説明

液体漂白剤組成物

【課題】安定性に優れ、保存後も優れた漂白力を示す酸素系液体漂白剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物、(b)水酸化テトラプロピルアンモニウム等の一般式(1)で表される特定の化合物、(c)一般式(2)で表される漂白活性化剤、(d)界面活性剤、並びに、(e)ホウ酸、ホウ砂、及びホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を混合して得られた、20℃におけるpHが4〜7の液体漂白剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素系漂白剤は、手軽に安全にしかも色柄物を含む幅広い衣料に使用できるという点で広く受け入れられ衣料用漂白剤の中心である。酸素系漂白剤には、形態では液体タイプと粉末タイプの物が商品化されている。酸素系液体漂白剤は、その使い勝手がよく、衣料用漂白剤の中核になっており、その使用形態は、全体使用と呼ばれる洗濯機に標準使用量を投入する方法と被洗物に対して直接塗布する使用方法がある。特に液体タイプの場合には直接塗布の時に、より高い漂白効果を発現しそれが商品特徴になっている。
【0003】
酸素系液体漂白剤は、使用感の点から透明又は半透明であることが望ましく、製品に濁りが生じると商品価値を著しく低下させる。溶液の濁りを改善する方法として、特許文献1には、両性界面活性剤を添加することが開示されている。
【特許文献1】特開2005−97432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これまでの酸素系液体漂白剤は、貯蔵安定性と漂白・洗浄効果について満足し得るものではなかった。本発明の課題は、溶液の安定性に優れ、保存後も優れた漂白活性化剤の安定性を有する酸素系液体漂白剤組成物(特に、透明又は半透明の酸素系液体漂白剤組成物)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物〔以下、(a)成分という〕、(b)一般式(1)で表される化合物〔以下、(b)成分という〕、(c)一般式(2)で表される漂白活性化剤〔以下、(c)成分という〕、(d)界面活性剤〔以下、(d)成分という〕、並びに、(e)ホウ酸、ホウ砂、及びホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物〔以下、(e)成分という〕を混合して得られた、20℃におけるpHが4〜7の液体漂白剤組成物に関する。
【0006】
【化3】

【0007】
〔式中、R1aは、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルケニル基、又はベンジル基であり、そしてR1b、R1c及びR1dは、それぞれ独立に、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、あるいは水素原子である。〕
2−C(=O)−LG (2)
〔式中、R2は、炭素数6〜13の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、アリール基、又はアルキル基(炭素数1〜8)置換アリール基である。LGは脱離基である。〕
【0008】
また、本発明は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、並びに、(e)成分を混合する工程を有する、20℃におけるpHが4〜7の液体漂白剤組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、過酸化水素等を配合した酸素系液体漂白剤組成物において、安定性の向上、特に、長期間保存後であっても優れた漂白性能が得られるという効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[(a)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(a)成分として過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物を含有する。水中で過酸化水素を生成する化合物としては、過炭酸塩、過ホウ酸塩等が挙げられる。(a)成分の過酸化水素としての含有量は、液体漂白剤組成物中に好ましくは0.1〜6質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜4.5質量%、より更に好ましくは1〜3質量%である。このような範囲において優れた漂白効果を得ることができる。
【0011】
[(b)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(b)成分として、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
【0012】
【化4】

