説明

液化バイオマスの製造方法、熱硬化性樹脂の製造方法、液化バイオマス及び熱硬化性樹脂

【課題】石油系の市販ウレタン樹脂用ポリオールを多量にブレンドしないでも、それらと多価イソシアネートの反応が十分に進み、より物性の優れた製品化を実現しうるバイオマス由来ポリオールのより望ましい合成方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る液化バイオマスの製造方法は、バイオマス100部と、液化調整剤である一価或いは多価アルコール類1000〜0部と、液化媒体である多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、或いは市販のポリオール10〜1000部、更には液化媒体としてともに用いる多価アルコール0〜1000部と、酸触媒であるプロトン酸0.1〜10部を必要に応じメチルエステルなどに変性して、密閉容器内で混合し、90〜160℃の温度範囲で5〜300分間加熱することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材やでんぷん等のバイオマスを液化する技術に関し、詳しくは、バイオマスを従来より更に実用的且つ工業的利用に適した液化方法により製造する方法、熱硬化性樹脂の製造方法、前記方法で製造された液化バイオマス及び熱硬化性樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
20世紀の中葉から現在に至る石油化学の発展により、耐久性が高く使いやすい人工の合成樹脂が多様に、大量に使われる様になり、人類の生活は随分と便利で快適なものとなってきている。その反面で、石油の大量消費により大気中の二酸化炭素の増大等、環境問題が著しくなり、石油資源の減少、枯渇といった資源問題も意識される様になってきている。そのような背景のもとで、再生産可能な資源である植物を中心とするバイオマスを、材料やエネルギー源としてより多く活用することが現在世界的に強く求められている。
【0003】
ここでバイオマスとは、木材工業およびパルプ工業等の木材工業における木質系廃棄物、間伐材、建築解体材や稲ワラ、さやガラ等の農業廃棄物等、各種のリグノセルロース類、さらには古古米、酒米磨き粕、床落ち小麦粉など食品工業廃棄物等を指し、本明細書中では、特にことわらない限りこれらの物質を一括してバイオマスという。
【0004】
このようなバイオマスを樹脂化して工業的な利用を促進するために、バイオマスの液化技術の開発研究が進められている。公知技術としては、ベンジル化やアセチル化等、化学的に修飾された木質材を液化対象とし、それらを多価アルコール媒体と酸触媒存在下で120〜180℃の温度範囲で処理する技術がある(例えば、特許文献1)。また、他の公知技術として、木材質をそのままフェノール類またはビスフェノール類の存在下で液化する技術(例えば、特許文献2)や、多価アルコール類の存在下で、木材質をはじめとするバイオマスを液化させて成形物、接着剤、発泡体の調製を試みた技術(特許文献3)がある。さらに本発明者らが先に出願し、公開された特許文献4には、バイオマスの液化に広く用いられている硫酸を主とするプロトン酸を一価低級アルコール類である液化調整剤と反応させて得られるプロトン酸エステルが、効果的な液化触媒として機能し得ることが開示されている。さらにその後、本発明者らが出願した特許文献5には、一価アルコールを中心とする液化調整剤の存在のもと、フェノールや多価アルコールなど液化媒体を共存させた条件下で、バイオマスが十分に液化され、液化物中でバイオマス由来低分子化成分の関連した再重縮合生成も低度にし得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−171701号公報
【特許文献2】特開昭61−261358号公報
【特許文献3】特公平07−088434号公報
【特許文献4】特開2007−92008号公報
【特許文献5】特開2010−184233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の公知技術は、化学修飾を行う製造工程が複雑で、高コストとなり、工業化や実用性に乏しいという問題がある。特許文献2及び3に開示されている他の公知技術ではこの問題は解消されているが、バイオマスの液化反応中に一旦低分子化したバイオマス成分が再縮合したり、多糖の還元性末端部位がアルデヒド構造に異性化してのアルドール縮合反応や、低分子化糖の脱水反応により生ずるフルフラール類の高分子樹脂化、さらにはフェノール、PEG400(ポリエチレングリコール400)といった液化媒体の必要以上のエーテル化反応が目立って起こったりしている。その結果、生成したバイオマス液化物の高分子化と粘度の増大をもたらし、加工性を悪くするといった問題を惹き起こす。また、それらのバイオマス成分に生じる脱水反応による収率の低下、炭化物や発色物質の生成による暗色化さらには不溶解物が生じるといった問題がある。
これに対して、特許文献4及び5に開示されている技術は、工業化や実用性に関する課題を解決しつつ、特許文献2及び3の技術が有する問題点も解決している。
【0007】
すなわち、特許文献4に記載の方法は、プロトン酸エステルを触媒に用いる方法であり、バイオマスの液化反応中に低分子化されたバイオマス成分の再重縮合などを抑制することが、バイオマス液化技術の進展のために重要であるとの考えにより成されたものである。プロトン酸エステルを触媒に用いた効果は明確であり、バイオマスをより迅速に、不液化残渣を殆どゼロにする液化を実現させることができた。これは液化媒体中で沈殿を生ずるほどのバイオマス成分の再重縮合は起こっていないということを示している。すなわち、特許文献4では、液化中の再重縮合を格段に抑えて液化しうることが明らかになったが、液化物の示す粘度値がなお高めであることから、バイオマス液化技術の工業的実用化の推進のためには改善が求められる状況にあった。
【0008】
そこで更に検討した結果、本発明者らは、特許文献5に示すように一価アルコールを中心とする液化調整剤の存在のもと、十分量の多価アルコールなど液化媒体を共存させた条件下でバイオマスを液化することにより、液化物中で低分子化成分の再重縮合が抑制されるという知見を得た。ただし、特許文献5に記載の方法には、添加した一価アルコールの内、液化中にバイオマスの加溶媒分解に拘わることなく、また、低分子化バイオマス成分と反応せずに遊離アルコールとして残された部分の留去にエネルギーと時間を要するという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献2〜5に記載の手法で得られた液化物のうち多価アルコールによる加溶媒分解液化物の場合はウレタン樹脂調製用のポリオールとしての用途が大きいが、そこでも次のような問題が生じた。すなわち、特許文献2〜5に記載されているこれまでの手法では、加溶媒分解媒体としてPEG400、エチレングリコール、グリセリンなどといったものが使われてきた。それらの加溶媒分解液化物の場合、たとえ液化が好適に進み、得られた液体の常温での粘度が十分低く使い勝手に優れたポリオールが得られたとしても、それを例えばウレタン樹脂調整用のポリオールとして使用した場合、実用のポリオール(石油系等、バイオマス由来ではない市販のポリオール)を使う場合に比べウレタン樹脂化発泡の反応性の劣るものとなり、しかも得られるウレタン樹脂発泡体の物性は現行のウレタン樹脂発泡体と比べて見劣りしたものとなっていた。
【0010】
それらを改善するためには、該液化バイオマスポリオールに石油系の市販ウレタン樹脂用ポリオールを、多くの場合何種も、また、量的にも多くブレンドしなければならないという状況があった。これはウレタン樹脂用ポリオールに占めるバイオマス量、すなわち、バイオマス度を大きく低減させることとなり、バイオマスポリオールをウレタン発泡に用いることにより石油の使用量削減、更にはCO排出量削減を実現させようという意義を大きく低減せしめることを意味する。したがってその根本的解決が求められている。
【0011】
本発明は、このような問題や要求を解決することを課題とし、石油系の市販ウレタン樹脂用ポリオールを多量にブレンドしないでも、それらと多価イソシアネートの反応が十分に進み、より物性の優れた製品化を実現しうるバイオマス由来ポリオールのより望ましい合成方法を提供するものである。それにより、バイオマス度の高い、しかも物性の優れたウレタン樹脂製品の製造を実現させうる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、一価アルコールを中心とする液化調整剤の存在下、あるいは場合によってはその非存在下で、主として多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、或いはウレタン樹脂用市販ポリオールと、一般溶媒としての多価アルコールとを各種量比で混合し、この混合物の存在下、更に酸触媒存在下で90〜160℃に5〜300分間加熱することにより、バイオマスの液化を実現できること、しかも得られた液化バイオマスは、反応性を十分備えた、ウレタン樹脂ポリオールなどとして用いることができ、且つ実用的物性を持った最終成形製品を実現し得るバイオマス由来ポリオールであるという新事実を見い出した。
【0013】
また、その究極の液化形態として、一価アルコールを中心とする液化調整剤の存在下、或いはその非存在下での場合も含め、一般溶媒としての多価アルコールを欠いた系、すなわち、多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、或いはウレタン樹脂用市販ポリオールのみの存在下、酸触媒下で同様に加熱することにより、バイオマスの液化を実現できることを見い出した。そして、この液化バイオマスは、ウレタン樹脂ポリオールなどとして好適に用いることができ、実用的物性を有する最終成形製品を実現し得るバイオマス由来ポリオールであるという新事実も見い出した。
【0014】
更に、得られた液化物に市販ポリオールを単独で、或いはそれらの混合物を各様にブレンドして用いることにより最終製品としてのウレタン樹脂成形品に望ましい物性を与えうることも分かった。そこで、反応条件を中心に広く検討した結果、新規な望ましい液化バイオマス、その製造方法、及び熱硬化樹脂を見出し、本発明の特許出願に至った。
