説明

液体現像装置及び洗浄方法

【課題】トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を供給ローラに対向配置された溜まり部材上に供給して、液体現像剤の溜まり部を形成し、供給ローラに供する構成の液体現像装置において、液体現像剤による汚れを効率的に除去し、液体現像剤の規制量の変動や、画像品質への悪影響を抑制することができる液体現像装置を提供する。
【解決手段】非現像動作中の所定のタイミングで、洗浄液供給部材が溜まり部材上に洗浄液を供給し、洗浄液の適正な液溜まりを形成し、供給ローラ表面に残存する液体現像剤を除去し、洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を用いて潜像を現像し、トナー像を形成する液体現像装置及びその洗浄方法に関する。特に、現像ローラに液体現像剤を供する供給ローラと、該供給ローラに液体現像剤を供給する溜まり部を形成する溜まり部材と液体現像剤供給部材を有する液体現像装置及びその洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体(像担持体)に静電潜像を形成し、それにトナーを付着させて、紙などに転写して定着する電子写真方式の画像形成装置が、広く使用されている。特に、大量プリント用のオフィスプリンタやオンデマンド印刷装置などの、より高画質及び高解像度が要求される画像形成装置では、トナー粒子径が小さく、トナー画像の乱れもおきにくい液体現像剤を用いる湿式現像方式が用いられるようになってきている。
【0003】
近年では、シリコンオイルなどの絶縁性液体「キャリア液」中に樹脂及び顔料からなる固形分としてのトナーを高濃度に分散させることで構成される、高粘度で高濃度の液体現像剤を用いる画像形成装置が提案されるようになってきた。
【0004】
この液体現像剤を用いて現像する際には、現像ローラ等の現像剤担持体上に現像剤のミクロン単位の薄層を形成し、この薄層化された現像剤を感光体に接触させて現像するのが一般的である。
【0005】
また、現像ローラに液体現像剤を供するため、1つ以上の供給ローラを配置する構成も開示されている。
【0006】
一般的には、液体現像剤供給部材から供給ローラに直接供給する、あるいは供給ローラとして液体現像剤槽に浸漬させた汲み上げローラを用いる等の手段で供給ローラ上に液体現像剤を担持させる。
【0007】
担持した液体現像剤を規制ブレード等で搬送量を規制し、現像ローラに供給する。汲み上げローラとしては、アニロックスローラのように、溝により液量を制御し、規制ブレードを当てることにより液量を規制する構成が一般的である。
【0008】
しかしながらこのような構成の場合、アニロックスローラの溝等にトナーが溜まり、溝が詰まると、規制量が変わる等の問題を発生させる。特に、キャリア液が揮発してトナーが乾燥すると、問題は顕著になる。
【0009】
こういった液体現像剤の残留による問題を抑制する方法として、洗浄モードを設け、洗浄時にブレードやローラを離接させたり(例えば、特許文献1参照)、電気的に除去したり(例えば、特許文献2参照)する方法が提示されている。また印刷機では、洗浄液を装置全体に流すような洗浄方法(例えば、特許文献3及び4参照)が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−148243号公報
【特許文献2】特開2004−85958号公報
【特許文献3】特開昭58−92565号公報
【特許文献4】特開平11−300940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、キャリア液にトナーを分散した液体現像剤を用いる場合、特にキャリア液が揮発してトナーが乾燥する場合が懸念される。アニロックスローラの溝や規制ブレードの先端部との接触部分が、最もトナーが溜まりやすい。
【0012】
すなわち、液体現像剤をブレードで塞き止めるため、上流部のブレード先端部に液溜まりができる。
【0013】
液体現像剤が溜まると、局所的にトナー濃度の高い粘着質なトナー溜まりが発生し、除去しにくくなる。さらに、それがマシン停止時に乾燥すると、ブレード先端部の液溜まりが乾燥し、さらに除去しにくくなる。
【0014】
除去しきれないトナーが堆積していくと、堆積したトナーが例えば溝につまり、規制量が変動したり、溝の跡のノイズが画像上に発生したりするおそれがある。
【0015】
こういった液体現像剤が残留しやすい部分にトナーが堆積しないようにする、もしくは堆積して乾燥しても堆積物を除去しやすくする必要がある。
【0016】
特許文献1から4に開示された技術では、液体現像剤やトナーの溜まりやすい、またその影響の大きい部分に対して清掃が不十分になりがちであり、ローラの離接機構が必要であったり、バイアス電源が必要であったり、あるいは大規模の洗浄液供給手段を必要とすることになったりする。
【0017】
特に特許文献3、4は印刷インクの清掃に関するものであり、電子写真方式の画像形成装置とは状況が異なり、装置全体を大規模に洗浄するような構成となりがちである。
【0018】
本発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたものである。
【0019】
本発明の目的は、トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を供給ローラに対向配置された溜まり部材上に供給して、液体現像剤の溜まり部を形成し、供給ローラに供する構成の液体現像装置において、液体現像剤による汚れを効率的に除去し、液体現像剤の規制量の変動や、画像品質への悪影響を抑制することができる液体現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の問題を解決するために、本発明以下の特徴を有するものである。
【0021】
1.トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を表面に担持、搬送し、像担持体に形成された潜像を前記液体現像剤で現像する現像ローラと、
前記液体現像剤を、前記現像ローラに供するため表面に担持、搬送する供給ローラと、
前記供給ローラに前記液体現像剤を供給する溜まり部を形成するため、前記供給ローラに対向配置された溜まり部材とを有する液体現像装置であって、
前記溜まり部材に洗浄液を供給する洗浄液供給部材を有し、
前記洗浄液供給部材は、
非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液を供給し、
前記供給ローラの前記液体現像剤を担持する全幅に前記洗浄液が供給され得るように、前記溜まり部材に前記洗浄液の溜まり部を形成し、
前記供給ローラ表面に残存する前記液体現像剤を除去し、洗浄する
ことを特徴とする液体現像装置。
【0022】
2.前記洗浄液供給部材は、前記溜まり部材に前記液体現像剤を供給する液体現像剤供給部材としても機能する、
ことを特徴とする前記1に記載の液体現像装置。
【0023】
3.前記溜まり部材に前記液体現像剤を供給する液体現像剤供給部材を更に備えたことを特徴とする前記1に記載の液体現像装置。
【0024】
4.前記液体現像剤供給部材からの前記液体現像剤の供給と、前記洗浄液供給部材からの前記洗浄液の供給とを切り替えるための切り替え部材を更に備えたことを特徴とする前記3に記載の液体現像装置。
【0025】
5.前記洗浄液を保管する洗浄液槽と前記液体現像剤を保管する液体現像剤槽とを更に備え、
前記切り替え部材は、前記洗浄液の前記洗浄液槽から前記溜まり部材までの供給と、前記液体現像剤の前記液体現像剤槽から前記溜まり部材までの供給とを切り替えるために、前記洗浄液又は前記液体現像剤の供給流路において設けられた開閉部材からなることを特徴とする前記4に記載の液体現像装置。
【0026】
6.前記洗浄液は、前記キャリア液である
ことを特徴とする前記1から5の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0027】
7.前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときは、
