説明

液体適用消音

【課題】改良された消音性能を有する液体適用消音材料を提供する。
【解決手段】(a)ポリマー固体の全重量基準で0.05重量%〜20重量%の、ペンダントポリ酸側鎖基中の共重合したモノマーとして存在するカルボキシ酸モノマーを有する水性ポリマーバインダー、(b)乾燥重量基準で、充填剤対ポリマーの比は、1:1〜10:1である充填剤、(c)剪断条件下でないとき、20万〜1,000万のブルックフィールド粘度を有する剪断減粘性組成物を得るために十分な量の増粘剤、を含有する液体適用消音組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車への応用に特に有用な消音用の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車メーカーは、多くの場合に、路面騒音からの振動、エンジン及びトランスミッション振動並びに風に起因する音を消す車両を製造するための工程を採用してきた。振動を減少させるための最も一般的な手段の一つは、ボディ又はフレームの金属又はプラスチック部品に接着する厚いパッチであるアスファルトパッチである。これらは、消音に於いてかなり有効であるが、使用するために取り扱いにくい。第一に、これらは取り付けるために労働集約的である。第二に、それぞれの車両種類は、他の車両種類とは異なっているボディ及びフレーム部品を有するので、メーカーは、かなり広い種々の異なったサイズ及び形状のパッチを利用可能にしなくてはならない。単一の車両でも、パッチの無数の異なったサイズ及び形状を使用し得る。その結果、メーカーは、多数のこのような部品を設計し、供給し、貯蔵しなくてはならず、これはコストがかかり、非効率的である。
【0003】
液体適用消音材料が開発されてきた。これらは、パッチについての幾つかの利点、最も顕著には、これらが、スプレー装置によってロボットで取り付けることができ、パッチ取り付けに付随する労力を排除できる利点を有する。
【0004】
また、スプレー取付は、消音材料の、より集中させた又は限定した適用を可能にすることができる。自動車のレーザ補助振動分析は、振動「ホットスポット」(他の領域よりも多く振動する領域)を同定することができる。パッチによれば、ときには、幾つかのより小さいパッチを製造し、取り付けるよりも、幾つかのホットスポットをカバーする1個の大きいパッチを製造し、取り付ける方がより簡単である。コンピュータ案内のスプレー装置によれば、それぞれのホットスポットを、個々にスプレーし(そして減衰させ)、材料使用量及び車両重量を減少させることができる。
【0005】
溶媒系エポキシ又はウレタン系材料を含有する液体適用消音材料は、VOC発生のための環境的に明白な欠点を有し、臭気問題(例えば、「新車臭」)の原因となる。
【0006】
米国特許出願公開第2008/0051499号明細書には、少なくとも30モルパーセントの、ドナーモノマー及びアクセプターモノマーの交互構造単位を有する残基を含有するマクロモノマーの存在下で、エチレン性不飽和モノマーを重合させることによって製造されたコポリマーを含有する、液体適用消音組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0051499号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
泥状の割れ(泥割れ)の問題に取り組んでいる上記開示にもかかわらず、このような組成物による改良された消音性能についての、当該技術分野に於ける継続的な要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(a)水性ポリマーバインダー(ここで、該バインダーは、ポリマー固体の全重量基準で0.05重量%〜20重量%の、ペンダントポリ酸側鎖基中の共重合したモノマーとして存在するカルボキシ酸モノマーを含有し、このバインダーは、−50℃〜80℃、好ましくは−30℃〜50℃、更に好ましくは0℃〜30℃の計算されたTgを有する)、
(b)充填材(ここで、乾燥重量基準で、充填材対ポリマーの比は、1:1〜10:1である)及び
(c)剪断条件下でないとき、200,000〜10,000,000cP(好ましくは、500,000〜3,000,000cP)のブルックフィールド粘度を有する剪断減粘性組成物を得るために十分な量の増粘剤
を含有する改良された消音組成物であって、この組成物の実体積(volume solid)が、約50〜約75%である組成物である。
【0010】
本発明の他の実施形態に於いて、バインダー(a)は、2種の成分を含有し、第一成分は、−50℃〜60℃の計算されたTgを有するコポリマーを含有し、第二成分は、−30℃〜80℃の計算されたTgを有するコポリマーを含有し、2種の成分の間のTgに於ける差が少なくとも20℃である。
【0011】
2成分バインダーにより、成分の一方は、他方の成分の存在下で重合させることができる。その代わりに、2成分バインダーに於いて、バインダーは、2種のポリマー性分散物のブレンドを含有していてよい。
【0012】
2成分バインダーに於いて、2種の成分の間のTgに於ける好ましい差は、20〜80℃、更に好ましくは30〜70℃、最も好ましくは40〜60℃である。2成分バインダーに於けるそれぞれの成分の量は、1〜99%、好ましくは5〜95%、最も好ましくは10〜90%の範囲であってよい。
【0013】
本発明の組成物は、先行技術の水性消音材料と比較して、改良されたコンポジット損失係数(composite loss factor)(「CLF」)特性を有し、溶媒系液体適用消音材料に付随する問題点を実質的に排除する。
【0014】
本発明は、更に、車両の1種以上のコンポーネントに、前記の本発明の組成物を適用することを含む、自動車の振動を減少させるための方法である。
【0015】
本発明の他の態様は、
(a)水性ポリマーバインダー(ここで、該バインダーは、ポリマー固体の全重量基準で0.05重量%〜20重量%の、共重合したβ−アクリルオキシプロピオン酸モノマーとして存在するカルボキシ酸モノマーを含有し、このバインダーは、−50℃〜80℃、好ましくは−30℃〜50℃、更に好ましくは0℃〜30℃の計算されたTgを有する)、
(b)充填材(ここで、乾燥重量基準で、充填材対ポリマーの比は、1:1〜10:1である)及び
(c)剪断条件下でないとき、200,000〜10,000,000cP(好ましくは、500,000〜3,000,000cP)のブルックフィールド粘度を有する剪断減粘性組成物を得るために十分な量の増粘剤
を含有する改良された消音組成物であって、この組成物の実体積が、約50〜約75%である組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「実体積」は、充填材の乾燥体積とバインダーの乾燥体積の合計であって、この合計を組成物の全体積で割って100を掛けた値を意味する。
【0017】
本明細書中に使用されるとき、「重量(wtまたはwt.)%」又は「重量(wt.)パーセント」は、重量パーセントを意味する。他の方法で示さない限り、これは、固体基準の重量パーセントを意味する。
【0018】
本明細書において、「(コ)ポリマー」と記すとき、これは、ホモポリマー若しくはコポリマー又はこれらの両方の組み合わせを指す。本明細書では、アクリラート又はメタクリラートを指すために用語「(メタ)アクリラート」を使用し、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを指す。
【0019】