【0015】
即ち、本発明に係る液化バイオマスの製造方法は、多価アルコール類から成る開始剤に、アルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、及び非天然油脂由来ポリオールから選ばれる少なくとも1種の液化媒体を、
一価アルコール及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の液化調整剤の存在下、或いは非存在下で、
プロトン酸、その低級アルコールのエステル化物から選ばれる少なくとも1種の0.1〜10重量パーセント量の酸触媒及びバイオマスと混合し、
密閉容器内において90〜160℃の温度範囲で5〜300分間加熱することを特徴とする。
この場合、酸触媒、バイオマス、液化調整剤、液化媒体等は適宜の順序で添加することができる。
【0016】
また、本発明に係る液化バイオマスの製造方法は、液化調整剤である一価或いは多価アルコール類1000〜0部と、
多価アルコール類から成る開始剤に、アルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール及び非天然油脂由来ポリオールから選ばれる少なくとも1種、または複数種の混合物から成る液化媒体10〜1000部の一部と、
前記液化媒体及び前記液化調整剤の総量に対し0.1〜10重量パーセント量のプロトン酸の一部又は全部とを混合し、
40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させた後、
残りの前記液化媒体と、
バイオマス100部とを混合し、密閉容器内において90〜160℃の温度範囲で5〜300分間加熱することを特徴とする。
【0017】
本発明の液化バイオマスの製造方法において、非天然油脂由来ポリオールは、様々な商品名で市販されているポリオールであっても良く、その中には石油系ポリオール等が含まれる。
【0018】
また、本発明に係る熱硬化性樹脂の製造方法は、上述した製造方法により得られた液化バイオマスに、発泡剤及び整泡剤の少なくとも1種を混合することを特徴とする。
【0019】
更に、本発明に係る熱硬化性樹脂の製造方法は、上述した製造方法により得られた液化バイオマスに、発泡剤及び整泡剤の少なくとも1種と多価アルコール類から成る開始剤にアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール及び非天然油脂由来ポリオールから選ばれる少なくとも1種の液化媒体を混合することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明は、上記製造方法によって得られた液化バイオマス、熱硬化性樹脂であることを特徴とする。
【0021】
上記構成により、ほとんどの場合、液化調整剤(一価アルコール類)及び/又は液化媒体(一般溶媒多価アルコール類、多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、或いは非天然油脂由来ポリオールである市販ポリオール類、液化溶媒多価アルコール類)の一部と、プロトン酸触媒が反応してプロトン酸エステルが生成する。このプロトン酸エステルが一段と優れた液化触媒として作用するのでバイオマスの液化反応が促進されることは特許文献4で公知であるが、それはここでも踏襲する。また、そのことは、同時にプロトン酸触媒により引起されるバイオマスの炭化反応を抑制することも知られている。その関連で重要なことは、液化調整剤(一価アルコール類)を用いるという本発明の手法により、バイオマス低分子化物上に生ずる反応活性点に対して、迅速に保護基を導入することが可能となり、液化過程での重(縮)合など高分子化物を生成せしめるという逆反応を抑制させ、その分、液化反応を効率よく進め、且つ液化物の粘度上昇などを抑えることになるという点である。
本発明で更に重要なことは、多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、或いは汎用されている市販ポリオールを液化媒体の一部又は大部として用いることにより、液化後の市販ポリオールとの更なるブレンドを容易にし、或いはブレンドなしでも最終ウレタン樹脂製品の発現しうる物性を工業製品として受け入れ得るものとするという点である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る液化バイオマスの製造方法は、特許文献4及び5を継承する特徴的な手法を必要に応じ活用することにより、液化バイオマスの製造の迅速化かつ高収率化を実現することができる。これと共に、本発明に係る液化バイオマスの製造方法は、多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール及び/又は市販の石油系ポリオールといった非天然油脂由来ポリオールを液化媒体として用いるという従来全く発想されなかった手法により液化バイオマスを得るようにした点、しかも得られた液化バイオマスが、多価イソシアネートとの混合性、反応性が高く、且つ、該液化バイオマスにより得られる最終成形製品の物性が実用上優れたものであるという点に重要な意味を持つ。
【0023】
多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール及び/又は非天然油脂由来ポリオールは、その少量を他種の液化媒体とともに用いてバイオマスを液化するだけでなく、液化バイオマスに後添加して該液化バイオマスの樹脂化反応性の改良、液化バイオマスから得られる製品物性の改良のために用いることができる。
また、多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール及び非天然油脂由来ポリオールは、単独あるいは複数種をブレンドして相溶化剤的に働きうる区分を生成せしめて液化物を得たり、これらポリオールを多量に用いて液化物を得たり、更にはこれら2種のポリオールのみを用いて液化物を得たりするなど、広範な用い方がある。
【0024】
それら液化に引き続き低沸点の液化調整剤(一価アルコール類)や生成した水或いは混入した水を留去して得られる液化バイオマスは樹脂原料として極めて優れた特性を有するとともに、バイオマス低分子化成分量に対する液化媒体量の比率(液比)を従来の場合よりも小さくできる。
このことは、適宜に、それらを使い勝手の良い樹脂及び樹脂原料として用いるという一般的活用法のほか、従来から工業界や関連ユーザーで好適に用いられてきている市販ポリオール、フェノール樹脂プレポリマー、エポキシ樹脂プレポリマーとブレンドして用いてもバイオマス由来樹脂の特徴を十分残せるということにつながる。このため、工業的に使い勝手の良い各種樹脂を実現できることになり、その点でもこれまでになく新規で且つ画期的なバイオマスの材料化を実現し得るということになる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の出発原料として用いられるバイオマスには、木粉、木材繊維、木材チップや間伐材及び単板屑樹皮等を粉砕したリグノセルロース類一般、およびワラやモミガラ等の植物繊維、工業澱粉、古古米、酒米磨き粕、床落ち小麦粉、廃糖蜜など食品廃棄物等広範なものが含まれる。
【0026】
本発明で多くの場合に用いられる液化調整剤は、バイオマスの液化時にはバイオマスと反応し、その低分子化にも一部寄与するとともに低分子化されたバイオマス成分フラグメントの安定化にも関わる。また、本発明の液化調製剤は、液化系に存在する市販ポリオール或いはグリセリンなど液化媒体を構成する水酸基と反応して、全面的に液化生成物の水酸基価低減剤及び粘度低減剤として働く。
もともと、本発明において液化媒体として用いられる、多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、或いは市販ポリオールそのものにバイオマスと反応し、その低分子化に寄与するとともに低分子化されたバイオマス成分フラグメントの安定化にも関わるという機能・作用特性があるので、前記液化調整剤には前記液化媒体を補助、強化するという役割がある。このような液化調整剤としては低級から高級アルコールを含む一価或いは多価アルコールが用いられるが、特に一級アルコールが好適である。一級アルコールとしては低沸点から高沸点までのものを用いることができる。
【0027】
低級から高級アルコールを広く含む一価のアルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール(ドデシルアルコール)、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−デカノール、1−ドデカノール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、2−トリデカノール、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、7−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、カテコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、シクロヘキサノール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、フェノール、p−エチルフェノール、ナフトール、キシリレノール、グアヤコール、グエトール、p−(α−クミル)フェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール、フェニルフェノール、4−フェノキシフェノール等が挙げられる。
【0028】
これらのうち、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテルが好ましいが、メチルアルコール及びエチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテルが価格の点から、及びそのもの自体、近年、バイオマスから工業的にも誘導し得るようになったという点から、特に好ましい。
