合物の形成の危険及び爆発を伴ってタンク中に入らないように、液体の自由表面のその部分と処理気体の流れとの間の接触区域の減圧を発生させる。
【0013】
本発明の方法の1つの用途は、揚水井から来る原油のそれが乳濁液内に含む水から及びその中の溶液中の気体の一部からの分離を伴うものである。処理タンク内に貯蔵された原油は、加熱される場合もありそうでない場合もある原油の自由表面の上方の一定の距離で、タンクの内側にこの目的のために配列されたプラットホームの上を流されることになり、それに対してプラットホーム上及び自由表面と接線方向に移動中の原油の自由表面上に気体の流れが衝突させられ、気体の流れは、自由表面と0度〜30度の間で変化する角度で衝突し、かかる角度は、好ましくは5度であり、自由表面上に減圧をもたらし、原油は、水が排出される容器の底部までの水の実質的な移動と、原油中の溶液中の気体の遊離とを達成し、望ましい最終製品、すなわち、水の割合が少なくてガス抜きに必要な温度で安定した原油が得られるまで絶えず再循環される。処理タンク内に直列に置くようにいくつかの他のプラットホームを配置することは本発明の範囲内である。
【0014】
本発明の方法の別の用途は、上述の処理から来る水の残留炭化水素からの分離を含み、従って、それは、約15ppm又はそれ未満程度の炭化水素の濃度に達すると、そのような炭化水素で既存の地下水区域を汚染することなく底土内に注入することができ、水は、前節のそれと同等な処理を受ける。プラットホーム上の減圧の結果、水よりも軽い原油の小滴及び気体は、蒸発する傾向にあり、気体の流れによって取り込まれるか、次の移動のために表面上に現れるかのいずれかである。
【0015】
処理気体の流れの放射を逆流又は並行的方法のいずれかで行うことは本発明の範囲内である。
【0016】
本発明の方法をハイドロサイクロンの内側で行うことができることも本発明の範囲内である。公知のように、ハイドロサイクロンは、機器の特定の容積に対して処理気体の流れとのより大きな接触面積を可能にする。処理気体は、水及び気体を含有する原油に対して放射され、これは、ハイドロサイクロンの内側の遠心分離処理中にハイドロサイクロンの壁に対して遠心分離されると、炭化水素が軸に及び水が壁に近い状態で円錐台形状の内部自由表面を生成する。処理気体の流れは、次に、環状形状を有するこの表面上及びその接線方向に放射され、処理気体の流れは、表面と接触する前に、0度〜30度の間で変化する可能性がある角度を形成する。好ましくは、この角度は5度である。このようにして、気体と液体の間に円筒型接触面が得られ、これが、局所減圧の方法を特定の機器容積に対してより大きな表面に適用することを可能にする。ハイドロサイクロンは、独立に設置することができ、又は処理設備の一体部分とすることができる。
【0017】
独立した機器内又は、以下に限定されるものではないが、貯蔵タンク、脱水及びガス抜きタンク、及び相分離機のような処理設備内に挿入されたものの中で方法を実施することも本発明の範囲内である。
【0018】
表面上に局所部分真空を生成するためにベンチュリを用いることも本発明の範囲内である。公知のように、ベンチュリは、駆動流体の付加によって生成された部分真空を利用する、流体の移動に用いる静的機械である。
【0019】
ベンチュリによってもたらされる吸引は、処理設備内に存在する気体の移動を生じることになり、これは、液体の自由表面の上を移動中に、この領域に局所減圧をもたらす。
【0020】
処理気体は、液体の自由表面の上を通過した後に、そこから除去された成分で飽和され、それは、交換器を通じてこれらの成分を分離するためにその後処理されることになり、交換器は、気体を冷却し、かつ分離された気体を凝縮し、これは、その後の処理のために機器の外側に取り出される。使い切った気体は、処理設備に戻り、恐らく必要に応じて別の処理気体を加えて処理気体として再び用いられる。作動異常に起因するいかなる全体的圧力上昇も適正に較正された高速開放安全弁によって制御される。
【0021】
本発明の方法は、局所部分真空を得るのに必要な気体の量だけを移動させるので、既存の代替物と比較してエネルギ効率が良く、処理設備は、負圧に対して設計する必要がない。
【0022】
本発明はまた、この方法を実施するのに用いる装置に関する。
【0023】