ここで、略語AAはアクリル酸を指し、MAAはメタクリル酸を指し、オリゴ−AAはアクリル酸のオリゴマーを指し、オリゴ−MAAはメタクリル酸のオリゴマーを指す。
【0020】
ここで、スルホン酸モノマーには、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸並びにこれらの塩が含まれる。
【0021】
ここで、リン含有モノマーには、アリルホスホン酸、ビニルホスホン酸、ホスホエチルメタクリラート及び他のホスホアルキルメタクリラート並びにこれらの塩が含まれる。
「ガラス転移温度」又は「Tg」は、下記のフォックス式(Fox equation)[Bulletin of the American Physical Society 1,3 Page 123(1956)]により計算される、コポリマーのガラス転移温度である。
【0022】
【数1】

【0023】
コポリマーについて、w及びwは、反応容器に装入されたモノマーの重量基準での、2種のコモノマーの重量分率を指し、Tg(1)及びTg(2)は、ケルビン度での2種の対応するホモポリマーのガラス転移温度を指す。3種以上のモノマーを含有するポリマーについて、さらに用語が追加される(w/Tg(n))。本発明の目的のためのホモポリマーのガラス転移温度は、「Polymer Handbook」、J.Brandrup及びE.H.Immergut編、Interscience Publishers、1966年に報告されているガラス転移温度であり、この刊行物が特定のホモポリマーのTを報告していない場合、ホモポリマーのTは示差走査熱量法(DSC)によって測定される。DSCによってホモポリマーのガラス転移温度を測定するために、ホモポリマーサンプルを調製し、アンモニア又は第一級アミンの不存在下に保持する。このホモポリマーサンプルを乾燥し、120℃まで予熱し、−100℃まで急速に冷却し、次いで、20℃/分の速度で150℃まで加熱し、その間にデータを集める。このホモポリマーについてのガラス転移温度を、半高法(half−height method)を使用して変曲の中間点で測定する。
【0024】
重合単位として架橋モノマーを含有するコポリマーについてのTのフォックス計算は、それぞれの架橋モノマーから形成されたホモポリマー(ここで、ホモポリマーはアンモニア又は第一級アミンの存在下にはない)についてのガラス転移温度に基づいている。アニオン性モノマーから形成されたホモポリマーについてのガラス転移温度値は、酸形態でのアニオン性ホモポリマーについてのものである。
【0025】
エマルジョン(コ)ポリマー粒子が2種以上の相互に非相溶性である(コ)ポリマーから作られる場合について、Tgは、それぞれの(コ)ポリマー中に存在する成分モノマーに従って、それぞれの(コ)ポリマー相について計算される。
【0026】
本明細書において、「ブルックフィールド粘度」と記すとき、これは、1,000,000〜10,000,000cPの粘度を有する組成物について、T−バー型T−Fスピンドルを利用するブルックフィールド・ヘリパス(Brookfield Helipath)(商標)スタンドを有するブルックフィールドRV DV−1粘度計で測定したときの、組成物の粘度を意味する。200,000〜1,000,000の粘度を有する組成物のために、T−バー型T−Eスピンドルを使用することができる。両方の場合に於けるスピンドルの回転速度は1rpmであり、スピンドルを、測定を行う前の10秒間動かす。ブルックフィールド・ヘリパス(商標)スタンドにより、スピンドルを、回転の間に組成物の中に下方に移動させて、高粘度材料の適切な測定を確実にすることが可能である。
【0027】
ブレンドで使用されるエマルジョン(コ)ポリマー粒子の重量平均粒子直径は、ブルックヘブンBI−90パーティクルサイザー(Brookhaven BI−90 Particle Sizer)を使用して測定したとき、40ナノメートル〜1000ナノメートルであってよい。しかしながら、ポリモーダル(polymodal)粒子サイズ分布、例えば、米国特許第4,384,056号明細書及び米国特許第4,539,361号明細書(参照して本明細書に取り込まれる)に開示されているものを、使用することができる。
【0028】
「水性ポリマーバインダー」は、実質的に溶媒を含有していない、水性の水分散ポリマーを意味する。好ましい実施形態に於いて、この消音組成物には、バインダーが、処理組成物の固体重量パーセント基準で、9重量%〜50重量%、好ましくは14重量%〜40重量%、なお更に好ましくは20重量%〜33重量%の量で含有されている。「固体重量パーセント」は、バインダー固体重量を組成物中の全固体重量で除し、これに100を乗じた値を意味する。
【0029】
このバインダーには、ポリマー固体の全重量基準で0.05重量%〜20重量%、好ましくは0.1重量%〜10重量%、更に好ましくは0.5重量%〜5重量%、最も好ましくは1重量%〜3重量%の、ペンダントポリ酸側鎖基中の共重合したモノマーとして存在するカルボキシ酸モノマーを含有するコポリマーが含有されている。好ましくは、このバインダーは、−30℃〜50℃の計算されたTgを有する。
【0030】
ポリ酸側鎖基は、重合したエチレン性不飽和モノマーの少なくとも4個の単位を含有する、ポリマー主鎖に対する枝であり、ここで、重合したモノマー単位の少なくとも半分は、ポリマー側鎖に対する酸基ペンダントを有する。同様に、ポリ酸基は、重合したエチレン性不飽和モノマーの少なくとも4個の単位を含有し、ここで、重合したモノマー単位の少なくとも半分は酸基である。適切な酸基には、カルボキシ酸が含まれる。本明細書中に使用されるとき、ポリ酸基及びポリ酸側鎖基の定義には、これらの酸の塩が含まれる。適切な塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩並びに有機塩基、例えば、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから形成された塩が含まれる。
【0031】
ポリ酸側鎖基は、バインダーポリマーを形成するための重合中のモノマーの1種としての酸マクロモノマーを含有させることによって、バインダーポリマーの中に含有させることができる。本明細書中に使用されるとき、酸マクロモノマーは、末端不飽和を有するオリゴマーを指し、重合した単位としての酸基を有するモノマーを含有する。末端不飽和及び酸基を有する酸マクロモノマーの部分は、直接的に結合しているか又はその代わりに、リンカー基を介して結合している。適切な酸マクロモノマーは、
【0032】
【化1】

【0033】
(式中、Nは、エチレン性不飽和カルボキシ酸モノマーの残基であり、式:
【0034】
【化2】

【0035】
を有し、Mは、第二エチレン性不飽和モノマーの残基であり、式:
【0036】
【化3】

【0037】
を有し、N及びM残基は、酸マクロモノマー中にランダムに配置されており、mは、酸マクロモノマー中のM残基の全数であり、0〜150の範囲内であり、nは、酸マクロモノマー中のN残基の全数であり、4〜300の範囲内であり、nはm以上であり、n及びmの合計は、4〜300の範囲内であり、Aは、エステル、ウレタン、アミド、アミン及びエーテル結合から選択されたリンカー基であり、pは、1〜20の範囲内であり、Xは、−COOY及びRから選択され、Rは、フェニル基、置換されたフェニル基、−CONH、−CONHR'、−CONR'R'、−CN、−CCOR'、−OCOR'、−Cl及びこれらの混合物から選択され、R'は、1〜18個の炭素原子を有する枝分かれした、枝分かれしていない又は環式の炭化水素基から独立に選択された、アルキル又はアルコキシアルキル基であり、Yは、H、NH、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から独立に選択され、そしてそれぞれのZは、H及びCHから独立に選択される)