これらの一価アルコール類は、それぞれ単独で用いても良く、2種以上の混合物として用いても良い。また、本発明の目的に適した他の適当なアルコール類或いは溶媒との混合物として用いることもできる。
【0029】
多価アルコール類を開始剤としアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、或いは市販ウレタン樹脂用ポリオールとともに、液化媒体として、場合により組み合わせて用いる多価のアルコール、或いは、別途、上記のアルキレンオキシドの開環重合の開始剤として用いる多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、イソソルビド、ビスフェノールA、カテコール、4−t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、レゾルシン、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
【0030】
これらのうち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、グリセリン、トリメチロールプロパンが好ましいが、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパンが価格の点から、及びグリセリン、及びエチレングリコールはそのもの自体がバイオマスから誘導し得るようになったという点から、特に好ましい。なお、ポリオール製造用の開始剤としては、蔗糖など糖類が用いられる場合もある。
これらの多価アルコール類は、それぞれ単独で用いられるが、2種以上の混合物として用いた方が良い場合も多い。また、本発明の目的に適した他の適当なアルコール類或いは溶媒との混合物として用いることもできる。
【0031】
次に、バイオマスの液化媒体として、多価アルコール類を開始剤としてアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオールを用いるという本発明の一項目に関連して、上記多価アルコールを開始剤にして、触媒の存在下にアルキレンオキシドを開環付加重合してポリエーテルポリオールを製造する方法について述べる。従来からポリウレタンフォーム製造の原料の一つとしてポリエーテルポリオールは用いられており、ここで説明するポリエーテルポリオールの製造方法は公知の技術である。この製造方法では、活性水素化合物である多価アルコール類を開始剤とし、アルキレンオキシドを塩基性触媒の存在下で反応させる。
【0032】
使用されるアルキレンオキシドには、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド等が含まれ、それぞれ単独あるいは2種以上を混合して用いられる。反応温度は、60〜150℃、望ましくは、80〜130℃であり、反応時の圧力は10kg/cm以下である。
【0033】
アルキレンオキシドの付加は常法に従い、水酸化カリウム等の塩基性触媒0.05〜0.50%(対出発原料)の存在下、温度110〜130℃、圧力2.5〜6.0kg/cmの条件下で行う。複数のアルキレンオキシド種を付加する場合、その重合方法は、ランダム重合、ブロック重合のどちらでも良い。
【0034】
活性水素化合物にアルキレンオキシドを付加する反応に使用される塩基性触媒としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が最も一般的である。これらの触媒は安価であること、工業的に使い得る十分な反応速度を与えること、燐酸等による中和により製品に不溶の塩を形成し、ろ過により簡便に除去できること等、工業的に有利な点を有している。
【0035】
触媒としては、また、アミン化合物も好適に用い得るが、それらとしては、ジメチルオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルスチリルアミン、ジメチルパルメチルアミン、ジメチルオレイルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルリノレイックアミン、ジメチルリノレニックアミン等が用いられてきている。その使用量は反応物総量に対し、0.01〜5.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%であり、アルカリ金属水酸化物触媒の場合は0.01〜5.0重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%の量が使用されている
【0036】
液化媒体としては、多価アルコール類を開始剤としてアルキレンオキシドを開環重合して得られたポリオールの一種を用いても良く、複数種を混合して用いても良い。また、後述の工業化学製品としてのウレタン樹脂合成用の市販ポリオールの一種を単独で用いても良く、複数種を混合して用いても良い。さらに、多価アルコール類を開始剤としてアルキレンオキシドを開環重合して得られたポリオールと市販ポリオールを混合して用いることもできる。さらにまた、前出の一般化学品多価アルコールの一種或いは複数種を混合することが好ましい。
【0037】
ウレタン樹脂合成用の市販ポリオールは、工業的に多価アルコール類を開始剤としてアルキレンオキシドを開環重合して製造されたポリエーテルポリオールであることが多いが、ポリエステルポリオールも含まれる。市販ポリオールを例示すると、三井化学 (株)製アクトコール類:T-300、T-700S、T-3000S、T-5000、EP-551C、EP-330N、MF-15S、IR-94、IR-96、T-880、T-1000D、MN-1500、Diol-400、GR-04、GR-84T、AE-305、PE-350など、三洋化成工業(株)製サンニックス類:FA-703、FA-728R、FA-103、FA-207、FA-311、FA-7030、KC264、GP-700、GP-3000、GP-4000など、(株)ADEKA製アデカポリエーテル類:P-400、P-700、P1000、P-2000、P-3000、G-300、G-400、G-700、G-1500、G-3000B、G-4000、T-400、EDP-300、EDP-450、EDP-1100、SP-600、SC-800、SC-1000、R-395、RD-570、AM-302、AM-502、AM-702、BM-34、BM-54、CM-252、CM-294、CM-381、GR-2505、GR-3308、FC-450など、旭硝子(株)製エクセノール類:910、837、820、1020、420など、東邦化学(株)製トーホーポリオール類;GB-5000、GB-6700など、伊藤製油(株)製のひまし油系ポリオール類:URIC H-30、URIC H-31、URIC H-52、URIC H-57、URIC H-62、URIC H-73X、URIC H-81、URIC H-102、URIC H-420、URIC H-884、URIC AC-005、URIC AC-006、URIC H-368、URIC PH-5001、URIC PH-5002、URIC N-2023、URIC N-2312D、URIC N-2316などが挙げられる。
【0038】
次にバイオマスの液化に関して説明する。本発明に用いられるバイオマス液化用触媒としては、アルカリ触媒、酸触媒、固体酸触媒など公知の触媒を使用することが好ましい。
【0039】
アルカリ触媒としては、ナトリウム、リチウム,カリウム、カルシウム、セシウムもしくはマグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩もしくは酸化物など、トリス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデン〕ホスホリックトリアミド(PZO)、テトラキス〔トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニデンアミノ〕ホスホニウムヒドロキシド(PZN)、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンスルフィド(PZS)などのホスファゼン触媒などが挙げられる。
【0040】
酸触媒としては、無機酸および有機酸のいずれを用いてもよい。無機酸としては、たとえば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、過塩素酸等が挙げられる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、蓚酸、モノクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ホウ酸、タングステン酸、モリブデン酸、バナジン酸、クロム酸、ヘテロポリ酸(12−タングストリン酸、12−タングストケイ酸、12−モリブドリン酸、12−モリブドケイ酸、12−タングストモリブドリン酸、12−バナドモリブドリン酸、11−モリブド−1−タングストリン酸、10−モリブド−2−タングストリン酸、8−モリブド−4−タングストリン酸、5−モリブド−7−タングストリン酸、3−モリブド−9−タングストリン酸、1−モリブド−11−タングストリン酸、11−モリブド−1−タングストケイ酸、8−モリブド−4−タングストケイ酸、6−モリブド−6−タングストケイ酸、3−モリブド−9−タングストケイ酸、1−モリブド−11−タングストケイ酸、11−タングスト−1−バナドリン酸、10−タングスト−2−バナドリン酸、8−タングスト−4−バナドリン酸、11−モリブド−1−バナドリン酸、10−モリブド−2−バナドリン酸、8−モリブド−4−バナドリン酸等)等が挙げられる。
【0041】
固体酸触媒としては、たとえば、下記(A)〜(F)の触媒が挙げられる。
(A)層構造を有する珪酸塩に酸を含浸させ、乾燥した触媒(以下、「触媒A」という)。
(B)Fe、Ti、Zr、Hf、Mo、W、V、Sn、Si、Al、Zn、MgおよびCaからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む無定型または結晶性の金属酸化物に酸を吸着させて焼成した触媒(以下、「触媒B」という。)。
(C)焼成前の上記無定型または結晶性の金属酸化物の水酸化物(部分水酸化物を含む)に酸根含有のシランカップリング剤またはチタンカップリング剤を反応させた触媒(以下、「触媒C」という。)。