本発明の特徴及び付加的な態様は、例示的かつ非限定的な実施例として与えられて添付図面に示す本発明の好ましい実施形態の説明を読むことによってより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明による方法を実施する1つの理論的例を示し、乳濁液内の水及び溶解した気体を含む原油、すなわち、処理すべき原油2が、閉じた処理タンク1内に入口パイプ2aを通じて導入され、原油が貯蔵された後、処理後の原油が静的又は動的手法で出口パイプ8を通じて出る(すなわち、既に処理された原油が出ると同時に、原油2が処理タンクに入る)。処理気体3は、圧縮器4によって圧縮され、処理気体3の流れは、注入器4aを通じて原油の自由表面上及びその接線方向に放射され、原油の自由表面と特定の角度をなして自由表面に達し、かかる角度は、0度〜30度の間で変化し、好ましくは、0度〜8度、しかし、好ましくは5度である。処理気体3の流れの影響を受ける区域において、原油の表面の局所的な減圧区域5が生成される。圧縮器4は、処理タンク1中に存在する実在気体を供給してもよいし、それと互換性のある外部から到達する気体をパイプ21によって供給してもよいし、それらの混合物を供給してもよい。
【0025】
処理気体3は、貯蔵されている原油との界面上に部分真空局所的な減圧区域5を生成し、局所的な減圧区域5では、気体及び乳濁液内の水は、処理気体3の速度に依存する速さで原油2から分離され、気体混合物6が形成され、気体混合物6は、更なる処理のために、圧力調整弁7によって処理タンク1を出た後、更なる処理に直接進んでもよいし、3方向制御弁9を通じて全体的に又は部分的に戻ってもよい。
【0026】
原油の自由表面の上方の気体は、石油産業の既存方式である圧力調整弁7及び過圧急速逃し弁10の作用によって、閉じた処理タンク1の内側に広く行き渡っている供給圧力に維持される。
【0027】
分離された水は、重力によってゆっくりタンクの底部に落ち、貯蔵タンクの中に底部パイプ11によって石油産業の通常の手法で排出される。
【0028】
ガス抜きされ且つ脱水された油は、更なる処理又は排出のために、閉じた処理タンク1を出口パイプ8によって出ていく。
【0029】
図2は、本発明の方法を実施する別の理論的仕方を示し、乳濁液内の水及び溶解した気体を含む原油、すなわち、処理すべき原油2が、閉じた処理タンク1内に、プレート2b上に点在する入口パイプ2aによって導入される。原油は、貯蔵された後、出口パイプ8を通って静的又は動的手法で出る。処理気体3は、圧縮器4によって圧縮され、処理気体3の流れは、注入器4aを通じて原油の自由表面上及びその接線方向に放射され、プレート2b上の原油の自由表面と特定の角度をなして自由表面に達し、かかる角度は、0度〜30度の間で変化するのがよく、好ましくは0度〜8度であり、好ましくは5度である。圧縮器4は、処理タンク1中に存在する実在気体又はそれと互換可能な外側21から来る気体又はそれらの混合物を供給する。
【0030】
局所的な減圧区域5では、処理気体3は、貯蔵されている原油との界面上に部分真空を生成し、気体及び乳濁液内の水は、処理気体3の速度に依存する速さで原油2から分離され、気体混合物6が形成され、気体混合物6は、更なる処理のために、圧力調整弁7によって処理タンク1を出た後、更なる処理に直接進んでもよいし、3方向制御弁9を通じて全体的に又は部分的に戻されてもよい。
【0031】
原油の自由表面の上方の気体は、石油産業の既存方式である圧力調整弁7及び過圧急速逃し弁10の作用によって、閉じた処理タンク1の内側に広く行き渡っている供給圧力に維持される。
【0032】
分離された水は、重力によってゆっくりタンクの底部に落ち、石油産業の通常の手法で、貯蔵タンクの中に底部パイプ11によって排出される。
【0033】
ガス抜きされ且つ脱水された油は、更なる処理又は排出のために、閉じた処理タンク1を出口パイプ8によって出ていく。
【0034】
図3は、乳濁液内の水及び溶解した気体を含む原油、すなわち、処理すべき原油2の脱水及びガス抜きのための処理設備を概略的に示し、原油2は、閉じた処理タンク1内に入口パイプ2aによって導入されている。原油2は、ポンプ2cによって圧縮され、可撓性連結チューブ2dを通って進み、プレート2bの上に分散され、プレート2b及び可撓性連結チューブ2dは両方とも、閉じた処理タンク1内のレベルの変化に従うことが可能であるフロート16内に支持されている。いったん処理された原油は、貯蔵された後、静的又は動的手法で出口パイプ8を通じて出る。
【0035】
処理気体3は、圧縮器4によって圧縮され、処理気体3の流れが原油の自由表面上及びその接線方向に注入器4aを通じて放射され、プレート2b上の原油の自由表面と特定の角度をなして自由表面に達し、かかる角度は、0度〜30度の間で変化するのがよく、好ましくは0度〜8度であり、好ましくは5度である。注入器4aも、それが処理タンク1中の原油のレベルに従うことができるようにプレート2bに接合及び連結される。
