説明

液体混合装置

【課題】廃棄ロスを低減することのできる液体混合装置を提供することを課題とする。
【解決手段】2種以上の液体を混合するスタティックミキサー3と、スタティックミキサー3へ液体を供給する第1及び第2の液体供給ユニット1,2と、を備えている。第1及び第2の液体供給ユニット1,2は、スタティックミキサー3へ供給する液体を貯溜する給液タンク11,21と、給液タンク11,21に接続され液体が循環する循環流路16,26と、循環流路16、26内に給液タンク11,21内の液体を送液するポンプ12,22と、循環流路16内を流れる液体の流量を計測する流量計13,23と、循環流路16,26内を循環する液体をスタティックミキサー3へと送るよう流路を切り替える切替弁15,25と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗口液などの液体組成物を工業的に製造するには、大容量の混合槽に溶媒を満たし、甘味料、湿潤剤、界面活性剤、生理活性物質、その他の成分を加えて攪拌することにより、混合槽内の液体組成物を均一化し、容器への充填工程を有する製造ラインへその液体組成物を供給するというようにして行われていた。このような洗口液の一般的な製造方法を記載したものとして、例えば特許文献1記載のものがある。混合槽で製造された液体組成物を充填工程の連続稼働で容器に充填するには、夜間などの充填作業の停止時間中にも混合槽で液体組成物を製造して2基以上の貯蔵タンクに一端蓄え、充填工程への供給を常にいずれかの貯蔵タンクで行うようにするのが一般的である。
【0003】
液体組成物を上記のようにバッチ式で攪拌して製造するのに対し、原料の混合を製造ライン途上で行うことにより原料供給から目的組成物の完成までを連続的に行う方法が採用されることがある(例えば、特許文献2参照)。連続混合方式で液体原料に対して複数種の原料を加えて混合する場合は、液体原料を製造ライン上で定量で給送しつつ、そのライン上に設けたラインミキサーに他の原料を定量で加えて混合するような構成が取られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−215411号公報
【特許文献2】特開平8−196883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように構成された混合装置では、ポンプによって原料をラインミキサーへと送液しているが、ポンプの稼働初期における送液量は安定していないため、混合後の液体組成物の濃度が不安定となってしまう。このため、従来の混合装置では、濃度が安定するまでの液体組成物は貯蔵タンクに貯蔵されずに外部へと排液されており、廃棄ロスが大きいという問題があった。そこで、本発明は、廃棄ロスを低減することのできる液体混合装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体混合装置は、2種以上の液体を混合するラインミキサーと、前記ラインミキサーへ液体を供給する第1及び第2の液体供給ユニットと、を備え、前記第1及び第2の液体供給ユニットの少なくとも一方は、前記ラインミキサーへ供給する液体を貯溜する給液タンクと、前記給液タンクに接続され前記液体が循環する循環流路と、前記循環流路内に前記給液タンク内の液体を送液するポンプと、前記循環流路内を流れる前記液体の流量を計測する流量計と、前記循環流路内を循環する液体を前記ラインミキサーへと送るよう流路を切り替える切替弁と、を有している。
【0007】
この液体混合装置によれば、第1及び第2の液体供給ユニットの内少なくとも一方が循環流路を有しているため、ポンプからの吐出量が安定するまで、その循環流路内で各液体を循環させておき、その循環する液体の流量が安定したことを流量計で判断すると、切替弁を切り替えて、循環流路内を循環していた液体をラインミキサーへと送ることができる。このように、ポンプから送液される液体の流量が安定するまでは循環流路内を循環させておくことができるため、廃棄する液体の量を減らすことができる。
【0008】
上記液体供給ユニットは、循環流路内を流れる液体の圧力を制御するための圧力制御手段をさらに備えた構成とすることができ、例えば、背圧弁を設置することができる。この場合、背圧弁は、ポンプの下流側であり、且つ切替弁の上流側に設置されていることが好ましい。
【0009】
