液体試料分析装置及び液体試料導入装置
【課題】高信頼性且つ高速処理が可能な、液体試料導入装置を実現する。
【解決手段】インジェクションバルブ8は、液体クロマトグラフ装置の検出器に試料を供給する移動相流路に接続される試料貯留ループ5を有する。シリンジ11により、バルブ16、配管13を介してニードル2に試料が吸引され試料貯留ループ5に試料を導入し、移動相流路に供給する。洗浄ユニット15により、洗浄液びん20、21からの洗浄液がバルブ16、配管13を介してニードル2に供給され、ニードル2の内壁が洗浄される。洗浄ユニット15により、洗浄液びん20からの洗浄液がバルブ16、配管31を介して洗浄槽10に供給され、ニードル2の外壁が洗浄槽10により洗浄される。
【解決手段】インジェクションバルブ8は、液体クロマトグラフ装置の検出器に試料を供給する移動相流路に接続される試料貯留ループ5を有する。シリンジ11により、バルブ16、配管13を介してニードル2に試料が吸引され試料貯留ループ5に試料を導入し、移動相流路に供給する。洗浄ユニット15により、洗浄液びん20、21からの洗浄液がバルブ16、配管13を介してニードル2に供給され、ニードル2の内壁が洗浄される。洗浄ユニット15により、洗浄液びん20からの洗浄液がバルブ16、配管31を介して洗浄槽10に供給され、ニードル2の外壁が洗浄槽10により洗浄される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料分析装置及び液体試料導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体試料分析装置の一種類である液体クロマトグラフ装置においては、ポンプ装置により移動相が吸入され、自動試料導入ユニットにより導入された試料とともに分離カラムへと送液される。分離カラムに導入された試料は各々の成分に分離され、各種の検出器により検出される。一般に、高速液体クロマトグラフ(HPLC)と呼ばれる装置分野においては、最大20〜40MPaの高圧流路下で分析を行うことが要求される。このようなHPLC用ポンプ装置においては、高圧力下でも正確に且つ精密に移動相を供給できることが要求される。
【0003】
また、自動試料導入ユニットは、サンプルラックに並べられた試料保持容器からニードルによって試料液を吸引後、試料貯留ループに試料を貯留し、液体クロマトグラフの移動相流路中に自動で注入するための装置である。また、移動相流路中に注入する前に試料を希釈したり、試料と反応試薬とを混合してラベル化する等の前処理機能が備わった自動試料導入ユニットも多く使用されている。
【0004】
このような自動試料導入装置における注入方式としては、ニードルおよび試料貯留ループが高圧下にある移動相流路の一部に組み込まれる方式(ダイレクトインジェクション方式)(特許文献1、特許文献2参照)と、試料貯留ループのみが高圧下にある移動相流路の一部に組み込まれる方式(ループインジェクション方式)(特許文献3参照)の2種類に大別される。
【0005】
ダイレクトインジェクション方式は、ニードルおよび試料貯留ループ内に一時的に貯留された試料が、分析開始時に移動相よってカラムへと押し流されるとともに、分析中はニードルおよび試料貯留ループの内部が移動相によって常時フラッシングされるため、吸引した試料を無駄なくカラムに導入でき、試料汚染されたニードル内部を洗浄する別手段を必要としないといった利点がある。
【0006】
一方、分析中、ニードルが移動相流路の一部に組み込まれる原理上から、高圧下でニードルが試料注入口と液密性を保持する構造が必要であり、前処理の希釈や混合といった試料のハンドリングには適していないという欠点を有する。
【0007】
これに対し、ループインジェクション方式は、分析中、ニードルが高圧下の移動相流路外にあるため、分析中であってもニードルの移動や試料計量が可能であることから、ニードルと試料注入口との間で高圧を保持する構造が不要であり、分析中に試料の前処理が実施できるという利点があるが、ニードル内部を洗浄する手段と工程が必要となるため、ダイレクトインジェクション方式に比べて、試料注入に要する時間が長くなりやすいという欠点がある。
【0008】
近年、カラム充填材の微細化技術の進歩により、超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)と呼ばれる装置が急速に進んでいる。UHPLCでは、最大60〜120MPaの圧力下で分析を行い、1検体当たりの分析時間も数10秒〜数分と、従来のHPLCに比べて数分の1程度の時間で済み、分析のスループットを飛躍的に向上できる。
【0009】
UHPLCで要求される自動試料導入ユニットの基本事項は、最大60〜120MPaの超高圧下での多検体分析要求に対し、高注入量再現性、低キャリーオーバ、高速処理(サイクルタイムの短縮)、且つ高い信頼性、耐久性を有していることである。
【0010】
一般に、ダイレクトインジェクション方式を採用した試料導入装置においては、高圧下での分析においても試料注入口から移動相が噴出すること避けるため、ニードルが試料注入口内のシールと常時、液密性を保持可能な機構を有している。分析中、高圧流路に組み込まれていたニードル、試料貯留ループは、試料を吸引する段階になると流路切替バルブによって高圧流路から切り離され、ニードル、試料貯留ループ内の溶媒が大気圧まで開放される。
【0011】
そして、大気圧まで開放された後、ニードルが試料保持容器に差し込まれ、ニードルまたは試料貯留ループ内に試料を吸引した後、上述した試料注入口までニードルが移動する。この段階で再び流路切替バルブが切り替えられ、ポンプ装置によって送液された移動相と共に、試料がカラムへと供給される。
【0012】
UHPLCでは、HPLCに比べて、数倍の超高圧力下で数倍の検体処理能力が要求される。即ち、最大60〜120MPaでニードルと試料注入口と液密性を保持する複雑な構造と、数倍の耐久性が必要とされるため、実現が困難である。
【0013】
また、UHPLCでは、1検体当たりの分析時間が数10秒〜数分と短いため、ニードル内部を移動相によって十分にフラッシングすることが難しい。即ち、原理上、試料のキャリーオーバを低減することが困難になってくる。
【0014】
このため、UHPLCでは、ループインジェクション方式の自動試料導入ユニットが適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平1−248055号公報
【特許文献2】特開2006−292641号公報
【特許文献3】特開平6−235722号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、UHPLC用としてループインジェクション方式の試料導入ユニットを使用する場合、従来技術においては、シリンジが試料の計量と流路の洗浄との両動作を行っていたため、次のような課題があった。
【0017】
第1に、分析回数に対するシリンジの動作ストローク数が多くなってしまう結果、消耗品としての交換頻度が極端に高くなり、装置の信頼性・耐久性を低下させてしまっていた。
【0018】
第2に、試料の計量時は低流量(低速)で、高精度、高分解能のシリンジ操作が必要であるのに対し、流路の洗浄時は高流量(高速)で洗浄時間を短縮するシリンジ操作が必要となり、この相矛盾する要求を一つのシリンジのみの操作で満たすのには限界がある。即ち、試料の計量を優先して小さい容積のシリンジを使用すると、洗浄時間が増大してサイクルタイムが長くなる課題が生じる。一方、流路の洗浄を優先して大きい容積のシリンジを使用すると、シリンジ操作の精度や分解能を落とす結果となり、注入量再現性が低下させてしまっていた。
【0019】
第3に、ニードルの外壁は浸漬洗浄しか行えないため、ニードルの外壁に付着した試料が十分洗浄できず、試料のキャリーオーバの要因となっていた。
【0020】
本発明の目的は、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体試料分析装置及び液体試料導入装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0022】
液体試料分析装置、液体試料導入装置及び液体試料導入方法において、液体試料を吸引吐出するニードルの外壁を洗浄槽に挿入して洗浄し、液体試料をシリンジで計量しながらニードル内に吸引し、ニードル内に吸引した液体試料をシリンジで計量しながら、試料貯留ループに供給し、試料貯留ループに貯留された液体試料を移動相流路に供給し、ニードルをシリンジ手段から切り離して、洗浄液送液手段から洗浄液をニードル内に供給し、ニードルの内壁を洗浄する。
【発明の効果】
【0023】
信頼性・耐久性を向上させ、キャリーオーバの低減と高速処理が可能な、液体試料分析装置、液体試料導入装置及び液体試料導入方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、アイドル状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、シリンジの洗浄液吸引及びニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料の吸引工程を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルからリードボリュームを吐出する工程を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料貯留ループを移動相流路から切り離し圧力を抜く工程を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループに送る工程を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループから移動相流路内に送液する工程を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、プランジャの洗浄工程を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、シリンジの洗浄液吸引及びニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料の吸引工程を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルを試料注入口に移動する工程を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料貯留ループを移動相流路から切り離し圧力を抜く工程を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループに送る工程を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループから移動相流路内に送液する工程を示す図である。
【図19】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、シリンジの洗浄液吸引及びニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図20】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料の吸引工程を示す図である。
【図21】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図22】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルを試料注入口に移動する工程を示す図である。
【図23】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料貯留ループを移動相流路から切り離し圧力を抜く工程を示す図である。
【図24】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループに送る工程を示す図である。
【図25】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループから移動相流路内に送液する工程を示す図である。
【図26】本発明の第4の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。
【図27】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、アイドル状態を示す図である。
【図28】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、シリンジの洗浄液吸引工程を示す図である。
【図29】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料の吸引工程を示す図である。
【図30】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図31】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルを試料注入口に移動する工程を示す図である。
【図32】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料貯留ループを移動相流路から切り離し圧力を抜く工程を示す図である。
【図33】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループに送る工程を示す図である。
【図34】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループから移動相流路内に送液する工程を示す図である。