である。
【0038】
酸マクロモノマーを製造するための一つの方法は、少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボキシ酸モノマー及び任意に少なくとも1種の第二エチレン性不飽和モノマーの重合である。製造方法に無関係に、適切なエチレン性不飽和カルボキシ酸モノマーには、C〜Cモノエチレン性不飽和モノカルボン酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、α−クロロアクリル酸、α−ビニルアクリル酸及びβ−アクリルオキシプロピオン酸並びにこれらの塩;C〜Cモノエチレン性不飽和ジカルボン酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩並びにシス−ジカルボン酸の無水物、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、シクロヘキセンジカルボン酸及びこれらの塩並びにα−フェニルアクリル酸、ケイ皮酸、クロロケイ皮酸及びβ−スチリルアクリル酸並びにこれらの塩が含まれる。好ましいエチレン性不飽和カルボキシ酸モノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。第二エチレン性不飽和モノマーには、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、モノ−及びジ−置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸の種々の(C〜C20)アルキルエステル、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸パルミチル及び(メタ)アクリル酸ステアリル並びに他の(メタ)アクリル酸エステル、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル及び(メタ)アクリル酸1−ナフチル;(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル、例えば、(メタ)アクリル酸エトキシエチルが含まれる。この酸マクロモノマーには、任意に、重合した単位として、他の酸モノマー、例えば、不飽和スルホン酸モノマー及びリン含有モノマー、例えば、ホスホエチルメタクリラートが含有されていてよい。その代わりに、このポリ酸側鎖は、全部スルホン酸モノマーで作ることができ又は全部リン含有モノマーで作ることができる。好ましくは、酸マクロモノマーには、重合した単位として、20〜100又は50〜100モルパーセントのエチレン性不飽和カルボキシ酸モノマー、更に好ましくは70〜100モルパーセント、最も好ましくは90〜100モルパーセントのこれらのモノマーが含有されている。
【0039】
酸マクロモノマーを製造するために、米国特許第4,158,736号明細書に開示されているようなアニオン性重合、米国特許第5,324,879号明細書に記載されているような連鎖移動剤、例えばコバルト錯体によるラジカル重合、米国特許第5,362,826号明細書に記載されているような連鎖移動剤として使用される末端不飽和酸マクロモノマーによる触媒連鎖移動重合及び米国特許第5,710,227号明細書に記載されているような高温度ラジカル重合を含む、種々の一般的な重合方法が適している。その代わりに、式Iの末端不飽和酸マクロモノマーは、ヒドロキシ−官能性連鎖移動剤、例えば、2−メルカプトエタノール又はアミノ−官能性連鎖移動剤を使用する一般的なラジカル重合、これに続く、ヒドロキシル基又はアミン基と、末端不飽和に結合するための相補的反応性基を有するエチレン性不飽和モノマーとの反応によって製造される。相補的反応性基を有するエチレン性不飽和モノマーの例には、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル又は(メタ)アクリル酸が含まれる。相補的反応性基を有するエチレン性不飽和モノマーは、エーテル、ウレタン、アミド、アミン、ウレア又はエステル結合を含む種々の結合により、ヒドロキシ−官能性又はアミン−官能性連鎖移動剤のフラグメントに結合する。回分式、半連続式又は連続式プロセスを使用する、バルク、溶液及びエマルジョン重合が、式I、II及びIIIの酸マクロモノマーの製造のために適している。
【0040】
酸マクロモノマーを製造するための他の方法は、エチレン性不飽和カルボキシ酸モノマーのエステル、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル又はメタクリル酸メチルの重合、これに続く、カルボン酸官能基を得るためのエステル基の部分的又は完全加水分解である。
【0041】
好ましくは、この酸マクロモノマーは、200〜8000、好ましくは300〜5000、更に好ましくは300〜4000の数平均分子量を有する。マクロモノマーがホモオリゴマーである場合に、マクロモノマーの数平均分子量をカルボキシ酸モノマーの式分子質量によって割ることにより、マクロモノマー中のカルボキシ酸モノマーの繰り返し単位の数の指標が得られる。ポリ酸側鎖基として含有されるとき、酸マクロモノマーは、重量基準で、ポリマー組成物の0.05%〜20%、好ましくは0.1%〜10%、更に好ましくは0.5%〜5%、最も好ましくは1%〜3%を構成する。従って、水性ポリマーバインダーは、重量基準で、0.05%〜20%、好ましくは0.1%〜10%、更に好ましくは0.5%〜5%、最も好ましくは1%〜3%の、ペンダントポリ酸側鎖基中に存在する酸マクロモノマーを含有する。
【0042】
本発明の一つの実施形態に於いて、本発明のバインダーポリマーは、最初に、第二共反応性基及びポリ酸基を含有する化合物と反応することができる、ペンダント第一共反応性基を含有する前駆体ポリマーを製造することによって製造される。前駆体ポリマー上の適切な第一共反応性基は、ヒドロキシル、エポキシ、アセトアセトキシ及びイソシアナート基である。例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシ又はα,α−ジメチルメタイソプロペニルベンジルイソシアナートを使用して、前駆体ポリマーを製造することができる。第二共反応性基及びポリ酸基を含有する化合物上の適切な第二共反応性基は、アミン、ヒドロキシル及び無水リン酸である。本発明の他の実施形態に於いて、ポリマー中のクラスター化酸官能基は、β−アクリルオキシプロピオン酸モノマーをバインダーポリマーの中に含有させることによって得られる。β−アクリルオキシプロピオン酸は、末端不飽和を有し、従って、バインダーポリマーを形成するための重合中にモノマーの1種としてそれを含めることによって、直接組み込むことができる。
【0043】
