説明

液化ガス供給装置

【課題】液化ガスを供給する装置において、装置の簡略化、小形化を図り、またポンプの運転切り換えする際に、始動ポンプが気化したガスを吸い込まないようにする。
【解決手段】液化ガスを貯蔵するタンク12は断熱層18により包まれており、この断熱層18内には、さらにタンク内の液化ガスを送り出す二つのポンプ14,16が設置されている。ポンプ14,16の吸込管24,32は、それぞれ独立してタンク12に接続されている。吸込管が共用されていないので、一方のポンプを停止し、他方に切り換える際に停止するポンプで発生した気化ガスが、始動するポンプに吸い込まれることが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温にして液化された液化ガスを供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低温にして液化されたガスを蓄えたタンク内にポンプを据え付け、このポンプにより液化ガスを払い出し、供給する装置が知られている。この形式の装置の場合、液化ガス中にポンプを浸漬するため、ガス抜きの必要はないが、装置が高価となる。これに対し、タンクの外部にポンプを配置し、タンクとポンプは配管で接続される形式の装置が知られている。
【0003】
送液を停止することができない用途については、複数のポンプが設置され、1台のポンプが送液を行えなくなれば、他のポンプに切り換えて送液を行っている。図4は、2台のポンプを備えた装置100を例示している。それぞれのポンプ102,104の吸込管106は、タンクからの1本の配管106aが途中で配管106bと配管106cに分岐している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポンプをタンク外部に配置した装置の場合、ポンプとタンクを繋ぐ配管である吸込管が長くなり、有効吸込ヘッドを確保するために、管径を大きくする必要がある。また、環境からの入熱が多くなる。また、ポンプ内等で発生した気化ガスをタンクに戻すための配管である戻り配管も必要である。この配管は、途中で液体が溜まらないように、ポンプからタンクに向けた単調な登り勾配に敷設しなければならず、制約が大きい。
【0005】
また、図4に例示した複数のポンプを有する装置100においては、停止したポンプにおいて、そのポンプの熱によりポンプ内に残る液化ガスが気化し、切り換えたもう一方のポンプが、配管106b,106cを介して、このガスを吸引してしまい、こちらのポンプも送液できなくなる場合がある。また、運転中のポンプが突出した液化ガスの一部を停止中のポンプに送り、ポンプの起動に備えてポンプの温度を液化ガスの温度程度まで下げておくことが行われており、損失となっている。
【0006】
本発明は、前述の問題の少なくとも一つを解決すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液化ガス供給装置は、液化ガスを貯蔵し、供給する液化ガス供給装置であって、液化ガスを貯蔵するタンクと、タンクを包む断熱部材と、前記断熱部材中に配置され、タンク内の液化ガスを送り出すポンプと、を有している。共通の断熱部材中にタンク、ポンプを配置したことにより、装置の一体化、小形化できる。
【0008】
さらに、ポンプは、複数備えるようにでき、個々のポンプの吸込管は独立してタンクに接続されるようにできる。したがって、一つのポンプの運転を止め、他のポンプに切り換える際に、止めたポンプ内で気化したガスを他のポンプが吸い込むことを抑制することができる。
【0009】
さらに、各吸込管のタンク内の開口の間にセパレータを設け、一つの吸込管の開口から他の吸込管の開口に至る経路長を延長しておくことができる。止めたポンプから気化したガスがタンクまで戻っても、切り換えて始動したポンプがこのガスを吸い込むことをより確実に防止できる。
【0010】
また、本発明にかかる液化ガス払い出し装置は、液化ガスを貯蔵したタンクから払い出す液化ガス払い出し装置であって、液体を払い出す複数のポンプを有し、個々のポンプの吸込管は独立してタンクに接続されている。したがって、一つのポンプの運転を止め、他のポンプに切り換える際に、止めたポンプ内で気化したガスを他のポンプが吸い込むことを抑制することができる。
【0011】
さらに、ポンプは、タンクの断熱部材中に配置するようにできる。断熱部材を共用することにより、設備を簡略にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1は、本実施形態の液化ガス供給装置10の概略構成が記載されている。この液化ガス供給装置10は、液化ガスを蓄えるタンク12を含む貯蔵部と、タンク12に蓄えられた液体を送り出す二つのポンプ14,16を含む払い出し部とを備えている。また、液化ガスを受け入れてタンク12に送り込む受け入れ部は、図示を省略している。
【0013】
タンク12は、パーライトなどの断熱材料を充填して形成された断熱層18に包まれており、外部からの入熱が抑えられている。ポンプ12,14は、前記の断熱層18内、特にタンク12より低い位置に設置されている。
【0014】