現像動作中に、前記供給ローラ表面に前記液体現像剤を供給するときよりも、前記溜まり部材と前記供給ローラとの間隔が狭くなるような設定条件とする
ことを特徴とする前記1から6の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0028】
8.前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときの前記洗浄液の時間当たり供給量は、
現像動作中に、前記供給ローラ表面に前記液体現像剤を供給するときの前記液体現像剤の時間当たり供給量よりも多くなるような設定条件とする
ことを特徴とする前記1から6の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0029】
9.前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときは、
現像動作中に、前記供給ローラ表面に前記液体現像剤を供給するときよりも、前記供給ローラの回転速度が遅くなる、または回転方向が逆転するような設定条件とする
ことを特徴とする前記1から6の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0030】
10.前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときは、
前記溜まり部材と前記供給ローラとの間隔が、前記供給ローラの回転速度に応じて変化するような設定条件とする
ことを特徴とする前記9に記載の液体現像装置。
【0031】
11.前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときは、
前記洗浄液供給部材からの前記洗浄液の時間当たり供給量が、前記供給ローラの回転速度に応じて変化するような設定条件とする
ことを特徴とする前記9に記載の液体現像装置。
【0032】
12.前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
現像動作終了後、電源がオフになる直前である
ことを特徴とする前記1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0033】
13.前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
現像動作終了後、所定の時間経過後である
ことを特徴とする前記1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0034】
14.前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
現像動作終了後、予め定めた任意の信号を受け付けたときである
ことを特徴とする前記1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0035】
15.前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
電源がオンになった直後である
ことを特徴とする前記1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0036】
16.前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
電源がオンになり、画像形成のために現像動作が開始する直前である
ことを特徴とする前記1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【0037】
17.トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を供給ローラに対向する溜まり部材に供給して溜まり部を形成し、前記溜まり部が前記供給ローラに接することにより前記液体現像剤を前記供給ローラに供給し、前記供給ローラから像担持体まで前記液体現像剤を搬送することにより像担持体上に形成された潜像を現像する液体現像装置における、前記供給ローラを洗浄する方法であって、
前記溜まり部材に前記液体現像剤の代わりに洗浄液を供給し、前記洗浄液が前記供給ローラに接するように前記洗浄液の溜まり部を形成するステップと、
前記供給ローラを回転し、前記洗浄液を前記供給ローラ上に担持、搬送するステップとを備える、ことを特徴とする洗浄方法。
【0038】
18.前記溜まり部は、前記供給ローラの前記液体現像剤を担持する全幅に前記洗浄液が供給されるように形成されることを特徴とする前記17に記載の洗浄方法。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る液体現像装置によれば、非現像動作中の所定のタイミングで、洗浄液供給部材が溜まり部材上に洗浄液を供給し、洗浄液の適正な溜まり部を形成し、供給ローラ表面に残存する液体現像剤を除去、洗浄する。これにより、液体現像剤による汚れを効率的に除去し、液体現像剤の規制量の変動や、画像品質への悪影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る液体現像装置を備えた湿式画像形成装置の構成例を示す概略構成図である。
【図2】図1の画像形成装置が備える液体現像装置の構成例を示す概略構成図である。
【図3】液体現像装置の概略構成図の平面図である。
【図4】洗浄液供給部材6の形態例を示す図である。
【図5】洗浄のタイミングを表したフロー図である。
【図6】洗浄のタイミングを表したフロー図である。
【図7】洗浄のタイミングを表したフロー図である。
【図8】洗浄のタイミングを表したフロー図である。
【図9】洗浄のタイミングを表したフロー図である。
【図10】現像と洗浄を切り替えるための制御システムを示す概略構成図である。
【図11】現像と洗浄を切り替えるための制御システムを示す概略構成図である。
【図12】洗浄液の供給量、供給ローラの回転速度を変更するための制御システムを示す概略構成図である。
【図13】供給ローラと溜まり部材との間隔を調整するための機構を示す概略構成図である。
【図14】図2の液体現像装置における、洗浄液の塗布幅と画像形成領域との関係を示す概略構成図である。
【図15】本実施形態に係る液体現像装置の別の構成例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に図を参照して、本発明に係る液体現像装置の実施形態を説明する。
【0042】
(画像形成装置の構成と動作)
図1は、本実施形態に係る液体現像装置を備えた湿式画像形成装置の概略構成例を示す概略構成図である。まず図1を用いて、本実施形態に係る液体現像装置を備えた湿式画像形成装置の概略構成と画像形成動作の例を説明する。
【0043】
図1において、ドラム状の像担持体11の周囲には、帯電装置15、露光装置14、イレーサー13、像担持体クリーニングブレード12が設置されている。16は中間転写体で、中間転写体にはクリーニングブレード17が設けられている。
【0044】
像担持体11の表面を帯電装置15により、所定の表面電位に一様に帯電し、その後、露光装置14により画像情報の露光を行い、像担持体11の表面に静電潜像を形成する。
【0045】
次いで、像担持体11の静電潜像は、液体現像装置の現像ローラ3によりトナー及びキャリア液を含む液体現像剤8で現像され、像担持体11の表面にトナー像が形成される。この時、トナーだけでなくキャリア液も含む液体現像剤8が像担持体11の表面に付着する。
【0046】
次に像担持体11上のトナー像は、中間転写体16に所定の電圧が印加されることよって、中間転写体16に一次転写される。中間転写体16にはトナーと逆極性の電圧が印加され、像担持体11との電位差は300V〜3kVである。
【0047】
中間転写体16に一次転写された後、像担持体11上に残存した液体現像剤8は、像担持体クリーニングブレード12により除去され、電荷はイレーサー13で除電され、像担持体11は再び上記潜像形成に供される。
【0048】
