説明

液体用吐出容器及び容器入り液体洗浄剤

【課題】便器の縁裏のような場所にも、容易に内容液を塗布できる液体用吐出容器を提供する。
【解決手段】内容液を収納し上部に筒状の口部40を有する容器本体4と、前記口部40に装着され、前記内容液を吐出する吐出孔12が形成された吐出ノズル10とを備え、前記容器本体4の底面44側には、前記内容液を吐出する際に手指で押圧する膨出面50が形成され、前記吐出孔12の吐出方向Fが、前記口部40の軸線O1と交差する液体用吐出容器1において、前記膨出面50には、頂部が一方向に延在する稜線部52が、該稜線部52又はその延長線を前記軸線O1と交差させて形成され、該稜線部52は、前記軸線O1を基準として、少なくとも前記交差する部分から前記底面44側に到る領域の一部が、前記吐出孔12の吐出方向Fと同一側に位置することよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用吐出容器及び容器入り液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭向けの住居用の液体洗浄剤は、洗浄対象に直接塗布して用いられることがあるため、トイレ用、ガラス用、浴室用、排水管用、家具用等、用途に応じた容器に充填され市販されている。例えば、ガラス用、家具用等、液体洗浄剤を広い範囲に塗布する用途には、スプレータイプの容器が用いられる。一方、トイレ用、排水管用、浴室用等、液体洗浄剤を狭い範囲に塗布する用途には、容器の胴部を持ち手で押圧して、吐出孔から洗浄剤を直線状に吐出するスクイズタイプの容器が用いられる。このスクイズタイプの容器は、液体洗浄剤を収納する容器本体と、容器本体の口部に設けられ、吐出孔が形成されたノズルとを備えるものが一般に知られている。
【0003】
通常、吐出孔は、ノズルの頂部に形成され、容器の底面に対し略垂直方向に内容液を吐出するように形成されている。このため、内容液を塗布する対象(塗布対象)の形状によっては、内容液を塗布対象に的確に塗布するのが困難である。
例えば、便器の縁裏や、キッチンの排水口は、その構造上、液体洗浄剤を塗布しにくい場所である。例えば、便器の縁裏に液体洗浄剤を塗布しようとすると、吐出孔を上向きにし、容器を便器内に深く挿入する必要があり、塗布対象に吐出孔を向ける操作が煩雑である。
【0004】
従来、こうした問題に対し、液体洗浄剤を被洗浄対象面にかけやすくするための頸部を備え、液体洗浄剤排出口から胴部上端までの頸部の長さが50mm以上であり、頸部の最大径が50mm以下であり、かつ、内容液排出後の胴部厚さの復元速度が1500mm/sec以上に設定されたスクイズ容器が提案されている(例えば、特許文献1)。このスクイズ容器によれば、内容液が側方に向けて吐出されるように吐出孔が形成され、胴部が速やかに回復する構造とされているため、狭い部分に液体洗浄剤を塗布できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−96839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術のように、単に吐出孔を側方に向けただけでは、吐出方向の制御の改善が不十分であり、液体洗浄剤を便器の縁裏等に塗布しにくいという問題があった。
そこで、便器の縁裏のような場所にも、容易に内容液を塗布できる液体用吐出容器を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、容器本体を把持した際の容器本体の姿勢に対し、容器本体と吐出ノズルとの連通方向を傾斜させることで、便器の縁裏等にも容易かつ的確に内容物を塗布できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の液体用吐出容器は、内容液を収納し上部に筒状の口部を有する容器本体と、前記口部に装着され前記内容液を吐出する吐出孔が形成された吐出ノズルとを備え、前記容器本体の底面側には、前記内容液を吐出する際に手指で押圧する膨出面が形成され、前記吐出孔の吐出方向が、前記口部の軸線と交差する液体用吐出容器において、前記膨出面には、頂部が一方向に延在する稜線部が、該稜線部又はその延長線を前記軸線と交差させて形成され、該稜線部は、前記軸線を基準として、少なくとも前記交差する部分から前記底面側に到る領域の一部が、前記吐出孔の吐出方向と同一側に位置することを特徴とする。
前記軸線は、前記容器本体の底面又はその延長線に対し、略直交することが好ましく、前記膨出面は、略円形とされ、前記容器本体は、前記膨出面の周縁に沿って膨出した側面が形成されていることがより好ましい。
【0009】
