説明

液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法及び測定装置

【課題】液体試料中の微生物の測定キットにおいて、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、微生物の損失が少なく熟練を必要とせず、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうること。
【解決手段】予め第1のシリンジ2に凝集剤3を吸引しておき、液体試料LSを吸引して攪拌し、直ちに1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を先端に取付け、この混合液15をろ過し、2次フィルターケース6のみを取外して、第2のシリンジ7で洗浄液8を吸引しておき2次フィルターケース6を洗浄する。次に、溶菌剤9で2次フィルターケース6内を満たして、約30秒間反応させ、測定用チューブ10に反応液16を押出し、予め調製しておいた発光試薬(11a+11b)を加え、アダプタ12を取付けて軽く攪拌し、直ちにルミノメータで発光量を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常のATP法では微生物の測定が困難とされている固形食品、牛乳、乳製品等、遊離ATP(体細胞ATP)を多く含む食品・水・化粧品等の液体試料中の微生物を迅速かつ容易に高感度で測定することができる測定キット及び測定方法及び測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等の微生物の測定には、標準寒天平板法が一般的に用いられているが、この方法では判定までに24〜48時間という長時間を要するので、微生物汚染が発生した場合に、迅速な対応を採ることができない。また、より簡便で迅速な微生物の検出方法として、微生物中のアデノシン三リン酸(ATP)の量をルミノメータを用いて発光量を測定し、これから微生物数を算出するバイオルミネッセンス法(ATP法)が知られている。しかし、この方法では、微生物数が少ない検体液の場合、例えば、103〜104個/ml以下ではルミノメータの測定限界以下となり、検出できない。
【0003】
一方、ほとんどの食品の場合、微生物に由来しない遊離ATPを含んでおり、この遊離ATP濃度は、微生物由来のATP濃度に比べて桁違いに高い場合が多く、これらの妨害を予め除去しないと、微生物中のATPを正しく測定することはできないという問題点があった。これらの問題を解決するために、検体液のろ過やATP分解酵素であるアピラーゼ等を用いて微生物に由来しない遊離ATPを予め分解してから、ATP法を適用する方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、遊離ATPを短時間で分解するためには、測定試料中のATP分解酵素の濃度を十分に高くする必要があり、この分解酵素の濃度が高すぎると、次の工程で抽出した微生物由来のATPの発光を抑制し、測定濃度が著しく減少してしまうという問題が生じる。
【0005】
また、検体液をろ過して、その中に含まれている微生物をろ過材上に捕捉し、ろ過材とろ過材上の微生物に付着しているATP分解試薬を洗い流し、微生物中のATPを抽出する方法も提案されている。しかし、この方法は、ろ過の容易な食品試料(アルコール飲料や調味料つゆ等)に限定され、市販の牛乳や乳製品のように、蛋白質や脂質、無脂乳固形分を多量に含む濁度の高い試料には、ろ過が困難で適用できない。
【0006】
このようなろ過の困難な乳製品試料を希釈処理し、その希釈液中の微生物ATPを測定する方法も提案されている。この方法では試料0.1mlを採取し、これに処理液0.1ml、希釈液0.7ml、ATP消去剤0.1mlを加えて混合し、その混合物1.0mlから0.1mlを測定チューブに分取して30分放置し、次に発光試薬 0.1mlを添加し、ルミノメータで発光量を測定する。これは、0.01mlという極めて微量の試料中の微生物ATPを測定しているので、発光量も極めて少ない。したがって、試薬ブランク値が常に発光量(RLU)50以下の低い値でないと、正しい測定結果が得られない。そのため、使用する処理液、希釈液、抽出剤、高感度発光試薬の汚染の有無調査等が要求される等、問題点が多い。
【0007】
そこで、本出願人は、特許文献1において、食品試料をリン酸系凝集剤及びエチレンジアミン四酢酸塩等のろ過促進剤と混合して重力による自然ろ過を行った後、ろ液をメンブランフィルターで減圧ろ過して試料中の微生物をろ過膜上に捕捉濃縮し、ろ過膜上の微生物に由来しない遊離ATPを洗浄液で洗浄除去した後、微生物にATP抽出試薬(溶菌剤)を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することによって、食品中の微生物を測定する方法について開示している。この方法によれば、従来の方法に比べて著しく容易、迅速かつ高感度に微生物を測定することができる。
【特許文献1】特開2003−284589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示された方法においては、リン酸系凝集剤を用いているため、熟練者でないと凝集反応時に蛋白質も微生物も無差別に凝集させ、試料中の微生物を損失してしまうことがあり、また、ATP抽出時には微生物をリン酸系凝集剤がコーティングしているため溶菌剤が効き難く、多量の洗浄液による洗浄が不可欠となり、これが検査結果の不安定化要因となる恐れがあった。
【0009】
そこで、本発明は、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法及び測定装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、液体試料を採取する第1のシリンジと、前記第1のシリンジ中で前記液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と、前記凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターを収納して前記第1のシリンジに取付け可能とした1次フィルターケースと、前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターを収納して前記1次フィルターケースに取付け可能とした2次フィルターケースと、前記2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、前記2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、前記2次フィルターに捕捉された前記微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、前記溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、前記溶出したATPを発光させる発光試薬とを具備するものである。
【0011】
請求項2の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、液体試料を採取する第1のシリンジと、不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターを収納して前記第1のシリンジに取付け可能とした1次フィルターケースと、前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターを収納して前記1次フィルターケースに取付け可能とした2次フィルターケースと、前記2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、前記2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、前記2次フィルターに捕捉された前記微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、前記溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、前記溶出したATPを発光させる発光試薬とを具備するものである。
【0012】
請求項3の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、微生物を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)を透過させる2次フィルターを収納した2次フィルターケースと、前記2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、前記2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、前記2次フィルターに捕捉された前記微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、前記溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、前記溶出したATPを発光させる発光試薬とを具備するものである。
【0013】
請求項4の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、更に、前記2次フィルターケースを先端に取付け可能な第3のシリンジを具備するものである。
【0014】
請求項5の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、更に、発光量を測定するためのルミノメータと、前記測定用チューブの先端を前記ルミノメータの発光測定部に届かせるために前記測定用チューブに取付けられるアダプタとを具備するものである。
【0015】
請求項6の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、更に、ろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を具備するか、または前記凝集剤として予め前記ろ過促進剤を混入したものを使用するものである。
【0016】
請求項7の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記1次フィルター及び前記2次フィルターはそれぞれ前記1次フィルターケース及び前記2次フィルターケースに一体に組み込まれて使い捨てにされるものである。
【0017】
請求項8の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合する工程と、前記凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過する工程と、ろ液を前記1次フィルターより小さい孔径を有し前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程を具備するものである。
【0018】
請求項9の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、請求項8の構成において、前記液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合する工程の後に、または同工程と同時にろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を加える工程を追加したものである。
【0019】
請求項10の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、液体試料を不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過する工程と、ろ液を前記1次フィルターより小さい孔径を有し前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程とを具備するものである。
【0020】
請求項11の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、液体試料を微生物を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)を透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程とを具備するものである。
【0021】
請求項12の発明にかかる液体試料中の微生物の測定装置は、液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合し、前記凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、ろ液を前記1次フィルターより小さい孔径を有し前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定するものである。
【0022】
請求項13の発明にかかる液体試料中の微生物の測定装置は、請求項12の構成において、前記液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合した後に、または同時に、ろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を加えるものである。
【0023】
請求項14の発明にかかる液体試料中の微生物の測定装置は、液体試料を不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、ろ液を前記1次フィルターより小さい孔径を有し前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定するものである。
【0024】
請求項15の発明にかかる液体試料中の微生物の測定装置は、液体試料を微生物を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)を透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定するものである。
【0025】
請求項16の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは液体試料中の微生物の測定方法或いは液体試料中の微生物の測定装置は、請求項1乃至請求項15のいずれか1つの構成において、前記凝集剤または前記ろ過促進剤としてエチルアルコール等の脂肪族アルコール、安息香酸・サリチル酸等のカルボン酸、またはキトサン、キトサンオリゴ糖を用いるものである。
【0026】
請求項17の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項1乃至請求項16のいずれか1つの構成において、前記1次フィルターとして孔径1μm〜10μmのろ過材を用いるものである。