本発明の更なる他の実施形態に於いて、バインダーコポリマーは、また、共重合した単位として、少なくとも1種のエチレン性不飽和非イオン性モノマーを含有することができる。本明細書に於いて、「非イオン性モノマー」は、共重合したモノマー残基が、pH1〜14のイオン性電荷を有しないことを意味する。適切なエチレン性不飽和非イオン性モノマーには、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルを含む(メタ)アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド;ウレイド官能性モノマー;アセトアセタート官能基を有するモノマー;スチレン及び置換スチレン;ブタジエン;エチレン、プロピレン、α−オレフィン、例えば、1−デセン;酢酸ビニル、酪酸ビニル及び他のビニルエステル並びにビニルモノマー、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンが含まれる。アミノ官能性モノマーも、含有されてよい。
【0044】
本発明は、ポリ酸側鎖基によって与えられる酸官能基のクラスター化からの利点を誘導するけれども、ポリ酸側鎖基中に存在しない他の酸官能性モノマーの存在は排除されない。従って、本発明の異なった実施形態に於いて、バインダーには、バインダーの乾燥重量基準で0〜5重量%の、共重合したエチレン性不飽和カルボキシ酸モノマー若しくは不飽和スルホン酸モノマー又はポリマーの重量基準でリン含有モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル及び無水マレイン酸又はスチレンスルホン酸又はメタクリル酸ホスホエチルが含有されていてよい。0〜2%の共重合したエチレン性不飽和カルボキシ酸モノマーが好ましい。
【0045】
本発明の更に他の実施形態に於いて、バインダーには、バインダーの乾燥重量基準で0重量%〜5重量%の、共重合した多エチレン性不飽和モノマー、例えば、メタクリル酸アリル、フタル酸ジアリル、1,4−ブチレングリコールジメタクリラート、1,2−エチレングリコールジメタクリラート、1,6−ヘキサンジオールジアクリラート及びジビニルベンゼンが含有されていてよい。
【0046】
分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用することもできる。本発明者らは、当該技術分野で公知である、ポリスチレン標準物質を使用して、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定したとき、20,000を超えるバインダーポリマーの重量平均分子量を有することを望む。
【0047】
別の実施形態に於いて、バインダポリマーには2種の成分が含有され、第一成分は、−50℃〜60℃の計算されたTgを有するコポリマーを含有し、第二成分は、−30℃〜80℃の計算されたTgを有するコポリマーを含有し、そして2種の成分の間のTgに於ける差は少なくとも20℃である。これは、例えば、2種のポリマー性分散物のブレンドによって又はその代わりに成分の一方を、他方の成分の存在下で重合させる場合に達成できる。より高いTgを有する他方の成分(硬質)に対して、より低いTgを有する他方の成分(軟質)を有する硬−軟ポリマー粒子(この場合、一方の成分は、他方の成分の存在下で重合される)としても参照される、2成分バインダーを製造するために使用される重合技術は、当該技術分野でよく知られている。硬−軟ポリマー粒子は、典型的に、多段水性エマルジョン重合プロセスによって製造され、この場合、組成に於いて異なる少なくとも2個の段が、逐次的方式で重合される。硬−軟ポリマー粒子を製造するために適している多段重合技術は、例えば、米国特許第4,325,856号明細書、米国特許第4,654,397号明細書及び4,814,373号明細書に開示されている。本発明に於いて使用される硬−軟ポリマーを製造するための多段重合プロセスに於いて、軟質ポリマー又は硬質ポリマーの何れかが、水中の第一ポリマー粒子の分散液として製造され、続いて他方のポリマー(それぞれ硬質ポリマー又は軟質ポリマー)の重合が、第一ポリマー粒子の存在下で実施されて、硬−軟粒子が得られる。
【0048】
本発明の組成物は、1種以上の充填材を含有する。充填材の例には、これらに限定されないが、鉱物充填材、例えば、粉砕した及び沈殿させた炭酸カルシウム、カオリン、焼成化、剥離化及び構造化クレー、二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ灰石、酸化亜鉛、酸化鉄、炭酸マグネシウム、無定形シリカ、水酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、タルク、サテンホワイト、硫酸バリウム及び硫酸カルシウム並びにこれらの材料の組合せが含まれる。本発明に於いて有用な充填材には、また、これらに限定されないが、固体ビード、ボイド形成された、多ボイド形成された、バインダー被覆された、帯電された、膨張性など及びこれらの組合せを含む、種々の非融合性(少なくとも使用温度において)ポリマー性プラスチック充填材が含まれてよい。好ましくは、本発明に於いて使用される充填材には、炭酸カルシウム及び/又は雲母が含まれる。炭酸カルシウムは、種々の粒子サイズ、形状及び形態の、粉砕型(GCC)又は沈殿型(PCC)であってよい。充填材対ポリマーの比は、乾燥重量基準で、1:1〜10:1、更に好ましくは1.5:1〜6:1、最も好ましくは2:1〜4:1である。
【0049】
本発明の組成物は、剪断条件下でないとき、200,000〜10,000,000のブルックフィールド粘度を有する剪断減粘性組成物を得るために十分な量の1種以上の増粘剤を含有する。本発明の剪断減粘性組成物を製造するために、種々の増粘剤、即ち、アルカリ膨潤性エマルジョン(「ASE」)、疎水性的に変性されたアルカリ膨潤性エマルジョン(「HASE」)、疎水性的に変性されたエトキシル化ウレタン増粘剤(「HEUR」)、ヒドロキシエチルセルロース(「HEC」)を、単独で又は組み合わせて使用することができる。剪断減粘性組成物の利点は、(例えば)材料をスプレーする又は押し出すことによって、剪断を材料に適用すると、粘度が低下し、そうしてこれをこのような方法で適用できることである。しかしながら、剪断を除去すると、粘度は非常に高く、それで、材料は垂れず、それを適用したときの場所に留まる。好ましいASE増粘剤はAcrysol(商標)ASE−60であり、好ましいHASE増粘剤はAcrysol(商標)TT−615であり、好ましいHEUR増粘剤はAcrysol(商標)RM−12Wであり、これらの全ては、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Company)、ペンシルベニア州フィラデルフィアから入手できる。
【0050】
本発明の組成物の成分は、一般的な方式(例えば、送風機羽根オーバーヘッドミキサーを使用する)で、全ての順序で一緒にブレンドすることができる。任意に、当該技術分野で公知であるような他の成分及び配合添加物を、これらの組成物中に含有させることができる。この組成物は、任意に、成分のブレンドに続いて、真空下で空気を除去することができる。
【0051】
特に好ましい実施形態に於いて、約300〜4,000、好ましくは約3000の数平均分子量を有するオリゴ−AA又はオリゴ−MAAの酸マクロモノマーを、エマルジョン重合の間にエマルジョンポリマーの中に含有させて、ポリマーの全固体基準で、約1〜3%、好ましくは約2%のレベルでポリマー中に存在する、カルボキシ酸モノマーの共重合した単位を得る。オリゴマーA(実施例2)は、適切な酸マクロモノマーの代表であり、実施例7に於いて製造されたポリマーは、本発明の組成物のバインダーポリマーの代表である。好ましくは、このバインダーポリマーは、0℃〜30℃、更に好ましくは約5℃のTgを有する。水性ポリマーは、充填材、例えば、炭酸カルシウム及び雲母を含有するLASD組成物の中に配合されて、1.5:1〜6:1、好ましくは約4:1の範囲内の充填材対ポリマー比及び約70%の実体積になる。この組成物は、例えば、Acrysol(商標)ASE−60の添加によって、所望の粘度まで増粘されて、約1,000,000の粘度を得る。実施例19は、本発明のLASD組成物の代表である。