【0013】
(式中、R1aは、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルケニル基、又はベンジル基であり、そしてR1b、R1c及びR1dは、それぞれ独立に、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、あるいは水素原子である。)
【0014】
一般式(1)で表されるような対イオンが水酸化物イオンである化合物を用いることによって、例えば、対イオンがハロゲンイオンである化合物と比較して、良好な漂白活性化剤の安定性を実現することができる。
【0015】
一般式(1)で表される好ましい化合物としては、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム及び水酸化ベンジルテトラメチルアンモニウムが挙げられる。
【0016】
これらの化合物は、2種以上を使用してもよい。
【0017】
(b)成分は、本発明の液体漂白剤組成物のpH調整にも用いることができる。すなわち、(b)成分を用いて、液体漂白剤組成物の20℃におけるpHを4〜7に調整することが好ましい。漂白活性化剤の安定性を向上させる観点から、原料の全仕込み量基準で、一般式(1)で表される化合物を0.01質量%〜5質量%、好ましくは0.05質量%〜3質量%、より好ましくは0.1質量%〜2質量%で配合し得る。
【0018】
[(c)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(c)成分として漂白活性化剤を含有する。
本明細書中において、漂白活性化剤とは、無機過酸化物と反応することで有機過酸を生成する化合物を意味する。本発明の漂白活性化剤としては、以下の一般式で表されるエステル結合を有する化合物が挙げられる。
2−C(=O)−LG (2)
〔式中、R2は、炭素数6〜13の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、アリール基、又はアルキル基(炭素数1〜8)置換アリール基である。LGは脱離基である。〕
【0019】
式中、R2は、好ましくは炭素数6〜13の分岐鎖のアルキル基である。LGは脱離基であり、具体的には以下の基が挙げられる。
【0020】
【化5】

【0021】
−O−R’−(O)p−SO3-及び−O−R’−(O)p−SO3M(ここでR’はアルキレン基、pは0又は1、Mは水素原子、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属を表す。)が挙げられる。なお、R’のアルキレン基は、炭素数1〜5が好ましい。
【0022】
本発明の好ましい(c)成分として、カルボニル炭素に対してα位又はβ位に側鎖を有する総炭素数6〜13のアルカノイル基を有する漂白活性化剤を使用し得る。このような漂白活性化剤は、アルカノイル基が直鎖である漂白活性化剤と比較して、弱酸性領域における貯蔵安定性の向上を確保できることから、より高い漂白効果及び高い洗浄効果を液体漂白剤組成物に付与することが可能となる。
【0023】
具体的に好ましい化合物としては下記一般式(3)の化合物を挙げることができる。
【0024】
【化6】

【0025】
〔式中、R3a−COは、カルボニル炭素に対してα位及びβ位の少なくとも一方に側鎖を有する総炭素数6〜13、好ましくは7〜13のアルカノイル基であり、R3a−は下記のα位分岐型又はβ位分岐型が好適である。
【0026】
【化7】