また、上記ラインミキサーは、スタティックミキサーであることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、廃棄ロスを低減することのできる液体混合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本実施形態に係る液体混合装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る液体混合装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図中の矢印は、液体の流れる方向を示している。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る液体混合装置は、第1の液体供給ユニット1と、第2の液体供給ユニット2と、これら液体供給ユニット1,2から送られた2種類の液体をライン上で混合するスタティックミキサー(ラインミキサー)3から主に構成されている。また、スタティックミキサー3の下流には濃度計4及び切替バルブ5がこの順に設置されており、切替バルブ5からは、貯蔵タンク6へと繋がる配管と、混合液を廃棄する廃液管が延びている。なお、本実施形態においては、第1の液体供給ユニット1から供給される液体は、溶質と溶媒とを混合してなる中間混合液であり、第2の液体供給ユニット2から供給される液体は上記中間混合液を希釈して目的濃度とするための溶媒である。
【0014】
第1の液体供給ユニット1は、第1の給液タンク11、第1のポンプ12、第1の流量計13、第1の背圧弁14、及び第1の切替弁15を有しており、これらを第1の循環配管(循環流路)16によって環状に接続した構成となっている。
【0015】
第1の給液タンク11は、中間混合液を製造・貯蔵するタンクであって、原料投入口111が上壁に設けられ、モータなどの駆動源によって回転させられる攪拌翼112が給液タンク11の内部に設けられている。また、給液タンク11には、配管を介して溶媒供給源113や、溶解槽114が接続されている。
【0016】
第1の循環配管16は、第1のポンプ12によって第1の給液タンク11から送液される中間混合液を流量が安定するまで循環させるための配管であって、その両端は第1の給液タンク11に接続されている。この循環配管16には、まず、第1の給液タンク11内の中間混合液を送液するための第1のポンプ12が設置されており、その下流には、循環配管16内を流れる中間混合液の流量を測定するための流量計13が設置されている。この流量計13によって測定された流量によって、第1のポンプ12の送液量を制御することができる。
【0017】
また、循環配管16には、流量計13の下流に第1の背圧弁14が設置されており、循環配管16内の中間混合液が設定された圧力以上にならないと背圧弁14を通過しないように制御されている。また、背圧弁14の下流には第1の切替弁15が設置されており、第1のポンプ12始動時は中間混合液が循環配管16内を循環するように流路を形成しており、流量計13によって測定された流量値が安定してくると、制御装置(図示省略)又は手動によって、中間混合液がスタティックミキサー3に送られるように流路を切り替える。
【0018】
第2の液体供給ユニット2は、基本的には第1の液体供給ユニット1と同様の構成を採用しており、第2の給液タンク21、第2のポンプ22、第2の流量計23、第2の背圧弁24、及び第2の切替弁25を有しており、これらを第2の循環配管26によって環状に接続した構成となっている。
【0019】
第2の給液タンク21には、スタティックミキサー3において第1の液体供給ユニット1から送られてくる中間混合液を目的濃度とするための溶媒が貯溜されている。その他の部材、すなわち、第2のポンプ22や、第2の流量計23,第2の背圧弁24,第2の切替弁25,第2の循環配管26は、上述した第1の液体供給ユニット1に使用されるものと同じものであるため、その説明を省略する。
【0020】
スタティックミキサー3は、駆動部を不要とするラインミキサーであり、第1の液体供給ユニット1から送られてくる中間混合物と、第2の液体供給ユニット2から送られてくる溶媒とを混合させて、下流側へと送る。
【0021】
スタティックミキサー3の下流側に設置された濃度計4は、スタティックミキサー3にて混合されて生成された液体組成物の濃度を測定し、この濃度が設定範囲内であれば、制御装置(図示省略)によって、または手動で、液体組成物が貯蔵タンク6へと流れるように第3の切替弁5によって流路を切り替え、また、濃度が設定範囲外であれば、液体組成物が外部へと排水されるように第3の切替弁5によって流路を切り替える。また、濃度計4によって測定された濃度が設定範囲外であれば、制御手段又は手動によって、第1及び第2のポンプ12,22の少なくともどちらか一方を制御して、中間混合液や溶媒の送液量を調整することができる。また、第3の切替弁5の下流側に設置された貯蔵タンク6は、容器への充填工程に送る液体組成物を貯蔵するためのもので、第3の切替弁の下流側に接続されている。
【0022】
次に、上述した液体混合装置によって、液体組成物を製造する方法について説明する。なお、液体組成物としては、洗口液や化粧水、ヘアウォーター、液体フローリング剤、消臭剤などのような低粘度のものを挙げることができる。
【0023】
まず、第1の給液タンク11には、投入口111から水溶性の配合成分(溶質)が投入されるとともに、溶媒供給源113から配管を介して溶媒(主に水)が供給されて満たされる。また、溶解槽114において、油溶性の配合成分(溶質)がアルコール類(低級アルコールや多価アルコール等)又はアルコールと水との混合液によって溶解され、配管を介して第1の給液タンク11へ供給される。そして、これらを攪拌翼112によって攪拌し、中間混合液が製造される。なお、この中間混合液は、0.1〜1000mPa・s程度の低粘度のものとすることができる。
