説明

液体状有機物の精製方法

【課題】 カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を含有する液体状有機物を精製する。
【解決手段】 カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を含有する液体状有機物に塩基性カルシウム化合物を接触させてカルシウムのカルボン酸塩とする。続いて、カルシウムのカルボン酸塩と液体状有機物を固液分離し、精製された液体状有機物を得る。一方、カルシウムのカルボン酸塩を熱分解させることにより、炭酸カルシウムとして再利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機溶剤中に存在するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を除去若しくは大幅に低減できる有機溶剤の精製方法に関する。特に、カルボン酸又はカルボン酸無水物と共沸混合物を形成する有機溶剤の精製に好適である。
【背景技術】
【0002】
液体状の有機物は、溶媒として多くの生産プロセスに用いられており、各種のポリマー化合物の重合や成形工程における溶媒としても利用されている。一方、カルボン酸やカルボン酸無水物は種々の反応における原料や化学脱水剤として利用されることが多く、これらの工程においては、液体状の有機物とカルボン酸やカルボン酸無水物との混合物が廃液として排出されることになる。
【0003】
液体状の有機物が生産工程における溶剤として使用されたり、カルボン酸やカルボン酸無水物が原料や反応生成物となったりする場合には、これらの成分が混合状態で排出されることが多い。このような混合物を分離し、液体状の有機物を回収して溶剤としてリサイクルすることは、製品のコスト削減を可能とするだけでは無く、環境負荷を低減するためにも重要な技術である。
【0004】
カルボン酸やカルボン酸無水物等を液体状の有機物から分離する場合には、蒸留が代表的な技術として用いられる。しかし、蒸留操作は混合物が共沸混合物を形成する場合には、各成分を分離できないと言う欠点を有する。例えば、N,N−ジメチルホルムアミドと酢酸を含む混合液からそれぞれの成分を分離して取り出すために蒸留操作を行なう場合、これらの2成分が最高共沸混合物を形成するので分離することが困難である。酢酸の沸点は常圧で118℃、N,N−ジメチルホルムアミドの沸点は常圧で153℃である。常圧の条件で分離操作を行うと、酢酸とN,N−ジメチルホルムアミドの比率を重量基準で約33/66とする混合液は、沸点が165℃程度まで上昇し、その混合比率を維持したまま蒸発してくるので分離することができない。
【0005】
このような状況から、例えば酢酸10gとN,N−ジメチルホルムアミド90gの混合液を蒸留すると、酢酸10gとN,N−ジメチルホルムアミド20gとが最高共沸混合物となるのでN,N−ジメチルホルムアミド70gは分離できるが、最高共沸混合物については分離回収することができない。
【0006】
カルボン酸と共沸混合物を形成する液体状の有機物を蒸留分離する技術として、ジメチルアミドやジメチルアセトアミドなどを抽出溶剤として添加する方法が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。酢酸とジメチルホルムアミドとは親和性が高いので、その性質を利用して酢酸と沸点が近接して分離困難な物質を精製する方法である。しかし、酢酸とジメチルアミドとを蒸留分離することが困難であるという問題があった。
【0007】
また、酢酸と共沸混合物を形成したN,N−ジメチルホルムアミドを回収する方法として、蒸留操作に先立ち、酢酸成分を苛性ソーダやアミン類などのアルカリで中和反応処理して酢酸ナトリウムなどの塩を生成させ、蒸発処理などの手段で固形分の塩を除去する方法がある。この方法では酢酸を含まない溶液が得られ、得られた溶液を蒸留してN,N−ジメチルホルムアミドを分離回収することができる(例えば、特許文献3参照)。しかし、これらの方法では得られた塩を廃棄する必要があると共に、苛性ソーダやアミン類の吸湿性が高い上に苛性ソーダを用いる場合には反応効率を高めるために水溶液を用いる必要があり、大量の水の混入が避けられず蟻酸などの副反応物が混入するという問題があった。
【0008】
上記の問題を解決する手段として、酢酸と共沸混合物を形成したN,N−ジメチルホルムアミドにキノリン類やトルエンを添加することにより共沸関係を解消する方法が開示されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。しかし、これらの方法では、酢酸の分離、キノリン類やトルエンの分離を実施するために複数の蒸留塔が必要となり、設備コストが増大するという問題があった。
【特許文献1】米国特許第4801358号明細書
【特許文献2】米国特許第5092965号明細書
【特許文献3】特公昭58−57421号公報
【特許文献4】特開2002−348270号公報