【0027】
請求項18の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項1乃至請求項17のいずれか1つの構成において、前記2次フィルターが孔径0.1μm〜0.5μmの微細孔を有するろ過材であるものである。
【0028】
請求項19の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項1乃至請求項17のいずれか1つの構成において、前記2次フィルターが孔径0.1μm〜0.5μmの微細孔を有する多孔性高分子膜であるものである。
【0029】
請求項20の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項19の構成において、前記多孔性高分子膜がポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド、ポリカーボネート、セルロースアセテート、親水性ポリプロピレン、ナイロン、親水性ポリエーテルスルホン、または親水性ホウケイ酸グラスファイバーのうちいずれかの高分子からなるものである。
【0030】
請求項21の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項1乃至請求項17のいずれか1つの構成において、前記2次フィルターが孔径0.5μmを超えた大きさから孔径5μmまでの範囲の微細孔を有するものである。
【0031】
請求項22の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項1乃至請求項21のいずれか1つの構成において、前記溶菌剤がジメチルスルホキシドを含む滅菌蒸留水であるものである。
【0032】
請求項23の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項22の構成において、前記溶菌剤がジメチルスルホキシドを15容量%〜20容量%含む滅菌蒸留水であるものである。
【0033】
請求項24の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項6乃至請求項23のいずれか1つの構成において、前記ろ過促進剤としてエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩、トランス−1,2−シクロヘキサジアミン四酢酸のアルカリ金属塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、またはニトリロ三酢酸のアルカリ金属塩を用いるものである。
【0034】
請求項25の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法或いは測定装置は、請求項8乃至請求項24のいずれか1つの構成において、固体試料または粘性の高い試料は前記凝集剤と混合する前に滅菌蒸留水を添加した後、ホモジナイズして前記液体試料とするものである。
【0035】
請求項26の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、請求項1乃至請求項25のいずれか1つの構成において、前記液体試料、前記固体試料または前記粘性の高い試料は化粧品であるものである。
【発明の効果】
【0036】
請求項1の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、液体試料を採取する第1のシリンジと、第1のシリンジ中で液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と、凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP及び微生物を透過させる1次フィルターを収納して第1のシリンジの先端に取付け可能とした1次フィルターケースと、微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターを収納して1次フィルターケースの先端に取付け可能とした2次フィルターケースと、2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、2次フィルターに捕捉された微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、溶出したATPを発光させる発光試薬とを具備するものである。
【0037】
これによって、第1のシリンジの先端に1次フィルターケースを取付け、さらにその先端に2次フィルターケースを取付けた状態で、第1のシリンジ中で液体試料中の蛋白質を凝集剤で凝集させた後に第1のシリンジから液体試料を押し出すことによって、凝集した蛋白質と体細胞(内部にATPを含む)は1次フィルターに捕捉され、遊離ATPは1次フィルター・2次フィルターともに透過して2次フィルターケースの先端から排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。そこで、2次フィルターケースのみを外して新しい第1のシリンジまたは第2のシリンジの先端に取付け、洗浄液を押出して2次フィルターを充分洗浄した後、溶菌剤を第2のシリンジ内に吸引し、2次フィルターケースを先端に取付けて溶菌剤を注入して反応させ、2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させる。
【0038】
こうして微生物由来のATPのみを抽出した試料液を、測定用チューブに集めて発光試薬を加え、発光量を測定する。これによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。そして、これらの必要な器具及び試薬がキットになっているので、専用ケースに入れて持ち運ぶことによって、牧場や工場・食品加工現場・化粧品開発現場等でも短時間で容易に微生物量の測定を行うことができる。
【0039】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットとなる。
【0040】
請求項2の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、液体試料を採取する第1のシリンジと、不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP及び微生物を透過させる1次フィルターを収納して第1のシリンジに取付け可能とした1次フィルターケースと、微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターを収納して1次フィルターケースに取付け可能とした2次フィルターケースと、2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、2次フィルターに捕捉された微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、溶出したATPを発光させる発光試薬とを具備する。
【0041】
なお、更に、採取した液体試料のろ過を短時間で行えるようにするためのろ過促進剤を具備して、第1のシリンジ内で採取した液体試料と混合するようにしても良い。
【0042】
これによって、第1のシリンジの先端に1次フィルターケースを取付け、さらにその先端に2次フィルターケースを取付けた状態で、第1のシリンジから液体試料を押し出すことによって、不純物及び粒径の大きい物質は1次フィルターに捕捉され、遊離ATPは1次フィルター・2次フィルターともに透過して2次フィルターケースの先端から排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。そこで、2次フィルターケースのみを外して新しい第1のシリンジまたは第2のシリンジの先端に取付け、洗浄液を押出して2次フィルターを充分洗浄した後、溶菌剤を第2のシリンジ内に吸引し、2次フィルターケースを先端に取付けて溶菌剤を注入して反応させ、2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させる。
【0043】
こうして微生物由来のATPのみを抽出した試料液を、測定用チューブに集めて発光試薬を加え、発光量を測定する。これによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。そして、これらの必要な器具及び試薬がキットになっているので、専用ケースに入れて持ち運ぶことによって、工場・食品加工現場・化粧品開発現場等でも短時間で容易に微生物量の測定を行うことができる。
【0044】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットとなる。
【0045】
請求項3の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターを収納した2次フィルターケースと、2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、2次フィルターに捕捉された微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、溶出したATPを発光させる発光試薬とを具備する。
【0046】
液体試料が化粧水や香水、水道水等の、ろ過が容易で蛋白質や体細胞或いは不純物や粒径の大きい物質等の混入が考えられないものである場合には、請求項1及び請求項2の発明にかかる測定キットにおける1次フィルターによるろ過が不要であるため、第2のシリンジの先端に2次フィルターケースを取付けた状態で、第2のシリンジから液体試料または液体試料とろ過促進剤としての洗浄液(例えば、エチルアルコール(エタノール)等の脂肪族アルコール等)を混合したものを押し出すことによって、遊離ATPは2次フィルターを透過して2次フィルターケースの先端から排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。
【0047】
そこで、第2のシリンジから液体試料のみを押し出した場合には、2次フィルターケースを外して、新しい第3のシリンジまたは第2のシリンジに洗浄液を吸引して、2次フィルターケースを先端に取付け、洗浄液を押出して2次フィルターを充分洗浄した後、溶菌剤を新しい第3のシリンジまたは第2のシリンジ内に吸引し、2次フィルターケースを先端に取付けて溶菌剤を注入して反応させ、2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させる。
【0048】
こうして微生物由来のATPのみを抽出した試料液を、測定用チューブに集めて発光試薬を加え、発光量を測定する。これによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。そして、これらの必要最小限の器具及び試薬がキットになっているので、専用ケースに入れて持ち運ぶことによって、工場・食品加工現場・化粧品開発現場等でも短時間で容易に微生物量の測定を行うことができる。
【0049】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットとなる。
【0050】
請求項4の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、更に、2次フィルターケースを先端に取付け可能な第3のシリンジを具備する。
【0051】
第2のシリンジに洗浄液を吸引して、2次フィルターケースを先端に取付け、洗浄液を押出して2次フィルターを充分洗浄した後、同じ第2のシリンジに溶菌剤を吸引して2次フィルターケースを先端に取付けて溶菌剤を注入して反応させ、2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させることもできるが、第3のシリンジを用意して溶菌剤を吸引しておき、第3のシリンジの先端に2次フィルターケースを取付けて溶菌剤を注入して反応させた方が、より短時間で測定を行うことができる。
【0052】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットとなる。
【0053】
請求項5の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、更に、発光量を測定するためのルミノメータと、前記測定用チューブの先端を前記ルミノメータの発光測定部に届かせるために前記測定用チューブに取付けられるアダプタとを具備するものである。
【0054】
ルミノメータは、熟練を要せず誰でも何処でも容易かつ正確に発光量を測定できる測定機器であり、測定用チューブの先端をルミノメータの発光測定部に届かせるためには測定用チューブに取付けられるアダプタが必要となる。請求項1の構成に更にこれらを加えることによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。そして、これらの必要な器具及び試薬及び機器がキットになっているので、専用ケースに入れて持ち運ぶことによって、牧場や工場・食品加工現場・化粧品開発現場等でも短時間で容易に微生物量の測定を行うことができる。
【0055】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットとなる。
【0056】
請求項6の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、更に、ろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を具備するか、または凝集剤として予めろ過促進剤を混入したものを使用するものである。ここで、ろ過促進剤としてはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のナトリウム塩等を用いることができる。第1のシリンジ中で液体試料中の蛋白質を凝集剤で凝集させた後に、または凝集剤と同時にろ過促進剤を加えることによって、1次フィルターケース及び2次フィルターケースによるろ過処理を初心者でもスムーズに短時間で行うことができ、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。そして、これらの必要な器具及び試薬及び機器がキットになっているので、専用ケースに入れて持ち運ぶことによって、牧場や工場・食品加工現場・化粧品開発現場等でも短時間で容易に微生物量の測定を行うことができる。
【0057】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットとなる。
【0058】