【図35】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図36】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図37】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図38】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、洗浄工程後のアイドル状態を示す図である。
【図39】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ポンプ装置のプランジャ洗浄工程を示す図である。
【図40】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ポンプ装置のプランジャ洗浄工程を示す図である。
【図41】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁の洗浄工程を示す図である。
【図42】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁の洗浄工程を示す図である。
【図43】本発明の実施例1〜5における動作制御機能ブロック図である。
【図44】本発明とは異なる例の試料導入装置であり、本発明との比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0026】
図1は、本発明の第1の実施例であるループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の概略構成図であり、図2〜図11は本発明の第1の実施例における試料注入工程の詳細を示す図である。また、図43は、本発の実施例における動作制御ブロック図である。
【0027】
図1において、試料保持容器1はサンプルラック14上に設置される。ニードル2は、試料保持容器1と、洗浄槽10と、6ポート2ポジションバルブ(第1の流路切替手段)8の試料注入口3との間を、ニードル移動機構51により移動される。ニードル移動機構51は、動作制御部50により制御される。
【0028】
6ポート2ポジションバルブ8は、ポートP1にポンプ装置7、ポートP2に分離カラム6、ポートP4に試料注入口3、ポートP5にドレイン22、ポートP3およびP3間に試料貯留ループ5が接続される。分離カラム6は検出器30に接続されている。検出器30は、分離カラム6により供給される試料を検出し分析する。
【0029】
また、6ポート2ポジションバルブ8は、60度回転させることによって、ポートP1−P6、P4−P5、P2−P3が連通するインジェクトポジションと、ポートP1−P2、P3−P4、P5−P6が連通するロードポジションとの2つの状態をとることができる。
【0030】
洗浄ユニット(洗浄ポンプ(洗浄液送液手段))15は、3方バルブ18が接続され、3方バルブ18には、脱気ユニット(デガッサ)19を介して、洗浄液びん20、洗浄液びん21が接続されている。そして、3方バルブ18を、洗浄液びん20側と洗浄液Bびん21側とで切り替えることによって、洗浄ユニット15で、5ポート4ポジションバルブ(第2の流路切替手段)16に送り出す洗浄液A、Bの選択が可能である。
【0031】
5ポート4ポジションバルブ16は、ポートP1に洗浄液配管31を介して洗浄槽10、ポートP2にバッファ配管13、ポートP3に試料計量手段であるシリンジ11、ポートP4にプランジャ洗浄流路17、共通ポートであるP5に洗浄ユニット15が接続される。プランジャ洗浄流路17は、ポンプ装置7に連通しており、必要に応じて、ポンプ装置7のプランジャ表面に析出する移動相内に含まれた塩を、自動試料導入装置から洗浄することができる。
【0032】
5ポート4ポジションバルブ16は、45度ずつ回転させることによって、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3、(2)ポートP2−P5およびポートP3−P4、(3)ポートP3−P5、(4)ポートP4−P5が各々連通する4つのポジションをとるこができる。
【0033】
5ポート4ポジションバルブ16が、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3が連通しているポジションにあるとき、ニードル2はバッファ配管13を介して、試料計量手段であるシリンジ11に接続され、シリンジ11を上下に操作させることによって、液体の吸引・吐出を行う。
【0034】
シリンジ11は、シリンジ移動機構52により、その移動及び吸引吐出動作が制御され、洗浄ユニット15は洗浄ユニット動作機構53により動作される。また、シリンジバルブ16は、シリンジバルブ動作機構54により動作され、3方バルブ18は、3方バルブ動作機構55により動作され、2ポジションバルブ8は、2ポジションバルブ動作機構56により動作される。
【0035】
また、これらシリンジ移動機構52、洗浄ユニット動作機構53、シリンジバルブ動作機構54、3方バルブ動作機構55、2ポジションバルブ動作機構56は、動作制御部50からの指令信号に従って動作制御される。
【0036】
図1に記載した液体クロマトグラフ装置のうち、ポンプ装置7、分離カラム6、検出器30以外の部分は、液体クロマトグラフ装置用試料導入装置を構成している。
【0037】
つまり、液体クロマトグラフ装置用試料導入装置は、シリンジ11と、バルブ16と、洗浄ユニット15と、3方バルブ18と、デガッサ19と、バッファ配管13と、ニードル2と、インジェクションバルブ8と、洗浄槽10と、洗浄液配管31とを備えている。
【0038】
次に、図1〜図12を用いて、本発明の第1の実施例における試料注入工程の詳細を説明する。
【0039】
第1の実施例におけるループインジェクション方式は、実際に移動相流路に注入する量よりも多い試料をニードル2から吸引し、注入時に、洗浄液部分に相当する前端、後端をカットして、中央部のみをカラムに到達させる方式であり、カット方式と呼ぶ。以下、カット方式の各工程の詳細を記載するにあたり、次のような用語の取り決めを行う。
【0040】
vi:インジェクションボリューム(移動相流路への正味の試料導入量)、vl:リードボリューム(カットボリューム)、vr:リアボリューム(カットボリューム)、vd:試料注入口からインジェクションバルブまでのデッドボリューム、va:エアボリューム(試料前後の空気層の容積)とする。
【0041】
ここで、vaを試料前後に挟むか否かの設定は、自動試料導入装置として選択することが可能である。
【0042】
図1は、自動試料導入装置を初期化し、アイドル状態の流路図である。移動相は、ポンプ装置7から6ポート2ポジションバルブ8の試料貯留ループ5を介して、分離カラム6へと流れている。洗浄液びん20は、3方バルブ18、洗浄ユニット15、5ポート4ポジションバルブ16のポート3を介して、シリンジ11に接続されている。ニードル2は洗浄槽10の上空に位置している(洗浄槽10の開口部に対向している)。
【0043】
図2は、洗浄液びんA20から洗浄液Aの吸引、洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図2において、シリンジ11は、デッドボリュームvdの分だけ、洗浄液Aを吸引する。シリンジ11が洗浄液Aを吸引後、5ポート4ポジションバルブ16を時計回りに90度回転させ、図2に示すように、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3が連通するポジションに切り替えることによって、バッファ配管13を介して、ニードル2をシリンジ11に接続させる。ニードル2を洗浄槽10内に移動して、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽10に送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引前洗浄)。
【0044】
図3は、試料の吸引工程の流路図である。図3において、ニードル2を試料保持容器1へ移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分va/2だけ、空気を吸引する。ニードル2を試料保持容器1内へ移動後、シリンジ11は、vr+vi+vl=リアボリューム+インジェクションボリューム+リードボリューム分だけ、試料を吸引する。
【0045】
図4は、洗浄液Aによる洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図4において、ニードル2を洗浄槽10内に移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分va/2だけ、空気を吸引する。ニードル2を洗浄槽10に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽10へ送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引後洗浄)。
【0046】
図5は、ニードル2がインジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)へ移動し、リードボリュームだけ吐出する工程の流路図である。図5において、ニードル2を試料注入口3に移動する。シリンジ11は、vl+va/2+vd=リードボリューム+エアボリュームの半分+デッドボリューム分だけ、洗浄液を吐出し、6ポート2ポジションバルブ8内に試料を送る。
【0047】
図6は、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5を移動相流路から切り離す圧力抜き工程の流路図である。図6において、6ポート2ポジションバルブ8を反時計回りに60度回転させることにより、高圧下にある試料貯留ループ5が移動相流路からから切り離され、試料貯留ループ5内の溶媒に負荷されていた圧力は、ドレイン22を介して、大気圧に開放される。
【0048】
図7は、試料をロードする工程の流路図である。図7において、シリンジ11は、vi=インジェクションボリューム分だけ洗浄液を吐出し、試料貯留ループ5内に試料を送る。
【0049】
図8は、試料をインジェクションする工程の流路図である。図8において、6ポート2ポジションバルブ8を時計回りに60度回転させることにより、試料貯留ループ5をポンプ装置7と分離カラム6に接続させ、試料を移動相流路内に導入する。6ポート2ポジションバルブ8切り替え後、シリンジ11を上死点まで移動させる。
【0050】
図9は、洗浄液Aによるニードル2の内壁の洗浄工程の流路図である。図9において、5ポート4ポジションバルブ16を反時計周りに45度回転させ、(2)ポートP2−P5およびP3−P4が連通するポジションに切り替え、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを送液する。バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3(ポートP4)、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Aで洗浄し、ドレイン22に排出する。
【0051】
図10は、洗浄液Bによるニードル2の内壁の洗浄工程の流路図である。図10において、3方バルブ18を、洗浄液びん21が接続されるように切り替え、洗浄ユニット15にて洗浄液Bをシリンジバルブ16に送液する。バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3(ポートP4)、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Bで洗浄し、ドレイン22に排出する。
【0052】
図10に示した洗浄終了後、図1に示したアイドル状態へ移行する。アイドル状態への移行は、図10に示した状態から5ポート4ポジションバルブ16を反時計周りに45度回転させ、(3)ポートP3−P5が連通するポジションに切り替える。そして、ニードル2を洗浄槽10の上空に移動し、3方バルブ18を、洗浄液Aびん20が接続されるように切り替える。
【0053】
図11は、ポンプ装置7のプランジャ洗浄工程の流路図である。図11において、3方バルブ18を、洗浄液びん21が接続されるように切り替える。5ポート4ポジションバルブ16を反時計周りに45度回転させ、(4)ポートP4−P5が連通するポジションに切り替える。洗浄ユニット15にて洗浄液Bをプランジャ洗浄流路17へ送液する。洗浄液Aで洗浄する場合は、3方バルブ18の切り替えは必要ない。洗浄完了後、図1に示したアイドル状態へ移行する。
【0054】
以上のように、本発明の第1の実施例によれば、シリンジ11が試料の計量を行い、洗浄ユニット15が流路の洗浄を行うように機能を分けることによって、以下の効果が得られる。
【0055】
第1に、分析回数に対するシリンジ11の動作ストローク数が減少する結果、消耗品としての交換頻度が少なくなり、装置の信頼性・耐久性が向上する。
【0056】
第2に、高流量(高速)送液が可能な洗浄ユニット15にて流路洗浄時間を短縮することで、サイクルタイムの短縮化が図れる。また、小さい容積のシリンジ11を使用することで、高精度、高分解能のシリンジ11操作が可能となり、注入量再現性の向上が図れる。
【0057】
第3に、ニードル2の外壁をフロー洗浄することにより、ニードル2の外壁に付着した試料の洗浄効果を高め、キャリーオーバを低減できる。
【0058】
即ち、本発明の第1の実施例によれば、基本性能を向上させ、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ装置用自動試料導入装置を実現することができる。
【0059】