【特許文献5】特開2002−363150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を含有する液体状有機物からカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を除去する液体状有機物の精製方法を提供することを課題とする。特に、カルボン酸やカルボン酸無水物と液体状有機物が共沸混合物を形成する際に、液体状有機物を効果的に回収する方法を提供することを課題とする。更には、カルボン酸やカルボン酸無水物を除去するために使用する塩基性カルシウムを再生して固形状の廃棄物を低減させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、以下の本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、塩基性のカルシウム化合物と、カルボン酸及びカルボン酸無水物から選ばれる一以上の物質を含有する液体状有機物とを接触させることによりカルシウムのカルボン酸塩を生成せしめ、前記液体状有機物とカルシウムのカルボン酸塩とを固液分離することを特徴とする液体状有機物の精製方法である。かかる構成により、カルボン酸及びカルボン酸無水物と液体状有機物との共沸を防ぎ、且つ塩基性物質を水に溶解することなくカルボン酸及びカルボン酸無水物を効率良く除去することが可能となる。
【0012】
本発明の好ましい態様は、塩基性カルシウム化合物が、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムから選ばれる一の化合物若しくは二以上の混合物からなる粉体状若しくは粒状の物質であることを特徴とする、前記の液体状有機物の精製方法である。かかる態様により、塩基性カルシウム化合物とカルボン酸及びカルボン酸無水物との接触効率と分離効率を向上させることが可能となる。
【0013】
本発明の好ましい態様は、液体状有機物が、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンから選ばれる一の有機物若しくは二以上の混合物であることを特徴とする、前記何れかに記載の液体状有機物の精製方法である。
【0014】
本発明の好ましい態様は、カルボン酸が酢酸であり、カルボン酸無水物が無水酢酸であることを特徴とする、前記何れかに記載の液体状有機物の精製方法である。
【0015】
本発明は、(1)塩基性のカルシウム化合物と、カルボン酸及び無水カルボン酸から選ばれる一以上の物質が溶解した液体状有機物とを接触させてカルシウムのカルボン酸塩を生成せしめ、前記カルシウムのカルボン酸塩を熱分解することにより、炭酸カルシウムを得る工程、(2)前記(1)工程で得られた炭酸カルシウムと、カルボン酸及び無水カルボン酸から選ばれる一以上の物質を含有する液体状有機物とを接触させてカルシウムのカルボン酸塩を生成せしめ、前記液体状有機物とカルシウムのカルボン酸塩とを固液分離することにより、カルボン酸及び無水カルボン酸から選ばれる一以上の物質を除去することを特徴とする、液体状有機物の精製方法である。かかる態様により、液体状有機物の精製の際に生成するカルシウムのカルボン酸塩を炭酸カルシウムとして再利用することが可能となり、廃棄物を大幅に削減することが可能となる。再利用を複数回繰り返すことにより、実質的に廃棄物が発生しない精製法とすることも可能である。
【0016】
本発明の好ましい態様は、カルボン酸が酢酸であり、カルボン酸無水物が無水酢酸であり、カルシウムのカルボン酸塩が酢酸カルシウムであることを特徴とする、前記何れかに記載の液体状有機物の精製方法である。
【0017】
本発明の好ましい態様は、液体状有機物とカルシウムのカルボン酸塩との固液分離方法が、ろ過法、固定床法、流動床法若しくは液体状有機物の加熱蒸発方法、又はこれら二以上の方法の組合せであることを特徴とする、前記何れかに記載の液体状有機物の精製方法である。掛かる態様により、液体状有機物とカルシウムのカルボン酸塩との固液分離が容易に可能となり、且つ酢酸カルシウムのようなカルシウムのカルボン酸塩の熱分解操作が容易に可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を含有する液体状有機物からカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を容易に除去することが可能となり、カルボン酸と液体状有機物の共沸を防止し、且つ廃棄物の発生を大幅に削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、塩基性のカルシウム化合物が固体の塩基性塩であり、液体状有機物との接触効率が高く、且つ反応生成物が固体であるので分離回収が容易で、更には生成した反応物を熱分解により再利用可能であることに着目したものである。
【0020】
本発明に用いる精製法と装置の代表的な構造の例を、具体的に図1〜図4に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0021】
図1は、撹拌層とろ過装置の組合せで本発明を実施する装置の一例である。カルボン酸を含有する液体状有機物11と塩基性カルシウム化合物12が撹拌層13中で接触し、カルシウムのカルボン酸塩14が生成する。カルシウムのカルボン酸塩を含む液体状有機物はろ過装置15を経て固液分離され、液体状有機物が回収容器16に回収される。ろ過装置内のカルシウムのカルボン酸塩は、加熱装置17から供給される熱により熱分解されて塩基性のカルシウム化合物として再利用される。
【0022】