本発明の容器入り液体洗浄剤は、本発明の前記液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体用吐出容器によれば、膨出面には、頂部が一方向に延在する稜線部が、該稜線部又はその延長線を容器本体の口部の軸線と交差させて形成され、該稜線部は、前記軸線を基準として、少なくとも前記交差する部分から容器本体の底面側に到る領域の一部が、吐出孔の吐出方向と同一側に位置するため、便器の縁裏のような場所にも、容易かつ的確に内容液を塗布できる。
本発明の液体用吐出容器によれば、前記軸線が前記容器本体の底面又はその延長線に対し略直交しているため、内容液の充填が容易であり、生産性を損なうことがない。
本発明の液体用吐出容器によれば、前記膨出面は、略円形とされ、前記容器本体は、前記膨出面の周縁に沿って膨出した側面が形成されているため、より安定して容器本体を把持できる。
【0011】
本発明の容器入り液体洗浄剤によれば、本発明の液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されているため、便器の縁裏のような場所にも、容易かつ的確に液体洗浄剤を塗布できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の正面図である。
【図2】(a)図1の液体用吐出容器のA−A断面図である。(b)図1の液体用吐出容器のB−B断面図である。(c)図1の液体用吐出容器のC−C断面図である。(d)図1の液体用吐出容器のD−D断面図である。(e)図1の液体用吐出容器のE−E断面図である。
【図3】図1の液体用吐出容器の使用方法を説明する斜視図である。
【図4】図1の液体用吐出容器の使用方法を説明する斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器の正面図である。
【図6】比較例に用いた液体用吐出容器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器について、以下に図1〜2を参照して説明する。
図1に示すように、液体用吐出容器1は、蓋体2と、ノズルキャップ3と、容器本体4とを備え、容器本体4に内容液を収納するものである。
【0014】
容器本体4は、底面44の周縁から立設された胴部42と、胴部42の上方に略円筒状の口部40とを備えるものである。容器本体4の底面44側には、正面及び背面(不図示)に楕円状の膨出面50が形成され、膨出面50には、稜線部52が形成されている。図2に示すように、膨出面50は、正面及び背面に膨出する形状とされ、稜線部52は、底面44に平行な断面において最も膨出した点である頂部52a、52b、52c、52d、52eが一方向に延在したものである。また、容器本体4は、左側面46及び右側面48が膨出面50の周縁に沿って膨出した形状である。
【0015】
ノズルキャップ3は、口部40に装着されるものであり、口部40と嵌合する下筒部16と、下筒部16の上部に立設された上筒部14と、上筒部14の上部に設けられた吐出ノズル10とを備えるものである。下筒部16と上筒部14との内部には、容器本体4内の内容液を吐出ノズル10に通流させる流路が形成され、吐出ノズル10には、内容液を吐出方向Fで吐出する吐出孔12が形成されている。
蓋体2は、ノズルキャップ3の上筒部14と嵌合し、吐出ノズル10を覆うものである。
【0016】
稜線部52は、吐出ノズル10と容器本体4との連通方向、即ち口部40の軸線O1と交差し、稜線部52と軸線O1との交点を稜線頂点P1とし、稜線頂点P1から口部40に向かう軸線O1と、稜線頂点P1から底面44に向かう稜線部52とのなす劣角を交差角θ1とするものである。ここで劣角とは、頂点と2辺を共有する角の内、小さい方の角である。本実施形態では、稜線頂点P1における劣角が左側面46側に形成されている。こうして、稜線部52は、稜線頂点P1から底面44に到る領域が、軸線O1を基準として左側面46側に位置するものとされる。
交差角θ1は、鈍角であり、例えば、120°以上180°未満が好ましく、135〜170°がより好ましく、150〜165°がさらに好ましい。このような交差角とすることで、便座の縁裏等に内容液を容易かつ的確に塗布することができる。
なお、本実施形態において、軸線O1は、底面44に略直交するものとされている。底面44と略直交するように口部40が形成されていることで、従来の容器入り液体製品の製造ラインでも、容器本体4に内容液を容易に充填でき、かつノズルキャップ3の装着が容易である。なお、略直交とは、軸線O1と底面44とのなす角度が、85〜95°であることを意味する。
【0017】