ポンプ14は、断熱層18内に固定配置されるポンプケーシング20内に、インペラやモータを組み立てて一体にしたポンプ本体22を挿入するようにして構成されている。ポンプケーシング20には、ポンプ14とタンク12を繋ぐ吸込管24が接続され、ポンプが駆動されるとタンク12の底部より液化ガスがこの吸込管24を介してポンプ20に流れる。さらに、ポンプケーシング20には、ポンプ20内に溜まった気化したガスをタンクに戻すための戻し配管26が接続されている。戻し配管26は、タンク12の上部の気相部分に達しており、気化したガスを還流する。なお、戻し配管26は、タンク上部まで、断熱層18内を通っているが、タンク底部からタンクに入り、タンク内を上昇してその先端がタンク上部の気相部分に達するようにしてもよい。
【0015】
ポンプ16も、ポンプ14と同一の構造を有する。すなわち、断熱層18内に位置するポンプケーシング28と、これに挿入されるポンプ本体30を有している。また、タンク12とは、その底部と吸込管32により接続され、気相部分と戻し配管34により接続されている。ポンプ14,16の吐出管36,38は、払い出し配管40に接続され、この配管は、下流にて合流している。
【0016】
二つのポンプの吸込管24,32は、途中で合流せずに、各々直接タンク12と接続している。したがって、一方のポンプで発生した気化ガスは、吸込管を介して他方のポンプに吸い込まれることが抑えられる。例えば、一方のポンプ14を停止し、他方のポンプ16に運転を切り換える場合、停止するポンプ14の予熱によりポンプケーシング20内では、液化ガスが気化して、これが溜まる。気化ガスは戻し配管26でもタンク12に戻されるが、ポンプが停止しているため、吸込管24を通って、タンク12に逆流するものがある。吸込管24を逆流した気化ガスは、吸込管24のタンク12内の開口より気泡となってタンク内を上昇してタンク12の気相部分に達する。もう一方のポンプ16の始動時においては、ポンプ16は吸込管32を介してタンク12底部の液化ガスを吸い込む。二つのポンプの吸込管が独立しているので、ポンプ14で発生した気化ガスを吸込管を介して吸い込むことはない。
【0017】
二つの吸込管のタンクに対する開口が近接し、一方の吸込管より放出された気化ガスを他方の吸込管が吸い込んでしまうようなときには、二つの開口間にセパレータ42を設けることができる。セパレータ42は板状の部材であって、これを設けることにより二つの吸込管24,32の開口間の距離を実質的に長くして、気泡を吸い込むことがないようにしている。
【0018】
液化ガス供給装置10においては、貯蔵部と払い出し部を一体にし、吸込管24,32と戻し配管26,34を短くしたので、これらの配管からの入熱を抑えることができる。また、共通の断熱層18内に、タンク12、モータ14,16、各配管を設置したことにより外形を小形化できる。
【0019】
図2および図3は、ポンプの配置の他の例を示す図である。図2は、ポンプ14,16を斜めに配置した液化ガス供給装置50の要部構成を示す。図3は、ポンプ14,16を鉛直方向に配置した液化ガス供給装置52の要部構成を示す。これらの装置においても、タンク12とポンプ14,16および配管を共通の断熱層54,56内に納め、一体化を図っている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の液化ガス供給装置の概略構成を示す図である。
【図2】液化ガス供給装置のポンプの配置の他の例を示す図である。
【図3】液化ガス供給装置のポンプの配置のさらに他の例を示す図である。
【図4】従来の液化ガスの供給システムの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
10,50,52 液化ガス供給装置、12 タンク、14,16 ポンプ、18 断熱層、24,32 吸込管、42 セパレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯蔵し、供給する液化ガス供給装置であって、
液化ガスを貯蔵するタンクと、
タンクを包む断熱部材と、
前記断熱部材中に配置され、タンク内の液化ガスを送り出すポンプと、
を有する、液化ガス供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液化ガス供給装置において、ポンプは、複数備えられ、個々のポンプの吸込管は独立してタンクに接続されている、液化ガス供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液化ガス供給装置において、各吸込管のタンク内の開口の間にはセパレータが設けられ、一つの吸込管の開口から他の吸込管の開口に至る経路長が延長されている、液化ガス供給装置。
【請求項4】
液化ガスを貯蔵したタンクから払い出す液化ガス払い出し装置であって、
液体を払い出す複数のポンプを有し、個々のポンプの吸込管は独立してタンクに接続されている、
液化ガス払い出し装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液化ガス払い出し装置において、ポンプは、タンクの断熱部材中に配置される、液化ガス払い出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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