次に、図12〜図18を用いて、本発明の第2の実施例の試料注入工程の詳細を説明する。この第2の実施例も、第1の実施例と同様に、ループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の例である。
【0060】
なお、試料注入工程におけるアイドル状態は、図1に示した状態と同様となるので、図示は省略する。また、第1の実施例と第2の実施例とは、装置構成自体は互いに同様であるが、動作制御が互いに異なっている。
【0061】
第2の実施例におけるループインジェクション方式は、ニードル2から吸引した試料を全量、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5に送り込み、分離カラム6に到達させる方式であり、全量注入方式と呼ぶ。以下、全量注入方式の各工程の詳細を記載するにあたり、第1の実施例と同一の用語を用いるが、新たに、vf=フィードボリュームを定義する。
【0062】
自動試料導入装置を初期化し、アイドル状態の流路図(図1)から開始する。
【0063】
図12は、洗浄液びん20の洗浄液Aの吸引、洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。
【0064】
図12において、シリンジ11は、vf+vd=フィードボリューム+デッドボリュームの分だけ、洗浄液Aを吸引する。シリンジ11に洗浄液Aを吸引後、5ポート4ポジションバルブ16を時計回りに90度回転させ、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3が連通するポジションに切り替えることによって、バッファ配管13を介して、ニードル2をシリンジ11に接続させる。
【0065】
そして、ニードル2を洗浄槽10に移動して、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引前洗浄)。
【0066】
図13は、試料の吸引工程の流路図である。図13において、ニードル2を試料保持容器1へ移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分(va/2)だけ、空気を吸引する。ニードル2を試料保持容器1内へ移動後、シリンジ11は、インジェクションボリューム分(vi)だけ、試料を吸引する。
【0067】
図14は、洗浄液Aによる洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図14において、ニードル2を洗浄槽10に移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分(va/2)だけ、空気を吸引する。ニードル2を洗浄槽10に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽10へ送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引後洗浄)。
【0068】
図15は、インジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)への移動工程の流路図である。図15において、ニードル2をインジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)に移動する。
【0069】
図16は、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5を移動相流路から切り離す圧力抜き工程の流路図である。図16において、6ポート2ポジションバルブであるインジェクションバルブ8を反時計回りに60度回転させることにより、高圧下にある試料貯留ループ5が移動相流路からから切り離され、試料貯留ループ5内の溶媒に負荷されていた圧力は、ドレイン22を介して、大気圧に開放される。
【0070】
図17は、試料をロードする工程の流路図である。図17において、シリンジ11は、vf+vi+vd=フィードボリューム+インジェクションボリューム+デッドボリューム分だけ吐出し、試料貯留ループ5内に試料を送る。ニードル2から吸引したインジェクションボリューム分(vi)の試料は、全量、試料貯留ループ5内に保持される。
【0071】
図18は、試料をインジェクションする工程の流路図である。図18において、6ポート2ポジションバルブ8を時計回りに60度回転させることにより、試料貯留ループ5をポンプ装置7と分離カラム6に接続させ、試料を移動相流路内に導入する。6ポート2ポジションバルブ8を切り替え後、シリンジ11を上死点まで移動させる。
【0072】
以下、全量注入方式による洗浄工程は、図1〜図11と同様である。
【0073】
本発明の第2の実施例においても、第1の実施例と同様に、基本性能を向上させ、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ装置用自動試料導入装置を実現できる。
【0074】
次に、図19〜図25を用いて、本発明の第3の実施例の試料注入工程の詳細を説明する。この第2の実施例も、第1の実施例と同様に、ループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の例である。
【0075】
なお、試料注入工程におけるアイドル状態は、図1に示した状態と同様となるので、図示は省略する。また、第1の実施例と第3の実施例とは、装置構成自体は互いに同様であるが、動作制御が互いに異なっている。
【0076】
第3の実施例におけるループインジェクション方式は、実際に移動相流路に注入する量よりも多い試料をニードル2から吸引し、注入時に試料貯留ループ5をオーバーフローさせて、ループ容量分を分離カラム6に到達させる方式であり、フルループ方式と呼ぶ。以下、フルループ方式の各工程の詳細を記載するにあたり、第1の実施例と同一の用語を用いるが、新たに、vw=ウェストボリュームを定義する。
【0077】
自動試料導入装置を初期化し、アイドル状態の流路図(図1)から開始する。
【0078】
図19は、洗浄液びん20の洗浄液Aの吸引、洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図19において、シリンジ11は、デッドボリュームの分(vd)だけ、洗浄液Aを吸引する。洗浄液Aを吸引後、5ポート4ポジションバルブ16を時計回りに90度回転させ、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3が連通するポジションに切り替えることによって、バッファ配管13を介して、ニードル2をシリンジ11に接続させる。ニードル2を洗浄槽10に移動して、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引前洗浄)。
【0079】
図20は、試料の吸引工程の流路図である。図20において、ニードル2を試料保持容器1へ移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分(va/2)だけ、空気を吸引する。ニードル2を試料保持容器1内へ移動後、シリンジ11は、vw+vi=ウェストボリューム+インジェクションボリューム分だけ、試料を吸引する。
【0080】
図21は、洗浄液びん20の洗浄液Aによる洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図21において、ニードル2を洗浄槽10に移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分(va/2)だけ、空気を吸引する。ニードル2を洗浄槽10に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽10へ送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引後洗浄)。
【0081】
図22は、インジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)への移動工程の流路図である。図22において、ニードル2を試料注入口3に移動する。
【0082】
図23は、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5を移動相流路から切り離す圧力抜き工程の流路図である。図23において、6ポート2ポジションバルブ8を反時計回りに60度回転させることにより、高圧下にある試料貯留ループ5が移動相流路からから切り離され、試料貯留ループ5内の溶媒に負荷されていた圧力は、ドレイン22を介して、大気圧に開放される。
【0083】
図24は、試料をロードする工程の流路図である。図24において、シリンジ11は、va/2+vw/2+vi+vd=エアボリューム半分+ウェストボリューム半分+インジェクションボリューム+デッドボリューム分だけ吐出し、試料貯留ループ5内に試料を送る。この際、試料貯留ループ5内容積は、試料で全て満たされる。
【0084】
図25は、試料をインジェクションする工程の流路図である。図25において、6ポート2ポジションバルブ8を時計回りに60度回転させることにより、試料貯留ループ5をポンプ装置7とカラム6に接続させ、試料を移動相流路内に導入する。6ポート2ポジションバルブ8切り替え後、シリンジ11を上死点まで移動させる。
【0085】
以下、フルループ方式による洗浄工程は、図1〜図11と同様である。
【0086】
本発明の第3の実施例においても、第1の実施例と同様に、基本性能を向上させ、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ装置用自動試料導入装置を実現できる。
【0087】
図26は、本発明の第4の実施例の試料注入工程の詳細を説明する。この第4の実施例も、第1の実施例と同様に、ループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の例である。
【0088】
本発明の第4の実施例と、図1に示した第1の実施例との相違点は、本発明の第4の実施例では、洗浄ユニット15と、5ポート4ポジションバルブ16のポートP5との間に、圧力センサ24を設置している点である。他の構成は、第1の実施例と第4の実施例とは同様となっている。
【0089】
本発明の第4の実施例の洗浄工程において、圧力センサ24の圧力値を動作制御部50(図43)でモニタすることで、洗浄ユニット15の送液状態が確認できる。また、圧力の上限値や下限値を設定することで、ニードル2やバッファ配管13の詰まり判定や、洗浄ユニット15から下流側での液漏れ判定を実施することが可能である。
【0090】
また、圧力センサ24は、5ポート4ポジションバルブ16のポートP2と、バッファ配管13との間に設置しても良い。この場合、試料吸引工程において、圧力値をモニタすることで、試料が正しく吸引できているかどうかの判定が可能である。判定は、動作制御部50が行なう。
【0091】
次に、図27〜図42を用いて、本発明の第5の実施例の試料注入工程の詳細を説明する。この第5の実施例も、第1の実施例と同様に、ループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の例である。
【0092】
図27において、試料保持容器1はサンプルラック14上に設置される。ニードル2は、試料保持容器1、洗浄槽10、試料注入口3の間を自由に移動可能である。6ポート2ポジションバルブ8は各々、ポートP1にポンプ装置7、ポートP2にカラム6、ポートP4に試料注入口3、ポートP5にドレイン23、ポートP3およびポートP3間に試料貯留ループ5が接続される。6ポート2ポジションバルブ8は、60度回転させることによって、ポートP1−P6、P4−P5、P2−P3が連通するインジェクトポジションと、ポートP1−P2、P3−P4、P5−P6が連通するロードポジションとの2つの状態をとる。
【0093】
6ポート3ポジションバルブ25は、ポートP1に洗浄槽26、ポートP2に洗浄ユニット15、ポートP3にバッファ配管13、ポートP4に脱気ユニット19を介して洗浄液びん21、ポートP5にプランジャ洗浄流路17、共通ポートであるP6に試料計量手段であるシリンジ11が接続される。
【0094】
プランジャ洗浄流路17は、ポンプ装置7(図27では省略)に連通しており、必要に応じて、ポンプ装置7のプランジャ表面に析出する移動相内に含まれた塩を、自動試料導入装置から洗浄することができる。6ポート3ポジションバルブ25は、45度または90度回転させることによって、(1)ポートP1−P2およびP3−P6、(2)ポートP2−P3およびP4−P6、(3)ポートP5−P6が各々連通する3つのポジションをとるこができる。
【0095】
6ポート3ポジションバルブ25が(1)ポートP1−P2およびP3−P6が連通しているポジションにあるとき、ニードル2はバッファ配管13を介して、試料計量手段であるシリンジ11に接続され、シリンジ11を上下に操作させることによって、液体の吸引・吐出を行う。
【0096】
洗浄液びん20は、脱気ユニット19を介して、洗浄ユニット15に接続されている。本発明の第5の実施例においては、洗浄槽27が新たに設けられている。
【0097】
次に、図27〜図42を用いて、本発明の第5の実施例における試料注入工程の詳細を説明する。
【0098】
本発明の第5の実施例におけるループインジェクション方式は、ニードル2から吸引した試料を全量、試料貯留ループ5に送り込み、カラム6に到達させる方式であり、全量注入方式である。このため、第2の実施例と同様な用語を使用する。
【0099】
ここで、エアボリュームvaを試料前後に挟むか否かの設定は、自動試料導入装置として選択することが可能であり、本発明の第5の実施例は、va=0(試料前後に空気層を挟まない)場合の例である。
【0100】