【0052】
本発明の組成物は、自動車産業に於いて一般的であるように、自動車の1種以上のコンポーネントに、手動でサイホンガンを使用する空気圧縮機で作動されるスプレーガンにより適用することができ又は分配ロボットを使用してロボットによって適用することができる。
【実施例】
【0053】
全てのパーセンテージは、他の方法で特定しない限り、重量パーセンテージである。
【0054】
比較実施例1
2%のMAAを含有するラテックスポリマー1
570gの脱イオン水、50.5gのラウリルエーテル硫酸ナトリウムの31%溶液、1152gのアクリル酸ブチル、45gのメタクリル酸、1031gのメタクリル酸メチル及び22.3gのn−ドデシルメルカプタンを組み合わせることによって、モノマーの混合物を製造した。このモノマー混合物を、標準的条件下で混合することによって乳化させた。961gの脱イオン水及び2.2gの前記のラウリルエーテル硫酸塩溶液を5リットルのフラスコに装入し、内容物を82〜84℃に加熱した。138gの前記の乳化したモノマー混合物を、このフラスコに装入し、続いて、60.2gの過硫酸アンモニウムの9%水溶液を装入した。発熱に続いて、乳化したモノマー混合物並びに88gの水中の2.4gの過硫酸アンモニウム溶液及び10.4gのアンモニア水溶液(28%)の溶液を、直線的に、別々に、内容物の温度を84〜86℃で維持しながら、90分間かけて添加した。添加が完結した後、フラスコの内容物を65℃まで冷却した。残留するモノマーの量を、硫酸第一鉄水溶液、第三級ブチルヒドロペルオキシド水溶液及びイソアスコルビン酸の逐次的添加によって減少させた。このポリマーを、アンモニア水溶液によって9.1のpHにまで中和し、カーソン(Kathon)ブランドLX殺生物剤を添加した。この生成物を脱イオン水によって希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得た。このラテックスは、158nmの平均粒子直径及び100cp(センチポアズ)の粘度を有していた。計算されたTgは3.3℃である。
【0055】
実施例2
オリゴマーA、100%MAA、Mn=2808
脱イオン水(DI水)1000gを、2リットルのフラスコに添加し、60℃まで加熱した。水が60℃に達したとき、26mgの([ビス[m−[(2,3−ブタンジオンジオキシマト)(2−)−O:O9]]テトラフルオロジボラト(2−)−N,N9,N0,N−]コバルト)、CoBFを、このフラスコに装入し、続いて、20gのDI水中の1.9gの2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩の溶液を装入した。510gのメタクリル酸メチル及び20mgのCoBFの混合物並びに1.9gの2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩の溶液を、直線的に、別々に、このフラスコに60分間かけて供給した。供給の終わりに続いて、この反応混合物を、120分間60℃で保持した。次いで、この反応混合物を冷却し、真空オーブン内で乾燥し、粉砕して、粉末を形成させた。アクリル酸標準物質を使用してGPCによって決定したとき、数平均分子量、Mnは2808であった。
【0056】
実施例3
オリゴマーB、100%MAA、Mn=634
DI水1000gを、2リットルのフラスコに添加し、60℃まで加熱した。水が60℃に達したとき、102mgの([ビス[m−[(2,3−ブタンジオンジオキシマト)(2−)−O:O9]]テトラフルオロジボラト(2−)−N,N9,N0,N−]コバルト)、CoBFを、このフラスコに装入し、続いて、20gのDI水中の1.9gの2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩の溶液を装入した。510gのメタクリル酸メチル及び80mgのCoBFの混合物並びに20gのDI水中の1.9gの2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩の溶液を、直線的に、別々に、このフラスコに60分間かけて供給した。供給の終わりに続いて、この反応混合物を、120分間60℃で保持した。次いで、この反応混合物を冷却し、真空オーブン内で乾燥し、粉砕して、粉末を形成させた。アクリル酸標準物質を使用してGPCによって決定したとき、数平均分子量、Mnは634であった。
【0057】
実施例4
オリゴマーC、100%AA、Mn=482
オリゴマーCは、アクリル酸の末端不飽和ホモオリゴマーであり、米国特許第5,710,227号明細書に記載されている手順に従って製造した。この反応混合物は、開始剤として、アクリル酸の重量基準で3重量%のtert−ブチルヒドロペルオキシドを含有するアクリル酸の30%水溶液であった。滞留時間は8秒であり、反応温度は375℃であった。転化率は92%であった。アクリル酸標準物質を使用してGPCによって決定したとき、数平均分子量、Mnは482であった。
【0058】
実施例5
オリゴマーD、80%MAA/20%AA
DI水1000gを、2リットルのフラスコに添加し、60℃まで加熱する。水が60℃に達したとき、26mgの([ビス[m−[(2,3−ブタンジオンジオキシマト)(2−)−O:O9]]テトラフルオロジボラト(2−)−N,N9,N0,N−]コバルト)、CoBFを、このフラスコに装入し、続いて、20gのDI水中の1.9gの2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩の溶液を装入する。408gのメタクリル酸メチル、102gのアクリル酸及び20mgのCoBFの混合物並びに20gのDI水中の1.9gの2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩の溶液を、直線的に、別々に、このフラスコに60分間かけて供給する。供給の終わりに続いて、この反応混合物を、120分間60℃で保持する。次いで、この反応混合物を冷却し、真空オーブン内で乾燥し、粉砕して、粉末を形成させる。アクリル酸標準物質を使用してGPCによって決定したとき、数平均分子量、Mnは1800であると見込まれる。
【0059】
実施例6
オリゴマーE、80%MAA/20%MMA
600mLのベンゼン中の426gのメタクリル酸メチル及び25mgのビス−{(2,3−ブタンジオンジオキシマト)(1−)N,N'](1−シアノ−1−メチルエチル)(ピリジン)コバルト(III)と2.0gのアゾビスイソブチロニトリルとの混合物を、60℃で36時間加熱する。メタノール200g及び381gの水酸化カリウム水溶液(50%活性)を、この反応混合物に添加し、これを還流下で5時間加熱する。DI水400gを添加し、ベンゼン及びアルコールを共沸蒸留によって除去して、ポリマー水溶液を生成させ、これを乾燥し、粉砕する。得られるポリマー組成物は、20%のメタクリル酸メチル及び80%のメタクリル酸であると予想される。アクリル酸標準物質を使用してGPCによって決定したとき、数平均分子量、Mnは1800であると見込まれる。
【0060】
実施例7
2%のオリゴマーAを含有するラテックスポリマー2