【0036】
圧縮器4は、処理タンク1中に存在する気体を、交換器14の中を循環させた後に供給してもよいし、必要であれば、それと互換性のある外部から来た気体21を追加してもよい。交換器14は気体混合物6を、外側冷却剤15によって冷却されたパイプ14aを通して受け入れる。交換器14の凝縮物は、その後の処理のために、パイプ19を通って移送され、交換器14から来る気体は、圧縮器4によって吸引されて処理タンク1に供給され、上述したように、必要に応じて、それと互換可能な外側から来る気体21を追加してもよいし、局所的な減圧区域5内に遊離された気体が過剰である場合、過剰な気体がその後の処理のために排出されてもよい。
【0037】
熱交換器17がプレート2bの加熱のために設けられてもよく、熱交換器17により処理を加速させ、かくして、乳濁液内の水及び溶解した気体の分離を加速させる。熱交換器17には、外部加熱流体18が供給される。
【0038】
原油の自由表面の上方の気体は、石油産業の既存方式である圧力調整弁7及び過圧急速逃し弁10の作用によって、閉じた処理タンク1の内側に広く行き渡っている供給圧力に維持される。
【0039】
分離された水は、重力によってゆっくりタンクの底部に落ち、貯蔵タンクの中に底部パイプ11によって石油産業の通常の手法で排出される。
【0040】
ガス抜きされ且つ脱水された油は、更に処理又は排出のために、閉じた処理タンク1を出口パイプ8によって出ていく。
【0041】
図4は、乳濁液内の水及び溶解した気体を含む原油、すなわち、処理すべき原油2の脱水及びガス抜きのための処理設備を概略的に示し、原油2は、閉じた処理タンク1内に入口パイプ2aによって導入され、ポンプ2cによって圧縮され、パイプ2dを通じてハイドロサイクロン1Aに進む。
【0042】
ハイドロサイクロン1Aの外壁は、任意適当な装置によって加熱されるのがよい。ハイドロサイクロン1Aの内側の遠心分離力は、原油を円錐台表面3bに分散させる。処理気体3は、環状排出表面を有する注入器4aを有する圧縮器4によって圧縮され、この注入器4aは、処理気体3の流れを原油2の自由表面上に及びその接線方向に放射し、処理気体3の流れは、原油の自由表面と特定の角度をなして自由表面に達し、かかる角度は、0度〜30度の間で変化するのがよく、好ましくは0度〜8度であり、好ましくは5度である。局所的な減圧区域5が生成され、ここで、乳濁液内の水及び石油中に溶解された気体のその後の分離が起こる。
【0043】
局所的な減圧区域5を生成した処理気体3は、分離された炭化水素及び/又は蒸発水と共に気体混合物6を形成する。
【0044】
交換器14は、外側冷却剤15によって冷却され、ハイドロサイクロン1Aから気体混合物6を直接受け入れる。交換器14の凝縮物は、その後の処理のために、パイプ19によって搬送される。交換器14から来る気体は、パイプ20によって処理タンク1に搬送され、必要に応じて、それと互換可能な外側から来る気体21を追加してもよいし、その後の処理のために排出されてもよい(3方向弁9参照)。この気体は、圧縮器4を通って圧縮工程を繰返し続け、ハイドロサイクロン1Aに戻る。
【0045】
ガス抜きされ且つ脱水された油は、出口パイプ12を通ってハイドロサイクロン1Aから出た後、閉じた処理タンク1にパイプ12aを通って戻って、更なる処理又は排出のために出口パイプ8から出てもよいし、その後の処理又は排出12bのために直接に進んでもよい。
【0046】
原油の自由表面の上方の気体は、石油産業の既存方式である圧力調整弁7及び過圧急速逃し弁10の作用によって、閉じた処理タンク1の内側に広く行き渡っている供給圧力に維持される。
【0047】
重力によって分離された任意の水が処理タンク1内にある場合、水は、重力によってゆっくりタンクの底部に落下し、貯蔵タンクの中に底部パイプライン11によって石油産業に通例の手法で排出される。
【0048】
図5は、乳濁液内の水及び溶解した気体を含む原油、すなわち、処理すべき原油2の脱水及びガス抜きのための処理設備を概略的に示し、原油は、図4に示すようなハイドロサイクロン1A内へ導入されるが、ハイドロサイクロン1Aは、1つの独立した装置であり、即ち、この実施形態では、ハイドロサイクロン1Aの機能に関し、閉じた処理タンク1は省略され、その他の全ての要素は、図4の実施形態について説明した通りである。
【0049】
ガス抜きされ且つ脱水された油は、更なる処理のために、出口パイプ12を通じてハイドロサイクロン1Aを出る。
【0050】