図27は、自動試料導入装置を初期化し、アイドル状態の流路図である。図27において、移動相は、ポンプ装置7から6ポート2ポジションバルブ8の試料貯留ループ5を介して、分離カラム6へと流れている。洗浄液びん20は、脱気ユニット(デガッサ)19、洗浄ユニット15、6ポート3ポジションバルブ25のポートP2、P3を介して、バッファ配管13に接続されている。また、シリンジ11は、6ポート3ポジションバルブ25のポートP4、P6、脱気ユニット19を介して、洗浄液びん21に接続されている。そして、ニードル2は試料注入口3の上空に位置している。
【0101】
図28は、洗浄液Aの吸引工程の流路図である。図28において、シリンジ11は、vf+vd=フィードボリューム+デッドボリュームの分だけ、洗浄液Aを吸引する。なお、この第5の実施例では、試料吸引前のニードル2の外壁の洗浄工程は記載していないが、試料吸引前に6ポート3ポジションバルブ25を時計回りに45度回転させることによって、ニードル2を洗浄槽26に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引前洗浄)ことも可能である。
【0102】
図29は、試料の吸引工程の流路図である。図29において、6ポート3ポジションバルブ25を時計回りに45度回転させることによって、(1)ポートP1−P2およびP3−P6が各々連通するポジションに切り替える。ニードル2を試料保持容器1内へ移動後、シリンジ11は、ンジェクションボリューム分(vi)だけ、試料を吸引する。
【0103】
図30は、洗浄液Aによる洗浄槽26でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図30において、ニードル2を洗浄槽26に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽26へ送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引後洗浄)。
【0104】
図31は、インジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)への移動工程の流路図である。図31において、ニードル2を試料注入口3に移動する。
【0105】
図32は、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5を移動相流路から切り離す圧力抜き工程の流路図である。図32において、6ポート2ポジションバルブ8を反時計回りに60度回転させることにより、高圧下にある試料貯留ループ5が移動相流路からから切り離され、試料貯留ループ5内の溶媒に負荷されていた圧力は、ドレイン22を介して、大気圧に開放される。
【0106】
図33は、試料をロードする工程の流路図である。図33において、シリンジ11は、vf+vi+vd=フィードボリューム+インジェクションボリューム+デッドボリューム分だけ吐出し、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5内に試料を送る。ニードル2から吸引したインジェクションボリューム分(vi)の試料は、全量、試料貯留ループ5内に保持される。
【0107】
図34は、試料をインジェクションする工程の流路図である。図34において、6ポート2ポジションバルブ8を時計回りに60度回転させることにより、試料貯留ループ5をポンプ装置7とカラム6に接続させ、試料を移動相流路内に導入する。
【0108】
図35は、洗浄液びん20の洗浄液Aによるニードル2の内壁の洗浄工程の流路図である。図35において、6ポート3ポジションバルブ25を反時計周りに45度回転させ、(2)ポートP2−P3およびP4−P6が連通するポジションに切り替え、洗浄ユニット15にて洗浄液びん20の洗浄液Aを送液する。そして、バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Aで洗浄し、ドレイン22に排出する。
【0109】
図36、図37は、洗浄液ビン21の洗浄液Bによるニードル2の内壁の洗浄工程の流路図である。図36において、シリンジ11を下降させ、洗浄液びん21から洗浄液Bを吸引する。
【0110】
図37において、6ポート3ポジションバルブ25を時計回りに45度回転させ、(1)ポートP1−P2およびP3−P6が各々連通するポジションに切り替える。シリンジ11を上昇させ、バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Bで洗浄し、ドレイン22に排出する。
【0111】
図38は、洗浄終了後、アイドル状態へ移行した流路図である。図38において、6ポート3ポジションバルブ25を反時計周りに45度回転させ、(2)ポートP2−P3およびポートP4−P6が連通するポジションに切り替える。そして、ニードル2を試料注入口3の上空に移動する。
【0112】
図39、図40は、ポンプ装置7のプランジャ洗浄工程の流路図である。図39において、シリンジ11を下降させ、洗浄液びん21から洗浄液Bを吸引する。図40において、6ポート3ポジションバルブ25を反時計回りに90度回転させ、(3)ポートP5−P6が連通するポジションに切り替える。シリンジ11を上昇させ、バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Bで洗浄し、プランジャ洗浄流路17に排出する。
【0113】
洗浄完了後、図27に示したアイドル状態へ移行する。
【0114】
図41、図42は、洗浄液びん21の洗浄液Bによるニードル2の外壁の洗浄工程の流路図である。図41において、シリンジ11を下降させ、洗浄液びん21から洗浄液Bを吸引する。
【0115】
図42において、6ポート3ポジションバルブ25を時計回りに45度回転させ、(1)ポートP1−P2およびP3−P6が各々連通するポジションに切り替える。そして、ニードル2を洗浄槽27に移動後、シリンジ11を上昇させてニードル2の先端から洗浄槽Bを吐出し、ニードル2の外壁を洗浄後、ドレイン28に排出する。
【0116】
洗浄完了後、図27に示したアイドル状態へ移行する。
【0117】
なお、上述した第1の実施例のカット方式、第3の実施例のフルループ方式と同様の注入方式も、第5の実施例の構成を用いて実現可能である。
【0118】
本発明の第5の実施例においても、第1の実施例と同様に、基本性能を向上させ、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ装置用自動試料導入装置を実現できる。
【0119】
図44は、本発明と異なり、シリンジが試料の計量と流路の洗浄との両方を行う例であって、本発明との比較例を示す図である。
【0120】
図44に示した例は、ループインジェクション方式の自動試料導入ユニットの一例である。図44において、自動試料導入ユニットは、主に流路切替手段としての6ポート2ポジションバルブ68と、ニードル62と、試料計量手段としてのシリンジ71と、3方バルブ100と、洗浄液びん72とからなる。
【0121】
6ポート2ポジションバルブ68は、試料導入口63が接続されるポートP1と、試料を分離カラム66に送り出すポートP2と、ポンプ装置67から送られる移動相を供給するポートP1と、試料貯留ループ65の両端が接続されるポートP3およびP6と、ドレイン(排出路)69が接続されるポートP5との6つのポートを有する。
【0122】
試料の注入動作は、以下のようにして行われる。まず、6ポート2ポジションバルブ68は、破線で示した位置に切り替えられ、試料注入口63と試料貯留ループ65とドレイン69とが連通される。3方バルブ100がシリンジ71に接続された状態で試料保持容器61内にニードル62が挿入され、シリンジ71を操作することによって、所定の試料量をバッファ配管73内に吸引、保持する。
【0123】
試料吸引後、ニードル62を洗浄槽70内に浸漬して、ニードル62の外壁に付着した試料を洗浄する。洗浄後、ニードル62を試料導入口63内に移動し、シリンジ71を操作することによって試料を試料導入口63内に注入する。試料導入口63に注入された試料は、試料貯留ループ65内に一次的に貯留される。
【0124】
ここで、6ポート2ポジションバルブ68を実線側に切り替えることで、ポンプ装置67と試料貯留ループ65とカラム66とを接続する流路が形成され、分析が開始される。試料貯留ループ65に一次貯留された試料は、ポンプ装置67によって送り込まれた移動相によってカラム66へと押し出されて、成分毎に分離される。
【0125】
分離された各成分は、検出器にてクロマトグラムとして検出された後、データ処理装置に送られ、定性・定量処理される。
【0126】
分析開始後、試料が付着しているニードル62の内壁、および試料導入口63の洗浄を行う。3方バルブ100を破線で示した位置に切り替え、シリンジ71を操作することによって、洗浄液びん72から洗浄液を吸引する。その後、3方バルブ100を実線の位置に再び切り替えて、シリンジ71を操作することによって、バッファ配管73内へと吐出し、ニードル62の内壁、試料導入口63、6ポート2ポジションバルブ68の洗浄を行い、ドレイン69へと排出する。
【0127】
図44に示す構成の装置では、シリンジが試料の計量と流路の洗浄をおこなっているため、シリンジの交換頻度が極端に高い。また、試料の計量を優先して小さい容積のシリンジを使用すると、洗浄時間が増大してサイクルタイムが長くなり、流路の洗浄を優先して大きい容積のシリンジを使用すると、シリンジ操作の精度や分解能を落とす結果となっていた。さらに、ニードルの外壁は浸漬洗浄しか行えないため、ニードルの外壁に付着した試料が十分洗浄できず、試料のキャリーオーバの要因となっていた。
【0128】
これに対して、本願発明は、上記問題点を解消することができる。
【0129】
なお、上述した例は、本発明を液体クロマトグラフ装置に適用した場合の例であるが、本発明は、液体クロマトグラフ装置のみならず、他の液体試料分析装置に適用可能である。例えば、自動分析装置、原子吸光光度計にも適用可能である。
【符号の説明】
【0130】
1・・・試料保持容器、2・・・ニードル、3・・・試料注入口、5・・・試料貯留ループ、6・・・分離カラム、7・・・ポンプ装置、8・・・6ポート2ポジションバルブ、9・・・ドレイン、10・・・洗浄槽、11・・・シリンジ、12・・・洗浄液びん、13・・・バッファ配管、14・・・サンプルラック、15・・・洗浄ユニット、16・・・5ポート4ポジションバルブ、17・・・ポンププランジャ洗浄流路、18・・・3方バルブ、19・・・脱気ユニット、20、21・・・洗浄液びん、22、23・・・ドレイン、24・・・圧力センサ、25・・・6ポート3ポジションバルブ、26、27・・・洗浄槽、28・・・ドレイン、30・・・検出器、31・・・洗浄液配管、50・・・制御部、51・・・ニードル移動機構、52・・・シリンジ動作機構、53・・・洗浄ユニット動作機構、54・・・シリンジバルブ動作機構、55・・・3方バルブ動作機構、56・・・2ポジションバルブ動作機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体試料分析装置及び液体試料導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体試料分析装置の一種類である液体クロマトグラフ装置においては、ポンプ装置により移動相が吸入され、自動試料導入ユニットにより導入された試料とともに分離カラムへと送液される。分離カラムに導入された試料は各々の成分に分離され、各種の検出器により検出される。一般に、高速液体クロマトグラフ(HPLC)と呼ばれる装置分野においては、最大20〜40MPaの高圧流路下で分析を行うことが要求される。このようなHPLC用ポンプ装置においては、高圧力下でも正確に且つ精密に移動相を供給できることが要求される。
【0003】
また、自動試料導入ユニットは、サンプルラックに並べられた試料保持容器からニードルによって試料液を吸引後、試料貯留ループに試料を貯留し、液体クロマトグラフの移動相流路中に自動で注入するための装置である。また、移動相流路中に注入する前に試料を希釈したり、試料と反応試薬とを混合してラベル化する等の前処理機能が備わった自動試料導入ユニットも多く使用されている。
【0004】
このような自動試料導入装置における注入方式としては、ニードルおよび試料貯留ループが高圧下にある移動相流路の一部に組み込まれる方式(ダイレクトインジェクション方式)(特許文献1、特許文献2参照)と、試料貯留ループのみが高圧下にある移動相流路の一部に組み込まれる方式(ループインジェクション方式)(特許文献3参照)の2種類に大別される。
【0005】
ダイレクトインジェクション方式は、ニードルおよび試料貯留ループ内に一時的に貯留された試料が、分析開始時に移動相よってカラムへと押し流されるとともに、分析中はニードルおよび試料貯留ループの内部が移動相によって常時フラッシングされるため、吸引した試料を無駄なくカラムに導入でき、試料汚染されたニードル内部を洗浄する別手段を必要としないといった利点がある。
【0006】
一方、分析中、ニードルが移動相流路の一部に組み込まれる原理上から、高圧下でニードルが試料注入口と液密性を保持する構造が必要であり、前処理の希釈や混合といった試料のハンドリングには適していないという欠点を有する。
【0007】
これに対し、ループインジェクション方式は、分析中、ニードルが高圧下の移動相流路外にあるため、分析中であってもニードルの移動や試料計量が可能であることから、ニードルと試料注入口との間で高圧を保持する構造が不要であり、分析中に試料の前処理が実施できるという利点があるが、ニードル内部を洗浄する手段と工程が必要となるため、ダイレクトインジェクション方式に比べて、試料注入に要する時間が長くなりやすいという欠点がある。
【0008】