【0024】
このように製造された中間混合液は、第1のポンプ12を稼働させることによって、第1の給液タンク11から第1の循環配管16へと送られる。第1の循環配管16に送られた中間混合液は、第1の背圧弁14によって一端堰き止められ、第1の背圧弁14に掛かる中間混合液の液圧が大きくなり設定値以上になると、中間混合液は第1の背圧弁14を通過して切替弁15を介して循環配管16内を循環する。なお、このときの第1の背圧弁14の設定圧力は、スタティックミキサー3に中間混合液及び溶媒を流し、互いに混合させて液体組成物を調製しているとき(所望の濃度が得られているとき)の第1の流量計13手前の循環配管16内の圧力とほぼ同じ値とすることが好ましく、例えば約0.01〜1.0MPaとすることができる。
【0025】
また、第2の給液タンク21には、溶媒が貯溜されており、この溶媒は、第2のポンプ22を稼働させることによって第2の給液タンク21から循環配管26へと送られる。循環配管26に送られた溶媒は、第2の背圧弁24によって一端堰き止められ、設定値以上になると、第2の背圧弁24を通過し、第2の切替弁25を介して第2の循環配管26内を循環する。なお、この溶媒の粘度は、0.1〜1000mPa・s程度であり、また、この第2の背圧弁24の設定圧力は、上記第1の背圧弁14と同様に第2の流量計手前の循環配管26内の圧力とほぼ同じ値とすることが好ましく、例えば約0.01〜1.0MPaとする。
【0026】
そして、第1の循環配管16内を循環する中間混合液の流量が安定したことを第1の流量計13にて検知し、且つ、第2の循環配管26内を循環する溶媒の流量が安定したことを第2の流量計23にて検知すると、各切替弁15、25によって流路を切り替え、中間混合液及び溶媒をスタティックミキサー3側へと流す。なお、流量が安定してきたことの判断は、例えば、各流量計13,23の値が設定値に対して±0.5%以内の流量を継続して30秒間以上示すことを電気信号又は目視で確認することによって判断する。
【0027】
スタティックミキサー3に流された中間混合液及び溶媒は互いに混合し、液体組成物が生成される。この液体組成物は、濃度計4によってその濃度が測定され、設定範囲外であれば第3の切替弁5が切り替わって外部へと排液され、設定範囲内であれば貯蔵タンク6へと貯蔵される。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0029】
例えば、上記実施形態では、第1の液体供給ユニット1から中間混合液を供給し、第2の液体供給ユニット2からは溶媒を供給していたが、これら液体供給ユニットから供給される液体は上述したものに限られず、種々の液体とすることができる。具体的には、上記第1の給液タンク11において中間混合液を製造していたが、第1の給液タンク11には、予め製造された混合液を貯溜したり、もしくは混合液ではない溶媒などを貯溜することもでき、この場合は、攪拌翼112などを省略することができる。
【0030】
また、上記実施形態では、各液体供給ユニット1,2ともに背圧弁14,24を流量計13,23と切替弁15,25との間に配置しているが、特にこの場所に限定されるものではなく、例えば、ポンプと流量計との間に配置したり、切替弁と給液タンクとの間に配置することもできる。さらには、背圧弁を省略することもできる。
【符号の説明】
【0031】
1 第1の液体供給ユニット
2 第2の液体供給ユニット
3 スタティックミキサー(ラインミキサー)

11,21 給液タンク
12,22 ポンプ
13,23 流量計
14,24 背圧弁
15,25 切替弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種以上の液体を混合するラインミキサーと、
前記ラインミキサーへ液体を供給する第1及び第2の液体供給ユニットと、を備え、
前記第1及び第2の液体供給ユニットの少なくとも一方は、前記ラインミキサーへ供給する液体を貯溜する給液タンクと、前記給液タンクに接続され前記液体が循環する循環流路と、前記循環流路内に前記給液タンク内の液体を送液するポンプと、前記循環流路内を流れる前記液体の流量を計測する流量計と、前記循環流路内を循環する液体を前記ラインミキサーへと送るよう流路を切り替える切替弁と、を有している、液体混合装置。
【請求項2】
前記液体供給ユニットは、前記循環流路内を流れる液体の圧力を制御するための圧力制御手段をさらに備えた、請求項1に記載の液体混合装置。
【請求項3】
前記圧力制御手段は、背圧弁である、請求項2に記載の液体混合装置。
【請求項4】
前記背圧弁は、前記ポンプの下流側であり、且つ前記切替弁の上流側に設置されている、請求項3に記載の液体組成物の製造装置。
【請求項5】
前記ラインミキサーは、スタティックミキサーである、請求項1から4のいずれかに記載の液体組成物の製造装置。

【図1】
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