図2は、固定床型反応器を利用した本発明を実施する装置の一例である。固定床型反応器23には塩基性のカルシウム化合物22が充填されており、カルボン酸を含有する液体状有機物21は固定床型反応器に供給され、同時に固液分離されて液体状有機物は回収容器24に回収される。固液分離が完了した後に、加熱装置25から供給される熱で固定床型反応器を加熱することにより固定床内のカルシウムのカルボン酸塩は熱分解されて塩基性のカルシウム化合物として再利用される。
【0023】
図3は、流動床型反応器を利用した本発明を実施する装置の一例である。流動床型反応器33には塩基性のカルシウム化合物32が充填されており、カルボン酸を含有する液体状有機物31は流動床型反応器に供給され、同時に固液分離されて液体状有機物は回収容器34に回収される。固液分離が完了した後に、加熱装置35から供給される熱で流動床型反応器を加熱することにより流動床型反応器内のカルシウムのカルボン酸塩は熱分解されて塩基性のカルシウム化合物として再利用される。
【0024】
図4は、加熱蒸発器を利用した本発明を実施する装置の一例である。加熱蒸発器(蒸留塔)43の底部には塩基性のカルシウム化合物42が充填されており、カルボン酸等の不純物を含有する液体状有機物41は加熱蒸発器に供給される。加熱装置45から供給される熱により、液体状有機物は蒸発し、必要に応じて他の不純物と蒸留分離され、凝縮機46を経て回収容器44に回収される。固液分離が完了した後に、加熱装置45から供給される熱を増大させて蒸留装置の温度をカルシウムのカルボン酸塩の熱分解温度よりも高い温度とし、カルシウムのカルボン酸塩は熱分解されて塩基性のカルシウム化合物として再利用される。
【0025】
本発明に用いる塩基性のカルシウム化合物は、粉体状若しくは粒状であることが接触効率を高める上で好ましい。接触効率を高める観点からは、粉体状であることが好ましく、平均粒子径が10〜500μmの粒子からなる粉体状であることが好ましい。一方、ろ過法、流動床法、固定床法で固液分離を実施する際には、固液分離性を高める観点から、平均粒子径が1〜30mm程度の粒状であることが好ましい。更に、10〜500μmの粒子を1〜30mm程度の粒状の成型体とすることが接触効率と固液分離性を両立することが可能となり最も好ましい。
【0026】
本発明に用いる塩基性のカルシウム化合物は、カルボン酸との反応性の良さと粉体化の容易性の観点から、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムから選ばれる一の化合物若しくは二以上の混合物であることが好ましい。
【0027】
本発明において精製の対象となる液体状有機物には、工業的に反応等に用いられる有機溶媒が広く含まれ、特に液体状有機物とカルボン酸が共沸混合物を形成するような液体状有機物を用いる場合に有効である。具体的には、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンから選ばれる一の有機物若しくは二以上の混合物があげられる。
【0028】
本発明の方法において除去の対象となるカルボン酸及びカルボン酸無水物は特に限定されないが、酢酸及び無水酢酸の場合には、塩基性カルシウム化合物と(1)式の反応により生成する反応物が酢酸カルシウムであることから、特に有効である。即ち、生成した酢酸カルシウムを加熱すると(2)の反応により、アセトンと炭酸カルシウムに分解するため、得られた炭酸カルシウムを反応(1)に用いるカルシウム化合物として再利用することが可能となる。このような反応経路を利用することにより、本発明では廃棄物を発生させること無く、酢酸及び無水酢酸を処理することが可能となる。
CaCO+2CHCOOH→Ca(CHCOO)+HO+CO (1)
Ca(CHCOO)+Δ→CaCO+CO(CH (2)
なお、式(2)においてΔは熱を意味する。
【0029】
本発明で用いる固液分離法は、工業上利用される方法は何れも使用することが可能である。具体的には、図1〜4で示した、ろ過法、固定床法、流動床法、加熱蒸発法を用いることが工業上広く利用されており、好ましい方法である。
【0030】
本発明では、カルボン酸無水物が反応性に乏しい場合にはカルボン酸無水物をカルボン酸に変換するために必要な水を添加することができる。また、カルボン酸と塩基性のカルシウム化合物の反応速度を高めるために、液体状有機物に対して必要に応じて0.1〜5重量%の水分を添加することが可能である。
【0031】
本発明は、他の工業上利用される液体状有機物の精製方法と同時に又は逐次的に適宜使用することが可能である。例えば、本発明の前段や後段に蒸留法を組み合わせることにより、本発明では処理できない不純物を除去することが可能である。また、共沸混合物となる前の液体状有機物とカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の混合物を蒸留法で精製することにより、液体状有機物を回収しておき、共沸混合物となった後に本発明を適用することも可能である。
【実施例】
【0032】
以下に、本発明の方法の実施例をあげて具体的に説明するが、本実施例は本発明を限定するものではない。
【0033】
(実施例1)
ジメチルホルムアミド40gと酢酸15gの混合液に、40gの粉体状の炭酸カルシウムを添加してスラリー状の液とし、1時間混合した。得られたスラリー状の液をろ紙とヌッチェを用いてろ過した。ろ液を分析したところ酢酸含有量が0.7重量%のジメチルホルムアミドであった。次に、ろ過により得られたケークを耐熱ガラスのナス型フラスコに入れ、オイルバスで徐々に昇温し最終的には180℃で1時間加熱した。ナス型フラスコの底部には、白色の炭酸カルシウムの固形物が得られた。