中間転写体16の形態は、ローラでもベルトでもかまわない。中間転写体16の材質は樹脂や弾性体であり、ラフ紙への転写性を考えると弾性体が望ましい。体積抵抗率は10Ωcm以上、1012Ωcm以下、表面抵抗率は10Ω/□以上、1012Ω/□以下が望ましい。
【0049】
樹脂としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素系樹脂、ポリフェニルサルフェート等、弾性体としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、EPDM、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が開示できるが、これに限らない。
【0050】
また、最表層は、耐久性、離型性が高いことが望まれ、そのため、表層は樹脂が望ましい。表層樹脂としてポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を用いているが、離型性を考慮するとフッ素系、シリコン系等の低表面エネルギーの重合体や、プラズマ処理等で1μm以下の硬い層を設ける方が好ましい。
【0051】
中間転写体16に転写された液体現像剤(トナー像)は、二次転写ローラ18で記録媒体19に転写される。二次転写ローラ18にはトナーと逆極性の電圧が印加される。
【0052】
記録媒体19上のトナー像は、定着装置の熱ローラ20により定着される。
【0053】
記録媒体19に転写された後、中間転写体16上に残存した液体現像剤8は、クリーニングブレード17により除去される。
【0054】
(液体現像装置の構成と動作)
図2は、図1の湿式画像形成装置が備える、本実施形態に係る液体現像装置の概略構成例を示す概略構成図である。図2を用いて、本実施形態に係る液体現像装置の概略構成と動作の例を説明する。
【0055】
図2において、1は第1の供給ローラ、2は第2の供給ローラ、3は現像ローラ、4は規制ブレードである。
【0056】
キャリア液にトナーを分散した液体現像剤8が、液体現像剤供給部材6から溜まり部材7上に供給される。液体現像剤8については後で詳細に説明する。
【0057】
溜まり部材(以降、溜まりブレードと称する)7は第1の供給ローラ1に対向して配置されており、その溜まりブレード7と第1の供給ローラ1との間に液体現像剤供給部材6から供給された液体現像剤8の液溜まり8a(液体現像剤の溜まり部)が形成され、この液溜まり8aが回転する第1の供給ローラ1の表面に接することにより液体現像剤8が供給される。通常、溜まりブレード7と第1の供給ローラ1の間には、溜まりブレード7が第1の供給ローラに摩擦接触することを防ぐために若干の隙間が空けられている。しかし、液体現像剤8にはある程度の粘度があり、第1の供給ローラ1の回転に伴い、上方向に現像剤が搬送されていく。そのため液体現像剤8の隙間から漏れる量は少なく、一定量が溜まりブレード7上に溜まり、液溜まり8aとなって、第1の供給ローラ1に液体現像剤8を供給する。尚、隙間から漏れた液体現像剤8は回収槽に回収して再利用することができる。
【0058】
第1の供給ローラ1の上を搬送される液体現像剤8は、第1の供給ローラ1に対向して配置された規制ブレード4により、搬送量が規制される。
【0059】
第1の供給ローラ1としては、表面に凹凸の溝を設けたアニロックスローラを使用することにより、確実に現像部の液体現像剤量を制御できる。適切な溝の深さは現像部に必要な液体現像剤量により異なるが、通常は10μm以上、100μm以下が好ましい。
【0060】
液体現像剤量を規制された第1の供給ローラ(アニロックスローラ。以下、アニックスローラの併記は省略する。)1上の液体現像剤8は、回転にともない搬送され、第2の供給ローラ2に転移される。
【0061】
第2の供給ローラ2は、さらに回転、搬送し、第1の供給ローラ1から受け取った液体現像剤8を現像ローラ3に供給する。
【0062】
現像ローラ3及び第2の供給ローラ2の表面材質はゴムが好ましく、ゴム厚は1mm以上、20mm以下で、ゴム硬度は10度から70度が好ましい。また、ゴムの材質はウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、CRゴム、フッ素ゴム等があげられる。表層は必要に応じて樹脂等でコートする。体積抵抗率は10〜1012Ωcm程度である。
【0063】
第2の供給ローラ2と現像ローラ3とは、ニップ部で互いに表面が反対方向に回転している。順方向でもよいが、反対方向に回転させた方が、第2の供給ローラ2上の液体現像剤8のほとんどが現像ローラ3に受け渡され、効率がよい。さらに、現像ローラ3上の液体現像剤8の薄層が均一となる。
【0064】
この構成において第2の供給ローラ2の回転数を変化させると、液体現像剤8の現像ローラ3への単位時間当たりの供給量が変化し、現像ローラ3上の液体現像剤8の量を制御することが可能である。
【0065】
第1の供給ローラ1は第2の供給ローラ2に従動としているため、第2の供給ローラ2の回転数を変化させることで第1の供給ローラ1の回転数も同様に変化する。具体的には第2の供給ローラ2の回転数を増加させると現像ローラ3上の液体現像剤8の量は増える。
【0066】
また、現像ローラ3には現像前に予めトナーを帯電させる電荷付与部材10が対向して設置されている。図2においては、電荷付与部材はコロナチャージャーだが、ローラ、ブレード等の接触部材により電荷を与えることも可能である。
【0067】
電荷付与部材10によりトナーが荷電された液体現像剤8の薄層は、現像ローラ3の回転とともに像担持体11とのニップ部に搬送され、現像ローラ3に印加されたバイアス電圧と像担持体11の表面電位(静電潜像)との電位差によりトナーが移動(現像)し、像担持体11上にトナー像を形成する。
【0068】
なお、図2において、溜まりブレード7に液体現像剤8を供給する液体現像剤供給部材6が配置されている。これは通常の画像形成の現像動作中における動作であって、洗浄モード(上述の液体現像剤供給部材6から洗浄液5を供給し、溜まりブレード7上に洗浄液の液溜まり5aを形成し、洗浄するモード)においては、第1の供給ローラ1の表面を洗浄するため、洗浄液5を供給し、溜まりブレード7上に洗浄液5の液溜まり5a(洗浄液の溜まり部)を形成する、すなわち洗浄液供給部材として機能する。以下、この部材を液体現像剤/洗浄液供給部材6と呼ぶ。
【0069】
もちろん、液体現像剤供給部材6が洗浄液供給部材を兼ねるのではなく、液体現像剤供給部材6とは別途、洗浄液供給部材を配置してもよい。別途配置する場合は、例えば液体現像剤供給部材6の上方に洗浄液供給部材を平行に配置することが考えられる。尚、液体現像剤供給部材6を洗浄液供給部材と兼用する場合は、複数の部材を設ける必要がなく、コスト及びスペース上のメリットがある。更に液体現像剤供給部材6の内部に残留・付着する液体現像剤も洗浄することができ、部材内部のつまりを防ぐことができるというメリットもある。
【0070】
図3は、図2の液体現像装置の平面図である。図3において洗浄液供給槽21から洗浄液5がポンプで汲み上げられ、液体現像剤/洗浄液供給部材6に送られる。液体現像剤/洗浄液供給部材6は、複数のノズルから構成され、このノズルから洗浄液5が溜まりブレード7上へ噴射される。溜まりブレード7上に洗浄液5の液溜まり5aが形成され、液溜まり5aが第1の供給ローラ1に接することにより、洗浄液5が第1の供給ローラ1に供給される。
【0071】
液体現像剤/洗浄液供給部材6による液体現像剤8の供給量は、液溜まり8aの両端部のシールの有無によって変わるが、0.05L/min〜5L/minほどの供給速度で供給する。
【0072】
溜まりブレード7は、金属、樹脂、ゴム等からなり、溜まりブレード7と第1の供給ローラ1の隙間は0.1mm〜5mm程度あいている。画像形成時には0.5mm〜1.5mm程度の隙間が望ましい。
【0073】
通常、洗浄液5は液体現像剤8と比べて粘度が低いために広がり易く、溜まりブレード7の両端から漏れやすい。溜まりブレード7の両端部から漏れないように両端部をシールすると漏れにくくなるが、必ずしもシールする必要はない。漏れた液体現像剤8は回収して、再利用すればよい。
【0074】