143gの脱イオン水、12.6gのラウリルエーテル硫酸ナトリウムの31%水溶液、288gのアクリル酸ブチル、11.3gのオリゴマーA、258gのメタクリル酸メチル及び5.6gのn−ドデシルメルカプタンを組み合わせることによって、モノマーの混合物を製造した。このモノマー混合物を、標準条件下で混合することによって乳化させた。240.3gの脱イオン水及び0.55gの前記のラウリルエーテル硫酸塩溶液を2リットルのフラスコに装入し、内容物を82〜84℃に加熱した。34.5gの前記の乳化したモノマー混合物を、このフラスコに装入し、続いて、15.1gの過硫酸アンモニウムの9%水溶液を装入した。発熱に続いて、乳化したモノマー混合物並びに22gの水中の0.6gの過硫酸アンモニウム溶液及び2.6gのアンモニア水溶液(28%)の溶液を、直線的に、別々に、内容物の温度を84〜86℃で維持しながら、90分間かけて添加した。添加が完結した後、フラスコの内容物を65℃まで冷却した。残留するモノマーの量を、硫酸第一鉄水溶液、第三級ブチルヒドロペルオキシド水溶液及びイソアスコルビン酸の逐次的添加によって減少させた。このポリマーを、アンモニア水溶液によって7.3のpHにまで中和し、カーソンブランドLX殺生物剤を添加した。この生成物を脱イオン水によって希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得た。このラテックスは、247nmの平均粒子直径及び100cp(センチポアズ)の粘度を有していた。計算されたTgは3.3℃である。
【0061】
実施例8
2%のオリゴマーBを含有するラテックスポリマー3
143gの脱イオン水、12.6gのラウリルエーテル硫酸ナトリウムの31%水溶液、288gのアクリル酸ブチル、11.3gのオリゴマーB、258gのメタクリル酸メチル及び5.6gのn−ドデシルメルカプタンを組み合わせることによって、モノマーの混合物を製造する。このモノマー混合物を、標準的条件下で混合することによって乳化させる。240.3gの脱イオン水及び0.55gの前記のラウリルエーテル硫酸塩溶液を2リットルのフラスコに装入し、内容物を82〜84℃に加熱する。34.5gの前記の乳化したモノマー混合物を、このフラスコに装入し、続いて、15.1gの過硫酸アンモニウムの9%水溶液を装入する。発熱に続いて、乳化したモノマー混合物並びに22gの水中の0.6gの過硫酸アンモニウム溶液及び2.6gのアンモニア水溶液(28%)の溶液を、直線的に、別々に、内容物の温度を84〜86℃で維持しながら、90分間かけて添加する。添加が完結した後、フラスコの内容物を65℃まで冷却する。残留するモノマーの量を、硫酸第一鉄水溶液、第三級ブチルヒドロペルオキシド水溶液及びイソアスコルビン酸の逐次的添加によって減少させる。このポリマーを、アンモニア水溶液によって8.0のpHにまで中和し、カーソンブランドLX殺生物剤を添加する。この生成物を脱イオン水によって希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得る。このラテックスは、250nmの平均粒子直径及び100cp(センチポアズ)の粘度を有していると見込まれる。計算されたTgは3.3℃である。
【0062】
実施例9
8%のオリゴマーAを含有するラテックスポリマー4
143gの脱イオン水、12.6gのラウリルエーテル硫酸ナトリウムの31%水溶液、293gのアクリル酸ブチル、44.6gのオリゴマーA、220gのメタクリル酸メチル及び5.6gのn−ドデシルメルカプタンを組み合わせることによって、モノマーの混合物を製造する。このモノマー混合物を、標準的条件下で混合することによって乳化させる。240.3gの脱イオン水及び0.55gの前記のラウリルエーテル硫酸塩溶液を2リットルのフラスコに装入し、内容物を82〜84℃に加熱する。34.5gの前記の乳化したモノマー混合物を、このフラスコに装入し、続いて、15.1gの過硫酸アンモニウムの9%水溶液を装入する。発熱に続いて、乳化したモノマー混合物並びに22gの水中の0.6gの過硫酸アンモニウム溶液及び2.6gのアンモニア水溶液(28%)の溶液を、直線的に、別々に、内容物の温度を84〜86℃で維持しながら、90分間かけて添加する。添加が完結した後、フラスコの内容物を65℃まで冷却する。残留するモノマーの量を、硫酸第一鉄水溶液、第三級ブチルヒドロペルオキシド水溶液及びイソアスコルビン酸の逐次的添加によって減少させる。このポリマーを、アンモニア水溶液によって8.0のpHにまで中和し、カーソンブランドLX殺生物剤を添加する。この生成物を脱イオン水によって希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得る。このラテックスは、200nmの平均粒子直径及び100cp(センチポアズ)の粘度を有していると見込まれる。計算されたTgは3.3℃である。
【0063】
実施例10
2%のオリゴマーCを含有するラテックスポリマー5
117gの脱イオン水、12.6gのラウリルエーテル硫酸ナトリウムの31%水溶液、283gのアクリル酸ブチル、37.7gのオリゴマーC(30%固体)、264gのメタクリル酸メチル及び5.6gのn−ドデシルメルカプタンを組み合わせることによって、モノマーの混合物を製造する。このモノマー混合物を、標準的条件下で混合することによって乳化させる。240.3gの脱イオン水及び0.55gの前記のラウリルエーテル硫酸塩溶液を2リットルのフラスコに装入し、内容物を82〜84℃に加熱する。34.5gの前記の乳化したモノマー混合物を、このフラスコに装入し、続いて、15.1gの過硫酸アンモニウムの9%水溶液を装入する。発熱に続いて、乳化したモノマー混合物並びに22gの水中の0.6gの過硫酸アンモニウム溶液及び2.6gのアンモニア水溶液(28%)の溶液を、直線的に、別々に、内容物の温度を84〜86℃で維持しながら、90分間かけて添加する。添加が完結した後、フラスコの内容物を65℃まで冷却する。残留するモノマーの量を、硫酸第一鉄水溶液、第三級ブチルヒドロペルオキシド水溶液及びイソアスコルビン酸の逐次的添加によって減少させる。このポリマーを、アンモニア水溶液によって8.0のpHにまで中和し、カーソンブランドLX殺生物剤を添加する。この生成物を脱イオン水によって希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得る。この最終ラテックスは、250nmの平均粒子直径及び100cp(センチポアズ)の粘度を有していると見込まれる。計算されたTgは3.3℃である。
【0064】
実施例11
2%のオリゴマーDを含有するラテックスポリマー6
143gの脱イオン水、12.6gのラウリルエーテル硫酸ナトリウムの31%水溶液、288gのアクリル酸ブチル、11.3gのオリゴマーD、258gのメタクリル酸メチル及び5.6gのn−ドデシルメルカプタンを組み合わせることによって、モノマーの混合物を製造する。このモノマー混合物を、標準的条件下で混合することによって乳化させる。240.3gの脱イオン水及び0.55gの前記のラウリルエーテル硫酸塩溶液を2リットルのフラスコに装入し、内容物を82〜84℃に加熱する。34.5gの前記の乳化したモノマー混合物を、このフラスコに装入し、続いて、15.1gの過硫酸アンモニウムの9%水溶液を装入する。発熱に続いて、乳化したモノマー混合物並びに22gの水中の0.6gの過硫酸アンモニウム溶液及び2.6gのアンモニア水溶液(28%)の溶液を、直線的に、別々に、内容物の温度を84〜86℃で維持しながら、90分間かけて添加する。添加が完結した後、フラスコの内容物を65℃まで冷却する。残留するモノマーの量を、硫酸第一鉄水溶液、第三級ブチルヒドロペルオキシド水溶液及びイソアスコルビン酸の逐次的添加によって減少させる。このポリマーを、アンモニア水溶液によって8.0のpHにまで中和し、カーソンブランドLX殺生物剤を添加する。この生成物を脱イオン水によって希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得る。このラテックスは、247nmの平均粒子直径及び100cp(センチポアズ)の粘度を有していると見込まれる。計算されたTgは2.4℃である。