(D)酸型のカチオン交換樹脂(以下、「触媒D」という。)。
(E)Cu、Zn、B、Al、Fe(II)、NiおよびMnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む無機酸塩を焼成した触媒(以下、「触媒E」という。)。
(F)ヘテロポリ酸の不溶性酸性塩(以下、「触媒F」という。)。
【0042】
これらのうち、本発明における液化用触媒としては、プロトン酸が好適に用いられる。プロトン酸としては、特に実用性の高い硫酸が挙げられる。この場合、液化調整剤として挙げたメチルアルコールと反応させて得たメチル硫酸を使うことが特に好適である。
【0043】
前記したバイオマス、液化調整用の一価アルコール、液化媒体、及び酸触媒の混合物の各成分量は、それらの種類や液化バイオマスの使用目的等に応じて適宜変化するが、通常はバイオマス100部に対して酸触媒(プロトン酸)0.1部〜10部、好ましくは1〜5部とし、液化調整用一価アルコール類1000〜0部、好ましくは150〜3部、液化媒体(多価アルコール類を開始剤とし、アルキレンオキシッドを開環重合付加して合成したポリオール、市販ウレタン樹脂用ポリオール、或いはそれらの混合物)10〜1000部、好ましくは20〜350部とすることができる。
【0044】
いずれにしても、本発明の液化バイオマスは、バイオマス、液化調整剤、液化媒体、及び酸触媒の混合物を耐圧反応容器に仕込み、90〜160℃の温度範囲で5〜300分間、攪拌または非攪拌下、加熱させて生成する。必要があれば、予め酸触媒を液化調整剤、又は液化調整剤と液化媒体の混合物、又は液化媒体と40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させて用いる。反応後、必要に応じて、中和、液化調整剤の留去、回収を行う。このようにして生成された液化バイオマスのバイオマス成分の含有率は、前記した混合物の各成分量に応じて重量%で5〜95%の範囲である。
【0045】
前記した混合物の各成分の割合や添加順序は、バイオマスの種類、反応意図・製造設計によって適宜選択されるべきものである。プロトン酸触媒が、もっとも良く使われる硫酸である場合、バイオマスと混合する前に、予め液化調整剤(一価アルコール類、多価アルコール類)のみ、又はそれら間の混合物、及び/又は液化媒体(多価アルコール類)のそれぞれ一部又は全部と、酸触媒である硫酸とを混合し、密閉容器で40〜100℃、好ましくは50〜60℃で、3〜150分、好ましくは15〜60分反応させて硫酸エステルを含有する反応液を作成する。このようにして、予め調製した硫酸エステル0.1〜10部を、バイオマス100部、液化調整剤1000〜0部、液化媒体10〜1000部と各様に混合させて、耐圧密閉容器において90〜160℃の温度範囲で5〜300分間加熱することにより液化バイオマスを生成させる。
【0046】
その際、液化調整剤の全部又は一部と硫酸触媒、液化媒体の全部又は一部と硫酸触媒、液化調整剤と液化媒体とを足したものの全部又は一部と硫酸触媒とを先に混合して硫酸エステルを生成させ、残りの液化調整剤及び液化媒体を加えた反応液を予め作成し、この作成された反応液にバイオマスを混合し、生成している硫酸エステルを液化触媒として作用させてバイオマスを液化するという液化法も取りうる。また、液化調整剤の全部又は一部と、酸触媒の全部とから反応液を作成し、この反応液に、液化媒体の全部と、バイオマスと、残りの液化調整剤とを混合させるという場合も有り得る。またバイオマスを先に秤りとって、上記のように調製される反応液を適宜に加えてもよく、それらの順序にはこだわらない。
【0047】
なお、一般にバイオマスが多価アルコール類、及び/又は一価アルコール類と反応し固相から液相へ少なくとも75%程度変換すると、外観上、液化物が得られたといえる状態になる。本発明で得られた手法によれば、そのような75%変換は容易に達成できる特徴を有している。
【0048】
液化のための耐圧密閉容器としては、この反応を実施できるものであれば良く、通常反応中は密閉され、その後常圧及び減圧濃縮が可能なものが望ましい。液化の初期には反応に関与する物質の全体が良く混和し、その後期には十分な攪拌が可能な装置や、反応の必要に応じてそのような混和と攪拌が効果的に行われ得る装置を用いると、液化を助長し、反応条件を緩和することができるので望ましい。例えば、少なくとも装置への酸触媒以外の送り込みにエックストルーダ等を用いれば、トルクにより反応液がバイオマスに圧入されて反応液とバイオマスとの混和が促進される。そうすると、バイオマスの液化が助長され、小さい液比でも液化が達成されることになる。
【0049】
続いて、本発明における反応系の重要と思われるプロセスについて検討する。
特に前記した一価アルコール類と、さらに市販ポリオール類、多価アルコール類、といったアルコールと硫酸とを混合するとモノアルキル硫酸やジアルキル硫酸が容易に生成し、共存するバイオマス多糖及び/またはリグニンのグリコシド化、及び/またはエーテル化をより強く触媒するものとなる。このようなグリコシド化、及び/またはエーテル化試薬としての特性は、モノアルキル硫酸よりも、さらにアルコールと反応してなるジアルキル硫酸の方が強いことが知られている。このジアルキル硫酸は単に硫酸とアルコールを混合させただけでは生成しないので、生成させるために、50〜100℃で20〜50分加熱反応させることになる。
【0050】
グリコシド結合の解裂に伴って、及び/または水酸基との反応によって、グリコシド、及び/またはエーテルがそれぞれ生成する反応は、これら硫酸エステルが多糖などのグリコシド結合、及び/またはアルコールに反応するとともに、別のアルコールにより硫酸が引き出されて(硫酸エステルが再生して)、反応が進行することになる。この反応は、硫酸エステルから安定な硫酸アニオン(HOSO3−)が脱離することが駆動力になっている。
このためアルコールを前もって硫酸と処理して硫酸エステルとしておけば、木材中の水酸基をエーテル化したり、木材成分中のグリコシド結合やエーテル結合部位を加アルコール分解したりすることが効果的に達成されることになり、バイオマスの液化が促進される。硫酸エステルのような反応性の高い試薬を触媒として用いる結果、バイオマスの液化反応の反応温度を引き下げることも可能である。なお、本来的にはアルコールの硫酸エステル化はアルコールと硫酸を室温に放置しても徐々に進行するが、実際的には50〜60℃で、数十分間加熱することにより短時間で達成される。
【0051】
他方、D-(+)-グルコース(Glc)と、メチル-α-D-グルコシド(m-Glc)をここでの液化反応類似条件下の処理、例えば150℃、触媒存在下でのε-カプロラクトンの開環カチオン重合、を行って、比較している例がある(Mariko Yoshioka, Atsushi Miyata, Yoshiyuki Nishio: Preparation of liquid polyesterpolyols from glucose and its methyl derivative, Journal of Wood Science, 50 (6), 504-510 (2004); Mariko Yoshioka, Atsushi Miyata, Tadashi Yagi, Yoshiyuki Nishio: Preparation of polyols from methyl-α-D-glucoside and cyclic esters for design and fabrication of biodegradable polyurethane foams, Journal of Wood Science, 50 (6),511-518 (2004)。それらの場合、Glcを基質として用いた場合は、反応液の顕著な褐色化、無視できない量の高分子量物質の副生、pHの酸性側へのシフト、水の生成、水酸基価の減少が起こった。これに対し、m-Glcでは褐色化は進まず、高分子物や水の副生、そしてpHや水酸基価の変化といった副反応は認められず、カプロラクトンのグラフトのみが起こった。
【0052】
すなわち、Glcにおいては、その還元性末端部位においてアルデヒド構造へ異性化したものの行うアルドール縮合等、アルデヒド基由来の反応、Glcからの脱水反応により生ずるフルフラール類の高分子樹脂化、Glc変性物間での縮重合等を起因とする高分子化物の生成や反応液の粘度の増大、収率の低下、発色物質の生成といったことが起こるのに対し、m-Glcではそれらが起こらないということである。すなわち、Glcは、メチルグルコシド化されてm-Glcになることにより、安定化することが示唆される。
これらの差異が生じる理由は、Glcが一種のヘミアセタールであり、アルデヒド構造への異性化が起こり変性しやすいのに対し、m-Glcは安定なアセタール構造をとっているため異性化が困難であるためと考えられる。
【0053】
従って木材や澱粉等、バイオマスの液化反応を進める際に、セルロースやヘミセルロース及び澱粉の主鎖グルコシド結合の加溶媒分解により生成する還元性末端のメチルグリコシド化を進めることは、低分子化されたものを含め、望ましくない副反応を抑制することにつながり、優れた液化を実現することになる。これが、特許文献4の発明において不完全ながら優れた特性を有する液化バイオマスが得られたことの説明である。
【0054】
なお、硫酸やパラトルエンスルホン酸を触媒として、90℃以上の温度でメタノールをGlcに反応させてm-Glcが合成されることは公知であり、特許文献4の発明に係る液化バイオマスの製造方法においてはこの反応の応用を意識して行われた。しかし、それでもなお、バイオマス液化過程では減じたとはいえ、なお、一旦低分子化したバイオマス成分の再重縮合が認められ、粘度が予期より高くなる傾向が認められて問題視されてきた。溶液粘度や溶融粘度が基準値よりも高いということは、加工性を損ない、工業原料として根本的な欠点を持つことにもなり得る。
【0055】
そこで、その後、特許文献4の発明の改良を、生成バイオノボラック樹脂、或いはバイオポリオールの溶融粘度、或いは溶液粘度の低減に目標を絞って種々検討してきた。