【0027】
ここで、R3bは炭素数4〜10のアルキル基であり、R3cはメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基から選ばれる基である。Xは−COOM、及び−SO3Mから選ばれる基であり、Mは水素原子、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属である。〕
【0028】
本発明の(c)成分としては一般式(2)においてR3a−COが2−エチルヘキサノイル基、3,5,5−トリメチルヘキサノイル基、2−エチルペンタンノイル基、又は3,6,8,8−テトラメチルノナノイル基が好ましく、特に3,5,5−トリメチルヘキサノイル基が最も好適である。また、Xが−COOHである化合物が好適であり、p位に−COOHを有する化合物が最も好ましい。
【0029】
本発明の液体漂白剤組成物中における(c)成分の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%、特に好ましくは0.2〜2質量%である。
【0030】
[(d)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(d)成分として、特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末洗剤)」日本国特許庁、平成10年3月26日、P4〜22に記載されている、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を含有する。
【0031】
本発明の液体漂白剤組成物は、(d)成分の主成分として、非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。非イオン界面活性剤としては下記一般式(4)の化合物が挙げられる。
4a−O[(EO)a/(PO)b]−H (4)
〔式中、R4aは炭素数10〜18、好ましくは12〜14の、アルキル基又はアルケニル基を示す。aは数平均付加モル数0〜20の数、bは数平均付加モル数0〜20の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。好ましくはaの数平均付加モル数は6〜15、より好ましくは7〜12が良好であり、bの数平均付加モル数は0〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の数である。〕
【0032】
なお、一般式(4)においては、EOとPOとはランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
【0033】
また、本発明の非イオン界面活性剤は、特にオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤が好ましい。このポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤は、ランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよく、その中でもブロック共重合体が好ましい。ブロック共重合体の形態としては、下記一般式(5)で表される化合物が特に好ましい。
5a−O(EO)a(PO)b(EO)c−H (5)
〔式中、R5aは炭素数10〜18、好ましくは12〜14の、アルキル基又はアルケニル基を示す。aは数平均付加モル数1〜20の数、bは数平均付加モル数1〜20の数、cは数平均付加モル数1〜20の数を示す。好ましくは、aの数平均付加モル数は6〜15、より好ましくは7〜12が良好であり、bの数平均付加モル数は1〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の数が良好であり、cの数平均付加モル数は6〜15、より好ましくは7〜12である。〕
【0034】
本発明の非イオン界面活性剤は、2種以上の混合物として配合してもよい。
【0035】
液体漂白剤組成物中における非イオン界面活性剤の含有量は、過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性向上の観点から、好ましくは45〜80質量%、より好ましくは50〜75質量%、特に好ましくは55〜70質量%である。本発明の液体漂白剤組成物は、このような範囲で非イオン界面活性剤を高配合した場合でも良好な液感を実現し得る。
【0036】
[(e)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(e)成分としてホウ酸、ホウ砂及びホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する。ホウ酸塩としては、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、4ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
【0037】
本発明の(e)成分の含有量は、優れたpHジャンプ効果を達成させるための観点から、液体漂白剤組成物中においてホウ素原子として0.05〜1質量%、好ましくは0.15〜0.5質量%、より好ましくは0.2〜0.4質量%である。
【0038】
[その他の成分]
[(f)成分]
本発明の液体漂白剤組成物は、(f)成分としてポリオール化合物を含有し得る。本発明において、ポリオール化合物とは、液体漂白剤組成物中で(e)成分とモノ体又はジ体を形成し得る化合物であり(下記平衡反応の式を参照)、隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシ基を有する部位が1つ以上存在する化合物、及び/又は3個以上のヒドロキシ基を有する化合物が好適である。更に、3個以上のヒドロキシ基を有し、且つ隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシ基を有する部位が1つ以上存在するような構造を有する化合物も好ましい。(f)成分の具体的例としては下記(1)〜(4)の化合物が好適であり、これらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。
【0039】
(1)グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、アルキル(炭素数1〜10)ポリグリセリルエーテル(例えば、アルキル(炭素数1〜10)ジグリセリルエーテル、アルキル(炭素数1〜10)トリグリセリルエーテル);
(2)ソルビトール、マンニトール、マルチトース、イノシトール、及びフィチン酸から選ばれる糖アルコール類;
(3)グルコース、アピオース、アラビノース、ガラクトース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロース、及びフルクトースから選ばれる還元糖類、及びこれらの誘導体(アルキル(ポリ)グリコシド等);並びに
(4)デンプン、デキストラン、キサンタンガム、グアガム、カードラン、プルラン、アミロース、及びセルロースから選ばれる多糖類。
【0040】
本発明では、特に上記(2)の糖アルコール類が好適であり、単独又は複数で用いることができる。特にソルビトールが安定性及び漂白/洗浄効果の点から好適である。
【0041】
本発明の(f)成分の含有量は、優れたpHジャンプ効果を達成させるための観点から、液体漂白剤組成物中において3〜35質量%、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%である。
【0042】
一つの実施形態として、本発明の液体漂白剤組成物は、(e)成分としてホウ酸、ホウ砂及びホウ酸塩から選ばれる化合物、並びに(f)成分としてポリオール化合物から構成されるpHジャンプ系を、特定の組成及び比率で使用し得る。本発明の液体漂白剤組成物は、このような特定の組成及び比率を更に有することで、優れたpHジャンプ効果並びに優れた過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性を発現し得る。
【0043】
本発明では液体漂白剤組成物に対して1000容積倍の水により希釈した場合の希釈液の20℃におけるpHが8.5以上10.5未満、好ましくは9以上9.5未満になることが漂白/洗浄効果を得る目的から好ましい。
【0044】
ここで、(e)成分と(f)成分(α,β−ジヒドロキシ化合物)との間には下記の式のような平衡反応が存在する。
【0045】
【化8】