請求項7の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、1次フィルター及び2次フィルターはそれぞれ1次フィルターケース及び2次フィルターケースに一体に組み込まれて使い捨てにされるものである。これによって、フィルターをフィルターケースにセットしたり、フィルターケースから取出したりする手間が省けて、測定をより迅速に行うことができる。さらに、一度使用するだけの使い捨てとすることによって、測定精度も向上して信頼性の高い測定を行うことができる。
【0059】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットとなる。
【0060】
請求項8の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、液体試料を液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合する工程と、凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過する工程と、ろ液を1次フィルターより小さい孔径を有し微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程を具備するものである。
【0061】
これによって、液体試料中の蛋白質を凝集剤で凝集させた後に1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、ろ液を2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過することによって、凝集した蛋白質と体細胞(内部にATPを含む)は1次フィルターに捕捉され、遊離ATPは1次フィルター・2次フィルターともに透過して排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。そこで溶菌剤を加えて2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させ、発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。
【0062】
なお、2次フィルターに微生物に由来しない遊離ATPや他の発光物質が測定に影響する程度に付着していると考えられる場合等、必要に応じて加圧ろ過または減圧ろ過後に2次フィルターを少量の洗浄液で洗浄する工程を加えても良い。
【0063】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定方法となる。
【0064】
請求項9の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、前記液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合する工程の後に、または同時にろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を加える工程を追加したものである。即ち、凝集剤として予めろ過促進剤を添加したものを使用しても良い。このように、液体試料中の蛋白質を凝集剤で凝集させた後にまたは同時にろ過促進剤を加えることによって、1次フィルターでの加圧ろ過または減圧ろ過も、2次フィルターでの加圧ろ過または減圧ろ過も短持間でスムーズに進行するので、より短時間で試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定方法となる。
【0065】
請求項10の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、液体試料を不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過する工程と、ろ液を1次フィルターより小さい孔径を有し微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程とを具備する。
【0066】
これによって、液体試料を1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、ろ液を2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過することによって、不純物及び粒径の大きい物質は1次フィルターに捕捉され、遊離ATPは1次フィルター・2次フィルターともに透過して排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。そこで溶菌剤を加えて2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させ、発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。
【0067】
なお、1次フィルターによるろ過の前に、必要に応じて液体試料にろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤、または洗浄液を兼ねたろ過促進剤(例えば、エチルアルコール(エタノール)等の脂肪族アルコール等)を混合する工程を加えても良い。また、2次フィルターに微生物に由来しない遊離ATPや他の発光物質が測定に影響する程度に付着していると考えられる場合等、必要に応じて加圧ろ過または減圧ろ過後に2次フィルターを少量の洗浄液で洗浄する工程を加えても良い。
【0068】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定方法となる。
【0069】
請求項11の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程とを具備する。
【0070】
液体試料が化粧水や香水、水道水等の、ろ過が容易で蛋白質や体細胞或いは不純物や粒径の大きい物質等の混入が考えられないものである場合には、1次フィルターによるろ過が不要であるため、第2のシリンジの先端に2次フィルターケースを取付けた状態で、第2のシリンジから液体試料を押し出すことによって、遊離ATPは2次フィルターを透過して2次フィルターケースの先端から排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。そこで溶菌剤を加えて2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させ、発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。
【0071】
なお、2次フィルターによるろ過の前に、必要に応じて液体試料にろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤、または洗浄液を兼ねたろ過促進剤(例えば、エチルアルコール(エタノール)等の脂肪族アルコール等)を混合する工程を加えても良い。また、2次フィルターに微生物に由来しない遊離ATPや他の発光物質が測定に影響する程度に付着していると考えられる場合等、必要に応じて加圧ろ過または減圧ろ過後に2次フィルターを少量の洗浄液で洗浄する工程を加えても良い。
【0072】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定方法となる。
【0073】
請求項12の発明にかかる液体試料中の微生物の測定装置は、液体試料を液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合し、凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、ろ液を1次フィルターより小さい孔径を有し微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定するものである。
【0074】
これによって、液体試料中の蛋白質を凝集剤で凝集させた後に1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、ろ液を2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過することによって、凝集した蛋白質と体細胞(内部にATPを含む)は1次フィルターに捕捉され、遊離ATPは1次フィルター・2次フィルターともに透過して排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。そこで溶菌剤を加えて2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させ、発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。
【0075】
なお、2次フィルターに微生物に由来しない遊離ATPや他の発光物質が測定に影響する程度に付着していると考えられる場合等、必要に応じて加圧ろ過または減圧ろ過後に2次フィルターを少量の洗浄液で洗浄しても良い。
【0076】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定装置となる。
【0077】
請求項13の発明にかかる液体試料中の微生物の測定装置は、前記液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合した後に、または同時に、ろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を加えるものである。即ち、凝集剤として予めろ過促進剤を添加したものを使用しても良い。このように、液体試料中の蛋白質を凝集剤で凝集させた後にまたは同時にろ過促進剤を加えることによって、1次フィルターでの加圧ろ過または減圧ろ過も、2次フィルターでの加圧ろ過または減圧ろ過も短持間でスムーズに進行するので、より短時間で試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定装置となる。
【0078】
請求項14の発明にかかる液体試料中の微生物の測定装置は、液体試料を不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、ろ液を1次フィルターより小さい孔径を有し微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する。
【0079】
これによって、液体試料を1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、ろ液を2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過することによって、液体試料中の不純物及び粒径の大きい物質は1次フィルターに捕捉され、遊離ATPは1次フィルター・2次フィルターともに透過して排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。そこで溶菌剤を加えて2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させ、発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。
【0080】
なお、2次フィルターによるろ過の前に、必要に応じて液体試料にろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤、または洗浄液を兼ねたろ過促進剤(例えば、エチルアルコール(エタノール)等の脂肪族アルコール等)を混合しても良い。また、2次フィルターに微生物に由来しない遊離ATPや他の発光物質が測定に影響する程度に付着していると考えられる場合等、必要に応じて加圧ろ過または減圧ろ過後に2次フィルターを少量の洗浄液で洗浄しても良い。
【0081】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定装置となる。
【0082】
請求項15の発明にかかる液体試料中の微生物の測定装置は、微生物を捕捉し遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する。
【0083】
液体試料が化粧水や香水、水道水等の、ろ過が容易で蛋白質や体細胞或いは不純物や粒径の大きい物質等の混入が考えられないものである場合には、1次フィルターによるろ過が不要であるため、2次フィルターのみで液体試料をろ過することによって、遊離ATPは2次フィルターを透過して2次フィルターケースの先端から排出され、微生物のみが2次フィルターに捕捉される。そこで溶菌剤を加えて2次フィルターに捕捉された微生物を溶かして内部のATPを溶出させ、発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することによって、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。
【0084】
なお、2次フィルターによるろ過の前に、必要に応じて液体試料にろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤、または洗浄液を兼ねたろ過促進剤(例えば、エチルアルコール(エタノール)等の脂肪族アルコール等)を混合しても良い。また、2次フィルターに微生物に由来しない遊離ATPや他の発光物質が測定に影響する程度に付着していると考えられる場合等、必要に応じて加圧ろ過または減圧ろ過後に2次フィルターを少量の洗浄液で洗浄しても良い。
【0085】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定装置となる。
【0086】
請求項16の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置は、凝集剤またはろ過促進剤としてエチルアルコール等の脂肪族アルコール、安息香酸・サリチル酸等のカルボン酸、またはキトサン、キトサンオリゴ糖を用いるものである。これらの凝集剤は液体試料中の蛋白質のみを選択的に凝固させ、この際微生物をも取り込んでしまうことがないので、測定中における微生物の損失を少なく抑えることができ、液体試料中の微生物量を極めて短時間でかつ正確に測定することができる。
【0087】
このようにして、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、または多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置となる。
【0088】
請求項17の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置は、1次フィルターとして孔径1μm〜10μmのろ過材を用いるものである。これによって、凝固した蛋白質及び体細胞を確実に捕捉し、かつ微生物及び遊離ATPを確実に透過させることができて、高精度の微生物量の測定を行うことができる。
【0089】