その中で、液化調整剤(メチルアルコール)の量を大きくした実験の結果、思いがけなく低粘度のバイオマス液化液が得られた。そこで、本願発明者は、液化調整剤を多量に仕込んでの液化実験を系統的に検討した。この検討結果は、本発明者による先の出願(特開2010-184233、出願日:2009年1月15日、「特許文献5」)につながった。
【0056】
通常、液化媒体によるバイオマス構成成分の加溶媒分解によってバイオマス液化は進むと考えられており、このようなバイオマス液化の結果として、反応性が十分高いノボラック樹脂用ポリオールやウレタン樹脂用ポリオールが生成されることを期待している。それに対して、液化調整剤(メチルアルコール)を添加すると、バイオマス成分の水酸基を中心とする官能基と反応してその数を減らし、液化生成物の反応性の低減をもたらすことになる。したがって、液化調整剤(メチルアルコール)は、メチル硫酸触媒の調製に必要な量を意識して行い添加するのが(つまり、できるだけ添加量を少なく抑えるのが)、通常の考え方である。
【0057】
それに対し、メチルアルコールを多く加えることにより、水酸基数が減ることが系内の水素結合を減らし、その結果、凝集性が減じて上記のように粘度を低減させる効果が、反応性低下という負の効果に勝り得るということが特許文献5で得られたわけである。
【0058】
このようにして特許文献5に係る発明は、プロトン酸エステル(硫酸エステル)を液化触媒として用い、液化調整剤(メチルアルコール)を液化媒体(フェノール、PEG400-エチレングリコール、PEG400-グリセリンなど)とともに加えて用いることにより、容易に粘度が低く、使い勝手のよいバイオマス液化物を得ることが出来ることを見い出し完成された。そして、特許文献5に係る発明により製造された液化バイオマスは均一な液状物を構成することになった。さらに、バイオマスの液化過程で高分子化物の生成や再重縮合が起こらないため、不溶解残渣量が無視できる値に低下するとともに、液化収率も高まった。同時に、得られた液化バイオマスは、粘度が低くなるため、取り扱いの容易な物性が得られることにもなった。
【0059】
他方で、従来から行われているように液化媒体としてPEG400とエチレングリコール混液、PEG400とグリセリン混液といった一般的化成品としての多価アルコールを用いてバイオマスを加溶媒分解して得られたポリオールの場合にも、特許文献5に示されているように、液化バイオマスは、少なくともバイオマス中の水酸基よりも反応性の高い液化媒体(多価アルコール類)が導入されて活性化され、また、それらが反応し得ない部位も含め液化調整剤(メチルアルコール)も反応する効果も知られた。また、液化調整剤が十分量仕込まれ反応されたものであるとしても、未反応のメタノールなどの留去、回収により、バイオマス由来成分量が多いポリオールという特徴も容易に与えることができている。
【0060】
しかしながら、これらポリオールをウレタン樹脂用ポリオールとして使用しようとした場合、なお解決すべき重大な問題点が存在することがその後、明らかになってきた。その一つは、バイオマス由来成分量が多いポリオールの場合、多価イソシアネートとの反応性が足りないという点である。その結果、発泡体の経時的収縮などが現れることとなる。二つ目は、これらポリオールから得られる製品の靭性の不足など物性に問題が現れ、その解決がこれまでのやり方では困難であるという点である。特に半硬質や軟質のウレタン樹脂といった使用頻度の高い発泡体をこれらポリオールから製造することが全く困難という問題点が明らかになってきている。これまでは、市販の半硬質及び/又は軟質のポリオールを添加、ブレンドすることで上記問題点を解決しようとしてきた。しかし、これまでの手法で調製したバイオポリオールの場合では、均一にブレンドすることは困難であり、界面活性剤の添加といった手法では解決できないこと、また、ある程度目をつぶってそれを強行しても製品のバイオマス含量が望ましくない程度まで低下することといった問題を引き起こしてきた。
【0061】
そこで、上記問題点を解決する手法として、すでに本発明者は、従来からの本発明者による発明を踏襲しつつ、新たに、グリセリンやエチレングリコール、トリメチロールプロパンを媒体とする液化に引き続き低沸点の一価アルコール類を留去したり、或いは一価アルコール類を多価アルコール類又はバイオマス低分子化物の水酸基と脱水縮合反応させるといったことをまず行った上で、触媒の存在下にアルキレンオキシドを付加重合してポリエーテルポリオールを製造するという方法を開発した。その結果、最終的に得られた液化バイオマスは植物由来度を高度に維持しつつ、ウレタン樹脂原料ポリオールとして極めて優れた特性を有すること、また、該液化バイオマスから得られるウレタン樹脂発泡体は現行のポリウレタン発泡体工業製品と同等の強度物性を有するなど生成物の物性を高め、バイオマス低分子化成分量に対する液化媒体量の比率(液比)を小さく出来ることを見い出し、特許出願を行った(特願2010-096381)。
【0062】
該発明方法によれば、バイオマスをより有効にかつ容易に、樹脂原料として利用可能なバイオマス液化物に変換することができた。従って、該発明の液化バイオマスの製造方法、並びに該発明の方法によって得られたバイオマス液化物は、容易でかつ付加価値の高いバイオマスの有効利用の可能性を与えたものと言える。
【0063】
それに引き続くものとして、グリセリン、トリメチロールプロパンといった多価アルコールにアルキレンオキシドを開環重合させたポリオール、更にはそれらの生成物類似の市販ウレタン樹脂用ポリオールを液化媒体として用いれば、液化により更に合目的で、多価イソシアネートとの反応性にも優れ、得られる製品の物性にも 優れたバイオマス由来ポリオールが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0064】
以下、本発明を、実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。これら実施例及び比較例で使用される木粉は、LIGNOCEL,S150 TR(独 J.Rettenmaier & Soehne社製)を、一度真空乾燥し、デシケーター中に保存したもの、また、コーンスターチは、市販純品(ナカライテスク(株))及びその工業廃棄物品である第2種澱粉(明光商事(株))をそれぞれ入手状態のまま使用した。
【実施例1】
【0065】
〈液化バイオマスの製造〉
メチルアルコール50gを100 ml容フラスコに秤りとり、外部より氷水で冷やし60℃以下に保つようにしながら、攪拌下で30mlの硫酸を滴下し、一旦十分安定化させた後、フラスコの上部に還流コンデンサーを接続したうえで、60℃で30分間攪拌下に加熱反応させ硫酸メチルエステルに変換させ、後出のように液化触媒として用いた。
【0066】
その上で、液化媒体として汎用の市販ウレタン樹脂用ポリオールである三井化学株式会社(以下、「株式会社」は(株)とする。)製アクトコール(登録商標)T-400を71.3gと、液化触媒として上記のように調製した硫酸エステル6.00g(T-400量の3%相当の硫酸と5%相当のメチルアルコールとの反応物)をマグネチック回転子を挿入した100ml容のテフロン(登録商標)内筒密閉容器TAF-SR50(耐圧硝子工業(株)製)に秤りとり、直ちに混合し、引き続いてコーンスターチ(ナカライテスク(株)製品)26.8g(含水率11.3%)を加え、攪拌したのち密栓した(澱粉の2.85倍重量量の媒体(T-400)を加えたことになる;液比 2.85)。この場合、液化調整剤としてのメタノールなどは加えていない。
【0067】
密封後直ちに140℃の油浴に沈めて、マグネチックスターラーによる攪拌下に60分反応させた。その際テフロン内筒密閉容器は油浴内の定められた箇所に垂直に立て、容器全体が完全に油浴内に沈むようにした。
【0068】
60分の液化反応終了後、油浴から容器を引き上げ、流水中にさらし冷却した。反応容器の外部に付着した熱媒油(シリコーンオイル)を除去した上で開栓し、先ず均一に攪拌した状態で内容物約5gを200 ml容ビーカーに精秤した。このビーカーに約100 mlのメチルアルコールを加え、12時間以上攪拌した上で、ガラス繊維濾紙(TOYO "GA100"、アドバンテック東洋(株))を用いてこの希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにメチルアルコールを用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不液化残渣率を求めた。また、残った液化物はすべて1 L容ビーカーにメチルアルコールを用いて洗い出し全量を約600mlとして、酸化マグネシウムを加えて中和した後、12時間以上攪拌した上でガラス繊維濾紙(TOYO "GA-100"、アドバンテック東洋(株))を用いて濾過し、ついで、ロータリーエバポレーターでメタノール、水など揮発成分を取り除き、粘度及び水酸基価測定に供した。
【0069】
得られた不溶解残渣率は14.0%と低く、ほぼ液化が実現されたといえる値であった(外観上は全面的に溶液状を呈していた)。
【0070】
なお、上述のように、液化後、中和・濾過し、揮発性成分を留去して得られた生成反応液(液化バイオマス)の粘度を25℃で測定した。粘度計としては、東機産業(株)製のRE80U型粘度計を標準ロータ(1°34′×R24)とともに用いた。その結果、得られた粘度値は3,123mPa・sであった。この粘度値から、ウレタン樹脂用のポリオールとして使いやすい粘度をもつ液化バイオマスを製造し得たと言える。
【0071】
また、上述のように、液化し、精製して得られた生成反応液(液化バイオマス)の水酸基価を、JIS K 1557-1 に準拠するフタル化法で測定した。測定は、フタル化した液化バイオマスを、京都電子工業(株)製電位差自動滴定装置AT-510を用いた中和滴定法により2回行った。2回の測定値の平均として354.6mgKOH/gの水酸基価が得られた。なお、JIS K 1557-2 に準じて求めた水分量は0.51%であった。
【0072】
〈硬質ポリウレタン発泡体の作製〉