近年、カラム充填材の微細化技術の進歩により、超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)と呼ばれる装置が急速に進んでいる。UHPLCでは、最大60〜120MPaの圧力下で分析を行い、1検体当たりの分析時間も数10秒〜数分と、従来のHPLCに比べて数分の1程度の時間で済み、分析のスループットを飛躍的に向上できる。
【0009】
UHPLCで要求される自動試料導入ユニットの基本事項は、最大60〜120MPaの超高圧下での多検体分析要求に対し、高注入量再現性、低キャリーオーバ、高速処理(サイクルタイムの短縮)、且つ高い信頼性、耐久性を有していることである。
【0010】
一般に、ダイレクトインジェクション方式を採用した試料導入装置においては、高圧下での分析においても試料注入口から移動相が噴出すること避けるため、ニードルが試料注入口内のシールと常時、液密性を保持可能な機構を有している。分析中、高圧流路に組み込まれていたニードル、試料貯留ループは、試料を吸引する段階になると流路切替バルブによって高圧流路から切り離され、ニードル、試料貯留ループ内の溶媒が大気圧まで開放される。
【0011】
そして、大気圧まで開放された後、ニードルが試料保持容器に差し込まれ、ニードルまたは試料貯留ループ内に試料を吸引した後、上述した試料注入口までニードルが移動する。この段階で再び流路切替バルブが切り替えられ、ポンプ装置によって送液された移動相と共に、試料がカラムへと供給される。
【0012】
UHPLCでは、HPLCに比べて、数倍の超高圧力下で数倍の検体処理能力が要求される。即ち、最大60〜120MPaでニードルと試料注入口と液密性を保持する複雑な構造と、数倍の耐久性が必要とされるため、実現が困難である。
【0013】
また、UHPLCでは、1検体当たりの分析時間が数10秒〜数分と短いため、ニードル内部を移動相によって十分にフラッシングすることが難しい。即ち、原理上、試料のキャリーオーバを低減することが困難になってくる。
【0014】
このため、UHPLCでは、ループインジェクション方式の自動試料導入ユニットが適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平1−248055号公報
【特許文献2】特開2006−292641号公報
【特許文献3】特開平6−235722号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、UHPLC用としてループインジェクション方式の試料導入ユニットを使用する場合、従来技術においては、シリンジが試料の計量と流路の洗浄との両動作を行っていたため、次のような課題があった。
【0017】
第1に、分析回数に対するシリンジの動作ストローク数が多くなってしまう結果、消耗品としての交換頻度が極端に高くなり、装置の信頼性・耐久性を低下させてしまっていた。
【0018】
第2に、試料の計量時は低流量(低速)で、高精度、高分解能のシリンジ操作が必要であるのに対し、流路の洗浄時は高流量(高速)で洗浄時間を短縮するシリンジ操作が必要となり、この相矛盾する要求を一つのシリンジのみの操作で満たすのには限界がある。即ち、試料の計量を優先して小さい容積のシリンジを使用すると、洗浄時間が増大してサイクルタイムが長くなる課題が生じる。一方、流路の洗浄を優先して大きい容積のシリンジを使用すると、シリンジ操作の精度や分解能を落とす結果となり、注入量再現性が低下させてしまっていた。
【0019】
第3に、ニードルの外壁は浸漬洗浄しか行えないため、ニードルの外壁に付着した試料が十分洗浄できず、試料のキャリーオーバの要因となっていた。
【0020】
本発明の目的は、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体試料分析装置及び液体試料導入装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0022】
液体試料分析装置、液体試料導入装置及び液体試料導入方法において、液体試料を吸引吐出するニードルの外壁を洗浄槽に挿入して洗浄し、液体試料をシリンジで計量しながらニードル内に吸引し、ニードル内に吸引した液体試料をシリンジで計量しながら、試料貯留ループに供給し、試料貯留ループに貯留された液体試料を移動相流路に供給し、ニードルをシリンジ手段から切り離して、洗浄液送液手段から洗浄液をニードル内に供給し、ニードルの内壁を洗浄する。
【発明の効果】
【0023】
信頼性・耐久性を向上させ、キャリーオーバの低減と高速処理が可能な、液体試料分析装置、液体試料導入装置及び液体試料導入方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、アイドル状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、シリンジの洗浄液吸引及びニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料の吸引工程を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルからリードボリュームを吐出する工程を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料貯留ループを移動相流路から切り離し圧力を抜く工程を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループに送る工程を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループから移動相流路内に送液する工程を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、プランジャの洗浄工程を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、シリンジの洗浄液吸引及びニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料の吸引工程を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルを試料注入口に移動する工程を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料貯留ループを移動相流路から切り離し圧力を抜く工程を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループに送る工程を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループから移動相流路内に送液する工程を示す図である。
【図19】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、シリンジの洗浄液吸引及びニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図20】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料の吸引工程を示す図である。
【図21】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図22】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルを試料注入口に移動する工程を示す図である。
【図23】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料貯留ループを移動相流路から切り離し圧力を抜く工程を示す図である。
【図24】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループに送る工程を示す図である。
【図25】本発明の第3の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループから移動相流路内に送液する工程を示す図である。
【図26】本発明の第4の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成図である。
【図27】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、アイドル状態を示す図である。
【図28】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、シリンジの洗浄液吸引工程を示す図である。
【図29】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料の吸引工程を示す図である。
【図30】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁洗浄工程を示す図である。
【図31】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルを試料注入口に移動する工程を示す図である。
【図32】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料貯留ループを移動相流路から切り離し圧力を抜く工程を示す図である。
【図33】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループに送る工程を示す図である。
【図34】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、試料を試料貯留ループから移動相流路内に送液する工程を示す図である。
【図35】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図36】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図37】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの内壁の洗浄工程を示す図である。
【図38】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、洗浄工程後のアイドル状態を示す図である。
【図39】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ポンプ装置のプランジャ洗浄工程を示す図である。
【図40】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ポンプ装置のプランジャ洗浄工程を示す図である。
【図41】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁の洗浄工程を示す図である。
【図42】本発明の第5の実施例である液体クロマトグラフ装置の概略構成であり、ニードルの外壁の洗浄工程を示す図である。
【図43】本発明の実施例1〜5における動作制御機能ブロック図である。
【図44】本発明とは異なる例の試料導入装置であり、本発明との比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0026】
図1は、本発明の第1の実施例であるループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の概略構成図であり、図2〜図11は本発明の第1の実施例における試料注入工程の詳細を示す図である。また、図43は、本発の実施例における動作制御ブロック図である。
【0027】
図1において、試料保持容器1はサンプルラック14上に設置される。ニードル2は、試料保持容器1と、洗浄槽10と、6ポート2ポジションバルブ(第1の流路切替手段)8の試料注入口3との間を、ニードル移動機構51により移動される。ニードル移動機構51は、動作制御部50により制御される。
【0028】
6ポート2ポジションバルブ8は、ポートP1にポンプ装置7、ポートP2に分離カラム6、ポートP4に試料注入口3、ポートP5にドレイン22、ポートP3およびP3間に試料貯留ループ5が接続される。分離カラム6は検出器30に接続されている。検出器30は、分離カラム6により供給される試料を検出し分析する。
【0029】
また、6ポート2ポジションバルブ8は、60度回転させることによって、ポートP1−P6、P4−P5、P2−P3が連通するインジェクトポジションと、ポートP1−P2、P3−P4、P5−P6が連通するロードポジションとの2つの状態をとることができる。
【0030】
洗浄ユニット(洗浄ポンプ(洗浄液送液手段))15は、3方バルブ18が接続され、3方バルブ18には、脱気ユニット(デガッサ)19を介して、洗浄液びん20、洗浄液びん21が接続されている。そして、3方バルブ18を、洗浄液びん20側と洗浄液Bびん21側とで切り替えることによって、洗浄ユニット15で、5ポート4ポジションバルブ(第2の流路切替手段)16に送り出す洗浄液A、Bの選択が可能である。
【0031】
5ポート4ポジションバルブ16は、ポートP1に洗浄液配管31を介して洗浄槽10、ポートP2にバッファ配管13、ポートP3に試料計量手段であるシリンジ11、ポートP4にプランジャ洗浄流路17、共通ポートであるP5に洗浄ユニット15が接続される。プランジャ洗浄流路17は、ポンプ装置7に連通しており、必要に応じて、ポンプ装置7のプランジャ表面に析出する移動相内に含まれた塩を、自動試料導入装置から洗浄することができる。
【0032】
5ポート4ポジションバルブ16は、45度ずつ回転させることによって、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3、(2)ポートP2−P5およびポートP3−P4、(3)ポートP3−P5、(4)ポートP4−P5が各々連通する4つのポジションをとるこができる。
【0033】