液体現像剤/洗浄液供給部材6の形態は、図3のような形態にとらわれない。要は、必要な部分に集中的に洗浄液を供給できるような構造であればよい。例えば、図4のように円柱の管に複数の穴を設け、この穴から噴射することも可能である。穴の大きさは0.5mmから5mm程度が望ましい。あるいは、円柱の管に軸方向に細長いスリット穴を設け、スリット穴から噴射してもよい。
【0075】
次に、洗浄モードについて、説明する。
【0076】
(洗浄のための構成と動作)
以上、画像形成時(現像動作中)の動作を中心に本実施形態に係る液体現像装置の構成と機能動作を説明してきた。しかし従来の形態の湿式画像形成装置(液体現像装置)では、画像形成(現像動作)を重ねると多々の問題が生じていた。例えば液体現像剤8に接することにより第1の供給ローラ1の溝や規制ブレード4など各種部材に液体現像剤8が堆積してくる。
【0077】
本実施形態においては、最もトナーが堆積しやすい場所は、第1の供給ローラ1と対向する溜まりブレード7上の、液体現像剤8の液溜まり8aが形成された部分である(図2参照)。
【0078】
この部分にトナーが堆積すると、ひどい場合はトナーが粘土状になり、除去困難となる。除去困難なトナーがマシン静置時に乾燥すると、アニロックスローラの目詰まりを引き起こす。アニロックスローラの目詰まりが発生すると、液体現像剤8の搬送量制御が困難になったり、アニロックスローラに起因する画像ノイズが発生したりする。
【0079】
この問題を解決するために、本実施形態の液体現像装置では、非画像形成時(非現像動作中)に洗浄モードを実行できるような機能構成としている。
【0080】
特に洗浄液5の液溜まり5aを形成して洗浄するモードを用いたのは、既述の特許文献3、4に提示された印刷インクの清掃に関する状況と比べると意図が分かりやすい。
【0081】
トナー粒子がキャリア液中で分散している液体現像剤と印刷インクとの差異は、印刷インクにおいては、樹脂成分が溶剤中で溶解しており、液体現像剤の樹脂成分は溶解しておらず、分散している点である。
【0082】
そのため、印刷インクでは、溶剤中に溶解していた樹脂が析出して固まると、洗浄液への浸漬程度では容易には除去できない。すなわち、印刷インクの清掃では、装置全体を大規模に洗浄するような構成となりがちである。
【0083】
しかしながら、液体現像剤の清掃では、トナー凝集物ができたり、たとえ乾燥したりしたとしても、洗浄液(キャリア液)への浸漬による洗浄で除去することが可能である。
【0084】
この洗浄モードは画像形成装置の作動後でも作動前でもよいし、また作動中の適度なタイミングで作動停止させるなど、非画像形成時(非現像動作中)の所定のタイミングで実行させるよう設定することができる。
【0085】
例えば、適切なタイミング設定の例として以下が考えられる。
(a)図5のフローにおいて、ステップS11でユーザーが画像形成装置の電源スイッチをオフにすると、ステップS12で、後述するCPUからポンプや弁などを駆動する部材(以下、駆動部材)に洗浄モードのオン信号が送られ、この信号に応じてステップS13で洗浄モードが実行される。所定時間、洗浄が行われると、ステップS14で洗浄モードが終了し、ステップS15で電源がオフされる。
(b)図6のフローにおいて、ステップS21で画像形成(現像動作)が終了すると、ステップS22でタイマーがリセット/スタートし、画像形成(現像動作)後の経過時間が測定される。ステップS23で、タイマーリセット/スタート後、所定の時間が経過する前にユーザーが画像形成開始スイッチ(印刷開始スイッチ)をオンにすると、再度、現像動作が終了してからタイマーがリセット/スタート(ステップS22)になる。一方、ステップS24で、現像スイッチがオンされないまま所定の時間が経過すれば、ステップS25で洗浄モードに入る。所定の時間は5分以上、120分以内が好ましい。なぜなら現像動作が終了してから5分間、次の現像動作が開始されない場合は、現像動作が一段落したものと考えられ、洗浄モードを実行しても次の現像動作に支障がないと考えられるからである。一方、現像動作が終了してから120分以上経過すると、各種部材に堆積した液体現像剤8が乾燥し、除去困難となるため、120分以内に洗浄を開始することが望ましい。
(c)図7のフローにおいて、ステップS31で画像形成(現像動作)が終了し、ステップS32でユーザーが洗浄スイッチをオンすると、ステップS33で洗浄モードが実行される。そして例えば所定時間洗浄が行われると、ステップS34で洗浄モードが終了する。
(d)図8のフローにおいて、ステップS41でユーザーが画像形成装置の電源をオンにすると、ステップS42で洗浄モードをオンにする信号が駆動部材に送られ、ステップS43で洗浄モードが実行される。そして、例えば所定時間、洗浄が行われると、ステップS44で洗浄モードが終了する。
(e)図9のフローにおいて、ステップS51でユーザーが画像形成装置の電源スイッチをオンにし、更にステップS52で画像形成開始スイッチ(印刷開始スイッチ)をオンにすると、ステップS53で洗浄モードの信号が駆動部材に送られ、ステップS54で洗浄モードが実行される。所定時間、洗浄が行われると、ステップS55で洗浄モードが終了し、ステップS56で現像動作オン信号が送られ、ステップS57で現像が開始される。
【0086】
図10は、画像形成(現像動作)時から洗浄モードへの切り替え操作の一例を示す構成概略図である。液体現像剤供給槽22と洗浄液供給槽21の各々には、液体現像剤8又は洗浄液5を汲み上げ、液体現像剤/洗浄液供給部材6へ供給するためのポンプPが設けられている。画像形成(現像動作)中は中央演算装置CPUからの信号により、液体現像剤供給槽22側のポンプP内の羽根車が回転するとともに供給通路の弁61が開くことにより、液体現像剤供給槽22から液体現像剤8が汲み上げられ、液体現像剤/洗浄液供給部材6に供給される。このとき、洗浄液側のポンプPの羽根車は静止したままで、かつ供給通路の弁61は閉じているので、液体現像剤/洗浄液供給部材6に洗浄液が供給されることはない。同様に洗浄モード時は、洗浄液供給槽21から洗浄液5が汲み上げられて液体現像剤/洗浄液供給部材6に供給されるが、液体現像剤8は液体現像剤/洗浄液供給部材6に供給されないように制御される。なお、図10では、供給通路の弁61は液体現像剤供給槽22からの通路と洗浄液供給槽21からの供給通路に別々に設けられているが、代わりに点線内の2つの通路が交わる箇所に1つだけ設けて、供給・非供給を切り替えてもよい。また図11は、液体現像剤/洗浄液供給部材6が、液体現像剤8と洗浄液5とで別々に設けられている例を示している。
【0087】
洗浄モード時は、液体現像剤/洗浄液供給部材6から洗浄液5を噴射する。洗浄液5は、液体現像剤8のキャリア液と同じ液体が好ましいが、同じ液体に制約されるものではない。例えば、炭化水素系(流動パラフィン)、動植物油、鉱物油、等から適切に選んでもよい。
【0088】
洗浄モード時には、まず洗浄液5が供給されるが、洗浄液5を供給しながら洗浄を行ってもよいし、先に洗浄液5を溜まりブレード7上に供給して液溜まり5aを形成した後に洗浄を行ってもよい。また、洗浄液5は、第1の供給ローラ1上の液体現像剤8の担持領域の回転軸方向の幅全体に同時に供給されてもよいし、該担持領域の幅の各部分に順次供給されてもよい。
【0089】
但し、ここでいう洗浄とは、溜まりブレード7上に溜めた洗浄液5をある一定の時間以上第1の供給ローラ1に接触させることを意味する。
【0090】
この洗浄は、通常は第1の供給ローラ1を回転させながら行う。洗浄モード時は洗浄効率を向上させるために、第1の供給ローラ1の回転速度を画像形成時に比べて遅くしたり、逆回転させたりすることが好ましい。
【0091】
また洗浄時に、超音波をかけたり、規制ブレード4を左右に揺動したり、洗浄液供給の方向を変えたりするとより効率的に洗浄できる。
【0092】
洗浄時に洗浄液5の液溜まり5aの液量を一定以上溜めることが洗浄の効果を上げるために重要である。そのためには、液溜まり5aへの供給液量と漏れる液量のバランスをとる必要がある。
【0093】