【0034】
ジメチルホルムアミド40gと酢酸15gの混合液に、前記の白色の固形物を砕いて得た粉体を添加してスラリー状の液とし、1時間混合した。得られたスラリー状の液をろ紙とヌッチェを用いてろ過した。ろ液を分析したところ酢酸含有量が1.0重量%のジメチルホルムアミドであった。
【0035】
(実施例2)
ジメチルホルムアミド40gと酢酸15gの混合液に、35gの粉体状の水酸化カルシウムを添加してスラリー状の液とし、1時間混合した。得られたスラリー状の液をろ紙とヌッチェを用いてろ過した。ろ液を分析したところ酢酸含有量が0.5重量%のジメチルホルムアミドであった。次に、ろ過により得られたケークを耐熱ガラスのナス型フラスコに入れ、オイルバスで徐々に昇温し最終的には180℃で1時間加熱した。ナス型フラスコの底部には、白色の炭酸カルシウムの固形物が得られた。
【0036】
ジメチルホルムアミド40gと酢酸15gの混合液に、前記の白色の固形物を砕いて得た粉体を添加してスラリー状の液とし、1時間混合した。得られたスラリー状の液をろ紙とヌッチェを用いてろ過した。ろ液を分析したところ酢酸含有量が0.8重量%のジメチルホルムアミドであった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に用いうる装置の形態の一例である。
【図2】本発明に用いうる装置の形態の一例である。
【図3】本発明に用いうる装置の形態の一例である。
【図4】本発明に用いうる装置の形態の一例である。
【符号の説明】
【0038】
11 カルボン酸含有の液体状有機物
12 塩基性カルシウム化合物
13 撹拌層
14 カルシウムのカルボン酸塩
15 ろ過装置
16 回収容器
17 加熱装置
21 カルボン酸含有の液体状有機物
22 塩基性カルシウム化合物
23 固定床型反応器
24 回収容器
25 加熱装置
31 カルボン酸含有の液体状有機物
32 塩基性カルシウム化合物
33 流動床型反応器
34 回収容器
35 加熱装置
41 カルボン酸含有の液体状有機物
42 塩基性カルシウム化合物
43 加熱蒸発器(蒸留塔)
44 回収容器
45 加熱装置
46 凝縮器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性のカルシウム化合物と、カルボン酸及びカルボン酸無水物から選ばれる一以上の物質を含有する液体状有機物とを接触させることによりカルシウムのカルボン酸塩を生成せしめ、前記液体状有機物とカルシウムのカルボン酸塩とを固液分離することを特徴とする液体状有機物の精製方法。
【請求項2】
塩基性のカルシウム化合物が、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムから選ばれる一の化合物若しくは二以上の混合物からなる粉体状若しくは粒状の物質であることを特徴とする、請求項1に記載の液体状有機物の精製方法。
【請求項3】
液体状有機物が、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンから選ばれる一の有機物若しくは二以上の混合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体状有機物の精製方法。
【請求項4】
カルボン酸が酢酸であり、カルボン酸無水物が無水酢酸であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の液体状有機物の精製方法。
【請求項5】
(1)塩基性のカルシウム化合物と、カルボン酸及び無水カルボン酸から選ばれる一以上の物質が溶解した液体状有機物とを接触させてカルシウムのカルボン酸塩を生成せしめ、前記カルシウムのカルボン酸塩を熱分解することにより、炭酸カルシウムを得る工程、
(2)前記(1)工程で得られた炭酸カルシウムと、カルボン酸及び無水カルボン酸から選ばれる一以上の物質を含有する液体状有機物とを接触させてカルシウムのカルボン酸塩を生成せしめ、前記液体状有機物とカルシウムのカルボン酸塩とを固液分離することにより、カルボン酸及び無水カルボン酸から選ばれる一以上の物質を除去することを特徴とする、液体状有機物の精製方法。
【請求項6】
カルボン酸が酢酸であり、カルボン酸無水物が無水酢酸であり、カルシウムのカルボン酸塩が酢酸カルシウムであることを特徴とする、請求項5に記載の液体状有機物の精製方法。
【請求項7】
液体状有機物とカルシウムのカルボン酸塩との固液分離方法が、ろ過法、固定床法、流動床法若しくは液体状有機物の加熱蒸発法、又はこれら二以上の方法の組合せであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の液体状有機物の精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−234968(P2009−234968A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81847(P2008−81847)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】