吐出孔12は、その吐出方向Fと軸線O1との交点を吐出方向頂点P2とし、吐出方向頂点P2から吐出孔12に向かう吐出方向Fの領域と、吐出方向頂点P2から口部40に向かう軸線O1とのなす劣角が交差角θ2となるように、吐出ノズル10に形成されたものである。交差角θ2は、左側面46側、即ち交差角θ1と同じ方向に形成されている。こうして、吐出方向Fは、左側面46側、即ち稜線頂点P1の劣角側とされ、稜線部52の稜線頂点P1から底面44に到る領域は、軸線O1を基準として吐出孔12の吐出方向F側に位置するものとされる。
交差角θ2は、90〜180°であることが好ましく、100〜170°がより好ましく、110〜130°がさらに好ましい。交差角θ2が90°未満であると、内容液を吐出した際に、内容液が持ち手や容器本体にかかる場合がある。
また、吐出方向Fは、液体用吐出容器1を底面44が水平となるように載置(起立状態)した際、水平又は水平方向に対し鉛直方向上方に向くものとされる。吐出方向Fをこのようにすることで、液体用吐出容器1を起立状態とした際に、吐出孔12から液垂れするのを防止できる。
吐出孔12の孔径は、内容液の種類、用途に応じて決定でき、例えば、φ0.5〜8mmとされる。
【0018】
容器本体4は、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等、従来、液体を収容する容器に用いられる材質を成形してなるものである。
【0019】
容器本体4の大きさは、用途、内容液の充填量に応じて決定でき、例えば、液体洗浄剤を内容液とする場合には、400〜1000mLとされる。
容器本体4の高さは、内容量やノズルキャップ3の大きさ等を勘案して決定でき、例えば、ノズルキャップ3を装着した際、底面44とノズルキャップ3の先端11との距離が200〜300mmとなる高さとされる。
また、容器本体4の幅は、内容量や容器本体4の高さ等を勘案して決定でき、例えば、左側面46と右側面48との距離の最大値が70〜130mmとされる。
【0020】
膨出面50の厚さは、手指で押圧した際に、正面側の膨出面50と背面側の膨出面50とが近づく程度の可撓性を有し、かつ手指での押圧を解除した際、膨出面50が押圧前の形状に復元するものであればよく、容器本体4の材質を勘案して決定できる。
【0021】
膨出面50の膨出の程度は、特に限定されないが、底面44に平行な断面における膨出面50の輪郭を、例えば、曲率半径R=50〜100mmとするのが好ましく、70〜90mmとするのがより好ましい。上記範囲であれば、後述する使用法にて、容器本体4を安定して把持できる。
左側面46の膨出の程度は、特に限定されないが、正面視における左側面46の輪郭を、例えば、曲率半径R=80〜150mmとするのが好ましく、100〜130mmとするのがより好ましい。上記範囲であれば、後述する使用法にて、容器本体4を安定して把持できる。
右側面48の膨出の程度は、特に限定されないが、正面視における右側面48の輪郭を、例えば、曲率半径R=150〜300mmとするのが好ましく、250〜280mmとするのがより好ましい。上記範囲であれば、後述する使用法にて、容器本体4を安定して把持できる。
【0022】
ノズルキャップ3の材質としては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂が挙げられる。
蓋体2の材質は、ノズルキャップ3の材質と同様である。
【0023】
内容液は、例えば、トイレ、浴室、排水管等の洗浄に用いられる液体洗浄剤、機械油等が挙げられる。
内容液の物性は、用途に応じて決定でき、例えば、内容液をトイレ用洗浄剤とする場合、塗布対象に付着滞留し、かつ膨出面50を手指で押圧した際に容易に吐出孔12から内容液を吐出できるものとされる。例えば、内容液は、25℃におけるHaake RS−100粘度計で測定した0.5sec−1のせん断速度低下での粘度が、好ましくは80mPa・s以上、より好ましくは100〜2000mPa・sのものである。0.5sec−1のせん断速度低下での粘度が80mPa・s未満であると、塗布対象での滞留が不十分となる。
また、内容液は、1000sec−1以上のせん断速度での粘度が、好ましくは20mP・s以下、より好ましくは5〜15mPa・sである。1000sec−1以上のせん断速度での粘度が20mPa・s超であると、膨出面50の押圧を解除した際、内容液が口部40内に滞留したままとなって気道の確保を阻害し、膨出面50の復元が遅くなる。
【0024】