【0046】
本発明においてはジ体がpHジャンプ系の主要成分であることが希釈溶液のpHを8.5以上10.5未満にするために好適であり、液体漂白剤組成物中に存在する全ホウ素化合物に対して、ジ体の含有量が70〜100モル%であり、モノ体の含有量が0〜5モル%未満であり、そして単独で存在するホウ酸、ホウ砂及び/又はホウ酸塩の含有量が0〜25モル%未満になるようにすることが好適である。本発明においては、(e)成分1当量(例えば、ホウ砂及び4ホウ酸ナトリウムの場合はホウ素原子を4個含むため、4当量と考える)あたり(f)成分を好ましくは1.5〜4モル、より好ましくは1.5〜2.7モル、更に好ましくは2〜2.7モル、特に好ましくは2.2〜2.7モル用いることで、優れたpHジャンプ効果、並びに過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性が得られ得る。
【0047】
なお、本発明では(e)成分及び(f)成分を液体漂白剤組成物に配合する場合には、一般に、液体漂白剤組成物中では上記モノ体、及びジ体の化合物に変換されている。本発明でいう(e)成分の含有量とは、単独、モノ体及びジ体として存在する(e)成分の全含有量を意味する。(f)成分の含有量とは、単独、モノ体及びジ体として存在する(f)成分の全含有量を意味する。
【0048】
更に、本発明の組成物の液感を向上させる観点から、(e)成分1当量(例えば、ホウ砂及び4ホウ酸ナトリウムの場合はホウ素原子を4個含むため、4当量と考える)あたり(b)成分を、好ましくは0.03〜5モル、より好ましくは0.05〜2モル、更に好ましくは0.06〜1モル用いる。
【0049】
なお、変換されたモノ体及びジ体の含有量は、ホウ素(11B)のNMR分光法とICP発光分析法との組合せを用いることで算出することができる。
【0050】
[金属封鎖剤]
本発明の液体漂白剤組成物は、過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性向上の観点から、金属封鎖剤を含有し得る。金属封鎖剤としては、ホスホン酸系が好ましく用いられる。その具体例としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上配合することができる。中でも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等が好ましい。
【0051】
[ラジカルトラップ剤]
本発明の液体漂白剤組成物は、過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性向上の観点から、ラジカルトラップ剤を含有し得る。ラジカルトラップ剤としては、フェノール系、すなわちフェノール性OH基を有する化合物、そのエステル誘導体やエーテル誘導体等の誘導体が好ましい。好適な例としては、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0052】
[ハイドロトロープ剤]
本発明の液体漂白剤組成物は、香料等の各種成分を安定する観点から、ハイドロトロープ剤を含有し得る。ハイドロトロープ剤としては、エタノール、イソプロパノール、フェニルポリオキシエチレンアルコール等の1価アルコール類や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0053】
その他に本発明の液体漂白剤組成物には、シリコーン類、殺菌剤、蛍光染料、酵素、香料等の任意成分を配合し得る。本発明の液体漂白剤組成物は水を含有し、通常、組成物の残部は水である。本発明の液体漂白剤組成物は、上記(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、及び(e)成分を含有する、20℃におけるpHが4〜7の液体漂白剤組成物でもある。本発明の液体漂白剤組成物は、繊維製品、特に衣料用の液体漂白剤組成物として好適である。
【0054】
本明細書中、液感とは、目視にて観察される組成物の状態を指し、例えば液感が良いとは、透明ないし半透明の液体であって、相分離、白濁又はゲル化していない液体の状態を意味する。
【0055】
[pH]
本発明の液体漂白剤組成物は、20℃におけるpHが好ましくは4〜7、より好ましくは4.6〜7、更に好ましくは5〜7において、安定性の向上、特に漂白活性化剤を配合する場合の更なる安定化を実現でき、貯蔵後でも優れた漂白洗浄性能を発現する。
【0056】
本発明の液体漂白剤組成物は、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d)成分、並びに、(e)成分を混合する工程を有する製造方法により得ることができるが、前記のように(b)成分はpHの調整にも使用できるため、作業性等の観点からは、(b)成分以外の成分を予め混合し、得られた混合物に(b)成分を添加する方法は好ましい製造方法である。
【実施例】
【0057】
表1に示す液体漂白剤組成物を調製し、以下の評価を行った。結果を表1に示す。なお、表中、(b)成分もしくは(b)’成分を配合したものは、これら以外の成分の混合物を調製した後、(b)成分もしくは(b)’成分を添加してpHを所定値に調整した。(b)成分もしくは(b)’成分を配合しないものは、水酸化ナトリウムによりpHを調整した。また、表中の質量%は、原料の全仕込み量中の比率である。
【0058】
[pHの測定]
液体漂白剤組成物の20℃のpHを、(株)堀場製作所製pHメータF52、pH電極6367−S004を用いて測定した。
【0059】
[漂白活性化剤残存率の算出]
液体漂白剤組成物を100mLガラス製サンプルビンに80g入れ、50℃で2ヶ月間貯蔵した。貯蔵前後の液体漂白剤組成物中の漂白活性化剤含有量を高速液体クロマトグラフィーで測定し、下式により漂白活性化剤残存率を求めた。
【0060】
【数1】

