説明

液体用輸送兼貯蔵容器

【課題】
液体用輸送兼貯蔵容器を提供する。
【解決手段】
本発明の対象は、合成樹脂製内側容器2と、金属格子または薄板製の外壁14と、スキッドパレット18として形成された、内側容器2を支持するための支台17とを備えた輸送兼貯蔵容器1である。支台17の底板21は合成樹脂製射出成形品として製作され、かつ内側容器2を載置し底板21を補強するための縦方向ウェブおよび横方向ウェブを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖可能な注入短管と排出栓を接続するための流出短管とを有する合成樹脂製内側容器と、金属格子または薄板からなる外壁と、フォークリフト、棚操作装置または類似の輸送手段による取扱操作に合わせて、合成樹脂製スキッドパレットまたは枠パレットとして形成された支台とを具備し、スキッドパレットが中央スキッドと2個の外側スキッドの支持脚に載る、内側容器を支持するための底板を備え、枠パレットが底板用基礎枠と支持脚を備えている、液体用輸送兼貯蔵容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されたこの種の輸送兼貯蔵容器は、スキッドパレットとして形成された支台を備えている。このスキッドパレットは合成樹脂製の中央スキッドと、2つの外側スキッドと、スキッドの支持脚に載っている薄板製底板とによって形成されている。液体を収容するための輸送容器の合成樹脂製内側容器が底板に載る。
【0003】
さらに、薄板外壁または格子外壁によって囲まれた内側容器を支持するための木製パレットまたは鋼製パレットを備えた液体用輸送容器が市販されている。
【0004】
この公知の液体用輸送兼貯蔵容器の空の状態の重量は比較的大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公告第10110926B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底をなす課題は、容器の安定性を高め、空の重量を低下させるように、冒頭に述べた種類の液体用輸送兼貯蔵容器の支台を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は本発明に従い、請求項1の特徴を有する液体用輸送兼貯蔵容器によって解決される。
【0008】
従属請求項は本発明の有利で合目的な発展形態を含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る輸送兼貯蔵容器は次の利点がある。
【0010】
合成樹脂射出成形品として製作された容器支台の底板に、縦方向ウェブと横方向ウェブを形成することにより、底板の安定性が大幅に改善され、それに伴い容器の輸送安全性が高まる。底板の安定性が改善されることにより、材料の厚さを薄くすることができる。これにより、容器の空の重量および輸送コストが低減される。合成樹脂製支台底板の材料厚さを薄くし、リサイクル合成樹脂材料を底板の製造に使用できるようにしたことにより、容器の製作コストが低減される。底板の合成樹脂材料は、酸やアルカリのような攻撃性液体に対して良好な耐性を保証する。合成樹脂製内側容器を支持する働きをする、スキッドパレットとして形成された支台の底板を下げてゆるやかに傾斜させたことにより、外形寸法が同じである場合、異なる容積を有する新規な容器の定格容積は、市販されている標準容器よりも増大する。その際、輸送手段による輸送兼貯蔵容器の取扱操作のために必要である、輸送兼貯蔵容器の内側容器のための支台の支持底板の最低地上高に悪影響を与えることがない。
【0011】
次に、図に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】スキッドパレットとして形成された支台を有する液体用輸送兼貯蔵容器の斜視図である。
【図2】容器の支台の底板の斜視図である。
【図3】支台の底板の平面図である。
【図4】支台の底板に載っている内側容器の一部を示す、図3のIV−IV線に沿った支台の底板の中心縦断面図である。
【図5】内側容器の一部を示す、図3のV−V線に沿った支台の底板の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