【0065】
実施例12
2%のオリゴマーEを含有するラテックスポリマー7
143gの脱イオン水、12.6gのラウリルエーテル硫酸ナトリウムの31%水溶液、288gのアクリル酸ブチル、11.3gのオリゴマーE、258gのメタクリル酸メチル及び5.6gのn−ドデシルメルカプタンを組み合わせることによって、モノマーの混合物を製造する。このモノマー混合物を、標準的条件下で混合することによって乳化させる。240.3gの脱イオン水及び0.55gの前記のラウリルエーテル硫酸塩溶液を2リットルのフラスコに装入し、内容物を82〜84℃に加熱する。34.5gの前記の乳化したモノマー混合物を、このフラスコに装入し、続いて、15.1gの過硫酸アンモニウムの9%水溶液を装入する。発熱に続いて、乳化したモノマー混合物並びに22gの水中の0.6gの過硫酸アンモニウム溶液及び2.6gのアンモニア水溶液(28%)の溶液を、直線的に、別々に、内容物の温度を84〜86℃で維持しながら、90分間かけて添加する。添加が完結した後、フラスコの内容物を65℃まで冷却する。残留するモノマーの量を、硫酸第一鉄水溶液、第三級ブチルヒドロペルオキシド水溶液及びイソアスコルビン酸の逐次的添加によって減少させる。このポリマーを、アンモニア水溶液によって8.0のpHにまで中和し、カーソンブランドLX殺生物剤を添加する。この生成物を脱イオン水によって希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得る。このラテックスは、247nmの平均粒子直径及び100cp(センチポアズ)の粘度を有していると見込まれる。計算されたTgは2.4℃である。
【0066】
実施例13
4%のAOPAを含有するラテックスポリマー8
143gの脱イオン水、12.6gのラウリルエーテル硫酸ナトリウムの31%水溶液、280gのアクリル酸ブチル、22.3gのβ−アクリルオキシプロピオン酸(AOPA)、255gのメタクリル酸メチル及び5.6gのn−ドデシルメルカプタンを組み合わせることによって、モノマーの混合物を製造する。このモノマー混合物を、標準的条件下で混合することによって乳化させる。240.3gの脱イオン水及び0.55gの前記のラウリルエーテル硫酸塩溶液を2リットルのフラスコに装入し、内容物を82〜84℃に加熱する。34.5gの前記の乳化したモノマー混合物を、このフラスコに装入し、続いて、15.1gの過硫酸アンモニウムの9%水溶液を装入する。発熱に続いて、乳化したモノマー混合物並びに22gの水中の0.6gの過硫酸アンモニウム溶液及び2.6gのアンモニア水溶液(28%)の溶液を、直線的に、別々に、内容物の温度を84〜86℃で維持しながら、90分間かけて添加する。添加が完結した後、フラスコの内容物を65℃まで冷却する。残留するモノマーの量を、硫酸第一鉄水溶液、第三級ブチルヒドロペルオキシド水溶液及びイソアスコルビン酸の逐次的添加によって減少させる。このポリマーを、アンモニア水溶液によって8のpHにまで中和し、カーソンブランドLX殺生物剤を添加する。この生成物を脱イオン水によって希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得る。このラテックスは、160nmの平均粒子直径及び100cp(センチポアズ)の粘度を有していると見込まれる。計算されたTgは3.3℃である。
【0067】
実施例14
1%のオリゴマーAを含有する2成分ラテックスポリマー9
5Lの四つ口丸底フラスコに、パドル攪拌機、温度計、窒素入口及び還流凝縮器を取り付ける。DI水961gをこのケトルに添加し、窒素雰囲気下で84℃まで加熱する。この加熱したケトルの水に、2.2gのラウリルアルコールエーテル硫酸のナトリウム塩、138gのモノマー混合物1及び55gのDI水中に溶解させた5.5gの過硫酸アンモニウムを添加する。発熱に続いて、モノマー混合物1の残りを、83℃の温度で、88gのDI水中の2.35gの過硫酸アンモニウム及び10.4gの水酸化アンモニウム(共供給溶液)と共に、このケトルに添加する。モノマー混合物1の添加が完結したとき、モノマー混合物2を、共供給溶液を継続しながら、この反応器に添加する。モノマー混合物1及びモノマー混合物2のための合計供給時間は90分間である。供給が完結したとき、このバッチを85℃で30分間保持し、次いで、10gの硫酸第一鉄溶液(水中0.15%)、1.5gのベルセン(Versene)溶液(水中1%)、40gの水中に溶解させた合計4gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)及び40gの水中に溶解させた合計2.6gのイソアスコルビン酸を添加する。水酸化アンモニウムを添加して、pHを9.0にまで上昇させる。生成物を脱イオン水で希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得る。この最終ラテックスは、250nmの平均粒子直径及び100cpの粘度を有していると見込まれる。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
実施例15
2%のオリゴマーAを含有する2成分ラテックスポリマー10
5Lの四つ口丸底フラスコに、パドル攪拌機、温度計、窒素入口及び還流凝縮器を取り付ける。DI水961gをこのケトルに添加し、窒素雰囲気下で84℃まで加熱する。この加熱したケトルの水に、2.2gのラウリルアルコールエーテル硫酸のナトリウム塩、138gのモノマー混合物3及び55gのDI水中に溶解させた5.5gの過硫酸アンモニウムを添加する。発熱に続いて、モノマー混合物3の残りを、83℃の温度で、88gのDI水中の2.35gの過硫酸アンモニウム及び10.4gの水酸化アンモニウム(共供給溶液)と共に、このケトルに添加する。モノマー混合物3の添加が完結したとき、モノマー混合物4を、共供給溶液を継続しながら、この反応器に添加する。モノマー混合物3及びモノマー混合物4のための合計供給時間は90分間である。供給が完結したとき、このバッチを85℃で30分間保持し、次いで、10gの硫酸第一鉄溶液(水中0.15%)、1.5gのベルセン溶液(水中1%)、40gの水中に溶解させた合計4gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)及び40gの水中に溶解させた合計2.6gのイソアスコルビン酸を添加する。水酸化アンモニウムを添加して、pHを9.0にまで上昇させる。生成物を脱イオン水で希釈して、50.5重量%のポリマー固体レベルを得る。この最終ラテックスは、250nmの平均粒子サイズ及び100cPの粘度を有していると見込まれる。
【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
実施例16−21
被覆配合物及びコンポジット損失係数