【0061】
[液感の評価]
100mLガラス製サンプルビンに液体漂白剤組成物を80g入れ、50℃にて2ヶ月間貯蔵した。その後、液の外観を目視により以下の基準で評価した。
評価基準
○:均一透明な液体である。
×:相分離する、完全に白濁している、又はゲル化しており、ほとんど流動しない。
【0062】
[曇点の評価]
100mLガラス製サンプルビン(マルエム;No.5)に液体漂白剤組成物80gを入れ、マグネティックスターラーで攪拌しながらウォーターバスで緩やかに昇温し、濁ったところで加熱を止めて冷却した。混合物が透明になったときの温度を曇点とした。
【0063】
【表1】

【0064】
表中の記号は以下のものである。
・c−1:iso−ノナノイルオキシベンゼンカルボン酸
・c−2:ドデカノイルオキシベンゼンカルボン酸
・d−1ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数12)
・d−2:ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12〜14の第2級アルキル基)エーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数7)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物、(b)一般式(1)で表される化合物、(c)一般式(2)で表される漂白活性化剤、(d)界面活性剤、並びに、(e)ホウ酸、ホウ砂、及びホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を混合して得られた、20℃におけるpHが4〜7の液体漂白剤組成物。
【化1】


〔式中、R1aは、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルケニル基、又はベンジル基であり、そしてR1b、R1c及びR1dは、それぞれ独立に、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、あるいは水素原子である。〕
2−C(=O)−LG (2)
〔式中、R2は、炭素数6〜13の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、アリール基、又はアルキル基(炭素数1〜8)置換アリール基である。LGは脱離基である。〕
【請求項2】
(d)成分として組成物中45質量%〜80質量の非イオン界面活性剤を含有する、請求項1に記載の液体漂白剤組成物。
【請求項3】
更に、(f)隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシ基を有する部位が1つ以上存在する化合物を含有する、請求項1又は2に記載の液体漂白剤組成物。
【請求項4】
(a)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物、(b)一般式(1)で表される化合物、(c)一般式(2)で表される漂白活性化剤、(d)界面活性剤、並びに、(e)ホウ酸、ホウ砂、及びホウ酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を混合する工程を有する、20℃におけるpHが4〜7の液体漂白剤組成物の製造方法。
【化2】


〔式中、R1aは、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルケニル基、又はベンジル基であり、そしてR1b、R1c及びR1dは、それぞれ独立に、エステル基、アミド基又はエーテル基で分断されていても良い炭素数1〜6のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはヒドロキシアルキル基、あるいは水素原子である。〕
2−C(=O)−LG (2)
〔式中、R2は、炭素数6〜13の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、アリール基、又はアルキル基(炭素数1〜8)置換アリール基である。LGは脱離基である。〕

【公開番号】特開2007−308595(P2007−308595A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139114(P2006−139114)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】