5ポート4ポジションバルブ16が、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3が連通しているポジションにあるとき、ニードル2はバッファ配管13を介して、試料計量手段であるシリンジ11に接続され、シリンジ11を上下に操作させることによって、液体の吸引・吐出を行う。
【0034】
シリンジ11は、シリンジ移動機構52により、その移動及び吸引吐出動作が制御され、洗浄ユニット15は洗浄ユニット動作機構53により動作される。また、シリンジバルブ16は、シリンジバルブ動作機構54により動作され、3方バルブ18は、3方バルブ動作機構55により動作され、2ポジションバルブ8は、2ポジションバルブ動作機構56により動作される。
【0035】
また、これらシリンジ移動機構52、洗浄ユニット動作機構53、シリンジバルブ動作機構54、3方バルブ動作機構55、2ポジションバルブ動作機構56は、動作制御部50からの指令信号に従って動作制御される。
【0036】
図1に記載した液体クロマトグラフ装置のうち、ポンプ装置7、分離カラム6、検出器30以外の部分は、液体クロマトグラフ装置用試料導入装置を構成している。
【0037】
つまり、液体クロマトグラフ装置用試料導入装置は、シリンジ11と、バルブ16と、洗浄ユニット15と、3方バルブ18と、デガッサ19と、バッファ配管13と、ニードル2と、インジェクションバルブ8と、洗浄槽10と、洗浄液配管31とを備えている。
【0038】
次に、図1〜図12を用いて、本発明の第1の実施例における試料注入工程の詳細を説明する。
【0039】
第1の実施例におけるループインジェクション方式は、実際に移動相流路に注入する量よりも多い試料をニードル2から吸引し、注入時に、洗浄液部分に相当する前端、後端をカットして、中央部のみをカラムに到達させる方式であり、カット方式と呼ぶ。以下、カット方式の各工程の詳細を記載するにあたり、次のような用語の取り決めを行う。
【0040】
vi:インジェクションボリューム(移動相流路への正味の試料導入量)、vl:リードボリューム(カットボリューム)、vr:リアボリューム(カットボリューム)、vd:試料注入口からインジェクションバルブまでのデッドボリューム、va:エアボリューム(試料前後の空気層の容積)とする。
【0041】
ここで、vaを試料前後に挟むか否かの設定は、自動試料導入装置として選択することが可能である。
【0042】
図1は、自動試料導入装置を初期化し、アイドル状態の流路図である。移動相は、ポンプ装置7から6ポート2ポジションバルブ8の試料貯留ループ5を介して、分離カラム6へと流れている。洗浄液びん20は、3方バルブ18、洗浄ユニット15、5ポート4ポジションバルブ16のポート3を介して、シリンジ11に接続されている。ニードル2は洗浄槽10の上空に位置している(洗浄槽10の開口部に対向している)。
【0043】
図2は、洗浄液びんA20から洗浄液Aの吸引、洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図2において、シリンジ11は、デッドボリュームvdの分だけ、洗浄液Aを吸引する。シリンジ11が洗浄液Aを吸引後、5ポート4ポジションバルブ16を時計回りに90度回転させ、図2に示すように、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3が連通するポジションに切り替えることによって、バッファ配管13を介して、ニードル2をシリンジ11に接続させる。ニードル2を洗浄槽10内に移動して、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽10に送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引前洗浄)。
【0044】
図3は、試料の吸引工程の流路図である。図3において、ニードル2を試料保持容器1へ移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分va/2だけ、空気を吸引する。ニードル2を試料保持容器1内へ移動後、シリンジ11は、vr+vi+vl=リアボリューム+インジェクションボリューム+リードボリューム分だけ、試料を吸引する。
【0045】
図4は、洗浄液Aによる洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図4において、ニードル2を洗浄槽10内に移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分va/2だけ、空気を吸引する。ニードル2を洗浄槽10に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽10へ送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引後洗浄)。
【0046】
図5は、ニードル2がインジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)へ移動し、リードボリュームだけ吐出する工程の流路図である。図5において、ニードル2を試料注入口3に移動する。シリンジ11は、vl+va/2+vd=リードボリューム+エアボリュームの半分+デッドボリューム分だけ、洗浄液を吐出し、6ポート2ポジションバルブ8内に試料を送る。
【0047】
図6は、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5を移動相流路から切り離す圧力抜き工程の流路図である。図6において、6ポート2ポジションバルブ8を反時計回りに60度回転させることにより、高圧下にある試料貯留ループ5が移動相流路からから切り離され、試料貯留ループ5内の溶媒に負荷されていた圧力は、ドレイン22を介して、大気圧に開放される。
【0048】
図7は、試料をロードする工程の流路図である。図7において、シリンジ11は、vi=インジェクションボリューム分だけ洗浄液を吐出し、試料貯留ループ5内に試料を送る。
【0049】
図8は、試料をインジェクションする工程の流路図である。図8において、6ポート2ポジションバルブ8を時計回りに60度回転させることにより、試料貯留ループ5をポンプ装置7と分離カラム6に接続させ、試料を移動相流路内に導入する。6ポート2ポジションバルブ8切り替え後、シリンジ11を上死点まで移動させる。
【0050】
図9は、洗浄液Aによるニードル2の内壁の洗浄工程の流路図である。図9において、5ポート4ポジションバルブ16を反時計周りに45度回転させ、(2)ポートP2−P5およびP3−P4が連通するポジションに切り替え、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを送液する。バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3(ポートP4)、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Aで洗浄し、ドレイン22に排出する。
【0051】
図10は、洗浄液Bによるニードル2の内壁の洗浄工程の流路図である。図10において、3方バルブ18を、洗浄液びん21が接続されるように切り替え、洗浄ユニット15にて洗浄液Bをシリンジバルブ16に送液する。バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3(ポートP4)、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Bで洗浄し、ドレイン22に排出する。
【0052】
図10に示した洗浄終了後、図1に示したアイドル状態へ移行する。アイドル状態への移行は、図10に示した状態から5ポート4ポジションバルブ16を反時計周りに45度回転させ、(3)ポートP3−P5が連通するポジションに切り替える。そして、ニードル2を洗浄槽10の上空に移動し、3方バルブ18を、洗浄液Aびん20が接続されるように切り替える。
【0053】
図11は、ポンプ装置7のプランジャ洗浄工程の流路図である。図11において、3方バルブ18を、洗浄液びん21が接続されるように切り替える。5ポート4ポジションバルブ16を反時計周りに45度回転させ、(4)ポートP4−P5が連通するポジションに切り替える。洗浄ユニット15にて洗浄液Bをプランジャ洗浄流路17へ送液する。洗浄液Aで洗浄する場合は、3方バルブ18の切り替えは必要ない。洗浄完了後、図1に示したアイドル状態へ移行する。
【0054】
以上のように、本発明の第1の実施例によれば、シリンジ11が試料の計量を行い、洗浄ユニット15が流路の洗浄を行うように機能を分けることによって、以下の効果が得られる。
【0055】
第1に、分析回数に対するシリンジ11の動作ストローク数が減少する結果、消耗品としての交換頻度が少なくなり、装置の信頼性・耐久性が向上する。
【0056】
第2に、高流量(高速)送液が可能な洗浄ユニット15にて流路洗浄時間を短縮することで、サイクルタイムの短縮化が図れる。また、小さい容積のシリンジ11を使用することで、高精度、高分解能のシリンジ11操作が可能となり、注入量再現性の向上が図れる。
【0057】
第3に、ニードル2の外壁をフロー洗浄することにより、ニードル2の外壁に付着した試料の洗浄効果を高め、キャリーオーバを低減できる。
【0058】
即ち、本発明の第1の実施例によれば、基本性能を向上させ、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ装置用自動試料導入装置を実現することができる。
【0059】
次に、図12〜図18を用いて、本発明の第2の実施例の試料注入工程の詳細を説明する。この第2の実施例も、第1の実施例と同様に、ループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の例である。
【0060】
なお、試料注入工程におけるアイドル状態は、図1に示した状態と同様となるので、図示は省略する。また、第1の実施例と第2の実施例とは、装置構成自体は互いに同様であるが、動作制御が互いに異なっている。
【0061】
第2の実施例におけるループインジェクション方式は、ニードル2から吸引した試料を全量、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5に送り込み、分離カラム6に到達させる方式であり、全量注入方式と呼ぶ。以下、全量注入方式の各工程の詳細を記載するにあたり、第1の実施例と同一の用語を用いるが、新たに、vf=フィードボリュームを定義する。
【0062】
自動試料導入装置を初期化し、アイドル状態の流路図(図1)から開始する。
【0063】
図12は、洗浄液びん20の洗浄液Aの吸引、洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。
【0064】
図12において、シリンジ11は、vf+vd=フィードボリューム+デッドボリュームの分だけ、洗浄液Aを吸引する。シリンジ11に洗浄液Aを吸引後、5ポート4ポジションバルブ16を時計回りに90度回転させ、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3が連通するポジションに切り替えることによって、バッファ配管13を介して、ニードル2をシリンジ11に接続させる。
【0065】
そして、ニードル2を洗浄槽10に移動して、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引前洗浄)。
【0066】
図13は、試料の吸引工程の流路図である。図13において、ニードル2を試料保持容器1へ移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分(va/2)だけ、空気を吸引する。ニードル2を試料保持容器1内へ移動後、シリンジ11は、インジェクションボリューム分(vi)だけ、試料を吸引する。
【0067】
図14は、洗浄液Aによる洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図14において、ニードル2を洗浄槽10に移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分(va/2)だけ、空気を吸引する。ニードル2を洗浄槽10に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽10へ送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引後洗浄)。
【0068】
図15は、インジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)への移動工程の流路図である。図15において、ニードル2をインジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)に移動する。
【0069】
図16は、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5を移動相流路から切り離す圧力抜き工程の流路図である。図16において、6ポート2ポジションバルブであるインジェクションバルブ8を反時計回りに60度回転させることにより、高圧下にある試料貯留ループ5が移動相流路からから切り離され、試料貯留ループ5内の溶媒に負荷されていた圧力は、ドレイン22を介して、大気圧に開放される。
【0070】
図17は、試料をロードする工程の流路図である。図17において、シリンジ11は、vf+vi+vd=フィードボリューム+インジェクションボリューム+デッドボリューム分だけ吐出し、試料貯留ループ5内に試料を送る。ニードル2から吸引したインジェクションボリューム分(vi)の試料は、全量、試料貯留ループ5内に保持される。