下記の表に於いて使用された成分は、実施例1及び7からのバインダー;コグニス社(Cognis)(オハイオ州シンシナティ)から得られたフォーマスター(Foamaster)(登録商標)ノプコ(Nopco)NXZ;共にローム・アンド・ハース社(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手できるTamol(商標)1254分散剤及びUCD1530E黒着色剤;オムヤ社(Omya,Inc.)(ジョージア州アルファレッタ(Alpharetta))から入手できるOmyacarb40(炭酸カルシウム);アシュビル・マイカ社(Asheville Mica Company)(バージニア州ニューポートニュース)から入手できるMica325(雲母)及びこれもローム・アンド・ハース社(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手できるAcrysol(商標)ASE−60、増粘剤(アルカリ膨潤性エマルジョン、ASE)である。これらの材料は、下記の被覆配合物(表1、グラムでの量)を製造するために使用した。
【0074】
種々の温度でのコンポジット損失係数(「CLF」)の計算は、ASTM E−756試験方法に従って、1.6mm厚さの試験片で行った。実施例16〜21について、4.0kg/mの乾燥塗膜重量を適用した。湿式コーティングを適用した後、試験片を室温で10分間置き、続いて150℃のオーブン内に20分間置いて、試験片を乾燥した。冷却して、試験片を、皮膜被覆量について測定し、前記のようにして試験した。報告したCLF値(単位無し)は、3個の試験片標本の平均を表す。
【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
表1は、3組の対として比較することができるLASD組成物を示し、実施例7のラテックスポリマーを含有する組成物は本発明の組成物を表し、実施例1のラテックスポリマーを含有する組成物は比較組成物を表し、それぞれのポリマーは、3種の異なった充填材対ポリマー比(実施例16〜17について2.6:1、実施例18〜19について4.1:1及び実施例20〜21について6.2:1)で配合されている。これは、それぞれの対が、構成ポリマーに於いてのみ異なっているように同一に配合され、、それぞれの充填材レベルで本発明組成物と比較組成物との対を与える。次いで、ポリマーは、同じモノマーを有し、また各モノマーの同じ量を有するが、酸官能基がラテックスポリマー粒子に分布している方式に於いて異なっている。即ち、本発明の組成物(実施例17、19及び21)は、ペンダントポリ酸側鎖基中の共重合したモノマーとして存在し、クラスター化されるカルボキシ酸基になる、カルボキシ酸モノマーを含有する。他方、比較組成物(実施例16、18及び20)は、同じ合計量のカルボキシ酸モノマーを含有するが、これらは、エマルジョン重合の過程の間に、ポリマー全体にランダムに分布されている(そしてクラスター化されていない)。
【0078】
表2は、被覆物の最終使用適用のために意味のある温度の範囲に亘って、これらのLASD組成物についてのコンポジット損失係数(CLF)データを示す。製造のために、最も重要な温度範囲は、被覆物のための最も一般的な使用温度(自動車内部消音のために、約15℃〜40℃である)の周りに集中している。それぞれの組成物について、CLF(y軸)を温度(x軸)に対してプロットする場合、CLFは、0℃〜60℃の範囲内の温度で測定したとき、最大値を通過する。低温度極値及び高温度極値に於いて、減衰(damping)は、主として、被覆材料の嵩/厚さ及び充填材対ポリマー比に関係しており、これはポリマーには比較的無関係であるが、15℃〜30℃の温度に対応する最大CLFの領域に於いて、それぞれの対について、本発明の組成物のCLFは、比較組成物と比較して著しく高い。これらの充填材レベルで、比較組成物に比較して、本発明の組成物は、一般的に、15℃でほぼ30〜50%ほど増加し、30℃でほぼ10〜20%ほど増加する減衰を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水性ポリマーバインダー(ここで、該バインダーは、ポリマー固体の全重量基準で0.05重量%〜20重量%の、ペンダントポリ酸側鎖基中の共重合したモノマーとして存在するカルボキシ酸モノマーを含有し、前記のバインダーは、−50℃〜80℃の計算されたTgを有する)、
(b)充填材(ここで、乾燥重量基準で、充填材対ポリマーの比は、1:1〜10:1である)及び
(c)剪断条件下でないとき、200,000〜10,000,000のブルックフィールド粘度を有する剪断減粘性組成物を得るために十分な量の増粘剤
を含有する組成物であって、この組成物の実体積が、約50〜約75%である組成物。
【請求項2】
前記バインダーが−30℃〜50℃の計算されたTgを有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記バインダーが0℃〜30℃の計算されたTgを有し、前記組成物が500,000〜3,000,000のブルックフィールド粘度を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記バインダーが、2種の成分を含有し、第一成分が、−50℃〜60℃の計算されたTgを有するコポリマーを含有し、第二成分が、−30℃〜80℃の計算されたTgを有するコポリマーを含有し、2種の成分の間のTgに於ける差が少なくとも20℃である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記成分の一方が、他方の成分の存在下で重合される、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記成分が、2種のポリマー性分散物のブレンドを含有する、請求項4記載の組成物。
【請求項7】
自動車の1種以上のコンポーネントに、
(a)水性ポリマーバインダー(ここで、該バインダーは、ポリマー固体の全重量基準で0.1重量%〜10重量%の、ペンダントポリ酸側鎖基中の共重合したモノマーとして存在するカルボキシ酸モノマーを含有し、前記のバインダーは、−50℃〜80℃の計算されたTgを有する)、
(b)充填材(ここで、乾燥重量基準で、充填材対ポリマーの比は、1:1〜10:1である)及び
(c)剪断条件下でないとき、200,000〜10,000,000のブルックフィールド粘度を有する剪断減粘性組成物を得るために十分な量の増粘剤
を含有する組成物であって、この組成物の実体積が、約50〜約75%である組成物を適用することを含む、自動車の振動の減少方法。
【請求項8】
(a)水性ポリマーバインダー(ここで、該バインダーは、ポリマー固体の全重量基準で0.05重量%〜20重量%の、共重合したβ−アクリルオキシプロピオン酸モノマーとして存在するカルボキシ酸モノマーを含有し、前記のバインダーは、−50℃〜80℃の計算されたTgを有する)、
(b)充填材(ここで、乾燥重量基準で、充填材対ポリマーの比は、1:1〜10:1である)及び
(c)剪断条件下でないとき、200,000〜10,000,000のブルックフィールド粘度を有する剪断減粘性組成物を得るために十分な量の増粘剤
を含有する組成物であって、この組成物の実体積が、約50〜約75%である組成物。

【公開番号】特開2009−114438(P2009−114438A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−268473(P2008−268473)
【出願日】平成20年10月17日(2008.10.17)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】