図6は、乳濁液内の水及び溶解した気体を含む原油、すなわち、処理すべき原油2の脱水及びガス抜きのための3相分離機を含む処理設備を概略的に示し、ここでは、背景技術により、原油2は、入口パイプ2aによって閉鎖処理タンク1内へ導入され、原油は、区域2eを通って保持プレート2fのところまで移動し、原油は、それが比較的低密度であるため、保持プレート2fのところから分離機の部分2gに進み、出口パイプ8から出る。水は、それが比較的高密度であるため、区域2eの底部に進み、底部パイプ11から出る。溶解した気体は、ゆっくり分離され、底部パイプ11から出る。この設備を本発明による方法の実施のために適応させると共に、乳濁液内の液体及び溶解した気体の分離をより効率的且つ急速に行うために、この設備に圧縮器4、注入器4a、3方向制御弁9が追加されている。
【0051】
圧縮器4によって圧縮された処理気体3の流れは、原油の自由表面上及びその接線方向に注入器4aによって放射され、処理ガス3の流れは、原油の自由表面と特定の角度をなして自由表面に達し、かかる角度は、0度〜30度の間で変化するのがよく、好ましくは0度〜8度であり、好ましくは5度である。圧縮器4は、処理タンク1中に存在する実在気体又はそれと互換可能な外側21から来る気体を供給する。この選択は、3方向制御弁9によって行われる。処理気体3の流れの影響が及ぶ区域において、原油の表面の上方に局所的な減圧区域5が生じる。
【0052】
局所的な減圧区域5では、処理気体3は、貯蔵されている原油との界面上に部分真空を生成し、気体及び乳濁液内の水は、処理気体3の速度に依存する速さで原油2から分離され、気体混合物6が形成され、気体混合物6は、更なる処理のために、パイプライン20によってタンクを出る。また、局所的な部分真空の生成により、石油が水からより急速に分離される。原油の自由表面の上方の気体は、石油産業の既存方式である圧力調整弁7の作用によって及び過圧急速逃し弁10によって、閉鎖処理タンク1の内側に広く行き渡っている供給圧力に維持される。
【0053】
図7は、乳濁液内の水及び溶解した気体を含む原油、すなわち、処理すべき原油2の脱水及びガス抜きのための処理設備を概略的に示しており、原油は、閉じた処理タンク1内に入口パイプ2aによって導入され、次いで、処理タンク1に入る時にプレート2b上に分散される。原油は、それが静的又は動的な手法で出口パイプ8を通って出る時まで貯蔵される。
【0054】
次いで、プレート2b上に分散された原油2の自由表面上に、局所的な減圧区域5がベンチュリ13の吸入ノズル13aによって生成され、外部気体21が、局所的な減圧区域5を担う吸引をもたらすベンチュリ内の駆動流体として用いられる。外部気体は、処理タンク1内に存在する処理気体のいくらかから、パイプ20及び3方向弁9によって交換器14を通るリサイクル後に供給されてもよい。
【0055】
処理気体は、ベンチュリ13aの吸引区域を通って進んだ後、原油に溶解した気体及び閉じた処理タンク1内に存在する気体の遊離によって形成された気体混合物6を同伴する。気体混合物6は、交換器14に進む。交換器14は、外側冷却剤15によって冷却されるパイプライン13bを通じて気体混合物6を受け入れる。交換器14の凝縮物は、その後の処理のために、パイプ19を通って送られ、交換器14から来る気体3は、処理タンク1に供給される。必要な場合、タンクに戻った気体のいくらかは、局所的な減圧区域5内の遊離された気体の容積に応じて圧縮器4によってパイプライン20及び3方向弁9aを通じて完全に又は部分的に再循環されてもよいし、その後の処理20aのために全体的に又は部分的に排出されてもよい。
【0056】
原油の自由表面の上方の気体は、石油産業の既存方式である圧力調整弁7及び過圧急速逃し弁10の作用によって、閉じた処理タンク1の内側に広く行き渡っている供給圧力に維持される。
【0057】
分離された水は、重力によってゆっくりタンクの底部に落ち、貯蔵タンクの中に底部パイプ11によって石油産業の通常の手法で排出される。
【0058】
ガス抜きされ且つ脱水された油は、更なる処理又排出のために、閉じた処理タンク1を出口パイプ8によって出る。
【0059】
本発明の最も例示的と考えられる実施形態を上述したが、修正は明らかに可能であり、例えば、図3の実施形態では、原油2をプレート2b上に直接分散することが可能であり、図7の実施形態では、プレート2bがフロートに取付けられ、吸引ノズル13aが、処理タンク1内の原油のレベルの変化に従うようにパイプ及びプレート2bに接続され、原油2のための入口パイプ2aが、処理タンク1内の原油のレベルの変化に従うように可撓性であり且つプレート2bに接続されてもよい。