請求項18の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置は、2次フィルターが孔径0.1μm〜0.5μmの微細孔を有するろ過材であるものである。これによって、微生物のみを確実に捕捉することができ、かつ遊離ATPを確実に透過させることができて、高精度の微生物量の測定を行うことができる。
【0090】
請求項19の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置は、2次フィルターが孔径0.1μm〜0.5μmの微細孔を有する多孔性高分子膜であるものである。これによって、微生物のみを確実に捕捉することができ、かつ遊離ATPを確実に透過させることができて、高精度の微生物量の測定を行うことができる。
【0091】
請求項20の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置は、多孔性高分子膜がポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド、ポリカーボネート、セルロースアセテート、親水性ポリプロピレン、ナイロン、親水性ポリエーテルスルホン、または親水性ホウケイ酸グラスファイバーのうちいずれかの高分子からなるものである。
【0092】
これらの高分子からなる多孔性高分子膜は、微生物のみを確実に捕捉することができ、かつ遊離ATPを確実に透過させることができて、高精度の微生物量の測定を行うことができる。
【0093】
請求項21の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置は、2次フィルターが孔径0.5μmを超えた大きさから孔径5μmまでの範囲の微細孔を有する。特に、このうち、2次フィルターが孔径2μm〜5μmの微細孔を有するものが好ましい。
【0094】
かかる2次フィルターは、微生物のうちでも特に酵母を測定対象とする場合に有用である。酵母は一般に大きさが約10μm程度であるため、1次フィルターを用いずに直接2次フィルターのみを用いて液体試料のろ過を行うが、2次フィルターが孔径0.1μm〜0.5μmの微細孔を有するものであると、ろ過の効率が悪くなるとともに、酵母のみを測定したい場合には、大腸菌等の細菌類も2次フィルターに捕捉されてしまうという問題点がある。
【0095】
そこで、孔径0.5μmを超えた大きさから孔径5μmまでの範囲の微細孔を有する2次フィルターを用いることによって、ほぼ酵母のみを効率良く捕捉することができる。さらに、孔径2μm〜5μmの微細孔を有する2次フィルターを用いることによって、細菌類等の他の微生物が混入する恐れがなく、しかもより効率的に酵母のみを捕捉することができるので、より好ましい。かかる酵母を含有する液体試料としては、例えば、酒を原料として製造された化粧水等がある。
【0096】
請求項22の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置は、溶菌剤がジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」ともいう。)を含む滅菌蒸留水であるものである。
【0097】
本発明者が鋭意実験研究した結果、溶菌剤として界面活性剤系の化合物を使用すると2次フィルターを通すときに泡立ってしまってうまく行かず、有機溶剤系の化合物、中でもDMSOの滅菌蒸留水溶液を用いた場合には、何らの支障なく溶菌剤として使用できることを見出し、この知見に基いて本発明を完成したものである。
【0098】
このようにして、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置となる。
【0099】
請求項23の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置は、溶菌剤がジメチルスルホキシドを15容量%〜20容量%含む滅菌蒸留水であるものである。
【0100】
DMSOは溶菌剤として優れているが、滅菌蒸留水中のDMSOの含有率が少な過ぎても溶菌作用(ATP抽出作用)が急激に低下し、また含有率が多過ぎても発光量が低下して測定に支障をきたす。そこで、本発明者が鋭意実験研究した結果、溶菌剤としてDMSOを15容量%〜20容量%含む滅菌蒸留水を用いた場合に充分な溶菌作用が得られ、かつ発光量を低下させないことを見出し、この知見に基いて本発明を完成したものである。
【0101】
このようにして、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置となる。
【0102】
請求項24の発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置は、ろ過促進剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のアルカリ金属塩、トランス−1,2−シクロヘキサジアミン四酢酸(CyDTA)のアルカリ金属塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のアルカリ金属塩、またはニトリロ三酢酸(NTA)のアルカリ金属塩を用いるものである。ここで、アルカリ金属としては、ナトリウムまたはカリウムが好ましい。
【0103】
これらのろ過促進剤は、一般にはキレート剤として用いられる化合物であるが、凝集剤と併用すると、牛乳等の液体試料中に含まれるミネラル、例えばカルシウムとキレート化合物(水溶性)を作り、ろ過を容易にする。上記のようなろ過促進剤の添加量は、使用するろ過促進剤や液体試料の種類によって変動し、一義的には決定できないが、一般に液体試料1ml当り1mg〜20mgで充分であり、EDTAのナトリウム塩の場合、市販の牛乳1ml当り1mg〜20mgで充分である。
【0104】
請求項25の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法或いは測定装置は、固体試料または粘性の高い試料は凝集剤と混合する前に滅菌蒸留水を添加した後、ホモジナイズして液体試料とするものである。
【0105】
本発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法は、牛乳等のように最初から液体である試料のみでなく、食肉等の固体試料中の微生物量を測定するのにも応用することができる。その際には、滅菌蒸留水を添加した後、ホモジナイズして液体試料とする。
【0106】
このようにして、固体試料中の微生物量を測定するのにも応用することができる液体試料中の微生物の測定方法或いは測定装置となる。
【0107】
請求項26の発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法或いは測定装置は、液体試料、固体試料または粘性の高い試料が化粧品である。
【0108】
化粧品には、ファンデーション、クレンジングクリーム・ハンドクリーム・日焼けクリーム・日焼け止めクリーム等の化粧用クリーム、口紅、アイシャドウ、マスカラ、ジェル等の固形化粧品或いは粘性の高いクリーム状の化粧品や、スキンローション・クレンジングローション等の化粧水を始めとして、クレンジングオイル、香水等の液状化粧品がある。これらの化粧品は直接肌に塗布するものであるため、当然抗菌剤が含まれている。
【0109】
したがって、化粧品の研究室等の開発現場においては抗菌剤の効果を試験する必要があるが、本発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット、測定方法または測定装置においては、従来24〜48時間という長時間(標準寒天平板法)を要していた抗菌剤の効果の試験を僅か約5分という極めて短時間で行うことができるため、化粧品を測定試料とした場合においても極めて有効である。
【0110】
このようにして、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、しかも熟練を必要とせず、化粧品の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定方法或いは測定装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0111】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0112】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キット・測定方法・測定装置について、図1乃至図6を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キットを示す斜視図である。図2(a),(b)は本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法或いは測定装置の測定原理を示す模式図である。図3(a),(b),(c),(d),(e),(f)は本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法の手順を示す説明図である。図4は液体試料が市販の牛乳の場合における本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法における実施例1の測定結果を比較例1と比較して示す図である。図5は液体試料が市販の牛乳の場合における本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法における実施例2の測定結果を示す図である。図6は液体試料が搾りたての生乳の場合における本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法における実施例2の測定結果を示す図である。
【0113】
本発明においては、液体試料としては特に制限はなく、食品では牛乳や各種乳製品、蛋白質含有量の高い豆乳等が挙げられる他、化粧品や水そのものを試料とすることができる。また固形の試料或いは粘度の高い試料は、滅菌蒸留水を添加した後、ホモジナイズして液体試料とする。
【0114】
図1に示されるように、本実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キット1は、プラスティック製の第1のシリンジ2(3ml容)、ビン入りの凝集剤3、1次フィルターを収容したポリプロピレン製の1次フィルターケース5、2次フィルターを収容したポリプロピレン製の2次フィルターケース6、プラスティック製の第2のシリンジ7(1ml容)、ビン入りの洗浄液8、ビン入りの溶菌剤9、プラスティック製の測定用チューブ10、容器入りの発光試薬溶解液11a及びビン入りの発光試薬粉末11bからなる発光試薬11、測定時に測定用チューブ10に取付けるアダプタ12、そしてアダプタ12を取付けた測定用チューブ10を立設した円筒部に入れて発光量を測定するルミノメータ13、を具備している。
【0115】
次に、かかる液体試料中の微生物の測定キット1を用いた本実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法の測定原理について、図2を参照して説明する。図2(a)に示されるように、牛乳等の液体試料LS中には、微生物MO以外に遊離ATP・FA、体細胞BC(内部にATPを含む)、蛋白質PR等が混在している。したがって、これらの物質を液体試料LS中から取り除かなければ、正確な微生物MOの混入量を測定することができない。そこで、蛋白質PRだけを凝集させる凝集剤を液体試料LSと混合して反応させることによって、凝集した蛋白質GPRとする。
【0116】
ここで、蛋白質PRだけを凝集させる凝集剤としては、エチルアルコール等の脂肪族アルコール、安息香酸・サリチル酸等のカルボン酸、さらにはキトサン、キトサンオリゴ糖等がある。これらの凝集剤は、蛋白質PRを凝集させることができ、その際微生物MOを一緒に凝集させないので、微生物MOの損失が少ない。
【0117】
これによって、図2(b)に示されるように、1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を接続したものに液体試料LSを通すことによって、凝集した蛋白質GPRと体細胞BCを捕捉し遊離ATP・FA及び微生物MOを透過させる1次フィルター5aにおいて、凝集した蛋白質GPRと体細胞BCが捕捉されて取り除かれ、さらに微生物MOを捕捉し遊離ATP・FAを透過させる2次フィルター6aにおいて微生物MOが捕捉され、遊離ATP・FAは透過して排出されて取り除かれる。後は、2次フィルター6aから微生物MO内のATPを取出して発光試薬を入れ、発光量を測定することによって最初の液体試料LS中に含まれていた微生物MOの量が高精度で測定される。
【0118】
ここで、1次フィルター5aとしては、孔径約1μm〜約10μmのメンブランフィルターを用いるのが好ましい。メンブランフィルターとしては、例えば、プレフィルターとしてホウケイ酸ガラスを用いた親水性ポリエーテルスルホン(2枚で1つのフィルター)、ポリエステル不織布にセルロースアセテートをコートしたメンブランフィルター、親水性ホウケイ酸グラスファイバー、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、セルロースアセテート、セルロース混合エステル等を用いることができる。メンブランフィルターは、孔径が一定で圧力に強いので、1次フィルター5aとしてメンブランフィルターを用いることによって、安定して検査を行うことができる。
【0119】
また、2次フィルター6aとしてのメンブランフィルターは、孔径約0.1μm〜約0.5μm、好ましくは孔径約0.2μm〜約0.45μmの微細孔を有する多孔性高分子膜を用いるのが好ましい。多孔性高分子膜としては、PTFE、ポリビニリデンジフルオライド、ポリカーボネート、セルロースアセテート、親水性ポリプロピレン、ナイロン、親水性ポリエーテルスルホン、または親水性ホウケイ酸グラスファイバー等の高分子からなる分離膜を用いることができる。
【0120】
上記のようなメンブランフィルターでろ過すると、微生物MOはろ過膜6a上に捕捉・濃縮される。このろ過膜6a及び微生物MOには、微生物MOに由来しない遊離ATP・FAや発光物質も付着していることがあるので、必要に応じて、これらを洗浄液で洗浄除去する。洗浄液としては、例えばエタノールの60容量%〜100容量%滅菌蒸留水溶液やDMSOの1容量%〜8容量%(より好ましくは4容量%〜5容量%)滅菌蒸留水溶液等を用いることができる。
【0121】
次に、この測定原理を応用した、本実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キット1による微生物の測定方法の具体的な手順について、図3を参照して説明する。まず、図3(a)に示されるように、予め第1のシリンジ2(3ml容)に凝集剤3を所定量(2.1ml)吸引しておき、試料カップ14に液体試料LSを入れて第1のシリンジ2で所定量(0.7ml)吸引して、さらに空気を入れて第1のシリンジ2の先端を指で押えて5秒間程度攪拌する。凝集剤3の種類と添加量は、液体試料LSの種類によって変動するが、例えば、市販の牛乳の場合、牛乳0.7mlに対して2.1mlの割合でカルボン酸系の凝集剤(安息香酸等)を添加すると、凝集反応が迅速に進行する。