洗浄液5は液体現像剤8に比べて粘度が低いために溜まりブレード7と第1の供給ローラ1の隙間から漏れる液量が多い。そのため液体現像剤8を供給する画像形成時(現像動作中)に対して、洗浄モード時は、以下のように設定条件を変更し、液溜まり5aに洗浄液5が一定量以上溜まるようにする必要がある。特に洗浄時は、上述のとおり、洗浄効率を上げるために、第1の供給ローラ1の回転速度を遅くしたり、逆回転にしたりすることが好ましい。しかし、回転速度を遅くすると、洗浄液5が溜まりブレード7の隙間から漏れる量は多くなる。その結果、単位時間当たりの溜まり量が少なくなり、より多くの洗浄液5の供給が必要になってくる。また第1の供給ローラ1を逆転させると、逆展方向へ洗浄液が搬送されるので、やはり隙間から漏れる量は多くなる。これらの場合でも洗浄に必要な一定量の洗浄液5が溜まりブレード7上に溜まるように設定条件を調整する必要がある。なお、ここでいう一定量とは、特定の数量を指すのではなく、洗浄に十分な量の液溜まりを構成するために必要な洗浄液の量をいう。
【0094】
前述の設定条件としては、
(1)単位時間当たりの洗浄液供給量
(2−1)溜まりブレード7と第1の供給ローラ1の隙間の距離
(2−2)溜まりブレード7両端部のシールの有無
があげられる。
【0095】
具体的には、一定量の液溜まり5aを形成するために、次のような設定条件が考えられる。
(1):洗浄モード時の洗浄液供給量を画像形成時の液体現像剤供給量よりも増やす
(a)通常、洗浄液5は液体現像剤8より粘度が低いため、第1の供給ローラ1と溜まりブレード7との隙間から漏れる量が多くなる。その場合でも、一定量の液溜まり5aが形成されるよう、洗浄液の単位時間当たりの供給量を増やす。洗浄液の粘度が低いほど、供給量を多くする。
(b)前述のとおり、洗浄モード時に第1の供給ローラ1の回転速度を遅くしたり、第1の供給ローラ1を逆回転したり場合、第1の供給ローラ1と溜まりブレード7の隙間から漏れる量が多くなる。漏れても一定量の液溜まり5aが形成されるようにするために供給量を増やす。
(2−1):洗浄モード時の隙間を画像形成時の隙間よりも小さくする
上記(1)のとおり、洗浄液5の粘度が低いとき、及び洗浄モード時の第1の供給ローラ1の回転速度を遅くする、又は逆回転するときは、洗浄液5が漏れやすくなる。そのため、第1の供給ローラ1と溜まりブレード7の隙間を小さくして漏れる量を制限することで、一定量の液溜まり5aができるようにする。
(2−2):洗浄時にはシールを行い、画像形成時にはシールをはずす
上記(1)のとおり、洗浄液5の粘度が低いとき、及び洗浄モード時の第1の供給ローラ1の回転速度を遅くする、又は逆回転するときは、洗浄液5が漏れやすくなる。そのため、溜まりブレード7の両端に漏れ防止のシールを行い、漏れる量を制限することで、一定量の液溜まり5aができるようにする。
【0096】
図12は、洗浄液の供給量や第1の供給ローラ1の回転速度を制御するシステムの構成例を示す概略図である。洗浄液供給槽21から洗浄液5を汲み上げて液体現像剤/洗浄液供給部材6へ供給するために、洗浄液供給槽21と液体現像剤/洗浄液供給部材6との間に、例えばポンプPが設置されている。このポンプPは洗浄液用と液体現像剤用と別々に設けられていてもよいし、兼用されていてもよい。洗浄モード時になると、中央演算処理装置CPUからの信号により、ポンプP内の羽根車が回転し、洗浄液供給槽21から洗浄液5が汲み上げられ、液体現像剤/洗浄液供給部材6へ送られる。羽根車の回転速度は供給量を多くするときには速くし、供給量を少なくするときは遅くするように制御される。同様に、中央演算処理装置CPUからの信号により、第1の供給ローラ1の回転速度や回転方向が制御される。具体的には、洗浄モード時は画像形成時に比べて回転速度を遅くしたり、逆回転したりするように制御される。
【0097】
図13は、第1の供給ローラ1と溜まりブレード7との間隔(隙間)の調整方法の一例を示す概略図である。溜まりブレード7の支点より第1の供給ローラ1に近い側には、下方から楕円カムが当接しており、支点を挟んで反対側はばねで上方に付勢されている。ばねはその一端が画像形成装置の筐体等に取り付けられている。ばねの力によって、溜まりブレード7の支点から第1の供給ローラ1に近い部分が楕円カムに押し当てられている。楕円カムを回転させ短径部分が溜まりブレード7に近づくと、ばねの付勢力によって溜まりブレード7の支点から供給ローラに近い部分が下がり、その結果、第1の供給ローラ1と溜まりブレード7の間隔が広がる。一方、楕円カムの長径部分が溜まりブレード7に近づくと、ばねによる下方への力に逆らって溜まりブレード7が支点を中心として押し上げられ、第1の供給ローラ1と溜まりブレード7の間隔が狭くなる。
【0098】
洗浄液供給量を変えるときは、画像形成時の液体現像剤供給量と比べて30%以上増加させることが好ましい。より好ましくは50%以上。また、溜まりブレード7と第1の供給ローラ1の隙間は0.5mm以上変えることが好ましい。要は、供給液量と漏れる液量のバランスをとり、常に溜まり部材7が洗浄液5で満たされた状態とすることである。なお、供給ローラ上に残存した液体現像液8を十分に洗浄するためには、少なくとも第1の供給ローラ1上の液体現像剤8の担持領域の回転軸方向の幅、砂割、像担持体上の画像形成領域の回転軸方向の幅に相当する幅全体を洗浄液5が満たしていることが必要である。図14は、画像形成領域と洗浄液5の塗布幅との関係を示している。第1の供給ローラ1上の洗浄液5の塗布幅は、画像形成領域の幅よりも広い範囲となっている。
【0099】
上述のように、本実施形態に係る液体現像装置によれば、非現像動作中の所定のタイミングで、液体現像剤/洗浄液供給部材6が溜まり部材7上に洗浄液5を供給し、洗浄液5の適正な液溜まり5aを形成し、第1の供給ローラ1の表面に残存する液体現像剤を除去、洗浄する。これにより、特に洗浄液供給部材等を追加することなく、液体現像剤による汚れを効率的に除去し、液体現像剤の規制量の変動や、画像品質への悪影響を抑制することができる。
【0100】
また別の実施形態として、図15のように、第2の供給ローラ2を省略して、第1の供給ローラ1から直接に現像ローラ3に液体現像剤8を供するような構成も可能である。この場合も上記構成と同様の洗浄モード実施により、同様の効果が得られる。
【0101】
(現像剤について)
液体現像剤について説明する。液体現像剤は、少なくともキャリア液、着色微粒子(トナー粒子)、分散剤から構成される。
【0102】
<キャリア液>
キャリア液は、誘電率は3以下の低誘電率であり、電気的絶縁性は高いものが選択される。例えば、炭化水素系(流動パラフィン)、動植物油、鉱物油、等から選ばれ、このようなキャリア液は分子内に長鎖アルキル基を有する。
【0103】
例えば松村石油のホワイトオイル(P−40、P−70、P−120、P−400)、出光興産のIPソルベント、エクソンモービルのアイソパー(G、H、L)等がある。また、植物油(大豆油、アマニ油、キリ油)、シリコンオイルでもよい。
【0104】
絶縁性、電荷保持性の観点からは、炭化水素系(流動パラフィン)の方が植物油よりも高く、好ましい。本方式の現像剤は、チャージャーにより荷電を与える現像装置に適用されるため、電荷保持性が悪いと、トナーの帯電性が落ち、不都合が生じる。
【0105】
<トナー>
本発明に適する現像剤のトナー粒子は、少なくとも着色剤とバインダー樹脂からなる。
【0106】
バインダー樹脂は熱可塑性の樹脂を用いる。熱可塑性樹脂として、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂等があげられるが、これに制約されない。この中でポリエステル樹脂はシャープメルト性を有しており、好ましい。
【0107】
該ポリエステル樹脂は多塩基酸と多価アルコールの重縮合によって得られる。
【0108】
多塩基酸として、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、及びその酸無水物、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等があげられる。
【0109】