【0060】
本発明の範囲から逸脱することなく、材料の専門家は、本発明の方法及びその実施のための装置において、通常の経験及び工学の自然な進歩によって示唆される修正及び改良の全てを実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の理論的方法が実施される処理タンクの断面の概略図である。
【図2】本発明の理論的方法が実施される処理タンクの断面の別の概略図である。
【図3】本発明による方法を実施する設備の部分断面の概略図である。
【図4】本発明による方法を実施するハイドロサイクロンを含む設備の概略部分断面図である。
【図5】本発明による方法が実施されるハイドロサイクロンの概略部分断面図である。
【図6】本発明による方法を実施する別の設備の概略部分断面図である。
【図7】本発明による方法を実施する更に別の設備の概略部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳濁液内及び/又は溶液中の流体の分離、及び/又は地下帯水層の汚染のない注入に必要な特性を有する水及び/又は混合物が原油中の主なものである時の該混合物の下側部分の水の沈殿の加速を得るための水中に乳化された原油小滴の分離、及び/又は原油の低圧蒸留の方法であって、
閉鎖処理タンク(1)の内側の全体圧力が影響を受けることなく該閉鎖処理タンク(1)内の処理される液体(2)の自由表面の一部上への局所的な減圧区域(5)の生成、
を含む方法。
【請求項2】
前記局所的な減圧区域(5)の前記生成は、処理気体(3)の流れを発生させることにより、該処理気体(3)を圧縮することにより、かつ前記閉鎖処理タンク(1)内に存在する液体の前記自由表面の特定の部分上及びその接線方向に該処理気体(3)の流れを放射することによって達成され、
前記処理気体(3)の前記流れは、前記自由表面と接触する前に、ゼロから30度の間で変化する可能性がある角度を形成し、前記減圧は、乳濁液及び/又は溶液中の前記流体の急速な分離及び/又は前記液体の前記低圧蒸溜のための急速な分離をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記局所的な減圧区域(5)の前記生成は、ベンチュリの使用によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記液体の前記自由表面と接触する前の処理気体(3)の前記流れとの前記角度は、ゼロから8度の間で変化する可能性があり、かつ好ましくは5度である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記液体の前記表面の上を通った後の遊離された蒸気及び気体で飽和した、局所的な減圧区域(5)を生成するために用いる前記処理気体(3)は、その後の処理又は貯蔵のために前記閉鎖処理タンク(1)から排出される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記ベンチュリの吸入区域を通った後の、局所的な減圧区域(5)を生成するために用いる前記処理気体(3)は、前記遊離された蒸気で飽和され、かつその後の処理又は貯蔵のために前記閉鎖処理タンク(1)から排出される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記処理気体(3)は、処理される前記液体(2)から来る再利用気体、処理される該液体(2)の外側の供給源から来る該処理に適合する別の気体又は不活性気体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記局所自由表面は、プレート(2b)によって判断され、該プレートは、前記閉鎖処理タンク(1)内に貯蔵された残りの液体の自由表面の外側に配置され、かつ処理される前記液体(2)がその上にまき散らされて排出される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記処理気体(3)の流れの前記放射は、前記プレート(2b)上にまき散らされて排出される処理される前記液体(2)の逆流又は並行する方法のいずれかである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の方法を実施するための装置であって、
閉鎖処理タンク(1)と、
気体を処理するための圧縮器(4)と、
前記圧縮器(4)によって圧縮された処理気体(3)を注入するための注入器(4a)と、
前記圧縮器(4)から前記注入器(4a)まで前記処理気体(3)を運ぶパイプラインと、