【0071】
図18は、試料をインジェクションする工程の流路図である。図18において、6ポート2ポジションバルブ8を時計回りに60度回転させることにより、試料貯留ループ5をポンプ装置7と分離カラム6に接続させ、試料を移動相流路内に導入する。6ポート2ポジションバルブ8を切り替え後、シリンジ11を上死点まで移動させる。
【0072】
以下、全量注入方式による洗浄工程は、図1〜図11と同様である。
【0073】
本発明の第2の実施例においても、第1の実施例と同様に、基本性能を向上させ、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ装置用自動試料導入装置を実現できる。
【0074】
次に、図19〜図25を用いて、本発明の第3の実施例の試料注入工程の詳細を説明する。この第2の実施例も、第1の実施例と同様に、ループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の例である。
【0075】
なお、試料注入工程におけるアイドル状態は、図1に示した状態と同様となるので、図示は省略する。また、第1の実施例と第3の実施例とは、装置構成自体は互いに同様であるが、動作制御が互いに異なっている。
【0076】
第3の実施例におけるループインジェクション方式は、実際に移動相流路に注入する量よりも多い試料をニードル2から吸引し、注入時に試料貯留ループ5をオーバーフローさせて、ループ容量分を分離カラム6に到達させる方式であり、フルループ方式と呼ぶ。以下、フルループ方式の各工程の詳細を記載するにあたり、第1の実施例と同一の用語を用いるが、新たに、vw=ウェストボリュームを定義する。
【0077】
自動試料導入装置を初期化し、アイドル状態の流路図(図1)から開始する。
【0078】
図19は、洗浄液びん20の洗浄液Aの吸引、洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図19において、シリンジ11は、デッドボリュームの分(vd)だけ、洗浄液Aを吸引する。洗浄液Aを吸引後、5ポート4ポジションバルブ16を時計回りに90度回転させ、(1)ポートP1−P5およびポートP2−P3が連通するポジションに切り替えることによって、バッファ配管13を介して、ニードル2をシリンジ11に接続させる。ニードル2を洗浄槽10に移動して、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引前洗浄)。
【0079】
図20は、試料の吸引工程の流路図である。図20において、ニードル2を試料保持容器1へ移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分(va/2)だけ、空気を吸引する。ニードル2を試料保持容器1内へ移動後、シリンジ11は、vw+vi=ウェストボリューム+インジェクションボリューム分だけ、試料を吸引する。
【0080】
図21は、洗浄液びん20の洗浄液Aによる洗浄槽10でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図21において、ニードル2を洗浄槽10に移動中に、シリンジ11は、エアボリュームの半分(va/2)だけ、空気を吸引する。ニードル2を洗浄槽10に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽10へ送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引後洗浄)。
【0081】
図22は、インジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)への移動工程の流路図である。図22において、ニードル2を試料注入口3に移動する。
【0082】
図23は、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5を移動相流路から切り離す圧力抜き工程の流路図である。図23において、6ポート2ポジションバルブ8を反時計回りに60度回転させることにより、高圧下にある試料貯留ループ5が移動相流路からから切り離され、試料貯留ループ5内の溶媒に負荷されていた圧力は、ドレイン22を介して、大気圧に開放される。
【0083】
図24は、試料をロードする工程の流路図である。図24において、シリンジ11は、va/2+vw/2+vi+vd=エアボリューム半分+ウェストボリューム半分+インジェクションボリューム+デッドボリューム分だけ吐出し、試料貯留ループ5内に試料を送る。この際、試料貯留ループ5内容積は、試料で全て満たされる。
【0084】
図25は、試料をインジェクションする工程の流路図である。図25において、6ポート2ポジションバルブ8を時計回りに60度回転させることにより、試料貯留ループ5をポンプ装置7とカラム6に接続させ、試料を移動相流路内に導入する。6ポート2ポジションバルブ8切り替え後、シリンジ11を上死点まで移動させる。
【0085】
以下、フルループ方式による洗浄工程は、図1〜図11と同様である。
【0086】
本発明の第3の実施例においても、第1の実施例と同様に、基本性能を向上させ、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ装置用自動試料導入装置を実現できる。
【0087】
図26は、本発明の第4の実施例の試料注入工程の詳細を説明する。この第4の実施例も、第1の実施例と同様に、ループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の例である。
【0088】
本発明の第4の実施例と、図1に示した第1の実施例との相違点は、本発明の第4の実施例では、洗浄ユニット15と、5ポート4ポジションバルブ16のポートP5との間に、圧力センサ24を設置している点である。他の構成は、第1の実施例と第4の実施例とは同様となっている。
【0089】
本発明の第4の実施例の洗浄工程において、圧力センサ24の圧力値を動作制御部50(図43)でモニタすることで、洗浄ユニット15の送液状態が確認できる。また、圧力の上限値や下限値を設定することで、ニードル2やバッファ配管13の詰まり判定や、洗浄ユニット15から下流側での液漏れ判定を実施することが可能である。
【0090】
また、圧力センサ24は、5ポート4ポジションバルブ16のポートP2と、バッファ配管13との間に設置しても良い。この場合、試料吸引工程において、圧力値をモニタすることで、試料が正しく吸引できているかどうかの判定が可能である。判定は、動作制御部50が行なう。
【0091】
次に、図27〜図42を用いて、本発明の第5の実施例の試料注入工程の詳細を説明する。この第5の実施例も、第1の実施例と同様に、ループインジェクション方式の自動試料導入装置を用いた液体クロマトグラフ装置の例である。
【0092】
図27において、試料保持容器1はサンプルラック14上に設置される。ニードル2は、試料保持容器1、洗浄槽10、試料注入口3の間を自由に移動可能である。6ポート2ポジションバルブ8は各々、ポートP1にポンプ装置7、ポートP2にカラム6、ポートP4に試料注入口3、ポートP5にドレイン23、ポートP3およびポートP3間に試料貯留ループ5が接続される。6ポート2ポジションバルブ8は、60度回転させることによって、ポートP1−P6、P4−P5、P2−P3が連通するインジェクトポジションと、ポートP1−P2、P3−P4、P5−P6が連通するロードポジションとの2つの状態をとる。
【0093】
6ポート3ポジションバルブ25は、ポートP1に洗浄槽26、ポートP2に洗浄ユニット15、ポートP3にバッファ配管13、ポートP4に脱気ユニット19を介して洗浄液びん21、ポートP5にプランジャ洗浄流路17、共通ポートであるP6に試料計量手段であるシリンジ11が接続される。
【0094】
プランジャ洗浄流路17は、ポンプ装置7(図27では省略)に連通しており、必要に応じて、ポンプ装置7のプランジャ表面に析出する移動相内に含まれた塩を、自動試料導入装置から洗浄することができる。6ポート3ポジションバルブ25は、45度または90度回転させることによって、(1)ポートP1−P2およびP3−P6、(2)ポートP2−P3およびP4−P6、(3)ポートP5−P6が各々連通する3つのポジションをとるこができる。
【0095】
6ポート3ポジションバルブ25が(1)ポートP1−P2およびP3−P6が連通しているポジションにあるとき、ニードル2はバッファ配管13を介して、試料計量手段であるシリンジ11に接続され、シリンジ11を上下に操作させることによって、液体の吸引・吐出を行う。
【0096】
洗浄液びん20は、脱気ユニット19を介して、洗浄ユニット15に接続されている。本発明の第5の実施例においては、洗浄槽27が新たに設けられている。
【0097】
次に、図27〜図42を用いて、本発明の第5の実施例における試料注入工程の詳細を説明する。
【0098】
本発明の第5の実施例におけるループインジェクション方式は、ニードル2から吸引した試料を全量、試料貯留ループ5に送り込み、カラム6に到達させる方式であり、全量注入方式である。このため、第2の実施例と同様な用語を使用する。
【0099】
ここで、エアボリュームvaを試料前後に挟むか否かの設定は、自動試料導入装置として選択することが可能であり、本発明の第5の実施例は、va=0(試料前後に空気層を挟まない)場合の例である。
【0100】
図27は、自動試料導入装置を初期化し、アイドル状態の流路図である。図27において、移動相は、ポンプ装置7から6ポート2ポジションバルブ8の試料貯留ループ5を介して、分離カラム6へと流れている。洗浄液びん20は、脱気ユニット(デガッサ)19、洗浄ユニット15、6ポート3ポジションバルブ25のポートP2、P3を介して、バッファ配管13に接続されている。また、シリンジ11は、6ポート3ポジションバルブ25のポートP4、P6、脱気ユニット19を介して、洗浄液びん21に接続されている。そして、ニードル2は試料注入口3の上空に位置している。
【0101】
図28は、洗浄液Aの吸引工程の流路図である。図28において、シリンジ11は、vf+vd=フィードボリューム+デッドボリュームの分だけ、洗浄液Aを吸引する。なお、この第5の実施例では、試料吸引前のニードル2の外壁の洗浄工程は記載していないが、試料吸引前に6ポート3ポジションバルブ25を時計回りに45度回転させることによって、ニードル2を洗浄槽26に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引前洗浄)ことも可能である。
【0102】
図29は、試料の吸引工程の流路図である。図29において、6ポート3ポジションバルブ25を時計回りに45度回転させることによって、(1)ポートP1−P2およびP3−P6が各々連通するポジションに切り替える。ニードル2を試料保持容器1内へ移動後、シリンジ11は、ンジェクションボリューム分(vi)だけ、試料を吸引する。
【0103】
図30は、洗浄液Aによる洗浄槽26でのニードル2の外壁洗浄工程の流路図である。図30において、ニードル2を洗浄槽26に移動後、洗浄ユニット15にて洗浄液Aを洗浄槽26へ送液し、ニードル2の外壁を洗浄する(試料吸引後洗浄)。
【0104】
図31は、インジェクションバルブ8の試料注入口3(ポートP4)への移動工程の流路図である。図31において、ニードル2を試料注入口3に移動する。
【0105】
図32は、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5を移動相流路から切り離す圧力抜き工程の流路図である。図32において、6ポート2ポジションバルブ8を反時計回りに60度回転させることにより、高圧下にある試料貯留ループ5が移動相流路からから切り離され、試料貯留ループ5内の溶媒に負荷されていた圧力は、ドレイン22を介して、大気圧に開放される。
【0106】
図33は、試料をロードする工程の流路図である。図33において、シリンジ11は、vf+vi+vd=フィードボリューム+インジェクションボリューム+デッドボリューム分だけ吐出し、インジェクションバルブ8の試料貯留ループ5内に試料を送る。ニードル2から吸引したインジェクションボリューム分(vi)の試料は、全量、試料貯留ループ5内に保持される。
【0107】
図34は、試料をインジェクションする工程の流路図である。図34において、6ポート2ポジションバルブ8を時計回りに60度回転させることにより、試料貯留ループ5をポンプ装置7とカラム6に接続させ、試料を移動相流路内に導入する。
【0108】
図35は、洗浄液びん20の洗浄液Aによるニードル2の内壁の洗浄工程の流路図である。図35において、6ポート3ポジションバルブ25を反時計周りに45度回転させ、(2)ポートP2−P3およびP4−P6が連通するポジションに切り替え、洗浄ユニット15にて洗浄液びん20の洗浄液Aを送液する。そして、バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Aで洗浄し、ドレイン22に排出する。
【0109】
図36、図37は、洗浄液ビン21の洗浄液Bによるニードル2の内壁の洗浄工程の流路図である。図36において、シリンジ11を下降させ、洗浄液びん21から洗浄液Bを吸引する。
【0110】
図37において、6ポート3ポジションバルブ25を時計回りに45度回転させ、(1)ポートP1−P2およびP3−P6が各々連通するポジションに切り替える。シリンジ11を上昇させ、バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Bで洗浄し、ドレイン22に排出する。
【0111】