【0122】
続いて、図3(b)に示されるように、攪拌後直ちに1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものを第1のシリンジ2の先端に取付けて、ゆっくりと第1のシリンジ2のピストンを押してこの混合液15をろ過する。ろ過後、一旦第1のシリンジ2を取外して空気を吸い込み、再び1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものに取付けて空気を送り込むことによって、フィルター内の試料を全てろ過する。このとき、上述したように、図2(b)に示される現象が起こっている。
【0123】
全量がろ過できたら、2次フィルターケース6のみを取外して、図3(c)に示されるように、第2のシリンジ7で洗浄液8を吸引しておき、2次フィルターケース6を第2のシリンジ7の先端に取付けて第2のシリンジ7のピストンを押して、洗浄液8で2次フィルターケース6を洗浄する。ろ過後、一旦第2のシリンジ7を取外して空気を吸い込み、再び2次フィルターケース6に取付けて空気を送り込むことによって、2次フィルターケース6内の洗浄液8を完全に除去する。洗浄液8が残ると、次の溶菌処理が不完全になるので注意しなければならない。
【0124】
次に、図3(d)に示されるように、第2のシリンジ7で溶菌剤9を所定量(0.2ml)吸引しておき、2次フィルターケース6を取付けて、第2のシリンジ7を上下逆にして下から2次フィルターケース6内に溶菌剤9を送り込み、溶菌剤9で2次フィルターケース6内を満たす。そして、2次フィルターケース6を回転させたり軽く振動を与えたりしながら溶菌剤9が満遍なく2次フィルター6aに行き渡るようにして、約30秒間反応させる。反応後、図3(e)に示されるように、測定用チューブ10に反応液16を押出し、2次フィルター6aに残った反応液16も空気で押し出すことによって完全に測定用チューブ10に集める。
【0125】
続いて、図3(f)に示されるように、予め発光試薬溶解液11aを発光試薬粉末11bに加えて調製しておいた発光試薬11を所定量(0.1ml)加え、アダプタ12を取付けて軽く攪拌した後、直ちにルミノメータ13で発光量を測定する。発光試薬は、特に制限はなく、通常、ルシフェラーゼとルシフェリンが用いられる。
【0126】
[実施例1]
次に、本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法の実施例1に基づいて本発明を具体的に説明する。
【0127】
本実施例1及び比較例に用いた標準培養液は、酵母エキス0.5%、ペプトン1.5%、塩化ナトリウム0.5%、リン酸水素カリウム0.5%を含むものであり、発光試薬は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び酢酸マグネシウムを主成分とし、Tricine緩衝液に溶解したものである。
【0128】
20mlの標準培養液に生乳を少量加えて培養したものを遠心分離し、培養液を捨て、沈殿した菌に、無菌であることが確認されている市販の牛乳を20ml加えてよく攪拌した。これを同様の市販の牛乳で5段階に希釈し、これらを試料とした。
【0129】
フィルターとしては、直径47mm、孔径10μmの1次フィルター(材質:ポリエステル不織布にセルロースアセテートをコートしたメンブランフィルター)と、直径25mm、孔径0.5μmの2次フィルターとしてのメンブランフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン)を用い、それぞれのフィルターカバーをルアーフィッティングで接続したものを用いた。
【0130】
10ml容のシリンジを用いて試料3mlを吸引し、さらにそのまま凝集剤として7mlの99.5%のエタノールを加え、直ちに約10秒間激しく混合し、上記フィルターでろ過した。この時、試料中の蛋白質等は1次フィルターに捕らえられ、2次フィルターには主に微生物がろ集されており、遊離ATPはろ液として排出される。次に、2次フィルターをフィルターカバーから取り出し、測定用チューブに移し、0.2mlの20%DMSO溶液を加えて1分間放置した後、発光試薬0.1mlを加えてルミノメータで発光量(RLU)を測定した。
【0131】
別に、段階希釈された前記の各試料を標準培養法により培養し、微生物数を測定した。測定された微生物数と発光量との関係を図4に示す。横軸は菌数(cfu/ml)を、縦軸は発光量(RLU)を示しており、いずれも対数軸である。このグラフから、本実施例1にかかる液体試料中の微生物の測定方法によれば、発光量(ATP濃度)と菌数は、104 個/ml以上で良好な比例関係が成立することが分かった。
【0132】
[比較例]
比較例として、0.1mlの各試料に0.2mlの20%DMSO溶液を加えて1分間放置し、次いで0.1mlの発光試薬を添加し、ルミノメータで発光量を測定した。
【0133】
菌数と測定された発光量(ATP濃度)との関係を図4に、白い四角でプロットして示した。この場合には、菌数と発光量との間に相関関係が認められない。
【0134】
このように、本実施例1によれば、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を簡単な操作で容易かつ迅速に行うことができ、その際、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、又は多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。また、本実施例1は、濁度の高い牛乳及び乳製品試料や固形食品でも適用でき、多量のたんぱく質やミネラルを含むろ過困難な豆乳等の食品中の微生物由来のATPを低濃度まで良好に測定することができる。さらに、本実施例1においては、1次フィルター及び2次フィルターの両方にメンブランフィルターを用いているので、安定した検査を行うことができ、ルミノメータ以外の特別の装置や技術を必要とせず、熟練しなくても生産現場で検査可能である。
【0135】
[実施例2]
次に、本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法の実施例2に基づいて、図1乃至図3を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。本実施例2においては、上述した本実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キット1を用いて、微生物の測定を行った。
【0136】
本実施例2に用いた標準培養液は、酵母エキス0.5%、ペプトン1.5%、塩化ナトリウム0.5%、リン酸水素カリウム0.5%を含むものであり、発光試薬11は、ルシフェリン、ルシフェラーゼ及び酢酸マグネシウムを主成分とした粉末11bを、Tricine緩衝液11aに溶解したものである。
【0137】
20mlの標準培養液に生乳を少量加えて培養したものを遠心分離し、培養液を捨て、沈殿した菌に、無菌であることが確認されている市販の牛乳を20ml加えてよく攪拌した。これを同様の市販の牛乳で5段階に希釈し、これらを液体試料LSとした。また、同様に牧場で採取した搾り立ての生乳を20ml加えてよく攪拌し、同様の生乳で数段階に希釈し、これらも液体試料LSとした。
【0138】
まず、図3(a)に示されるように、予め第1のシリンジ2(3ml容)に凝集剤として安息香酸3を2.1ml吸引しておき、試料カップ14に液体試料LSを入れて第1のシリンジ2で0.7ml吸引して、さらに空気を入れて第1のシリンジ2の先端を指で押えて5秒間程度攪拌した。続いて、図3(b)に示されるように、攪拌後直ちに1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものを第1のシリンジ2の先端に取付けて、ゆっくりと第1のシリンジ2のピストンを押してこの混合液15をろ過した。ろ過後、一旦第1のシリンジ2を取外して空気を吸い込み、再び1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものに取付けて空気を送り込むことによって、フィルター内の試料を全てろ過した。
【0139】
全量がろ過できたら、2次フィルターケース6のみを取外して、図3(c)に示されるように、第2のシリンジ7で洗浄液としてのエタノール60容量%滅菌蒸留水溶液8を吸引しておき、2次フィルターケース6を第2のシリンジ7の先端に取付けて第2のシリンジ7のピストンを押して、洗浄液8で2次フィルターケース6を洗浄した。ろ過後、一旦第2のシリンジ7を取外して空気を吸い込み、再び2次フィルターケース6に取付けて空気を送り込むことによって、2次フィルターケース6内の洗浄液8を完全に除去した。
【0140】
なお、本実施例2においては、洗浄液8としてエタノール60容量%溶液を用いた例について説明したが、他にもDMSO1容量%〜8容量%滅菌蒸留水溶液、より好ましくはDMSO4容量%〜5容量%滅菌蒸留水溶液等を洗浄液8として用いることができる。
【0141】
次に、図3(d)に示されるように、第2のシリンジ7で溶菌剤としてのDMSO20容量%溶液9を0.2ml吸引しておき、2次フィルターケース6を取付けて、第2のシリンジ7を上下逆にして下から2次フィルターケース6内に溶菌剤9を送り込み、溶菌剤9で2次フィルターケース6内を満たした。そして、2次フィルターケース6を回転させたり軽く振動を与えたりしながら溶菌剤9が満遍なく2次フィルター6aに行き渡るようにして、約30秒間反応させ、図3(e)に示されるように、測定用チューブ10に反応液16を押出し、2次フィルター6aに残った反応液16も空気で押し出すことによって完全に測定用チューブ10に集めた。
【0142】
続いて、図3(f)に示されるように、予め調製しておいた発光試薬11を0.1ml加え、アダプタ12を取付けて軽く攪拌した後、直ちにルミノメータ13で発光量を測定した。別に、段階希釈された前記の各試料を標準培養法により培養し、微生物数を測定した。測定された微生物数と発光量との関係を、市販の牛乳について図5に、生乳について図6に示す。なお、生乳は市販の牛乳と異なり無菌ではないので、ブランクの状態ですでに発光する。図6においては、このブランクの発光量を差し引いた値を発光量として示している。横軸は菌数(cfu/ml)を、縦軸は発光量(RLU)を示しており、いずれも対数軸である。このグラフから、本実施例2にかかる液体試料中の微生物の測定方法によれば、発光量(ATP濃度)と菌数は、104個/ml以上で良好な比例関係が成立することが分かった。
【0143】
このように、本実施例2にかかる液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法によれば、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を簡単な操作で容易かつ迅速に行うことができ、その際、洗浄液による洗浄を全く必要としないか、又は多量の洗浄液による洗浄を必要とせず、しかも微生物の損失が少ないため、著しく信頼度の高い検査結果が得られる。また、本実施例2にかかる液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法は、濁度の高い牛乳及び乳製品試料や固形食品でも適用でき、多量のたんぱく質やミネラルを含むろ過困難な豆乳等の食品中の微生物由来のATPを低濃度まで良好に測定することができる。さらに、本実施例2においては、1次フィルター及び2次フィルターの両方をケースに収納して使い捨てにしているので、安定した検査を行うことができ、ルミノメータ以外の特別の装置や技術を必要とせず、熟練しなくても牧場や工場等の現場で検査可能である。
【0144】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2にかかる液体試料中の微生物の測定キット・測定方法・測定装置について、図1乃至図3を参考にしながら説明する。本実施の形態2にかかる液体試料中の微生物の測定キットは、図1に示される実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キット1に、さらにろ過促進剤を追加したものである。本実施の形態2においては、ろ過促進剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のナトリウム塩を用いる。または、EDTAのナトリウム塩を図1に示される測定キット1のビン入りの凝集剤3に所定割合で予め混合しておいても良い。EDTAのナトリウム塩は、一般にはキレート剤として用いられる化合物であるが、凝集剤と併用すると、牛乳等の液体試料中に含まれるミネラル、例えばカルシウムとキレート化合物(水溶性)を作り、ろ過を容易にする。
【0145】
したがって、本実施の形態2にかかる微生物の測定方法の測定原理は、図2に示される通りになり、水溶性のキレート化合物は、遊離ATP・FAとともに2次フィルター6aを透過して系外に排出される。これによって、液体試料のろ過が一層容易になり、測定時間も短縮できる。
【0146】
次に、この測定原理を応用した、本実施の形態2にかかる液体試料中の微生物の測定キットによる微生物の測定方法の具体的な手順について、図3を参照して説明する。まず、図3(a)に示されるように、予め第1のシリンジ2(3ml容)に凝集剤3とろ過促進剤としてのEDTAのナトリウム塩の混合剤を所定量(2.1ml)吸引しておき、試料カップ14に液体試料LSを入れて第1のシリンジ2で所定量(0.7ml)吸引して、さらに空気を入れて第1のシリンジ2の先端を指で押えて5秒間程度攪拌する。凝集剤3の種類と添加量は、液体試料LSの種類によって変動するが、例えば、市販の牛乳の場合、牛乳0.7mlに対して2.1mlの割合でカルボン酸系の凝集剤(安息香酸等)を添加すると、凝集反応が迅速に進行する。
【0147】
あるいは、凝集剤3のみを所定量(2.1ml)吸引しておき、液体試料LSを吸引して攪拌した後に、直ちにろ過促進剤としてEDTAのナトリウム塩を加えて、さらに第1のシリンジ2の先端を指で押えて5秒間程度攪拌する方法を採ることもできる。続いて、図3(b)に示されるように、攪拌後直ちに1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものを第1のシリンジ2の先端に取付けて、ゆっくりと第1のシリンジ2のピストンを押してこの混合液15をろ過する。ろ過後、一旦第1のシリンジ2を取外して空気を吸い込み、再び1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものに取付けて空気を送り込むことによって、フィルター内の試料を全てろ過する。このとき、上述したように、図2(b)に示される現象が起こっている。