多価アルコールとしては、これに限るものではないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール等のプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール(脂肪族グリコール)及びこれらのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール等のビスフェノール類及びこれらのアルキレンオキサイド付加物のフェノール系グリコール類、単環あるいは多環ジオール等の脂環式及び芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール等があげられる。これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0110】
以上の多塩基酸と多価アルコールを重縮合することにより所望のポリエステル樹脂を重合する。重縮合の方法としては、通常公知の重縮合の方法を用いることができる。原料モノマーの種類によっても異なるが、一般的には150℃〜300℃程度の温度下で行う。また、雰囲気ガスとして不活性ガスを用いたり、各種の溶媒を使用したり、反応容器内圧力を常圧または減圧にする等、任意の条件で行うことができる。反応促進のためにエステル化触媒を用いてもよい。エステル化触媒としては、テトラブチルジルコネート、ジルコニウムナフテネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、3/1しゅう酸第1スズ/酢酸ナトリウムのような金属有機化合物等を使用できるが、生成物であるエステルを着色しないものが好ましい。また、アルキルホスフェイト、アリルホスフェイト等を触媒または色相調整剤として使用してもよい。
【0111】
生成物であるポリエステル樹脂の分子量を制御するためには、重合温度、反応系圧力、反応時間等を調整すればよい。また、反応させるカルボン酸とアルコールとのモル比、重合体の分子量等により酸価を制御できる。また、バインダー樹脂にはポリエステル樹脂の他、必要に応じてスチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン共重合体(特にエチレン系共重合体)、エポキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、パラフィンワックス等の樹脂を全質量の30質量%以下の範囲において適量混合して用いてもかまわない。
【0112】
顔料としては、ファーネストブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、C.I.ピグメントブラック、オルトアニリンブラック、トルイジンオレンジ、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントイエロー、ジオキサンバイオレット、ピクトリアピュアブルー、アルカリブルートナー、アルカリブルーRトナー、ファーストイエロー10G、オルトニトロアニリンオレンジ、トルイジンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、アンソシン3Bレーキ、ローダミン6Bレーキ、メチルバイオレットレーキ、ベーシックブルー6Bレーキ、ファーストスカイブルー、レフレックスブルーG、ブリリアントグリーンレーキ、フタロシアニングリーンG、紺青、群青、酸化鉄粉、亜鉛華、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム粉、昼光蛍光顔料、パール顔料等があげられる。
【0113】
また、顔料分散性を向上させるため、顔料誘導体を用いてもよい。所望の官能基、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、アミド基等を有した顔料誘導体を使用することができる。
【0114】
顔料は、樹脂に分散され、その二次粒径は50nm以上1μm以下、好ましくは50nm以上300nm以下に分散される。この上限を上回ると、液体現像剤の一定の付着量があっても、十分着色力、隠ぺい力、定着後の透明性が得られにくい。
【0115】
顔料の配合量は、樹脂に対して質量%で3%以上50%以下、好ましくは5%以上30%以下が良い。3%以下では所望の濃度が得られず、50%以上では樹脂への分散性や定着性を損なう恐れがある。
【0116】
次いで、このようにして得られたバインダー樹脂と必要に応じ添加された着色剤等からなる着色混練物をカッターミル、ジェットミル等を用いて粗粉砕し、この粗粉砕トナーに対し、さらにキャリア液中で湿式粉砕を施し、トナーの体積平均粒径が0.1〜10μm程度、好ましくは0.5〜5μm程度になるまで微粉砕して濃厚液体現像剤を得る。
【0117】
このようにして得られた濃厚液体現像剤を、必要に応じて、荷電制御剤、分散剤(分散安定剤)等の添加剤等を含むキャリア液で適当な濃度になるまで希釈・分散処理すればよい。
【0118】
<分散剤>
塩基性の高分子分散剤として、ポリアルキレンポリアミン、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、変性ポリウレタン、ポリエステルポリアミン等を用いることができる。
【0119】
分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイドリン酸塩)」、「Anti−Terra−204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(ポリアミノアマイドリン酸塩と酸エステル)130(ポリアマイド)、があげられる。
【0120】
アビシア社製13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000、19000(脂肪酸アミン系)、11200等があげられる。
【0121】
さらには、ISP社のV−216、V−220、WP−660(長鎖アルキル基を持ったポリビニルピロリドン)等があげられる。
【0122】
顔料分散剤は塩基性の高分子分散剤を用い、特にアミノ基、イミノ基、アミド基、ピロリドンがあるものが望ましい。
【0123】
以上の高分子分散剤をトナー粒子に対して1質量%〜100質量%添加することが好ましい。1%以下では分散性が低下し、100%以上では液の導電性が上がり、帯電性に問題が生じる。
【0124】
製造法は粉砕法に限定されず、液中での重合法、溶解蒸発法等の造粒法により、製造できる。
【実施例】
【0125】
本発明の実施例を説明する。
【0126】
なお、以下の説明で「Mw」とあるのは「質量平均分子量」を表し、「Mn」とあるのは「数平均分子量」を表し、「Tg」とあるのは「ガラス転移温度」を表す。
【0127】
Mw及びMnは、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィーの結果から算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーは、高速液体クロマトグラフポンプ TRI ROTAR−V型(日本分光社製)、紫外分光検出器 UVIDEC−100−V型(日本分光社製)、50cm長さのカラム Shodex GPC A−803(昭和電工社製)を用いて行い、そのクロマトグラフィーの結果から、被検試料の分子量を、ポリスチレンを標準物質として算出することにより、ポリスチレン換算Mw及びMnとして求めた。なお、被検試料はバインダー樹脂0.05gを20mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させたものを用いた。
【0128】
ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計 DSC−20(セイコー電子工業(株)製)を用い、試料量35mg、昇温速度10℃/minの条件で測定した。酸価は、JIS K5400法の条件で測定した。
【0129】
<樹脂製造>
ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
【0130】