内容液の組成は、その用途に応じて決定でき、各種洗浄成分を含むものが挙げられる。例えば、トイレ用洗浄剤の洗浄成分としては、グリコール酸、ジグリコール酸、グルコン酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、マロン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、トリポリリン酸、スルファミン酸等の酸成分、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系漂白剤成分、過酸化水素等の酸素漂白剤成分、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤成分、アミノカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ポリリン酸塩等のキレート剤成分、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等の研磨剤等が挙げられ、これらは好適に組み合わせて用いることができる。
また、内容液は、洗浄成分、起泡等の目的で、陰イオン性面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤を含有してもよい。
【0025】
内容液は、粘度調整の目的で、例えば、キサンタンガム、グアーガム等に代表される天然多糖類系高分子、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、ポリアクリル酸塩及びアクリル酸系共重合体、ポリスチレン酸塩等のスチレン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、キトサン等の合成高分子等、無機系粘度鉱物等の増粘剤を含有してもよい。
【0026】
次に、液体用吐出容器1の第一の使用方法について、図1、3を用いて説明する。図3は、容器本体4を右側面48から把持し、便器の縁裏に内容液を塗布する様子を説明する斜視図である。
容器本体4に内容液を充填し、ノズルキャップ3の下筒部16を口部40に勘合させ、次いで蓋体2を上筒部14に勘合させる。こうして、液体洗浄剤を充填した容器入り液体洗浄剤、機械油を充填した容器入り機械油等の容器入り液体製品を製造できる。
【0027】
容器入り液体製品の内容液を塗布対象に塗布するに当たっては、蓋体2を取り外し、右側面48に手の平を当て、手指を膨出面50に当接させて容器本体4を把持する。この際、膨出面50の稜線部52に手指が掛けられため、容器本体4は、手の平に引き付けられ、稜線部52の方向が定まった状態で把持される。そして、軸線O1は、底面44から口部40に向かうに従い手の平から離れる方向に傾斜した状態となる。
【0028】
次いで、図3に示すように、手の平を上向きにし、容器本体4を手の平に載せるようにして把持すると共に、吐出ノズル10を便器90の縁裏92に潜り込ませるように操作する。この操作により、ノズル孔12が縁裏92に向いた状態となる。この際、軸線O1は、底面44から口部40に向かうに従い手の平から離れる方向に傾斜しているため、持ち手を便器90内に深く挿入したり、手首を大きく曲げたりすることなく、ノズル孔12を縁裏に容易に向けることができる。そして、容器本体4を把持した手指で膨出面50を押圧すると、吐出孔12から縁裏92に向けて内容液が吐出され、吐出された内容液が縁裏92に塗布される。
【0029】
液体用吐出容器1の第二の使用方法について、図1、4を用いて説明する。図4は、容器本体4を左側面46から把持し、便器の縁裏に内容液を塗布する様子を説明する斜視図である。
【0030】
容器入り液体製品の内容液を塗布対象に塗布するに当たっては、蓋体2を取り外し、左側面46に手の平を当て、手指を膨出面50に当接させて容器本体4を把持する。この際、膨出面50の稜線部52に手指が掛けられるため、容器本体4は、手の平に引き付けられ、稜線部52の方向が定まる。そして、軸線O1は、底面44から口部40に向かうに従い、手の平に近づく方向に傾斜した状態となる。
【0031】
次いで、図4に示すように、手の平を下向きにし、容器本体4を掴み上げるようにして把持すると共に、吐出ノズル10を便器90の縁裏92に潜り込ませるように操作する。この操作により、ノズル孔12が縁裏92に向いた状態となる。この際、軸線O1は、底面44から口部40に向かうに従い手の平に近づく方向に傾斜しているため、持ち手を便器90内に深く挿入したり、手首を大きく反らしたりすることなく、ノズル孔12を縁裏に容易に向けることができる。そして、容器本体4を把持した手指で膨出面50を押圧すると、吐出孔12から縁裏92に向けて内容液が吐出され、吐出された内容液が縁裏に塗布される。
【0032】
上述したとおり、本実施形態の液体用吐出容器は、膨出面に稜線部が形成されているため、容器本体を把持した際に、稜線部に手指が掛けられ、手の平に引き付けられ、安定して把持される。加えて、稜線部は、口部の軸線と交差し、かつ口部の軸線を基準として、少なくとも交差する部分から底面側に到る領域の一部が、吐出孔の吐出方向と同一側に位置するものとされてため、持ち手を便器の深くまで挿入したり、持ち手の手首を大きく曲げたり、反らしたりすることなく、便器の縁裏等に吐出孔を向け、内容液を塗布できる。