上記により得られた液化物 20部に、触媒(発泡触媒・主として樹脂化剤)としてカオライザー No.1(1,6-N,N,N',N'-テトラメチルヘキサンジアミン;花王(株)製)0.36部、触媒(発泡触媒・主として泡化剤)としてカオライザーNo.3(N,N,N',N",N"-ペンタジメチルジエチレントリアミン;花王(株)製) 0.73部、発泡剤として水 0.4部(上記の液化物中に存在する水分量も合算して)、整泡剤としてシリコーン系X20-1328(信越化学工業(株)製)0.4部を混合し、より均質化されたレジンプレミックスを調製した。なお、このレジンプレミックス中の上記の添加水(発泡剤)の量は2%相当であった。このレジンプレミックスにポリメリックMDI(基本物質:ジフェニルメタン4,4'-ジイソシアネート;三井化学(株)製)をイソシアネートインデックス100或いは110となるように加え、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製)を用いて3000rpmで5秒攪拌した後、混合液を100mm×100mm×180mmのフリー発泡用BOXに注入したところ、硬質ポリウレタン発泡体を得ることができた。計測したクリームタイム(CT)はイソシアネートインデックス100或いは110の場合に、それぞれ、40或いは30秒、ゲルタイム(GT)は235或いは180秒、ライズタイム(RT)は435或いは350秒であった。調製した発泡体は、24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。密度はイソシアネートインデックス100或いは110の場合、それぞれ68.3或いは68.8 kg/m3であった。圧縮弾性率、及び圧縮強度は(株)島津製作所製のオートグラフ(圧縮モード)で測定し、圧縮弾性率として、イソシアネートインデックス100或いは110の場合、それぞれ、15.4或いは16.2 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値として、それぞれ、539或いは611 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値として、それぞれ、551或いは635 kPaの値を得た。
【0073】
ここでの液化物をポリオールとして使用し、発泡触媒、整泡剤などを加えることにより、プレミックスの粘度が低くなり、セル状態も微細である安定なフォームが得られた。従って、それらの発泡特性及びフォーム物性は極めて良好といえる。
【実施例2】
【0074】
〈ポリエーテルポリオールの調製〉
グリセリン30gとジメチルパルミチルアミン0.54gを内容積200mlのオートクレーブに装入し、オートクレーブ内を乾燥窒素で置換し、撹拌、昇温を開始し、90℃で、反応機の内圧が4.0 kg/cm2G以下に保たれるように120gのプロピレンオキシドを徐々に装入し、反応を行った。6時間でプロピレンオキシド装入終了後、110℃に昇温し、内圧の低下が認められなくなるまで5時間攪拌した。反応終了後、残存するプロピレンオキシドを減圧により除去し、内容物を取り出した。得られたポリエーテルポリオール製品は143 gで黒褐色の液体であり、水酸基価は456 mgKOH/gであった。
【0075】
〈液化バイオマスの製造〉
実施例2では、液化媒体を上記により合成されたポリエーテルポリオールとグリセリンの重量比8:2混合液とし、この混液9重量部に対し液化調整剤としてのメタノールを1重量部加えるという変更の他は実施例1の〈液化バイオマスの製造〉に準じて液化物を製造した。
【0076】
得られた不溶解残渣量は2.10%であり、水酸基価は427 mgKOH/g、また水分量は1.03%であったが、そのままでは25℃での粘度測定は困難であった。後出の実施例のように他種ポリオールや発泡調整剤、発泡剤その他添加剤とのブレンドにより、粘度低減を図った上で用いる必要がある。
【実施例3】
【0077】
液化媒体として、三井化学(株)製アクトコールIR-96 23.04 g とグリセリン 5.77 g 混液(IR-96 : グリセリン = 8 : 2 重量比)を、液化調整剤としてメタノール 3.20 g (IR96とグリセリン混液 : メタノール = 9 : 1 重量比)を、また液化触媒として実施例1に示した手順で調製したメチル硫酸 2.56 g (IR-96とグリセリン合計量の3%相当の硫酸と5%相当のメチルアルコールの反応物)をマグネチック回転子を挿入した50ml容のテフロン内筒密閉容器TAF-SR50(耐圧硝子工業(株)製)に秤りとり、混合し、引き続いてコーンスターチ(ナカライテスク(株)製品)16g(含水率11.3%;正味コーンスターチ重量14.19 g)を加え、攪拌したのち密栓した(コーンスターチの2倍重量量の媒体(IR-96とグリセリン混液)を加えたことになる;液比 2)。また、液化調整剤としてメタノールを加えている。
【0078】
密栓後直ちに 130℃ の油浴に反応容器を沈めて、マグネチックスターラーによる撹拌を行い、 60 分反応させた。
【0079】
液化反応終了後、油浴から容器を引き上げ、水道水流水下で冷却した。反応容器の外部に付着した熱媒油(シリコーンオイル)を除去した上で開栓し、先ず均一に攪拌した状態で内容物約5gを200 ml容ビーカーに精秤した。このビーカーに約100 mlのメチルアルコールを加え、12時間以上攪拌した上で、ガラス繊維濾紙(TOYO "GA100")を用いてこの希釈反応液を濾過し、液化物と不溶解残渣とを分離した。不溶解残渣はさらにメチルアルコールを用いて数回洗浄し、予備乾燥の後、105℃で一夜、真空乾燥し、秤量して不液化残渣率を求めた。また、残った液化物はすべて1 L容ビーカーにメチルアルコールを用いて洗い出し全量を約600mlとして、8N-苛性カリ水溶液を加えて中和した後、12時間以上攪拌した上でガラス繊維濾紙(TOYO "GA100")を用いて濾過し、ついで、ロータリーエバポレーターでメタノール、水など揮発成分を取り除き、粘度及び水酸基価測定に供した。
【0080】
得られた不溶解残渣率は0.12%と低く、完全に液化がなされた。
【0081】
なお、上述のように、液化後、中和・濾過し、揮発性成分を留去して得られた生成反応液(液化バイオマス)の25 ℃の粘度を実施例1記載の方法で測定し、47,410mPa・s の値を得た。
【0082】
また、上述のように、液化し、精製して得られた生成反応液(液化バイオマス)の水酸基価を、実施例1記載の方法で求めた。2回の測定値の平均として 634.3 mgKOH/gの水酸基価が得られた。なお、JIS K 1557-2(カールフィシャー法)に準じて求めた水分量は 0.58%であった。
【実施例4】
【0083】
液化温度のみを140℃と10℃高める以外、実施例3に準じて液化を行った。不液化残渣量の測定、中和・濃縮の操作、粘度・水酸基価の測定なども実施例3に準じて行った。
【0084】
液化は良好に進み、濃褐色、透明・均質な液化物が得られた。得られた不溶解残渣量は0.23%と完全液化を示す値となった。
【0085】
中和、濾過を経て濃縮後の液化物溶液に析出や層分離は認められなかった。このものについて測定して得られた水分率は0.44%、水酸基価は583.0 mgKOH/g、粘度(25℃)は16,270 mPa・sであり、実施例3と比べて、この液化媒体でのコーンスターチ液化の場合、液化温度を10℃高め140℃とすることにより、水酸基価が約 50 mgKOH/g 低下し、粘度が約31,000 mPa・s も低下することが分かった。液化温度が10℃高まることにより水酸基が減少し、構成分子間相互作用や分子量が低下する反応が進んでいることがうかがわれた。
【実施例5】
【0086】
〈液化バイオマスの製造〉
液化媒体として、三井化学(株)製アクトコールIR-96(17.28g)、アクトコールT-400(5.76g)及びグリセリン(5.77g)の混液(IR-96:T-400:グリセリン=6:2:2重量比)を用い、液化温度を140℃とする以外、実施例3に準じて液化を行った。
【0087】
液化は良好に進み濃褐色の透明・均質な液化物が得られた。得られた不溶解残渣量は0.31%と完全液化を示した。
【0088】
中和・濾過を経て濃縮後の液化物溶液に析出や層分離は認められなかった。このものについて測定して得られた水分率は0.54%、水酸基価は586.1 mgKOH/g、粘度(20℃)は17,430 mPa・sであった。
【0089】
〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 1〉
上記により得られた液化物 5.19 g に、三井化学(株)製アクトコールEP‐551Cを 2.81 g、カオライザーNo.1とNo.3及びシリコーン系X20-1328整泡剤の36:73:40重量比の混合液 0.14g、発泡剤としての水 0.32g或いは0.16g(レジンプレミックス中 4%或いは 2%量) を混合し、レジンプレミックス(水酸基価400 mgKOH/g)を調製した。このレジンプレミックスにポリメリックMDI(M-200)(三井化学(株)製)を 8.40g(イソシアネートインデックス110とする量)加え、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製)を用いて3000rpmで5秒攪拌した後、混合液を100mm×100mm×180mmのフリー発泡用BOXに注入したところ、硬質ポリウレタン発泡体を得ることができた。発泡剤(水)添加量をレジンプレミックス中 4%或いは 2%とした場合、それぞれ、計測されたクリームタイム(CT)は40秒あるいは48秒、ゲルタイム(GT)は500秒或いは633秒、ライズタイム(RT)は720秒或いは810秒であった。
【0090】
調製した発泡体は、24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。発泡剤(水)添加量を4%或いは 2%とした場合、密度は、それぞれ、37.1或いは58.5 kg/m3、圧縮弾性率は、それぞれ、1.46或いは5.22 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値は、それぞれ、74.5或いは184 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値は、それぞれ、82.3或いは216 kPaの値を示した。
【0091】
〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 2〉