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1600質量部とテレフタル酸を550質量部(多価塩基酸)、トリメリット酸を340質量部入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200℃〜240℃の温度で脱水重縮合または脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価または反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性樹脂を得た。
【0131】
得られたポリエステル樹脂はMw=7500、Mn=2700、Tg=62.3℃、酸価=64.0mgKOH/gであった。
【0132】
<液体現像剤製造>
樹脂100質量部、銅フタロシアニン15質量部を混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後、粗粉砕しジェット粉砕機にて平均粒径6μmに微粉砕した。
【0133】
このトナー粒子を25質量部に高分子分散剤としてV−216(ISP社製、ビニルピロリドン)を1質量部、流動パラフィンであるIPソルベント2028(出光興産社製)75質量部(引火点82℃)、ジルコニアビーズ100質量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、液体現像剤を得た。液体現像剤(トナー)の平均粒径は2.6μmであった。
【0134】
<画像出力条件>
上記で得た液体現像剤を、図1に示した構成の装置の溜まりブレード7に供給し、4時間運転させ、画像出力を行った。
【0135】
画像出力の装置条件は以下の通り。
【0136】
溜まりブレード7は樹脂でできており、厚さは2mm程度である。液体現像剤/洗浄液供給部材6のノズルから液体現像剤8を溜まりブレード7上に供給する。
【0137】
溜まりブレード7上に形成された液溜まり8aにて液体現像剤8を第1の供給ローラ1に供給する。第1の供給ローラ1は表面に凹凸を設けたアニロックスローラを使用する。第1の供給ローラ1は、φ40mm、溝の深さは30μmのものを用いている。
【0138】
規制ブレード4により、第1の供給ローラ1上の液体現像剤量を規制している。
【0139】
第2の供給ローラ2は、φ40mmで第1の供給ローラ1とニップ部で同方向、等速に回転している。すなわち、第1の供給ローラ1は第2の供給ローラ2に従動であり、駆動装置は設けていない。
【0140】
一方、第2の供給ローラ2は現像ローラ3とのニップ部で反対方向に回転している。
【0141】
現像ローラ3は、φ20mmの芯金に硬度30度(JISA)のポリウレタンゴムを厚み10mmで設け、その上に10μmのポリウレタン樹脂をコーティングしたものを用いている。
【0142】
第2の供給ローラ2は、φ28mmの芯金に硬度50度のポリウレタンゴムを厚み6mmで設けたものを用いている。
【0143】
現像ローラ3と第2の供給ローラ2は、押込み量0.1mm、第2の供給ローラ2と第1の供給ローラ1は、押込み量0.4mmとしている。
【0144】
またクリーニングブレード9には厚み2mmのポリウレタンゴム、規制ブレード4は厚み0.15mmのステンレス製ブレードを用いている。
【0145】
各ローラの線速は、現像ローラ3は400mm/sec、第2の供給ローラ2は500mm/sec、第1の供給ローラ1は500mm/secで回転している。
【0146】
標準的な現像、転写条件(現像電位差400V、一次転写電位差500V、二次転写電位差2kVにて画像を形成した。
【0147】
(比較例1)
上記装置及び条件で画像出力を4時間継続した。運転停止直前の最終画像出力(紙は王子製紙社製 OKトップコートプラス128g紙)においてベタ部のトナーの透過濃度(TD)を透過濃度計 X−riteにて評価したところ、TD=1.2であった。
【0148】
その後72時間放置し、同じ画像出力条件にて画像形成を行い、透過濃度を測定したところ、TD=0.8になっており、またローラムラに起因する画像ノイズが見られた。
【0149】
(実施例1)
上記装置及び条件で画像出力を4時間継続した。運転停止直前の最終画像出力(紙は王子製紙社製 OKトップコートプラス128g紙)においてベタ部のトナーの透過濃度をX−riteにて評価したところ、TD=1.2であった。
【0150】
運転停止直後に洗浄モードとした。洗浄モード時のアニロックスローラ回転速度は500mm/secで、洗浄液供給部材6から洗浄液5を1.5L/minで溜まりブレード7上に供給したところ、形成された洗浄液5の液溜まり5aにおいて第1の供給ローラ1の画像形成幅部分は洗浄液5が満たされていた。
【0151】
洗浄液5は液体現像剤8のキャリア液IPソルベント2028を用い、洗浄時間は5分。洗浄液5は回収漕に回収し、リサイクルした。
【0152】
洗浄液供給部材6(図4参照)は円筒の金属に6箇所穴をあけたもので、第1の供給ローラ1との間隔は20mmとした。
【0153】
溜まりブレード7と第1の供給ローラ1の隙間は1.0mmである。
【0154】
その後72時間放置し、同じ画像出力条件にて画像形成を行い、透過濃度を測定したところ、TD=1.12になっており、また洗浄されずに供給ローラ上に残存する液体現像剤によるムラに起因する画像ノイズも見られなかった。
【0155】
(実施例2〜実施例5)
何れも実施例1と同様であるが、画像形成時と洗浄モード時で変えた条件が異なる。
【0156】
実施例2では洗浄液供給量を、実施例3では第1の供給ローラ1と溜まりブレード7の隙間(Gap)の距離を、実施例4ではサイドシールの有無を、実施例5では第1の供給ローラ1回転速度と洗浄液供給量を、それぞれ画像形成時と変えている。
【0157】
何れも、溜まりブレード7上に形成された洗浄液5の液溜まり5aにおいて、第1の供給ローラ1の画像形成幅部分が洗浄液5により満たされるように変更したものである。
【0158】
条件の詳細と評価結果については、後述の表1参照。
【0159】
(実施例6)
実施例2と同様であるが、洗浄時に液溜まり5a等に超音波をかけた。
【0160】
条件の詳細と評価結果については、後述の表1参照。
【0161】
(実施例7)
実施例2と同様であるが、洗浄時に規制ブレード4を左右に動かした。
【0162】
条件の詳細と評価結果については、後述の表1参照。
【0163】
(実施例8)
実施例3と同様であるが、洗浄モード時にまずマシンを停止状態にし、その状態で超音波を5分間かけた。その後は実施例3と同じ。
【0164】
条件の詳細と評価結果については、後述の表1参照。
【0165】
(評価結果)
各実施例、比較例の評価結果を、表1に示す。
【0166】
但し、洗浄モード時の条件において、溜まりブレード7上の液溜まり5aにおける洗浄液5の満たされ方は、アニロックスローラ1の画像形成幅部分の各部分に、洗浄に十分な洗浄液5の液溜まりが形成されている状態を○、そうでない状態を×で示した。
【0167】
また、洗浄の効果(濃度安定性)については、画像出力停止前と停止後72時間放置したときの濃度変化率(停止後TD/停止前TD)で測定した。
【0168】
濃度安定性は、次のような基準で評価した。
【0169】
濃度変化率0.95以上を特に良好、◎
濃度変化率0.9以上、0.95未満を良好、○
濃度変化率0.9未満を不良、×
とした。
【0170】
【表1】

【0171】
表1より、所期の洗浄の効果(濃度安定性)を得るためには、溜まりブレード7上の液溜まり5aにおける洗浄液5の満たされ方が、アニロックスローラの画像形成幅部分の各部分に、洗浄に十分な洗浄液5の液溜まりが形成されている状態になるように、洗浄モード時の設定条件を画像形成示の設定条件と変える必要があることが分かる。
【0172】
上述のように、本実施形態に係る液体現像装置によれば、非現像動作中の所定のタイミングで、液体現像剤/洗浄液供給部材6が溜まり部材7上に洗浄液を供給し、洗浄液の適正な溜まり部を形成し、供給ローラ表面に残存する液体現像剤を除去、洗浄する。これにより、特に洗浄液供給部材等を追加することなく、液体現像剤による汚れを効率的に除去し、液体現像剤の規制量の変動や、画像品質への悪影響を抑制することができる。
【0173】