【0033】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器について、図5を用いて説明する。なお、第一の実施形態における液体用吐出容器1と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図5に示す液体用吐出容器100は、底面144の周縁から立設された胴部142と、胴部142の上方に略円筒状の口部140とを備える容器本体104を備えるものである。容器本体104の底面144側には、正面及び背面(不図示)に楕円状の膨出面150が形成され、膨出面150には、頂部が一方向に延在する稜線部152が形成されている。この稜線部152は、稜線部152の延長線(稜線延長線)Q1が底面144と略直交するものである。容器本体104は、左側面146及び右側面148が膨出面150の周縁に沿って膨出した形状である。
【0034】
稜線延長線Q1は、吐出ノズル10と容器本体104との連通方向、即ち口部140の軸線O2と交差し、稜線延長線Q1と軸線O2との交点を稜線頂点P3とし、稜線頂点P3から口部140に向かう軸線O2と、稜線頂点P3から底面144に向かう稜線延長線Q1とのなす劣角を交差角θ3とするものである。本実施形態では、稜線頂点P3における劣角が左側面146側に形成されている。交差角θ3は、第一の実施形態における交差角θ1と同様である。こうして、稜線頂点P3から底面144に到る領域が、軸線O2を基準として左側面146に位置するものとされる。
本実施形態において、軸線O2は、底面144の延長線(底面延長線)B1と交差角θ5で交差しており、容器本体104は、全体として口部140が吐出方向F側に傾いた形状とされている。
【0035】
吐出孔12は、その吐出方向Fと軸線O2との交点を吐出方向頂点P4とし、吐出方向頂点P4から吐出孔12に向かう線と、吐出方向頂点P4から口部140に向かう軸線O2とのなす劣角が交差角θ4となるように、吐出ノズル10に形成されたものである。交差角θ4は、左側面146側、即ち交差角θ3と同じ方向に形成されている。こうして、吐出方向Fは、左側面146側、即ち稜線頂点P1の劣角側とされ、稜線部152は、軸線O2を基準として吐出孔12の吐出方向F側に位置するものとされる。
【0036】
容器本体104の材質は、第一の実施形態の容器本体4と同じである。
膨出面150の厚さは、第一の実施形態の膨出面50と同じである。
膨出面150の膨出の程度は、第一の実施形態の膨出面50と同様である。
正面視における左側面146の膨出の程度は、第一の実施形態の左側面46と同様であり、正面視における右側面148の膨出の程度は、第一の実施形態の右側面48と同様である。
【0037】
液体用吐出容器100の使用方法は、第一の実施形態における液体用吐出容器1の使用方法と同様である。
【0038】
本発明の液体用吐出容器は、上述の実施形態に限定されるものではない。
第一〜第二の実施形態では、稜線部が、膨出面において対向する周縁を結ぶように形成されているが、本発明はこれに限定されず、稜線部は、膨出面の一部に形成されていてもよい。
【0039】
第一〜第二の実施形態では、口部が略円筒状とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、口部が略角筒状とされていてもよい。
【0040】
第一〜第二の実施形態では、膨出面が楕円状とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、膨出面が真円形であってもよいし、三角形、四角形、五角形等の多角形状であってもよい。
【0041】
第一〜第二の実施形態では、左側面及び右側面が膨出面の周縁に沿って膨出しているが、本発明はこれに限定されず、左側面又は右側面のいずれかが膨出していてもよいし、左側面及び右側面の双方が膨出していなくてもよい。ただし、より安定して容器本体を把持する観点から、左側面又は右側面のいずれか一方又は双方が膨出していることが好ましい。
【0042】
第一の実施形態では、口部の軸線が底面に略直交するものとされ、第二の実施形態では、口部が吐出孔の吐出方向側に傾斜するものとされているが、本発明はこれに限定されず、口部が吐出方向と反対側に傾斜するものでもよい。ただし、容器本体への内容液の充填を容易とし、生産性を確保する観点からは、口部の軸線が底面に略直交することが好ましい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0044】
(評価方法)
<使用性>
内容液として、水道水を450mL収納した。内容液を収納した各例の液体用吐出容器について、専門パネラ15名が便器の縁裏に向けて内容液を吐出し、下記採点基準に従い評価し、その平均点を下記評価基準に分類して評価した。