上記により得られた液化物 2.15 g に、三井化学(株)製アクトコールT-400を 5.85 g、カオライザーNo.1とNo.3及びシリコーン系X20-1328整泡剤の36:73:40重量比の混合液 0.14g、発泡剤としての水 0.16g (レジンプレミックス中 2%量)を混合し、レジンプレミックス(水酸基価450mgKOH/g)を調製した。このレジンプレミックスにポリメリックMDI(M-200)(三井化学(株)製)を 8.40g(イソシアネートインデックス110とする量)加え、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製)を用いて3000rpmで5秒攪拌した後、混合液を100mm×100mm×180mmのフリー発泡用BOXに注入したところ、硬質ポリウレタン発泡体を得ることができた。計測されたクリームタイム(CT)は30秒、ゲルタイム(GT)は167秒、ライズタイム(RT)は200秒であった。ここで〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 1〉と〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 2〉の比較より、ブレンドするアクトコールの種類をEP‐551CからT-400に替えることにより、発泡触媒と整泡剤との混液の添加量を0.32g(4%)から0.16g(2%)へと半減させても、後者の場合の反応性が高く、より急速な発泡をなし得ることが分かる。
【0092】
調製した発泡体は、24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。密度として、46.3 kg/m3、圧縮弾性率として、9.23 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値として、291 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値としては、317 kPaの値を得た。
【0093】
〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 3〉
上記により得られた液化物 4.22 g に、三井化学(株)製アクトコールPE-350 、アクトコールMF-15S、水 、ミーコTMHDA(MR)、ミーコTMDA(ZF22)、ミーコR-9000、東レダウSF-2937Fを含むブレンド剤を 3.78 g 混合し、レジンプレミックス(水酸基価400mgKOH/g)を調製した。このレジンプレミックスにポリメリックMDI(M-200)(三井化学(株)製)を 8.40g(イソシアネートインデックス110とする量)加え、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製)を用いて3000rpmで5秒攪拌した後、混合液を100mm×100mm×180mmのフリー発泡用BOXに注入したところ、硬質ポリウレタン発泡体を得ることができた。計測されたクリームタイム(CT)は10秒、ゲルタイム(GT)は30秒、ライズタイム(RT)は80秒であった。以上より、上記の〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 1〉と〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 2〉に比べより迅速な発泡が行われていることが分かる。
【0094】
調製した発泡体は、24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。密度として、27.0 kg/m3、圧縮弾性率として、1.93 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値として、99.1 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値としては、118 kPaの値を得た。
〔参考例1〕
【0095】
バイオマスを液化する際の液化媒体として、実施例1で全面的に、実施例5で部分的に使われているT-400を単独で実施例1の〈硬質ポリウレタン発泡体の作製〉に準じて発泡体を調製した。その際計測されたクリームタイム(CT)は10秒、ゲルタイム(GT)は41秒、ライズタイム(RT)は61秒であった。
【0096】
調製した発泡体を24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。密度として、54.7 kg/m3、圧縮弾性率として、11.2 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値として、313 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値としては、365 kPaの値を得た。
【0097】
これらのデータは実施例1のそれらと比較しうるものである。CT、GT、RTの値の違いから反応性の差異はあるが、その違いは一般的には問題にされない範囲と言える。密度に差異はなく、生成する発泡体の弾性率、強度など物性は実施例1の場合の方が有意に大きくなっている。
〔参考例2〕
【0098】
バイオマスを液化する際の液化媒体として、実施例3及び4で全面的に、実施例5で部分的に使われているIR-96を単独で実施例1の〈硬質ポリウレタン発泡体の作製〉の2%の水発泡剤添加の場合に準じて発泡体を調製した。その際計測されたクリームタイム(CT)は0.1秒、ゲルタイム(GT)は2秒、ライズタイム(RT)は15秒であった。
【0099】
調製した発泡体を24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。密度として、64.1 kg/m3、圧縮弾性率として、4.45 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値として、179 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値としては、286 kPaの値を得た。
【0100】
これらのデータは実施例1のそれらと比較しうるものである。CT、GT、RTの値の違いから大きな反応性の差異があるが、参考例2の場合は瞬間的に発泡するといったものであり、実用的でない。むしろ、触媒量を減ずるなど対応が必要である。密度が64.1と58.5kg/m3といった値を示しており、そこに差異はない。生成する発泡体の弾性率、強度など物性は実施例5の場合と同等のものとなっている。
【実施例6】
【0101】
液化媒体として、三井化学(株)製アクトコールT-400(23.04g)、及びグリセリン(5.77g)の混液(T-400:グリセリン=8:2重量比)を用い、液化温度を110℃とし、バイオマス試料を食品工業廃棄物の第2種澱粉とする以外、実施例3に準じて液化を行った。
液化は良好に進み淡黄褐色の透明な液化物が得られた。得られた不溶解残渣量は0.86%と完全液化を示した。
【0102】
中和・濾過を経て濃縮後の液化物溶液には二層分離が認められた。粘度が著しく高く使い勝手が悪いということから、実施例5の〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 3〉に従い三井化学(株)製アクトコールPE-350 : アクトコールMF-15S、水、ミーコTMHDA(MR)、ミーコTMDA(ZF22)、ミーコR-9000、東レダウSF-2937Fを 混合し、レジンプレミックス様のものとした。このものについて測定して得られた水酸基価は484.0 mgKOH/gとなり、粘度も低減し硬質ポリウレタン発泡体調製用として用い得るものとなった。
【実施例7】
【0103】
〈液化バイオマスの製造〉
液化媒体として、三井化学(株)製アクトコールIR-96(25.9g)、アクトコールT-400(8.64g)及びグリセリン(8.64g)の混液(IR-96:T-400:グリセリン=6:2:2重量比)を、液化調整剤としてメタノール2.40gを また液化触媒として実施例1に示した手順で調製したメチル硫酸3.84g(硫酸1.44g とメチルアルコール2.40g の反応物)をマグネチック回転子を挿入した100ml 容のテフロン内筒密閉容器TAF-SR100 に秤とり(IR‐96、T-400とグリセリン混液:メタノール=9:1重量比)、混合し、引き続いて木粉(レッテンマイヤー製LIGNOCEL S150TR; ドイツトウヒ; 含水率8.82%)16.0g を加え、密栓した(木粉の2.7倍重量量の液化媒体を加えたことになる; 液比2.7)。そのまま残存した場合、液化後留去可能なメタノールを液化調整剤及び触媒成分として加えている。
【0104】
密栓後直ちに140℃ の油浴に反応容器を沈めて、後半40分マグネチックスターラーによる撹拌を行い、計60分反応させた。液化は良好に進み濃褐色均質な液化物が得られた。得られたジオキサン:水=8:2容積比混液浸漬・洗浄処理により求めた不溶解残渣量は10.1%と、液化が十分に進んでいることを示した。
【0105】
中和を経て濃縮した後の液化物溶液に析出や層分離は認められなかった。このものについて測定して得られた水分率は3.52%、水酸基価は520.2 mgKOH/g、粘度(25℃)は89,750 mPa・sであった。
【0106】
〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 1〉
上記により得られた液化物(未濾過物)4.00 g に、三井化学(株)製アクトコールT-1000D、カオライザーNo.1とNo.3及びシリコーン系X20-1328整泡剤の混合液 0.14g、発泡剤としての水(液化物中の水分量を合算してレジンプレミックス中 4%量)からなるレジンプレミックスを4.00g 混合し、粘度低減と水酸基価の調節(水酸基価356 mgKOH/g)を行った。この混液をポリオールとし、イソシアネートインデックス110となるようにポリメリックMDI(M-200)(三井化学(株)製)を加え、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製)を用いて3000rpmで5秒攪拌した後、混合液を100mm×100mm×180mmのフリー発泡用BOXに注入したところ、硬質ポリウレタン発泡体を得ることができた。計測されたクリームタイム(CT)は3秒、ゲルタイム(GT)は10秒、ライズタイム(RT)は50秒と計測された。発泡反応性は著しく高く、制御困難ともいえるものであった。しかし、出来上がった発泡体はきめが細かく均一で、木材成分粒子など肉眼では全く認められなかった。