圧力調整弁(7)と、
処理される液体(2)のための吸入口(2a)と、
処理された液体のための排出口(8)及び前記閉鎖処理タンク(1)内で重力によって分離された液体のための排出口(11)と、を含み、
前記注入器(4a)は、前記閉鎖処理タンク(1)の内側に存在する液体の自由表面の一部上及びその接線方向に前記処理気体の流れを放射するために、該閉鎖処理タンク(1)の内側の液体の該自由表面に対して配向され、該処理気体の流れは、該表面と接触する前に、ゼロから30度の間で変化する可能性があり、好ましくはゼロから8度の間であり、より好ましくは5度である角度を形成する、装置。
【請求項11】
請求項1又は3に記載の方法を実施する装置であって、
閉鎖処理タンク(1)と、
気体を処理するための圧縮器(4)と、
前記圧縮器(4)によって圧縮された処理気体(3)及び/又は適合外側気体(21)である駆動流体を有するベンチュリ(13)と、
前記処理気体(3)を、前記ベンチュリ(13)内へ駆動流体として該処理気体を注入する。前記圧縮器(4)まで運ぶパイプと、
前記ベンチュリ(13)から来る気体混合物を処理するために該ベンチュリ(13)の排出口(13b)にある交換器(14)と、
圧力調整弁(7)と、
処理される液体(2)のための吸入口と、
処理された液体のための排出口(8)及び重力によって分離された液体のための排出口(11)と、を含み、
前記ベンチュリ(13)の前記パイプの一端(13a)は、前記閉鎖処理タンク(1)の内側の液体の自由表面の一部の上方に配置される、装置。
【請求項12】
局所的な減圧区域(5)が上に生成される前記液体の自由表面は、該液体が上に分散されると同時に表面が平面及び/又は湾曲とすることができるプレート(2b)によって形成される、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記プレート(2b)の前記表面は、前記局所的な減圧区域(5)における処理される前記液体(2)との接触面を増大させるために波状又はしわ付きである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プレートは、より低い蒸発温度を有する前記液体及び/又は気体のより急速な蒸発を可能にする外部加熱器(18)によって加熱(17)される、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記プレート(2b)は、1つ又はそれよりも多くのフロート(16)と組み合わされる、請求項12〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記プレート(1b)の前記表面は、処理すべき前記液体(2)を前記閉じた処理タンク(1)の外側から直接に受け取る、請求項12〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記プレート(2b)の前記表面は、処理すべき前記液体(2)を前記閉鎖処理タンク(1)の内側から再循環によって直接に受け取る、請求項12〜16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
複数のプレート(2b)を有する、請求項10〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
閉鎖処理タンクが、処理される液体が遠心分離されるハイドロサイクロン(1A)である請求項1又は2に記載の方法を実施する装置であって、
注入器が、ハイドロサイクロン(4a)内を移動する液体の自由表面に対して配向されて該自由表面の一部上及びその接線方向に処理気体(3)の流れを放射する環状注入器(4a)であり、該処理気体(3)の流れは、該表面と接触する前に、0度〜30度の間で変化する可能性があり、好ましくは0度〜8度の間であり、より好ましくは5度である角度を形成する、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−503185(P2009−503185A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523835(P2008−523835)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/PT2006/000019
【国際公開番号】WO2007/013829
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508026401)
【Fターム(参考)】