図38は、洗浄終了後、アイドル状態へ移行した流路図である。図38において、6ポート3ポジションバルブ25を反時計周りに45度回転させ、(2)ポートP2−P3およびポートP4−P6が連通するポジションに切り替える。そして、ニードル2を試料注入口3の上空に移動する。
【0112】
図39、図40は、ポンプ装置7のプランジャ洗浄工程の流路図である。図39において、シリンジ11を下降させ、洗浄液びん21から洗浄液Bを吸引する。図40において、6ポート3ポジションバルブ25を反時計回りに90度回転させ、(3)ポートP5−P6が連通するポジションに切り替える。シリンジ11を上昇させ、バッファ配管13、ニードル2、試料注入口3、6ポート2ポジションバルブ8内の流路を洗浄液Bで洗浄し、プランジャ洗浄流路17に排出する。
【0113】
洗浄完了後、図27に示したアイドル状態へ移行する。
【0114】
図41、図42は、洗浄液びん21の洗浄液Bによるニードル2の外壁の洗浄工程の流路図である。図41において、シリンジ11を下降させ、洗浄液びん21から洗浄液Bを吸引する。
【0115】
図42において、6ポート3ポジションバルブ25を時計回りに45度回転させ、(1)ポートP1−P2およびP3−P6が各々連通するポジションに切り替える。そして、ニードル2を洗浄槽27に移動後、シリンジ11を上昇させてニードル2の先端から洗浄槽Bを吐出し、ニードル2の外壁を洗浄後、ドレイン28に排出する。
【0116】
洗浄完了後、図27に示したアイドル状態へ移行する。
【0117】
なお、上述した第1の実施例のカット方式、第3の実施例のフルループ方式と同様の注入方式も、第5の実施例の構成を用いて実現可能である。
【0118】
本発明の第5の実施例においても、第1の実施例と同様に、基本性能を向上させ、高信頼性且つ高速処理が可能な、液体クロマトグラフ装置及び液体クロマトグラフ装置用自動試料導入装置を実現できる。
【0119】
図44は、本発明と異なり、シリンジが試料の計量と流路の洗浄との両方を行う例であって、本発明との比較例を示す図である。
【0120】
図44に示した例は、ループインジェクション方式の自動試料導入ユニットの一例である。図44において、自動試料導入ユニットは、主に流路切替手段としての6ポート2ポジションバルブ68と、ニードル62と、試料計量手段としてのシリンジ71と、3方バルブ100と、洗浄液びん72とからなる。
【0121】
6ポート2ポジションバルブ68は、試料導入口63が接続されるポートP1と、試料を分離カラム66に送り出すポートP2と、ポンプ装置67から送られる移動相を供給するポートP1と、試料貯留ループ65の両端が接続されるポートP3およびP6と、ドレイン(排出路)69が接続されるポートP5との6つのポートを有する。
【0122】
試料の注入動作は、以下のようにして行われる。まず、6ポート2ポジションバルブ68は、破線で示した位置に切り替えられ、試料注入口63と試料貯留ループ65とドレイン69とが連通される。3方バルブ100がシリンジ71に接続された状態で試料保持容器61内にニードル62が挿入され、シリンジ71を操作することによって、所定の試料量をバッファ配管73内に吸引、保持する。
【0123】
試料吸引後、ニードル62を洗浄槽70内に浸漬して、ニードル62の外壁に付着した試料を洗浄する。洗浄後、ニードル62を試料導入口63内に移動し、シリンジ71を操作することによって試料を試料導入口63内に注入する。試料導入口63に注入された試料は、試料貯留ループ65内に一次的に貯留される。
【0124】
ここで、6ポート2ポジションバルブ68を実線側に切り替えることで、ポンプ装置67と試料貯留ループ65とカラム66とを接続する流路が形成され、分析が開始される。試料貯留ループ65に一次貯留された試料は、ポンプ装置67によって送り込まれた移動相によってカラム66へと押し出されて、成分毎に分離される。
【0125】
分離された各成分は、検出器にてクロマトグラムとして検出された後、データ処理装置に送られ、定性・定量処理される。
【0126】
分析開始後、試料が付着しているニードル62の内壁、および試料導入口63の洗浄を行う。3方バルブ100を破線で示した位置に切り替え、シリンジ71を操作することによって、洗浄液びん72から洗浄液を吸引する。その後、3方バルブ100を実線の位置に再び切り替えて、シリンジ71を操作することによって、バッファ配管73内へと吐出し、ニードル62の内壁、試料導入口63、6ポート2ポジションバルブ68の洗浄を行い、ドレイン69へと排出する。
【0127】
図44に示す構成の装置では、シリンジが試料の計量と流路の洗浄をおこなっているため、シリンジの交換頻度が極端に高い。また、試料の計量を優先して小さい容積のシリンジを使用すると、洗浄時間が増大してサイクルタイムが長くなり、流路の洗浄を優先して大きい容積のシリンジを使用すると、シリンジ操作の精度や分解能を落とす結果となっていた。さらに、ニードルの外壁は浸漬洗浄しか行えないため、ニードルの外壁に付着した試料が十分洗浄できず、試料のキャリーオーバの要因となっていた。
【0128】
これに対して、本願発明は、上記問題点を解消することができる。
【0129】
なお、上述した例は、本発明を液体クロマトグラフ装置に適用した場合の例であるが、本発明は、液体クロマトグラフ装置のみならず、他の液体試料分析装置に適用可能である。例えば、自動分析装置、原子吸光光度計にも適用可能である。
【符号の説明】
【0130】
1・・・試料保持容器、2・・・ニードル、3・・・試料注入口、5・・・試料貯留ループ、6・・・分離カラム、7・・・ポンプ装置、8・・・6ポート2ポジションバルブ、9・・・ドレイン、10・・・洗浄槽、11・・・シリンジ、12・・・洗浄液びん、13・・・バッファ配管、14・・・サンプルラック、15・・・洗浄ユニット、16・・・5ポート4ポジションバルブ、17・・・ポンププランジャ洗浄流路、18・・・3方バルブ、19・・・脱気ユニット、20、21・・・洗浄液びん、22、23・・・ドレイン、24・・・圧力センサ、25・・・6ポート3ポジションバルブ、26、27・・・洗浄槽、28・・・ドレイン、30・・・検出器、31・・・洗浄液配管、50・・・制御部、51・・・ニードル移動機構、52・・・シリンジ動作機構、53・・・洗浄ユニット動作機構、54・・・シリンジバルブ動作機構、55・・・3方バルブ動作機構、56・・・2ポジションバルブ動作機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動相流路を有する液体試料分析装置に液体試料を導入する液体試料導入装置において、
試料貯留ループと、
液体試料を吸引し、吐出するニードルと、
前記ニードルを挿入する試料注入口と、
前記ニードルの試料容器からの液体試料の吸引と上記試料貯留ループへの吐出とを液体試料を計量して行う計量手段と、
前記試料注入口に連通し液体試料を前記移動相流路へ注入する流路切替手段と、
前記計量手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
液体試料の前記移動相流路への注入において、複数の異なる注入方式のうちのいずれか1つを選択し、
当該選択された注入方式に基づいて、吸引する試料の前後における空気層の容積を変化させるように前記計量手段を制御することを特徴とする液体試料導入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体試料導入装置において、
前記制御手段は、
当該ニードルが吸引した試料のうち、一部を前記移動相流路へ注入する場合には、
当該試料を吸引する前に、
前記移動相流路への試料導入量と、
前記試料注入口から前記流路切替手段までの容積に基づいて、
洗浄液を吸引するように、前記計量手段を制御することを特徴とする液体試料導入装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体試料導入装置において、
前記制御手段は、
当該ニードルが吸引した試料のうち、一部を前記移動相流路へ注入する場合には、
当該試料を吸引する前にまたは吸引した後に、
当該吸引する試料の前後における空気層の容積の半分の空気を吸引するように、前記計量手段を制御することを特徴とする液体試料導入装置。
【請求項4】
請求項1に記載された液体試料導入装置において、
前記制御手段は、
当該ニードルが吸引した試料の全量を前記移動相流路へ注入する場合には、
当該試料を吸引する前に、
前記試料を前記試料貯留ループまで送り込むための洗浄液の容積、及び前記移動相流路への試料導入量と、前記試料注入口から前記流路切替手段までの容積と、に基づいて、
前記洗浄液を吸引するように前記計量手段を制御することを特徴とする液体
試料導入装置。
【請求項5】
請求項1に記載された液体試料導入装置において、
前記制御手段は、
当該ニードルが吸引した試料の全量を前記移動相流路へ注入する場合には、
当該試料を吸引する前または吸引した後であって、かつ前記ニードルの移動中に、
当該吸引する試料の前後における空気層の容積の半分の空気を吸引するように、前記計量手段を制御することを特徴とする液体試料導入装置。
【請求項6】
移動相流路を有する液体試料分析装置に試料を導入する液体試料導入方法において、
計量手段により、液体試料を計量しながら、ニードル内に吸引する工程と、
上記ニードル内に吸引した液体試料を上記計量手段により計量しながら、上記試料貯留ループへ吐出する工程と、
上記試料貯留ループに貯留された液体試料を移動相流路に供給する工程と、
前記計量手段を制御する制御手段により、
液体試料の前記移動相流路への注入において、複数の異なる注入方式のうちのいずれか1つを選択し、
当該選択された注入方式に基づいて、吸引する試料の前後における空気層の容積を変化させる工程と、を備えることを特徴とする液体試料導入方法。
【請求項1】
移動相流路を有する液体試料分析装置に液体試料を導入する液体試料導入装置において、
試料貯留ループと、
液体試料を吸引し、吐出するニードルと、
前記ニードルを挿入する試料注入口と、
前記ニードルの試料容器からの液体試料の吸引と上記試料貯留ループへの吐出とを液体試料を計量して行う計量手段と、
前記試料注入口に連通し液体試料を前記移動相流路へ注入する流路切替手段と、
前記計量手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
液体試料の前記移動相流路への注入において、複数の異なる注入方式のうちのいずれか1つを選択し、
当該選択された注入方式に基づいて、吸引する試料の前後における空気層の容積を変化させるように前記計量手段を制御することを特徴とする液体試料導入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体試料導入装置において、
前記制御手段は、
当該ニードルが吸引した試料のうち、一部を前記移動相流路へ注入する場合には、
当該試料を吸引する前に、
前記移動相流路への試料導入量と、
前記試料注入口から前記流路切替手段までの容積に基づいて、
洗浄液を吸引するように、前記計量手段を制御することを特徴とする液体試料導入装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体試料導入装置において、
前記制御手段は、
当該ニードルが吸引した試料のうち、一部を前記移動相流路へ注入する場合には、
当該試料を吸引する前にまたは吸引した後に、
当該吸引する試料の前後における空気層の容積の半分の空気を吸引するように、前記計量手段を制御することを特徴とする液体試料導入装置。
【請求項4】
請求項1に記載された液体試料導入装置において、
前記制御手段は、
当該ニードルが吸引した試料の全量を前記移動相流路へ注入する場合には、
当該試料を吸引する前に、
前記試料を前記試料貯留ループまで送り込むための洗浄液の容積、及び前記移動相流路への試料導入量と、前記試料注入口から前記流路切替手段までの容積と、に基づいて、
前記洗浄液を吸引するように前記計量手段を制御することを特徴とする液体
試料導入装置。
【請求項5】
請求項1に記載された液体試料導入装置において、
前記制御手段は、
当該ニードルが吸引した試料の全量を前記移動相流路へ注入する場合には、
当該試料を吸引する前または吸引した後であって、かつ前記ニードルの移動中に、
当該吸引する試料の前後における空気層の容積の半分の空気を吸引するように、前記計量手段を制御することを特徴とする液体試料導入装置。
【請求項6】
移動相流路を有する液体試料分析装置に試料を導入する液体試料導入方法において、
計量手段により、液体試料を計量しながら、ニードル内に吸引する工程と、
上記ニードル内に吸引した液体試料を上記計量手段により計量しながら、上記試料貯留ループへ吐出する工程と、
上記試料貯留ループに貯留された液体試料を移動相流路に供給する工程と、
前記計量手段を制御する制御手段により、
液体試料の前記移動相流路への注入において、複数の異なる注入方式のうちのいずれか1つを選択し、
当該選択された注入方式に基づいて、吸引する試料の前後における空気層の容積を変化させる工程と、を備えることを特徴とする液体試料導入方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【公開番号】特開2012−247440(P2012−247440A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202589(P2012−202589)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2009−245414(P2009−245414)の分割
【原出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2009−245414(P2009−245414)の分割
【原出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
[ Back to top ]