【0045】
≪採点基準≫
3:把持しやすく、縁裏を狙いやすい。
2:把持しやすいが、縁裏を狙いにくい。
1:把持しにくく、縁裏を狙いにくい。
【0046】
≪評価基準≫
○:平均点が2.5以上
△:平均点が1.5以上2.5未満
×:平均点が1.5未満
【0047】
(実施例1)
図1に示す液体用吐出容器1と同様の液体用吐出容器を下記仕様にて作製した。作製した液体用吐出容器について、使用性を評価し、その結果を表1に示す。
【0048】
<容器仕様>
材質:高密度ポリエチレン
容量:450mL
高さ(底面から吐出ノズルの先端までの距離):235mm
幅(左側面と右側面との距離の最大値):85mm
左側面の輪郭の曲率半径:112mm
右側面の輪郭の曲率半径:270mm
膨出面の輪郭の曲率半径:80mm
稜線部と軸線との交差角:160°
稜線部の長さ:94mm
軸線と底面との交差角:90°
吐出方向と軸線との交差角:120°
【0049】
(実施例2)
形状を図5に示す液体用吐出容器100と同様にした以外は、実施例1と同様にして液体用吐出容器を作製した。作製した液体用吐出容器について、使用性を評価し、その結果を表1に示す。なお、軸線と底面延長線との交差角(図5のθ5)を70°とした。
【0050】
(比較例1)
図6に示す液体用吐出容器300と同様の液体用吐出容器を下記仕様にて作製した。この液体用吐出容器300は、容器本体304を備え、容器本体304の胴部42の底面44側には、正面及び背面(不図示)に楕円状の膨出面50が形成されている。膨出面350には、隆起した稜線部352が形成され、この稜線部352の延長線(稜線延長線)Q2は、底面44と略直交し、かつ軸線O1と平行である。即ち、稜線延長線Q2と軸線O1とは交差しないものとされている。
この液体用吐出容器について、使用性を評価し、その結果を表1に示す。
【0051】
<容器仕様>
材質:高密度ポリエチレン
容量:450mL
高さ(底面から吐出ノズルの頂部までの距離):235mm
底面の正面視長さ:81mm
左側面の輪郭の曲率半径:130mm
右側面の輪郭の曲率半径:290mm
軸線と底面との交差角:90°
吐出方向と軸線との交差角:120°
稜線部の長さ:102mm
【0052】
【表1】

【0053】
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜2は、使用性が「○」であった。
一方、稜線部又はその延長線と軸線とが交差しない比較例1は、使用性が「×」であった。
この結果から、本発明を適用することで、液体用吐出容器の使用性を良好にできることが判った。
【符号の説明】
【0054】
1、 100 液体用吐出容器
4、104 容器本体
10 吐出ノズル
12 吐出孔
40、140 口部
44、144 底面
50、150 膨出面
52、152 稜線部
52a、52b、52c、52d、52e 頂部
B1 底面延長線
F 吐出方向
O1、O2 軸線
P1、P3 稜線頂点
Q1 稜線延長線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収納し上部に筒状の口部を有する容器本体と、前記口部に装着され前記内容液を吐出する吐出孔が形成された吐出ノズルとを備え、前記容器本体の底面側には、前記内容液を吐出する際に手指で押圧する膨出面が形成され、前記吐出孔の吐出方向が、前記口部の軸線と交差する液体用吐出容器において、
前記膨出面には、頂部が一方向に延在する稜線部が、該稜線部又はその延長線を前記軸線と交差させて形成され、
該稜線部は、前記軸線を基準として、少なくとも前記交差する部分から前記底面側に到る領域の一部が、前記吐出孔の吐出方向と同一側に位置することを特徴とする液体用吐出容器。
【請求項2】
前記軸線は、前記容器本体の底面又はその延長線に対し略直交することを特徴とする、請求項1に記載の液体用吐出容器。
【請求項3】
前記膨出面は、略円形とされ、
前記容器本体は、前記膨出面の周縁に沿って膨出した側面が形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体用吐出容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されたことを特徴とする容器入り液体洗浄剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−62065(P2012−62065A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205667(P2010−205667)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】