使い捨て容器および何回も使える容器として使用可能である図1に示した液体用輸送兼貯蔵容器1は、その主構成部品として、交換可能な直方体の合成樹脂製内側容器2を備えている。この内側容器は前壁3と、後壁4と、2つの側壁5、6と、底板7と、天板8と、この天板8に成形され蓋10によって閉鎖可能な注入短管9と、前壁3の下側部分の湾曲窪み11に成形された、排出栓13を接続するための出口短管12とを備えている。液体用輸送兼貯蔵容器1は、その主構成部品としてさらに、互いに交叉する水平な金属製格子棒15および垂直な金属製格子棒16を有する格子壁として形成された、内側容器2を収容するための外壁14と、ヨーロッパ規格の長さ寸法と幅寸法を有する、スキッドパレット18として形成された支台17とを備えている。この支台上には内側容器2が載る。傾斜流出板として形成された内側容器2の底板7は、底板中心軸線19−19に関して対称に配置された2つの底板部分7a、7bに分割されている。この底板部分は2〜5°の範囲内の小さな傾斜角度αをなして容器2の後壁4から前壁3の方へ傾斜し、かつ2〜5°の範囲内の小さな傾斜角度βをなして容器2の両側壁5、6から底板中心線19−19の方へ傾斜している。
【0014】
内側容器2の底板7は中央の浅い傾斜流出条溝20を有する。この傾斜流出条溝は、容器後壁4から、容器の前壁3に設けられた、排出栓13を接続するための出口短管12の方へやや傾斜して延在している。
【0015】
輸送兼貯蔵容器1の支台17のスキッドパレット18は、合成樹脂製射出成形品として製作された、内側容器2を支持するための底板21と、合成樹脂製の中央スキッド22と、合成樹脂製の2つの外側スキッド23、24とからなっている。浅い槽状の底板21を支持するために、中央スキッド22は中央の支持脚25と後側の支持脚26を備え、両外側スキッド23、24はそれぞれ前側の支持脚27と中央の支持脚25と後側の支持脚26を備えている。底板の下方に、フォークリフト、棚操作装置または類似の輸送手段の掴みアームを挿入することができる。
【0016】
内側容器2の底板7に適合した支台17の底板21は、上向きに湾曲した周方向に延在するエッジ28を備え、そして底板中心軸線29−29に関して対称に配置された2つの底板部分21a、21bに分割されている。この底板部分は2〜5°の範囲内の傾斜角度αをなして後側エッジ部分28aから前側エッジ部分28bの方へゆるやかに傾斜し、そして2〜5°の範囲内の傾斜角度βをなして両側方エッジ部分28c、28dから底板中心軸線29−29の方へゆるやかに傾斜している。
【0017】
支台17の底板21の両部分21a、21bは、内側容器2を載置し底板を補強するために縦方向ウェブ30と横方向ウェブ31を有する。横方向ウェブ31は底板エッジ28の後側エッジ部分28aと前側エッジ部分28bの範囲に設けられている。
【0018】
底板21の2つの縦方向ウェブ30、30の間には、内側容器2の底板7の傾斜流出条溝20を収容するための中央の条溝状凹部32が形成されている。この凹部32は底板エッジ28の後側エッジ部分28aから前側エッジ部分28bの方へゆるやかに傾斜している。
【0019】
支台17の底板21は内側容器2の排出栓13の下の出口範囲内に、前方へ開放した谷状の凹部33を有する。この凹部はU字状の横断面形状を有する前側の支持脚を形成する。底板21がこの前側の支持脚によって支台17の中央スキッド22に支持されている。
【0020】
支台17の底板21は中央の補強薄板34を備えている。この補強薄板は底板の横方向ウェブ31に対して平行に向いていて、両底板部分21a、21bの下面36の保持部35に挿入されている。
【0021】
支台17の底板21と、輸送兼貯蔵容器1の格子外壁14は、中央スキッド22の支持脚25〜27と両外側スキッド23、24にボルト止めおよび/または溶接されている。
【0022】
液体用輸送兼貯蔵容器の他の実施形態の場合、支台は枠パレットとして形成可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 輸送兼貯蔵容器
2 内側容器
3 内側容器2の前壁
4 内側容器2の後壁
5 内側容器2の側壁
6 内側容器2の側壁
7 内側容器2の底板
7a 底板7の底板部分
7b 底板7の底板部分
8 内側容器2の天板
9 天板8の注入短管
10 注入短管9の蓋
11 前壁3の湾曲窪み
12 湾曲窪み11の出口短管
13 排出栓
14 外壁
15 外壁14の水平な格子棒
16 外壁14の垂直な格子棒
17 支台
18 スキッドパレット
19−19 底板7の中心軸線
20 底板7の傾斜流出条溝
21 支台17の底板
21a 底板21の底板部分
21b 底板21の底板部分
22 底板17の中央スキッド
23 底板17の外側スキッド
24 底板17の外側スキッド
25 スキッド22〜24の中央支持脚
26 スキッド22〜24の後側支持脚
27 スキッド23、24の前側支持脚
28 底板21のエッジ
28a 後側エッジ部分