【0107】
調製した発泡体は、24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。発泡剤(水)量を4%で、密度は、51.5 kg/m3、圧縮弾性率は、6.79 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値は、220.8 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値は、270.0 kPaの値を示した。
【0108】
〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 2〉
上記により得られた液化物 2.00 g に、三井化学(株)製アクトコールT-400を 6.00 g、カオライザーNo.1とNo.3及びシリコーン系X20-1328整泡剤の混合液 0.14g、発泡剤としての水 0.09g (レジンプレミックス中 2%量)を混合し、レジンプレミックス(水酸基価430mgKOH/g)を調製した。このレジンプレミックスにポリメリックMDI(M-200)(三井化学(株)製)をイソシアネートインデックスを110とする量加え、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製)を用いて3000rpmで5秒攪拌した後、混合液を100mm×100mm×180mmのフリー発泡用BOXに注入したところ、硬質ポリウレタン発泡体を得ることができた。計測されたクリームタイム(CT)は15秒、ゲルタイム(GT)は93秒、ライズタイム(RT)は155秒であった。
【0109】
調製した発泡体は、着色が少ないという特色が認められた。24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。密度として、47,5 kg/m3、圧縮弾性率として、11.35 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値として、371 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値としては、406 kPaの値を得た。
【0110】
〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 3〉
上記により得られた液化物 4.67 g に、三井化学(株)製アクトコールT-400を 3.33 g、カオライザーNo.1とNo.3及びシリコーン系X20-1328整泡剤の混合液 0.14g、発泡剤としての水 0.02g (レジンプレミックス中 2%量)を混合し、レジンプレミックス(水酸基価450mgKOH/g)を調製した。このレジンプレミックスにポリメリックMDI(M-200)(三井化学(株)製)をイソシアネートインデックスを110とする量加え、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製)を用いて3000rpmで5秒攪拌した後、混合液を100mm×100mm×180mmのフリー発泡用BOXに注入したところ、硬質ポリウレタン発泡体を得ることができた。計測されたクリームタイム(CT)は5秒、ゲルタイム(GT)は30秒、ライズタイム(RT)は105秒であった。直前の〈硬質ポリウレタン発泡体の作製 2〉での場合よりもT-400による希釈率が低く、その分粘度が高いポリオールであるにも拘らず、発泡反応性が高くなっており、ポリオールとして用い得るものとなっている。
【0111】
調製した発泡体は、24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。密度として、57.8 kg/m3、圧縮弾性率として、14.83 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値として、435 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値としては、477 kPaの値を得た。実施例5のコーンスターチの液化物と比べ、木粉の液化物は粘度が高くなるが、T‐400やT-1000D、EP‐551C等市販汎用ポリオールのブレンドで発泡可能になるとともに、より高強度物性の発泡体が得られるという特徴が得られる。
【実施例8】
【0112】
〈液化バイオマスの製造〉
液比を2とし、液化温度を150℃とする以外は実施例7に準じて液化を行った。ジオキサン:水=8:2容積比の混液による浸漬・洗浄処理により求めた不溶解残渣量は7.5%となった。実施例7の場合よりも液化が十分に進んでいることが知られた。
【0113】
中和を経て濃縮した後の液化物溶液に析出や層分離は認められなかった。このものについて測定して得られた水分率は1.94%、水酸基価は451.1 mgKOH/g、粘度(20℃)は78,880 mPa・sであった。
【0114】
〈硬質ポリウレタン発泡体の作製〉
上記により得られた液化物 2.00 g に、三井化学(株)製アクトコールT-400を 6.00 g、カオライザーNo.1とNo.3及びシリコーン系X20-1328整泡剤の混合液 0.14g、発泡剤としての水 0.12g (レジンプレミックス中 2%量)を混合し、レジンプレミックス(水酸基価413mgKOH/g)を調製した。このレジンプレミックスにポリメリックMDI(M-200)(三井化学(株)製)をイソシアネートインデックスを110とする量加え、T.K.ロボミックス(プライミクス(株)製)を用いて3000rpmで5秒攪拌した後、混合液を100mm×100mm×180mmのフリー発泡用BOXに注入したところ、硬質ポリウレタン発泡体を得ることができた。計測されたクリームタイム(CT)は20秒、ゲルタイム(GT)は170秒、ライズタイム(RT)は250秒であった。発泡反応性は十分高くなっており、ポリオールとして用い得るものとなっている。
【0115】
調製した発泡体は、24時間放置後、60mm角の立方体を切り出し、密度測定と圧縮強度測定に供した。密度として、53.8 kg/m3、圧縮弾性率として、12.46 MPa、また、25%歪み時圧縮応力値として、389 kPaの値を、また50%歪み時圧縮応力値としては、421 kPaの値を得た。実施例5のコーンスターチの液化物と比べ、木粉の液化物は粘度が高くなるが、T‐400やT-1000D、EP‐551C等市販汎用ポリオールのブレンドで発泡可能になるとともに、より高強度物性の発泡体が得られるという特徴が得られている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価アルコール類から成る開始剤に、アルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール、及び非天然油脂由来ポリオールから選ばれる少なくとも1種の液化媒体を、
一価アルコール及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の液化調整剤の存在下、或いは非存在下で、
プロトン酸、その低級アルコールのエステル化物から選ばれる少なくとも1種の0.1〜10重量パーセント量の酸触媒及びバイオマスと混合し、
密閉容器内において90〜160℃の温度範囲で5〜300分間加熱することを特徴とする液化バイオマスの製造方法。
【請求項2】
液化調整剤である一価或いは多価アルコール類1000〜0部と、
多価アルコール類から成る開始剤に、アルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール及び非天然油脂由来ポリオールから選ばれる少なくとも1種、または複数種の混合物から成る液化媒体10〜1000部の一部と、
前記液化媒体及び前記液化調整剤の総量に対し0.1〜10重量パーセント量のプロトン酸の一部又は全部とを混合し、
40〜100℃の温度範囲で3〜150分反応させた後、
残りの前記液化媒体と、
バイオマス100部とを混合し、密閉容器内において90〜160℃の温度範囲で5〜300分間加熱することを特徴とする液化バイオマスの製造方法。
【請求項3】
前記非天然油脂由来ポリオールが、市販のポリオールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液化バイオマスの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された液化バイオマスに、
発泡剤及び整泡剤の少なくとも1種を混合することを特徴とする熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された液化バイオマスに、
発泡剤及び整泡剤の少なくとも1種と、多価アルコール類から成る開始剤にアルキレンオキシドを開環重合して得られるポリオール及び非天然油脂由来ポリオールから選ばれる少なくとも1種の液化媒体を混合することを特徴とする熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された液化バイオマス。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された液化バイオマスから合成された熱硬化性樹脂。
【請求項8】
請求項4又は5に記載の製造方法により製造された熱硬化性樹脂。

【公開番号】特開2012−126858(P2012−126858A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281349(P2010−281349)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(510109822)株式会社白石バイオマス (2)
【出願人】(591063154)
【Fターム(参考)】