なお、上述の実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0174】
1 第1の供給ローラ(アニロックスローラ)
2 第2の供給ローラ
3 現像ローラ
4 規制ブレード
5 洗浄液
5a 洗浄液の液溜まり
6 液体現像剤供給部材、液体現像剤/洗浄液供給部材
61 弁
7 溜まり部材(溜まりブレード)
8 液体現像剤
8a 液体現像剤の液溜まり
9 現像ローラクリーニングブレード
10 電荷付与部材
11 像担持体
12 像担持体クリーニングブレード
13 イレーサー
14 露光装置
15 帯電装置
16 中間転写体
17 中間転写体クリーニングブレード
18 二次転写ローラ
19 記録媒体
20 熱ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を表面に担持、搬送し、像担持体に形成された潜像を前記液体現像剤で現像する現像ローラと、
前記液体現像剤を、前記現像ローラに供するため表面に担持、搬送する供給ローラと、
前記供給ローラに前記液体現像剤を供給する溜まり部を形成するため、前記供給ローラに対向配置された溜まり部材とを有する液体現像装置であって、
前記溜まり部材に洗浄液を供給する洗浄液供給部材を有し、
前記洗浄液供給部材は、
非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液を供給し、
前記供給ローラの前記液体現像剤を担持する全幅に前記洗浄液が供給され得るように、前記溜まり部材に前記洗浄液の溜まり部を形成し、
前記供給ローラ表面に残存する前記液体現像剤を除去し、洗浄する
ことを特徴とする液体現像装置。
【請求項2】
前記洗浄液供給部材は、前記溜まり部材に前記液体現像剤を供給する液体現像剤供給部材としても機能する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体現像装置。
【請求項3】
前記溜まり部材に前記液体現像剤を供給する液体現像剤供給部材を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の液体現像装置。
【請求項4】
前記液体現像剤供給部材からの前記液体現像剤の供給と、前記洗浄液供給部材からの前記洗浄液の供給とを切り替えるための切り替え部材を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の液体現像装置。
【請求項5】
前記洗浄液を保管する洗浄液槽と前記液体現像剤を保管する液体現像剤槽とを更に備え、
前記切り替え部材は、前記洗浄液の前記洗浄液槽から前記溜まり部材までの供給と、前記液体現像剤の前記液体現像剤槽から前記溜まり部材までの供給とを切り替えるために、前記洗浄液又は前記液体現像剤の供給流路において設けられた開閉部材からなることを特徴とする請求項4に記載の液体現像装置。
【請求項6】
前記洗浄液は、前記キャリア液である
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項7】
前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときは、
現像動作中に、前記供給ローラ表面に前記液体現像剤を供給するときよりも、前記溜まり部材と前記供給ローラとの間隔が狭くなるような設定条件とする
ことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項8】
前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときの前記洗浄液の時間当たり供給量は、
現像動作中に、前記供給ローラ表面に前記液体現像剤を供給するときの前記液体現像剤の時間当たり供給量よりも多くなるような設定条件とする
ことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項9】
前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときは、
現像動作中に、前記供給ローラ表面に前記液体現像剤を供給するときよりも、前記供給ローラの回転速度が遅くなる、または回転方向が逆転するような設定条件とする
ことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項10】
前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときは、
前記溜まり部材と前記供給ローラとの間隔が、前記供給ローラの回転速度に応じて変化するような設定条件とする
ことを特徴とする請求項9に記載の液体現像装置。
【請求項11】
前記非現像動作中の所定のタイミングで、前記洗浄液供給部材が前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を除去し、洗浄するときは、
前記洗浄液供給部材からの前記洗浄液の時間当たり供給量が、前記供給ローラの回転速度に応じて変化するような設定条件とする
ことを特徴とする請求項9に記載の液体現像装置。
【請求項12】
前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
現像動作終了後、電源がオフになる直前である
ことを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項13】
前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
現像動作終了後、所定の時間経過後である
ことを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項14】
前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
現像動作終了後、予め定めた任意の信号を受け付けたときである
ことを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項15】
前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
電源がオンになった直後である
ことを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項16】
前記洗浄液供給部材が、前記溜まり部材に前記洗浄液を供給し、前記供給ローラ表面の前記液体現像剤を洗浄する、前記非現像動作中の所定のタイミングは、
電源がオンになり、画像形成のために現像動作が開始する直前である
ことを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載の液体現像装置。
【請求項17】
トナーをキャリア液に分散させた液体現像剤を供給ローラに対向する溜まり部材に供給して溜まり部を形成し、前記溜まり部が前記供給ローラに接することにより前記液体現像剤を前記供給ローラに供給し、前記供給ローラから像担持体まで前記液体現像剤を搬送することにより像担持体上に形成された潜像を現像する液体現像装置における、前記供給ローラを洗浄する方法であって、
前記溜まり部材に前記液体現像剤の代わりに洗浄液を供給し、前記洗浄液が前記供給ローラに接するように前記洗浄液の溜まり部を形成するステップと、
前記供給ローラを回転し、前記洗浄液を前記供給ローラ上に担持、搬送するステップとを備える、ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項18】
前記溜まり部は、前記供給ローラの前記液体現像剤を担持する全幅に前記洗浄液が供給されるように形成されることを特徴とする請求項17に記載の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−203719(P2011−203719A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26840(P2011−26840)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】