【0148】
全量がろ過できたら、2次フィルターケース6のみを取外して、図3(c)に示されるように、第2のシリンジ7で洗浄液8を吸引しておき、2次フィルターケース6を第2のシリンジ7の先端に取付けて第2のシリンジ7のピストンを押して、洗浄液8で2次フィルターケース6を洗浄する。ろ過後、一旦第2のシリンジ7を取外して空気を吸い込み、再び2次フィルターケース6に取付けて空気を送り込むことによって、2次フィルターケース6内の洗浄液8を完全に除去する。洗浄液8が残ると、次の溶菌処理が不完全になるので注意しなければならない。
【0149】
次に、図3(d)に示されるように、第2のシリンジ7で溶菌剤9を所定量(0.2ml)吸引しておき、2次フィルターケース6を取付けて、第2のシリンジ7を上下逆にして下から2次フィルターケース6内に溶菌剤9を送り込み、溶菌剤9で2次フィルターケース6内を満たす。そして、2次フィルターケース6を回転させたり軽く振動を与えたりしながら溶菌剤9が満遍なく2次フィルター6aに行き渡るようにして、約30秒間反応させる。反応後、図3(e)に示されるように、測定用チューブ10に反応液16を押出し、2次フィルター6aに残った反応液16も空気で押し出すことによって完全に測定用チューブ10に集める。
【0150】
続いて、図3(f)に示されるように、予め発光試薬溶解液11aを発光試薬粉末11bに加えて調製しておいた発光試薬11を所定量(0.1ml)加え、アダプタ12を取付けて軽く攪拌した後、直ちにルミノメータ13で発光量を測定する。発光試薬は、特に制限はなく、通常、ルシフェラーゼとルシフェリンが用いられる。
【0151】
なお、上述したような液体試料中の微生物の測定方法に用いられる測定装置は、上記各実施の形態においては、測定キット1或いは測定キット1にろ過促進剤を追加した測定キットを用いて人の手によって測定する例について説明したが、これらを人の手を殆ど用いない自動測定装置とすることも可能である。
【0152】
また、上記各実施の形態においては、液体試料中の微生物の測定を僅か約5分という短時間で行うことができ、従来法(標準寒天平板法)では24時間から48時間という長時間を要していたのに比べて、桁違いの速さで測定を行うことができる。
【0153】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定キット・測定方法・測定装置について、図7乃至図9を参照して説明する。
【0154】
図7は本発明の実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定キットを示す斜視図である。図8(a),(b),(c),(d),(e),(f)は本発明の実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定方法の手順を示す説明図である。図9は化粧用クリーム(ハンドクリーム)中の菌数と発光量との相関性を2種類のルミノメータについて示した図である。
【0155】
図7に示されるように、本実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定キット21は、図1に示される実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キット1に、さらに第3のシリンジ22及びろ過促進剤23を追加し、凝集剤3を除いたものである。
【0156】
したがって、本実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定キット21は、プラスティック製の第1のシリンジ2(3ml容)、ビン入りのろ過促進剤23、1次フィルターを収容したポリプロピレン製の1次フィルターケース5、2次フィルターを収容したポリプロピレン製の2次フィルターケース6、プラスティック製の第2のシリンジ7(1ml容)、プラスティック製の第3のシリンジ22(1ml容)、ビン入りの洗浄液8、ビン入りの溶菌剤9、プラスティック製の測定用チューブ10、容器入りの発光試薬溶解液11a及びビン入りの発光試薬粉末11bからなる発光試薬11、測定時に測定用チューブ10に取付けるアダプタ12、そしてアダプタ12を取付けた測定用チューブ10を立設した円筒部に入れて発光量を測定するルミノメータ13、を具備している。
【0157】
この液体試料中の微生物の測定キット21は、凝集剤3を有していないことから、蛋白質を凝集させる必要のない、蛋白質や体細胞が入っている恐れのない液体試料、例えば化粧品等の測定に適したものである。
【0158】
中でも、ファンデーション、クレンジングクリーム・ハンドクリーム・日焼けクリーム・日焼け止めクリーム等の化粧用クリーム、口紅、アイシャドウ、マスカラ、ジェル等の固形化粧品或いは粘性の高いクリーム状の化粧品を試料とする場合に適している。これらの固形化粧品及び粘性の高いクリーム状の化粧品は、滅菌蒸留水または必要に応じてエタノール等の有機溶剤を添加した後、ホモジナイズして液体試料とする。
【0159】
後述する液状化粧品も含めて、これらの化粧品は直接肌に塗布するものであるため、当然抗菌剤が含まれている。したがって、化粧品の開発現場においては、抗菌剤の効果を試験する必要があるが、本発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット、測定方法または測定装置においては、従来24〜48時間という長時間(標準寒天平板法)を要していた抗菌剤の効果の試験を、僅か約5分という極めて短時間で行うことができるため、化粧品の開発現場等においても極めて有用である。
【0160】
次に、本実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定キット21による微生物の測定方法の具体的な手順について、図8を参照して説明する。まず、図8(a)に示されるように、予め第1のシリンジ2(3ml容)にろ過促進剤23を所定量(2.1ml)吸引しておき、試料カップ24に上述した固形化粧品または粘性の高いクリーム状の化粧品をホモジナイズして得られた液体試料LSを入れて、第1のシリンジ2で所定量(0.7ml)吸引して、さらに空気を入れて第1のシリンジ2の先端を指で押えて5秒間程度攪拌する。
【0161】
続いて、図8(b)に示されるように、攪拌後直ちに1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものを第1のシリンジ2の先端に取付けて、ゆっくりと第1のシリンジ2のピストンを押してこの混合液25をろ過する。ろ過後、一旦第1のシリンジ2を取外して空気を吸い込み、再び1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものに取付けて空気を送り込むことによって、フィルター内の試料を全てろ過する。このとき、混合液25中の不純物及び粒径の大きい物質(例えば、ホモジナイズし切れなかった固形化粧品または粘性の高いクリーム状の化粧品の粒子)が、1次フィルターケース5内の1次フィルター5aに捕捉される。
【0162】
全量がろ過できたら、2次フィルターケース6のみを取外して、図8(c)に示されるように、第2のシリンジ7で洗浄液8を吸引しておき、2次フィルターケース6を第2のシリンジ7の先端に取付けて第2のシリンジ7のピストンを押して、洗浄液8で2次フィルターケース6を洗浄する。ろ過後、一旦第2のシリンジ7を取外して空気を吸い込み、再び2次フィルターケース6に取付けて空気を送り込むことによって、2次フィルターケース6内の洗浄液8を完全に除去する。洗浄液8が残ると、次の溶菌処理が不完全になるので注意しなければならない。
【0163】
次に、図8(d)に示されるように、第3のシリンジ22で溶菌剤9を所定量(0.2ml)吸引しておき、2次フィルターケース6を取付けて、第3のシリンジ22を上下逆にして下から2次フィルターケース6内に溶菌剤9を送り込み、溶菌剤9で2次フィルターケース6内を満たす。そして、2次フィルターケース6を回転させたり軽く振動を与えたりしながら溶菌剤9が満遍なく2次フィルター6aに行き渡るようにして、約30秒間反応させる。反応後、図8(e)に示されるように、測定用チューブ10に反応液26を押出し、2次フィルター6aに残った反応液26も空気で押し出すことによって完全に測定用チューブ10に集める。
【0164】
続いて、図8(f)に示されるように、予め発光試薬溶解液11aを発光試薬粉末11bに加えて調製しておいた発光試薬11を所定量(0.1ml)加え、アダプタ12を取付けて軽く攪拌した後、直ちにルミノメータ13で発光量を測定する。発光試薬は、特に制限はなく、通常、ルシフェラーゼとルシフェリンが用いられる。
【0165】
かかる手順にしたがって測定した菌数と発光量のより具体的な相関関係について、図9を参照して説明する。なお、本実施の形態3においては、比較のためにルミノメータ13としてA社のルミノメータとB社のルミノメータとの2種類のルミノメータを用いて測定を行った。
【0166】
図9においては、クリーム状化粧品としてのハンドクリーム0.5gに適量の大腸菌を加えたものを数種類用意して、100%エタノール2mlを混合し、ホモジナイズして液体試料LSを得た。この液体試料LSを第1のシリンジ2で全量を吸引して、さらに空気を入れて第1のシリンジ2の先端を指で押えて5秒間程度攪拌した。
【0167】
続いて、図8(b)に示されるように、攪拌後直ちに1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものを第1のシリンジ2の先端に取付けて、ゆっくりと第1のシリンジ2のピストンを押してこの混合液25をろ過した。なお、1次フィルターケース5内の1次フィルター5aとしては孔径5.0μmのものを、また2次フィルターケース6内の2次フィルター6aとしては孔径0.45μmのものを、それぞれ使用した。
【0168】
ろ過後、一旦第1のシリンジ2を取外して空気を吸い込み、再び1次フィルターケース5及び2次フィルターケース6を連結したものに取付けて空気を送り込むことによって、フィルター内の試料を全てろ過した。このとき、混合液25中の不純物及び粒径の大きい物質(ホモジナイズし切れなかった粘性の高いクリームの粒子)が、1次フィルターケース5内の1次フィルター5aに捕捉される。
【0169】
次に、図8(d)に示されるように、第3のシリンジ22で溶菌剤9を所定量(0.2ml)吸引しておき、2次フィルターケース6を取付けて、第3のシリンジ22を上下逆にして下から2次フィルターケース6内に溶菌剤9を送り込み、溶菌剤9で2次フィルターケース6内を満たした。そして、2次フィルターケース6を回転させたり軽く振動を与えたりしながら溶菌剤9が満遍なく2次フィルター6aに行き渡るようにして、約30秒間反応させた。反応後、図8(e)に示されるように、測定用チューブ10に反応液26を押出し、2次フィルター6aに残った反応液26も空気で押し出すことによって完全に測定用チューブ10に集めた。
【0170】
そして、図8(f)に示されるように、予め発光試薬溶解液11aを発光試薬粉末11bに加えて調製しておいた発光試薬11を所定量(0.1ml)加え、アダプタ12を取付けて軽く攪拌した後、直ちにルミノメータ13で発光量を測定した。
【0171】
このようにして、大腸菌の菌数の異なるハンドクリーム試料について測定を行った結果、ホモジナイズした粘性の高いクリーム状の化粧品からなる液体試料についても、図9に示されるように、菌数と発光量の間に相関関係が認められ、ホモジナイズした固形化粧品及び粘性の高いクリーム状の化粧品中の微生物についても、僅か約5分という短時間で測定が行えることが分かった。また、A社のルミノメータとB社のルミノメータとのいずれについても、菌数と発光量の間には相関関係があることが分かった。
【0172】
このようにして、本実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定キット21及び測定方法は、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、多量の洗浄液8による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法となる。
【0173】
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット・測定方法・測定装置について、図10乃至図15を参照して説明する。
【0174】
図10は本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キットを示す斜視図である。図11(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定方法の手順を示す説明図である。図12(a),(b),(c)は本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定方法によって測定した3種類の化粧水についての発光量と反応時間との関係、及び従来法(標準寒天平板法)で測定した菌数と反応時間の関係を示す図である。
【0175】
図13はクレンジングオイル中の菌数と発光量との相関性を2種類のルミノメータについて示した図である。図14は化粧水(スキンローション)中の菌数と発光量との相関性を2種類のルミノメータについて示した図である。図15(a)は各種天然原料の抗菌力を本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定方法によって測定した結果を示す図であり、(b)は従来法(標準寒天平板法)で測定した結果を示す図である。
【0176】
図10に示されるように、本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31は、図7に示される実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定キット21から、プラスティック製の第1のシリンジ2(3ml容)、1次フィルターを収容したポリプロピレン製の1次フィルターケース5、及びビン入りの洗浄液8を除いたものである。
【0177】
したがって、本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31は、ビン入りのろ過促進剤23、2次フィルターを収容したポリプロピレン製の2次フィルターケース6、プラスティック製の第2のシリンジ7(1ml容)、プラスティック製の第3のシリンジ22(1ml容)、ビン入りの溶菌剤9、プラスティック製の測定用チューブ10、容器入りの発光試薬溶解液11a及びビン入りの発光試薬粉末11bからなる発光試薬11、測定時に測定用チューブ10に取付けるアダプタ12、そしてアダプタ12を取付けた測定用チューブ10を立設した円筒部に入れて発光量を測定するルミノメータ13、を具備している。
【0178】