28b 前側エッジ部分
28c 側方エッジ部分
28d 側方エッジ部分
29−29 底板21の中心軸線
30 底板部分21a、21bの縦方向ウェブ
31 底板部分21a、21bの横方向ウェブ
32 縦方向ウェブ30、30の間の条溝状凹部
33 底板21の谷状凹部
34 底板21の補強薄板
35 底板部分21a、21bの下面36の保持部
36 底板部分21a、21bの下面
α 底板7と底板部分21a、21bの傾斜角度
β 底板7と底板部分21a、21bの傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖可能な注入短管と排出栓を接続するための流出短管とを有する合成樹脂製内側容器と、金属格子または薄板からなる外壁と、フォークリフト、棚操作装置または類似の輸送手段による取扱操作に合わせて、合成樹脂製スキッドパレットまたは枠パレットとして形成された支台とを具備し、
スキッドパレットが中央スキッドと2個の外側スキッドの支持脚に載る、内側容器を支持するための底板を備え、枠パレットが底板用基礎枠と支持脚を備えている、液体用輸送兼貯蔵容器において、
支台(17)の底板(21)が合成樹脂製射出成形品として製作され、かつ内側容器(2)を載置し底板(21)を補強するための縦方向ウェブ(30)および横方向ウェブ(31)を備えていることを特徴とする容器。
【請求項2】
内側容器(2)の底板(7)に適合した支台(17)の底板(21)が、上向きに湾曲し周方向に延在するエッジ(28)を有し、かつ底板中心軸線(29−29)に関して対称に配置された2つの底板部分(21a、21b)に分割され、この底板部分が2〜5°の範囲内の傾斜角度(α)をなして支台底板(21)の後側エッジ部分(28a)から前側エッジ部分(28b)の方へゆるやかに傾斜し、かつ2〜5°の範囲内の傾斜角度(β)をなして底板(21)の両側方エッジ部分(28c、28d)から底板中心軸線(29−29)の方へゆるやかに傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
横方向ウェブ(31)が支台(17)の底板(21)の後側エッジ部分(28a)と前側エッジ部分(28b)の範囲内に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
内側容器(2)の底板(7)の傾斜流出条溝(20)を収容するための中央の条溝状の凹部(32)が、支台(17)の底板(21)の2つの縦方向ウェブ(30、30)の間に形成され、かつ底板エッジ(28)の後側エッジ部分(28a)から前側エッジ部分(28b)の方へゆるやかに傾斜していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
支台(17)の底板(21)が内側容器(2)の排出栓(13)の下方の出口範囲内に、前方へ開放した谷状の凹部(33)を有し、この凹部がU字状横断面形状を有する前側の支持脚を形成し、この支持脚によって底板(21)が支台(17)の中央スキッド(22)に支持され、底板(21)がさらに、中央スキッド(22)の中央支持脚(25)および後側支持脚(26)と、両外側スキッド(23、24)の前側支持脚(27)、中央支持脚(25)および後側支持脚(26)に載っていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
中央の補強薄板(34)を備え、この補強薄板が支台(17)の底板(21)の両部分(21a、21b)の下面(36)に取付けられ、かつ横方向ウェブ(31)に対して平行に向いていることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
両底板部分(21a、21b)の下面(36)に、補強薄板(34)用の保持部(35)が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
支台(17)の底板(21)と外壁(14)が、中央スキッド(22)と両外側スキッド(23、24)の支持脚(25〜27)にボルト止めおよび/または溶接されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−190790(P2009−190790A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30842(P2009−30842)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(504119273)プロテヒナ・ソシエテ・アノニム (13)
【Fターム(参考)】