この液体試料中の微生物の測定キット31は、1次フィルターを収容したポリプロピレン製の1次フィルターケース5及び凝集剤3を有していないことから、蛋白質を凝集させる必要がなく、蛋白質や体細胞或いは不純物や粒径の大きい物質等が入っている恐れのない液体試料、例えば化粧品の中でも化粧水等の液状化粧品の測定に適したものである。
【0179】
液状化粧品としては、スキンローション・クレンジングローション等の化粧水を始めとして、クレンジングオイル、香水、等が挙げられる。これらの液状化粧品は直接肌に塗布するものであるため、当然抗菌剤が含まれている。したがって、化粧品の開発現場においては、抗菌剤の効果を試験する必要があるが、本発明にかかる液体試料中の微生物の測定キット、測定方法または測定装置においては、従来24〜48時間という長時間を要していた抗菌剤の効果の試験を極めて短時間で行うことができるため、化粧品の開発現場等においても極めて有用である。
【0180】
次に、本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31による微生物の測定方法の具体的な手順について、図11を参照して説明する。まず、図11(a)に示されるように、予め第2のシリンジ7(1ml容)にろ過促進剤23を所定量吸引しておき、試料カップ34に上述した液状化粧品の液体試料LSを入れて、第2のシリンジ7で定量吸引して、さらに空気を入れて第2のシリンジ7の先端を指で押えて5秒間程度攪拌する。
【0181】
続いて、図11(b)に示されるように、攪拌後直ちに2次フィルターケース6を第2のシリンジ7の先端に取付けて、ゆっくりと第2のシリンジ7のピストンを押してこの混合液35をろ過する。ろ過後、一旦第2のシリンジ7を取外して空気を吸い込み、再び2次フィルターケース6に取付けて空気を送り込むことによって、フィルター内の試料を全てろ過する。このとき、混合液35中の微生物が、2次フィルターケース6内の2次フィルター6aに捕捉される。
【0182】
全量がろ過できたら、図11(c)に示されるように、第3のシリンジ22で溶菌剤9を所定量(0.2ml)吸引しておき、2次フィルターケース6を取外して第3のシリンジ22の先端に取付けて、第3のシリンジ22を上下逆にして下から2次フィルターケース6内に溶菌剤9を送り込み、溶菌剤9で2次フィルターケース6内を満たす。そして、2次フィルターケース6を回転させたり軽く振動を与えたりしながら溶菌剤9が満遍なく2次フィルター6aに行き渡るようにして、約30秒間反応させる。
【0183】
反応後、図11(d)に示されるように、測定用チューブ10に反応液36を押出し、2次フィルター6aに残った反応液36も空気で押し出すことによって完全に測定用チューブ10に集める。続いて、図11(e)に示されるように、予め発光試薬溶解液11aを発光試薬粉末11bに加えて調製しておいた発光試薬11を所定量(0.1ml)加え、アダプタ12を取付けて軽く攪拌した後、直ちにルミノメータ13で発光量を測定する。発光試薬は、特に制限はなく、通常、ルシフェラーゼとルシフェリンが用いられる。
【0184】
なお、液状化粧品の液体試料LSが化粧水のようにろ過し易いものである場合には、第2のシリンジ7にろ過促進剤23を必ずしも吸引しなくとも良く、液体試料LSのみをそのまま2次フィルターケース6を取付けた第2のシリンジ7でろ過することもできる。
【0185】
かかる手順によって測定された液状化粧品の測定結果について、図12を参照して説明する。なお、本実施の形態4においても、比較のためにルミノメータ13としてA社のルミノメータとB社のルミノメータとの2種類のルミノメータを用いて測定を行った。
【0186】
図12に示されるように、各試料(化粧水A,化粧水B,化粧水C)を50ml採取し、大腸菌を約108cfu/mlの濃度になるように添加してこれを36℃で保温し、0時間後,3時間後,6時間後,24時間後にそれぞれサンプルを採取して、標準寒天平板法による菌数の測定と、本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31を用いた微生物の測定方法による発光量の測定を行った。2次フィルターケース6内の2次フィルター6aとしては、孔径0.45μmのものを使用した。
【0187】
その結果、図12(a),(b),(c)に示されるように、各試料(化粧水A,化粧水B,化粧水C)について、ルミノメータを用いて測定した発光量(RLU)と標準寒天平板法によって測定した菌数(cfu/ml)との間には、いずれも相関関係があることが認められた。また、A社のルミノメータとB社のルミノメータとのいずれについても、菌数と発光量の間には相関関係があることが分かった。これによって、標準寒天平板法と本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31を用いた微生物の測定方法のいずれによっても、化粧水の抗菌性を確認することができた。
【0188】
なお、標準寒天平板法によって測定した菌数が反応時間6時間と24時間のサンプルについていずれもゼロになっているのは、標準寒天平板法はサンプルを採取して寒天で2日間培養することによって菌数を測定するものであり、採取したサンプル(化粧水A,化粧水B,化粧水C)中には抗菌剤が含まれているため、2日間のうちに大腸菌が死滅してしまったことによるものである。
【0189】
次に、菌数と発光量のより具体的な相関関係について、図13及び図14を参照して説明する。図13においては、液状化粧品としてのクレンジングオイル50mlに、大腸菌を約108cfu/mlの濃度になるように添加して、これを段階希釈して液体試料とした。さらに、水に大腸菌を約108cfu/mlの濃度になるように添加して同様に段階希釈した試料を作成し、これらに含まれる菌数を標準寒天平板法で、前記の液体試料による発光量の測定を本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31を用いた微生物の測定方法によって行った。
【0190】
具体的には、1mlの液体試料に100%エタノール2mlを混合し、これを孔径0.45μmの2次フィルター6aで全量ろ過して、後は上述したのと同様の手順で測定した。その結果、図13に示されるように、A社のルミノメータ及びB社のルミノメータのいずれについても、菌数と発光量の間には一次関数で表せるような直線的な相関関係があることが認められた。
【0191】
また、図14においては、液状化粧品としてのスキンローション50mlに、大腸菌を約108cfu/mlの濃度になるように添加して、これを段階希釈して液体試料とした。さらに、水に大腸菌を約108cfu/mlの濃度になるように添加して同様に段階希釈した試料を作成し、これらに含まれる菌数を標準寒天平板法で、前記の液体試料による発光量の測定を本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31を用いた微生物の測定方法によって行った。
【0192】
具体的には、1mlの液体試料に100%エタノール2mlを混合し、これを孔径0.45μmの2次フィルター6aで全量ろ過して、後は上述したのと同様の手順で測定した。その結果、図14に示されるように、同様に、A社のルミノメータ及びB社のルミノメータのいずれについても、菌数と発光量の間には一次関数で表せるような直線的な相関関係があることが認められた。
【0193】
次に、抗菌剤の効果の試験に本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31を用いた微生物の測定方法を適用した場合について、図15を参照して説明する。
【0194】
ここでは、天然原料のみを用いた化粧品の開発を目指して、天然原料のうち抗菌力のありそうな7種類の試料1〜試料7について、発光量と抗菌性の試験を行った。7種類の試料の調整は、1%濃度の試料20mlに大腸菌を約108cfu/mlの濃度になるように添加してこれを36℃で保温し、0時間後,3時間後,6時間後にサンプルを採取して、標準寒天平板法による菌数の測定と、本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31を用いた微生物の測定方法による発光量の測定を行った。2次フィルターケース6内の2次フィルター6aとしては、孔径0.45μmのものを使用した。結果を表1及び表2に示す。
【0195】
【表1】

【0196】
【表2】

【0197】
表2に示されるように、7種類の試料の中では、試料1,試料2,試料7が特に殺菌性(抗菌性)に優れており、また試料3も抗菌性を有していることが分かる。これらの表1,表2を棒グラフにしたものを図15(a),(b)に示す。
【0198】
図15(a)と図15(b)とを比較して分かるように、標準寒天平板法(図15(b))において顕著な抗菌力が認められた試料1,試料2,試料7については、発光量(図15(a))も大幅に少なくなっている。また、これら3種類の試料には劣るものの、ある程度の抗菌力が認められた試料3についても、発光量は漸次減少している。
【0199】
このように、第1のシリンジ2及び1次フィルター5a,1次フィルターケース5を用いない本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31においても、正確に液体試料中の菌数を測定できることが確認できた。
【0200】
このようにして、本実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キット31及び測定方法は、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液8による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法となる。
【0201】
実施の形態5
次に、本発明の実施の形態5にかかる液体試料中の微生物の測定キット・測定方法・測定装置について、図16を参照して、図10及び図11を参考にしながら説明する。図16は化粧水(スキンローション)中の酵母の菌数と発光量との相関性を2種類のルミノメータについて示した図である。
【0202】
本発明の実施の形態5にかかる液体試料中の微生物の測定キットの構成は、図10に示される実施の形態4の測定キット31とほぼ同様である。即ち、2次フィルターを収容したポリプロピレン製の2次フィルターケース6、プラスティック製の第2のシリンジ7(1ml容)、プラスティック製の第3のシリンジ22(1ml容)、ビン入りの溶菌剤9、プラスティック製の測定用チューブ10、容器入りの発光試薬溶解液11a及びビン入りの発光試薬粉末11bからなる発光試薬11、測定時に測定用チューブ10に取付けるアダプタ12、そしてアダプタ12を取付けた測定用チューブ10を立設した円筒部に入れて発光量を測定するルミノメータ13、を具備している。
【0203】
但し、2次フィルターケース6内の2次フィルター6aの孔径が5μmと大きい点が異なっている。このように孔径が大きいのは、液体試料中の酵母の菌数を測定するためであり、酵母は一般に大きさが約10μm程度であるため、1次フィルターを用いずに直接2次フィルターのみを用いて液体試料のろ過を行うが、2次フィルター6aが孔径0.1μm〜0.5μmの微細孔を有するものであると、ろ過の効率が悪くなるとともに、大腸菌等の細菌類も2次フィルター6aに捕捉されてしまう可能性がある。
【0204】
そこで、孔径5μmの微細孔を有する2次フィルター6aを用いることによって、ほぼ酵母のみを効率良く捕捉することができ、細菌類等の他の微生物が混入する恐れがなく、しかもより効率的に酵母のみを捕捉することができる。かかる酵母を含有する液体試料としては、例えば、酒を原料として製造された化粧水等がある。
【0205】
かかる構成の測定キットを用いて、図11に示されるのと同様の手順にしたがって測定した酵母の菌数と発光量のより具体的な相関関係について、図16を参照して説明する。図16においては、液状化粧品としての化粧水(スキンローション)50mlに、酵母(Saccharomyces cerevisiae)を約106cfu/mlの濃度になるように添加して、これを段階希釈して液体試料とした。さらに、水に同じ酵母を約106cfu/mlの濃度になるように添加して同様に段階希釈した試料を作成し、これらに含まれる酵母の菌数を標準寒天平板法で、前記の液体試料による発光量の測定を本実施の形態5にかかる液体試料中の微生物の測定キットを用いた微生物の測定方法によって行った。
【0206】
具体的には、1mlの液体試料に100%エタノール2mlを混合し、これを孔径5μmの2次フィルター6aで全量ろ過して、後は上述したのと同様の手順で測定した。その結果、図16に示されるように、A社のルミノメータ及びB社のルミノメータのいずれについても、酵母の菌数と発光量の間には一次関数で表せるような直線的な相関関係があることが認められた。
【0207】
このようにして、本実施の形態5にかかる液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法は、遊離ATPの除去、捕捉した微生物からのATPの抽出及び抽出ATPの測定を容易かつ迅速に行うことができ、洗浄液8による洗浄を必要とせず、試料中の微生物の損失が少なく、しかも熟練を必要とせず、食品の製造現場や、化粧品等の開発現場で検査可能な、試料中の微生物、特に酵母の菌数を高感度に安定して測定しうる液体試料中の微生物の測定キット及び測定方法となる。
【0208】
本発明にかかる液体試料中の微生物の測定キットまたは測定装置のその他の部分の構成、形状、材質、大きさ、数量、接続関係等についても、また本発明にかかる液体試料中の微生物の測定方法のその他の工程についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】図1は本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定キットを示す斜視図である。
【図2】図2(a),(b)は本発明の実施の形態1及び実施の形態2にかかる液体試料中の微生物の測定方法の測定原理を示す模式図である。
【図3】図3(a),(b),(c),(d),(e),(f)は本発明の実施の形態1及び実施の形態2にかかる液体試料中の微生物の測定方法の手順を示す説明図である。
【図4】図4は液体試料が市販の牛乳の場合における本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法における実施例1の測定結果を比較例1と比較して示す図である。
【図5】図5は液体試料が市販の牛乳の場合における本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法における実施例2の測定結果を示す図である。
【図6】図6は液体試料が搾りたての生乳の場合における本発明の実施の形態1にかかる液体試料中の微生物の測定方法における実施例2の測定結果を示す図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定キットを示す斜視図である。
【図8】図8(a),(b),(c),(d),(e),(f)は本発明の実施の形態3にかかる液体試料中の微生物の測定方法の手順を示す説明図である。
【図9】図9は化粧用クリーム(ハンドクリーム)中の菌数と発光量との相関性を2種類のルミノメータについて示した図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定キットを示す斜視図である。
【図11】図11(a),(b),(c),(d),(e)は本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定方法の手順を示す説明図である。
【図12】図12(a),(b),(c)は本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定方法によって測定した3種類の化粧水についての発光量と反応時間との関係、及び従来法(標準寒天平板法)で測定した菌数と反応時間の関係を示す図である。
【図13】図13はクレンジングオイル中の菌数と発光量との相関性を2種類のルミノメータについて示した図である。
【図14】図14は化粧水(スキンローション)中の菌数と発光量との相関性を2種類のルミノメータについて示した図である。
【図15】図15(a)は各種天然原料の抗菌力を本発明の実施の形態4にかかる液体試料中の微生物の測定方法によって測定した結果を示す図であり、(b)は従来法(標準寒天平板法)で測定した結果を示す図である。
【図16】図16は化粧水(スキンローション)中の酵母の菌数と発光量との相関性を2種類のルミノメータについて示した図である。
【符号の説明】
【0210】
1,21,31 液体試料中の微生物の測定キット
2 第1のシリンジ
3 凝集剤
5 1次フィルターケース
5a 1次フィルター
6 2次フィルターケース
6a 2次フィルター
7 第2のシリンジ
8 洗浄液
9 溶菌剤
10 測定用チューブ
11 発光試薬
12 アダプタ
13 ルミノメータ
22 第3のシリンジ
23 ろ過促進剤
BC 体細胞
FA 遊離ATP
GPR 凝集した蛋白質
LS 液体試料
MO 微生物
PR 蛋白質


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料を採取する第1のシリンジと、
前記第1のシリンジ中で前記液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と、
前記凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターを収納して前記第1のシリンジに取付け可能とした1次フィルターケースと、
前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターを収納して前記1次フィルターケースに取付け可能とした2次フィルターケースと、
前記2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、
前記2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、
前記2次フィルターに捕捉された前記微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、
前記溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、
前記溶出したATPを発光させる発光試薬と
を具備することを特徴とする液体試料中の微生物の測定キット。
【請求項2】
液体試料を採取する第1のシリンジと、
不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターを収納して前記第1のシリンジに取付け可能とした1次フィルターケースと、
前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターを収納して前記1次フィルターケースに取付け可能とした2次フィルターケースと、
前記2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、
前記2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、
前記2次フィルターに捕捉された前記微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、
前記溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、
前記溶出したATPを発光させる発光試薬と
を具備することを特徴とする液体試料中の微生物の測定キット。
【請求項3】
微生物を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)を透過させる2次フィルターを収納した2次フィルターケースと、
前記2次フィルターケースを先端に取付け可能な第2のシリンジと、
前記2次フィルターを洗浄するための洗浄液と、
前記2次フィルターに捕捉された前記微生物を溶かしてATPを溶出させる溶菌剤と、
前記溶出したATPを溶菌剤とともに集める測定用チューブと、
前記溶出したATPを発光させる発光試薬と
を具備することを特徴とする液体試料中の微生物の測定キット。
【請求項4】
更に、前記2次フィルターケースを先端に取付け可能な第3のシリンジを具備することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット。
【請求項5】
更に、発光量を測定するためのルミノメータと、
前記測定用チューブの先端を前記ルミノメータの発光測定部に届かせるために前記測定用チューブに取付けられるアダプタと
を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット。
【請求項6】
更に、ろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を具備するか、または前記凝集剤として予め前記ろ過促進剤を混入したものを使用することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット。
【請求項7】
前記1次フィルター及び前記2次フィルターはそれぞれ前記1次フィルターケース及び前記2次フィルターケースに一体に組み込まれて使い捨てにされることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット。
【請求項8】
液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合する工程と、
前記凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過する工程と、
ろ液を前記1次フィルターより小さい孔径を有し前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、
この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程と
を具備することを特徴とする液体試料中の微生物の測定方法。
【請求項9】
前記液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合する工程の後に、または同工程と同時にろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を加える工程を追加したことを特徴とする請求項8に記載の液体試料中の微生物の測定方法。
【請求項10】
液体試料を不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過する工程と、
ろ液を前記1次フィルターより小さい孔径を有し前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、
この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程と
を具備することを特徴とする液体試料中の微生物の測定方法。
【請求項11】
液体試料の微生物を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)を透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮する工程と、
この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定する工程と
を具備することを特徴とする液体試料中の微生物の測定方法。
【請求項12】
液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合し、
前記凝集した蛋白質と体細胞を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、
ろ液を前記1次フィルターより小さい孔径を有し前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、
この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することを特徴とする液体試料中の微生物の測定装置。
【請求項13】
前記液体試料を該液体試料中の蛋白質を凝集させる凝集剤と混合した後に、または同時に、ろ過を短時間で行わせるためのろ過促進剤を加えることを特徴とする請求項12に記載の液体試料中の微生物の測定装置。
【請求項14】
液体試料を不純物及び粒径の大きい物質を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)及び微生物を透過させる1次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過し、
ろ液を前記1次フィルターより小さい孔径を有し前記微生物を捕捉し前記遊離ATPを透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、
この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することを特徴とする液体試料中の微生物の測定装置。
【請求項15】
液体試料の微生物を捕捉し遊離ATP(アデノシン三リン酸)を透過させる2次フィルターで加圧ろ過または減圧ろ過して液体試料中の微生物を2次フィルターのろ過膜上に捕捉濃縮し、
この微生物に溶菌剤を加え、抽出液に発光試薬を添加し、生じる発光量を測定することを特徴とする液体試料中の微生物の測定装置。
【請求項16】
前記凝集剤または前記ろ過促進剤としてエチルアルコール等の脂肪族アルコール、安息香酸・サリチル酸等のカルボン酸、またはキトサン、キトサンオリゴ糖を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは請求項8乃至請求項11のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定方法或いは請求項12乃至請求項15のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定装置。
【請求項17】
前記1次フィルターとして孔径1μm〜10μmのろ過材を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。
【請求項18】
前記2次フィルターが孔径0.1μm〜0.5μmの微細孔を有するろ過材であることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。
【請求項19】
前記2次フィルターが孔径0.1μm〜0.5μmの微細孔を有する多孔性高分子膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。
【請求項20】
前記多孔性高分子膜がポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド、ポリカーボネート、セルロースアセテート、親水性ポリプロピレン、ナイロン、親水性ポリエーテルスルホン、または親水性ホウケイ酸グラスファイバーのうちいずれかの高分子からなることを特徴とする請求項19に記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。
【請求項21】
前記2次フィルターが孔径0.5μmを超えた大きさから孔径5μmまでの範囲の微細孔を有することを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。
【請求項22】
前記溶菌剤がジメチルスルホキシドを含む滅菌蒸留水であることを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。
【請求項23】
前記溶菌剤がジメチルスルホキシドを15容量%〜20容量%含む滅菌蒸留水であることを特徴とする請求項22に記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。
【請求項24】
前記ろ過促進剤としてエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩、トランス−1,2−シクロヘキサジアミン四酢酸のアルカリ金属塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、またはニトリロ三酢酸のアルカリ金属塩を用いることを特徴とする請求項6乃至請求項23のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。
【請求項25】
固体試料または粘性の高い試料は前記凝集剤と混合する前に滅菌蒸留水を添加した後、ホモジナイズして前記液体試料とすることを特徴とする請求項8乃至請求項24のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定方法或いは測定装置。
【請求項26】
前記液体試料、前記固体試料または前記粘性の高い試料は化粧品であることを特徴とする請求項1乃至請求項25のいずれか1つに記載の液体試料中の微生物の測定キット或いは測定方法或いは測定装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−262891(P2006−262891A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342116(P2005−342116)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000134039)株式会社ディエムエル (1)
【Fターム(参考)】